説明

半導体発光装置

【課題】白色部材被覆型の半導体発光装置においては、白色部材充填や硬化時に発光素子の発光面にコーティング材の付着が発生して接着力が低下したり演色性を向上させる蛍光材の混入が困難であったり、また白色部材による発光素子の被覆が不十分で信頼性が高められないなどの課題があった。
【解決手段】下面に突起電極を有する半導体発光素子の発光面に接着された蛍光体板と前記半導体発光素子の側面を被覆する反射性の白色樹脂とを有する半導体発光装置において、前記蛍光体板の前記半導体発光素子に接着する面に凹部形状を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体発光素子などの発光面に蛍光体板を設けた半導体発光装置の構造に関するものであり、詳しくは半導体発光素子と蛍光体板の接着強度の改善と、半導体発光装置の発光効率を向上させる発明に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体発光素子であるLED素子(以下LED)は長寿命で優れた駆動特性を有し、さらに小型で発光効率が良く、鮮やかな発光色を有することから、カラー表示装置のバックライトや照明等に広く利用されるようになってきた。
本発明の実施形態においても発光装置としてLEDを用いた半導体発光装置を事例として説明する。
【0003】
近年、LEDの周囲を反射性の白色部材で被覆し、LEDの側方への発光を上方に反射せることで、上方向への発光を効率良く行わせる白色部材被覆型のLED発光装置の構成が提案されている。(例えば特許文献1、特許文献2)
【0004】
以下、従来の白色部材被覆型のLED発光装置について説明する。なお、理解し易いように発明の趣旨を外さない範囲において図面を一部簡略化し、また部品名称も本願にそろえている。
図11は特許文献1におけるLED発光装置100の製造工程を示す各断面図であり、(a)は基板107に導電部材106a、106bによってフリップチップ実装されたLED101の周囲に、枠体109を用いて光反射性の第1の白色部材104を充填被覆した状態を示している。(b)はLED101の上面に透明接着剤103を塗って、LED101からの出射光を通過して外部に放出する透光性部材102(透明部材または蛍光部材)を接着する工程を示している。(c)は(b)の工程によって透光性部材102の接着が行われて状態を示している。(d)は滴下装置108により、第2の白色部材105を滴下して透光性部材102の側面を含む全体を第2の白色部材105で被覆することによって、白色部材被覆型のLED発光装置100が完成する。
【0005】
図12は特許文献2におけるLED発光装置200の断面図を示している。
図12において光取り出し側に開口を有するケース203と、ケース203内のLED搭載面上に設けられた配線電極205aに、導電部材206a、206bによってフリップチップ実装されたLED201の周囲に、ケース203を用いて光反射性の白色部材204を充填被覆し、この状態においてLED201の光取り出し面上にシート状の蛍光体層202が貼着されている。
【0006】
なお、特許文献1及び特許文献2においては、白色部材の役目としてはLEDの側面側から発光された出射光を反射させて、出射面側に戻し出射効率を高める機能を有するものであり、その構成としてはシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等のコーティング材に反射性のフィラーとして酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニューム、アルミナ、窒化ホウ素等の粒子を混入したものを用いており、充填方法としては滴下装置や注入装置を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−192629号公報
【特許文献1】特開2007−19096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載された従来の白色部材被覆型のLED発光装置の製造工程では、回路基板上またはケース上に実装したLEDの発光面を露出させた状態でLEDの側面側に白色部材を充填するのでLEDの光取出面に白色部材が付着することがあり、このため研磨によって光取出面を露出させる余分な工程が必要になる。またLEDと透光性部材(透明部材または蛍光部材)を接着する透明接着剤が剥がれることがあり、さらに透光性部材(透明部材または蛍光部材)に厚みがあるため、イエローリングが発生することがある。
【0009】
そこで本発明の目的は、上記問題点を解決しようとするものであり、白色部材被覆型のLED発光装置において、LEDの光取出面に白色部材が付着する危険性がなく、またLEDと透光性部材(透明部材または蛍光部材)の接着強度を向上し、イエローリングの発生を防ぐとともに演色性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明における半導体発光装置の構成は、下記の通りである。
下面に突起電極を有する半導体発光素子の発光面に接着された蛍光体板と半導体発光素子の側面を被覆する反射性の白色樹脂とを有する半導体発光装置において、蛍光体板の半導体発光素子に接着する面に凹部形状が形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、半導体発光素子すなわちLEDと蛍光体板の接着面に設けた凹部形状とに接着剤が充填されるのでアンカー効果によって接着強度が向上し信頼性が高まるとともに、凹部形状の接着剤によるレンズ効果により斜め上方の光が上方向に屈折するためイエローリングが発生しにくくなる。
【0012】
また、蛍光体板の凹部形状には、蛍光体板に混入された蛍光粒子と異なる蛍光粒子を混入した接着剤が充填されていると良い。
【0013】
上記構造によれば、蛍光体板に混入する蛍光粒子と接着剤に混入する蛍光材とに異なる特性を持たせることができるので演色性が向上する。
【0014】
また、蛍光体板は半導体発光素子の発光面より大きい面積を有し、白色樹脂は半導体発光素子の側面と、蛍光体板の半導体発光素子の発光面より突出した庇部の下面とを被覆すると良い。
【0015】
上記構成によれば、LEDに接着される蛍光板はLEDの発光面より大きく、反射性の白色樹脂はLEDの側面と蛍光板の庇部の下部とを被覆するのでLEDと白色樹脂との接着力が増すとともに、光の散逸が減り発光効率が高まる。
【0016】
また、蛍光体板の凹部形状は複数個形成することが望ましい。
【0017】
上記構成によれば、複数の凹部形状によって複数の部分でアンカー効果が生じるので、接着強度がさらに向上する。
【発明の効果】
【0018】
上記の如く本発明によれば、LEDと蛍光体板の接着面に設けた凹部形状とに接着剤が充填されるので、アンカー効果によって接着強度が向上し、半導体発光装置の総合の信頼性が高まる。
さらにLEDと蛍光体板の接着面に設けた凹部の接着剤によるレンズ効果により、斜め上方に向う光は上方向に屈折するのでイエローリングが発生しにくくなる。
またLEDと蛍光体板を接着する接着剤にβサイアロン等の赤系の演色性を高める蛍光材を含有させるので豊かな演色性を持たせることができる。
さらにLED上面に付く蛍光板はLEDの発光面より大きく、反射性の白色樹脂はLEDの側面と蛍光板の庇部の下部とをカバーするので光の散逸が減り発光効率が高まり、高効率かつ高信頼性を有する半導体発光装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における半導体発光装置の断面図である。
【図2】図1に示す第1実施形態における半導体発光装置の上面図である。
【図3】図1に示す半導体発光装置の製造方法の各断面を示す工程図であり、図3(a)はLEDと蛍光体板との接着工程であり、図3(b)はLEDの側面と蛍光体板とを白色樹脂によって被覆充填する充填工程であり、図3(c)は個々の半導体発光装置に分離する分離工程である。
【図4】本発明の第2実施形態における半導体発光装置の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態における半導体発光装置の断面図である。
【図6】図5に示す第3実施形態における半導体発光装置の上面図である。
【図7】図5に示す半導体発光装置の製造方法の各断面を示す工程図であり、図7(a)はLEDと蛍光体板との接着工程であり、図7(b)はLEDの側面と蛍光体板とを白色樹脂によって被覆充填する充填工程であり、図7(c)は個々の半導体発光装置に分離する分離工程である。
【図8】本発明の第4実施形態における半導体発光装置の断面図である。
【図9】図8に示す第4実施形態における半導体発光装置の上面図である。
【図10】図8に示す半導体発光装置の製造方法の各断面を示す工程図であり、図10(a)はLEDと蛍光体板との接着工程であり、図10(b)はLEDの側面と蛍光体板とを白色樹脂によって被覆充填する充填工程であり、図10(c)は各LEDを結合してライン光源を形成する結合工程である。
【図11】従来の半導体発光装置の製造方法の各断面を示す工程図である。
【図12】従来の半導体発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下図面により、本発明の実施形態を説明する。
図1〜図3は本発明の第1実施形態における半導体発光装置を示し、図1は本発明の第1実施形態における半導体発光装置300の断面図、図2は図1に示す半導体発光装置300の上面図、図3は半導体発光装置300の製造工程を示す工程図であり、各要素の断面図を示している。
【0021】
(第1実施形態の構成説明)
図1および図2を用いて半導体発光装置300の構造を説明する。
図1に示す半導体発光装置300の断面図および図2に示す上面図において、LED2は、例えば窒化ガリウム(GaN)を材料とし、青色光を発光するLEDである。
【0022】
LED2の下面23は一対の突起電極3が設けられ、LED2の発光面21にはLED2の発光面21より形状の大きな蛍光体板4が接着剤5により接着されている。
さらにLED2の側面22と蛍光体板の下面とを、白色部材6で被覆充填することによって半導体発光装置300が完成する。
【0023】
半導体発光装置300の構造をさらに詳述する。
蛍光体板4の下面すなわちLED2の発光面21と接着される面には、凹部形状41が形成されている。図1および図2に示す様に、凹部形状41はLED2の発光面21上に円形かつ発光面21の垂直方向に、すり鉢状に形成されている。
【0024】
図1に示す様に蛍光体板4には、蛍光粒子43が混入されている。また、蛍光体板4の凹部形状41の内部は、LED2と蛍光体板4とを接着する接着剤5が充填されている。
【0025】
実施例では蛍光粒子43にはYAG(Yttrium Aluminum Garnet)系蛍光体を用いた。
【0026】
図1及び図2に示す様に、蛍光体板4はLED2の発光面21より大きい面を有し、LED2の側面22と、蛍光体板4のLEDの発光面21より突出した庇部42とは白色樹脂6によって被覆充填される。
【0027】
次に図3を用いて半導体発光装置300の製造工程を説明する。
図3(a)を用いてLED2を蛍光体板大判40に接着する接着工程を説明する。
図3に示す様に、蛍光体板大判40は複数のLED2を搭載できる大判の蛍光体板であり、複数の凹部形状41には、滴下装置108によって蛍光粒子51を含有する接着剤5が充填され、LED2の発光面21を蛍光体板大判40の凹部形状41の接着剤5に押しつけ、蛍光体板大判40と複数のLED2とを接着する。
【0028】
図3(b)を用いてLED2と蛍光体板大判40とを、白色樹脂6によって被覆充填する充填工程を説明する。
図3(b)に示す様に、滴下装置108を用いて蛍光体板大判40と複数のLED2に、白色樹脂6を充填被覆する。この際、複数のLED2の間に白色樹脂6が充填される様に、複数のLED2の間には所定の間隔が設けられている。
【0029】
図3(c)を用いて個々の半導体発光装置300に分離する分離工程を説明する。
図3(c)に示す様に、LED2と蛍光体板大判40とを白色樹脂6によって被覆充填したのち、各LED2の間で切断し半導体発光装置300が完成する。白色樹脂6は蛍光体板4の庇部42とLED2の側面22とを覆う様に充填被覆されている。
【0030】
なお実施例では、白色樹脂6としてシリコーン樹脂を用い、内部には赤色蛍光体や緑色蛍光体あるいは青色蛍光体などを含有し、二酸化ケイ素などの反射性のフィラーを加えたものを用いたが、もちろん他の材料も可能である。
【0031】
(第1実施形態の動作説明)
図1を用いて半導体発光装置300の発光の動作および凹部形状の働きを説明する。
【0032】
図1に示す様にLED2の発光面21から発光した青色光は、蛍光体板4のYAG系の蛍光粒子43を励起して白色光になって外部に発光される。
【0033】
さらに詳細には、図1に示す様に斜め上方に向う青色光L‘は、接着剤5の凹部のレンズ効果によって屈折し上方向に向う光になり、YAG系の蛍光粒子43を励起し白色光Lになって全面から発光する。すなわち斜め上方に向う光は上方向に向うので発光方向が一様になる。
【0034】
図1を用いてLED2の側面22から発光した青色光の動作について説明する。
図1に示す様に蛍光体板4は、LED2の発光面21より大きい面積を有し、白色樹脂6はLED2の側面22と、蛍光体板4のLED2の発光面21より突出した庇部42の下面とを被覆充填している。
【0035】
すなわちLED2の側面22から発光した青色光は、図示していないが白色樹脂6で反射し、蛍光体板4の庇部42から蛍光体板4に入り、白色光になって外部に発光される。
すなわちLED2の側面から発光された光もまた、白色樹脂6によって白色樹脂6の内部を経て外部に発光されるので、半導体発光装置302の光量が増加し、さらに白色樹脂6とLED2と蛍光体板4との接着が強固になる。
【0036】
つぎに凹部形状41の働きを説明する。
図1に示す様に蛍光体板4に設けられた凹部形状41によって、LED2と蛍光体板4との接着面積が拡大するので、接着強度の増大すなわちアンカー効果が生じる。
【0037】
(第2実施形態)
図4を用いて第2実施形態の半導体発光装置301の構造を説明する。
図4は第2実施形態の半導体発光装置301の断面図である。
【0038】
(第2実施形態の構成説明)
図4に示す様に第2実施形態の半導体発光装置301は、蛍光体板4の凹部形状41に充填する接着剤5に、蛍光体板4に混入したYAG系の蛍光体43と異なる赤系のβサイアロン蛍光粒子51を混入し、半導体発光装置301の演色性を向上するものである。
【0039】
なお、半導体発光装置301の上面図および製造工程を示す工程図は、図2および図3に示す第1実施形態の半導体発光装置300と同様なので重複する説明は省略する。
【0040】
(第2実施形態の動作説明)
図4を用いて半導体発光装置301の発光の動作を説明する。
図4に示す様に、LED2の発光面21から発光した青色光L‘は、蛍光体板4のYAG系の蛍光粒子43を励起して白色光Lになって外部に発光される。
【0041】
またLED2の発光面21から発光した青色光Lr’は、凹部形状41に充填された接着剤5に混入したβサイアロン蛍光粒子51を励起し、赤系の光Lrになって外部に発光される。
すなわち蛍光体板4の蛍光粒子43の励起による白色光Lに、接着剤5の蛍光粒子51の励起による赤系の光Lrが加わるので、半導体発光装置301の演色性に変化を生じる。
【0042】
(第3実施形態)
図5〜図7を用いて第3実施形態における半導体発光装置302を説明する。
図5は本発明の第3実施形態における半導体発光装置302の断面図であり、図6は図
5に示す半導体発光装置302の上面図で、図7は半導体発光装置302の製造工程を示
す工程図であり、各要素の断面図を示している。
なお図1〜図3に示す第1実施形態の半導体発光装置300および、図4に示す第2実施形態の半導体発光装置301と同じ要素には、同じ番号を付し重複する説明は省略する。
【0043】
(第3実施形態の構成説明)
第3実施形態における半導体発光装置302の構造と、第2実施形態における半導体発光装置301の構造で異なるところは、半導体発光装置301では蛍光体板4の凹部形状41は1個であり、第3実施形態における半導体発光装置302では蛍光体板4の凹部形状41は複数個備えられていることである。
【0044】
以下、蛍光体板4が25個の凹部形状41を備えた実施例について説明する。また、図1〜図3に示す第1実施形態の半導体発光装置300および図4に示す第2実施形態の半導体発光装置301と同じ要素には、同じ番号を付し重複する説明は省略する。
【0045】
図5は第3実施形態における半導体発光装置302の構造を示す断面であり、図6は図5に示す半導体発光装置302の上面図で、図7は半導体発光装置302の製造工程を示す工程図であり、各要素の断面図を示している。
【0046】
図5に示す様に、蛍光体板4にはYAG系の蛍光粒子43が混入されており、蛍光体板4に設けられた25個の凹部形状41は、LED2の発光面21上に円形かつ発光面21の垂直方向にすり鉢状に形成されている。
【0047】
蛍光体板4に設けられた25個の凹部形状41にはβサイアロン蛍光粒子51が混入された接着剤5が充填され、LED2と蛍光体板4とを接着している。
その他の構造と要素については第2実施形態の半導体発光装置301と同じなので重複する説明は省略する。
【0048】
図6を併用して半導体発光装置302の構造をさらに説明する。
図5および図6に示す様に、25個の凹部41を備えた蛍光体板4は、LED2の発光面21より大きい面を有し、LED2の側面22と蛍光体板4のLEDの発光面21より突出した庇部42とは、白色樹脂6によって被覆充填される。
【0049】
図7を用いて半導体発光装置302の製造工程を説明する。
図7(a)は、LED2を蛍光体板大判40に接着する接着工程であり、第1実施形態の半導体発光装置300と同じなので重複する説明は省略する。
【0050】
図7(b)は、LED2と蛍光体板大判40とを、白色樹脂6によって被覆充填する充填工程であり、第1実施形態の半導体発光装置300と同じなので重複する説明は省略する。
【0051】
図7(c)は、個々の半導体発光装置302に分離する分離工程であり、第1実施形態の半導体発光装置300と同じなので重複する説明は省略する。
【0052】
なお実施例では蛍光体板4の25個の凹部形状41は、LED2の発光面21上に円形かつ発光面21上部にすり鉢状に形成したが、これ以外に例えば凹部形状41を、いくつか回廊状に結合し、複数の溝を形成して、上部にすり鉢状の凹部を形成する方法も可能である。
【0053】
また、LED2の発光面21の中心から放射状に形成した溝の上部に、すり鉢状の凹部を形成するなど、凹部形状41として他の異なる構造も可能であることはいうまでもない。
【0054】
(第3実施形態の動作説明)
図5を用いて、半導体発光装置302の発光の動作および凹部形状の働きを説明する。
図5に示す白色光Lと赤系の光Lrの動作については、第2実施形態の半導体発光装置301と同じなので重複する説明は省略する。
【0055】
また、LED2の側面22から発光した青色光の動作については、図1〜図3に示す第1実施形態の半導体発光装置300と同じなので重複する説明は省略する。
【0056】
つぎに25個の凹部形状41の働きを説明する。
蛍光体板4には25個の凹部形状41が設けられているので、蛍光体板4とLED2との接着強度を増大するアンカー効果が複数の箇所で発生する。
【0057】
(第4実施形態)
次に図8〜図10を用いて、本発明の第4実施形態における半導体発光装置303の構成を説明する。
図8は本発明の第3実施形態における半導体発光装置303の断面図であり、図9は図8に示す半導体発光装置303の上面図で、図10は半導体発光装置303の製造工程を示す工程図であり、各要素の断面図を示している。
なお図1〜図3に示す第1実施形態の半導体発光装置300および図4に示す第2実施形態の半導体発光装置301と同じ要素には、同じ番号を付し重複する説明は省略する。
【0058】
(第4実施形態の構成説明)
第1実施形態の半導体発光装置300および第2実施形態の半導体発光装置301および第3実施形態の半導体発光装置302は単個の発光装置であったが、第4実施形態における半導体発光装置303は、図8〜図10に示す様に発光装置を複数個ライン状に並べ、ライン発光装置を形成したものである。
【0059】
すなわち図8に示す様に、YAG系蛍光粒子43を混入した蛍光体板大判40に、5個のLED2の各々に4個の凹部形状41を設け、5個のLED2と蛍光体板大判40とをβサイアロン蛍光粒子51を混入した接着剤5によって接着する。
【0060】
さらに各々のLED2の側面22と、蛍光体板大判40の庇部42とを白色樹脂6で被覆充填したのち、各LED2の突起電極3を、大判の回路基板8に設けられた配線電極81の熔着部83で直列に結合し、回路基板8の両端に外部と接続をするための電源電極82を備えたものである。
【0061】
図9を併用して半導体発光装置303の構造をさらに説明する。
図8と図9に示す様に、蛍光体板大判4と5個のLED2とが接着剤5によって接着され、各LED2の間は回路基板8に設けられた配線電極81によって結合され、回路基板8の両端に設けられた電源電極82によって外部電極と接続可能に構成されている。
【0062】
他の構造と要素については図1〜図3に示す第1実施形態の半導体発光装置300および図4に示す第2実施形態の半導体発光装置301および図5〜図7に示す第3実施形態の半導体発光装置302と同様なので重複する説明は省略する。
【0063】
次に図10を用いて半導体発光装置303の製造工程を説明する。
図10は半導体発光装置303の製造工程であり、図10(a)および図10(b)は第1実施形態の半導体発光装置300と同じなので重複する説明は省略する。
【0064】
図10(c)は半導体発光装置303の結合工程を説明する工程図であり、各発光装置をライン状に結合する。以下にさらに詳述する。
図10(c)に示す様に、各LED2の突起電極3を、大判の回路基板8に設けられた配線電極81の熔着部83で直列に結合し、さらに回路基板8の両端に外部と接続をするための電源電極82を備えたものである。
【0065】
なお、熔着部83には超音波による熱熔着やハンダ付けなどの方法を適用することが出来る。また、蛍光体板大判40に設けられた凹部形状41は、実施例では各LED2に対して4個であるが、これに限るものではなく他の数であっても良い。
【0066】
(第4実施形態の動作説明)
図8を用いて半導体発光装置303の動作を説明する。
図8において、5個のLED2の各発光面21および各側面22から発光した青色光の動作については、図1〜図3に示す第1実施形態の半導体発光装置300および図4に示す第2実施形態の半導体発光装置301および図5〜図7に示す第3実施形態の半導体発光装置302と同じなので重複する説明は省略する。
【0067】
図8に示す様に半導体発光装置303は、回路基板8に設けられた配線電極81を通じて5個のLED2が直列に結合され、回路基板8の両端に形成された電源電極82によって外部電源に接続することができる。
【0068】
従って回路基板8の両端部に形成された電源電極82に、LED2の4個分の電圧を供給することによって単個に比し4倍の長さを有するライン光源として使用することができる。
【0069】
すなわち半導体発光装置303は、半導体発光装置300や半導体発光装置301や半導体発光装置302の様な点の照明から、線の照明に照明機能を拡大したものである。さらに、半導体発光装置303を並列に複数個並べて、線の照明から面の照明に機能を拡大することも可能である。
【符号の説明】
【0070】
300,301,302,303 半導体発光装置
2 LED
21 発光面
22 側面
23 下面
3 突起電極
4 蛍光体板
40 蛍光体板大判
41 凹部形状
42 庇部
43 蛍光粒子
5 接着剤
51 蛍光粒子
6 白色樹脂
8、107 回路基板
81,205a 配線電極
82 電源電極
83 熔着部
108 滴下装置
101,201 LED
103 透明接着剤
104,204 白色部材
106a、106b、206a、206b 導電部材
105 第2白色部材
100、200 LED発光装置
102 透明性部材
109 枠体
202 蛍光体層
203 ケース
L (YAG蛍光体で励起され上方に向かう)白色光
L‘(斜め上方に向かいYAG蛍光体を励起する)青色光
Lr (βサイアロンにより励起された)赤系の光
Lr‘ (βサイアロンを励起する)青色光


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に突起電極を有する半導体発光素子の発光面に接着された蛍光体板と前記半導体発光素子の側面を被覆する反射性の白色樹脂とを有する半導体発光装置において、
前記蛍光体板の前記半導体発光素子に接着する面に凹部形状が形成されていることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記蛍光体板の前記凹部形状には、前記蛍光体板に混入された蛍光粒子と異なる蛍光粒子を混入した接着剤が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記蛍光体板は前記半導体発光素子の前記発光面より大きい面積を有し、前記白色樹脂は前記半導体発光素子の前記側面と、前記蛍光体板の前記半導体発光素子の前記発光面より突出した庇部の下面とを被覆することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記蛍光体板の前記凹部形状は複数個形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の半導体発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−89644(P2013−89644A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226122(P2011−226122)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】