説明

半導体装置の製造方法

【課題】 誘電率の増加を抑制しながら、しかも平滑な底面を有するトレンチを備えた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 被処理基板上に第1の絶縁膜64を形成する工程と、第1の絶縁膜64上に有機薄膜65を形成する工程と、有機薄膜65上に第2の絶縁膜66を形成する工程と、第1の絶縁膜64と有機薄膜65と第2の絶縁膜66を貫通するビアホール71aを形成する工程と、第2の絶縁膜66上にビアホール71aが埋められように無機系材料からなる犠牲膜68を形成する工程と、犠牲膜68上に所定のパターンを有するレジスト膜69を形成する工程と、レジスト膜69のパターンにしたがって有機薄膜65の上面に達するトレンチ71bを形成する工程と、レジスト膜69および有機薄膜65のうちトレンチ71bに露出した部分を被処理基板から同時に除去する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアルダマシン構造等の溝配線要素を備えた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の製造工程における多層配線の形成にデュアルダマシン法が広く用いられている。図9はデュアルダマシン法による多層配線の形成工程の一例を示す説明図である。最初に、半導体ウエハW(図9においては「Si-sub.」と示す)の表面に銅等からなる下部配線93を形成する。次いで、ウエハW上に下部配線93を覆うように第1絶縁膜94として酸化シリコン膜(SiO2膜)を形成し、さらに第1絶縁膜94上に第1中間膜95として窒化シリコン膜(SiN膜)を形成して、第1中間膜95をパターニングする。この第1中間膜95のパターニングにおいては、後にビアホール99aが形成され、このビアホール99aを用いた溝配線と下部配線93との接続が行われる領域に、下部配線93の幅よりも狭い開口部95aを設ける(図9(a))。
【0003】
次に、第1中間膜95上に第2絶縁膜96としてSiO2膜を形成する。この第2絶縁膜96は、開口部95aがSiO2によって埋められるように形成される(図9(b))。さらに第2絶縁膜96上に第2中間膜97としてSiN膜を形成し、その後に第2中間膜97上にフォトレジスト膜98を形成し、フォトリソグラフィー技術を用いて、フォトレジスト膜98に開口部を形成する。続いて、フォトレジスト膜98をマスクとして第2中間膜97をエッチングすることにより、第2中間膜97に開口部97aを形成する(図9(c))。
【0004】
フォトレジスト膜98を除去した後に、第2中間膜97をエッチングマスクとして用い、また、第1中間膜95をエッチングストッパ層として用いて、第1絶縁膜94と第2絶縁膜96をエッチングする(図9(d))。これにより第1絶縁膜94と第2絶縁膜96にビアホール99aと、トレンチ99bが形成される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−60582号公報(第3段落〜第6段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなデュアルダマシン法を用いた場合には、ビアホール99aを形成するために第1絶縁膜94と第2絶縁膜96との間に形成される第1中間膜95は、第1絶縁膜94や第2絶縁膜96よりも高い誘電率を有しており、このことが近年のLSI等の半導体装置の開発を進める上で問題となっている。例えば、近年のLSI等の半導体装置の開発においては、高速化と低消費電力化等を目的として、第1絶縁膜94および第2絶縁膜96として低誘電率層間絶縁膜、いわゆるlow−k膜(またはlow−ε膜))を用いる開発が進められているが、図9に示す方法では、この第1中間膜95が絶縁層全体(第1絶縁膜94と第1中間膜95と第2絶縁膜96の積層部分)の誘電率を高くしてしまうという問題が生ずる。
【0007】
そこで、このような問題を解決する方法として、図10に示すデュアルダマシン法による多層配線の形成工程が知られている。図10に示す方法では、最初に下部配線81が形成されたウエハWに絶縁膜82を形成し、次いで絶縁膜82にビアホール82aを形成する(図10(a))。次に、絶縁膜82上に反射防止膜等の中間膜83を形成し、さらにこの中間膜83上にフォトレジスト膜84を形成した後に、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜84を露光、現像してパターニングを行う(図10(b))。続いてフォトレジスト膜84をエッチングストッパ層としてウエハWのエッチングを行う。これにより中間膜83と絶縁膜82の上部がエッチングされてビアホール82aと連通したトレンチ82bが形成される(図10(c))。
【0008】
しかし、この図10に示したデュアルダマシン法を用いた場合には、絶縁膜82内に中間膜を形成しないために絶縁膜82がlow−k膜の場合に絶縁膜82の高誘電率化を回避することができる利点はあるものの、トレンチ82bを形成するエッチングの際にトレンチ82の底面85に荒れが生ずることがあり、この荒れを平滑にするための新たな工程が必要となるという問題が生じる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、絶縁膜の誘電率上昇が抑えられ、しかも平滑な底面を有するトレンチを備えた半導体装置を、新たな処理を必要とすることなく製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点によれば、ダマシン構造の溝配線要素を備えた半導体装置の製造方法であって、被処理基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に有機薄膜を形成する工程と、前記有機薄膜上に第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜と前記有機薄膜と前記第2の絶縁膜を貫通するビアホールを形成する工程と、前記第2の絶縁膜上に前記ビアホールが埋められように無機系材料からなる犠牲膜を形成する工程と、前記犠牲膜上に所定のパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜のパターンにしたがって前記有機薄膜の上面に達するトレンチを形成する工程と、前記レジスト膜および前記有機薄膜のうちトレンチに露出した部分を前記被処理基板から同時に除去する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法、が提供される。
【0011】
一観点に係る半導体装置の製造方法は、第1の絶縁膜が多孔質である場合に特に好適に用いられる。但し、このような場合に限定して用いられるものでないことはいうまでもない。またビアホールは、第1の絶縁膜を形成する工程前に被処理基板の表面に形成された所定のパターンを有する下部配線の上に好適に形成される。有機薄膜のうちトレンチに露出した部分を除去する工程にはアッシング処理が好適に用いられ、これによって有機薄膜が除去されたことによって露出する第1の絶縁膜の上面(トレンチの底面)を平滑にすることができる。エッチングマスクがレジスト膜である場合には、有機薄膜とこのレジスト膜とをアッシング処理によって同時に被処理基板から除去することができるために、有機薄膜を絶縁層に導入しても、新たに有機薄膜を除去する工程を必要としない。
【0012】
なお、本発明の半導体装置の製造方法においては、有機薄膜の厚さを50nm以下とすることが好ましく、有機薄膜の比誘電率を3.5以下とすることが好ましい。これにより、絶縁層全体の比誘電率の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
上述の通り、本発明によれば、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜の間に有機薄膜を形成しておくことによって、トレンチの底面が平滑な半導体装置を得ることができる。有機薄膜の厚みが薄く、しかも比誘電率が小さいために、第1の絶縁膜と有機薄膜と第2の絶縁膜を合わせた積層膜全体の比誘電率の増加が抑制される。さらに有機薄膜においてトレンチが形成される部分の除去は、トレンチを形成するためのエッチング処理時に用いられるエッチングマスクの除去と同時に行うことができるために、従来の半導体装置の製造方法と比較して、新たな処理工程を設ける必要がないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ダマシン形成システムの概略構成を示す説明図。
【図2】本発明の実施に用いられるプラズマエッチング/アッシング装置の一例を示す断面図。
【図3】デュアルダマシン構造の溝配線要素を形成する工程を示すフローチャート。
【図4】図3のフローチャートにしたがった溝配線要素の形成過程における絶縁膜等の形態の変化を示す説明図。
【図5】図3のフローチャートにしたがった溝配線要素の形成過程における絶縁膜等の形態の変化を示す別の説明図。
【図6】ダマシン構造の溝配線要素を形成する別の工程を示すフローチャート。
【図7】図6のフローチャートにしたがった溝配線要素の形成過程における絶縁膜等の形態の変化を示す説明図。
【図8】図6のフローチャートにしたがった溝配線要素の形成過程における絶縁膜等の形態の変化を示す別の説明図。
【図9】従来のデュアルダマシン法による多層配線の形成工程の一例を示す説明図。
【図10】従来のデュアルダマシン法による多層配線の形成工程の別の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。ここでは、被処理基板として半導体ウエハを取り上げ、半導体ウエハ上の所定位置にデュアルダマシン構造の溝配線要素を形成する場合について説明する。
【0016】
図1はウエハW上への絶縁膜(層間絶縁膜)の形成や絶縁膜へのビアホール、トレンチの形成に用いられるダマシン形成システムの概略構成を示す説明図である。このダマシン形成システムは、成膜装置100と、レジスト塗布/現像処理装置101と、露光装置102と、プラズマエッチング/アッシング装置103と、膜除去/洗浄処理装置104と、を有しており、図示しない搬送装置によってこれら装置の間でウエハWを搬送することができるようになっている。
【0017】
成膜装置100としては、化学気相蒸着(CVD)法によりウエハWにlow−k膜や有機薄膜等の絶縁膜を形成するCVD装置や、ウエハWに所定の薬液を塗布して絶縁膜を形成するSOD(Spin On Dielectric)装置が挙げられる。
【0018】
レジスト塗布/現像処理装置101は、エッチングマスクとして機能するレジスト膜等を形成するために用いられる。レジスト塗布/現像処理装置101の詳細な構造は図示しないが、レジスト塗布/現像処理装置101では、ウエハWに犠牲膜が成膜され、またウエハWに反射防止膜(BARC)が成膜され、ウエハWにレジスト膜が成膜され、さらに露光装置102において所定のパターンで露光されたレジスト膜が現像処理される。
【0019】
露光装置102は、レジスト膜が形成されたウエハWに所定の回路パターンを露光するために用いられる。プラズマエッチング/アッシング装置103では、後に詳細に説明するように、ウエハW上に形成された種々の膜にビアホールやトレンチを形成するためのエッチング処理が行われ、また、所定の膜がアッシング処理によって除去される。膜除去/洗浄処理装置104では、所定の薬液による処理等によって、デュアルダマシン構造の溝配線を形成するプロセスにおいて不要となった膜や、このプロセスの途中で発生するエッチング残渣等がウエハWから除去され、また使用した薬液を洗い流すリンス処理等が行われる。
【0020】
次にプラズマエッチング/アッシング装置103についてより詳細に説明する。図2はプラズマエッチング/アッシング装置103の概略断面図である。プラズマエッチング/アッシング装置103は、気密に構成された例えばアルミニウムからなるチャンバ11を有している。チャンバ11内には、ウエハWを略水平に支持する支持テーブル12が設けられている。支持テーブル12は、例えば、アルミニウムで構成されている。チャンバ11の底部には排気ポート13が設けられており、この排気ポート13には排気装置14が接続され、排気装置14によってチャンバ11内を所定の真空度まで減圧することができるようになっている。
【0021】
支持テーブル12の上方には、支持テーブル12と平行して対向するようにシャワーヘッド20が設けられている。シャワーヘッド20の下面には多数のガス吐出孔21が設けられており、その上部にはガス導入部20aが設けられている。ガス導入部20aにはガス供給配管22が接続されており、このガス供給配管22の他端には切替バルブ25を介してガス導入部20aへエッチングガスを供給するエッチングガス供給系23とアッシングガスを供給するアッシングガス供給系24とが接続されている。エッチングガス供給系23から供給されるエッチングガスとしては、ハロゲン系ガス(フロロカーボンガス(CxFy)等)、O2ガス、Arガス等、通常この分野で用いられるガスが挙げられる。また、アッシングガス供給系24から供給されるアッシングガスとしてはO2ガスが挙げられる。
【0022】
シャワーヘッド20には、整合器15aを介して第1の高周波電源16aが接続されている。この第1の高周波電源16aは、50〜150MHzの範囲の高周波電力を出力することができ、このように高い周波数電力をシャワーヘッド20に供給することによって、チャンバ11内に好ましい解離状態で、しかも高密度のプラズマを形成することができる。このため、従来よりも低圧条件下のプラズマ処理が可能となる。
【0023】
また、支持テーブル12には、整合器15bを介して第2の高周波電源16bが接続されている。この第2の高周波電源16bは、1〜4MHzの範囲の高周波電力を出力することができ、このような範囲の周波数電力を支持テーブル12に供給することによって、ウエハWに対してダメージを与えることなく、ウエハWに適切なイオン作用を与えることができる。
【0024】
このように支持テーブル12とシャワーヘッド20は一対の電極として機能する。なお、シャワーヘッド20には図示しないローパスフィルタ(LPF)が接続されており、支持テーブル12には図示しないハイパスフィルタ(HPF)が接続されている。
【0025】
次に、このように構成されたダマシン形成システムを用いて、ウエハWに形成された絶縁膜層にデュアルダマシン構造の溝配線要素を形成する方法について説明する。図3はデュアルダマシン構造の溝配線要素を形成する工程を示すフローチャートであり、図4および図5は溝配線要素の形成過程における絶縁膜等の形態の変化を示す説明図である。
【0026】
最初に、バリアメタル層61を介して下部配線(例えば、銅配線)62が形成されている絶縁膜60を備え、絶縁膜60の表面にストッパー膜(例えば、SiN膜、SiC膜)63が形成されているウエハW(ウエハW自体は図示しない)を準備する。このウエハWを成膜装置100に搬入して、そこでストッパー膜63上に第1絶縁膜64(例えば、多孔質low−k膜)を形成する(ステップ1)。この第1絶縁膜64は無機系材料であってもよく、また有機系材料であってもよい。また第1絶縁膜64は、CVD法または塗布法のいずれの方法で形成してもよい。
【0027】
続いて第1絶縁膜64上に有機薄膜65を形成する(ステップ2)。ここで、有機薄膜65としては、第1絶縁膜64と有機薄膜65と後に有機薄膜65上に形成する第2絶縁膜66からなる絶縁層全体の比誘電率を低く抑える観点から、比誘電率が3.5以下の材料を用いることが好ましく、具体的には比誘電率が約3.0の有機系材料が挙げられる。また、有機薄膜65の厚みは同観点からは可能な限り薄くすることが好ましいが、有機薄膜65を形成する再現性を高め、製品の歩留まりを高める観点から、その薄膜化には限界がある。このようなバランスを考慮すると、有機薄膜65の厚さは10nm以上50nm以下とすることが好ましい。有機薄膜65の形成方法としてはSOD法が好適に用いられる。
【0028】
有機薄膜65を形成したら、さらに有機薄膜65上にlow−k膜たる第2絶縁膜66を形成する(ステップ3)。図4(a)はこのステップ3が終了した後の状態を示している。第2絶縁膜66と第1絶縁膜64には同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。以下、第1絶縁膜64と有機薄膜65と第2絶縁膜66が積み重なって形成された絶縁膜を「積層膜70」ということとする。この積層膜70の比誘電率は3.0以下とすることが好ましい。
【0029】
次いで、ウエハWをレジスト塗布/現像処理装置101に搬入し、そこで第2絶縁膜66上に、所定の回路パターンを有し、エッチングマスクとして機能するレジスト膜67を形成する(ステップ4)。このレジスト膜67は、例えば、第2絶縁膜66上に反射防止膜とレジスト膜を逐次形成し、レジスト膜を露光装置102において所定のパターンで露光し、さらに露光されたレジスト膜をレジスト塗布/現像処理装置101において現像処理することによって、形成することができる。図4(b)はこのステップ4が終了した後の状態を示している。
【0030】
続いて、ウエハWをプラズマエッチング/アッシング装置103に搬送し、そこでエッチング処理を行う(ステップ5)。これにより積層膜70を貫通し、ストッパー膜63に達するビアホール71aが形成される。図4(c)はこのステップ5が終了した後の状態を示している。
【0031】
ここで、プラズマエッチング/アッシング装置103におけるエッチング処理について説明する。まず、図示しないゲートバルブを開いて、図4(b)に示す構造のウエハWをチャンバ11内に搬入し、支持テーブル12に載置し、その後に排気装置14によりチャンバ11内を排気し、所定の真空度とする。この状態でチャンバ11内にエッチングガス供給系23から所定のエッチングガスを導入し、シャワーヘッド20と支持テーブル12にそれぞれ所定の周波数の電力を供給する。これによりシャワーヘッド20と支持テーブル12との間にプラズマが発生する。発生したプラズマ中のイオンは支持テーブル12側(ウエハW側)へ引き込まれてエッチング異方性が高められ、レジスト膜67の回路パターンにしたがって積層膜70がエッチングされる。こうして、積層膜70にビアホール71aが形成される。
【0032】
このようにしてビアホール71aが形成されたウエハWは、次に膜除去/洗浄処理装置104に搬送されて、そこで例えば、所定の薬液によってレジスト膜67を剥離処理または溶解処理してウエハWからレジスト膜67を除去する(ステップ6)。このとき使用された薬液はリンス処理によって洗い流される。図4(d)はこのステップ6の終了後の状態を示している。
【0033】
次に、ウエハWはレジスト塗布/現像処理装置101に搬送され、そこでビアホール71aを有する第2絶縁膜66の表面に無機系材料(例えば、Si−O系材料)からなる犠牲膜68を形成する(ステップ7)。このときビアホール71aも犠牲膜68によって埋められる。図4(e)はこのステップ7の終了後の状態を示している。続いて、先に説明したレジスト膜67と同様にして、犠牲膜68上にエッチングマスクとして機能するレジスト膜69を形成する(ステップ8)。ここで、レジスト膜69が有するパターンの幅はビアホール71aの幅よりも広く設定されている。図5(a)はステップ8の終了後の状態を示している。
【0034】
次いで、ウエハWをエッチング/アッシング装置103に搬送し、そこで所定の条件で、エッチングによって削られる溝の深さが有機薄膜65に達するまでエッチング処理を行う(ステップ9)。これによってビアホール71aの上部が、ビアホール71aよりも幅(直径)の広いトレンチ71bとなる。図5(b)はこのステップ9の終了後の状態を示している。トレンチ71bを形成する際の処理手順は、先にビアホール71aを形成する処理を行ったときの手順と同様である。
【0035】
トレンチ71bが形成されたウエハWには、プラズマエッチング/アッシング装置103において、さらにレジスト膜69と有機薄膜65のうちトレンチ71bに露出している部分とが除去されるアッシング処理が行われる(ステップ10)。このアッシング処理はエッチング処理に準じて行われる。例えば、アッシングガス供給系24からアッシングガスとして酸素ガスをチャンバ11に供給しながら、シャワーヘッド20と下部電極である支持テーブル12との間に電界Eを発生させて酸素ガスプラズマを発生させ、これによってアッシング処理を行う。図5(c)はこのステップ10終了後の状態を示している。
【0036】
このようなアッシング処理によって、レジスト膜69が除去されるとともに、有機薄膜65のうちトレンチ71bに露出している部分が除去される。こうして第1絶縁膜64の表面の一部がトレンチ71bの底面64aとなって露出する。ここで、このアッシング処理によっては第1絶縁膜64は殆どダメージを受けることがないので、トレンチ71bの底面64aを平滑な性状とすることができる。また、有機薄膜65の所定部分の除去はレジスト膜69の除去と同時に行われるために、有機薄膜65の除去に特別な工程を必要とせず、従来のデュアルダマシン法による溝配線要素の形成工程と比べて工程数が多くなることがない。
【0037】
ステップ10が終了したウエハWは、膜除去/洗浄処理装置104に搬送されてそこでポリマー残渣等の除去、洗浄処理が施された後に、再びプラズマエッチング/アッシング装置103に搬送されてそこで犠牲膜68を除去するエッチング処理が行われる(ステップ11)。これによりビアホール71aとトレンチ71bとが連通した逆凸型の溝配線要素が形成される。図5(d)はステップ11の終了後の状態を示している。
【0038】
さらにウエハWには、絶縁膜60のうちビアホール71aの下に位置する部分を除去するエッチング処理が施される。このエッチング処理によって下部配線62が露出するために、この下部配線62が酸化等されないようにエッチング残渣等の除去処理を行い、さらにビアホール71aとトレンチ71bの内壁にCVD法等によりバリアメタル層を形成し、続いてCVD法等を用いてビアホール71aとトレンチ71bに導電性材料を埋め込み、CMP法等による平坦化処理を行えば、下部配線62とビアホール71aとが導通したプラグを形成することができる。
【0039】
次に、ウエハWに形成された絶縁膜層にダマシン構造の溝配線要素を形成する別の方法について説明する。図6はダマシン構造の溝配線要素を形成する工程を示すフローチャートであり、図7および図8は溝配線要素の形成過程における絶縁膜等の形態の変化を示す説明図である。最初に、バリアメタル層61を介して下部配線(例えば、銅配線)62が形成されている絶縁膜60を備え、絶縁膜60の表面にストッパー膜(例えば、SiN膜、SiC膜)63が形成されているウエハW(ウエハW自体は図示しない)を準備し、このストッパー膜63上に第1絶縁膜31を形成し(ステップ1A)、さらに第1絶縁膜31上に有機薄膜32を形成する(ステップ2A)。図7(a)はこのステップ2Aが終了した状態を示している。
【0040】
続いて、有機薄膜32上に、エッチングマスクとなる、所定のパターンを有するレジスト膜33を形成する(ステップ3A)。図7(b)はステップ3Aが終了した状態を示している。次いで、ウエハWに対してエッチング処理を施して第1絶縁膜31と有機薄膜32にレジスト膜33のパターンにしたがったビアホール37aを形成し(ステップ4A)、その後にレジスト膜33を薬液等を用いて除去する(ステップ5A)。図7(c)はステップ5Aが終了した状態を示している。
【0041】
こうして形成されたビアホール37aに導電性材料、例えば、銅等の金属材料34を埋め込み、CMP法等によりその表面を平滑に処理する(ステップ6A)。図7(d)はこのステップ6Aが終了した状態を示している。なお、ステップ5Aにおいて、下部配線62の上面が露出するようにストッパー膜63を削ってビアホール37aを形成しておけば、金属材料34と下部配線62とを導通させることができる。
【0042】
その後、有機薄膜32上に第2絶縁膜35を形成し(ステップ7A)、さらに第2絶縁膜35上に、エッチングマスクとなる、所定のパターンを有するレジスト膜36を形成する(ステップ8A)。図7(e)はこのステップ8Aが終了した状態を示している。なお、図7(e)に示されるように、レジスト膜36に形成された溝の幅は、ビアホール37aの幅よりも広くする。その後、ウエハWに対してエッチング処理を施して第2絶縁膜35にレジスト膜36のパターンにしたがったトレンチ37bを形成する(ステップ9A)。図8(a)はステップ9Aが終了した状態を示している。
【0043】
トレンチ37bが形成されたウエハWには、レジスト膜36と有機薄膜32のうちトレンチ37bに露出している部分とが除去されるアッシング処理が行われる(ステップ10A)。このようなアッシング処理によって、レジスト膜36が除去されるとともに、有機薄膜32のうちトレンチ37bに露出している部分を除去することができる。こうして第1絶縁膜31の表面の一部がトレンチ37bの底面31aとなって露出するが、アッシング処理によっては第1絶縁膜31は殆どダメージを受けることがないので、トレンチ37bの底面31aを平滑な性状とすることができる。図8(b)はステップ10Aが終了した状態を示している。
【0044】
こうして形成されたトレンチ37bに銅等の金属材料を埋め込み、CMP法等によりその表面を平滑に処理する(ステップ11A)。これにより、トレンチ37bに埋め込まれた金属と先にビアホール37aに設けられた金属材料34とが導通したプラグ38が形成される。図8(c)はこのステップ11Aが終了した状態を示している。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、図4に示した処理工程においては、レジスト膜67の除去方法は薬液処理に限定されるものではなく、アッシング処理を用いることができる。また、犠牲膜68の除去方法はエッチング処理に限られるものではなく、薬液処理を用いてもよい。
【0046】
上記説明においては、有機薄膜が結果的に絶縁膜の間に挟まれた形態となる場合について説明したが、有機薄膜はストッパー膜と絶縁膜との間に設けられていてもよく、この場合には、有機薄膜によってストッパー膜の上面にエッチングによる荒れが生ずることが抑制される。上記説明においては、被処理基板として半導体ウエハを取り上げたが、被処理基板はこれに限定されるものではなく、種々のセラミック基板やガラス基板等であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
60;絶縁膜
61;バリアメタル層
62;下部配線
63;ストッパー膜
64;第1絶縁膜
65;有機薄膜
66;第2絶縁膜
67;エッチングマスク
68;犠牲膜
69;エッチングマスク
70;積層膜
71a;ビアホール
71b;トレンチ
100;成膜装置
101;レジスト塗布/現像処理装置
102;露光装置
103;プラズマエッチング/アッシング装置
104;膜除去/洗浄処理装置
W;半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダマシン構造の溝配線要素を備えた半導体装置の製造方法であって、
被処理基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に有機薄膜を形成する工程と、
前記有機薄膜上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜と前記有機薄膜と前記第2の絶縁膜を貫通するビアホールを形成する工程と、
前記第2の絶縁膜上に前記ビアホールが埋められように無機系材料からなる犠牲膜を形成する工程と、
前記犠牲膜上に所定のパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜のパターンにしたがって前記有機薄膜の上面に達するトレンチを形成する工程と、
前記レジスト膜および前記有機薄膜のうちトレンチに露出した部分を前記被処理基板から同時に除去する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の絶縁膜は多孔質であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記有機薄膜のうちトレンチに露出した部分を除去する工程は、アッシングによって行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜を形成する工程前に、前記被処理基板の表面にパターニングされた下部配線を形成する工程を有し、
前記ビアホールは前記下部配線上に形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記有機薄膜の厚さを10nm以上50nm以下とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記有機薄膜の比誘電率が3.5以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−153894(P2010−153894A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34198(P2010−34198)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【分割の表示】特願2003−138389(P2003−138389)の分割
【原出願日】平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】