半導体装置の製造方法及び半導体装置
【課題】製造工程を簡素化しつつ、接続信頼性を向上することができる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供する。
【解決手段】ウエハの、各半導体チップ形成領域における電極形成面上に突起部をそれぞれ形成し、突起部の形成されたウエハに対し、突起部を含んで半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する。次に、接着部材の配置されたウエハを切り分けて複数の半導体チップとした後、接着部材を加圧して、突起部の先端部位を接着部材から露出させる。そして、接着部材から露出させた突起部を光学的な位置基準として、接着部材が配置された半導体チップと異なる半導体チップとを位置決めし、この位置決め状態でバンプを介して2枚の半導体チップの電極間を電気的に接続する。
【解決手段】ウエハの、各半導体チップ形成領域における電極形成面上に突起部をそれぞれ形成し、突起部の形成されたウエハに対し、突起部を含んで半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する。次に、接着部材の配置されたウエハを切り分けて複数の半導体チップとした後、接着部材を加圧して、突起部の先端部位を接着部材から露出させる。そして、接着部材から露出させた突起部を光学的な位置基準として、接着部材が配置された半導体チップと異なる半導体チップとを位置決めし、この位置決め状態でバンプを介して2枚の半導体チップの電極間を電気的に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の半導体チップ、又は、1枚の半導体チップと配線基板とを、バンプを介して電気的に接続してなる半導体装置の製造方法及び半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚の半導体チップ(例えばセンサチップと回路チップ)、又は、1枚の半導体チップと配線基板とを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法として、アンダーフィルの代わりに、所謂NCF(Non Conductive Film)やNCP(Non Conductive Paste)などの電気絶縁性の接着部材を介して、フリップチップ接続する方法が知られている(例えば特許文献1,2参照)
具体的には、例えばバンプが形成された半導体チップ上に接着部材を配置し、接着部材の配置された半導体チップと他方の半導体チップ(又は配線基板)とを、接着部材を介して積層する。このとき、両半導体チップ(又は半導体チップと配線基板)を加熱状態で互いに圧接することで、半導体装置を形成することができる。
【特許文献1】特開2001−298146号公報
【特許文献2】特開2006−189418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、製造工程を簡素化するために、個々の半導体チップにそれぞれ接着部材を配置するのではなく、ウエハに一括して接着部材を配置することを検討した。この方法によれば、ウエハにおける各半導体チップ形成領域の電極形成面全面に対して接着部材を一括配置(例えば各半導体チップ形成領域を1枚のNCFで被覆)し、その後、ウエハをダイシングして接着部材の配置された複数の半導体チップを得るので、製造工程を簡素化することができる。
【0004】
ところで、半導体チップの電極形成面には、バンプを介して電極間が電気的に精度良く接続されるように、光学的な位置基準(アライメントマーク)が設けられている。接合時には、このアライメントマークをカメラで検出し、半導体チップの位置を微調整した上で、積層を実行する。ところが、上述の方法の場合、アライメントマークが接着部材によって被覆されることとなる。本発明者が確認したところ、接着部材の構成材料によっては、接着部材に被覆されたアライメントマークを検出できない(可視光又は赤外光による認識ができない)ことが明らかとなった。このように、アライメントマークが接着部材によって被覆されていると、電気的な接続信頼性が低下する恐れがある。
【0005】
上記問題を解決するために、積層するまでに、接着部材のアライメントマークに対応する位置に貫通孔や切り欠きなどを形成(ウエハ配置前の状態で形成、ウエハの状態で形成、又は半導体チップの状態で形成)することも考えられる。しかしながら、この方法では、接着部材の配置ずれなどによってアライメントマークが接着部材から露出しない恐れがある。また、接着部材と半導体チップとの接着面積(及び接着部材と他方の半導体チップ又は配線基板との接着面積)が減少し、機械的な接続信頼性が低下する恐れがある。なお、接着部材から突出部を確実に露出させるために貫通孔や切り欠きを大きくするほど、機械的な接続信頼性は低下することとなる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、製造工程を簡素化しつつ、接続信頼性を向上することができる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、2枚の半導体チップを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法であって、少なくとも一方の半導体チップとなるウエハの、半導体チップ形成領域における電極形成面上に、突起部をそれぞれ形成する突起部形成工程と、突起部の形成された少なくとも一方のウエハに対し、突起部を含んで半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する接着部材配置工程と、接着部材の配置されたウエハを、複数の半導体チップに切り分けるダイシング工程と、ダイシング工程後に、間に接着部材を挟むように2枚の半導体チップを積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続する接合工程と、接合工程の前に、接着部材を加圧して、突起部の先端部位を接着部材から露出させる露出工程と、を備え、接合工程において、接着部材から露出させた突起部を光学的な位置基準として接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、2枚の半導体チップを積層することを特徴とする。
【0008】
このように本発明によれば、ウエハの状態で、半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように接着部材を配置し、接着部材の配置されたウエハを切り分けて、接着部材の配置された複数の半導体チップを得るようにしている。したがって、個々の半導体チップに接着部材を配置する方法に比べて、製造工程を簡素化することができる。
【0009】
また、ウエハの状態で、半導体チップ形成領域の電極形成面に光学的な位置基準となる突起部を形成するので、露出工程において、接着部材を加圧することで、突起部の先端部位を接着部材から露出させることができる。
【0010】
また、露出工程を接合工程の前(接合工程を実施するまで)に実施するので、接合時において、突起部を位置基準(アライメントマーク)として接着部材の配置された半導体チップを位置決めすることができ、ひいては電気的な接続信頼性を向上することができる。
【0011】
さらには、突起部の露出に当たって、接着部材を加圧することにより、接着部材から突起部を突き抜けさせて露出させるようにしている。したがって、突起部を確実に露出させることができる。また、突起部を露出させた状態で、突起部の周囲は接着部材によって埋まるので、機械的な接続信頼性を向上することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、半導体チップと配線基板とを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法であって、半導体チップとなるウエハの、半導体チップ形成領域における電極形成面上に、突起部をそれぞれ形成する突起部形成工程と、突起部の形成されたウエハに対し、突起部を含んで半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する接着部材配置工程と、接着部材の配置されたウエハを、複数の半導体チップに切り分けるダイシング工程と、ダイシング工程後に、間に接着部材を挟むように半導体チップと配線基板とを積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続する接合工程と、接合工程の前に、接着部材を加圧して、突起部の先端部位を接着部材から露出させる露出工程と、を備え、接合工程において、接着部材から露出させた突起部を光学的な位置基準として接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、半導体チップと配線基板とを積層することを特徴とする。
【0013】
本発明は、請求項1に記載の発明における2枚の半導体チップのうち、一方を配線基板に置き換えたものであり、その作用効果は、請求項1に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0014】
請求項1又は請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載のように、接着部材配置工程において、接着部材として、フィルム化された接着部材を用いることが好ましい。これによれば、ウエハにおける各半導体チップ形成領域の電極形成面全面を、一括して効率よく被覆することができる。なお、フィルム化された接着部材以外にも、ペースト状の接着部材を、スクリーン印刷法により一括して効率よく配置することも可能である。
【0015】
請求項3に記載の発明において、半導体チップとして、電極形成面に可動部を有するセンサチップを含み、このセンサチップに接着部材を配置する場合には、請求項4に記載のように、接着部材として、可動部と接着部材とが離間するように、可動部に対応して可動部側の面から凹んだ薄肉部が形成されたフィルム化された接着部材を用いると良い。
【0016】
これによれば、接着部材で電極形成面全面を被覆する構成でありながら、可動部(換言すればセンシング部)を適切に作動させることができる。また、可動部を接着部材で覆った状態でダイシングするので、切削屑や水などの異物が可動部に入り込む(付着)するのを抑制し、センサとしての信頼性を高めることができる。
【0017】
請求項1〜4いずれか1項に記載の発明においては、請求項5に記載のように、接合工程において、超音波を併用した熱圧着によって、バンプを介して電極間を電気的に接続することが好ましい。これによれば、低温、低荷重、及び短時間で、バンプと電極をそれぞれ構成する金属を固相拡散させ、電極間を電気的に接続させることができる。
【0018】
請求項1〜5いずれか1項に記載の発明においては、請求項6に記載のように、突起部形成工程において、突起部としてバンプを形成すると良い。これによれば、バンプとは別に突起部を設けなくとも良いので、製造工程をより簡素化することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明においては、請求項7に記載のように、露出工程を、ダイシング工程の前に実施し、バンプを光学的な位置基準として、ダイシング工程において接着部材の配置されたウエハを切り分けるようにしても良い。このように、突起部をダイシング時の位置基準とすることも可能であり、この場合、ダイシング時の位置基準が別途不要となる。
【0020】
しかしながら、ダイシング工程の前に露出工程を実施すると、接着部材から突起部の先端部位が露出した状態でダイシング工程を実行するので、突起部と接着部材との界面から水が浸入する可能性もある。そこで、好ましくは、請求項8に記載のように、露出工程を、ダイシング工程の後に実施すると良い。これによれば、ダイシング時には電極形成面全面が完全に覆われるので、水の浸入を抑制することができる。なお、この場合、突出部とは別にダイシング時の位置基準がウエハに必要となる。ダイシング時の位置基準は、一般的に半導体チップ形成領域と同等の領域である数個の位置基準形成領域に形成されるものであり、このような位置基準形成領域はウエハの端部とされる。したがって、ウエハにおいて、ダイシング時の位置基準が形成された位置基準形成領域を被覆せず、半導体チップ形成領域のみを被覆するように接着部材を配置すれば良い。
【0021】
請求項7又は請求項8に記載の発明においては、請求項9に記載のように、接合工程において、バンプを光学的な位置基準として接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、この位置決め状態で接着部材を加熱して、接着部材から露出するバンプの部位を電極形成面上に配置された接着部材によって再び覆い、バンプが接着部材によって覆われた状態で積層すると良い。
【0022】
これによれば、接合工程において、接着部材の潰れ量を大きくすることができるので、バンプと電極の接合部周辺を接着部材によって効率よく封止する(被覆する)ことができる。また、接着部材と半導体チップ(又は回路チップ)との接着面積を稼ぐことができる。
【0023】
また、接着部材の特性(弾性、粘性)によっては、突起部の先端部位を露出させた後に、接合工程を実施(突起部を検出)する前に、接着部材が突起部の先端部位を再被覆することも考えられる。そこで、請求項8に記載の発明においては、請求項10に記載のように、露出工程において、接着部材が配置された半導体チップに対し、所定波長の光を透過させる透過部材を接着部材配置面側から接触させて加圧し、透過部材が接触した状態で接着部材からバンプの先端部位を露出させ、接合工程において、透過部材を介してバンプを光学的な位置基準として半導体チップを位置決めし、透過部材を除去して接着部材から露出するバンプの部位が電極形成面上に配置された接着部材によって再び覆われた状態で積層するようにしても良い。
【0024】
このように、接着部材の表面に接触させた透過部材ごしに突起部を接着部材から露出させた状態とすることで、突起部を確実に接合時の位置基準とすることができる。また、接合工程において、接着部材の潰れ量を大きくすることができるので、バンプと電極の接合部周辺を接着部材によって効率よく封止する(被覆する)ことができる。さらには、接着部材と半導体チップ(又は回路チップ)との接着面積を稼ぐことができる。
【0025】
請求項1〜5いずれか1項に記載の発明においては、請求項11に記載のように、突起部形成工程において、突起部として、電極間の電気的な接続機能を提供せず、電極形成面からの突起高さがバンプの突起高さ以下であるダミーバンプを形成し、接着部材配置工程において、ダミーバンプ及びバンプを含んで半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように接着部材を配置し、露出工程において、バンプが接着部材から露出しないように、ダミーバンプの先端部位のみを接着部材から露出させても良い。
【0026】
これによっても、バンプ周辺の接着部材の潰れ量を大きくすることができるので、バンプと電極の接合部周辺を接着部材によって効率よく封止する(埋め込む)ことができる。また、接着部材と半導体チップ(又は回路チップ)との接着面積を稼ぐことができる。
【0027】
請求項12及び請求項13に記載の発明は、その作用効果が、それぞれ請求項7及び請求項8に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0028】
なお、請求項14に記載のように、ダミーバンプがバンプと同一材料からなり、突起部形成工程において、ダミーバンプとバンプとを一括形成することが好ましい。これによれば、同一材料を用いてバンプと同時にダミーバンプを形成するので、ダミーバンプを有する構成において、製造工程を簡素化し、製造コストを低減することができる。
【0029】
次に、請求項15及び請求項16に記載の半導体装置は、請求項11〜請求項14に記載の半導体装置の製造方法によって形成されるものである。したがって、その作用効果は、請求項11〜請求項14に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0030】
また、請求項17に記載の発明は、その作用効果が、請求項3に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図5は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。図1は、製造工程のうち、突起部形成工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。図2は、製造工程のうち、接着部材配置工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。図3は、製造工程のうち、ダイシング工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。図4は、露出工程を説明するための断面図であり、(a)が露出前の状態、(b)が露出後の状態を示している。図5は、接合工程を説明するための断面図であり、(a)が積層前のカメラによる位置決め時、(b)が積層後の接合時を示している。図6は、半導体装置の概略構成を示す断面図である。なお、図4〜図6に示す半導体チップは、図3(b)に対応している。
【0032】
本実施形態に係る半導体装置は、物理量の変化に応じた信号を出力するセンサチップとセンサチップの信号処理回路が形成された回路チップとの2枚の半導体チップを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続してなるものである。
【0033】
先ず、突起部形成工程として、各チップに対応する2枚のウエハのうち、少なくとも一方のウエハの、チップ形成領域における電極形成面上に、光学的な位置基準となる突起部をそれぞれ形成する。なお、電極形成面とは、半導体装置の状態で、バンプを介して電気的に接続される電極が形成される表面を示している。
【0034】
本実施形態においては、一例として、センサチップに対応するウエハのみに突起部を形成する。具体的には、図1(a),(b)に示すように、センサチップに対応して複数の検出部が形成されたウエハ10の電極形成面11上であって、センサチップの形成領域12(以下チップ形成領域12と示す)の図示しない電極上に、金属材料からなるバンプ13を形成する。このバンプ13は、センサチップと回路チップとを電気的に接続する機能だけでなく、本実施形態においては、光学的な位置基準(すなわちアライメントマーク)となる突起部としての機能も果たすものである。
【0035】
なお、本実施形態においては、図1(a)に示すように、1つのチップ形成領域12に対して、突起部として4つのバンプ13を形成する。しかしながら、突起部の個数は、光学的な位置基準となる個数であれば良く、上記例に限定されるものではない。また、図1(a)に示す符号14は、ダイシング時の光学的な位置基準が形成される位置基準形成領域14であり、符号15は、ダイシング用のアライメントマークである。なお、図1(a)に示すように、チップ形成領域とならない端部領域が位置基準形成領域14とされる。この位置基準形成領域14とアライメントマーク15の個数は限定されるものではなく、アライメントマーク15の形状も特に限定されるものではない。
【0036】
次に、接着部材配置工程として、突起部の形成された少なくとも一方のウエハに対し、突起部を含んでチップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する。本実施形態においては、センサチップに対応するウエハ10のみに突起部としてのバンプ13を形成するので、ウエハ10にのみ接着部材を配置する。具体的には、図2(a),(b)に示すように、ダイシング用のアライメントマーク15を被覆しないように、アライメントマーク15よりも中央領域であるチップ形成領域12の電極形成面全面上に、接着部材16を配置する。
【0037】
接着部材16としては、所謂NCF(Non Conductive Film)やNCP(Non Conductive Paste)などの電気絶縁性の接着部材を採用することができる。本実施形態においては、エポキシ樹脂を主成分とし、無機フィラーなどが添加されたNCFを採用しており、このフィルム状の接着部材16をウエハ10に接着固定する。このように、フィルム状の接着部材16を採用すると、図2(a)に示すように、ウエハ10における各チップ形成領域12の電極形成面全面を、一括して効率よく被覆することができる。また、ペースト状の接着部材に比べて、製造工程を簡素化することができる。なお、ウエハ10の電極形成面11上に配置された接着部材16の平面形状は、図2(a)に示す形状(八角形)に限定されるものではない。
【0038】
次に、ダイシング工程として、接着部材の配置されたウエハを、複数の半導体チップに切り分ける。本実施形態においては、センサチップに対応するウエハ10をダイシングする。これにより、図3(a),(b)に示すように、突起部としてのバンプ13を含んで電極形成面11全面が被覆されたセンサチップ20が形成される。
【0039】
次に、露出工程として、電極形成面上に配置された接着部材を加圧して、突起部の先端部位を接着部材から露出させる。本実施形態においては、図4(a)に示すように、接着部材16の配置されたセンサチップ20を、接着部材16を接触面として平板状の加圧冶具30上に配置する。そして、この配置状態で、接着部材16の配置面(電極形成面)の裏面側からセンサチップ20に圧力を印加する。これにより、センサチップ20が加圧冶具30側に押し付けられ、センサチップ20と加圧冶具30とにより接着部材16が圧力を受ける。接着部材16は、少なくとも硬化前の状態で突起部としてのバンプ13よりも柔らかいので、圧力を受けてセンサチップ20の厚さ方向に垂直な方向に変形する。そして、突起部としてバンプ13は、接着部材16を突き抜ける。本実施形態においては、バンプ13の突起先端が接着部材16と略面一となった状態(露出状態)で加圧を終了とする。これにより、図4(b)に示すように、接着部材16から突起部としてのバンプ13の先端部位が露出されたセンサチップ20が準備される。
【0040】
次に、接合工程として、間に接着部材を挟むように2枚の半導体チップを積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続する。この接合工程においては、接着部材から露出させた突起部を光学的な位置基準として接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、2枚の半導体チップを積層する。本実施形態においては、位置決め精度が高く、超音波振動印加機能を備えることから、フリップチップボンダを用いて接合工程を実施するものとする。
【0041】
具体的には、図5(a)に示すように、センサチップ20を、フリップチップボンダのヘッド50に接着部材配置面(電極形成面11)の裏面を固定面として固定する。また、別途準備された回路チップ40を、フリップチップボンダのステージ51上に、電極形成面41の裏面を接触面として固定する。次に、例えば上下を同時に認識する赤外線式又は可視光線式のカメラ52を、センサチップ20と回路チップ40との間に移動させて、センサチップ20と回路チップ40の位置を検出する。そして検出結果に基づく位置補正量を算出し、補正量分ヘッド50を移動させて、センサチップ20と回路チップ40との位置を補正する。以上が位置決めである。
【0042】
この位置決めが終了した後、ヘッド50を下降させ、ヘッド50に固定したセンサチップ20のバンプ13とステージ51に固定した回路チップ40の図示しない電極とを接触させ、バンプ13と電極とを接合する。この接合方法は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、超音波併用の熱圧着を採用する。具体的には、熱圧着の状態で超音波振動をヘッド50に印加する。これにより、バンプ13を構成する金属と電極(図示せず)を構成する金属とが固相拡散層を形成し、図5(b)に示すように、バンプ13を介してセンサチップ20と回路チップ40とが電気的に接続される。また、熱圧着時の熱によって接着部材16が軟化するので、接着部材16に対して、センサチップ20及び回路チップ40が、それぞれ機械的に接続される。このように、超音波併用熱圧着を採用すると、低温、低荷重、及び短時間で、電極間を電気的に接続させることができる。そして、必要に応じて接着部材16の硬化処理をおこなうことで、図6に示す半導体装置100が形成される。
【0043】
このように本実施形態に係る半導体装置100の製造方法によれば、ウエハ10の状態で、チップ形成領域12の電極形成面全面を覆うように接着部材16を配置し、接着部材16の配置されたウエハ10を切り分けて、接着部材16の配置された複数のセンサチップ20(半導体チップ)を得るようにしている。したがって、個々のセンサチップ20に接着部材16を配置する方法に比べて、製造工程を簡素化(生産効率を向上)することができる。
【0044】
また、ウエハ10の状態で、チップ形成領域12の電極形成面11に、光学的な位置基準となる突起部としてのバンプ13を形成するので、露出工程において、接着部材16を加圧することで、突起部としてのバンプ13の先端部位を接着部材16から露出させることができる。
【0045】
また、露出工程を接合工程の前(接合工程を実施するまで)に実施するので、接合時において、突起部としてのバンプ13を位置基準として接着部材16の配置されたセンサチップ20を位置決めすることができ、ひいては電気的な接続信頼性を向上することができる。
【0046】
また、突起部としてのバンプ13の露出に当たって、接着部材16を加圧することにより、接着部材16からバンプ13を突き抜けさせて露出させるようにしている。したがって、バンプ13を確実に露出させることができる。また、バンプ13を露出させた状態(突き抜けさせた状態)で、バンプ13の周囲は接着部材16によって埋まるので、接着面積を稼ぐことができ、ひいては機械的な接続信頼性を向上することができる。
【0047】
また、突起部としてバンプ13を形成するので、製造工程をより簡素化することができる。
【0048】
また、ダイシング時において、ウエハ10のチップ形成領域12の電極形成面全面が接着部材16によって被覆されている。したがって、ダイシング時に生じる異物(切屑や水)の、ウエハ10と接着部材16との界面への入り込みを抑制することができる。すなわち、例えば接着部材16の剥離を抑制することができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、センサチップ20(ウエハ10)に接着部材16を配置する例を示した。しかしながら、回路チップ40(対応するウエハ)に接着部材16を配置しても良いし、2つの半導体チップ20,40(対応するウエハ)にそれぞれ接着部材16を配置しても良い。
【0050】
また、本実施形態においては、接着部材16の配置されたセンサチップ20をフリップチップボンダのヘッド50に固定し、回路チップ40をステージ51に固定する例を示した。しかしながら、接着部材16の配置されたセンサチップ20をステージ51に固定し、回路チップ40をヘッド50に固定しても良い。
【0051】
また、本実施形態においては、カメラ52として、上下を同時に認識する構成のものを示した。しかしながら、センサチップ20と回路チップ40とでカメラを分けても良い。
【0052】
なお、本実施形態においては、センサチップ20の種類を特に限定しなかった。例えば、図7に示すように、センサチップ20が電極形成面11に可動梁(可動電極)などの可動部21を有し、このセンサチップ20に本実施形態同様接着部材16を配置する場合には、可動部21と接着部材16とが離間するように、可動部21に対応して凹部17が形成され、可動部側の面から凹んだ薄肉部が構成されたフィルム状の接着部材16を用いると良い。これによれば、接着部材16で電極形成面全面を被覆する構成でありながら、可動部21(換言すればセンシング部)を適切に作動させることができる。また、可動部21を接着部材16で覆った状態でダイシングするので、切屑や水などの異物が可動部に入り込む(付着)するのを抑制し、センサとしての信頼性を高めることができる。なお、可動部21を有するセンサチップ20としては、容量式の加速度センサや角速度センサが構成されたチップがある。本実施形態に示す製造方法を適用した場合、上述の凹部17はウエハ10に配置する前に接着部材16に形成しておく必要がある。また、回路チップ40に接着部材16を配置する場合には、ウエハに配置後の加工によっても形成することができる。このような凹部17の形成については、本出願人による特開2006−189418号公報を参照されたい。図7は、変形例を示す断面図である。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図8に基づいて説明する。図8は、第2実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、接合工程を説明するための断面図である。
【0054】
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0055】
第1実施形態においては、露出工程で突出部としてのバンプ13の先端部位を接着部材16から露出させた状態で、接合を実施する例を示した。これに対し、本実施形態においては、接合工程において、突起部としてのバンプ13を光学的な位置基準として接着部材16が配置されたセンサチップ20(半導体チップ)を位置決めした後、センサチップ20と回路チップ40とを積層する前に、この位置決め状態で接着部材16を加熱して軟化させ、図8に示すように、バンプ13の先端部位が電極形成面上に配置された接着部材16によって再び覆われた状態とする。そして、バンプ13が接着部材16によって被覆された状態で、センサチップ20と回路チップ40とを積層し、バンプ13と電極とを接合する。
【0056】
このように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、突起部としてのバンプ13を位置基準としてセンサチップ20と回路チップ40との位置を調整した後、接着部材16によってバンプ13が覆われた状態として接合する。したがって、バンプ13の先端上に接着部材16を配置するので、センサチップ20に形成されたバンプ13を回路チップ40の電極に接触させて接合させるまでの接着部材16の押し込み量(潰れ量)を大きくすることができる。その結果、バンプ13と電極の接合部周辺に接着部材16が行きわたりやすくなり、接着部材16によって接合部を効率よく封止する(被覆する)ことができる。また、接着部材16とセンサチップ20との接着面積、接着部材16と回路チップ40との接着面積を稼ぐことができる。
【0057】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図9に基づいて説明する。図9は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、露出工程及び接合工程を説明するための断面図である。
【0058】
第3実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0059】
第1実施形態においては、露出工程が完了し、加圧冶具30を除去した状態で、接合工程を実施する例を示した。しかしながら、接着部材16の特性(弾性、粘性)によっては、一度突出部としてのバンプ13を露出させても、接合工程の位置決めまでに接着部材16が元に戻って、バンプ13が再度被覆されることも考えられる。そこで、本実施形態においては、図9に示すように、接着部材16の配置されたセンサチップ20を、接着部材16を接触面として加圧冶具としての所定波長の光(可視光又は赤外光)を透過させる透過部材31上に配置する。そして、この配置状態で、接着部材16の配置面(電極形成面)の裏面側からセンサチップ20に圧力を印加する。これにより、透過部材31が接触した状態で接着部材16からバンプ13の先端部位が露出する。そして、接着部材16への加圧を保持した状態(すなわち透過部材31を接着部材16に接触された状態)で、透過部材31を介してバンプ13を光学的な位置基準としてセンサチップ20と回路チップ40とを位置決めする。位置決め後は、透過部材31を除去して接着部材16から露出するバンプ13の先端部位が電極形成面上に配置された接着部材16によって再び覆われるまで待ち、再被覆された状態でセンサチップ20と回路チップ40とを積層して、バンプ13と電極とを接合する。
【0060】
なお、透過部材31としては、カメラ52にて突起部としてのバンプ13を検出すべく、所定波長の光(可視光又は赤外光)を透過させるものであれば採用が可能である。例えば、ガラスなどの無機材料やアクリルなどの有機材料を採用することができる。
【0061】
また、本実施形態においては、第1実施形態同様、ヘッド50に固定されたセンサチップ20の位置を調整するので、ヘッド50を加圧冶具の一部とし、接着部材16への圧力が変化しないようにヘッド50に合わせて透過部材31も移動する構成となっている。
【0062】
このように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、加圧冶具として透過部材31を用いるので、透過部材31を接着部材16に接触させ、接着部材16を加圧した状態で、透過部材31ごしに突起部としてのバンプ13を検出することができる。すなわち、バンプ13を確実に露出状態(接合時の位置基準)とすることができる。
【0063】
また、本実施形態においても、位置決め後にバンプ13を再被覆し、バンプ13の先端上に接着部材16を配置されるので、センサチップ20に形成されたバンプ13を回路チップ40の電極に接触させて接合させるまでの接着部材16の押し込み量(潰れ量)を大きくすることができる。その結果、バンプ13と電極の接合部周辺に接着部材16が行きわたりやすくなり、接着部材16によって接合部を効率よく封止する(被覆する)ことができる。また、接着部材16とセンサチップ20との接着面積、接着部材16と回路チップ40との接着面積を稼ぐことができる。
【0064】
なお、本実施形態に示した製造方法に対して第2実施形態に示した製造方法を組み合わせることも可能である。すなわち、透過部材31を除去した後、接着部材16を加熱することで、再被覆を早めるようにしても良い。
【0065】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図10〜図13に基づいて説明する。図10は、第4実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を説明するための断面図であり、(a)は突起部形成工程、(b)は接着部材配置工程、(c)はダイシング工程を示している。図11は、露出工程を説明するための断面図であり、(a)は露出前の状態、(b)は露出後の状態を示している。図12は、接合工程を説明するための断面図である。図13は、本実施形態に示す製造方法によって形成される半導体装置の概略構成を示す断面図である。なお、各断面図は、第1実施形態に示した断面図に対応している。
【0066】
第4実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態〜第3実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0067】
上述した各実施形態においては、バンプ13を光学的な位置基準である突起部とし、第2実施形態及び第3実施形態においては、位置決め後に突起部(バンプ13)を再被覆して、センサチップ20と回路チップ40とを積層する例を示した。
【0068】
これに対し、本実施形態においては、先ず図10(a)に示すように、突起部形成工程において、突起部として、電極間の電気的な接続機能を提供せず、電極形成面11からの突起高さがバンプ13の突起高さ以下(本実施形態においては略等しい高さ)であるダミーバンプ60を、バンプ13よりもチップ形成領域12の外周側に形成する。このように、電極形成面11からの突起高さを、ダミーバンプ60とバンプ13とで等しくするか、ダミーバンプ60のほうが低い構成とすると、ダミーバンプ60の邪魔がなく、接合時にバンプ13を回路チップ40の電極に効率よく接触させることができる。
【0069】
なお、本実施形態においては、ダミーバンプ60とバンプ13とを一括形成するようにしている。このように、同一材料を用いてバンプ13と同時にダミーバンプ60を形成すると、ダミーバンプ60を有する構成において、製造工程を簡素化し、製造コストを低減することができる。
【0070】
次に、図10(b)に示すように、接着部材配置工程において、ダミーバンプ60及びバンプ13を含んでチップ形成領域12の電極形成面全面を覆うように接着部材16を配置し、接着部材16の配置されたウエハ10をダイシングして、図10(c)に示すように、センサチップ20(半導体チップ)を得る。
【0071】
次に、露出工程を実施する。このとき、バンプ13が接着部材16から露出しないように、ダミーバンプ60の先端部位のみを接着部材16から露出させる。このような構造を実現するための方法としては、例えば、図11(a)に示すように、加圧冶具として、ダミーバンプ60よりも中央側に形成されたバンプ13に対応して凹部33の形成された加圧冶具32を用いれば良い。この凹部33によって、接着部材16を加圧しない状態で、接着部材16のバンプ13上の部位(本実施形態においては、バンプ13を含む中央領域の部位)が加圧冶具32と接触していない状態にある。これに対し、接着部材16のダミーバンプ60上の部位(本実施形態においては、ダミーバンプ60を含む外周領域の部位)は加圧冶具32と接触している。したがって、接着部材16を加圧すると、接着部材16は加圧冶具32に沿って変形し、図11(b)に示すように、バンプ13は露出されず、ダミーバンプ60の先端部位が露出された構造となる。すなわち、接着部材16の電極形成面からの厚さが、外周領域では薄く、バンプ13を含む中央領域ではそれよりも厚くなる。
【0072】
次に、接合工程を実施する。このとき、上述したように、バンプ13は被覆されているので、センサチップ20に形成されたバンプ13を回路チップ40の電極に接触させて接合させるまでの接着部材16の押し込み量(潰れ量)を大きくすることができる。その結果、バンプ13と電極の接合部周辺に接着部材16が行きわたりやすくなり、接着部材16によって接合部を効率よく封止する(被覆する)ことができる。また、軟化した接着部材16は、バンプ13よりも外周側に広がるので、図12に示すように、接着部材16とセンサチップ20との接着面積、接着部材16と回路チップ40との接着面積を稼ぐことができる。
【0073】
このように本実施形態に示す製造方法によれば、図13に示すように、センサチップ20と回路チップ40の2枚の半導体チップが、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面11,41を対向させて積層され、電極間がバンプ13を介して電気的に接続された半導体装置100を形成することができる。この半導体装置100は、より詳しくは、半導体チップ20,40のうち、少なくとも一方の電極形成面上(本実施形態においてはセンサチップ20の電極形成面11上)には、電極間の電気的な接続機能を提供せず、電極形成面からの突起高さがバンプ13の突起高さ以下であるダミーバンプ60が設けられ、半導体チップ20,40の間には、それぞれの電極形成面と接し、且つ、半導体チップ20,40の少なくとも一方の電極形成面であってバンプ13及びダミーバンプ60との接触部位を除く部位を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材16が設けられ、バンプ13とダミーバンプ60の周囲が、接着部材16によって被覆されている。
【0074】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図14に基づいて説明する。図14は、第5実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、露出工程を説明するための断面図であり、(a)は露出前の状態、(b)は露出後の状態を示している。なお、図15に示す断面図は、第1実施形態に示した断面図に対応している。
【0075】
第5実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0076】
上述した各実施形態においては、ダイシング工程の後であって接合工程の前に露出工程を実施する例を示した。すなわち、センサチップ20(半導体チップ)の状態で、接着部材16から突起部であるバンプ13又はダミーバンプ60を露出させる例を示した。これに対し、本実施形態においては、接着部材配置工程の後であって、ダイシング工程の前に露出工程を実施する点を特徴とする。
【0077】
例えば第1実施形態同様、センサチップ20に対応するウエハ10に、接着部材16を配置した後、第1実施形態に示した露出工程を、図14(a),(b)に示すようにウエハ10に対して実施する。より詳しくは、第1実施形態同様の加圧冶具30上に、接着部材16を接触させてウエハ10を配置し、ウエハ10を加圧することで、図14(b)に示すように、突起部としてのバンプ13の先端部位を接着部材16から露出させた構造とすることができる。そして、露出された突起部としてのバンプ13を光学的な位置基準として、ウエハ10をダイシングし、引き続き露出された突起部としてのバンプ13を光学的な位置基準として接合工程を実施する。
【0078】
このように本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、突起部としてのバンプ13をダイシング時の位置基準とするので、第1実施形態に示したダイシング用のアライメントマーク15を不要とすることができる。したがって、上述した製造方法に対して、ウエハ10に対する接着部材16の配置の自由度を向上し、ひいては生産性を向上することも可能である。
【0079】
ただし、ダイシング工程の前に露出工程を実施すると、接着部材16から突起部としてのバンプ13の先端部位が露出した状態でダイシングを実行するので、バンプ13と接着部材16との界面から水が浸入する可能性も否定できない。水の浸入は接着部材16の剥離を引き起こす恐れがある。また、第1実施形態に変形例(図7参照)として示したように、可動部21を有する構成においては、センサとしての機能が低下する恐れもある。今点を考慮すると、好ましくは、ダイシング工程の後に露出工程を実施するほうが良い。
【0080】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0081】
本実施形態においては、2枚の半導体チップとして、センサチップと回路チップの組合せ例を示した。しかしながら、2枚の半導体チップの組合せは上記例に限定されるものではない。例えば、ロジックチップとメモリチップのような組合せでも良い。
【0082】
本実施形態においては、センサチップに対応するウエハにのみ、突起部としてのバンプ又はダミーバンプを形成するとともに接着部材を配置する例を示した。しかしながら、回路チップに対応するウエハに、突起部を形成するとともに接着部材を配置しても良い。また、センサチップと回路チップに対応するウエハのそれぞれに突起部と接着部材を配置しても良い。両者に配置する場合は、バンプをそれぞれに形成し、バンプ同士を接合することで、電極間を電気的に接続するようにしても良い。その際、バンプを突起部としても良い。また、それぞれのウエハにバンプを形成し、一方のウエハのみに接着部材を配置しても良い。
【0083】
本実施形態においては、半導体装置が、2枚の半導体チップを積層し、電気的に接続してなる例を示した。しかしながら、2枚の半導体チップのうち、一方を配線基板に置き換えても良い。このような構成の半導体装置の形成においても、上述した各実施形態を適用することで、同様の効果を得ることができる。なお、配線基板とは、回路チップのように半導体プロセスによって配線部が形成された半導体チップではなく、所謂回路基板である。したがって、突起部の形成は、必然的に1枚の半導体チップに対応するウエハに対してなされる。
【0084】
本実施形態においては、光学的な位置基準となる突起部として、バンプや、バンプと同一材料からなるものの、電気的な接続機能を提供しないダミーバンプを採用する例を示した。しかしながら、突起部は、バンプやダミーバンプに限定されるものではない。ウエハの半導体チップ形成領域における電極形成面から突起し、露出工程において接着部材を突き抜けて露出可能なものであれば、構成材料、形状、電気的な接続機能の有無に関わらず採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、突起部形成工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】接着部材配置工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図3】ダイシング工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図4】露出工程を説明するための断面図であり、(a)が露出前の状態、(b)が露出後の状態を示している。
【図5】接合工程を説明するための断面図であり、(a)が積層前のカメラによる位置決め時、(b)が積層後の接合時を示している。
【図6】半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図7】変形例を示す断面図である。
【図8】第2実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、接合工程を説明するための断面図である。
【図9】第3実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、露出工程及び接合工程を説明するための断面図である。
【図10】第4実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を説明するための断面図であり、(a)は突起部形成工程、(b)は接着部材配置工程、(c)はダイシング工程を示している。
【図11】露出工程を説明するための断面図であり、(a)は露出前の状態、(b)は露出後の状態を示している。
【図12】接合工程を説明するための断面図である
【図13】本実施形態に示す製造方法によって形成される半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】第5実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、露出工程を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0086】
10・・・ウエハ
11・・・電極形成面
12・・・チップ形成領域
13・・・バンプ(突起部)
16・・・接着部材
20・・・センサチップ(半導体チップ)
40・・・回路チップ(半導体チップ)
41・・・電極形成面
52・・・カメラ
60・・・ダミーバンプ(突起部)
100・・・半導体装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の半導体チップ、又は、1枚の半導体チップと配線基板とを、バンプを介して電気的に接続してなる半導体装置の製造方法及び半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚の半導体チップ(例えばセンサチップと回路チップ)、又は、1枚の半導体チップと配線基板とを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法として、アンダーフィルの代わりに、所謂NCF(Non Conductive Film)やNCP(Non Conductive Paste)などの電気絶縁性の接着部材を介して、フリップチップ接続する方法が知られている(例えば特許文献1,2参照)
具体的には、例えばバンプが形成された半導体チップ上に接着部材を配置し、接着部材の配置された半導体チップと他方の半導体チップ(又は配線基板)とを、接着部材を介して積層する。このとき、両半導体チップ(又は半導体チップと配線基板)を加熱状態で互いに圧接することで、半導体装置を形成することができる。
【特許文献1】特開2001−298146号公報
【特許文献2】特開2006−189418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、製造工程を簡素化するために、個々の半導体チップにそれぞれ接着部材を配置するのではなく、ウエハに一括して接着部材を配置することを検討した。この方法によれば、ウエハにおける各半導体チップ形成領域の電極形成面全面に対して接着部材を一括配置(例えば各半導体チップ形成領域を1枚のNCFで被覆)し、その後、ウエハをダイシングして接着部材の配置された複数の半導体チップを得るので、製造工程を簡素化することができる。
【0004】
ところで、半導体チップの電極形成面には、バンプを介して電極間が電気的に精度良く接続されるように、光学的な位置基準(アライメントマーク)が設けられている。接合時には、このアライメントマークをカメラで検出し、半導体チップの位置を微調整した上で、積層を実行する。ところが、上述の方法の場合、アライメントマークが接着部材によって被覆されることとなる。本発明者が確認したところ、接着部材の構成材料によっては、接着部材に被覆されたアライメントマークを検出できない(可視光又は赤外光による認識ができない)ことが明らかとなった。このように、アライメントマークが接着部材によって被覆されていると、電気的な接続信頼性が低下する恐れがある。
【0005】
上記問題を解決するために、積層するまでに、接着部材のアライメントマークに対応する位置に貫通孔や切り欠きなどを形成(ウエハ配置前の状態で形成、ウエハの状態で形成、又は半導体チップの状態で形成)することも考えられる。しかしながら、この方法では、接着部材の配置ずれなどによってアライメントマークが接着部材から露出しない恐れがある。また、接着部材と半導体チップとの接着面積(及び接着部材と他方の半導体チップ又は配線基板との接着面積)が減少し、機械的な接続信頼性が低下する恐れがある。なお、接着部材から突出部を確実に露出させるために貫通孔や切り欠きを大きくするほど、機械的な接続信頼性は低下することとなる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、製造工程を簡素化しつつ、接続信頼性を向上することができる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、2枚の半導体チップを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法であって、少なくとも一方の半導体チップとなるウエハの、半導体チップ形成領域における電極形成面上に、突起部をそれぞれ形成する突起部形成工程と、突起部の形成された少なくとも一方のウエハに対し、突起部を含んで半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する接着部材配置工程と、接着部材の配置されたウエハを、複数の半導体チップに切り分けるダイシング工程と、ダイシング工程後に、間に接着部材を挟むように2枚の半導体チップを積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続する接合工程と、接合工程の前に、接着部材を加圧して、突起部の先端部位を接着部材から露出させる露出工程と、を備え、接合工程において、接着部材から露出させた突起部を光学的な位置基準として接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、2枚の半導体チップを積層することを特徴とする。
【0008】
このように本発明によれば、ウエハの状態で、半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように接着部材を配置し、接着部材の配置されたウエハを切り分けて、接着部材の配置された複数の半導体チップを得るようにしている。したがって、個々の半導体チップに接着部材を配置する方法に比べて、製造工程を簡素化することができる。
【0009】
また、ウエハの状態で、半導体チップ形成領域の電極形成面に光学的な位置基準となる突起部を形成するので、露出工程において、接着部材を加圧することで、突起部の先端部位を接着部材から露出させることができる。
【0010】
また、露出工程を接合工程の前(接合工程を実施するまで)に実施するので、接合時において、突起部を位置基準(アライメントマーク)として接着部材の配置された半導体チップを位置決めすることができ、ひいては電気的な接続信頼性を向上することができる。
【0011】
さらには、突起部の露出に当たって、接着部材を加圧することにより、接着部材から突起部を突き抜けさせて露出させるようにしている。したがって、突起部を確実に露出させることができる。また、突起部を露出させた状態で、突起部の周囲は接着部材によって埋まるので、機械的な接続信頼性を向上することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、半導体チップと配線基板とを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法であって、半導体チップとなるウエハの、半導体チップ形成領域における電極形成面上に、突起部をそれぞれ形成する突起部形成工程と、突起部の形成されたウエハに対し、突起部を含んで半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する接着部材配置工程と、接着部材の配置されたウエハを、複数の半導体チップに切り分けるダイシング工程と、ダイシング工程後に、間に接着部材を挟むように半導体チップと配線基板とを積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続する接合工程と、接合工程の前に、接着部材を加圧して、突起部の先端部位を接着部材から露出させる露出工程と、を備え、接合工程において、接着部材から露出させた突起部を光学的な位置基準として接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、半導体チップと配線基板とを積層することを特徴とする。
【0013】
本発明は、請求項1に記載の発明における2枚の半導体チップのうち、一方を配線基板に置き換えたものであり、その作用効果は、請求項1に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0014】
請求項1又は請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載のように、接着部材配置工程において、接着部材として、フィルム化された接着部材を用いることが好ましい。これによれば、ウエハにおける各半導体チップ形成領域の電極形成面全面を、一括して効率よく被覆することができる。なお、フィルム化された接着部材以外にも、ペースト状の接着部材を、スクリーン印刷法により一括して効率よく配置することも可能である。
【0015】
請求項3に記載の発明において、半導体チップとして、電極形成面に可動部を有するセンサチップを含み、このセンサチップに接着部材を配置する場合には、請求項4に記載のように、接着部材として、可動部と接着部材とが離間するように、可動部に対応して可動部側の面から凹んだ薄肉部が形成されたフィルム化された接着部材を用いると良い。
【0016】
これによれば、接着部材で電極形成面全面を被覆する構成でありながら、可動部(換言すればセンシング部)を適切に作動させることができる。また、可動部を接着部材で覆った状態でダイシングするので、切削屑や水などの異物が可動部に入り込む(付着)するのを抑制し、センサとしての信頼性を高めることができる。
【0017】
請求項1〜4いずれか1項に記載の発明においては、請求項5に記載のように、接合工程において、超音波を併用した熱圧着によって、バンプを介して電極間を電気的に接続することが好ましい。これによれば、低温、低荷重、及び短時間で、バンプと電極をそれぞれ構成する金属を固相拡散させ、電極間を電気的に接続させることができる。
【0018】
請求項1〜5いずれか1項に記載の発明においては、請求項6に記載のように、突起部形成工程において、突起部としてバンプを形成すると良い。これによれば、バンプとは別に突起部を設けなくとも良いので、製造工程をより簡素化することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明においては、請求項7に記載のように、露出工程を、ダイシング工程の前に実施し、バンプを光学的な位置基準として、ダイシング工程において接着部材の配置されたウエハを切り分けるようにしても良い。このように、突起部をダイシング時の位置基準とすることも可能であり、この場合、ダイシング時の位置基準が別途不要となる。
【0020】
しかしながら、ダイシング工程の前に露出工程を実施すると、接着部材から突起部の先端部位が露出した状態でダイシング工程を実行するので、突起部と接着部材との界面から水が浸入する可能性もある。そこで、好ましくは、請求項8に記載のように、露出工程を、ダイシング工程の後に実施すると良い。これによれば、ダイシング時には電極形成面全面が完全に覆われるので、水の浸入を抑制することができる。なお、この場合、突出部とは別にダイシング時の位置基準がウエハに必要となる。ダイシング時の位置基準は、一般的に半導体チップ形成領域と同等の領域である数個の位置基準形成領域に形成されるものであり、このような位置基準形成領域はウエハの端部とされる。したがって、ウエハにおいて、ダイシング時の位置基準が形成された位置基準形成領域を被覆せず、半導体チップ形成領域のみを被覆するように接着部材を配置すれば良い。
【0021】
請求項7又は請求項8に記載の発明においては、請求項9に記載のように、接合工程において、バンプを光学的な位置基準として接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、この位置決め状態で接着部材を加熱して、接着部材から露出するバンプの部位を電極形成面上に配置された接着部材によって再び覆い、バンプが接着部材によって覆われた状態で積層すると良い。
【0022】
これによれば、接合工程において、接着部材の潰れ量を大きくすることができるので、バンプと電極の接合部周辺を接着部材によって効率よく封止する(被覆する)ことができる。また、接着部材と半導体チップ(又は回路チップ)との接着面積を稼ぐことができる。
【0023】
また、接着部材の特性(弾性、粘性)によっては、突起部の先端部位を露出させた後に、接合工程を実施(突起部を検出)する前に、接着部材が突起部の先端部位を再被覆することも考えられる。そこで、請求項8に記載の発明においては、請求項10に記載のように、露出工程において、接着部材が配置された半導体チップに対し、所定波長の光を透過させる透過部材を接着部材配置面側から接触させて加圧し、透過部材が接触した状態で接着部材からバンプの先端部位を露出させ、接合工程において、透過部材を介してバンプを光学的な位置基準として半導体チップを位置決めし、透過部材を除去して接着部材から露出するバンプの部位が電極形成面上に配置された接着部材によって再び覆われた状態で積層するようにしても良い。
【0024】
このように、接着部材の表面に接触させた透過部材ごしに突起部を接着部材から露出させた状態とすることで、突起部を確実に接合時の位置基準とすることができる。また、接合工程において、接着部材の潰れ量を大きくすることができるので、バンプと電極の接合部周辺を接着部材によって効率よく封止する(被覆する)ことができる。さらには、接着部材と半導体チップ(又は回路チップ)との接着面積を稼ぐことができる。
【0025】
請求項1〜5いずれか1項に記載の発明においては、請求項11に記載のように、突起部形成工程において、突起部として、電極間の電気的な接続機能を提供せず、電極形成面からの突起高さがバンプの突起高さ以下であるダミーバンプを形成し、接着部材配置工程において、ダミーバンプ及びバンプを含んで半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように接着部材を配置し、露出工程において、バンプが接着部材から露出しないように、ダミーバンプの先端部位のみを接着部材から露出させても良い。
【0026】
これによっても、バンプ周辺の接着部材の潰れ量を大きくすることができるので、バンプと電極の接合部周辺を接着部材によって効率よく封止する(埋め込む)ことができる。また、接着部材と半導体チップ(又は回路チップ)との接着面積を稼ぐことができる。
【0027】
請求項12及び請求項13に記載の発明は、その作用効果が、それぞれ請求項7及び請求項8に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0028】
なお、請求項14に記載のように、ダミーバンプがバンプと同一材料からなり、突起部形成工程において、ダミーバンプとバンプとを一括形成することが好ましい。これによれば、同一材料を用いてバンプと同時にダミーバンプを形成するので、ダミーバンプを有する構成において、製造工程を簡素化し、製造コストを低減することができる。
【0029】
次に、請求項15及び請求項16に記載の半導体装置は、請求項11〜請求項14に記載の半導体装置の製造方法によって形成されるものである。したがって、その作用効果は、請求項11〜請求項14に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0030】
また、請求項17に記載の発明は、その作用効果が、請求項3に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図5は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。図1は、製造工程のうち、突起部形成工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。図2は、製造工程のうち、接着部材配置工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。図3は、製造工程のうち、ダイシング工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。図4は、露出工程を説明するための断面図であり、(a)が露出前の状態、(b)が露出後の状態を示している。図5は、接合工程を説明するための断面図であり、(a)が積層前のカメラによる位置決め時、(b)が積層後の接合時を示している。図6は、半導体装置の概略構成を示す断面図である。なお、図4〜図6に示す半導体チップは、図3(b)に対応している。
【0032】
本実施形態に係る半導体装置は、物理量の変化に応じた信号を出力するセンサチップとセンサチップの信号処理回路が形成された回路チップとの2枚の半導体チップを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続してなるものである。
【0033】
先ず、突起部形成工程として、各チップに対応する2枚のウエハのうち、少なくとも一方のウエハの、チップ形成領域における電極形成面上に、光学的な位置基準となる突起部をそれぞれ形成する。なお、電極形成面とは、半導体装置の状態で、バンプを介して電気的に接続される電極が形成される表面を示している。
【0034】
本実施形態においては、一例として、センサチップに対応するウエハのみに突起部を形成する。具体的には、図1(a),(b)に示すように、センサチップに対応して複数の検出部が形成されたウエハ10の電極形成面11上であって、センサチップの形成領域12(以下チップ形成領域12と示す)の図示しない電極上に、金属材料からなるバンプ13を形成する。このバンプ13は、センサチップと回路チップとを電気的に接続する機能だけでなく、本実施形態においては、光学的な位置基準(すなわちアライメントマーク)となる突起部としての機能も果たすものである。
【0035】
なお、本実施形態においては、図1(a)に示すように、1つのチップ形成領域12に対して、突起部として4つのバンプ13を形成する。しかしながら、突起部の個数は、光学的な位置基準となる個数であれば良く、上記例に限定されるものではない。また、図1(a)に示す符号14は、ダイシング時の光学的な位置基準が形成される位置基準形成領域14であり、符号15は、ダイシング用のアライメントマークである。なお、図1(a)に示すように、チップ形成領域とならない端部領域が位置基準形成領域14とされる。この位置基準形成領域14とアライメントマーク15の個数は限定されるものではなく、アライメントマーク15の形状も特に限定されるものではない。
【0036】
次に、接着部材配置工程として、突起部の形成された少なくとも一方のウエハに対し、突起部を含んでチップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する。本実施形態においては、センサチップに対応するウエハ10のみに突起部としてのバンプ13を形成するので、ウエハ10にのみ接着部材を配置する。具体的には、図2(a),(b)に示すように、ダイシング用のアライメントマーク15を被覆しないように、アライメントマーク15よりも中央領域であるチップ形成領域12の電極形成面全面上に、接着部材16を配置する。
【0037】
接着部材16としては、所謂NCF(Non Conductive Film)やNCP(Non Conductive Paste)などの電気絶縁性の接着部材を採用することができる。本実施形態においては、エポキシ樹脂を主成分とし、無機フィラーなどが添加されたNCFを採用しており、このフィルム状の接着部材16をウエハ10に接着固定する。このように、フィルム状の接着部材16を採用すると、図2(a)に示すように、ウエハ10における各チップ形成領域12の電極形成面全面を、一括して効率よく被覆することができる。また、ペースト状の接着部材に比べて、製造工程を簡素化することができる。なお、ウエハ10の電極形成面11上に配置された接着部材16の平面形状は、図2(a)に示す形状(八角形)に限定されるものではない。
【0038】
次に、ダイシング工程として、接着部材の配置されたウエハを、複数の半導体チップに切り分ける。本実施形態においては、センサチップに対応するウエハ10をダイシングする。これにより、図3(a),(b)に示すように、突起部としてのバンプ13を含んで電極形成面11全面が被覆されたセンサチップ20が形成される。
【0039】
次に、露出工程として、電極形成面上に配置された接着部材を加圧して、突起部の先端部位を接着部材から露出させる。本実施形態においては、図4(a)に示すように、接着部材16の配置されたセンサチップ20を、接着部材16を接触面として平板状の加圧冶具30上に配置する。そして、この配置状態で、接着部材16の配置面(電極形成面)の裏面側からセンサチップ20に圧力を印加する。これにより、センサチップ20が加圧冶具30側に押し付けられ、センサチップ20と加圧冶具30とにより接着部材16が圧力を受ける。接着部材16は、少なくとも硬化前の状態で突起部としてのバンプ13よりも柔らかいので、圧力を受けてセンサチップ20の厚さ方向に垂直な方向に変形する。そして、突起部としてバンプ13は、接着部材16を突き抜ける。本実施形態においては、バンプ13の突起先端が接着部材16と略面一となった状態(露出状態)で加圧を終了とする。これにより、図4(b)に示すように、接着部材16から突起部としてのバンプ13の先端部位が露出されたセンサチップ20が準備される。
【0040】
次に、接合工程として、間に接着部材を挟むように2枚の半導体チップを積層し、バンプを介して電極間を電気的に接続する。この接合工程においては、接着部材から露出させた突起部を光学的な位置基準として接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、2枚の半導体チップを積層する。本実施形態においては、位置決め精度が高く、超音波振動印加機能を備えることから、フリップチップボンダを用いて接合工程を実施するものとする。
【0041】
具体的には、図5(a)に示すように、センサチップ20を、フリップチップボンダのヘッド50に接着部材配置面(電極形成面11)の裏面を固定面として固定する。また、別途準備された回路チップ40を、フリップチップボンダのステージ51上に、電極形成面41の裏面を接触面として固定する。次に、例えば上下を同時に認識する赤外線式又は可視光線式のカメラ52を、センサチップ20と回路チップ40との間に移動させて、センサチップ20と回路チップ40の位置を検出する。そして検出結果に基づく位置補正量を算出し、補正量分ヘッド50を移動させて、センサチップ20と回路チップ40との位置を補正する。以上が位置決めである。
【0042】
この位置決めが終了した後、ヘッド50を下降させ、ヘッド50に固定したセンサチップ20のバンプ13とステージ51に固定した回路チップ40の図示しない電極とを接触させ、バンプ13と電極とを接合する。この接合方法は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、超音波併用の熱圧着を採用する。具体的には、熱圧着の状態で超音波振動をヘッド50に印加する。これにより、バンプ13を構成する金属と電極(図示せず)を構成する金属とが固相拡散層を形成し、図5(b)に示すように、バンプ13を介してセンサチップ20と回路チップ40とが電気的に接続される。また、熱圧着時の熱によって接着部材16が軟化するので、接着部材16に対して、センサチップ20及び回路チップ40が、それぞれ機械的に接続される。このように、超音波併用熱圧着を採用すると、低温、低荷重、及び短時間で、電極間を電気的に接続させることができる。そして、必要に応じて接着部材16の硬化処理をおこなうことで、図6に示す半導体装置100が形成される。
【0043】
このように本実施形態に係る半導体装置100の製造方法によれば、ウエハ10の状態で、チップ形成領域12の電極形成面全面を覆うように接着部材16を配置し、接着部材16の配置されたウエハ10を切り分けて、接着部材16の配置された複数のセンサチップ20(半導体チップ)を得るようにしている。したがって、個々のセンサチップ20に接着部材16を配置する方法に比べて、製造工程を簡素化(生産効率を向上)することができる。
【0044】
また、ウエハ10の状態で、チップ形成領域12の電極形成面11に、光学的な位置基準となる突起部としてのバンプ13を形成するので、露出工程において、接着部材16を加圧することで、突起部としてのバンプ13の先端部位を接着部材16から露出させることができる。
【0045】
また、露出工程を接合工程の前(接合工程を実施するまで)に実施するので、接合時において、突起部としてのバンプ13を位置基準として接着部材16の配置されたセンサチップ20を位置決めすることができ、ひいては電気的な接続信頼性を向上することができる。
【0046】
また、突起部としてのバンプ13の露出に当たって、接着部材16を加圧することにより、接着部材16からバンプ13を突き抜けさせて露出させるようにしている。したがって、バンプ13を確実に露出させることができる。また、バンプ13を露出させた状態(突き抜けさせた状態)で、バンプ13の周囲は接着部材16によって埋まるので、接着面積を稼ぐことができ、ひいては機械的な接続信頼性を向上することができる。
【0047】
また、突起部としてバンプ13を形成するので、製造工程をより簡素化することができる。
【0048】
また、ダイシング時において、ウエハ10のチップ形成領域12の電極形成面全面が接着部材16によって被覆されている。したがって、ダイシング時に生じる異物(切屑や水)の、ウエハ10と接着部材16との界面への入り込みを抑制することができる。すなわち、例えば接着部材16の剥離を抑制することができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、センサチップ20(ウエハ10)に接着部材16を配置する例を示した。しかしながら、回路チップ40(対応するウエハ)に接着部材16を配置しても良いし、2つの半導体チップ20,40(対応するウエハ)にそれぞれ接着部材16を配置しても良い。
【0050】
また、本実施形態においては、接着部材16の配置されたセンサチップ20をフリップチップボンダのヘッド50に固定し、回路チップ40をステージ51に固定する例を示した。しかしながら、接着部材16の配置されたセンサチップ20をステージ51に固定し、回路チップ40をヘッド50に固定しても良い。
【0051】
また、本実施形態においては、カメラ52として、上下を同時に認識する構成のものを示した。しかしながら、センサチップ20と回路チップ40とでカメラを分けても良い。
【0052】
なお、本実施形態においては、センサチップ20の種類を特に限定しなかった。例えば、図7に示すように、センサチップ20が電極形成面11に可動梁(可動電極)などの可動部21を有し、このセンサチップ20に本実施形態同様接着部材16を配置する場合には、可動部21と接着部材16とが離間するように、可動部21に対応して凹部17が形成され、可動部側の面から凹んだ薄肉部が構成されたフィルム状の接着部材16を用いると良い。これによれば、接着部材16で電極形成面全面を被覆する構成でありながら、可動部21(換言すればセンシング部)を適切に作動させることができる。また、可動部21を接着部材16で覆った状態でダイシングするので、切屑や水などの異物が可動部に入り込む(付着)するのを抑制し、センサとしての信頼性を高めることができる。なお、可動部21を有するセンサチップ20としては、容量式の加速度センサや角速度センサが構成されたチップがある。本実施形態に示す製造方法を適用した場合、上述の凹部17はウエハ10に配置する前に接着部材16に形成しておく必要がある。また、回路チップ40に接着部材16を配置する場合には、ウエハに配置後の加工によっても形成することができる。このような凹部17の形成については、本出願人による特開2006−189418号公報を参照されたい。図7は、変形例を示す断面図である。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図8に基づいて説明する。図8は、第2実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、接合工程を説明するための断面図である。
【0054】
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0055】
第1実施形態においては、露出工程で突出部としてのバンプ13の先端部位を接着部材16から露出させた状態で、接合を実施する例を示した。これに対し、本実施形態においては、接合工程において、突起部としてのバンプ13を光学的な位置基準として接着部材16が配置されたセンサチップ20(半導体チップ)を位置決めした後、センサチップ20と回路チップ40とを積層する前に、この位置決め状態で接着部材16を加熱して軟化させ、図8に示すように、バンプ13の先端部位が電極形成面上に配置された接着部材16によって再び覆われた状態とする。そして、バンプ13が接着部材16によって被覆された状態で、センサチップ20と回路チップ40とを積層し、バンプ13と電極とを接合する。
【0056】
このように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、突起部としてのバンプ13を位置基準としてセンサチップ20と回路チップ40との位置を調整した後、接着部材16によってバンプ13が覆われた状態として接合する。したがって、バンプ13の先端上に接着部材16を配置するので、センサチップ20に形成されたバンプ13を回路チップ40の電極に接触させて接合させるまでの接着部材16の押し込み量(潰れ量)を大きくすることができる。その結果、バンプ13と電極の接合部周辺に接着部材16が行きわたりやすくなり、接着部材16によって接合部を効率よく封止する(被覆する)ことができる。また、接着部材16とセンサチップ20との接着面積、接着部材16と回路チップ40との接着面積を稼ぐことができる。
【0057】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図9に基づいて説明する。図9は、第3実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、露出工程及び接合工程を説明するための断面図である。
【0058】
第3実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0059】
第1実施形態においては、露出工程が完了し、加圧冶具30を除去した状態で、接合工程を実施する例を示した。しかしながら、接着部材16の特性(弾性、粘性)によっては、一度突出部としてのバンプ13を露出させても、接合工程の位置決めまでに接着部材16が元に戻って、バンプ13が再度被覆されることも考えられる。そこで、本実施形態においては、図9に示すように、接着部材16の配置されたセンサチップ20を、接着部材16を接触面として加圧冶具としての所定波長の光(可視光又は赤外光)を透過させる透過部材31上に配置する。そして、この配置状態で、接着部材16の配置面(電極形成面)の裏面側からセンサチップ20に圧力を印加する。これにより、透過部材31が接触した状態で接着部材16からバンプ13の先端部位が露出する。そして、接着部材16への加圧を保持した状態(すなわち透過部材31を接着部材16に接触された状態)で、透過部材31を介してバンプ13を光学的な位置基準としてセンサチップ20と回路チップ40とを位置決めする。位置決め後は、透過部材31を除去して接着部材16から露出するバンプ13の先端部位が電極形成面上に配置された接着部材16によって再び覆われるまで待ち、再被覆された状態でセンサチップ20と回路チップ40とを積層して、バンプ13と電極とを接合する。
【0060】
なお、透過部材31としては、カメラ52にて突起部としてのバンプ13を検出すべく、所定波長の光(可視光又は赤外光)を透過させるものであれば採用が可能である。例えば、ガラスなどの無機材料やアクリルなどの有機材料を採用することができる。
【0061】
また、本実施形態においては、第1実施形態同様、ヘッド50に固定されたセンサチップ20の位置を調整するので、ヘッド50を加圧冶具の一部とし、接着部材16への圧力が変化しないようにヘッド50に合わせて透過部材31も移動する構成となっている。
【0062】
このように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、加圧冶具として透過部材31を用いるので、透過部材31を接着部材16に接触させ、接着部材16を加圧した状態で、透過部材31ごしに突起部としてのバンプ13を検出することができる。すなわち、バンプ13を確実に露出状態(接合時の位置基準)とすることができる。
【0063】
また、本実施形態においても、位置決め後にバンプ13を再被覆し、バンプ13の先端上に接着部材16を配置されるので、センサチップ20に形成されたバンプ13を回路チップ40の電極に接触させて接合させるまでの接着部材16の押し込み量(潰れ量)を大きくすることができる。その結果、バンプ13と電極の接合部周辺に接着部材16が行きわたりやすくなり、接着部材16によって接合部を効率よく封止する(被覆する)ことができる。また、接着部材16とセンサチップ20との接着面積、接着部材16と回路チップ40との接着面積を稼ぐことができる。
【0064】
なお、本実施形態に示した製造方法に対して第2実施形態に示した製造方法を組み合わせることも可能である。すなわち、透過部材31を除去した後、接着部材16を加熱することで、再被覆を早めるようにしても良い。
【0065】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図10〜図13に基づいて説明する。図10は、第4実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を説明するための断面図であり、(a)は突起部形成工程、(b)は接着部材配置工程、(c)はダイシング工程を示している。図11は、露出工程を説明するための断面図であり、(a)は露出前の状態、(b)は露出後の状態を示している。図12は、接合工程を説明するための断面図である。図13は、本実施形態に示す製造方法によって形成される半導体装置の概略構成を示す断面図である。なお、各断面図は、第1実施形態に示した断面図に対応している。
【0066】
第4実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態〜第3実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0067】
上述した各実施形態においては、バンプ13を光学的な位置基準である突起部とし、第2実施形態及び第3実施形態においては、位置決め後に突起部(バンプ13)を再被覆して、センサチップ20と回路チップ40とを積層する例を示した。
【0068】
これに対し、本実施形態においては、先ず図10(a)に示すように、突起部形成工程において、突起部として、電極間の電気的な接続機能を提供せず、電極形成面11からの突起高さがバンプ13の突起高さ以下(本実施形態においては略等しい高さ)であるダミーバンプ60を、バンプ13よりもチップ形成領域12の外周側に形成する。このように、電極形成面11からの突起高さを、ダミーバンプ60とバンプ13とで等しくするか、ダミーバンプ60のほうが低い構成とすると、ダミーバンプ60の邪魔がなく、接合時にバンプ13を回路チップ40の電極に効率よく接触させることができる。
【0069】
なお、本実施形態においては、ダミーバンプ60とバンプ13とを一括形成するようにしている。このように、同一材料を用いてバンプ13と同時にダミーバンプ60を形成すると、ダミーバンプ60を有する構成において、製造工程を簡素化し、製造コストを低減することができる。
【0070】
次に、図10(b)に示すように、接着部材配置工程において、ダミーバンプ60及びバンプ13を含んでチップ形成領域12の電極形成面全面を覆うように接着部材16を配置し、接着部材16の配置されたウエハ10をダイシングして、図10(c)に示すように、センサチップ20(半導体チップ)を得る。
【0071】
次に、露出工程を実施する。このとき、バンプ13が接着部材16から露出しないように、ダミーバンプ60の先端部位のみを接着部材16から露出させる。このような構造を実現するための方法としては、例えば、図11(a)に示すように、加圧冶具として、ダミーバンプ60よりも中央側に形成されたバンプ13に対応して凹部33の形成された加圧冶具32を用いれば良い。この凹部33によって、接着部材16を加圧しない状態で、接着部材16のバンプ13上の部位(本実施形態においては、バンプ13を含む中央領域の部位)が加圧冶具32と接触していない状態にある。これに対し、接着部材16のダミーバンプ60上の部位(本実施形態においては、ダミーバンプ60を含む外周領域の部位)は加圧冶具32と接触している。したがって、接着部材16を加圧すると、接着部材16は加圧冶具32に沿って変形し、図11(b)に示すように、バンプ13は露出されず、ダミーバンプ60の先端部位が露出された構造となる。すなわち、接着部材16の電極形成面からの厚さが、外周領域では薄く、バンプ13を含む中央領域ではそれよりも厚くなる。
【0072】
次に、接合工程を実施する。このとき、上述したように、バンプ13は被覆されているので、センサチップ20に形成されたバンプ13を回路チップ40の電極に接触させて接合させるまでの接着部材16の押し込み量(潰れ量)を大きくすることができる。その結果、バンプ13と電極の接合部周辺に接着部材16が行きわたりやすくなり、接着部材16によって接合部を効率よく封止する(被覆する)ことができる。また、軟化した接着部材16は、バンプ13よりも外周側に広がるので、図12に示すように、接着部材16とセンサチップ20との接着面積、接着部材16と回路チップ40との接着面積を稼ぐことができる。
【0073】
このように本実施形態に示す製造方法によれば、図13に示すように、センサチップ20と回路チップ40の2枚の半導体チップが、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面11,41を対向させて積層され、電極間がバンプ13を介して電気的に接続された半導体装置100を形成することができる。この半導体装置100は、より詳しくは、半導体チップ20,40のうち、少なくとも一方の電極形成面上(本実施形態においてはセンサチップ20の電極形成面11上)には、電極間の電気的な接続機能を提供せず、電極形成面からの突起高さがバンプ13の突起高さ以下であるダミーバンプ60が設けられ、半導体チップ20,40の間には、それぞれの電極形成面と接し、且つ、半導体チップ20,40の少なくとも一方の電極形成面であってバンプ13及びダミーバンプ60との接触部位を除く部位を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材16が設けられ、バンプ13とダミーバンプ60の周囲が、接着部材16によって被覆されている。
【0074】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図14に基づいて説明する。図14は、第5実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、露出工程を説明するための断面図であり、(a)は露出前の状態、(b)は露出後の状態を示している。なお、図15に示す断面図は、第1実施形態に示した断面図に対応している。
【0075】
第5実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0076】
上述した各実施形態においては、ダイシング工程の後であって接合工程の前に露出工程を実施する例を示した。すなわち、センサチップ20(半導体チップ)の状態で、接着部材16から突起部であるバンプ13又はダミーバンプ60を露出させる例を示した。これに対し、本実施形態においては、接着部材配置工程の後であって、ダイシング工程の前に露出工程を実施する点を特徴とする。
【0077】
例えば第1実施形態同様、センサチップ20に対応するウエハ10に、接着部材16を配置した後、第1実施形態に示した露出工程を、図14(a),(b)に示すようにウエハ10に対して実施する。より詳しくは、第1実施形態同様の加圧冶具30上に、接着部材16を接触させてウエハ10を配置し、ウエハ10を加圧することで、図14(b)に示すように、突起部としてのバンプ13の先端部位を接着部材16から露出させた構造とすることができる。そして、露出された突起部としてのバンプ13を光学的な位置基準として、ウエハ10をダイシングし、引き続き露出された突起部としてのバンプ13を光学的な位置基準として接合工程を実施する。
【0078】
このように本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、突起部としてのバンプ13をダイシング時の位置基準とするので、第1実施形態に示したダイシング用のアライメントマーク15を不要とすることができる。したがって、上述した製造方法に対して、ウエハ10に対する接着部材16の配置の自由度を向上し、ひいては生産性を向上することも可能である。
【0079】
ただし、ダイシング工程の前に露出工程を実施すると、接着部材16から突起部としてのバンプ13の先端部位が露出した状態でダイシングを実行するので、バンプ13と接着部材16との界面から水が浸入する可能性も否定できない。水の浸入は接着部材16の剥離を引き起こす恐れがある。また、第1実施形態に変形例(図7参照)として示したように、可動部21を有する構成においては、センサとしての機能が低下する恐れもある。今点を考慮すると、好ましくは、ダイシング工程の後に露出工程を実施するほうが良い。
【0080】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0081】
本実施形態においては、2枚の半導体チップとして、センサチップと回路チップの組合せ例を示した。しかしながら、2枚の半導体チップの組合せは上記例に限定されるものではない。例えば、ロジックチップとメモリチップのような組合せでも良い。
【0082】
本実施形態においては、センサチップに対応するウエハにのみ、突起部としてのバンプ又はダミーバンプを形成するとともに接着部材を配置する例を示した。しかしながら、回路チップに対応するウエハに、突起部を形成するとともに接着部材を配置しても良い。また、センサチップと回路チップに対応するウエハのそれぞれに突起部と接着部材を配置しても良い。両者に配置する場合は、バンプをそれぞれに形成し、バンプ同士を接合することで、電極間を電気的に接続するようにしても良い。その際、バンプを突起部としても良い。また、それぞれのウエハにバンプを形成し、一方のウエハのみに接着部材を配置しても良い。
【0083】
本実施形態においては、半導体装置が、2枚の半導体チップを積層し、電気的に接続してなる例を示した。しかしながら、2枚の半導体チップのうち、一方を配線基板に置き換えても良い。このような構成の半導体装置の形成においても、上述した各実施形態を適用することで、同様の効果を得ることができる。なお、配線基板とは、回路チップのように半導体プロセスによって配線部が形成された半導体チップではなく、所謂回路基板である。したがって、突起部の形成は、必然的に1枚の半導体チップに対応するウエハに対してなされる。
【0084】
本実施形態においては、光学的な位置基準となる突起部として、バンプや、バンプと同一材料からなるものの、電気的な接続機能を提供しないダミーバンプを採用する例を示した。しかしながら、突起部は、バンプやダミーバンプに限定されるものではない。ウエハの半導体チップ形成領域における電極形成面から突起し、露出工程において接着部材を突き抜けて露出可能なものであれば、構成材料、形状、電気的な接続機能の有無に関わらず採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、突起部形成工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】接着部材配置工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図3】ダイシング工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図4】露出工程を説明するための断面図であり、(a)が露出前の状態、(b)が露出後の状態を示している。
【図5】接合工程を説明するための断面図であり、(a)が積層前のカメラによる位置決め時、(b)が積層後の接合時を示している。
【図6】半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図7】変形例を示す断面図である。
【図8】第2実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、接合工程を説明するための断面図である。
【図9】第3実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、露出工程及び接合工程を説明するための断面図である。
【図10】第4実施形態に係る半導体装置の製造工程の一部を説明するための断面図であり、(a)は突起部形成工程、(b)は接着部材配置工程、(c)はダイシング工程を示している。
【図11】露出工程を説明するための断面図であり、(a)は露出前の状態、(b)は露出後の状態を示している。
【図12】接合工程を説明するための断面図である
【図13】本実施形態に示す製造方法によって形成される半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】第5実施形態に係る半導体装置の製造工程のうち、露出工程を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0086】
10・・・ウエハ
11・・・電極形成面
12・・・チップ形成領域
13・・・バンプ(突起部)
16・・・接着部材
20・・・センサチップ(半導体チップ)
40・・・回路チップ(半導体チップ)
41・・・電極形成面
52・・・カメラ
60・・・ダミーバンプ(突起部)
100・・・半導体装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の半導体チップを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して前記電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法であって、
少なくとも一方の前記半導体チップとなるウエハの、半導体チップ形成領域における前記電極形成面上に、突起部をそれぞれ形成する突起部形成工程と、
前記突起部の形成された少なくとも一方の前記ウエハに対し、前記突起部を含んで前記半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する接着部材配置工程と、
前記接着部材の配置されたウエハを、複数の前記半導体チップに切り分けるダイシング工程と、
前記ダイシング工程後に、間に前記接着部材を挟むように前記2枚の半導体チップを積層し、前記バンプを介して前記電極間を電気的に接続する接合工程と、
前記接合工程の前に、前記接着部材を加圧して、前記突起部の先端部位を前記接着部材から露出させる露出工程と、を備え、
前記接合工程において、前記接着部材から露出させた前記突起部を光学的な位置基準として前記接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、前記2枚の半導体チップを積層することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体チップと配線基板とを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して前記電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法であって、
前記半導体チップとなるウエハの、半導体チップ形成領域における前記電極形成面上に、突起部をそれぞれ形成する突起部形成工程と、
前記突起部の形成されたウエハに対し、前記突起部を含んで前記半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する接着部材配置工程と、
前記接着部材の配置された前記ウエハを、複数の前記半導体チップに切り分けるダイシング工程と、
前記ダイシング工程後に、間に前記接着部材を挟むように前記半導体チップと前記配線基板とを積層し、前記バンプを介して前記電極間を電気的に接続する接合工程と、
前記接合工程の前に、前記接着部材を加圧して、前記突起部の先端部位を前記接着部材から露出させる露出工程と、を備え、
前記接合工程において、前記接着部材から露出させた前記突起部を光学的な位置基準として前記接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、前記半導体チップと前記配線基板とを積層することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記接着部材配置工程において、前記接着部材として、フィルム化された接着部材を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体チップとして、前記電極形成面に可動部を有するセンサチップを含み、
前記フィルム化された接着部材として、前記可動部と前記接着部材とが離間するように、前記可動部に対応して前記可動部側の面から凹んだ薄肉部が形成された接着部材を用いることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記接合工程において、超音波を併用した熱圧着によって、前記バンプを介して前記電極間を電気的に接続することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記突起部形成工程において、前記突起部として前記バンプを形成することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記露出工程を、前記ダイシング工程の前に実施し、
前記バンプを光学的な位置基準として、前記ダイシング工程において前記接着部材の配置されたウエハを切り分けることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記露出工程を、前記ダイシング工程の後に実施することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記接合工程において、前記バンプを光学的な位置基準として前記接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、この位置決め状態で前記接着部材を加熱して、前記接着部材から露出する前記バンプの部位を前記電極形成面上に配置された前記接着部材によって再び覆い、前記バンプが前記接着部材によって覆われた状態で積層することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記露出工程において、前記接着部材が配置された半導体チップに対し、所定波長の光を透過させる透過部材を接着部材配置面側から接触させて加圧し、前記透過部材が接触した状態で前記接着部材からバンプの先端部位を露出させ、
前記接合工程において、前記透過部材を介して前記バンプを光学的な位置基準として前記半導体チップを位置決めし、前記透過部材を除去して前記接着部材から露出する前記バンプの部位が前記電極形成面上に配置された前記接着部材によって再び覆われた状態で積層することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記突起部形成工程において、前記突起部として、前記電極間の電気的な接続機能を提供せず、前記電極形成面からの突起高さが前記バンプの突起高さ以下であるダミーバンプを形成し、
前記接着部材配置工程において、前記ダミーバンプ及び前記バンプを含んで前記半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように前記接着部材を配置し、
前記露出工程において、前記バンプが前記接着部材から露出しないように、前記ダミーバンプの先端部位のみを前記接着部材から露出させることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記露出工程を、前記ダイシング工程の前に実施し、
前記ダミーバンプを光学的な位置基準として、前記ダイシング工程において前記接着部材の配置されたウエハを切り分けることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記露出工程を、前記ダイシング工程の後に実施することを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記ダミーバンプは前記バンプと同一材料からなり、
前記突起部形成工程において、前記ダミーバンプと前記バンプとを一括形成することを特徴とする請求項11〜13いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
2枚の半導体チップが、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層され、前記電極間がバンプを介して電気的に接続された半導体装置であって、
少なくとも一方の前記半導体チップの電極形成面上には、前記電極間の電気的な接続機能を提供せず、前記電極形成面からの突起高さが前記バンプの突起高さ以下であるダミーバンプが設けられ、
前記半導体チップの間には、それぞれの電極形成面と接し、且つ、少なくとも一方の前記半導体チップの電極形成面であって前記バンプ及び前記ダミーバンプとの接触部位を除く部位を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材が設けられ、
前記バンプと前記ダミーバンプの周囲が、前記接着部材によって被覆されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
半導体チップと配線基板とが、相対する位置に電極がそれぞれ形成された表面を対向させて積層され、前記電極間がバンプを介して電気的に接続された半導体装置であって、
前記半導体チップの電極形成面上には、前記電極間の電気的な接続機能を提供せず、前記電極形成面からの突起高さが前記バンプの突起高さ以下であるダミーバンプが設けられ、
前記半導体チップと前記配線基板との間には、それぞれの電極形成面と接し、且つ、前記半導体チップの電極形成面であって前記バンプ及び前記ダミーバンプとの接触部位を除く部位を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材が設けられ、
前記バンプと前記ダミーバンプの周囲が、前記接着部材によって被覆されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
前記接着部材は、フィルム化された接着部材であることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の半導体装置。
【請求項1】
2枚の半導体チップを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して前記電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法であって、
少なくとも一方の前記半導体チップとなるウエハの、半導体チップ形成領域における前記電極形成面上に、突起部をそれぞれ形成する突起部形成工程と、
前記突起部の形成された少なくとも一方の前記ウエハに対し、前記突起部を含んで前記半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する接着部材配置工程と、
前記接着部材の配置されたウエハを、複数の前記半導体チップに切り分けるダイシング工程と、
前記ダイシング工程後に、間に前記接着部材を挟むように前記2枚の半導体チップを積層し、前記バンプを介して前記電極間を電気的に接続する接合工程と、
前記接合工程の前に、前記接着部材を加圧して、前記突起部の先端部位を前記接着部材から露出させる露出工程と、を備え、
前記接合工程において、前記接着部材から露出させた前記突起部を光学的な位置基準として前記接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、前記2枚の半導体チップを積層することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体チップと配線基板とを、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層し、バンプを介して前記電極間を電気的に接続してなる半導体装置の製造方法であって、
前記半導体チップとなるウエハの、半導体チップ形成領域における前記電極形成面上に、突起部をそれぞれ形成する突起部形成工程と、
前記突起部の形成されたウエハに対し、前記突起部を含んで前記半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材を配置する接着部材配置工程と、
前記接着部材の配置された前記ウエハを、複数の前記半導体チップに切り分けるダイシング工程と、
前記ダイシング工程後に、間に前記接着部材を挟むように前記半導体チップと前記配線基板とを積層し、前記バンプを介して前記電極間を電気的に接続する接合工程と、
前記接合工程の前に、前記接着部材を加圧して、前記突起部の先端部位を前記接着部材から露出させる露出工程と、を備え、
前記接合工程において、前記接着部材から露出させた前記突起部を光学的な位置基準として前記接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、前記半導体チップと前記配線基板とを積層することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記接着部材配置工程において、前記接着部材として、フィルム化された接着部材を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体チップとして、前記電極形成面に可動部を有するセンサチップを含み、
前記フィルム化された接着部材として、前記可動部と前記接着部材とが離間するように、前記可動部に対応して前記可動部側の面から凹んだ薄肉部が形成された接着部材を用いることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記接合工程において、超音波を併用した熱圧着によって、前記バンプを介して前記電極間を電気的に接続することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記突起部形成工程において、前記突起部として前記バンプを形成することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記露出工程を、前記ダイシング工程の前に実施し、
前記バンプを光学的な位置基準として、前記ダイシング工程において前記接着部材の配置されたウエハを切り分けることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記露出工程を、前記ダイシング工程の後に実施することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記接合工程において、前記バンプを光学的な位置基準として前記接着部材が配置された半導体チップを位置決めし、この位置決め状態で前記接着部材を加熱して、前記接着部材から露出する前記バンプの部位を前記電極形成面上に配置された前記接着部材によって再び覆い、前記バンプが前記接着部材によって覆われた状態で積層することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記露出工程において、前記接着部材が配置された半導体チップに対し、所定波長の光を透過させる透過部材を接着部材配置面側から接触させて加圧し、前記透過部材が接触した状態で前記接着部材からバンプの先端部位を露出させ、
前記接合工程において、前記透過部材を介して前記バンプを光学的な位置基準として前記半導体チップを位置決めし、前記透過部材を除去して前記接着部材から露出する前記バンプの部位が前記電極形成面上に配置された前記接着部材によって再び覆われた状態で積層することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記突起部形成工程において、前記突起部として、前記電極間の電気的な接続機能を提供せず、前記電極形成面からの突起高さが前記バンプの突起高さ以下であるダミーバンプを形成し、
前記接着部材配置工程において、前記ダミーバンプ及び前記バンプを含んで前記半導体チップ形成領域の電極形成面全面を覆うように前記接着部材を配置し、
前記露出工程において、前記バンプが前記接着部材から露出しないように、前記ダミーバンプの先端部位のみを前記接着部材から露出させることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記露出工程を、前記ダイシング工程の前に実施し、
前記ダミーバンプを光学的な位置基準として、前記ダイシング工程において前記接着部材の配置されたウエハを切り分けることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記露出工程を、前記ダイシング工程の後に実施することを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記ダミーバンプは前記バンプと同一材料からなり、
前記突起部形成工程において、前記ダミーバンプと前記バンプとを一括形成することを特徴とする請求項11〜13いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
2枚の半導体チップが、相対する位置に電極がそれぞれ形成された電極形成面を対向させて積層され、前記電極間がバンプを介して電気的に接続された半導体装置であって、
少なくとも一方の前記半導体チップの電極形成面上には、前記電極間の電気的な接続機能を提供せず、前記電極形成面からの突起高さが前記バンプの突起高さ以下であるダミーバンプが設けられ、
前記半導体チップの間には、それぞれの電極形成面と接し、且つ、少なくとも一方の前記半導体チップの電極形成面であって前記バンプ及び前記ダミーバンプとの接触部位を除く部位を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材が設けられ、
前記バンプと前記ダミーバンプの周囲が、前記接着部材によって被覆されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
半導体チップと配線基板とが、相対する位置に電極がそれぞれ形成された表面を対向させて積層され、前記電極間がバンプを介して電気的に接続された半導体装置であって、
前記半導体チップの電極形成面上には、前記電極間の電気的な接続機能を提供せず、前記電極形成面からの突起高さが前記バンプの突起高さ以下であるダミーバンプが設けられ、
前記半導体チップと前記配線基板との間には、それぞれの電極形成面と接し、且つ、前記半導体チップの電極形成面であって前記バンプ及び前記ダミーバンプとの接触部位を除く部位を覆うように、電気絶縁性を有する接着部材が設けられ、
前記バンプと前記ダミーバンプの周囲が、前記接着部材によって被覆されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
前記接着部材は、フィルム化された接着部材であることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−177364(P2008−177364A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9462(P2007−9462)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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