説明

半導体装置

【課題】本発明は、絶縁シートの外周部分がヒートシンクから剥離することを防止できる半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本願の発明に係る半導体装置は、平坦部と該平坦部を囲むように形成された凸部とを有するヒートシンクと、該凸部に囲まれるように該平坦部及び該凸部に接着した絶縁シートと、該絶縁シートを介して該ヒートシンクに放熱する半導体素子と、該ヒートシンクの該絶縁シートが接着した面と反対の面を外部に露出するように、該ヒートシンク、該絶縁シート、及び該半導体素子を覆うモールド樹脂と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電力のスイッチングなどに用いられる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヒートシンクに絶縁シートを接着した半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−210597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒートシンクに接着された絶縁シートはモールド樹脂に覆われる。そして、モールド樹脂などから絶縁シートに力が及ぼされると、絶縁シートの外周部分がヒートシンクから剥離することがある。絶縁シートが剥離すると、絶縁シートからヒートシンクへの放熱が十分できないことがある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、絶縁シートの外周部分の剥離を防止できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、平坦部と該平坦部を囲むように形成された凸部とを有するヒートシンクと、該凸部に囲まれるように該平坦部及び該凸部に接着した絶縁シートと、該絶縁シートを介して該ヒートシンクに放熱する半導体素子と、該ヒートシンクの該絶縁シートが接着した面と反対の面を外部に露出するように、該ヒートシンク、該絶縁シート、及び該半導体素子を覆うモールド樹脂と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る半導体装置は、ヒートシンクと、該ヒートシンクと重なるように該ヒートシンクに接着した絶縁シートと、該絶縁シートを介して該ヒートシンクに放熱する半導体素子と、該ヒートシンクの該絶縁シートが接着した面と反対の面を外部に露出するように、該ヒートシンク、該絶縁シート、及び該半導体素子を覆うモールド樹脂と、を備える。そして、該絶縁シートの外周部分は該絶縁シートの中央部分よりも該ヒートシンクに強く接着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、絶縁シートの外周部分がヒートシンクから剥離することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置のヒートシンクの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図4】絶縁シート端部を面取り加工したことを示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る半導体装置のうち、ヒートシンクと絶縁シートを示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る半導体装置のうち、ヒートシンクと絶縁シートを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。半導体装置10は、フレーム12を備えている。フレーム12は銅で形成されている。フレーム12の表面側について説明する。フレーム12には金属パターン14を介してダイオード16が固定されている。別の金属パターン14にはIGBT18が固定されている。フレーム12の上にはICチップ22が固定されている。ダイオード16、IGBT18、及びICチップ22の必要な電気的接続は、ワイヤ20が担っている。
【0011】
フレーム12の裏面側について説明する。フレーム12の裏面には絶縁シート24が接着している。絶縁シート24にはヒートシンク26が接着している。ヒートシンク26は、絶縁シート24と接する面に、凸部26aと平坦部26bを有している。絶縁シート24は、ヒートシンク26の凸部26aに囲まれるように平坦部26b及び凸部26aに接着している。つまり、絶縁シート24の外周部分は凸部26aに接着し、中央部分は平坦部26bに接着している。
【0012】
半導体装置10は、モールド樹脂30を有している。モールド樹脂30は、ヒートシンク26の絶縁シート24が接着した面と反対の面を外部に露出するように、ヒートシンク26、絶縁シート24、ダイオード16、及びIGBT18を覆っている。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置のヒートシンクの斜視図である。凸部26aは、平坦部26bを囲むように形成されている。凸部26aは、ヒートシンク26の端面(側面)において最も高く形成され、ヒートシンク26の中央部分へ向かうほど低く形成されている。
【0014】
本発明の実施の形態1に係る半導体装置によれば、絶縁シート24の外周部分がヒートシンク26から剥離することを防止できる。すなわち、絶縁シート24の外周部分は凸部26aによりモールド樹脂30から保護されるため、モールド樹脂30から絶縁シート24の外周部分に大きな力が及ぼされることを回避できる。そのため、絶縁シート24の外周部分の応力を低く維持しその剥離を防止できる。
【0015】
本発明の実施の形態1に係る半導体装置10によれば、ヒートシンク26に凸部26aを形成するだけで、絶縁シート24の剥離を容易に防止できる。また、凸部26aには絶縁シート24が接着されており、凸部26aとフレーム12との間には絶縁シート24を介している。よって、凸部26aとフレーム12との絶縁距離を確保できる。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。ヒートシンク40は凸部40aと平坦部40bを備えている。凸部40aは、ヒートシンク40の側面40cよりも外側に突出している。その他の構成は、上述した構成と同様である。
【0017】
凸部40aを側面40cよりも外側に突出させると、凸部40aの先端をモールド樹脂に食い込ませることができる。これにより、絶縁シート42の外周部分近傍のモールド樹脂が固定され、モールド樹脂が絶縁シート42に及ぼす力を低減できる。よって絶縁シート42の剥離を防止できる。なお、この効果は、凸部40aの先端がモールド樹脂に食い込むように構成すれば得られるものである。よって、凸部40aが側面40cよりも外側に突出していなくてもよい。
【0018】
ヒートシンクにより放熱する対象は、絶縁シートを介してヒートシンクに放熱する半導体素子であれば、ダイオード16やIGBT18に限定されない。
【0019】
モールド樹脂から絶縁シートの外周部分に及ぼされる力を緩和するために、絶縁シートの端部を面取り加工してもよい。図4は、絶縁シート44の端部を面取り加工したことを示す断面図である。絶縁シート44の端部に面取り加工を施すことで、モールド樹脂から力を受けづらくなる。なお絶縁シートの端部に面取り加工を施しかつ、モールド樹脂の凸部をモールド樹脂に食い込ませるようにしてもよい。
【0020】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置のうち、ヒートシンクと絶縁シートを示す断面図である。図5に示さない部分は実施の形態1と同様である。
【0021】
ヒートシンク50に絶縁シート52が接着されている。絶縁シート52の外周部分52aは、ヒートシンク50に圧着している。図6は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。まず、下金型54にヒートシンク50と絶縁シート52をおく。次いで、上金型56を用いて絶縁シート52の外周部分をヒートシンク50に押し付け、絶縁シート52の外周部分をヒートシンク50に圧着する。
【0022】
本発明の実施の形態2に係る半導体装置によれば、絶縁シート52の外周部分52aがヒートシンク50に圧着されているので、絶縁シート52の剥離を防止できる。なお、本発明の実施の形態2に係る半導体装置は、少なくとも実施の形態1と同程度の変形が可能である。
【0023】
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置のうち、ヒートシンクと絶縁シートを示す断面図である。図7に示さない部分は実施の形態1と同様である。
【0024】
ヒートシンク60の外周部分には溝60aが形成されている。凸部60bはヒートシンク60の最外周に形成されている。絶縁シート62の外周部分は溝60aの内部に接着している。また、絶縁シート62の外周部分は凸部60bにも接着している。
【0025】
本発明の実施の形態3に係る半導体装置によれば、絶縁シート62の外周部分がヒートシンク60の溝60aの内部に接着しているので、アンカー効果を得ることができる。よって絶縁シート62の外周部分の剥離を防止できる。さらに、凸部60bにより絶縁シート62をモールド樹脂から保護できるので、絶縁シート62の剥離防止の効果を高めることができる。
【0026】
本発明の実施の形態3に係る半導体装置では、ヒートシンク60に溝60a及び凸部60bを形成したが本発明はこれに限定されず、例えば溝のみを備える構成としてもよい。なお、本発明の実施の形態3に係る半導体装置は、少なくとも実施の形態1と同程度の変形が可能である。
【0027】
本発明の実施の形態2及び3に係る半導体装置は、絶縁シートの外周部分を絶縁シートの中央部分よりもヒートシンクに強く接着したことを特徴とする。この特徴を逸脱しない範囲において様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 半導体装置、 12 フレーム、 24 絶縁シート、 26 ヒートシンク、 26a 凸部、 26b 平坦部、 60 ヒートシンク、 60a 溝、 60b 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦部と前記平坦部を囲むように形成された凸部とを有するヒートシンクと、
前記凸部に囲まれるように前記平坦部及び前記凸部に接着した絶縁シートと、
前記絶縁シートを介して前記ヒートシンクに放熱する半導体素子と、
前記ヒートシンクの前記絶縁シートが接着した面と反対の面を外部に露出するように、前記ヒートシンク、前記絶縁シート、及び前記半導体素子を覆うモールド樹脂と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記凸部の先端は、前記モールド樹脂に食い込むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁シートの端部は面取り加工されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
ヒートシンクと、
前記ヒートシンクと重なるように前記ヒートシンクに接着した絶縁シートと、
前記絶縁シートを介して前記ヒートシンクに放熱する半導体素子と、
前記ヒートシンクの前記絶縁シートが接着した面と反対の面を外部に露出するように、前記ヒートシンク、前記絶縁シート、及び前記半導体素子を覆うモールド樹脂と、を備え、
前記絶縁シートの外周部分は前記絶縁シートの中央部分よりも前記ヒートシンクに強く接着したことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁シートの外周部分は、前記ヒートシンクに圧着したことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ヒートシンクの外周部分には溝が形成され、
前記絶縁シートの外周部分は、前記溝の内部に接着したことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−248660(P2012−248660A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118909(P2011−118909)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】