説明

半導体発光装置

【課題】実施形態によれば、放熱性及び信頼性に優れた半導体発光装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、半導体発光装置は、半導体層と、p側電極と、n側電極と、無機絶縁膜と、p側配線部と、n側配線部と、有機絶縁膜とを備えている。無機絶縁膜は、半導体層の第2の面側に設けられ、第p側電極に通じる第1のビアと、n側電極に通じる第2のビアとを有する。p側配線部及びn側配線部は無機絶縁膜上に設けられている。有機絶縁膜は、無機絶縁膜上における少なくともp側配線部とn側配線部との間の部分に設けられている。p側配線部におけるn側配線部側の端部、およびn側配線部におけるp側配線部側の端部が、有機絶縁膜上に乗り上がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光装置は、一般に高電流を注入すれば高い輝度が得られるが、発光層ひいては発光装置自体の温度が上昇するなどの原因により発光効率が低下してしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0148198号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態によれば、放熱性及び信頼性に優れた半導体発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、半導体発光装置は、半導体層と、p側電極と、n側電極と、無機絶縁膜と、p側配線部と、n側配線部と、有機絶縁膜と、を備えている。前記半導体層は、第1の面と、その反対側に形成された第2の面と、発光層とを有する。前記p側電極は、前記第2の面における前記発光層を有する領域に設けられている。前記n側電極は、前記第2の面における前記発光層を含まない領域に設けられている。前記無機絶縁膜は、前記第2の面側に設けられ、前記第p側電極に通じる第1のビアと、前記n側電極に通じる第2のビアとを有する。前記p側配線部は、前記無機絶縁膜上に設けられ、前記第1のビアを通じて前記p側電極と電気的に接続されている。前記n側配線部は、前記p側配線部に対して離間して、前記無機絶縁膜上に設けられ、前記第2のビアを通じて前記n側電極と電気的に接続されている。前記有機絶縁膜は、前記無機絶縁膜上における少なくとも前記p側配線部と前記n側配線部との間の部分に設けられている。前記p側配線部における前記n側配線部側の端部、および前記n側配線部における前記p側配線部側の端部が、前記有機絶縁膜上に乗り上がっている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態の半導体発光装置の模式断面図。
【図2】第1実施形態の半導体発光装置が実装基板に実装された状態を表す模式断面図。
【図3】第1実施形態の半導体発光装置の製造方法を示す模式断面図。
【図4】第1実施形態の半導体発光装置の製造方法を示す模式断面図。
【図5】第1実施形態の半導体発光装置の製造方法を示す模式断面図。
【図6】第2実施形態の半導体発光装置の模式断面図。
【図7】第3実施形態の半導体発光装置の模式断面図。
【図8】第4実施形態の半導体発光装置の模式断面図。
【図9】比較例の半導体発光装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態の半導体発光装置10の模式断面図であり、図1(b)は、図1(a)の断面構造に等価回路を重ねた模式図である。
【0009】
半導体発光装置10は半導体層15を有する。半導体層15は、第1の面15aと、その反対側(図1(a)において上側)に形成された第2の面を有する。第2の面側に後述する電極及び配線層が設けられている。その第2の面の反対側の第1の面15aから主として光が外部に放出される。
【0010】
半導体層15は、第1の半導体層11と第2の半導体層12を有する。第1の半導体層11及び第2の半導体層12は、例えば窒化ガリウムを含む材料からなる。第1の半導体層11は、例えば下地バッファ層、n型層などを含み、n型層は電流の横方向経路として機能する。第2の半導体層12は、発光層(活性層)13を、n型層とp型層とで挟んだ積層構造を有する。
【0011】
半導体層15は、後述するように、基板5上に形成される。そして、本実施形態では、その基板5はそのまま残される。すなわち、半導体層15における光の主な取り出し面である第1の面15a上に基板5が設けられている。基板5は、半導体層15よりも厚く、半導体発光装置10に機械的強度を与える。
【0012】
基板5は、発光層13からの放出光に対して透明な透明体であり、例えばサファイア基板を用いることができる。基板5は、半導体層15に使われている窒化ガリウムと、空気との間の屈折率を有する。これにより、第1の面15aを通じた光の取り出し方向で、媒質の屈折率が大きく変化するのを防いで、光の取り出し効率を向上できる。
【0013】
半導体層15の第2の面側は凹凸形状に加工されている。その第2の面側に形成された凸部は発光層13を含む。その凸部の表面である第2の半導体層12の表面には、p側電極16が設けられている。すなわち、p側電極16は、発光層13を有する領域に設けられている。
【0014】
半導体層15の第2の面側において凸部の横には、発光層13を含む第2の半導体層12がない領域が設けられ、その領域の第1の半導体層11の表面に、n側電極17が設けられている。すなわち、n側電極17は、発光層13を含まない領域に設けられている。
【0015】
半導体層15の第2の面側において、発光層13を含む第2の半導体層12の面積は、発光層13を含まない第1の半導体層11の面積よりも広い。また、発光層13を含む領域に設けられたp側電極16の方が、発光層13を含まない領域に設けられたn側電極17よりも面積が広い。これにより、広い発光領域が得られる。
【0016】
発光層13を含む第2の半導体層12の側面、p側電極16の側面およびn側電極17の側面には、絶縁膜14が設けられている。絶縁膜14は、第2の半導体層12の側面、p側電極16の側面およびn側電極17の側面を覆っている。絶縁膜14は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などの無機絶縁膜である。p側電極16の表面およびn側電極17の表面は、絶縁膜14から露出している。
【0017】
絶縁膜14、p側電極16及びn側電極17の上には、無機絶縁膜18が設けられている。無機絶縁膜18は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜である。無機絶縁膜18は、絶縁膜14の側面および第1の半導体層11の側面を覆っている。
【0018】
また、無機絶縁膜18は、p側電極16の表面の一部およびn側電極17の表面の一部を覆っている。無機絶縁膜18には、p側電極16に通じる第1のビア18aと、n側電極17に通じる第2のビア18bが形成されている。
【0019】
無機絶縁膜18上には、選択的に有機絶縁膜20が形成されている。有機絶縁膜20は、例えばポリイミドなどの樹脂である。有機絶縁膜20は、無機絶縁膜18の側面を覆って、基板5とともに半導体発光装置10の外面となっている。
【0020】
第1のビア18a内、その周辺の無機絶縁膜18上及び有機絶縁膜20上には、第1のp側配線層21が設けられている。第1のp側配線層21の下には金属膜19が設けられている。第1のp側配線層21は、第1のビア18a内に設けられた金属膜19を介してp側電極16と電気的に接続されている。第1のp側配線層21及びその下の金属膜19は、本実施形態におけるp側配線部を構成する。金属膜19は、第1のp側配線層21に比べて非常に薄い。
【0021】
第2のビア18b内、その周辺の無機絶縁膜18上及び有機絶縁膜20上には、第1のn側配線層22が設けられている。第1のn側配線層22の下には金属膜19が設けられている。第1のn側配線層22は、第2のビア18b内に設けられた金属膜19を介してn側電極17と電気的に接続されている。第1のn側配線層22及びその下の金属膜19は、本実施形態におけるn側配線部を構成する。金属膜19は、第1のn側配線層22に比べて非常に薄い。
【0022】
p側配線部とn側配線部との間の無機絶縁膜18上に有機絶縁膜20が設けられている。その有機絶縁膜20と無機絶縁膜18との間には段差が形成されている。その段差を被覆するように、金属膜19を介して第1のp側配線層21が設けられている。すなわち、第1のp側配線層21における第1のn側配線層22側の端部21bが、有機絶縁膜20上に乗り上がっている。
【0023】
第1のp側配線層21の端部21bの反対側においても有機絶縁膜20と無機絶縁膜18との間に段差が形成されている。その段差を被覆するように、金属膜19を介して第1のn側配線層22が設けられている。すなわち、第1のn側配線層22における第1のp側配線層21側の端部22bが、有機絶縁膜20上に乗り上がっている。
【0024】
有機絶縁膜20と無機絶縁膜18との間の段差は、p側電極16とn側電極17との間には設けられているが、p側電極16の外側(図1(a)では、第1のp側配線層21の左側)およびn側電極17の外側(図1(a)では、第1のn側配線層22の右側)では、有機絶縁膜20と無機絶縁膜18との間に段差は設けられていない。
【0025】
有機絶縁膜20上に乗り上がった端部21bと端部22bとは、空間を隔てて離間している。
第1のp側配線層21において、端部21bと、第1のビア18a内の部分との間の部分は、金属膜19を介して無機絶縁膜18上に設けられている。第1のn側配線層22において、端部22bと、第2のビア18b内の部分との間の部分は、金属膜19を介して無機絶縁膜18上に設けられている。
【0026】
第1のp側配線層21において、第1のn側配線層22側の端部21b以外の他の端部は、有機絶縁膜20及び金属膜19を介して無機絶縁膜18上に設けられている。すなわち、第1のp側配線層21における端部21b以外の他の端部の下にも有機絶縁膜20が存在する。
【0027】
第1のn側配線層22において、第1のp側配線層21側の端部22b以外の他の端部は、有機絶縁膜20及び金属膜19を介して無機絶縁膜18上に設けられている。すなわち、第1のn側配線層22における端部22b以外の他の端部の下にも有機絶縁膜20が存在する。
【0028】
第1のn側配線層22は、第1のp側配線層21側に延出している。すなわち、第1のn側配線層22の一部は、発光層13を含む発光領域の上の無機絶縁膜18上に重なっている。
【0029】
したがって、図1(b)の等価回路に表されるように、キャパシタCが、半導体層15におけるpnジャンクションに対して並列に形成されている。そのキャパシタCにおける誘電体膜として機能する無機絶縁膜18は、例えばスパッタリング法やCVD(chemical vapor deposition)法で形成することができる。このため、塗布法などで形成される有機膜に比べて、無機絶縁膜18は薄くできる。薄い無機絶縁膜18はキャパシタCの容量を増大させ、半導体発光装置10のESD(Electro Static Discharge)耐性の向上に有利となる。
【0030】
第1のn側配線層22の面積は、n側電極17の面積よりも広い。また、無機絶縁膜18上に広がる第1のn側配線層22の面積は、第1のn側配線層22が金属膜19を介して第2のビア18bでn側電極17と接続する面積よりも大きい。
【0031】
n側電極17よりも広い領域にわたって形成された発光層13によって高い光出力を得ることができる。なおかつ、発光層13を含まず、発光領域よりも狭い領域に設けられたn側電極17が、これよりも面積の大きな第1のn側配線層22として実装面側に配置し直された構造を実現できる。
【0032】
第1のp側配線層21が第1のビア18aでp側電極16と接続する面積は、第1のn側配線層22が第2のビア18bでn側電極17と接続する面積よりも大きい。これにより、発光層13への電流分布が向上し、且つ発光層13で発生した熱の放熱性も向上できる。また、複数の第1のビア18aを介して、第1のp側配線層21がp側電極16と接続していてもよい。
【0033】
第1の半導体層11は、n側電極17及び金属膜19を介して第1のn側配線層22と電気的に接続されている。発光層13を含む第2の半導体層12は、p側電極16及び金属膜19を介して第1のp側配線層21と電気的に接続されている。
【0034】
第1のp側配線層21において、半導体層15に対する反対側の面はp側外部端子21aとして機能する。第1のn側配線層22において、半導体層15に対する反対側の面はn側外部端子22aとして機能する。
【0035】
図2は、実施形態の半導体発光装置10が実装基板100に実装された状態を表す。なお、図2では、半導体発光装置10の上下が図1(a)と逆に表されている。
【0036】
p側外部端子21a及びn側外部端子22aは、実装基板100の表面に形成されたパッド101に、例えばはんだ102を介して接合される。実装基板100は、例えば樹脂基板、セラミック基板などである。また、はんだ102の代わりに、他の金属を接合材として用いてもよい。
【0037】
発光層13に電流が注入されると発光層13は発光し、また熱を発生する。その熱の実装基板100側への放熱経路としては、主に以下に説明する経路がある。1つは、p側電極16及び第1のビア18aを通じて第1のp側配線層21に発光層13の熱を逃がす経路である。また、第1のp側配線層21が無機絶縁膜18を挟んでp側電極16に重なる部分では、p側電極16及び無機絶縁膜18を通じて、発光層13の熱を第1のp側配線層21に逃がすことができる。また、第1のn側配線層22が無機絶縁膜18を挟んでp側電極16に重なる部分では、p側電極16及び無機絶縁膜18を通じて、発光層13の熱を第1のn側配線層22に逃がすことができる。
【0038】
第1のp側配線層21及び第1のn側配線層22に伝わった熱は、はんだ102及びパッド101を通じて実装基板100に放熱される。
【0039】
本実施形態では、電極16、17と配線層21、22との間に設けられる絶縁膜として無機絶縁膜18を用いている。無機材料は有機材料(樹脂材料)に比べて高い熱伝導性を有する。そのため、無機絶縁膜18を通じた配線層21、22への放熱性を高くすることができる。放熱性に優れた半導体発光装置では、発光層13への高電流注入時の、電気特性の低下や発光効率の低下を抑えることができる。この結果、高い輝度を得ることができる。
【0040】
ここで、図9は、比較例の半導体発光装置の模式断面図を表す。
【0041】
この比較例の半導体発光装置は、本実施形態の有機絶縁膜20を有さない。すなわち、第1のp側配線層21及び第1のn側配線層22は、金属膜19を介して無機絶縁膜18上に形成されている。第1のp側配線層21の端部及び第1のn側配線層22の端部も無機絶縁膜18上に形成されている。この構造においても、p側電極16及び無機絶縁膜18を通じて、発光層の熱を第1のp側配線層21及び第1のn側配線層22に逃がすことができる。
【0042】
無機絶縁膜18は、有機絶縁膜に比べて、熱伝導性に優れるが、脆く割れやすい傾向もある。また、半導体発光装置が実装基板100に実装された状態では、半導体層15と実装基板100との間の熱膨張率の違いが問題となる。この熱膨張率の違いは、はんだ102及びパッド101によって実装基板100に拘束された第1のp側配線層21と第1のn側配線層22とを互いに離間させるような応力を生じさせる。この応力によって、第1のp側配線層21の端部付近や、第1のn側配線層22の端部付近の無機絶縁膜18に、図9に示すようなクラックが生じやすい。このクラックは、意図しない要素間の短絡の原因となり得る。
【0043】
これに対して本実施形態では、第1のp側配線層21における第1のn側配線層22側の端部21b、および第1のn側配線層22における第1のp側配線層21側の端部22bは、無機絶縁膜18よりも柔軟な有機絶縁膜20上に設けられている。このため、前述した応力が特に集中しやすい上記端部21b及び端部22b付近の応力を有機絶縁膜20が緩和する。この結果、無機絶縁膜18のクラックを防いで高い信頼性が得られる。
【0044】
さらに、第1のp側配線層21における上記端部21b以外の他の端部、および第1のn側配線層22における上記端部22b以外の他の端部も、有機絶縁膜20上に設けることで、それら端部付近での応力を有機絶縁膜20が緩和し、より高い信頼性が得られる。
【0045】
すなわち、本実施形態では、無機絶縁膜18による高い放熱性を利用して高電流注入を可能にしつつ、特に応力が集中しやすい部分に、無機絶縁膜18よりも柔軟な有機絶縁膜20を設けることで、高い信頼性を実現する。
【0046】
次に、図3(a)〜図5(c)を参照して、実施形態の半導体発光装置10の製造方法について説明する。製造工程を表す図面においては、複数の半導体層15(チップ)を含むウェーハの一部の領域を表している。
【0047】
図3(a)は、基板5の主面上に、第1の半導体層11及び第2の半導体層12を形成した積層体を示す。基板5の主面上に第1の半導体層11が形成され、その上に発光層13を含む第2の半導体層12が形成される。例えば窒化ガリウムを含む第1の半導体層11及び第2の半導体層12は、例えばサファイア基板上にMOCVD(metal organic chemical vapor deposition)法で結晶成長させることができる。
【0048】
第1の半導体層11は、下地バッファ層、n型GaN層を含む。第2の半導体層12は、発光層(活性層)13、p型GaN層を含む。発光層13は、青、紫、青紫、紫外光などを発光するものを用いることができる。第1の半導体層11における基板5に接する面が、半導体層15の第1の面15aである。
【0049】
基板5上に半導体層15を形成した後、図示しないレジストを用いた例えばRIE(Reactive Ion Etching)法で、第2の半導体層12の一部を除去して、第1の半導体層11の一部を露出させる。第1の半導体層11が露出された領域は、発光層13を含まない。
【0050】
次に、図3(b)に示すように、第2の半導体12の表面上にp側電極16を、第1の半導体層11の表面上にn側電極17を形成する。p側電極16及びn側電極17は、例えば、スパッタ法、蒸着法等で形成される。p側電極16とn側電極17は、どちらを先に形成してもよいし、同じ材料で同時に形成してもよい。各電極16、17と半導体層11、12とのオーミックコンタクトをとるための活性化アニールなどは必要に応じて実施される。
【0051】
p側電極16の表面及びn側電極17の表面以外の露出部には絶縁膜14が形成される。絶縁膜14は、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜である。絶縁膜14は、p側電極16とn側電極17との間に設けられ、それら電極間を絶縁する。また、絶縁膜14は、発光層13を含む第2の半導体層12の側面を覆って保護する。
【0052】
次に、図3(c)に示すように、レジスト51をマスクに用いた例えばRIE法で、絶縁膜14及び第1の半導体層11を選択的に除去し、基板5に達する溝52を形成する。溝52は、ウェーハ状態の基板5上で例えば格子状の平面レイアウトで形成される。溝52によって、半導体層15は複数のチップに分離される。
【0053】
なお、半導体層15を複数に分離する工程は、電極16、17を形成する前の図3(a)に示す段階で行ってもよい。
【0054】
次に、レジスト51を除去した後、基板5上のすべての露出部を、図4(a)に示すように、無機絶縁膜18で覆う。すなわち、無機絶縁膜18は、p側電極16上及びn側電極17上に設けられる。また、無機絶縁膜18は、溝52の内壁に設けられ、第1の半導体層11の側面を覆う。
【0055】
次に、図4(b)に示すように、レジスト53をマスクに用いたエッチングにより、無機絶縁膜18に第1のビア18aと第2のビア18bを形成する。第1のビア18aはp側電極16に達する。第2のビア18bはn側電極17に達する。また、溝52の底部の無機絶縁膜18も除去される。
【0056】
次に、レジスト53を除去した後、図4(c)に示すように、無機絶縁膜18上に有機絶縁膜20を選択的に形成する。有機絶縁膜20は、例えば感光性を有するポリイミドなどの樹脂である。その有機絶縁膜20を無機絶縁膜18上の全面に形成した後、有機絶縁膜20に対して図示しないマスクを用いた露光及び現像を行ってパターニングする。有機絶縁膜20は、溝52内における無機絶縁膜18の側壁にも形成される。
【0057】
次に、基板5上の露出部に、図5(a)に示すように金属膜19を形成する。金属膜19は、後述するメッキのシードメタルとして使われる。金属膜19は、第1のビア18aの底部で露出しているp側電極16の表面と、第2のビア18bの底部で露出しているn側電極17の表面にも形成される。
【0058】
金属膜19は、例えばスパッタ法で形成される。金属膜19は、例えば、下層側から順に形成されたチタン(Ti)と銅(Cu)との積層膜を含む。
【0059】
次に、図5(b)に示すように、金属膜19上に選択的にレジスト54を形成し、金属膜19を電流経路としたCu電解メッキを行う。これにより、金属膜19上に第1のp側配線層21と第1のn側配線層22が選択的に形成される。第1のp側配線層21及び第1のn側配線層22はメッキ法により同時に形成される例えば銅材料からなる。
【0060】
第1のp側配線層21は、第1のビア18a内にも形成され、金属膜19を介してp側電極16と電気的に接続される。第1のn側配線層22は、第2のビア18b内にも形成され、金属膜19を介してn側電極17と電気的に接続される。
【0061】
また、第1のビア18aと第2のビア18bとの間の無機絶縁膜18上には、有機絶縁膜20が形成され、その有機絶縁膜20と無機絶縁膜18との間には段差が形成されている。その段差を、シードメタルとして機能する金属膜19が被覆しており、よって上記段差を被覆するようにメッキ金属が析出される。
【0062】
したがって、第1のp側配線層21における第1のn側配線層22側の端部21bは有機絶縁膜20上に設けられ、第1のn側配線層22における第1のp側配線層21側の端部22bは有機絶縁膜20上に設けられる。
【0063】
第1のp側配線層21及び第1のn側配線層22を形成した後、レジスト54は除去される。その後、第1のp側配線層21及び第1のn側配線層22で覆われていない、金属膜19の露出部を除去する。これにより、第1のp側配線層21と第1のn側配線層22間でつながっていた金属膜19が分断される。
【0064】
その後、溝52の位置で基板5を切断し、複数の半導体発光装置10に個片化する。例えば、ダイシングブレードを用いて切断する。あるいは、レーザ照射によって、切断してもよい。溝52には、半導体層15は存在しないため、ダイシング時に半導体層15が受けるダメージを回避することができる。
【0065】
なお、個片化された半導体発光装置10は、ひとつの半導体層15を含むシングルチップ構造でも、複数の半導体層15を含むマルチチップ構造であってもよい。
【0066】
ダイシングされる前までの前述した各工程は、ウェーハ状態で一括して行われるため、個片化された個々のデバイスごとに、配線層の形成及び絶縁膜による保護を行う必要がなく、大幅な生産コストの低減が可能になる。すなわち、個片化された状態で、図1(a)に示すように、すでに半導体層15の側面が無機絶縁膜18及び有機絶縁膜20で覆われて保護されている。この結果、生産性を高めることができ、価格低減が容易となる。
【0067】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の半導体発光装置の模式断面図である。
【0068】
本実施形態の半導体発光装置は、上記第1実施形態の半導体発光装置に対して、第2のp側配線層23、第2のn側配線層24および樹脂層25をさらに備えている。
【0069】
第2のp側配線層23は第1のp側配線層21上に設けられている。本実施形態では、金属膜19、第1のp側配線層21及び第2のp側配線層23が、p側配線部を構成する。
【0070】
第2のn側配線層24は第1のn側配線層22上に設けられている。本実施形態では、金属膜19、第1のn側配線層22及び第2のn側配線層24が、n側配線部を構成する。
【0071】
第1のp側配線層21と第1のn側配線層22との間、および第2のp側配線層23と第2のn側配線層24との間には、絶縁材として樹脂層25が充填されている。樹脂層25は、第1のp側配線層21、第1のn側配線層22、第2のp側配線層23および第2のn側配線層24のそれぞれの側面を覆っている。
【0072】
第2のp側配線層23における第1のp側配線層21に対する反対側の面はp側外部端子23aとして機能する。第2のn側配線層24における第1のn側配線層22に対する反対側の面はn側外部端子24aとして機能する。
【0073】
p側外部端子23a及びn側外部端子24aは、樹脂層25から露出され、図2に示す前述した実装基板100に形成されたパッド101に、はんだ102を介して接合される。
【0074】
第2のp側配線層23は第1のp側配線層21よりも厚く、第2のn側配線層24は第1のn側配線層22よりも厚い。第2のp側配線層23、第2のn側配線層24および樹脂層25のそれぞれの厚さは、半導体層15よりも厚い。なお、ここでの「厚さ」は、図6において上下方向の厚さを表す。
【0075】
第2のp側配線層23及び第2のn側配線層24のそれぞれの厚さは、半導体層15、p側電極16及びn側電極17からなる積層体の厚さよりも厚い。なお、第2のp側配線層23及び第2のn側配線層24のアスペクト比(平面サイズに対する厚みの比)は1以上であることに限らず、その比は1よりも小さくてもよい。すなわち、第2のp側配線層23及び第2のn側配線層24は、その平面サイズよりも厚さが小さくてもよい。
【0076】
第2のp側配線層23、第2のn側配線層24及びこれらを補強する樹脂層25は、半導体層15の支持体として機能する。したがって、半導体層15を形成するために使用した基板5を後述するように除去しても、第2のp側配線層23、第2のn側配線層24及び樹脂層25を含む支持体によって、半導体層15を安定して支持し、半導体発光装置の機械的強度を高めることができる。
【0077】
また、半導体発光装置を実装基板に実装した状態で半導体層15に加わる応力を、ピラー状の第2のp側配線層23及び第2のn側配線層24が吸収することで緩和することができる。
【0078】
第1のp側配線層21、第1のn側配線層22、第2のp側配線層23および第2のn側配線層24の材料としては、銅、金、ニッケル、銀などを用いることができる。これらのうち、銅を用いると、良好な熱伝導性、高いマイグレーション耐性及び絶縁材料との優れた密着性が得られる。
【0079】
樹脂層25は、実装基板100と熱膨張率が同じもしくは近いものを用いるのが望ましい。そのような樹脂層25として、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などを一例として挙げることができる。
【0080】
また、樹脂層25に、例えばカーボンブラックを含有させて、発光層13からの放出光に対して遮光性を付与させてもよい。また、樹脂層25に、発光層13からの放出光に対する反射性を有する粉末を含有させてもよい。
【0081】
本実施形態においても、第1のp側配線層21の端部及び第1のn側配線層22の端部は、無機絶縁膜18よりも柔軟な有機絶縁膜20上に設けられている。このため、有機絶縁膜20が、前述した応力を緩和し、無機絶縁膜18のクラックを防ぐことができる。
【0082】
すなわち、本実施形態においても、無機絶縁膜18による高い放熱性を利用して高電流注入を可能にしつつ、応力が集中しやすい部分に、無機絶縁膜18よりも柔軟な有機絶縁膜20を設けることで、高い信頼性を実現する。
【0083】
半導体層15の第1の面15a上には、発光層13の放出光に対して透明な透明体として蛍光体層27が設けられている。蛍光体層27は、透明樹脂と、透明樹脂に分散された蛍光体粒子とを含む。蛍光体層27は、発光層13からの放出光を吸収し波長変換光を放出可能である。このため、本実施形態の半導体発光装置は、発光層13からの光と、蛍光体層27における波長変換光との混合光を放出可能である。
【0084】
蛍光体層27中の透明樹脂は、半導体層15の屈折率と空気の屈折率との間の屈折率を有する。これにより、第1の面15a及び蛍光体層27を通じた光の取り出し方向で、媒質の屈折率が大きく変化するのを防いで、光の取り出し効率を向上できる。
【0085】
例えば、蛍光体粒子が黄色光を発光する黄色蛍光体粒子とすると、GaN系材料である発光層13からの青色光と、蛍光体層27における波長変換光である黄色光との混合色として、白色または電球色などを得ることができる。なお、蛍光体層27は、複数種の蛍光体粒子(例えば、赤色光を発光する赤色蛍光体粒子と、緑色光を発光する緑色蛍光体粒子)を含む構成であってもよい。
【0086】
蛍光体層27は、半導体層15の成長に使った基板5を半導体層15から除去した後に、第1の面15a上に形成される。基板5を第1の面15a上から除去することで、半導体発光装置を低背化できる。
【0087】
第2のp側配線層23、第2のn側配線層24及び樹脂層25を含む支持体を形成した後、その支持体に半導体層15が支持された状態で、基板5は例えばレーザーリフトオフ法によって除去される。
【0088】
基板5の裏面側から第1の半導体層11に向けてレーザ光が照射される。レーザ光は、基板5に対して透過性を有し、第1の半導体層11に対しては吸収領域となる波長を有する。
【0089】
レーザ光が基板5と第1の半導体層11との界面に到達すると、その界面付近の第1の半導体層11はレーザ光のエネルギーを吸収して分解する。例えばGaN系材料の第1の半導体層11はガリウム(Ga)と窒素ガスに分解する。この分解反応により、基板5と第1の半導体層11との間に微小な隙間が形成され、基板5と第1の半導体層11とが分離する。レーザ光の照射を、設定された領域ごとに複数回に分けてウェーハ全体にわたって行い、基板5を除去する。
【0090】
半導体層15は、これよりも厚い支持体によって支持されているため、基板5がなくなっても、ウェーハ状態を保つことが可能である。また、樹脂層25も、第2のp側配線層23及び第2のn側配線層24を構成する金属も、半導体層15に比べて柔軟な材料である。そのため、基板5上に半導体層15を形成するエピタキシャル成長で発生した大きな内部応力が、基板5の剥離時に一気に開放されても、デバイスが破壊されることを回避できる。
【0091】
基板5を除去した後、第1の面15aを洗浄、また必要に応じて凹凸を形成するフロスト処理を行う。第1の面15aに微小凹凸を形成することで、光取り出し効率を向上できる。その後、第1の面15a上に蛍光体層27を形成する。また、必要に応じてレンズが、第1の面15a上もしくは蛍光体層27上に形成される。
【0092】
蛍光体層27を形成する工程は、例えば、蛍光体粒子が分散された液状の透明樹脂を、印刷、ポッティング、モールド、圧縮成形などの方法によって第1の面15a上に供給する工程と、それを熱硬化させる工程とを有する。
【0093】
蛍光体層27を形成するまでの一連の工程はウェーハ状態で行われる。蛍光体層27を形成した後、前述した溝52の位置で、樹脂層25から蛍光体層27までを切断して、個片化する。このとき、硬い基板5はすでに除去されているので、基板5は切断しなくてもよく、個片化が容易になる。
【0094】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の半導体発光装置の模式断面図である。
【0095】
本実施形態における第1のp側配線層21及び第1のn側配線層22は無機絶縁膜18上に設けられている。また、第1のp側配線層21の端部及び第1のn側配線層22の端部も無機絶縁膜18上に設けられている。第1のp側配線層21の端部と無機絶縁膜18との間、および第1のn側配線層22の端部と無機絶縁膜18との間には、前述した実施形態の有機絶縁膜20は介在していない。
【0096】
第1のp側配線層21における無機絶縁膜18の反対側の面には、第2のp側配線層23が設けられている。本実施形態では、金属膜19、第1のp側配線層21及び第2のp側配線層23が、p側配線部を構成する。
【0097】
第1のn側配線層22における無機絶縁膜18の反対側の面には、第2のn側配線層24が設けられている。本実施形態では、金属膜19、第1のn側配線層22及び第2のn側配線層24が、n側配線部を構成する。
【0098】
第2のp側配線層23の平面サイズは第1のp側配線層21の平面サイズよりも小さく、第1のp側配線層21の側面と第2のp側配線層23の側面との間には段差が形成されている。
【0099】
同様に、第2のn側配線層24の平面サイズは第1のn側配線層22の平面サイズよりも小さく、第1のn側配線層22の側面と第2のn側配線層24の側面との間には段差が形成されている。
【0100】
第1のp側配線層21と第1のn側配線層22との間には、樹脂等の絶縁材が充填されず、第1のp側配線層21と第1のn側配線層22とは空間を隔てて離間している。第2のp側配線層23と第2のn側配線層24との間にも、樹脂等の絶縁材が充填されず、第2のp側配線層23と第2のn側配線層24とは空間を隔てて離間している。
【0101】
第2のp側配線層23における第1のp側配線層21に対する反対側の面はp側外部端子23aとして機能する。第2のn側配線層24における第1のn側配線層22に対する反対側の面はn側外部端子24aとして機能する。同じ面で露出するp側外部端子23a及びn側外部端子24aは、実装基板100に形成されたパッド101に、はんだ102を介して接合される。
【0102】
第2のp側配線層23は第1のp側配線層21よりも厚く、第2のn側配線層24は第1のn側配線層22よりも厚い。第2のp側配線層23、第2のn側配線層24および樹脂層25のそれぞれの厚さは、半導体層15よりも厚い。
【0103】
p側外部端子23aとn側外部端子24aとの間の距離は、無機絶縁膜18上での第1のp側配線層21と第1のn側配線層22との間の距離よりも大きい。すなわち、p側外部端子23aとn側外部端子24aとは、実装基板100への実装時にはんだ102によって相互に短絡しない距離を隔てて離れている。
【0104】
また、外部端子としては機能しない第1のp側配線層21は、プロセス上の限界まで、第1のn側配線層22に近づけることができ、第1のp側配線層21の面積を広くできる。この結果、発光層13への電流分布及び放熱性を向上できる。
【0105】
また、第2のp側配線層23の平面サイズを第1のp側配線層21の平面サイズよりも小さくして、第1のp側配線層21の側面から第2のp側配線層23の側面にかけて段差が形成されるようにしている。すなわち、第1のp側配線層21と第2のp側配線層23を含むp側配線部は、実装基板100側でより細くなっている。
【0106】
同様に、第2のn側配線層24の平面サイズを第1のn側配線層22の平面サイズよりも小さくして、第1のn側配線層22の側面から第2のn側配線層24の側面にかけて段差が形成されるようにしている。すなわち、第1のn側配線層22と第2のn側配線層24を含むn側配線部は、実装基板100側でより細くなっている。
【0107】
このため、より細い第2のp側配線層23及び第2のn側配線層24が、半導体発光装置を実装基板に実装した状態で半導体発光装置側に加わる応力を吸収して緩和する。この結果、第1のp側配線層21の端部および第1のn側配線層22の端部に応力が集中するのを抑制することができ、その端部付近での無機絶縁膜18のクラックを防ぐことができる。
【0108】
したがって、本実施形態においても、無機絶縁膜18による高い放熱性を利用して高電流注入を可能にしつつ、無機絶縁膜18のクラックを防いで高い信頼性を実現する。
【0109】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態の半導体発光装置の模式断面図である。
【0110】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1のp側配線層21の端部及び第1のn側配線層22の端部は、無機絶縁膜18よりも柔軟な有機絶縁膜20上に設けられている。このため、有機絶縁膜20が、前述した応力を緩和し、無機絶縁膜18のクラックを防ぐことができる。
【0111】
さらに、第3実施形態と同様に、第2のp側配線層23の平面サイズを第1のp側配線層21の平面サイズよりも小さくして、第1のp側配線層21の側面から第2のp側配線層23の側面にかけて段差が形成されるようにしている。すなわち、第1のp側配線層21と第2のp側配線層23を含むp側配線部は、実装基板100側でより細くなっている。
【0112】
同様に、第2のn側配線層24の平面サイズを第1のn側配線層22の平面サイズよりも小さくして、第1のn側配線層22の側面から第2のn側配線層24の側面にかけて段差が形成されるようにしている。すなわち、第1のn側配線層22と第2のn側配線層24を含むn側配線部は、実装基板100側でより細くなっている。
【0113】
このため、第2のp側配線層23及び第2のn側配線層24が、半導体発光装置を実装基板に実装した状態で半導体発光装置側に加わる応力を吸収して緩和する。
【0114】
すなわち、本実施形態においても、無機絶縁膜18による高い放熱性を利用して高電流注入を可能にしつつ、無機絶縁膜18に対する局所的な応力集中を防いで高い信頼性を実現する。
【0115】
なお、図7、8に示す構造において、図6に示す構造のように、第1のp側配線層21、第1のn側配線層22、第2のp側配線層23および第2のn側配線層24のそれぞれの周囲に樹脂層25を充填してもよい。第2のp側配線層23、第2のn側配線層24および樹脂層25を厚くすることで、基板5がなくても、薄い半導体層15を安定して支持することが可能になる。
【0116】
また、図2、7、8に示すそれぞれの構造において、基板5上に蛍光体層27を設けてもよい。
【0117】
前述した蛍光体層としては、以下に例示する赤色蛍光体層、黄色蛍光体層、緑色蛍光体層、青色蛍光体層を用いることができる。
【0118】
赤色蛍光体層は、例えば、窒化物系蛍光体CaAlSiN:Euやサイアロン系蛍光体を含有することができる。
【0119】
サイアロン系蛍光体を用いる場合、特に、
(M1−x,Ra1AlSib1c1d1・・・組成式(1)
(MはSi及びAlを除く少なくとも1種の金属元素であり、特に、Ca若しくはSrの少なくとも一方が望ましい。Rは発光中心元素であり、特に、Euが望ましい。x、a1、b1、c1、d1は、次の関係を満たす。0<x≦1、0.6<a1<0.95、2<b1<3.9、0.25<c1<0.45、4<d1<5.7)を用いることができる。
【0120】
組成式(1)で表されるサイアロン系蛍光体を用いることで、波長変換効率の温度特性が向上し、大電流密度領域での効率をさらに向上させることができる。
【0121】
黄色蛍光体層は、例えば、シリケート系蛍光体(Sr,Ca,Ba)SiO:Euを含有することができる。
【0122】
緑色蛍光体層は、例えば、ハロ燐酸系蛍光体(Ba,Ca,Mg)10(PO・Cl:Euやサイアロン系蛍光体を含有することができる。
【0123】
サイアロン系蛍光体を用いる場合、特に、
(M1−x,Ra2AlSib2c2d2・・・組成式(2)
(MはSi及びAlを除く少なくとも1種の金属元素であり、特に、Ca若しくはSrの少なくとも一方が望ましい。Rは発光中心元素であり、特に、Euが望ましい。x、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x≦1、0.93<a2<1.3、4.0<b2<5.8、0.6<c2<1、6<d2<11)を用いることができる。
【0124】
組成式(2)で表されるサイアロン系蛍光体を用いることで、波長変換効率の温度特性が向上し、大電流密度領域での効率をさらに向上させることができる。
【0125】
青色蛍光体層は、例えば、酸化物系蛍光体BaMgAl1017:Euを含有することができる。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
5…基板、10…半導体発光装置、11…第1の半導体層、12…第2の半導体層、13…発光層、14…絶縁膜、15…半導体層、15a…第1の面、16…p側電極、17…n側電極、18…無機絶縁膜、18a…第1のビア、18b…第2のビア、19…金属膜、20…有機絶縁膜、21…第1のp側配線層、22…第1のn側配線層、23…第2のp側配線層、24…第2のn側配線層、21a,23a…p側外部端子、22a,24a…n側外部端子、25…樹脂層、27…蛍光体層、100…実装基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、その反対側に形成された第2の面と、発光層とを有する半導体層と、
前記第2の面における前記発光層を有する領域に設けられたp側電極と、
前記第2の面における前記発光層を含まない領域に設けられたn側電極と、
前記第2の面側に設けられ、前記第p側電極に通じる第1のビアと、前記n側電極に通じる第2のビアとを有する無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜上に設けられ、前記第1のビアを通じて前記p側電極と電気的に接続されたp側配線部と、
前記p側配線部に対して離間して、前記無機絶縁膜上に設けられ、前記第2のビアを通じて前記n側電極と電気的に接続されたn側配線部と、
前記無機絶縁膜上における少なくとも前記p側配線部と前記n側配線部との間の部分に設けられた有機絶縁膜と、
を備え、
前記p側配線部における前記n側配線部側の端部、および前記n側配線部における前記p側配線部側の端部が、前記有機絶縁膜上に乗り上がり、
前記無機絶縁膜と前記有機絶縁膜との間に段差が形成され、
前記p側配線部及び前記n側配線部は、前記段差を被覆していることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
第1の面と、その反対側に形成された第2の面と、発光層とを有する半導体層と、
前記第2の面における前記発光層を有する領域に設けられたp側電極と、
前記第2の面における前記発光層を含まない領域に設けられたn側電極と、
前記第2の面側に設けられ、前記第p側電極に通じる第1のビアと、前記n側電極に通じる第2のビアとを有する無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜上に設けられ、前記第1のビアを通じて前記p側電極と電気的に接続されたp側配線部と、
前記p側配線部に対して離間して、前記無機絶縁膜上に設けられ、前記第2のビアを通じて前記n側電極と電気的に接続されたn側配線部と、
前記無機絶縁膜上における少なくとも前記p側配線部と前記n側配線部との間の部分に設けられた有機絶縁膜と、
を備え、
前記p側配線部における前記n側配線部側の端部、および前記n側配線部における前記p側配線部側の端部が、前記有機絶縁膜上に乗り上がっていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項3】
前記p側配線部における前記n側配線部側の端部以外の他の端部と前記無機絶縁膜との間、および前記n側配線部における前記p側配線部側の端部以外の他の端部と前記無機絶縁膜との間にも、前記有機絶縁膜が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記発光層を含む領域の上の前記無機絶縁膜上に、前記n側配線部の一部が重なっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記無機絶縁膜上に広がる前記n側配線部の面積は、前記n側配線部が前記第2のビアを通じて前記n側電極と接続する面積よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記p側配線部は、前記無機絶縁膜及び前記有機絶縁膜から露出されたp側外部端子を有し、
前記n側配線部は、前記p側外部端子と同じ面で前記無機絶縁膜及び前記有機絶縁膜から露出されたn側外部端子を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記p側配線部は、前記無機絶縁膜及び前記有機絶縁膜上に設けられた第1のp側配線層と、前記第1のp側配線層上に設けられた第2のp側配線層とを有し、
前記n側配線部は、前記無機絶縁膜及び前記有機絶縁膜上に設けられた第1のn側配線層と、前記第1のn側配線層上に設けられた第2のn側配線層とを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記第2のp側配線層は前記第1のp側配線層よりも厚く、前記第2のn側配線層は前記第1のn側配線層よりも厚いことを特徴とする請求項7記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記第1のp側配線層と前記第1のn側配線層との間、および前記第2のp側配線層と前記第2のn側配線層との間に充填された絶縁材をさらに備えたことを特徴とする請求項7または8に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記第2のp側配線層は、前記無機絶縁膜、前記有機絶縁膜及び前記絶縁材から露出されたp側外部端子を有し、
前記第2のn側配線層は、前記p側外部端子と同じ面で前記無機絶縁膜、前記有機絶縁膜及び前記絶縁材から露出されたn側外部端子を有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項11】
第1の面と、その反対側に形成された第2の面と、発光層とを有する半導体層と、
前記第2の面における前記発光層を有する領域に設けられたp側電極と、
前記第2の面における前記発光層を含まない領域に設けられたn側電極と、
前記第2の面側に設けられ、前記第p側電極に通じる第1のビアと、前記n側電極に通じる第2のビアとを有する絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられ、前記第1のビアを通じて前記p側電極と電気的に接続された第1のp側配線層と、
前記第1のp側配線層に対して離間して、前記絶縁膜上に設けられ、前記第2のビアを通じて前記n側電極と電気的に接続された第1のn側配線層と、
前記第1のp側配線層上に設けられ、前記第1のp側配線層よりも平面サイズが小さい第2のp側配線層と、
前記第1のn側配線層上に設けられ、前記第1のn側配線層よりも平面サイズが小さい第2のn側配線層と、
を備え、
前記第1のp側配線層と前記第1のn側配線層とは空間を隔てて離間し、前記第2のp側配線層と前記第2のn側配線層とは空間を隔てて離間し、
前記第1のp側配線層と前記第2のp側配線層との間、および前記第1のn側配線層と前記第2のn側配線層との間に段差が形成されていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項12】
前記絶縁膜は、無機絶縁膜であり、
前記無機絶縁膜上における少なくとも前記第1のp側配線層と前記第1のn側配線層との間の部分に設けられた有機絶縁膜をさらに備え、
前記第1のp側配線層における前記第1のn側配線層側の端部、および前記第1のn側配線層における前記第1のp側配線層側の端部が、前記有機絶縁膜上に乗り上がっていることを特徴とする請求項11記載の半導体発光装置。
【請求項13】
前記発光層を含む領域の上の前記無機絶縁膜上に、前記第1のn側配線層の一部が重なっていることを特徴とする請求項12記載の半導体発光装置。
【請求項14】
前記絶縁膜上に広がる前記第1のn側配線層の面積は、前記第1のn側配線層が前記第2のビアを通じて前記n側電極と接続する面積よりも大きいことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項15】
前記第2のp側配線層は前記第1のp側配線層よりも厚く、前記第2のn側配線層は前記第1のn側配線層よりも厚いことを特徴とする請求項11〜14のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項16】
前記第1の面上に設けられ、前記発光層の放出光に対して透明な透明体をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項17】
前記透明体は、前記半導体層よりも厚い基板であることを特徴とする請求項16記載の半導体発光装置。
【請求項18】
前記基板は、前記半導体層の屈折率と空気の屈折率との間の屈折率を有することを特徴とする請求項17記載の半導体発光装置。
【請求項19】
前記透明体は、蛍光体層であることを特徴とする請求項16記載の半導体発光装置。
【請求項20】
前記蛍光体層は、前記半導体層の屈折率と空気の屈折率との間の屈折率を有する透明樹脂と、前記透明樹脂に分散された蛍光体粒子とを含むことを特徴とする請求項19記載の半導体発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−243849(P2012−243849A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110372(P2011−110372)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】