説明

半導体装置及びその測定方法

【課題】従来の測定方法では、測定電流の精度を十分に確保できない問題があった。
【解決手段】本発明の半導体装置の測定方法は、外部端子TMと、出力信号の位相及び周波数に応じてチャージポンプ回路12を制御する位相周波数比較器11と、周波数制御電圧生成ノードVNDに対する電流を出力するチャージポンプ回路12と、チャージポンプ回路12が出力する電流に応じて周波数制御電圧を周波数制御電圧生成ノードVNDに生成するループフィルタ14と、周波数制御電圧に応じて出力信号の周波数を制御する電圧制御発振器15と、を有する半導体装置の測定方法であって、外部端子TMを介してチャージポンプ回路12の出力電流を含む第1、第2の測定電流のいずれか一方を測定し、外部端子TMに流れるリーク電流を含む第3の測定電流を測定し、第1、第2の測定電流とリーク電流との差分に基づき流出電流IS1又は流入電流IS2の電流値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその測定方法に関し、特にチャージポンプ回路を備えるPLL(Phase Locked Loop)を有する半導体装置及びその測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、内部で用いるクロック信号等を生成するために、発振回路としてPLL回路が多く用いられる。このPLL回路は、位相周波数比較器、チャージポンプ回路、ループフィルタ、電圧制御発振器、分周器を含む。そして、PLL回路は、位相周波数比較器において、帰還信号と基準クロックの位相及び周波数を比較してチャージポンプ制御信号を出力する。チャージポンプ回路は、チャージポンプ制御信号に応じてループフィルタに対して流出電流又は流入電流を出力する。ループフィルタは、コンデンサを含みコンデンサに蓄積される電荷に基づき周波数制御電圧を生成する。そして、電圧制御発振器は、周波数制御電圧に基づき発振信号の周波数を制御する。また、分周器は、発振信号を分周して帰還信号を生成する。つまり、PLL回路では、発振信号の周波数制御帯域がチャージポンプ回路の駆動能力によって決まる。
【0003】
このように、PLL回路においては、発振信号の周波数制御帯域を適切な範囲とするためには、チャージポンプ回路の駆動能力を測定する必要がある。そこで、特許文献1においてPLL回路内のチャージポンプ回路の駆動能力の測定方法の一例が開示されている。
【0004】
図5に特許文献1に記載のPLL回路100のブロック図を示す。図5に示すように、PLL回路100は、位相比較器101、ループフィルタ102、電圧制御発振器103、及びプログラマブル分周器104により構成される。位相比較器101の出力は、ループフィルタ102に接続されており、ループフィルタ102の出力は、電圧制御発振器103に入力される。そして、電圧制御発振器103は、入力電圧を周波数に変換する。電圧制御発振器103から出力されるクロック信号はプログラマブル分周器104に入力される。
【0005】
また、PLL回路100は、スイッチ106、入力切換回路107、108を有する。スイッチ106は、帰還制御信号により制御される2つのトランスファゲートを有する。入力切換回路107、108は、それぞれ入力切換制御信号により制御される2つのトランスファゲートを有する。入力切換回路107は、入力切換制御信号がハイレベルのとき位相比較器101に入力信号Inpとして基準クロックを与える。また、入力切換回路107は、入力切換制御信号がロウレベルのとき位相比較器101に入力信号として接地電圧を与える。入力切換回路108は、入力切換制御信号がハイレベルのときスイッチ106に基準クロックを与える。また、入力切換回路108は、入力切換信号がロウレベルのときスイッチ106に接地電圧を与える。スイッチ106は、帰還制御信号がハイレベルのとき、プログラマブル分周器104が出力する帰還信号を位相比較器101の入力信号Inrとする。また、スイッチ106は、帰還制御信号がロウレベルのとき、入力切換回路108の出力信号を位相比較器101の入力信号Inrとする。
【0006】
また、図5では、位相比較器101をデジタル位相比較器110と電流型チャージポンプ回路111に分離している。電流型チャージポンプ回路111の出力は、電流モニタ端子、ループフィルタ102に接続されている。電流型チャージポンプ回路111は、基準電圧Fn、Fpに所望の電圧を基準電圧発生回路105から得る。これにより、電流型チャージポンプ回路111は、Puがロウレベルのときループフィルタ102に電流をチャージし、Pdがロウレベルのときループフィルタ102から電流をディスチャージする機能をもつ。また、電流モニタ端子は、半導体集積回路の外で、電流測定装置を用いて、電流を測定できる機能をもつ回路である。
【0007】
つまり、PLL回路100では、チャージポンプ回路111の電流駆動能力を電流モニタ端子により測定することが可能である。また、半導体装置内に流れる電流を測定する方法が特許文献2に開示されている。
【0008】
そこで、特許文献2に開示される半導体装置200のブロック図を図6に示し、図6を参照して、特許文献2において開示されている測定方法について説明する。なお、特許文献2に記載の測定方法は、リーク抵抗240の有無を検査するためのものである。
【0009】
まず、テスト回路230により内部接続用出力パッド214AをHi−Z出力状態に制御した状態で、第1〜第4の電流計223A、223B、226A、226Bにて第1の電流測定を実施する。このとき、OUTP="H"かつOUTN="L"であるから、第1チップ211A上のPチャネルMOSトランジスタ215A及びNチャネルMOSトランジスタ216Aがいずれもオフ状態である。第2チップ211B上のPチャネルMOSトランジスタ215B及びNチャネルMOSトランジスタ216Bは、リーク抵抗240の有無にかかわらず、いずれか一方が必ずオフ状態である。また、リーク抵抗240があっても、このリーク抵抗240を通して電流が流れることはない。従って、第1〜第4の電流計223A、223B、226A、226Bのいずれでも、トランジスタリーク電流のみが測定される。
【0010】
次に、テスト回路230により内部接続用出力パッド214AをHレベル出力状態に制御した状態で、第1〜第4の電流計223A、223B、226A、226Bにて第2の電流測定を実施する。このとき、OUTP="L"かつOUTN="L"であるから、第1チップ211A上で、PチャネルMOSトランジスタ215Aがオン状態になり、NチャネルMOSトランジスタ216Aがオフ状態になる。第2チップ211B上では、PチャネルMOSトランジスタ215B及びNチャネルMOSトランジスタ216Bのいずれか一方が必ずオフ状態である。従って、図示のリーク抵抗240が存在しない場合には第1〜第4の電流計223A、223B、226A、226Bのいずれでもトランジスタリーク電流のみが測定されるが、図示のように第1チップ211A上で内部接続用出力パッド214Aとグランドパッド213Aとの間にリーク抵抗240が存在する場合には、このリーク抵抗240に微小リーク電流が流れるので、第1の電流計223A及び第3の電流計226Aにてトランジスタリーク電流に重畳した微小リーク電流が測定される。ここで、第1の電流計223A又は第3の電流計226Aでの第1の電流測定の結果と第2の電流測定の結果との差分をとれば、トランジスタリーク電流が相殺されて正確な微小リーク電流が検出される結果、リーク抵抗240の存在が判明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−344309号公報
【特許文献2】国際公開第2007/097053号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、近年、半導体装置の小型化や端子数の削減が強く求められており、PLL回路においては、ループフィルタを構成するコンデンサの小型化とチャージポンプ回路の出力電流を小さくする手法がとられ、チャージポンプ回路の出力電流を測定するための端子については、他の回路において用いられる外部端子と共用することが行われる。このような構成とした場合、外部端子において測定されるチャージポンプ回路の出力電流には他の回路に流れるリーク電流が含まれる。また、チャージポンプ回路の出力電流は小さいのでリーク電流との差が縮まり、測定誤差が大きくなる問題がある。つまり、特許文献1に記載のPLL回路100では、この測定誤差を抑制できない問題がある。
【0013】
一方、リーク電流の影響をなくすために、特許文献2に記載の半導体装置の測定方法のように、2つの測定電流の差分からリーク電流成分の影響を排除した測定結果を求めることも考えられる。しかし、トランジスタの電流駆動能力は、トランジスタのソースドレイン間の電圧差に依存するため、トランジスタの電流駆動能力を精度よく測定する場合、トランジスタのソースドレイン間の電圧を正確に設定する必要がある。特許文献2に記載の測定方法は、電源端子及び接地端子に設けられた電流計によりリーク電流を測定するものである。そのため、特許文献2に記載の測定方法を用いたとしても、ソースドレイン間の電圧の電圧差を考慮した測定が行うことはできない。つまり、特許文献1、2を用いてもチャージポンプ回路の駆動能力電流を精度よく測定できない問題がある。
【0014】
また、半導体装置内に搭載される回路では、測定対象となる回路単体(例えば、出力段回路)のみに独立して電源を与えることは少ない。また、通常測定対象回路以外の回路の状態を固定して測定対象回路のみを動作させることは難しい。つまり、電源端子及び接地端子において電流を測定する特許文献2に記載の測定方法では、測定対象以外の回路の状態変化に伴う測定誤差を排除することはできない。従って、特許文献2に記載の測定方法では、近年の複雑化した半導体装置内の1つの回路に流れる回路の電流を精度よく測定することはできない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかる半導体装置の測定方法の一態様は、テスト状態において電流計及びテスト電圧を出力する電圧源が接続される外部端子と、基準信号と出力信号との位相及び周波数の比較結果に応じてチャージポンプ制御信号の論理レベルを切り替える位相周波数比較器と、前記チャージポンプ制御信号の論理レベルに応じて周波数制御電圧生成ノードに対する電流の流出と流入とを切り替えるチャージポンプ回路と、前記周波数制御電圧生成ノードと接地端子との間に接続され、前記チャージポンプ回路が出力する電流に応じて前記周波数制御電圧生成ノードに周波数制御電圧を生成するループフィルタと、前記周波数制御電圧の電圧レベルに応じて前記出力信号の周波数を制御する電圧制御発振器と、を有する半導体装置の測定方法であって、前記外部端子を介して前記チャージポンプ回路の流出電流を含む第1の測定電流又は流入電流を含む第2の測定電流の少なくとも一方を測定し、前記チャージポンプ回路の出力端子がハイインピーダンス状態のときに前記外部端子に流れるリーク電流を含む第3の測定電流を測定し、前記第1の測定電流又は前記第2の測定電流と前記第3の測定電流との差分に基づき前記流出電流又は前記流入電流の電流値を算出する。
【0016】
本発明にかかる半導体装置の一態様は、テスト状態において電流計及びテスト電圧を出力する電圧源が接続される外部端子と、基準信号と出力信号との位相及び周波数の比較結果に応じてチャージポンプ制御信号の論理レベルを切り替える位相周波数比較器と、前記チャージポンプ制御信号の論理レベルに応じて周波数制御電圧生成ノードに対する流出電流を出力する状態と、流入電流の出力状態と、出力端子がハイインピーダンスとなる状態と、を切り替えるチャージポンプ回路と、前記周波数制御電圧生成ノードと接地端子との間に接続され、前記チャージポンプ回路が出力する電流に応じて前記周波数制御電圧生成ノードに周波数制御電圧を生成するループフィルタと、前記周波数制御電圧の電圧レベルに応じて前記出力信号の周波数を制御する電圧制御発振器と、前記周波数制御電圧生成ノードと前記外部端子との間に設けられる第1のスイッチ回路と、を有する。
【0017】
本発明にかかる半導体装置及びその測定方法によれば、外部端子から測定対象回路の測定点に至る経路に流れるリーク電流を含めて測定対象回路から流入又は流出する電流を第1の測定電流として測定することができる。また、測定対象回路の測定点をハイインピーダンス状態(回路からの流入電流及び流出電流を遮断した状態)として外部端子から電流を測定することで外部端子から測定対象回路の測定点に至る経路に流れるリーク電流を第2の測定電流として測定することができる。そして、第1の測定電流と第2の測定電流との差分を算出することで、高精度に測定対象回路の流入電流及び流出電流を測定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる半導体装置及びその測定方法によれば、測定対象回路の流入電流及び流出電流を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1にかかる半導体装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる半導体装置における電流測定方法のフローチャートである。
【図3】実施の形態2にかかる半導体装置のブロック図である。
【図4】実施の形態3にかかる半導体装置のブロック図である。
【図5】特許文献1にかかるPLL回路のブロック図である。
【図6】特許文献2にかかる半導体装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、半導体装置の一例としてPLL回路及びPLL回路内のチャージポンプ回路の測定方法について説明するが、本発明はPLL回路以外の回路(例えば、駆動回路の出力段回路など)の測定にも応用可能である。この応用は、当業者であれば当然に想到できるものである。
【0021】
まず、図1に実施の形態1にかかる半導体装置1のブロック図を示す。図1に示すように、半導体装置1は、PLL回路10、内部回路20、静電破壊保護回路30、第1のスイッチ回路TSW1、外部端子TMを有する。
【0022】
PLL回路10は、位相周波数比較器11、チャージポンプ回路12、13、ループフィルタ14、電圧制御発振器15、分周器16を有する。位相周波数比較器11には、基準信号(例えば、基準クロックFref)と分周器16が出力信号Foutを分周して生成する帰還信号とが入力される。そして、位相周波数比較器11は、基準クロックFrefと帰還信号との位相及び周波数の比較結果に応じてチャージポンプ制御信号UP1、UP2、DW1、DW2の論理レベルを切り替える。また、位相周波数比較器11には、駆動能力制御信号Dcontが入力される。位相周波数比較器11は、駆動能力制御信号Dcontに応じて動作させるチャージポンプ回路の個数を決定する。この駆動能力制御信号Dcontは、例えば、PLL回路10の発振周波数帯域によって値が異なるものである。発振周波数帯域を広帯域側とする場合、駆動能力制御信号Dcontは、大きな値となり、より多くのチャージポンプ回路を動作させることを位相周波数比較器11に指示する。また、発振周波数帯域を低帯域側とする場合、駆動能力制御信号Dcontは、小さな値となり、より少ないチャージポンプ回路を動作させることを位相周波数比較器11に指示する。
【0023】
本実施の形態では、チャージポンプ回路12は、チャージポンプ制御信号UP1、DW1により制御される。チャージポンプ回路13は、チャージポンプ制御信号UP2、DW2により制御される。そして、駆動能力制御信号Dcontが例えば2であった場合、位相周波数比較器11は、チャージポンプ制御信号UP1、UP2、DW1、DW2の論理レベルを基準クロックFrefと帰還信号との位相差に基づき切り替えて、チャージポンプ回路12、13を制御する。また、駆動能力制御信号Dcontが例えば1であった場合、位相周波数比較器11は、チャージポンプ制御信号UP1、UP2の論理レベルを基準クロックFrefと帰還信号との位相差に基づき切り替えて、チャージポンプ回路12を制御し、チャージポンプ制御信号UP2、DW2を固定してチャージポンプ回路13の出力をハイインピーダンス状態とする。
【0024】
以下では、チャージポンプ回路12、13について説明するが、便宜上、電流源と電流源が出力する電流とに同じ符号を付して説明する。チャージポンプ回路12は、電流源IS1、IS2、スイッチSW1、SW2を有する。電流源IS1は、ループフィルタ14に対して流出電流IS1を出力する。電流源IS1は、一方の端子に電源電圧VDDが供給され、他方の端子がスイッチSW1に接続される。スイッチSW1は、チャージポンプ制御信号UP1により導通状態が制御される。スイッチSW1は、他方の端子がチャージポンプ回路12の出力端子に接続される。電流源IS2は、ループフィルタ14から流入電流IS2を引き抜く。電流源IS2は、一方の端子に接地電圧VSSが供給され、他方の端子がスイッチSW2に接続される。スイッチSW2は、チャージポンプ制御信号DW1により導通状態が制御される。スイッチSW2は、他方の端子がチャージポンプ回路12の出力端子に接続される。チャージポンプ回路12の出力端子は、周波数制御電圧生成ノードVNDに接続される。
【0025】
チャージポンプ回路13は、電流源IS3、IS4、スイッチSW3、SW4を有する。電流源IS3は、ループフィルタ14に対して流出電流IS3を出力する。電流源IS3は、一方の端子に電源電圧VDDが供給され、他方の端子がスイッチSW3に接続される。スイッチSW3は、チャージポンプ制御信号UP2により導通状態が制御される。スイッチSW3は、他方の端子がチャージポンプ回路13の出力端子に接続される。電流源IS4は、ループフィルタ14から流入電流IS4を引き抜く。電流源IS4は、一方の端子に接地電圧VSSが供給され、他方の端子がスイッチSW4に接続される。スイッチSW4は、チャージポンプ制御信号DW2により導通状態が制御される。スイッチSW4は、他方の端子がチャージポンプ回路13の出力端子に接続される。チャージポンプ回路13の出力端子は、周波数制御電圧生成ノードVNDに接続される。周波数制御電圧生成ノードVNDは、ループフィルタ14、電圧制御発振器15及び第1のスイッチ回路TSW1の一方の端子が接続される。
【0026】
ループフィルタ14は、周波数制御電圧生成ノードVNDと接地端子との間に接続され、チャージポンプ回路12、13が出力する電流に応じて周波数制御電圧生成ノードVNDに周波数制御電圧を生成する。ループフィルタ14は、抵抗R1、コンデンサC1、C2を有する。抵抗R1は、一方の端子が周波数制御電圧生成ノードVNDに接続され、他方の端子がコンデンサC1の一方の端子に接続される。コンデンサC1の他方の端子には、接地電圧VSSが供給される。コンデンサC2は、周波数制御電圧生成ノードVNDと接地端子との間に接続される。接地端子には、電圧VSSが供給される。
【0027】
電圧制御発振器15は、周波数制御電圧生成ノードVNDに生成される周波数制御電圧の電圧レベルに応じて出力信号Foutの周波数を制御する。分周器16は、出力信号Foutを分周して帰還信号を生成する。分周器16の分周比により、PLL回路10の低倍率が決定される。なお、基準クロックFrefの周波数と出力信号Foutの周波数との逓倍率が1である場合、分周器16を省略することも可能である。
【0028】
内部回路20は、例えば、PLL回路10出力する出力信号Foutを動作クロックとして動作する内部回路の入力バッファ、又は、内部回路の出力バッファである。内部回路20は、外部端子TMと接続される。本実施の形態では、内部回路20には、リーク電流Ileak3が流れる。
【0029】
静電破壊保護回路30は、外部端子TMに対応して設けられる内部回路の1つである。静電破壊保護回路30は、外部端子TMに印加される静電気から半導体装置1を保護する。静電破壊保護回路30は、静電破壊保護素子31、32を有する。静電破壊保護素子31は、外部端子TMと電源端子との間に接続される。静電破壊保護素子31には、リーク電流Ileak1が流れる。なお、電源端子には電源電圧VDDが供給される。静電破壊保護素子32は、外部端子TMと接地端子との間に接続される。静電破壊保護素子32には、リーク電流Ileak2が流れる。
【0030】
外部端子TMには、半導体装置1の外付け装置として可変電圧源40及び電流計50が接続される。可変電圧源40は、出力電圧の電圧値を任意に設定できるものである。本実施の形態では、可変電圧源40は、チャージポンプ回路12、13の駆動能力を測定する際に外部端子TMに与えるテスト電圧Vinを生成する。電流計50は、可変電圧源40と外部端子TMとの間に接続され、外部端子TMと可変電圧源40との間に流れる電流を測定する。なお、本実施の形態では、リーク電流Ileak1、Ileak2、Ileak3の合計値をリーク電流IleakTと称す。
【0031】
第1のスイッチ回路TSW1は、一方の端子が周波数制御電圧生成ノードVNDに接続され、他方の端子が外部端子TMに接続される。また、第1のスイッチ回路TSW1は、テスト制御信号Tcontにより導通状態が制御される。より具体的には、テスト制御信号Tcontがイネーブル状態(例えば、ハイレベル)の期間は、第1のスイッチ回路TSW1は導通状態となる。また、テスト制御信号Tcontがディスイネーブル状態(例えば、ロウレベル)の期間は、第1のスイッチ回路TSW1は遮断状態となる。
【0032】
外部端子TMは、テスト制御信号Tcontがディスイネーブル状態となる通常動作時においては、内部回路20によって利用される。また、テスト制御信号Tcontがイネーブル状態となるテスト時においては、チャージポンプ回路12、13の駆動能力の測定に用いられる。
【0033】
続いて、半導体装置1の測定方法について説明する。本実施の形態では、チャージポンプ回路12、13の電流駆動能力を測定対象とする。そこで、本実施の形態にかかる半導体装置1の測定方法のフローチャートを図2に示す。なお、内部回路は停止状態(内部回路20が出力バッファである場合は、出力バッファの出力端子をハイインピーダンス状態とする)とする。また、以下の説明では、チャージポンプ回路12のみを動作状態とするものとする。
【0034】
図2に示すように、本実施の形態にかかる測定方法では、まず、測定手順の第1ステップとして、第1のスイッチ回路TSW1を導通状態とする(ステップS1)。続いて、外部端子TMにテスト電圧Vinを印加する(ステップS2)。そして、スイッチSW1が導通状態、かつ、スイッチSW2が非導通状態である期間に第1の測定電流を測定する(ステップS3)。また、スイッチSW1が非導通状態、かつ、スイッチSW2が導通状態である期間に第2の測定電流を測定する(ステップS4)。また、スイッチSW1が非導通状態、かつ、スイッチSW2が非導通状態である期間にリーク電流IleakTを測定する(ステップS5)。そして、第1の測定電流からリーク電流IleakTを減算してチャージポンプ回路12の流出電流IS1の電流値を算出する。また、第2の測定電流からリーク電流IleakTを減算してチャージポンプ回路12の流入電流IS2の電流値を算出する(ステップS6)。ここで、第1、第2の測定電流には、リーク電流IleakTの成分が含まれる。そのため、測定後に第1、第2の測定電流からリーク電流IleakTを減算することで、算出された流出電流IS1及び流入電流IS2からリーク電流IleakTの影響を排除することができる。
【0035】
上記説明より、本実施の形態にかかる半導体装置1では、第1のスイッチ回路TSW1を設けることで外部端子TMを内部回路とチャージポンプ回路12、13の測定端子とで共用することができる。これにより、半導体装置1では、外部端子数の削減を実現することができる。
【0036】
また、このように外部端子数を削減した場合、外部端子TMを介してチャージポンプ回路の電流駆動能力を測定する場合に、リーク電流IleakTの影響により測定精度が悪化する問題がある。しかし、本実施の形態にかかる半導体装置1では、リーク電流IleakTと測定対象の電流とを含む第1、第2の測定電流を測定し、さらに、測定対象の電流を除いた第3の測定電流(例えば、リーク電流IleakT成分)を測定する。そして、第1、第2の測定電流から第3の測定電流を減算して測定対象の電流値を算出する。これにより、測定電流からリーク電流成分の影響を排除し、高精度な電流測定を可能にする。
【0037】
PLL回路では、回路面積を削減するためにループフィルタ14のコンデンサC1、C2の容量値を小さくする。そして、この小さな容量値のコンデンサに対応して、チャージポンプ回路12、13の電流駆動能力を低く設定する。そのため、チャージポンプ回路12、13が出力する流入電流及び流出電流の電流値が小さく、リーク電流IleakTとの差が縮まる。このようなチャージポンプ回路12、13の測定において、リーク電流成分の影響を排除することは、測定精度の向上させるために特に有効である。
【0038】
また、トランジスタ(例えば、スイッチSW1〜SW4及び電流源IS1〜IS4を構成するトランジスタ)は、ソースドレイン間の電圧差に応じて電流駆動能力が変化する。本実施の形態にかかる半導体装置1では、テスト時にチャージポンプ回路12の出力端子(例えば、周波数制御電圧生成ノードVND)に任意の電圧値を有するテスト電圧Vinを印加することができる。つまり、本実施の形態にかかる半導体装置1では、周波数制御電圧生成ノードVNDの電圧値をテスト電圧Vinによって任意に設定することができる。これにより、本実施の形態にかかる半導体装置1では、周波数制御電圧の可変範囲の全範囲においてチャージポンプ回路12、13が適切な電流駆動能力を有しているか否かを測定することができる。
【0039】
実施の形態2
実施の形態2にかかる半導体装置2のブロック図を図3に示す。図3に示すように、半導体装置2は、実施の形態1にかかる半導体装置1に第2のスイッチ回路TSW2を追加したものである。ここで、実施の形態2の説明では、実施の形態1において説明した構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
第2のスイッチ回路TSW2は、ループフィルタ14のコンデンサC1と並列に接続される。また、第2のスイッチ回路TSW2は、テスト制御信号Tcontにより導通状態が制御される。つまり、第2のスイッチ回路TSW2は、第1のスイッチ回路TSW1と同じ導通状態となる。
【0041】
続いて、実施の形態2にかかる半導体装置2の測定方法について説明する。半導体装置2における測定手順は、図2に示した半導体装置1の測定手順と実質的に同じである。しかしながら、半導体装置2では、テスト時に、第2のスイッチ回路TSW2が導通した状態となる。そのため、図2のステップS3〜S5で測定される電流に抵抗R1に流れる電流IRが加えられる。従って、実施の形態2にかかる半導体装置2では、第1の測定電流=IS1+IleakT+IR、第2の測定電流=IS2+IleakT+IR、ステップS5の測定電流=IleakT+IRとなる。そして、図2のステップS6で減算を行うことで第1、第2の測定電流から(IleakT+IR)が除かれ、電流IS1、IS2が算出される。
【0042】
電流計50は、測定対象の電流値の大きさに適した測定レンジを設定し測定精度を保つ必要がある。リーク電流IleakTを計測する場合、温度や製造過程で生じる誤差によって左右されやすいのでレンジを予め設定してもレンジから外れて再度レンジを設定しなおす事もある。この場合、電流計50は、レンジを変更して再度電流を測定する分だけ測定時間が長くなる。しかし、半導体装置2では、電流IRにあわせた測定レンジとすることで、測定レンジを変更することなくステップS3〜S5の測定を精度良く行うことができる。したがって、半導体装置2では、測定精度の向上と測定時間の短縮を実現することができる。
【0043】
実施の形態3
実施の形態3にかかる半導体装置3のブロック図を図4に示す。図4に示すように、半導体装置3は、実施の形態1にかかる半導体装置1に選択回路17、18を追加したものである。なお、図4では、簡単化のためチャージポンプ回路13の図示については省略したが、半導体装置3においてもチャージポンプ回路13を有するものとする。また、実施の形態3の説明では、実施の形態1において説明した構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
選択回路17、18は、位相周波数比較器11とチャージポンプ回路12との間に設けられ、チャージポンプ制御信号UP1、DW1と、任意の論理レベルがチャージポンプ制御信号UP1、DW1とは独立して設定される駆動能力テスト信号SELU、SELDと、をテスト制御信号Tcontに応じて切り替えてチャージポンプ回路12に出力する。
選択回路17は、テスト制御信号Tcontがイネーブル状態(例えば、ハイレベル)のときは駆動能力テスト信号SELUをチャージポンプ制御信号UPCP1として出力する。また、選択回路17は、テスト制御信号Tcontがディスイネーブル状態(例えば、ロウレベル)のときはチャージポンプ制御信号UP1をチャージポンプ制御信号UPCP1として出力する。チャージポンプ制御信号UPCP1は、スイッチSW1に与えられる。
選択回路18は、テスト制御信号Tcontがイネーブル状態(例えば、ハイレベル)のときは駆動能力テスト信号SELDをチャージポンプ制御信号DWCP1として出力する。また、選択回路18は、テスト制御信号Tcontがディスイネーブル状態(例えば、ロウレベル)のときはチャージポンプ制御信号DW1をチャージポンプ制御信号DWCP1として出力する。チャージポンプ制御信号DWCP1は、スイッチSW2に与えられる。
ここで、駆動能力テスト信号SELU、SELDは、外部からの指示に基づき論理レベルが任意に設定される信号である。例えば、駆動能力テスト信号SELU、SELDは、テスト時に測定対象とする電流に応じて論理レベルが設定される。つまり、駆動能力テスト信号SELU、SELDを用いることで、半導体装置3は、チャージポンプ回路12が流出電流IS1を出力するか、流入電流IS2を出力するか、出力端子をハイインピーダンス状態とするかを適宜設定することを可能にする。
上記説明より、実施の形態3にかかる半導体装置3は、選択回路17、18により、テスト時に駆動能力テスト信号SELU、SELDによりチャージポンプ回路12を制御することが可能である。一方、実施の形態1、2にかかる半導体装置では、チャージポンプ回路12の出力端子の状態は基準クロックFrefと帰還信号との位相差により決定される。つまり、実施の形態3にかかる半導体装置3は、テスト時におけるチャージポンプ回路12の制御性を実施の形態1、2にかかる半導体装置よりも高めることができる。一般的に電流計50は、測定に所定の時間を必要とする。そのため、テスト時にチャージポンプ回路12の制御性を高めることは測定精度の向上及び測定時間の短縮のために有効である。なお、実施の形態3にかかる半導体装置3に実施の形態2にかかる半導体装置2の第2のスイッチ回路TSW2を追加することも可能である。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体装置
10 PLL回路
11 位相周波数比較器
12、13 チャージポンプ回路
14 ループフィルタ
15 電圧制御発振器
16 分周器
17、18 選択回路
20 内部回路
30 静電破壊保護回路
31、32 静電破壊保護素子
40 可変電圧源
50 電流計
TM 外部端子
TSW1、TSW2 スイッチ回路
IS1〜IS4 電流源
SW1〜SW4 スイッチ
Ileak1〜Ileak3、IleakT リーク電流
UP1、UP2、DW1、DW2 チャージポンプ制御信号
UPCP1、DWCP1 チャージポンプ制御信号
Tcont テスト制御信号
Dcont 駆動能力制御信号。
SELU、SELD 駆動能力テスト信号
VND 周波数制御電圧生成ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト状態において電流計及びテスト電圧を出力する電圧源が接続される外部端子と、
基準信号と出力信号との位相及び周波数の比較結果に応じてチャージポンプ制御信号の論理レベルを切り替える位相周波数比較器と、
前記チャージポンプ制御信号の論理レベルに応じて周波数制御電圧生成ノードに対する電流の流出と流入とを切り替えるチャージポンプ回路と、
前記周波数制御電圧生成ノードと接地端子との間に接続され、前記チャージポンプ回路が出力する電流に応じて前記周波数制御電圧生成ノードに周波数制御電圧を生成するループフィルタと、
前記周波数制御電圧の電圧レベルに応じて前記出力信号の周波数を制御する電圧制御発振器と、を有する半導体装置の測定方法であって、
前記外部端子を介して前記チャージポンプ回路の流出電流を含む第1の測定電流又は流入電流を含む第2の測定電流の少なくとも一方を測定し、
前記チャージポンプ回路の出力端子がハイインピーダンス状態のときに前記外部端子に流れるリーク電流を含む第3の測定電流を測定し、
前記第1の測定電流又は前記第2の測定電流と前記第3の測定電流との差分に基づき前記流出電流又は前記流入電流の電流値を算出する半導体装置の測定方法。
【請求項2】
前記外部端子は、通常状態において前記半導体装置内の他の回路に用いられる請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記テスト電圧は、任意の電圧値を有する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記チャージポンプ回路は、テスト状態において、前記流出電流を出力する状態、前記流入電流を出力する状態及び出力端子のハイインピーダンス状態が任意に切り換えられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の測定方法。
【請求項5】
前記ループフィルタは、前記周波数制御電圧生成ノードと電源端子との間に直列に接続される抵抗及びコンデンサを有し、
前記第1の測定電流、前記第2の測定電流及び前記第3の測定電流を、前記コンデンサを短絡した状態で測定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の測定方法。
【請求項6】
前記電源端子は、正極側電源端子と負極側電源端子とのいずれか一方である請求項5に記載の半導体装置の測定方法。
【請求項7】
テスト状態において電流計及びテスト電圧を出力する電圧源が接続される外部端子と、
基準信号と出力信号との位相及び周波数の比較結果に応じてチャージポンプ制御信号の論理レベルを切り替える位相周波数比較器と、
前記チャージポンプ制御信号の論理レベルに応じて周波数制御電圧生成ノードに対する流出電流を出力する状態と、流入電流の出力状態と、出力端子がハイインピーダンスとなる状態と、を切り替えるチャージポンプ回路と、
前記周波数制御電圧生成ノードと接地端子との間に接続され、前記チャージポンプ回路が出力する電流に応じて前記周波数制御電圧生成ノードに周波数制御電圧を生成するループフィルタと、
前記周波数制御電圧の電圧レベルに応じて前記出力信号の周波数を制御する電圧制御発振器と、
前記周波数制御電圧生成ノードと前記外部端子との間に設けられる第1のスイッチ回路と、
を有する半導体装置。
【請求項8】
前記外部端子は、通常状態において前記半導体装置内の他の回路に用いられる請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記テスト電圧は、任意の電圧値を有する請求項7又は8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記チャージポンプ回路は、前記ループフィルタへの充放電電流をそれぞれ出力する複数の出力段回路を有し、
前記位相周波数比較器は、駆動能力制御信号に応じて動作させる前記出力段回路の個数を切り替える請求項7乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記位相周波数比較器と前記チャージポンプ回路との間に設けられ、前記チャージポンプ制御信号と、任意の論理レベルが前記チャージポンプ制御信号とは独立して設定される駆動能力テスト信号と、をテスト制御信号に応じて切り替えて前記チャージポンプ回路に出力する選択回路を有する請求項7乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ループフィルタは、前記周波数制御電圧生成ノードと電源端子との間に直列に接続される抵抗及びコンデンサを有し、
前記半導体装置は、前記コンデンサと並列に接続され、前記第1のスイッチ回路と同じ導通状態に制御される第2のスイッチ回路を有する請求項7乃至11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記電源端子は、正極側電源端子と負極側電源端子とのいずれか一方である請求項12に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−232159(P2011−232159A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102263(P2010−102263)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】