説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】DRAMキャパシタにおいて、上部電極内に発生する応力を低減することにより、容量絶縁膜の劣化を抑制する。
【解決手段】本発明の半導体装置は、第1の層間絶縁膜11内に設けられた複数の溝部12の表面を覆う下部電極13と、下部電極13の上を覆う容量絶縁膜14と、容量絶縁膜14を挟んで複数の下部電極の上方を覆う上部電極15とを備えている。上部電極15には、クラック17a、溝17bまたは凹部17cといった応力緩衝部17が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタを有する半導体装置とその製造方法に関するものであり、特に、コンケーブ型のDRAMキャパシタを有する半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ますます微細化が要求されるDRAMにおいては、十分な電荷保持特性を確保するために、キャパシタ部の容量絶縁膜に、高誘電率を有する金属酸化膜、特に、TaOx膜を用いる方法が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
容量絶縁膜としてTaOx膜を、下部電極としてSiを主成分とする材料を用いた場合には15〜20の比誘電率を確保することができる。一方、容量絶縁膜としてTaOx膜を、下部電極として金属膜を用いた場合には最大で50といった比誘電率を確保することが可能となる。このように、TaOx膜を容量絶縁膜として用いた場合には、SiO2膜やON膜(SiO2膜とSiNx膜の積層膜)を容量絶縁膜として用いた場合と比較して、同一キャパシタ面積において3倍以上のキャパシタ容量を確保することができる。
【0004】
さらに、TaOx膜は、400℃〜500℃といった低温領域での熱CVD法によって成膜することが可能であるため、他素子への熱的ダメージが低減できることでも有効とされている。
【0005】
一般に、TaOx膜を容量絶縁膜として用いる場合には、上部電極として、容量絶縁膜の特性を劣化させる有機物を含まない材料で成膜が可能なTiN膜が選択されている。通常、TiN膜は、TiCl4とNH3を主成分とする材料を用いて熱CVD法により成膜される。TiN膜も400℃〜600℃の温度域で成膜可能なため、TiN膜の形成によって、容量絶縁膜であるTaOx膜やトランジスタ等の他素子の特性を劣化させるおそれがないという特徴がある。
【特許文献1】特開平11−026712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、TaOx膜からなる容量絶縁膜と、TiN膜からなる上部電極とを有するDRAMキャパシタでは、TiN膜中に発生する応力がTaOx膜にかかるという不具合が生じていた。以下に、図面を参照しながら具体的に説明する。図5(a)は、従来のDRAMキャパシタの概略構成を示す断面図である。
【0007】
図5(a)に示すように、従来のDRAMキャパシタ100は、第1の層間絶縁膜101と、第1の層間絶縁膜101の一部に設けられた複数の溝部102と、それぞれの溝部102の表面上に設けられたシリコン膜からなる下部電極103と、下部電極103の表面上に設けられたTaOx膜からなる容量絶縁膜104と、容量絶縁膜104の上を覆うTiN膜からなる上部電極105と、上部電極105の上を覆う第2の層間絶縁膜106とを備えている。容量絶縁膜104および上部電極105は、複数の溝部102の表面上から、溝部102の外部における第1の層間絶縁膜101の上に亘って設けられている。
【0008】
図5(b)は、図5(a)に示す構造のうち、第1の層間絶縁膜101の上において容量絶縁膜104と上部電極105とが積層されている部分(図5(a)において破線で囲む部分)を拡大して示す断面図である。図5(b)に示すように、第1の層間絶縁膜101、容量絶縁膜104および上部電極105は、互いに接触して積層される。
【0009】
図5(c)は、複数のDRAMキャパシタ100が配列するDRAMアレイ領域の概略構成を示す平面図である。図5(c)に示すように、DRAMキャパシタ100は縦方向および横方向にマトリクス状に配置し、例えば、数10k個から1G個まで1つのアレイにレイアウトされる。この構成において、上部電極105は、複数の溝部102を覆うように大面積で形成される。このように大面積の上部電極105が形成された場合には、上部電極105自体が有する応力が大きくなり、特定のDRAMキャパシタに応力が集中するといった不具合が生じてしまう。
【0010】
図5(d)は、DRAMキャパシタ100とその周囲にかかる応力の状態を示す図である。図5(d)に示すように、溝部102の外部における第1の層間絶縁膜101の上において、上部電極105内に応力が特に集中する。この応力が容量絶縁膜104に及ぶと、容量絶縁膜104のリーク電流特性および電荷保持特性の劣化が起こる。リーク電流特性や電荷保持特性といった初期特性の劣化は、絶縁破壊の起こりやすさといった長期信頼性の悪化をも引き起こす。
【0011】
そこで、本発明の目的は、DRAMキャパシタにおいて、上部電極内に発生する応力を低減する手段を講ずることにより、容量絶縁膜の劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の半導体装置は、キャパシタを有する半導体装置であって、上記キャパシタは、複数の下部電極と、上記複数の下部電極のそれぞれの上に形成された容量絶縁膜と、上記容量絶縁膜を挟んで複数の上記下部電極の上方を覆い、応力緩衝部を有する上部電極とを備える。
【0013】
本発明の半導体装置では、上部電極内に発生する応力が応力緩衝部によって緩和される。そのため、上部電極から容量絶縁膜にかかる応力を低減することができる。これにより、容量絶縁膜においてリーク電流特性および電荷保持特性を良好に保つことができると共に、長期信頼性の悪化も抑制することができる。
【0014】
本発明の半導体装置において、上記応力緩衝部とは、具体的には、クラック、溝または凹部のことをいう。
【0015】
本発明の半導体装置は、複数の溝が設けられた絶縁膜をさらに備え、上記複数の下部電極のそれぞれは、上記複数の溝のそれぞれにおける表面を覆い、上記上部電極は、上記複数の溝の外部における上記絶縁膜の上方も覆っていてもよい。このように、コンケーブ型のキャパシタにおいては、上部電極の面積が大きくなるほど上部電極内に発生する応力が大きくなるため、応力緩衝部を形成することが特に効果的である。
【0016】
本発明の半導体装置において、上記応力緩衝部は、上記上部電極のうち上記複数の溝の外部を覆う部分に設けられていることが好ましい。上部電極のうち複数の溝の外部を覆う部分、つまり絶縁膜の上面を覆う部分には応力が集中しやすいため、この部分に応力緩衝部があると、効果的に応力を緩和することが可能となる。
【0017】
上記容量絶縁膜はTaOxを含み、上記下部電極はTiNを含んでいてもよい。
【0018】
本発明の半導体装置の製造方法は、キャパシタを有する半導体装置の製造方法であって、複数の下部電極を形成する工程(a)と、上記複数の下部電極のそれぞれを覆う容量絶縁膜を形成する工程(b)と、上記容量絶縁膜を挟んで上記複数の下部電極の上方を覆い、応力緩衝部を有する上部電極を形成する工程(c)とを備える。
【0019】
この方法によって形成された半導体装置では、上部電極内に発生する応力を応力緩衝部によって緩和することができる。そのため、上部電極から容量絶縁膜にかかる応力を低減することができる。これにより、容量絶縁膜においてリーク電流特性および電荷保持特性を良好に保つことができると共に、長期信頼性の悪化も抑制することができる。
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記工程(a)の前に、絶縁膜に複数の溝を形成する工程(d)をさらに備え、上記工程(a)では、上記複数の溝におけるそれぞれの表面に上記複数の下部電極のそれぞれを形成し、上記工程(c)では、上記複数の溝の外部における上記絶縁膜の上方にも上記上部電極を形成してもよい。コンケーブ型のキャパシタを形成する工程においては、工程(c)において大面積の上部電極を形成すると、上部電極内に大きな応力が発生するおそれがある。したがって、本発明のように、上部電極の形成と同時に上部電極に応力緩衝部を形成した場合には、効果的に応力の発生を抑制することができる。
【0021】
なお、応力緩衝部を形成する具体的な方法としては、上記工程(c)において、膜厚が40nm以上の上記上部電極を形成する方法がある。なお、上部電極の膜厚の上限値としては150nmが挙げられる。
【0022】
また、他の具体的な方法としては、上記工程(c)において、500℃以上の温度で上記上部電極を形成する方法がある。なお、上部電極を形成するときの温度の上限値としては、700℃が挙げられる。
【0023】
なお、上記容量絶縁膜はTaOxを含み、上記下部電極はTiNを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、容量絶縁膜においてリーク電流特性および電荷保持特性を良好に保つことができると共に、長期信頼性の悪化も抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。図1(a)に示すように、本実施形態のDRAMキャパシタ10は、第1の層間絶縁膜11と、第1の層間絶縁膜11の一部に設けられた複数の溝部12と、それぞれの溝部12の表面上に設けられたシリコン膜からなる下部電極13と、下部電極13の表面上に設けられたTaOx膜からなる容量絶縁膜14と、容量絶縁膜14の上を覆うTiN膜からなる上部電極15と、上部電極15の上を覆う第2の層間絶縁膜16とを備えている。容量絶縁膜14および上部電極15は、複数の溝部12の表面上から、溝部12の外部における第1の層間絶縁膜11の上に亘って設けられている。
【0027】
図1(b)は、図1(a)に示す構造のうち、第1の層間絶縁膜11の上において容量絶縁膜14と上部電極15とが積層されている部分(図1(a)において破線で囲む部分)を拡大して示す断面図である。図1(b)に示すように、第1の層間絶縁膜11、容量絶縁膜14および上部電極15は、互いに接触して積層される。そして、上部電極15には応力緩衝部17が設けられている。応力緩衝部17とは、上部電極15に設けられたクラック17a、溝17bまたは凹部17cのことをいう。溝部12の外部、つまり下部電極13が形成されていない領域上の応力緩衝部17は、上部電極15の表面のみに設けられていてもよいし、上部電極15の下の容量絶縁膜14にまで到達していてもよい。ただし、溝部12の内部、つまり上部電極15、容量絶縁膜14および下部電極13によってキャパシタが構成される部分においては、応力緩衝部17は、容量絶縁膜14にまで達していないことが好ましい。
【0028】
図1(c)は、複数のDRAMキャパシタ10が配列するDRAMアレイ領域の概略構成を示す平面図である。図1(c)に示すように、DRAMキャパシタ10は縦方向および横方向にマトリクス状に配置し、例えば、数10k個から1G個まで1つのアレイにレイアウトされる。この構成において、上部電極15は、複数の溝部12を覆うように大面積で形成される。
【0029】
図1(d)は、DRAMアレイ領域において、応力緩衝部17(17a、17b、17c)が設けられている状態を模式的に示す平面図である。図1(d)に示すように、本実施形態のDRAMアレイ領域では、上部電極15のうち溝部12の外部における第1の層間絶縁膜11(図1(a)に示す)の上に配置する部分に、応力緩衝部17が形成されている。なお、図1(c)に示す領域にもちろん応力緩衝部17は形成されているが、その図示は省略している。
【0030】
本実施形態では、上部電極15内に発生する応力が応力緩衝部17によって緩和されるため、上部電極15から容量絶縁膜14にかかる応力も低減することができる。これにより、容量絶縁膜14において、リーク電流が流れるのを抑制することができると共に、電荷を確実に保持することができる。さらに、長期信頼性の悪化も抑制することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態で述べた半導体装置を形成する方法について説明する。
【0032】
図2(a)〜(g)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態の製造方法では、まず図2(a)に示す工程で、半導体基板等の下地18の上に、厚さ500nmのシリコン酸化膜からなる第1の層間絶縁膜11を形成する。
【0033】
次に、図2(b)に示す工程で、フォトリソグラフィ法によって第1の層間絶縁膜11の上にレジストマスク(図示せず)を形成してドライエッチングを行うことにより、第1の層間絶縁膜11を貫通して下地18に到達する、口径0.2μm×0.4μmの溝部12を形成する。
【0034】
次に、図2(c)に示す工程で、CVD法により、溝部12の表面を覆い、溝部12の外部における第1の層間絶縁膜11の上を覆う厚さ30nmのシリコン膜(ポリシリコンおよびアモルファスシリコンを含む)13aを形成する。
【0035】
次に、図2(d)に示す工程で、フォトリソグラフィ法によってシリコン膜13aの上に、溝部12内を埋めて溝部12同士の間の領域を露出するレジストマスク(図示せず)を形成する。その後、レジストマスクの上からドライエッチングを行ってシリコン膜13aのうち露出する部分を除去することにより、溝部12内に下部電極13を形成する。
【0036】
次に、図2(e)に示す工程で、450℃の温度で熱CVD法を行うことにより、溝部12内における下部電極13の上から、溝部12の外部における第1の層間絶縁膜11の上に亘って、厚さ10nmのTaOxからなる容量絶縁膜14を形成する。
【0037】
次に、図2(f)に示す工程で、TiCl4およびNH3を主成分として含む原料を供給してCVD法を行うことにより、容量絶縁膜14の上に、上部電極用のTiN膜15aを形成する。一般に、上部電極として必要なTiN膜の膜厚は30nm程度であるが、本実施形態では、それよりも厚い40nm以上の膜厚を有するTiN膜を形成する。これにより、TiN膜15aには応力緩衝部17が形成されやすくなる。
【0038】
次に、図2(g)に示す工程で、フォトリソグラフィ法により、TiN膜15aの上にレジストマスク(図示せず)を形成してドライエッチングを行うことにより、TiN膜15aのうち不要な部分を除去する。これにより、複数の溝部12内と、溝部12同士の間に位置する第1の層間絶縁膜11の上方とを覆う上部電極15を形成する。
【0039】
その後、上部電極15の上を覆い、溝部12の外部における膜厚が300nmである第2の層間絶縁膜16を形成する。その後、図示は省略するが、第2の層間絶縁膜16を貫通するコンタクトプラグや配線を形成する。
【0040】
図3(a)は、TiN膜の膜厚と膜中に発生する応力との関係を示すグラフ図である。図3(a)において、横軸はTiN膜の膜厚を示し、縦軸はTiN膜中に発生する応力の大きさを示している。なお、図3(a)において、実線で示すプロファイルは実際に測定される応力を示しており、破線で示すプロファイルは、TiN膜中に応力緩衝部が形成されないと仮定した場合に発生すると予想される応力を示している。図3(a)に示すように、TiN膜の膜厚が40nm程度までのときには、破線で示すプロファイルと実線で示すプロファイルとはほぼ一致している。しかし、膜厚が40nm以上になると、2つのプロファイルに差が生じ、予想される応力よりも実際に観測される応力の方が小さくなっていることがわかる。そして、膜厚が50nmを超えると、膜厚が増加するにしたがって実際に観測される応力が減少している。特に、TiN膜の膜厚が60nm以上である場合には、膜厚が20〜30nmである場合よりも応力が少なくなっている。このように、膜厚が40nmを超えた辺りから実際に観測される応力が予想される応力よりも小さくなることや、膜厚が50nmを超えた辺りから応力が低減するのは、共に、TiN膜に応力緩衝部が形成されるからである。
【0041】
本実施形態では、上部電極15の膜厚を厚く形成することにより、特別な工程を追加することなく応力緩衝部17を容易に形成することができる。本実施形態の方法で形成された半導体装置では、上部電極15内に発生する応力を応力緩衝部17によって緩和することができる。そのため、上部電極15から容量絶縁膜14にかかる応力を低減することができる。これにより、容量絶縁膜14においてリーク電流特性および電荷保持特性を良好に保つことができると共に、長期信頼性の悪化も抑制することができる。
【0042】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、再度図2(a)〜(g)を再度参照しながら説明する。
【0043】
本実施形態の製造方法では、図2(a)〜(e)に示す工程において、第2の実施形態で述べた方法と同様の方法を行う。そして、図2(f)に示す工程で、500℃以上の温度でTiCl4およびNH3を主成分として含む原料を供給して熱CVD法を行うことにより、容量絶縁膜14の上にTiN膜15aを形成する。その後、図2(g)に示す工程では、第2の実施形態で述べた方法と同様の方法を行う。
【0044】
図3(b)は、TiN膜の堆積温度と、膜中に発生する応力との関係を示すグラフ図である。図3(b)に示すように、400℃以下の温度範囲では、温度の上昇とともに緩やかに膜中の応力が低下する。そして、400℃程度から応力の低下の度合いが大きくなっていき、500℃以上においては応力が顕著に減少している。400℃より低い温度(低温側)における応力の変化を示す破線L1と、500℃以上の温度(高温側)における応力の変化を示す破線L2との交点の温度は480℃である。ここで、400℃〜500℃の範囲は、TiN膜に応力緩衝部が形成されるよって応力低下が見られる過渡期であり、480℃を境界として膜中の応力が急激に変化するといえる。特に、500℃以上において応力低下に顕著な効果が見られるため、500℃以上の温度でTiN膜を形成することが望ましい。
【0045】
本実施形態では、上部電極15を高い温度で形成することにより、特別な工程を追加することなく応力緩衝部17を容易に形成することができる。本実施形態の方法で形成された半導体装置では、上部電極15内に発生する応力を応力緩衝部17によって緩和することができる。そのため、上部電極15から容量絶縁膜14にかかる応力を低減することができる。これにより、容量絶縁膜14においてリーク電流特性および電荷保持特性を良好に保つことができると共に、長期信頼性の悪化も抑制することができる。
【0046】
(その他の実施形態)
なお、上述の実施形態では、下部電極13がシリコン膜である場合について説明したが、本発明では、下部電極13が金属膜やTiN膜であっても同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、上述の実施形態では、容量絶縁膜14がTaOxからなり、上部電極15がTiNからなる場合について説明したが、本発明では容量絶縁膜14および上部電極15として他の材質も用いることができる。例えば、容量絶縁膜14としては、アルミナやHfO2を用いてもよいし、上部電極15としては、Pt、WN、TaN、TiAlN、TiSiN、RuOを用いてもよい。
【0048】
また、第2および第3の実施形態における図2(c)に示す工程の後にシリコン膜13aの表面を粗くする工程を追加してもよいし、図2(d)に示す工程の後に、下部電極13の表面を粗くする工程を追加してもよい。この粗面化工程によって、下部電極13の表面に凹凸が形成され表面積が増大するため、同一キャパシタ面積においてキャパシタ容量の増大を図ることができる。
【0049】
また、第2および第3の実施形態における図2(c)に示す工程の後にシリコン膜13aに熱処理を行いながらリン(P)を導入してもよいし、図2(d)に示す工程の後に、下部電極13に熱処理を行いながらリンを導入してもよい。
【0050】
また、上述の実施形態で述べたDRAMキャパシタは、図4(a)、(b)に示すような領域に設けられていてもよい。
【0051】
図4(a)は、DRAMキャパシタがトランスファーゲートの上方に設けられている場合の構造を示す断面図である。図4(a)に示す構造では、半導体基板21の上に、ゲート絶縁膜22およびゲート電極23が設けられており、半導体基板21の上には、ゲート絶縁膜22およびゲート電極23を覆う層間絶縁膜24が形成されている。層間絶縁膜24には、半導体基板21に到達する金属プラグ25が設けられている。そして、層間絶縁膜24の上に、上述の各実施形態で述べた第1の層間絶縁膜11が設けられている。第1の層間絶縁膜11には溝部12が設けられており、溝部12の底面には金属プラグ25が露出している。そして、第1の層間絶縁膜11に設けられた溝部12内にDRAMキャパシタ10が形成されており、DRAMキャパシタ10の下部電極13と半導体基板21とは、金属プラグ25によって電気的に接続されている。なお、DRAMキャパシタ10自体の構成は上述の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0052】
一方、図4(b)は、DRAMキャパシタが半導体基板の上に直接設けられている場合の構造を示す断面図である。図4(b)に示す構造では、半導体基板31の上に、ゲート絶縁膜32およびゲート電極33が設けられており、半導体基板31の上には、ゲート絶縁膜32およびゲート電極33を覆う第1の層間絶縁膜11が形成されている。そして、第1の層間絶縁膜11のうちゲート絶縁膜32およびゲート電極33を覆う領域以外の領域に、溝部12が設けられている。溝部12の底面には半導体基板31が露出している。そして、溝部12内にDRAMキャパシタ10が形成されており、DRAMキャパシタ10の下部電極13と半導体基板31とは直接接している。なお、DRAMキャパシタ10自体の構成は上述の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の半導体装置は、容量絶縁膜においてリーク電流特性および電荷保持特性が良好に保たれると共に、長期信頼性も確保することができる点で産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す図である。
【図2】(a)〜(g)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】(a)は、TiN膜の膜厚と膜中に発生する応力との関係を示すグラフ図であり、(b)は、TiN膜の堆積温度と、膜中に発生する応力との関係を示すグラフ図である。
【図4】(a)は、DRAMキャパシタがトランスファーゲートの上方に設けられている場合の構造を示す断面図であり、(b)は、DRAMキャパシタが半導体基板の上に直接設けられている場合の構造を示す断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、従来のDRAMキャパシタの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10 DRAMキャパシタ
11 第1の層間絶縁膜
12 溝部
13 下部電極
13a シリコン膜
14 容量絶縁膜
15 上部電極
15a TiN膜
16 第2の層間絶縁膜
17 応力緩衝部
17a クラック
17b 溝
17c 凹部
18 下地
21 半導体基板
22 ゲート絶縁膜
23 ゲート電極
24 層間絶縁膜
25 金属プラグ
31 半導体基板
32 ゲート絶縁膜
33 ゲート電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタを有する半導体装置であって、
上記キャパシタは、
複数の下部電極と、
上記複数の下部電極のそれぞれの上に形成された容量絶縁膜と、
上記容量絶縁膜を挟んで複数の上記下部電極の上方を覆い、応力緩衝部を有する上部電極とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
上記応力緩衝部は、クラック、溝または凹部であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置であって、
複数の溝が設けられた絶縁膜をさらに備え、
上記複数の下部電極のそれぞれは、上記複数の溝のそれぞれにおける表面を覆い、
上記上部電極は、上記複数の溝の外部における上記絶縁膜の上方も覆っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置であって、
上記応力緩衝部は、上記上部電極のうち上記複数の溝の外部を覆う部分に設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の半導体装置であって、
上記容量絶縁膜はTaOxを含み、上記下部電極はTiNを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
キャパシタを有する半導体装置の製造方法であって、
複数の下部電極を形成する工程(a)と、
上記複数の下部電極のそれぞれを覆う容量絶縁膜を形成する工程(b)と、
上記容量絶縁膜を挟んで上記複数の下部電極の上方を覆い、応力緩衝部を有する上部電極を形成する工程(c)とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記工程(a)の前に、絶縁膜に複数の溝を形成する工程(d)をさらに備え、
上記工程(a)では、上記複数の溝におけるそれぞれの表面に上記複数の下部電極のそれぞれを形成し、
上記工程(c)では、上記複数の溝の外部における上記絶縁膜の上方にも上記上部電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記工程(c)では、膜厚が40nm以上の上記上部電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6〜8のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記工程(c)では、500℃以上の温度で上記上部電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項6〜9のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記容量絶縁膜はTaOxを含み、上記下部電極はTiNを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−196839(P2006−196839A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9269(P2005−9269)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】