説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】エピタキシャル成長層上に形成したシリサイド層やエピタキシャル成長層と半導体基板とがショートを起こすのを防止することを可能にする。
【解決手段】半導体基板11に形成された素子分離領域14によって分離された該半導体基板11の素子形成領域12と、前記半導体基板11上に形成された絶縁膜41と、前記素子形成領域12の選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように前記絶縁膜41に形成された開口部42と、前記開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により形成された半導体層15とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイリスタを記憶素子に用いた半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイリスタを用い、サイリスタのターンオン、ターンオフ特性をサイリスタ上に実現したゲート電極により制御し、アクセストランジスタと直列に接続したメモリ(特にSRAM向け)が提案されている(以下、T−RAMと呼ぶ)。これは、サイリスタのオフ領域を「0」、オン領域を「1」としてメモリー動作させるものである。
【0003】
サイリスタは基本的にp型領域p1とn型領域n1とp型領域p2とn型領域n2とを順に接合したもので、例えば、n型シリコンとp型シリコンとが4層に構成されたものである。以下、この基本構造をp1/n1/p2/n2と記す。T−RAM社から、2種類の構造が提案されている。一つは、p1/n1/p2/n2構造をシリコン基板上に縦型に構成したものである。もう一つは、SOI基板を用いて、p1/n1/p2/n2構造をシリコン層に横型に構成したものである。いずれの構成においても、n1/p2/n2のp2上にMOS構造を有するゲート電極を設けることで高速動作を可能にしている(例えば、非特許文献1−3、特許文献1参照)。
【0004】
また、本発明の出願人およびT−RAM社から、選択エピタキシャル成長技術を使う製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
T−RAM社はサイリスタの主要機能部分であるp1/n1/p2/n2構造を形成した後に、選択エピ技術を使い、CMOS製造技術で適用されているエレベーテッドソース/ドレイン(Elevated Source/Drain)と同様な選択エピタキシャル製造技術を用いている。一方、本発明の出願人は、サイリスタの主要機能部分であるp1/n1/p2/n2構造のいずれか、または複数 (例えばp1、n2)を選択エピタキシャル成長技術で形成するというものである。
【0006】
デバイスのスケーリングに伴い(特に90nmノード世代以降)、選択エピタキシャル成長を行う活性領域が小さくなってくる。また、選択エピタキシャル成長時には、ファセットが発生する(エピタキシャル成長層の側部が傾斜面で形成される)ので、選択エピタキシャル成長膜の形状が四角錘または台形状に成長する。このため、活性領域端部でのエピ膜の実効的な膜厚が薄くなるので、このエピタキシャル成長層に対してシリサイドプロセスを行うと、図18(1)に示すように、最悪のケースではシリサイド層116がエピタキシャル成長層115を突き抜け、シリコン基板111に達してショートする。またはショートはしなくてもエピタキシャル成長層115の実効的膜厚が薄くなり、特性が劣化することが考えられる。さらに、図18(2)に示すように、エピタキシャル成長層115−1、115−2のように2層もしくは2層以上に積み上げる場合には、例えば上層部のエピタキシャル成長層115−2がシリコン基板111とショートまたはそれに近い状態になる。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6462359号明細書(B1)
【特許文献2】米国特許第6888176号明細書(B1)
【非特許文献1】Farid Nemati and James D. Plummer著 「A Novel High Density,Low Voltage SRAM Cell with a Vertical NDR Device」 1998 IEEE, VLSI Technology Tech.Dig. p.66 1998年
【非特許文献2】Farid Nemati and James D. Plummer著 「A Novel Thyristor-based SRAM Cell(T-RAM) for High-Speed, Low-Voltage, Giga-scale Memories」 1999 IEEE IEDM Tech., p.283 1999年
【非特許文献3】Farid Nemati, Hyun-Jin Cho, Scott Robins, Rajesh Gupta, Marc Tarabbia, Kevin J. Yang, Dennis Hayes, Vasudevan Gopalakrishnan著 「Fully Planar 0.562μm2 T-RAM Cell in a 130nm SOI CMOS Logic Technology for High-Density High-Performance SRAMs」 2004 IEEE IEDM Tech., p.273 2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、サイリスタの構成要素を選択エピタキシャル成長技術で形成した場合、ファセットが発生してエピタキシャル成長層の形状が四角錘または台形状に成長するため、このエピタキシャル成長層にシリサイドプロセスを施した場合、シリサイド反応により形成されるシリサイド層がエピタキシャル成長層を突き抜けるのを防止することが困難な点である。また、エピタキシャル成長層を2層以上に積み上げる場合には、上層部の選択エピタキシャル成長層がシリコン基板とショートする可能性がある点である。
【0009】
本発明は、エピタキシャル成長層上に形成したシリサイド層やエピタキシャル成長層と半導体基板とがショートを起こすのを防止することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半導体装置は、半導体基板に形成された素子分離領域によって分離された該半導体基板の素子形成領域と、前記半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記素子形成領域の選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように前記絶縁膜に形成された開口部と、前記開口部内の半導体基板の素子形成領域より選択エピタキシャル成長により形成された半導体層とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の半導体装置では、選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部が形成された絶縁膜に囲まれているため、開口部内の半導体基板の素子形成領域より選択エピタキシャル成長により形成された半導体層は、開口部側壁に沿っても成長されるため、その成長された膜厚分だけ半導体層上面と半導体基板との距離が大きくなる。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板に素子分離領域を形成して素子形成領域を分離する工程と、前記半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜における前記素子形成領域の選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部を形成する工程と、前記開口部内の半導体基板の素子形成領域より選択エピタキシャル成長により半導体層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法では、絶縁膜に選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部を形成するため、開口部内の半導体基板の素子形成領域より選択エピタキシャル成長により形成される半導体層は、開口部側壁に沿っても成長されるため、その成長された膜厚分だけ半導体層上面と半導体基板との距離を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体装置は、半導体層の周囲において半導体層上面と半導体基板との距離が大きくなるため、半導体層の上面にシリサイド層や第2半導体層を形成しても、シリサイド層や第2半導体層が半導体基板とショートすることやリーク電流を発生させることが防止できるので、サリサイドプロセスマージンが拡大され、また第2半導体層と半導体基板とのショートがなくなり、プロセスマージンの拡大が図れ、安定したばらつきの少ない半導体装置となるという利点がある。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体層の周囲において半導体層上面と半導体基板との距離を大きくすることができるため、半導体層の上面にシリサイド層や第2半導体層を形成しても、シリサイド層や第2半導体層が半導体基板とショートすることやリーク電流を発生させることが防止できるので、サリサイドプロセスマージンが拡大され、また第2半導体層と半導体基板とのショートがなくなり、プロセスマージンの拡大が図れ、安定したばらつきの少ない半導体装置を製造できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第1実施例)を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0017】
図1に示すように、半導体基板11に形成された素子分離領域14によって素子形成領域12が分離されている。上記半導体基板11は、例えばシリコン基板からなる。また、上記素子分離領域14は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成されている。
【0018】
上記半導体基板11上には絶縁膜41が形成されている。この絶縁膜41は、後の工程で行う選択エピタキシャル成長のマスクとなるもので、例えば窒化シリコン膜で形成され、例えば20nmの厚さに形成される。上記絶縁膜41には、上記素子形成領域12の選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42が形成されている。この例では、上記開口部42は、素子形成領域12側にかかるように形成されている。すなわち、素子形成領域12よりも狭く形成されている。
【0019】
そして、上記開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により半導体層15が形成されている。この半導体層15は、例えば上記絶縁膜41の開口部42における厚さよりも厚く形成されていることが好ましい。また、上記半導体層15は上記絶縁膜41上の一部にかぶさるように形成されていることが好ましい。
【0020】
上記半導体層15上にはシリサイド層16が形成されている。このシリサイド層16は、上記絶縁膜41によって上記半導体基板11と分離されている。
【0021】
上記構成では、選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42が形成された絶縁膜41に囲まれているため、開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により形成された半導体層15は、開口部42側壁に沿っても成長されるため、その成長された膜厚分だけ半導体層15上面と半導体基板11との距離が大きくなる。このため、半導体層15の上面にシリサイド層16を形成しても、シリサイド層16が半導体基板11とショートすることが防止できるので、サリサイドプロセスマージンが拡大され、安定したばらつきの少ない半導体装置1を構成できるという利点がある。さらに、半導体層15が絶縁膜41側にかぶさるように成長されれば、シリサイド層16と半導体基板11とのショートはさらに確実に防止できる。
【0022】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を、前記図1を用いて説明する。
【0023】
例えば、半導体基板11を用意する。この半導体基板11には例えばシリコン基板を用いる。そして上記半導体基板11に素子形成領域12を分離する素子分離領域14を形成する。この素子分離領域14は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成される。
【0024】
次いで、上記半導体基板11上に絶縁膜41を形成する。この絶縁膜41は、後の工程で行う選択エピタキシャル成長のマスクとなるもので、例えば窒化シリコン膜で形成され、例えば20nmの厚さに形成される。次いで、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術により、素子形成領域12の選択エピタキシャル成長させる領域上を開口したエッチングマスク(図示せず)を形成する。その後、このエッチングマスクを用いたエッチング加工により、素子形成領域12の選択エピタキシャル成長させる領域上の上記絶縁膜41に開口部42を形成する。ここでは、上記選択エピタキシャル成長させる領域は開口部42内の素子形成領域12となる。
【0025】
次に、選択エピタキシャル成長により、上記開口部42内の素子形成領域12上に半導体層15を形成する。この半導体層15を、例えばp型に形成する場合には、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにジボラン(B26)ガスを用いる。また、n型に形成する場合には、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにアルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)等のガスを用いる。また、必要に応じて、エピタキシャル成長前に半導体基板11表面をHFなどの薬液や水素(H2)ガスなどを用いてクリーニングを行ってもよい。
【0026】
その後、通常のシリサイドプロセスによって、上記半導体層15の上層にシリサイド層16を、例えばチタンシリサイド、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイドで形成する。
【0027】
上記製造方法では、絶縁膜41に選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42を形成するため、開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により形成される半導体層15は、開口部42側壁に沿っても成長されるため、その成長された膜厚分だけ半導体層15上面と半導体基板11との距離を大きくすることができる。このため、半導体層15の上面にシリサイド層16を形成しても、シリサイド層16が半導体基板11とショートすることが防止できるので、サリサイドプロセスマージンが拡大され、安定したばらつきの少ない半導体装置1を製造できるという利点がある。さらに、半導体層15が絶縁膜41側にかぶさるように成長されれば、シリサイド層16と半導体基板11とのショートはさらに確実に防止できる。
【0028】
次に、上記第1実施例の変形例を、図2の概略構成断面図によって説明する。
【0029】
図2に示すように、半導体基板11に形成された素子分離領域14によって素子形成領域12が分離されている。上記半導体基板11は、例えばシリコン基板からなる。また、上記素子分離領域14は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成されている。
【0030】
上記半導体基板11上には絶縁膜41が形成されている。この絶縁膜41は、後の工程で行う選択エピタキシャル成長のマスクとなるもので、例えば窒化シリコン膜で形成され、例えば20nmの厚さに形成される。上記絶縁膜41には、上記素子形成領域12の選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42が形成されている。この例では、上記開口部42は、素子分離領域14側にかかるように形成されている。すなわち、素子形成領域12よりも広く形成されている。
【0031】
そして、上記開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により半導体層15が形成されている。この半導体層15は、例えば上記絶縁膜41の開口部42における厚さよりも厚く形成されていることが好ましい。また、上記半導体層15は上記絶縁膜41上の一部にかぶさるように形成してもよい。
【0032】
上記半導体層15上にはシリサイド層16が形成されている。このシリサイド層16は、上記絶縁膜41によって上記半導体基板11と分離されている。
【0033】
上記構成では、選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42が形成された絶縁膜41に囲まれているため、また、エピタキシャル成長は横方向にも成長するため、開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により形成された半導体層15は、開口部42側壁に接する状態で成長されるため、その成長された膜厚分だけ半導体層15上面と半導体基板11との距離が大きくなる。このため、半導体層15の上面にシリサイド層16を形成しても、シリサイド層16が半導体基板11とショートすることが防止できるので、サリサイドプロセスマージンが拡大され、安定したばらつきの少ない半導体装置2を構成できるという利点がある。さらに、半導体層15が絶縁膜41側にかぶさるように成長されれば、シリサイド層16と半導体基板11とのショートはさらに確実に防止できる。
【0034】
上記第1実施例(変形例も含む)では、開口部42に接してエピタキシャル成長される半導体層15部分を、シリサイド層16が半導体基板11とショートを起こさないような膜厚よりも厚く成長させることが重要である。
【0035】
次に、本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第2実施例)を、図3の概略構成断面図によって説明する。
【0036】
図3に示すように、半導体基板11に形成された素子分離領域14によって素子形成領域12が分離されている。上記半導体基板11は、例えばシリコン基板からなる。また、上記素子分離領域14は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成されている。
【0037】
上記半導体基板11上には絶縁膜41が形成されている。この絶縁膜41は、後の工程で行う選択エピタキシャル成長のマスクとなるもので、例えば窒化シリコン膜で形成され、例えば20nmの厚さに形成される。上記絶縁膜41には、上記素子形成領域12の選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42が形成されている。この例では、上記開口部42は、素子形成領域12側にかかるように形成されている。すなわち、素子形成領域12よりも狭く形成されている。
【0038】
そして、上記開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により半導体層15が形成されている。この半導体層15は、例えば上記絶縁膜41の開口部42における厚さよりも厚く形成されていることが好ましい。また、上記半導体層15は上記絶縁膜41上の一部にかぶさるように形成されていることが好ましい。
【0039】
上記半導体層15上には第2半導体層17が形成されている。この第2半導体層17は、上記絶縁膜41によって上記半導体基板11と分離されている。
【0040】
上記構成では、選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42が形成された絶縁膜41に囲まれているため、開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により形成された半導体層15は、開口部42側壁に沿っても成長されるため、その成長された膜厚分だけ半導体層15上面と半導体基板11との距離が大きくなる。このため、半導体層15の上面に第2半導体層17を形成しても、第2半導体層17が半導体基板11とショートすることが防止できるので、プロセスマージンの拡大が図れ、安定したばらつきの少ない半導体装置3を構成できるという利点がある。さらに、半導体層15が絶縁膜41側にかぶさるように成長されれば、第2半導体層17と半導体基板11とのショートはさらに確実に防止できる。
【0041】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を、前記図1を用いて説明する。
【0042】
例えば、半導体基板11を用意する。この半導体基板11には例えばシリコン基板を用いる。そして上記半導体基板11に素子形成領域12を分離する素子分離領域14を形成する。この素子分離領域14は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成される。
【0043】
次いで、上記半導体基板11上に絶縁膜41を形成する。この絶縁膜41は、後の工程で行う選択エピタキシャル成長のマスクとなるもので、例えば窒化シリコン膜で形成され、例えば20nmの厚さに形成される。次いで、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術により、素子形成領域12の選択エピタキシャル成長させる領域上を開口したエッチングマスク(図示せず)を形成する。その後、このエッチングマスクを用いたエッチング加工により、素子形成領域12の選択エピタキシャル成長させる領域上の上記絶縁膜41に開口部42を形成する。ここでは、上記選択エピタキシャル成長させる領域は開口部42内の素子形成領域12となる。
【0044】
次に、選択エピタキシャル成長により、上記開口部42内の素子形成領域12上に半導体層15を形成する。この半導体層15を、例えばp型に形成する場合には、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにジボラン(B26)ガスを用いる。また、n型に形成する場合には、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにアルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)等のガスを用いる。また、必要に応じて、エピタキシャル成長前に半導体基板11表面をHFなどの薬液や水素(H2)ガスなどを用いてクリーニングを行ってもよい。
【0045】
連続して選択エピタキシャル成長により、上記半導体層15上に第2半導体層17を成膜する。この第2半導体層17を、例えばp型に形成する場合には、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにジボラン(B26)ガスを用いる。また、n型に形成する場合には、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにアルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)等のガスを用いる。
【0046】
上記製造方法では、絶縁膜41に選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42を形成するため、開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により形成される半導体層15は、開口部42側壁に沿っても成長されるため、その成長された膜厚分だけ半導体層15上面と半導体基板11との距離を大きくすることができる。このため、半導体層15の上面に第2半導体層17を形成しても、第2半導体層17が半導体基板11とショートすることが防止できるので、プロセスマージンが拡大され、安定したばらつきの少ない半導体装置3を製造できるという利点がある。さらに、半導体層15が絶縁膜41側にかぶさるように成長されれば、第2半導体層17と半導体基板11とのショートはさらに確実に防止できる。
【0047】
次に、上記構成の半導体装置3におけるリーク電流特性を調べた。第2半導体層17側に電圧を印加し、半導体基板11側をアースとした。その結果を図4のリーク電流と印加電圧の関係図に示す。図中の比較例は、絶縁膜41を形成しないで、半導体基板11の素子形成領域12に直接エピタキシャル成長させたものである。
【0048】
図4に示すように、印加電圧の絶対値が大きくなるに従い、比較例ではリーク電流が増加しているが、本発明の半導体装置3では、比較例と比較してリーク電流が非常に小さく、ほとんど流れていないことがわかる。なお、半導体装置3の絶縁膜41はm、厚さ20nmの窒化シリコン膜で形成したものである。
【0049】
次に、上記第2実施例の変形例を、図5の概略構成断面図によって説明する。
【0050】
図5に示すように、半導体基板11に形成された素子分離領域14によって素子形成領域12が分離されている。上記半導体基板11は、例えばシリコン基板からなる。また、上記素子分離領域14は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成されている。
【0051】
上記半導体基板11上には絶縁膜41が形成されている。この絶縁膜41は、後の工程で行う選択エピタキシャル成長のマスクとなるもので、例えば窒化シリコン膜で形成され、例えば20nmの厚さに形成される。上記絶縁膜41には、上記素子形成領域12の選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42が形成されている。この例では、上記開口部42は、素子分離領域14側にかかるように形成されている。すなわち、素子形成領域12よりも広く形成されている。
【0052】
そして、上記開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により半導体層15が形成されている。この半導体層15は、例えば上記絶縁膜41の開口部42における厚さよりも厚く形成されていることが好ましい。また、上記半導体層15は上記絶縁膜41上の一部にかぶさるように形成してもよい。
【0053】
連続して選択エピタキシャル成長により、上記半導体層15上に第2半導体層17を成膜する。この第2半導体層17を、例えばp型に形成する場合には、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにジボラン(B26)ガスを用いる。また、n型に形成する場合には、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにアルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)等のガスを用いる。
【0054】
上記構成では、選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部42が形成された絶縁膜41に囲まれているため、また、エピタキシャル成長は横方向にも成長するため、開口部42内の半導体基板11の素子形成領域12より選択エピタキシャル成長により形成された半導体層15は、開口部42側壁に接する状態で成長されるため、その成長された膜厚分だけ半導体層15上面と半導体基板11との距離が大きくなる。このため、半導体層15の上面に第2半導体層17を形成しても、第2半導体層17が半導体基板11とショートすることが防止できるので、プロセスマージンが拡大され、安定したばらつきの少ない半導体装置4を構成できるという利点がある。さらに、半導体層15が絶縁膜41側にかぶさるように成長されれば、第2半導体層17と半導体基板11とのショートはさらに確実に防止できる。
【0055】
上記第2実施例(変形例も含む)では、開口部42に接してエピタキシャル成長される半導体層15部分を、第2半導体層17が半導体基板11とショートを起こさないような膜厚よりも厚く成長させることが重要である。
【0056】
次に、本発明の半導体装置およびその製造方法を、サイリスタRAMに適用した一実施の形態の第1例を、図6〜図11の製造工程断面図によって説明する。図6〜図11では、一例として、素子分離領域を挟んで二つのサイリスタを形成する製造方法を示す。
【0057】
図6に示すように、半導体基板11を用意する。この半導体基板11には例えばシリコン基板を用いる。そして上記半導体基板11に素子形成領域12、13を分離する素子分離領域14を形成する。この素子分離領域14は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成される。上記素子形成領域12の下部には、例えばnウエル領域18が形成されている。その後、半導体基板11の素子形成領域12、13の上部を第1伝導型(p型)の領域に形成する。このp型領域がサイリスタの第2p型領域p2(第3領域)になる。このイオン注入条件の一例としては、ドーパントにp型ドーパントであるホウ素(B)を用い、濃度は、例えば1×1018cm-3であり、1×1017cm-3から1×1019cm-3程度が望ましい。基本的には、後に形成される第2伝導型(n型)の第1n型領域のドーパント濃度より低いことが必要である。また、上記p型ドーパントは、ホウ素(B)の他にインジウム(In)等のp型ドーパントを用いることができる。
【0058】
次に、図7に示すように、上記半導体基板11上にゲート絶縁膜21を形成する。このゲート絶縁膜21は、例えば酸化シリコン(SiO2)膜で形成され、1nm〜10nm程度の厚さに成膜される。なお、上記ゲート絶縁膜21は、酸化シリコン(SiO2)に限らず、窒化酸化シリコン(SiON)はもちろんのこと、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化酸化ハフニウム(HfON)、酸化アルミニウム(Al23)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ランタン(La23)など通常のCMOSにおいて検討されているゲート絶縁膜材料を用いることもできる。
【0059】
次に、各素子形成領域12、13に形成された上記ゲート絶縁膜21上にゲート電極22を形成する。上記ゲート電極22は、通常多結晶シリコンで形成されている。または金属ゲート電極とすることもでき、またシリコンゲルマニウム(SiGe)などで形成することもできる。
【0060】
各ゲート電極22は、例えば、上記ゲート絶縁膜21上にゲート電極形成膜を成膜した後、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術によるエッチングマスクの形成、そのエッチングマスクを用いたエッチング技術により、上記ゲート電極形成膜をエッチング加工されて形成される。このエッチング技術には、通常のドライエッチング技術を用いることができる。もしくはウエットエッチングにより形成することも可能である。また、ゲート電極形成膜上にハードマスクとして、酸化シリコン(SiO2)膜または窒化シリコン(Si34)膜等を形成してもよい。
【0061】
次に、図8に示すように、各ゲート電極22の側壁にサイドウォール24、25を形成する。例えば、ゲート電極22を被覆するようにサイドウォール形成膜を成膜した後、このサイドウォール形成膜をエッチバックすることで、上記サイドウォール24、25を形成することができる。上記サイドウォール24、25は、酸化シリコン(SiO2)または窒化シリコン(Si34)のどちらで形成してもよく、またそれらの積層膜で形成してもよい。
【0062】
次に、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術により、上記ゲート電極22、22間の素子形成領域12、13上を開口したイオン注入マスク(図示せず)を形成する。次いで、上記イオン注入マスクを用いたイオン注入技術により、上記ゲート電極22、22間の半導体基板11中にn型のドーパントを導入して、各素子形成領域12、13に第1n型領域n1(第2領域)を形成する。このイオン注入条件は、例えばドーパントにリン(P)を用い、濃度は例えば1.5×1019cm-3になるように設定する。この濃度は、1×1018cm-3から1×1020cm-3程度が望ましいが、上記第2p型領域p2のドーパント濃度より高いことが必要である。また、リンの代わりにヒ素、アンチモン等のn型ドーパントを用いることもできる。その後、上記イオン注入マスクを除去する。
【0063】
続いて、活性化のアニールとして例えば加熱して1050℃に達した後、直ぐに冷却工程に入るスパイクアニールを行う。このときの条件はドーパントの活性化が行える範囲でよい。
【0064】
また、上記サイドウォール24、25の形成は第1n型領域n1を形成するイオン注入後に行ってもよい。
【0065】
次に、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術により、各ゲート電極22、22の他方側、すなわち第2n型領域が形成される領域上を開口したイオン注入マスク(図示せず)を形成する。次いで、このイオン注入マスクを用いたイオン注入技術により、各ゲート電極22、22の他方側に半導体基板11中にn型のドーパントを導入して、第2n型領域n2(第4領域)を形成する。このイオン注入条件は、例えばドーパントにリン(P)を用い、濃度は例えば5×1020cm-3になるように設定する。この濃度は、1×1019cm-3から1×1020cm-3程度が望ましいが、上記第2p型領域p2のドーパント濃度より高いことが必要であり、またカソード電極として動作することが重要である。また、リンの代わりにヒ素、アンチモン等のn型ドーパントを用いることもできる。その後、上記イオン注入マスクを除去する
【0066】
続いて、活性化のアニールとして例えば加熱して1050℃に達した後、直ぐに冷却工程に入るスパイクアニールを行う。このときの条件はドーパントの活性化が行える範囲でよい。
【0067】
また、第1n型領域n1、第2n型領域n2の形成順序は上記手順と異なっていても差し支えない。先に第2n型領域n2を形成し、後に第1n型領域n1を形成してもよい。上記アニールも第1n型領域n1、第2n型領域n2ともに形成後1回で行ってもよいし、選択トランジスタのソース/ドレイン活性化アニールなどの工程とかねても良い。
【0068】
次に、図9に示すように、各ゲート電極22、サイドウォール24、25等を被覆する絶縁膜41を形成する。この絶縁膜41は、後の工程で行う選択エピタキシャル成長のマスクとなるもので、例えば窒化シリコン膜で形成され、例えば20nmの厚さに形成される。次いで、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術により、各ゲート電極22、22間の素子形成領域12、13上を開口したエッチングマスク(図示せず)を形成する。その後、このエッチングマスクを用いたエッチング加工により、各第1n型領域n1上の上記絶縁膜41に開口部42、42を形成する。したがって、各ゲート電極22、22間の素子分離領域14上には絶縁膜41が残される。このエッチング加工により、選択エピタキシャル成長部分のみ半導体基板11(第1n型領域n1)面を露出させることができる。ここでは一例として、上記絶縁膜41に窒化シリコン膜を用いたが、これはエピタキシャル成長時に選択性を取るためであるので、選択性が維持できればその他の種類の絶縁膜を用いることができる。その後、上記エッチングマスクを除去する。さらには、この工程はサイドウォール24、25の形成と同時に行ってもよい。また、膜厚は次に成長させる第1p型領域p1のエピ膜より薄い膜厚に設定する。
【0069】
また、この半導体基板11(第1n型領域n1)面を露出させる工程において、選択性のある窒化シリコン膜を活性領域である素子形成領域12、13毎に開口するが、本発明においては、上記素子分離領域14上に残した絶縁膜41が活性領域の素子形成領域12、13に一部かかる様に形成してもよい。または、活性領域素子形成領域12、13かからなくてもエピタキシャル成長に対して選択性を有するサイドウォール24、25と次の工程で形成される選択エピタキシャル成長層とが接するように開口してもよい。すなわち、選択エピタキシャル成長させる第1n型領域n1の周囲に絶縁膜が形成されていることが重要である。
【0070】
次に、図10に示すように、各第1n型領域n1上の上記開口部42に第1伝導型(p型)の第1p型領域p1(第1領域)を形成する。この第1p型領域p1は、例えば選択エピタキシャル成長により形成され、膜中のホウ素(B)濃度が1×1020cm-3となるようにした。このときの選択エピタキシャル成長条件は、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにジボラン(B26)ガスを用い、成膜時の基板温度を例えば750℃に設定するとともに、原料ガスの供給量、成膜雰囲気の圧力等を調整して、膜厚は例えば200nmとした。上記ドーパント(ホウ素)濃度は、1×1018cm-3から1×1021cm-3程度が望ましい。また上記膜厚は50nm〜300nm程度が望ましいが、第1p型領域p1がアノード電極として機能を果たせる範囲であればよい。また、このとき必要に応じて、半導体基板11表面をHFなどの薬液や水素(H2)ガスなどを用いてクリーニングを行ってもよい。
【0071】
上記実施例では、第2n型領域n2をイオン注入法で形成したが、本発明方法による選択エピタキシャル法で行ってもよい。その場合は、上記に続いて、再び窒化シリコン膜を例えば20nm堆積し、その後に、第2n型領域n2となる領域をレジストでパターニングして開口し、その後、窒化シリコン膜をエッチングする。
【0072】
ここでは一例として、窒化シリコン膜を用いたが、これはエピタキシャル成長時に選択性をとるためであるので、選択性が維持できればその他の膜種、膜厚でもよい。
【0073】
次に、第2n型領域n2を選択エピタキシャル成長により成膜する。このときの条件は、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにアルシン(AsH3)ガスを用い、成膜時の基板温度を例えば750℃に設定するとともに、原料ガスの供給量、成膜雰囲気の圧力等を調整して、膜厚は例えば200nmとした。上記ドーパント(ヒ素)濃度は、例えば1×1018cm-3から1×1021cm-3程度が望ましく、ここでは、一例として1×1020cm-3とした。また膜厚は50nmから300nm程度が望ましいが、第2n型領域n2がカソード電極として機能を果たせる範囲であればよい。勿論使用するガスはホスフィン(PH3)や有機ソースなど、n型不純物がドーピングされるものであればよい。
【0074】
また、上記実施例では、第1p型領域p1、第2n型領域n2の順で作製したが、第2n型領域n2、第1p型領域p1の順に形成してもよい。また、このとき必要に応じて、シリコン(Si)基板表面をフッ酸(HF)などの薬液や水素(H2)ガスなどを用いてクリーニングを行ってもよい。また、必要に応じて第1p型領域p1または第2n型領域n2を成膜した後、いずれかまたは両方において活性化アニールを行ってもよい。活性化のアニールとして例えば加熱を1000℃まで行った後、直ぐに冷却工程に入るスパイクアニールを行う。このときのアニール条件は上記ドーパントの活性化が行える範囲でよい。
【0075】
次に、図11に示すように、各ゲート電極22、各第1p型領域p1と第2n型領域n2の露出させるため、各領域上の上記絶縁膜41(前記図9参照)を除去する。なお、第2n型領域n2を選択エピタキシャル成長により形成した場合には、そのときに用いた窒化シリコン膜も除去する。このとき、第1p型領域p1のひさし状に出た部分、すなわち、絶縁膜41上にかぶさるよう形成された部分の下部の絶縁膜41は残される。この残された絶縁膜41によって、後に形成されるシリサイド層16と半導体基板11とのショートが防止される。そして、層間絶縁膜(図示せず)を形成する前に、各露出された第1p型領域p1、第2n型領域n2、ゲート電極22上に、サリサイド工程によってシリサイド層16を、例えばチタンシリサイド、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイドで形成する。その後、層間絶縁膜を形成し、通常のCMOS工程と同様の配線工程を行う。
【0076】
上記説明したように、本発明の半導体装置5は、第1伝導型(例えばp型)の第1p型領域p1(第1領域)、第1伝導型とは逆伝導型の第2伝導型(例えばn型)の第1n型領域n1(第2領域)、第1伝導型(p型)の第2p型領域p2(第3領域)、第2伝導型(n型)の第1n型領域n1(第4領域)を順に接合したサイリスタ構造を有するもので、上記第1p型領域p1が絶縁膜41に形成された開口部42内の素子形成領域12、13から選択エピタキシャル成長により形成されていることを特徴とする。図面では、開口部42の一部がサイドウォール24、25にかかっているが、サイドウォール24、25は酸化シリコン膜もしくは窒化シリコン膜で形成されていることから、選択エピタキシャル成長のマスクとしての機能を有するので、問題はない。そして、シリサイド層16が絶縁膜41、サイドウォール24、25によって半導体基板11と隔絶され、半導体基板11とのショートを防止していることを特徴とする。
【0077】
次に、本発明の半導体装置およびその製造方法を、サイリスタRAMに適用した一実施の形態の第2例を、図12〜図17の製造工程断面図によって説明する。図12〜図17では、一例として、素子分離領域を挟んで二つのサイリスタを形成する製造方法を示す。
【0078】
図12に示すように、半導体基板11を用意する。この半導体基板11には例えばシリコン基板を用いる。そして上記半導体基板11に素子形成領域12、13を分離する素子分離領域14を形成する。この素子分離領域14は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成される。上記素子形成領域12下部には、例えばnウエル領域18が形成されている。その後、半導体基板11の素子形成領域12、13の上部を第1伝導型(p型)の領域に形成する。このp型領域がサイリスタの第2p型領域p2(第3領域)になる。このイオン注入条件の一例としては、ドーパントにp型ドーパントであるホウ素(B)を用い、濃度は、例えば1×1018cm-3であり、1×1017cm-3から1×1019cm-3程度が望ましい。基本的には、後に形成される第2伝導型(n型)の第1n型領域のドーパント濃度より低いことが必要である。また、上記p型ドーパントは、ホウ素(B)の他にインジウム(In)等のp型ドーパントを用いることができる。
【0079】
次に、図13に示すように、上記半導体基板11上にゲート絶縁膜21を形成する。このゲート絶縁膜21は、例えば酸化シリコン(SiO2)膜で形成され、1nm〜10nm程度の厚さに成膜される。なお、上記ゲート絶縁膜21は、酸化シリコン(SiO2)に限らず、窒化酸化シリコン(SiON)はもちろんのこと、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化酸化ハフニウム(HfON)、酸化アルミニウム(Al23)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ランタン(La23)など通常のCMOSにおいて検討されているゲート絶縁膜材料を用いることもできる。
【0080】
次に、各第2p型領域p2となる領域上の上記ゲート絶縁膜21上にゲート電極22を形成する。上記ゲート電極22は、通常多結晶シリコンで形成されている。または金属ゲート電極とすることもでき、またシリコンゲルマニウム(SiGe)などで形成することもできる。
【0081】
各ゲート電極22は、例えば、上記ゲート絶縁膜21上にゲート電極形成膜を成膜した後、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術によるエッチングマスクの形成、そのエッチングマスクを用いたエッチング技術により、上記ゲート電極形成膜をエッチング加工されて形成される。このエッチング技術には、通常のドライエッチング技術を用いることができる。もしくはウエットエッチングにより形成することも可能である。また、ゲート電極形成膜上にハードマスクとして、酸化シリコン(SiO2)膜または窒化シリコン(Si34)膜等を形成してもよい。
【0082】
次に、図14に示すように、各ゲート電極22の側壁にサイドウォール24、25を形成する。例えば、ゲート電極22を被覆するようにサイドウォール形成膜を成膜した後、このサイドウォール形成膜をエッチバックすることで、上記サイドウォール24、25を形成することができる。上記サイドウォール24、25は、酸化シリコン(SiO2)または窒化シリコン(Si34)のどちらで形成してもよく、またそれらの積層膜で形成してもよい。
【0083】
次に、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術により、各ゲート電極22、22の他方側、すなわち第2n型領域が形成される領域上を開口したイオン注入マスク(図示せず)を形成する。次いで、このイオン注入マスクを用いたイオン注入技術により、各ゲート電極22、22の他方側に半導体基板11中にn型のドーパントを導入して、第2n型領域n2(第4領域)を形成する。このイオン注入条件は、例えばドーパントにリン(P)を用い、濃度は例えば5×1020cm-3になるように設定する。この濃度は、1×1019cm-3から1×1020cm-3程度が望ましいが、上記第2p型領域p2のドーパント濃度より高いことが必要であり、またカソード電極として動作することが重要である。また、リンの代わりにヒ素、アンチモン等のn型ドーパントを用いることもできる。その後、上記イオン注入マスクを除去する
【0084】
続いて、活性化のアニールとして例えば加熱して1050℃に達した後、直ぐに冷却工程に入るスパイクアニールを行う。このときの条件はドーパントの活性化が行える範囲でよい。また、選択トランジスタのソース/ドレイン活性化アニールなどの工程とかねても良い。
【0085】
次に、図15に示すように、各ゲート電極22、サイドウォール24、25等を被覆する絶縁膜41を形成する。この絶縁膜41は、例えば窒化シリコン膜で形成され、例えば20nmの厚さに形成される。次いで、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術により、各ゲート電極22、22間の素子形成領域12、13上を開口したエッチングマスク(図示せず)を形成する。その後、このエッチングマスクを用いたエッチング加工により、各第1n型領域が形成される領域上の上記絶縁膜41に開口部42、42を形成する。したがって、各ゲート電極22、22間の素子分離領域14上には絶縁膜41が残される。このエッチング加工により、選択エピタキシャル成長部分のみ半導体基板11(第1n型領域が形成される領域)面を露出させることができる。ここでは一例として、上記絶縁膜41に窒化シリコン膜を用いたが、これはエピタキシャル成長時に選択性を取るためであるので、選択性が維持できればその他の種類の絶縁膜を用いることができる。その後、上記エッチングマスクを除去する。さらには、この工程はサイドウォール24、25の形成と同時に行ってもよい。また、膜厚は次に成長させる第1p型領域p1のエピ膜より薄い膜厚に設定する。
【0086】
また、この半導体基板11(第1n型領域n1が形成される領域)面を露出させる工程において、選択性のある窒化シリコン膜を活性領域である素子形成領域12、13毎に開口するが、本発明においては、上記素子分離領域14上に残した絶縁膜41が活性領域の素子形成領域12、13に一部かかる様に形成してもよい。または、活性領域素子形成領域12、13かからなくてもエピタキシャル成長に対して選択性を有するサイドウォール24、25と次の工程で形成される選択エピタキシャル成長層とが接するように開口してもよい。すなわち、選択エピタキシャル成長させる第1n型領域n1が形成される領域の周囲に絶縁膜が形成されていることが重要である。
【0087】
次に、図16に示すように、各開口部42内の素子形成領域12、13上に第2伝導型(n型)の第1n型領域n1(第2領域)を形成する。この第1n型領域n1は、例えば選択エピタキシャル成長により形成され、膜中のヒ素(As)濃度が1×1018cm-3となるようにした。このときの選択エピタキシャル成長条件は、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにアルシン(AsH3)ガスを用い、成膜時の基板温度を例えば750℃に設定するとともに、原料ガスの供給量、成膜雰囲気の圧力等を調整して、膜厚は例えば100nmとした。上記ドーパント(ヒ素)濃度は、1×1017cm-3から1×1020cm-3程度が望ましい。また上記膜厚は50nm〜300nm程度が望ましい。また使用するガスは、ホスフィン(PH3)や有機ソースなど、n型不純物がドーピングされるものであればよい。また、このとき必要に応じて、半導体基板11表面をHFなどの薬液や水素(H2)ガスなどを用いてクリーニングを行ってもよい。
【0088】
連続して選択エピタキシャル成長により、図17に示すように、各第1n型領域n1上に上記第1p型領域p1(第1領域)を成膜する。この第1p型領域p1は、膜中のホウ素(B)濃度が1×1020cm-3となるようにした。このときの選択エピタキシャル成長条件は、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにジボラン(B26)ガスを用い、成膜時の基板温度を例えば750℃に設定するとともに、原料ガスの供給量、成膜雰囲気の圧力等を調整して、膜厚は例えば200nmとした。上記ドーパント(ホウ素)濃度は、1×1018cm-3から1×1021cm-3程度が望ましい。また上記膜厚は50nm〜300nm程度が望ましいが、第1p型領域p1がアノード電極として機能を果たせる範囲であればよい。また、残された絶縁膜41が第1p型領域p1と半導体基板11とのショートを防止している。
【0089】
上記第2実施例では、第2n型領域n2をイオン注入法で形成したが、本発明方法による選択エピタキシャル法で行ってもよい。その場合は、上記に続いて、再び窒化シリコン膜を例えば20nm堆積し、その後に、第2n型領域n2となる領域をレジストでパターニングして開口し、その後、窒化シリコン膜をエッチングする。
【0090】
ここでは一例として、窒化シリコン膜を用いたが、これはエピタキシャル成長時に選択性をとるためであるので、選択性が維持できればその他の膜種、膜厚でもよい。
【0091】
次に、第2n型領域n2を選択エピタキシャル成長により成膜する。このときの条件は、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにアルシン(AsH3)ガスを用い、成膜時の基板温度を例えば750℃に設定するとともに、原料ガスの供給量、成膜雰囲気の圧力等を調整して、膜厚は例えば200nmとした。上記ドーパント(ヒ素)濃度は、例えば1×1018cm-3から1×1021cm-3程度が望ましく、ここでは、一例として1×1020cm-3とした。また膜厚は50nmから300nm程度が望ましいが、第2n型領域n2がカソード電極として機能を果たせる範囲であればよい。勿論使用するガスはホスフィン(PH3)や有機ソースなど、n型不純物がドーピングされるものであればよい。
【0092】
上記説明したように、本発明の半導体装置6は、第1伝導型(例えばp型)の第1p型領域p1(第1領域)、第1伝導型とは逆伝導型の第2伝導型(例えばn型)の第1n型領域n1(第2領域)、第1伝導型(p型)の第2p型領域p2(第3領域)、第2伝導型(n型)の第1n型領域n1(第4領域)を順に接合したサイリスタ構造を有するもので、上記第1p型領域p1が絶縁膜41に形成された開口部42内の素子形成領域12、13から選択エピタキシャル成長により形成されていることを特徴とする。図面では、開口部42の一部がサイドウォール24、25にかかっているが、サイドウォール24、25は酸化シリコン膜もしくは窒化シリコン膜で形成されていることから、選択エピタキシャル成長のマスクとしての機能を有するので、問題はない。そして、第1半導体層17が絶縁膜41、サイドウォール24、25によって半導体基板11と隔絶され、半導体基板11とのショートを防止していることを特徴とする。
【0093】
また、上記第2実施例では、第1p型領域p1、第2n型領域n2の順で作製したが、第2n型領域n2、第1p型領域p1の順に形成してもよい。また、このとき必要に応じて、シリコン(Si)基板表面をフッ酸(HF)などの薬液や水素(H2)ガスなどを用いてクリーニングを行ってもよい。また、必要に応じて第1p型領域p1または第2n型領域n2を成膜した後、いずれかまたは両方において活性化アニールを行ってもよい。活性化のアニールとして例えば加熱を1000℃まで行った後、直ぐに冷却工程に入るスパイクアニールを行う。このときのアニール条件は上記ドーパントの活性化が行える範囲でよい。
【0094】
なお、上記アニールによって、第1n型領域n1中のn型不純物が半導体基板11中に拡散して、半導体基板11側にも、第1n型領域n1が形成される。
【0095】
次に、必要に応じて、シリサイド層の形成工程を行う。このシリサイド層の形成工程は、まず各ゲート電極22、各第1p型領域p1と第2n型領域n2の露出させるため、各領域上の上記絶縁膜41を除去する。なお、第2n型領域n2を選択エピタキシャル成長により形成した場合には、そのときに用いた窒化シリコン膜も除去する。このとき、第2半導体層17のひさし状に出た部分、すなわち、絶縁膜41上にかぶさるよう形成された部分の下部の絶縁膜41は残される。この残された絶縁膜41によって、後に形成されるシリサイド層16と半導体基板11とのショートが防止される。そして、層間絶縁膜(図示せず)を形成する前に、各露出された第1p型領域p1、第2n型領域n2、ゲート電極22上に、サリサイド工程によってシリサイド層を、例えばチタンシリサイド、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイドで形成する。その後、層間絶縁膜を形成し、通常のCMOS工程と同様の配線工程を行う。
【0096】
次に、上記第1、第2実施例の変形例を以下に説明する。
【0097】
上記第1、第2実施例における選択エピタキシャル成長は、n型不純物もしくはp型不純物をドープしながらエピタキシャル成長を行った。しかし、エピタキシャル成長層の全層または一部の層をノンドープでエピタキシャル成長を行い、その後、イオン注入法や固層拡散法により、所定の不純物をドーピングしてもよい。
【0098】
上記第1、第2実施例では、半導体基板11としてバルクシリコン基板を用いることを前提としていたが、SOI(Silicon on insulator)基板で作成することもできる。
【0099】
また、上記第1、第2実施例において、一方のサイリスタのn型不純物とp型不純物を入れ替えて形成し、他方のサイリスタのn型不純物とp型不純物は入れ替えずに形成することで、相補型の半導体装置を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第1実施例)を示した概略構成断面図である。
【図2】第1実施例の変形例を示した概略構成断面図である。
【図3】本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第2実施例)を示した概略構成断面図である。
【図4】リーク電流と印加電圧の関係図である。
【図5】第2実施例の変形例を示した概略構成断面図である。
【図6】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図7】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図8】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図9】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図10】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図11】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第1例を示した製造工程断面図である。
【図12】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図13】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図14】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図15】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図16】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図17】本発明の半導体装置およびその製造方法をサイリスタRAMに適用した一実施の形態の第2例を示した製造工程断面図である。
【図18】従来技術の課題を示した概略構成断面図である。
【符号の説明】
【0101】
1…半導体装置、11…半導体基板、12…素子形成領域、14…素子分離領域、15…半導体層、41…絶縁膜、42…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に形成された素子分離領域によって分離された該半導体基板の素子形成領域と、
前記半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記素子形成領域の選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように前記絶縁膜に形成された開口部と、
前記開口部内の半導体基板の素子形成領域より選択エピタキシャル成長により形成された半導体層と
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体装置は、第1伝導型の第1領域と、前記第1伝導型とは逆伝導の第2伝導型の第2領域と、第1伝導型の第3領域と、第2伝導型の第4領域とが順に接合されたもので、該第3領域にゲートが形成されたサイリスタを有する半導体装置であって、
前記第1領域は前記半導体層で形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体装置は、第1伝導型の第1領域と、前記第1伝導型とは逆伝導の第2伝導型の第2領域と、第1伝導型の第3領域と、第2伝導型の第4領域とが順に接合されたもので、該第3領域にゲートが形成されたサイリスタを有する半導体装置であって、
前記第2領域は前記半導体層で形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体装置は、第1伝導型の第1領域と、前記第1伝導型とは逆伝導の第2伝導型の第2領域と、第1伝導型の第3領域と、第2伝導型の第4領域とが順に接合されたもので、該第3領域にゲートが形成されたサイリスタを有する半導体装置であって、
前記第4領域は前記半導体層で形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体層は前記絶縁膜の開口部における厚さよりも厚く形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体層は前記絶縁膜上の一部にかぶさるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体層上に形成されたシリサイド層を有し、
前記シリサイド層は、前記絶縁膜によって前記半導体基板と分離されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体層上に選択エピタキシャル成長により形成された第2半導体層を有し、
前記第2半導体層は、前記絶縁膜によって前記半導体基板と分離されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体装置は、第1伝導型の第1領域と、前記第1伝導型とは逆伝導の第2伝導型の第2領域と、第1伝導型の第3領域と、第2伝導型の第4領域とが順に接合されたもので、該第3領域にゲートが形成されたサイリスタを有する半導体装置であって、
前記第1領域は前記第2半導体層で形成され、
前記第2領域は前記半導体層で形成されている
ことを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体基板に素子分離領域を形成して素子形成領域を分離する工程と、
前記半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜における前記素子形成領域の選択エピタキシャル成長させる領域上を含むように開口部を形成する工程と、
前記開口部内の半導体基板の素子形成領域より選択エピタキシャル成長により半導体層を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−64996(P2009−64996A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232242(P2007−232242)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】