半導体装置の製造方法及び半導体装置の管理方法
【課題】微小な欠陥であっても適切に撮影することができる半導体装置の製造方法及び半導体装置の管理方法を提供する。
【解決手段】基板の半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛を形成する(S1)。前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する(S3)。前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する(S4)。前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する(S5)。前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する(S7)。前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う(S8、S9)。
【解決手段】基板の半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛を形成する(S1)。前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する(S3)。前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する(S4)。前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する(S5)。前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する(S7)。前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う(S8、S9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造では、パターニング等の際に生じた欠陥の検出及び撮影を行っている。これらは、異物の存在、レジストパターンの形状不良等を、後のプロセスにフィードバックするために行われている。そして、欠陥の検出には、レーザ光又はランプ光を半導体基板に照射し、その反射光を検出する欠陥検査装置が用いられ、欠陥の撮影には、走査型電子顕微鏡(SEM)を備えた欠陥レビュー装置が用いられている。欠陥検査装置は、欠陥が存在するチップ領域を特定する情報、及び当該チップ領域内における欠陥が位置する点の座標を特定する情報を、位置情報として出力する。欠陥レビュー装置は、欠陥検査装置から出力された位置情報に基づき、欠陥が存在するチップ領域及び欠陥が位置する点の座標を特定し、その周辺の領域を含めて欠陥を探索し、欠陥が存在すると認識した部分の撮影を行う。このように、欠陥レビュー装置は、欠陥検査装置から出力された位置情報が示す座標を中心とした撮影をすぐに行うのではなく、撮影前に欠陥の探索を行うこととしているが、これは、欠陥検査装置の座標系と欠陥レビュー装置の座標系とが互いに一致しないことがあるからである。
【0003】
その一方で、半導体装置の微細化に伴って動作等に影響を及ぼす欠陥のサイズが小さくなってきている。このため、検出すべき欠陥のサイズも小さくなってきている。しかしながら、欠陥検査装置の性能は、要求される小さな欠陥の検出が可能な程度に向上しているものの、欠陥レビュー装置の探索性能は、欠陥検査装置ほど向上していない。このため、欠陥検査装置で微小な欠陥を検出することができても、それを欠陥レビュー装置で適切に撮影することができないことがある。例えば、欠陥を示す信号に類似したノイズに基づく撮影を行った結果、欠陥を含まない画像が得られることがある。このような場合、後のプロセスへのフィードバックを適切に行うことが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−347415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、微小な欠陥であっても適切に撮影することができる半導体装置の製造方法及び半導体装置の管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
半導体装置の製造方法の一態様では、基板の半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛を形成する。前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する。前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する。前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する。前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する。前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う。
【発明の効果】
【0007】
上記の半導体装置の製造方法等によれば、欠陥検査装置及び欠陥撮影装置間で共通の物理座標が用いられるため、欠陥撮影装置において欠陥を探索せずとも欠陥検査装置により検出された欠陥の位置を的確に把握することができる。従って、適切に欠陥を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】欠陥検査装置及び欠陥レビュー装置の構造を示すブロック図である。
【図2】半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図3A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3B】図3Aに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す平面図である。
【図5】座標系作成部11bにより作成される座標系を示す図である。
【図6】位置情報の作成方法を示す図である。
【図7A】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7B】図7Aに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7C】図7Bに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7D】図7Cに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図8】針状欠陥の撮影の可否を分類した結果を示すグラフである。
【図9】針状欠陥の撮影を試みた結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図1(a)は、実施形態に用いられる欠陥検査装置の構造を示すブロック図であり、図1(b)は、実施形態に用いられる欠陥レビュー装置(欠陥撮影装置)の構造を示すブロック図である。
【0011】
欠陥検査装置10には、図1(a)に示すように、パターン等が形成された半導体基板100の素子形成面(第1の面)に光源12aから光を照射し、その散乱光を光検出器12bで検出して、欠陥を検出する欠陥検出部12が設けられている。また、詳細は後述するが、物理目盛が形成された半導体基板100の目盛形成面(第2の面)に光源13aから光を照射し、その散乱光を光検出器13bで検出して、物理目盛を検出する目盛検出部13が設けられている。更に、欠陥検出部12及び目盛検出部13を制御する制御部11が設けられている。制御部11には、光検出器13bにより検出された物理目盛に基づいて座標系を作成する座標系作成部11b、及びこの座標系における光検出器12bにより検出された欠陥の位置を示す座標(欠陥位置座標)を特定する情報を含む欠陥位置情報を作成する欠陥位置情報作成部11aが含まれている。
【0012】
欠陥レビュー装置20には、図1(b)に示すように、半導体基板100の素子形成面(第1の面)に電子線源22aから電子線を照射し、素子形成面からの2次電子を2次電子検出器22bで検出して、欠陥を撮影する撮影部22が設けられている。撮影部22は、SEMの機能を備えている。また、半導体基板100の目盛形成面(第2の面)に光源23aから光を照射し、その散乱光を光検出器23bで検出して、物理目盛を検出する目盛検出部23が設けられている。更に、撮影部22及び目盛検出部23を制御する制御部21が設けられている。制御部21には、光検出器23bにより検出された物理目盛に基づいて座標系を作成する座標系作成部21bが含まれている。制御部21には、更に、半導体基板100及び撮影部22の相対位置を制御する位置合わせ部21aが含まれている。位置合わせ部21aは、欠陥検査装置10により作成された欠陥位置情報に基づいて、座標系作成部21により作成された座標系における欠陥の位置を特定し、その部分が撮影されるように半導体基板100及び撮影部22の相対位置を制御する。
【0013】
次に、上述の欠陥検査装置10及び欠陥レビュー装置20を用いながら行う第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートであり、図3A乃至図3Bは、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。また、図4は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す平面図である。
【0014】
先ず、半導体基板等の基板の目盛形成面に物理目盛を形成する(ステップS1)。即ち、図3A(a)及び図4(a)に示すように、電界効果トランジスタ等の半導体素子が形成される素子形成面101aの裏面である目盛形成面101b上に格子溝102aを有するレジストパターン102を形成する。次いで、図3A(b)に示すように、レジストパターン102をマスクとして基板101のエッチングを行うことにより、目盛形成面101bに格子状の物理目盛101cを形成する。そして、図3A(c)及び図4(b)に示すように、レジストパターン102を除去する。このようにして形成された格子状の物理目盛101cには、例えば、互いに直交する2方向に延びる複数の溝が含まれ、また、同一の方向に延びる各溝は等間隔で配置されている。
【0015】
物理目盛の形成(ステップS1)後には、欠陥検査装置10を用いた欠陥の検出を行う(ステップS2〜S5)。即ち、図3B(d)に示すように、物理目盛101cが形成された目盛形成面101bに光源13aがレーザ光又はランプ光等の光を照射し、その散乱光を光検出器13bが検出し、格子状の物理目盛101cを検出する(ステップS2)。次いで、座標系作成部11bが、検出された物理目盛101cに基づいて座標系を作成する(ステップS3)。例えば、図5に示すように、物理目盛101cを構成する複数の溝に、その延びる方向毎に、整数を昇順に割り当てたXY座標系(直交座標系)を作成する。
【0016】
なお、この欠陥の検出前に、素子形成面101aに、素子分離用の溝の形成、ゲート電極の形成、又は配線の形成等の欠陥検出の対象となる処理を行っておく。これらの処理は欠陥の検出前であればどの段階で行ってもよい。例えば、図3A(a)に示すレジストパターン102の形成前であってもよく、図3A(c)に示すレジストパターン102の除去後であってもよい。
【0017】
その後、図3B(d)に示すように、素子形成面101aに光源12aがレーザ光又はランプ光等の光を照射し、その散乱光を光検出器12bが検出し、欠陥の存在及びその位置を検出する(ステップS4)。
【0018】
続いて、欠陥位置情報作成部11aが、光検出器12bにより検出された欠陥の位置を示す座標を含む欠陥位置情報を作成する(ステップS5)。即ち、欠陥位置情報作成部11aは、座標系作成部11bにより作成されたXY座標系における欠陥の位置を示す座標を求め、これをまとめたものを欠陥位置情報として作成する。例えば、図6(a)に示すように、2個の欠陥111a及び111bが検出されている場合、欠陥位置情報作成部11aは、欠陥111a及び111bの夫々について、図6(b)に示すように、目盛形成面101bに投射したときの位置を求め、その座標を各欠陥の座標とする。このとき、欠陥位置情報作成部11aは、例えば欠陥111a及び111bの2次元上での重心を求め、その小数点以下を切り捨てる。図6に示す例では、表1に示すような欠陥位置情報が得られる。表1に示すように、欠陥位置情報に、どのチップ領域110に欠陥が存在するかという情報を含める必要はない。
【0019】
【表1】
【0020】
このように作成された欠陥位置情報は、例えばネットワーク又は記録媒体等を介して欠陥レビュー装置20に出力される。
【0021】
そして、欠陥位置情報の作成後には、欠陥レビュー装置20を用いた欠陥の撮影を行う(ステップS6〜S9)。即ち、図3B(e)に示すように、物理目盛101cが形成された目盛形成面101bに光源23aがレーザ光又はランプ光等の光を照射し、その散乱光を光検出器23bが検出し、格子状の物理目盛101cを検出する(ステップS6)。次いで、座標系作成部21bが、検出された物理目盛101cに基づいて、座標系作成部11bが作成ししたものと同一のXY座標系を作成する(ステップS7)。
【0022】
続いて、位置合わせ部21aが、座標系作成部21bにより作成されたXY座標系における、欠陥検査装置10から出力された欠陥位置情報が示す座標が視野に含まれるように基板101及び撮影部22の相対位置を調整する(ステップS8)。
【0023】
そして、図3B(e)に示すように、素子形成面101aに電子線源22aが電子線を照射し、素子形成面101aからの2次電子を2次電子検出器22bが検出する。このようにして、素子形成面101aの欠陥位置情報が示す座標を含む領域の撮影が行われる(ステップS9)。
【0024】
このような第1の実施形態によれば、欠陥検査装置10及び欠陥レビュー装置20間で物理目盛101cに基づいて作成された共通の座標系が使用される。従って、欠陥検査装置10により作成された欠陥位置情報を用いて欠陥の位置を正確に把握することができ、適切な撮影を行うことができる。このため、座標系のずれを考慮した欠陥レビュー装置20での欠陥の探索は不要となり、欠陥の認識ミスに伴う撮影ミスを回避することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図7A乃至図7Dは、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0026】
第2の実施形態では、先ず、図7A(a)に示すように、半導体基板等の基板201の素子形成面201a上にシリコン酸化膜202を、例えば熱酸化法により形成する。
【0027】
次いで、図7A(b)に示すように、シリコン酸化膜202上にシリコン窒化膜203を形成する。
【0028】
その後、図7A(c)に示すように、シリコン窒化膜203上にシリコン酸化膜204を形成する。
【0029】
続いて、図7A(d)に示すように、基板201の表裏を反転し、素子形成面201aの裏面である目盛形成面201b上に格子溝205aを有するレジストパターン205を形成する。格子溝205aの幅は、0.1μm〜0.3μm(例えば0.11μm程度)である。また、互いに平行に延びる格子溝205a同士の間隔は、欠陥レビュー装置20における視野が収まる程度であることが好ましく、1.0μm〜2.0μm(例えば1.6μm程度)である。格子溝205aの幅が0.1μm未満であると、後に形成する物理目盛の検出が困難になることがある。一方、0.3μmを超えると、目盛形成面201b内を占める物理目盛の割合が高くなりすぎて、物理目盛と欠陥とが重なり合う可能性が高くなる。また、格子溝205a同士の間隔が1.0μm未満であると、目盛形成面201b内を占める物理目盛の割合が高くなりすぎて、物理目盛と欠陥とが重なり合う可能性が高くなる。一方、2.0μmを超えると、1つの座標で表わされる領域が視野に収まらなくなり、適切な撮影を行いにくくなることがある。
【0030】
次いで、図7B(e)に示すように、レジストパターン205をマスクとして基板201のエッチングを行うことにより、目盛形成面201bに格子状の物理目盛201cを形成する。そして、レジストパターン202を除去する。このようにして形成された格子状の物理目盛201cには、例えば、物理目盛101cと同様に、互いに直交する2方向に延びる複数の溝が含まれ、また、同一の方向に延びる各溝は等間隔で配置されている。なお、物理目盛201cの深さは特に限定されないが、100nm未満であると、その検出が困難になることがある。一方、2000nmを超えると、剛性及び強度の低下に伴う変形等が生じることがある。このため、物理目盛201cの深さは、100nm〜2000nmとすることが好ましい。
【0031】
その後、図7B(f)に示すように、シリコン酸化膜204を除去する。シリコン酸化膜204は、物理目盛201cを形成する際にシリコン窒化膜203を保護するために形成されている。従って、物理目盛201cの除去後にシリコン酸化膜204は除去される。
【0032】
続いて、図7B(g)に示すように、シリコン窒化膜203上に、素子分離用の溝を形成する領域を開口する開口部206aを有するレジストパターン206を形成する。
【0033】
次いで、図7B(h)に示すように、レジストパターン206をマスクとしてシリコン窒化膜203のエッチングを行うことにより、シリコン窒化膜203に、開口部206aに対応する開口部203aを形成する。そして、レジストパターン202を除去する。
【0034】
その後、図7C(i)に示すように、シリコン窒化膜203をハードマスクとして、シリコン酸化膜202及び基板201のエッチングを行うことにより、基板201の素子形成面201aに素子分離溝201dを形成する。
【0035】
続いて、図7C(j)に示すように、欠陥検査装置10を用いて、物理目盛201cの検出、座標系の作成及び素子分離溝201dの形成時に生じた欠陥の検出を行う。
【0036】
次いで、図7C(k)に示すように、欠陥レビュー装置20を用いて、物理目盛201cの検出、座標系の作成及び欠陥検査装置10により検出された欠陥の撮影を行う。
【0037】
その後、図7D(l)に示すように、素子分離溝201dを埋め込むようにしてシリコン窒化膜203上にシリコン酸化膜207を形成する。
【0038】
続いて、図7D(m)に示すように、基板201の表面が露出するまで、シリコン酸化膜202、シリコン窒化膜203及びシリコン酸化膜207の研磨を、例えばCMP(chemical mechanical polishing)法により行う。この結果、素子分離溝201d内に素子分離絶縁膜208が得られる。次いで、トランジスタTr、層間絶縁膜211、コンタクトプラグ212、配線213及び層間絶縁膜214等を形成する。そして、これらの種々の膜を含む積層体のダイシングを行って、半導体装置を完成させる。
【0039】
また、欠陥レビュー装置20を用いて撮影した欠陥については、その発生個所及び原因等を分析し、それが半導体装置の動作に悪影響を及ぼすものであれば、当該欠陥を含む半導体装置を不良と判定することができる。また、欠陥が動作に悪影響を及ぼすものであっても、そうでないものであっても、後に処理するロット等にフィードバックをかけて同様の欠陥が生じないようにすることもできる。
【0040】
このような第2の実施形態によれば、素子分離溝201dの形成時に生じる欠陥を高い精度で検出し、また、この欠陥を確実に撮影することができる。従って、製造された半導体装置の良/不良を適切に判断することができ、また、後のプロセスに適切にフィードバックをかけることができる。
【0041】
なお、第2の実施形態では、素子分離溝201dの形成後に欠陥の検出及び撮影を行っているが、トランジスタTrのゲート電極の形成後、コンタクトプラグ212用のコンタクトホールの形成後、配線213の形成後等にも欠陥の検出及び撮影を行うことが好ましい。
【0042】
また、いずれの実施形態においても欠陥検査装置10により作成される欠陥位置情報に物理目盛に基づいて作成された座標系上の座標の情報のみが含まれているが、従来の技術と同様に、欠陥が含まれるチップ領域を特定する情報、及び当該チップ領域内での欠陥の位置を示す情報等が含まれていてもよい。
【0043】
更に、いずれの実施形態においても座標系として直交座標系が用いられているが、極座標系等の他の座標系が用いられてもよい。但し、欠陥レビュー装置20において撮影される領域が一般的に矩形であるため、直交座標系が好ましい。
【0044】
また、物理目盛は、溝以外のものから構成されていてもよい。例えば、規則的に配列した複数の孔から構成されていてもよく、このような複数の孔と溝とが組み合わされていてもよい。また、突起状の構造物が基板の目盛形成面に形成されていてもよい。
【0045】
また、欠陥のサイズを見積もり、その結果に応じて欠陥検査装置10及び欠陥レビュー装置20の用い方を変えてもよい。例えば、欠陥のサイズが所定値(例えば0.2μm)以下である場合は、第1の実施形態に沿って検出及び撮影を行い、所定値を超えている場合は、従来のように、物理目盛101cの形成及び検出等を行わずに、欠陥検査装置10による欠陥の検出、及びこの検出結果に基づく欠陥レビュー装置20による撮影を行ってもよい。つまり、後者の場合では、欠陥検査装置10が、欠陥が存在するチップ領域を特定する情報、及び当該チップ領域内における欠陥が位置する点の座標を特定する情報を、位置情報として出力する。そして、欠陥レビュー装置20が、欠陥検査装置10から出力された位置情報に基づき、欠陥が存在するチップ領域及び欠陥が位置する点の座標を特定し、その周辺の領域を含めて欠陥を探索し、欠陥が存在すると認識した部分の撮影を行う。
【0046】
次に、本願発明者が実際に行った実験について説明する。
【0047】
この実験では、ある半導体基板について、従来の欠陥検査装置を用いて平面視での直径が0.05μm程度の針状欠陥を270個程度検出し、各針状欠陥の位置を表す欠陥位置情報を作成した。この欠陥位置情報としては、針状欠陥が含まれるチップ領域、及び当該チップ領域内での位置を示す座標に関する情報を作成した。次いで、従来の欠陥レビュー装置を用いて、この欠陥位置情報に基づいて針状欠陥を探索し、針状欠陥が存在すると欠陥レビュー装置が判断した領域の撮影を行った。そして、その撮影結果を分析し、針状欠陥が写っているもの(レビュー検出可)と針状欠陥が写っていないもの(レビュー検出不可)とに分類し、これらの数及び割合を数値化した。この結果を図8に示す。
【0048】
図8に示すように、従来の欠陥検査装置及び従来の欠陥レビュー装置を用いた従来の方法では、適切に撮影することができた針状欠陥は、約57%に過ぎなかった。図9(a)に、針状欠陥を適切に認識した上で撮影された写真を示し、図9(b)に、針状欠陥を適切に認識することができない状態で撮影された写真を示す。
【0049】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0050】
(付記1)
基板の半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛を形成する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0051】
(付記2)
前記物理目盛として、格子状の溝を形成することを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0052】
(付記3)
前記第1の座標系を作成する工程の前に、前記欠陥検査装置内において光学的に前記物理目盛を検出する工程を有することを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【0053】
(付記4)
前記第2の座標系を作成する工程の前に、前記欠陥撮影装置内において光学的に前記物理目盛を検出する工程を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0054】
(付記5)
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の管理方法。
【0055】
(付記6)
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて座標系を作成する座標系作成手段と、
前記素子形成面に存在する欠陥を検出する欠陥検出手段と、
前記座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する情報を作成する欠陥位置情報作成手段と、
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【0056】
(付記7)
光学的に前記物理目盛を検出する目盛検出手段を有することを特徴とする付記6に記載の欠陥検査装置。
【0057】
(付記8)
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて座標系を作成する座標系作成手段と、
前記素子形成面の前記座標系上における、外部から入力された欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う撮影手段と、
を有することを特徴とする欠陥撮影装置。
【0058】
(付記9)
光学的に前記物理目盛を検出する目盛検出手段を有することを特徴とする付記8に記載の欠陥検査装置。
【0059】
(付記10)
前記物理目盛として、格子状の突起状の構造物を形成することを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0060】
(付記11)
欠陥のサイズを見積もる工程を有し、
前記欠陥のサイズが所定値以下である場合、
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有し、
前記欠陥のサイズが前記所定値を超えている場合、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
この検出結果に基づいて、前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする欠陥管理方法。
【符号の説明】
【0061】
10:欠陥検査装置
11:制御部
12:欠陥検出部
13:目盛検出部
20:欠陥レビュー装置(欠陥撮影装置)
21:制御部
22:撮影部
23:目盛検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造では、パターニング等の際に生じた欠陥の検出及び撮影を行っている。これらは、異物の存在、レジストパターンの形状不良等を、後のプロセスにフィードバックするために行われている。そして、欠陥の検出には、レーザ光又はランプ光を半導体基板に照射し、その反射光を検出する欠陥検査装置が用いられ、欠陥の撮影には、走査型電子顕微鏡(SEM)を備えた欠陥レビュー装置が用いられている。欠陥検査装置は、欠陥が存在するチップ領域を特定する情報、及び当該チップ領域内における欠陥が位置する点の座標を特定する情報を、位置情報として出力する。欠陥レビュー装置は、欠陥検査装置から出力された位置情報に基づき、欠陥が存在するチップ領域及び欠陥が位置する点の座標を特定し、その周辺の領域を含めて欠陥を探索し、欠陥が存在すると認識した部分の撮影を行う。このように、欠陥レビュー装置は、欠陥検査装置から出力された位置情報が示す座標を中心とした撮影をすぐに行うのではなく、撮影前に欠陥の探索を行うこととしているが、これは、欠陥検査装置の座標系と欠陥レビュー装置の座標系とが互いに一致しないことがあるからである。
【0003】
その一方で、半導体装置の微細化に伴って動作等に影響を及ぼす欠陥のサイズが小さくなってきている。このため、検出すべき欠陥のサイズも小さくなってきている。しかしながら、欠陥検査装置の性能は、要求される小さな欠陥の検出が可能な程度に向上しているものの、欠陥レビュー装置の探索性能は、欠陥検査装置ほど向上していない。このため、欠陥検査装置で微小な欠陥を検出することができても、それを欠陥レビュー装置で適切に撮影することができないことがある。例えば、欠陥を示す信号に類似したノイズに基づく撮影を行った結果、欠陥を含まない画像が得られることがある。このような場合、後のプロセスへのフィードバックを適切に行うことが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−347415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、微小な欠陥であっても適切に撮影することができる半導体装置の製造方法及び半導体装置の管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
半導体装置の製造方法の一態様では、基板の半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛を形成する。前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する。前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する。前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する。前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する。前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う。
【発明の効果】
【0007】
上記の半導体装置の製造方法等によれば、欠陥検査装置及び欠陥撮影装置間で共通の物理座標が用いられるため、欠陥撮影装置において欠陥を探索せずとも欠陥検査装置により検出された欠陥の位置を的確に把握することができる。従って、適切に欠陥を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】欠陥検査装置及び欠陥レビュー装置の構造を示すブロック図である。
【図2】半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図3A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3B】図3Aに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す平面図である。
【図5】座標系作成部11bにより作成される座標系を示す図である。
【図6】位置情報の作成方法を示す図である。
【図7A】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7B】図7Aに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7C】図7Bに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7D】図7Cに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図8】針状欠陥の撮影の可否を分類した結果を示すグラフである。
【図9】針状欠陥の撮影を試みた結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図1(a)は、実施形態に用いられる欠陥検査装置の構造を示すブロック図であり、図1(b)は、実施形態に用いられる欠陥レビュー装置(欠陥撮影装置)の構造を示すブロック図である。
【0011】
欠陥検査装置10には、図1(a)に示すように、パターン等が形成された半導体基板100の素子形成面(第1の面)に光源12aから光を照射し、その散乱光を光検出器12bで検出して、欠陥を検出する欠陥検出部12が設けられている。また、詳細は後述するが、物理目盛が形成された半導体基板100の目盛形成面(第2の面)に光源13aから光を照射し、その散乱光を光検出器13bで検出して、物理目盛を検出する目盛検出部13が設けられている。更に、欠陥検出部12及び目盛検出部13を制御する制御部11が設けられている。制御部11には、光検出器13bにより検出された物理目盛に基づいて座標系を作成する座標系作成部11b、及びこの座標系における光検出器12bにより検出された欠陥の位置を示す座標(欠陥位置座標)を特定する情報を含む欠陥位置情報を作成する欠陥位置情報作成部11aが含まれている。
【0012】
欠陥レビュー装置20には、図1(b)に示すように、半導体基板100の素子形成面(第1の面)に電子線源22aから電子線を照射し、素子形成面からの2次電子を2次電子検出器22bで検出して、欠陥を撮影する撮影部22が設けられている。撮影部22は、SEMの機能を備えている。また、半導体基板100の目盛形成面(第2の面)に光源23aから光を照射し、その散乱光を光検出器23bで検出して、物理目盛を検出する目盛検出部23が設けられている。更に、撮影部22及び目盛検出部23を制御する制御部21が設けられている。制御部21には、光検出器23bにより検出された物理目盛に基づいて座標系を作成する座標系作成部21bが含まれている。制御部21には、更に、半導体基板100及び撮影部22の相対位置を制御する位置合わせ部21aが含まれている。位置合わせ部21aは、欠陥検査装置10により作成された欠陥位置情報に基づいて、座標系作成部21により作成された座標系における欠陥の位置を特定し、その部分が撮影されるように半導体基板100及び撮影部22の相対位置を制御する。
【0013】
次に、上述の欠陥検査装置10及び欠陥レビュー装置20を用いながら行う第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートであり、図3A乃至図3Bは、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。また、図4は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す平面図である。
【0014】
先ず、半導体基板等の基板の目盛形成面に物理目盛を形成する(ステップS1)。即ち、図3A(a)及び図4(a)に示すように、電界効果トランジスタ等の半導体素子が形成される素子形成面101aの裏面である目盛形成面101b上に格子溝102aを有するレジストパターン102を形成する。次いで、図3A(b)に示すように、レジストパターン102をマスクとして基板101のエッチングを行うことにより、目盛形成面101bに格子状の物理目盛101cを形成する。そして、図3A(c)及び図4(b)に示すように、レジストパターン102を除去する。このようにして形成された格子状の物理目盛101cには、例えば、互いに直交する2方向に延びる複数の溝が含まれ、また、同一の方向に延びる各溝は等間隔で配置されている。
【0015】
物理目盛の形成(ステップS1)後には、欠陥検査装置10を用いた欠陥の検出を行う(ステップS2〜S5)。即ち、図3B(d)に示すように、物理目盛101cが形成された目盛形成面101bに光源13aがレーザ光又はランプ光等の光を照射し、その散乱光を光検出器13bが検出し、格子状の物理目盛101cを検出する(ステップS2)。次いで、座標系作成部11bが、検出された物理目盛101cに基づいて座標系を作成する(ステップS3)。例えば、図5に示すように、物理目盛101cを構成する複数の溝に、その延びる方向毎に、整数を昇順に割り当てたXY座標系(直交座標系)を作成する。
【0016】
なお、この欠陥の検出前に、素子形成面101aに、素子分離用の溝の形成、ゲート電極の形成、又は配線の形成等の欠陥検出の対象となる処理を行っておく。これらの処理は欠陥の検出前であればどの段階で行ってもよい。例えば、図3A(a)に示すレジストパターン102の形成前であってもよく、図3A(c)に示すレジストパターン102の除去後であってもよい。
【0017】
その後、図3B(d)に示すように、素子形成面101aに光源12aがレーザ光又はランプ光等の光を照射し、その散乱光を光検出器12bが検出し、欠陥の存在及びその位置を検出する(ステップS4)。
【0018】
続いて、欠陥位置情報作成部11aが、光検出器12bにより検出された欠陥の位置を示す座標を含む欠陥位置情報を作成する(ステップS5)。即ち、欠陥位置情報作成部11aは、座標系作成部11bにより作成されたXY座標系における欠陥の位置を示す座標を求め、これをまとめたものを欠陥位置情報として作成する。例えば、図6(a)に示すように、2個の欠陥111a及び111bが検出されている場合、欠陥位置情報作成部11aは、欠陥111a及び111bの夫々について、図6(b)に示すように、目盛形成面101bに投射したときの位置を求め、その座標を各欠陥の座標とする。このとき、欠陥位置情報作成部11aは、例えば欠陥111a及び111bの2次元上での重心を求め、その小数点以下を切り捨てる。図6に示す例では、表1に示すような欠陥位置情報が得られる。表1に示すように、欠陥位置情報に、どのチップ領域110に欠陥が存在するかという情報を含める必要はない。
【0019】
【表1】
【0020】
このように作成された欠陥位置情報は、例えばネットワーク又は記録媒体等を介して欠陥レビュー装置20に出力される。
【0021】
そして、欠陥位置情報の作成後には、欠陥レビュー装置20を用いた欠陥の撮影を行う(ステップS6〜S9)。即ち、図3B(e)に示すように、物理目盛101cが形成された目盛形成面101bに光源23aがレーザ光又はランプ光等の光を照射し、その散乱光を光検出器23bが検出し、格子状の物理目盛101cを検出する(ステップS6)。次いで、座標系作成部21bが、検出された物理目盛101cに基づいて、座標系作成部11bが作成ししたものと同一のXY座標系を作成する(ステップS7)。
【0022】
続いて、位置合わせ部21aが、座標系作成部21bにより作成されたXY座標系における、欠陥検査装置10から出力された欠陥位置情報が示す座標が視野に含まれるように基板101及び撮影部22の相対位置を調整する(ステップS8)。
【0023】
そして、図3B(e)に示すように、素子形成面101aに電子線源22aが電子線を照射し、素子形成面101aからの2次電子を2次電子検出器22bが検出する。このようにして、素子形成面101aの欠陥位置情報が示す座標を含む領域の撮影が行われる(ステップS9)。
【0024】
このような第1の実施形態によれば、欠陥検査装置10及び欠陥レビュー装置20間で物理目盛101cに基づいて作成された共通の座標系が使用される。従って、欠陥検査装置10により作成された欠陥位置情報を用いて欠陥の位置を正確に把握することができ、適切な撮影を行うことができる。このため、座標系のずれを考慮した欠陥レビュー装置20での欠陥の探索は不要となり、欠陥の認識ミスに伴う撮影ミスを回避することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図7A乃至図7Dは、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0026】
第2の実施形態では、先ず、図7A(a)に示すように、半導体基板等の基板201の素子形成面201a上にシリコン酸化膜202を、例えば熱酸化法により形成する。
【0027】
次いで、図7A(b)に示すように、シリコン酸化膜202上にシリコン窒化膜203を形成する。
【0028】
その後、図7A(c)に示すように、シリコン窒化膜203上にシリコン酸化膜204を形成する。
【0029】
続いて、図7A(d)に示すように、基板201の表裏を反転し、素子形成面201aの裏面である目盛形成面201b上に格子溝205aを有するレジストパターン205を形成する。格子溝205aの幅は、0.1μm〜0.3μm(例えば0.11μm程度)である。また、互いに平行に延びる格子溝205a同士の間隔は、欠陥レビュー装置20における視野が収まる程度であることが好ましく、1.0μm〜2.0μm(例えば1.6μm程度)である。格子溝205aの幅が0.1μm未満であると、後に形成する物理目盛の検出が困難になることがある。一方、0.3μmを超えると、目盛形成面201b内を占める物理目盛の割合が高くなりすぎて、物理目盛と欠陥とが重なり合う可能性が高くなる。また、格子溝205a同士の間隔が1.0μm未満であると、目盛形成面201b内を占める物理目盛の割合が高くなりすぎて、物理目盛と欠陥とが重なり合う可能性が高くなる。一方、2.0μmを超えると、1つの座標で表わされる領域が視野に収まらなくなり、適切な撮影を行いにくくなることがある。
【0030】
次いで、図7B(e)に示すように、レジストパターン205をマスクとして基板201のエッチングを行うことにより、目盛形成面201bに格子状の物理目盛201cを形成する。そして、レジストパターン202を除去する。このようにして形成された格子状の物理目盛201cには、例えば、物理目盛101cと同様に、互いに直交する2方向に延びる複数の溝が含まれ、また、同一の方向に延びる各溝は等間隔で配置されている。なお、物理目盛201cの深さは特に限定されないが、100nm未満であると、その検出が困難になることがある。一方、2000nmを超えると、剛性及び強度の低下に伴う変形等が生じることがある。このため、物理目盛201cの深さは、100nm〜2000nmとすることが好ましい。
【0031】
その後、図7B(f)に示すように、シリコン酸化膜204を除去する。シリコン酸化膜204は、物理目盛201cを形成する際にシリコン窒化膜203を保護するために形成されている。従って、物理目盛201cの除去後にシリコン酸化膜204は除去される。
【0032】
続いて、図7B(g)に示すように、シリコン窒化膜203上に、素子分離用の溝を形成する領域を開口する開口部206aを有するレジストパターン206を形成する。
【0033】
次いで、図7B(h)に示すように、レジストパターン206をマスクとしてシリコン窒化膜203のエッチングを行うことにより、シリコン窒化膜203に、開口部206aに対応する開口部203aを形成する。そして、レジストパターン202を除去する。
【0034】
その後、図7C(i)に示すように、シリコン窒化膜203をハードマスクとして、シリコン酸化膜202及び基板201のエッチングを行うことにより、基板201の素子形成面201aに素子分離溝201dを形成する。
【0035】
続いて、図7C(j)に示すように、欠陥検査装置10を用いて、物理目盛201cの検出、座標系の作成及び素子分離溝201dの形成時に生じた欠陥の検出を行う。
【0036】
次いで、図7C(k)に示すように、欠陥レビュー装置20を用いて、物理目盛201cの検出、座標系の作成及び欠陥検査装置10により検出された欠陥の撮影を行う。
【0037】
その後、図7D(l)に示すように、素子分離溝201dを埋め込むようにしてシリコン窒化膜203上にシリコン酸化膜207を形成する。
【0038】
続いて、図7D(m)に示すように、基板201の表面が露出するまで、シリコン酸化膜202、シリコン窒化膜203及びシリコン酸化膜207の研磨を、例えばCMP(chemical mechanical polishing)法により行う。この結果、素子分離溝201d内に素子分離絶縁膜208が得られる。次いで、トランジスタTr、層間絶縁膜211、コンタクトプラグ212、配線213及び層間絶縁膜214等を形成する。そして、これらの種々の膜を含む積層体のダイシングを行って、半導体装置を完成させる。
【0039】
また、欠陥レビュー装置20を用いて撮影した欠陥については、その発生個所及び原因等を分析し、それが半導体装置の動作に悪影響を及ぼすものであれば、当該欠陥を含む半導体装置を不良と判定することができる。また、欠陥が動作に悪影響を及ぼすものであっても、そうでないものであっても、後に処理するロット等にフィードバックをかけて同様の欠陥が生じないようにすることもできる。
【0040】
このような第2の実施形態によれば、素子分離溝201dの形成時に生じる欠陥を高い精度で検出し、また、この欠陥を確実に撮影することができる。従って、製造された半導体装置の良/不良を適切に判断することができ、また、後のプロセスに適切にフィードバックをかけることができる。
【0041】
なお、第2の実施形態では、素子分離溝201dの形成後に欠陥の検出及び撮影を行っているが、トランジスタTrのゲート電極の形成後、コンタクトプラグ212用のコンタクトホールの形成後、配線213の形成後等にも欠陥の検出及び撮影を行うことが好ましい。
【0042】
また、いずれの実施形態においても欠陥検査装置10により作成される欠陥位置情報に物理目盛に基づいて作成された座標系上の座標の情報のみが含まれているが、従来の技術と同様に、欠陥が含まれるチップ領域を特定する情報、及び当該チップ領域内での欠陥の位置を示す情報等が含まれていてもよい。
【0043】
更に、いずれの実施形態においても座標系として直交座標系が用いられているが、極座標系等の他の座標系が用いられてもよい。但し、欠陥レビュー装置20において撮影される領域が一般的に矩形であるため、直交座標系が好ましい。
【0044】
また、物理目盛は、溝以外のものから構成されていてもよい。例えば、規則的に配列した複数の孔から構成されていてもよく、このような複数の孔と溝とが組み合わされていてもよい。また、突起状の構造物が基板の目盛形成面に形成されていてもよい。
【0045】
また、欠陥のサイズを見積もり、その結果に応じて欠陥検査装置10及び欠陥レビュー装置20の用い方を変えてもよい。例えば、欠陥のサイズが所定値(例えば0.2μm)以下である場合は、第1の実施形態に沿って検出及び撮影を行い、所定値を超えている場合は、従来のように、物理目盛101cの形成及び検出等を行わずに、欠陥検査装置10による欠陥の検出、及びこの検出結果に基づく欠陥レビュー装置20による撮影を行ってもよい。つまり、後者の場合では、欠陥検査装置10が、欠陥が存在するチップ領域を特定する情報、及び当該チップ領域内における欠陥が位置する点の座標を特定する情報を、位置情報として出力する。そして、欠陥レビュー装置20が、欠陥検査装置10から出力された位置情報に基づき、欠陥が存在するチップ領域及び欠陥が位置する点の座標を特定し、その周辺の領域を含めて欠陥を探索し、欠陥が存在すると認識した部分の撮影を行う。
【0046】
次に、本願発明者が実際に行った実験について説明する。
【0047】
この実験では、ある半導体基板について、従来の欠陥検査装置を用いて平面視での直径が0.05μm程度の針状欠陥を270個程度検出し、各針状欠陥の位置を表す欠陥位置情報を作成した。この欠陥位置情報としては、針状欠陥が含まれるチップ領域、及び当該チップ領域内での位置を示す座標に関する情報を作成した。次いで、従来の欠陥レビュー装置を用いて、この欠陥位置情報に基づいて針状欠陥を探索し、針状欠陥が存在すると欠陥レビュー装置が判断した領域の撮影を行った。そして、その撮影結果を分析し、針状欠陥が写っているもの(レビュー検出可)と針状欠陥が写っていないもの(レビュー検出不可)とに分類し、これらの数及び割合を数値化した。この結果を図8に示す。
【0048】
図8に示すように、従来の欠陥検査装置及び従来の欠陥レビュー装置を用いた従来の方法では、適切に撮影することができた針状欠陥は、約57%に過ぎなかった。図9(a)に、針状欠陥を適切に認識した上で撮影された写真を示し、図9(b)に、針状欠陥を適切に認識することができない状態で撮影された写真を示す。
【0049】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0050】
(付記1)
基板の半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛を形成する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0051】
(付記2)
前記物理目盛として、格子状の溝を形成することを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0052】
(付記3)
前記第1の座標系を作成する工程の前に、前記欠陥検査装置内において光学的に前記物理目盛を検出する工程を有することを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【0053】
(付記4)
前記第2の座標系を作成する工程の前に、前記欠陥撮影装置内において光学的に前記物理目盛を検出する工程を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0054】
(付記5)
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の管理方法。
【0055】
(付記6)
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて座標系を作成する座標系作成手段と、
前記素子形成面に存在する欠陥を検出する欠陥検出手段と、
前記座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する情報を作成する欠陥位置情報作成手段と、
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【0056】
(付記7)
光学的に前記物理目盛を検出する目盛検出手段を有することを特徴とする付記6に記載の欠陥検査装置。
【0057】
(付記8)
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて座標系を作成する座標系作成手段と、
前記素子形成面の前記座標系上における、外部から入力された欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う撮影手段と、
を有することを特徴とする欠陥撮影装置。
【0058】
(付記9)
光学的に前記物理目盛を検出する目盛検出手段を有することを特徴とする付記8に記載の欠陥検査装置。
【0059】
(付記10)
前記物理目盛として、格子状の突起状の構造物を形成することを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0060】
(付記11)
欠陥のサイズを見積もる工程を有し、
前記欠陥のサイズが所定値以下である場合、
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有し、
前記欠陥のサイズが前記所定値を超えている場合、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
この検出結果に基づいて、前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする欠陥管理方法。
【符号の説明】
【0061】
10:欠陥検査装置
11:制御部
12:欠陥検出部
13:目盛検出部
20:欠陥レビュー装置(欠陥撮影装置)
21:制御部
22:撮影部
23:目盛検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛を形成する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記物理目盛として、格子状の溝を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の座標系を作成する工程の前に、前記欠陥検査装置内において光学的に前記物理目盛を検出する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2の座標系を作成する工程の前に、前記欠陥撮影装置内において光学的に前記物理目盛を検出する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の管理方法。
【請求項1】
基板の半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛を形成する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記物理目盛として、格子状の溝を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の座標系を作成する工程の前に、前記欠陥検査装置内において光学的に前記物理目盛を検出する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2の座標系を作成する工程の前に、前記欠陥撮影装置内において光学的に前記物理目盛を検出する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体素子が形成される素子形成面の裏側に位置する目盛形成面に物理目盛が形成された基板に対し、前記物理目盛を用いて欠陥検査装置内での第1の座標系を作成する工程と、
前記欠陥検査装置により前記素子形成面に存在する欠陥を検出する工程と、
前記第1の座標系における前記欠陥の位置を示す欠陥位置座標を特定する工程と、
前記物理目盛を用いて欠陥撮影装置内での第2の座標系を作成する工程と、
前記欠陥撮影装置により前記素子形成面の前記第2の座標系上における前記欠陥位置座標を含む領域の撮影を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の管理方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−9662(P2011−9662A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154277(P2009−154277)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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