説明

半導体装置

【課題】容量を充放電させ信号を遅延させる回路の遅延時間の温度依存性を緩和し回路規模の増大を抑制可能とした半導体装置の提供。
【解決手段】互いに異なる電源電圧を与える第1の電源(VDD)と第2の電源(VSS)の間に直列に接続され、制御電極が共通に接続された第1及び第2のFET(M11、M12)と、前記第1及び第2のFETの間に接続する第1の回路を有するインバータを備え、前記第1の回路は、互いに並列に接続された第1の抵抗素子(R12)と第3のFET(M13)を備え、前記第1の抵抗素子(R12)の抵抗値は正の温度特性を有し、前記第3のFET(M13)は、その動作範囲に、第3のFET(M13)の端子間抵抗が、第1の抵抗素子(R12)の温度特性と逆極性の負の温度特性を示す領域を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、例えば信号を伝播する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、容量Cと抵抗RからなるCR回路(CR遅延回路)が、所定時間経過毎に信号を出力するタイマ回路や発振回路、あるいはワンショットパルス生成回路等のタイミング回路に用いられている。よく知られているように時定数τ=CRのCR回路に理想的なステップ信号が入力された場合、容量の端子間電圧の信号振幅の10%と90%の間の推移時間である立ち上がり時間tfと立ち下がり時間trは2.2τ=2.2RCで近似される。半導体装置において容量としては、寄生容量を利用したり、別途、容量素子が接続される。特に制限されないが、半導体集積回路の寄生容量として例えば同一配線層間での隣接配線間の容量や上下配線層間の容量(平行平板型容量)が用いられる。別途設ける容量素子として、MOS(Metal Oxide Semiconductor)キャパシタや基板表面の拡散層と基板間の接合容量(ウェル内の拡散層とウェル間の接合容量)等がある。抵抗としては、例えば配線、MOSトランジスタのゲート電極や拡散抵抗、あるいは、MOSトランジスタのオン抵抗等が用いられる。
【0003】
半導体装置において、容量(寄生容量あるいはMOSキャパシタ等)の温度による容量値の変化は比較的少ないが、導体の抵抗成分は、一般に、高温で抵抗値が高くなる正の温度特性を有する。この結果、温度が高くなるほど、CR回路の時定数τが大となり、容量の端子間電圧の立ち上がり時間、立ち下がり時間(遅延時間)が長くなる。このため、当該遅延回路を備えた発振回路やタイマ回路等において発振周期あるいはタイマ周期が長くなる。具体的には、メモリ素子のデータ保持にリフレッシュを必要とするダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)のセルフリフレッシュの内部タイマのタイマ周期が長くなり、リフレッシュ周期が長くなってしまう。特許文献1には、CMOSインバータを複数段備えたリングオシレータにおいて、MOSトランジスタのオン抵抗により発振周期が高温領域で長くなり、DRAMのリフレッシュ周期が長くなるという問題を解決するために、図10に示すように、CMOSインバータ402のPMOSトランジスタ414のドレインとNMOSトランジスタ416のドレインの間に、温度が高くなるほど抵抗値が小さくなるような抵抗素子418を備えたことで、温度が高くなるほど、発振回路400の発振周期が短くなるようにした構成が従来技術(特許文献1の図22)として開示されている。容量(キャパシタ)420と抵抗418が遅延回路(CR遅延回路)を構成している。なお、図9のリングオシレータは、CMOSインバータ402、404、406、408がカスケード接続され、最終段のCMOSインバータ408の出力412は、NAND回路410(入力信号STがHighのときインバータとして機能する)を介して初段のCMOSインバータ402の入力に帰還させて発振させるものである。
【0004】
特許文献1には、発振周期が高温で短く、低温になるほど長くなるようにした構成が開示されている。リングオシレータの各段のCMOSインバータは、図9に示すように、CMOSインバータの出力ノードと基準電圧端子(例えばVSS電源端子)間に容量112を備え、PMOSトランジスタ114とNMOSトランジスタ116の間に、抵抗値の温度特性が異なる複数の抵抗素子118と120を並列接続した抵抗並列回路を備えている。抵抗素子118(温度依存抵抗素子)は、温度が高くなるにつれ抵抗値が低くなる特性を有し、抵抗素子120(温度依非存抵抗素子)は温度変化に対して抵抗値がほとんど変わらない特性を有する。
【0005】
また、特許文献2には、CMOSインバータのPMOSトランジスタと、NMOSトランジスタのドレイン間に直列に接続された第1の抵抗及び第2の抵抗と、第1の抵抗に並列に接続されたNMOSトランジスタと、第2の抵抗の両端に両端が接続されたヒューズを備え、ヒューズの切断の有無で遅延時間を可変させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−12404号公報
【特許文献2】特開2002−42466号公報
【特許文献3】特開2010−232583号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kouichi Kanda et al., "Design Impact of Positive Temperature Dependence on Drain Current in Sub-1-V CMOS VLSIs", IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS VOL.36, NO.10, OCTOBER, 2001 <インターネットURL: http://lowpower.iis.u-tokyo.ac.jp/~kawapy/publications/IEEEJSSC01PTD.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下は、本発明者による関連技術の分析である。
【0009】
特許文献1においては、図9に示したように、遅延回路一段あたり、温度が高くなるにつれ抵抗値が低くなる特性の抵抗素子118と、温度変化に対して抵抗値がほとんど変わらない特性の抵抗素子120を並列接続した構成とされている。特許文献1に記載されているように、負の温度係数を有する抵抗素子118を作成するために、専用の配線層と専用の不純物のドープ工程が必要である。さらに、抵抗素子118において、負の温度係数とするためには、不純物ドープを極めて少なくすることから、そのシート抵抗値は極めて高くなる(特許文献1の例えば図16から、100℃で1.67GΩ/□:Giga Ohm/Square)。このため、抵抗値をおおよそ揃えるためには、かなり大きなレイアウト面積が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点の少なくとも1つを解決するため、本発明は概略以下の構成とされる(但し、以下に制限されない)。
【0011】
本発明によれば、互いに異なる電源電位の第1の電源と第2の電源との間に直列に接続され、制御電極が共通に接続された第1及び第2のFET(Field Effect Transistor)と、前記第1のFET及び前記第2のFETの間に接続された第1の回路と、を有するインバータを含み、前記第1の回路は、互いに並列に接続された第1の抵抗素子及び第3のFETを含み、前記第3のFETは、その動作領域に、前記第1の抵抗素子の温度特性と極性が逆の温度特性を示す領域を含む半導体装置が提供される。前記第1の抵抗素子は正の温度特性を有し、前記第3のFETは、その動作範囲に、端子間の抵抗値が負の温度特性を示す領域を含み、前記第1の抵抗素子の正の温度特性の影響を緩和するようにしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容量を充放電させ信号を遅延させる回路の遅延時間の温度依存性を緩和し、回路規模の増大を抑制可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す図である。
【図2】(A)、(B)はNMOSFETとPMOSFETのドレイン電流−ゲート電圧(IDS−VGS)特性の温度依存性を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態1の動作を説明するタイミング波形図である。
【図4】本発明の実施形態1の変形例の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1の変形例の動作を説明するタイミング波形図である。
【図6】本発明の実施形態1におけるドレイン電流−ゲート電圧(IDS−VGS)特性の一例を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態2の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態2の変形例の構成を示す図である。
【図9】特許文献1に開示されたインバータの構成を示す図である。
【図10】特許文献1に開示された発振回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態の一つは、以下に示される。但し、本願の請求内容はこの実施形態に限定されない。本発明の好ましい態様の1つによれば、互いに異なる電源電位の第1の電源と第2の電源間に直列に接続され、導電型が互いに逆の第1及び第2のMOSFET(M11、M12)を備えたインバータ(11)を備え、第1及び第2のMOSFET(M11、M12)は、入力ノードの信号のレベルに応答して、一方が導通するとき、他方は非導通となり、導通時に、出力ノードに一端が接続される容量(C1)を、それぞれ、充電及び放電する。さらに、インバータ(11)は、一端が容量(C1)の一端に接続され、他端が第2のMOSFET(M12)のドレインに接続され、正の温度特性(温度係数)を有する第1の抵抗素子(R12)と、第1の抵抗素子(R12)の前記一端と前記他端にドレインとソースがそれぞれ接続され、容量(C1)の放電時に、ゲート・ソース間電圧(VGS)が、ドレイン電流(IDS)の温度特性が正となる電圧範囲に含むようにバイアスされる第3のMOSFET(M13)とを備え、第3のMOSFET(M13)が、前記第1の抵抗素子(R12)の温度特性の影響を緩和・抑制するようにしている。
【0015】
MOSFETのドレイン・ソース間電流IDSは、通常、強反転領域(ゲート・ソース間電圧VGSが閾値電圧以上)では、高温時の方が低温時よりも電流値が小となり、弱反転領域(サブスレッショルド領域:ゲート・ソース間電圧が閾値電圧未満)で流れるドレイン・ソース間電流(サブスレッショルド・リーク電流)は、高温時の方が低温時よりも電流値は大となる(例えば特許文献3の図2参照)。
【0016】
しかしながら、電源電圧が例えば1V程度の低電圧動作となると、MOSFETのドレイン・ソース間電流IDSの温度依存性が逆転することが知られている(非特許文献1等参照)。例えばNMOSFETのドレイン電流(ドレイン・ソース間電流IDS)は、ゲート・ソース間電圧が所定の電圧以下(ドレイン電流の温度特性がほぼ0となるZTC(Zero Temperature Coefficient)ポイントに対応した所電圧VZTC(N)以下)では、高温時のほうが低温時よりも電流値が増大し(すなわち、ドレイン電流は正の温度特性を有する)、ゲート・ソース間電圧が所定の電圧よりも大のとき(VZTC(N)よりも大のとき)は、ドレイン電流は高温時のほうが低温時よりも電流値が減少する(すなわち、ドレイン電流は負の温度特性を有する)。ドレイン・ソース間電流の正の温度特性は、MOSFETのドレイン・ソース間の端子間の抵抗値に換算すると、ゲート・ソース間電圧が所定の電圧(VZTC(N))以下のとき、負の温度特性を有することに対応する。本発明によれば、抵抗素子と並列に挿入されるMOSFET(M13)のゲート・ソース間電圧は、例えば前記容量(C1)の放電時の動作範囲として、ドレイン電流が正の温度特性となる領域を含むようにバイアスされる。このため、容量(C1)の放電時の時定数の温度依存性を緩和し、負の温度特性の抵抗素子を設ける構成と比較して、製造構成の複雑化、増大を回避し、さらに、回路規模の増大を抑制可能としている。以下、実施形態に即して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態の構成を示す図である。図1を参照すると、初段のインバータ11は、高位側電源電圧を与える電源VDDにソースが接続され、ゲートに入力信号INを入力し、ドレインがノードN11に接続されたPMOSトランジスタ(PMOSFET)M11と、
低位側電源電圧を与える電源VSSにソースが接続され、ゲートがPMOSトランジスタM11のゲートと共通接続され入力信号INを共通に受けるNMOSトランジスタ(NMOSFET)M12と、
PMOSトランジスタM11のドレインノードN11に一端が接続された抵抗R11と、
抵抗R11の他端に一端が接続され、NMOSトランジスタM11のドレインに他端が接続された抵抗R12と、
ドレインとゲートが接続されて抵抗R11の他端に接続され、ソースがNMOSトランジスタM11のドレインに接続されたNMOSトランジスタM13と、
を備え、PMOSトランジスタM11のドレインノードN11と第2の電源VSS間に容量C1が接続されている。ドレインとゲートが接続されたNMOSトランジスタM13はダイオード接続のMOSトランジスタともいう。
【0018】
次段のインバータ12は、電源VDDにソースが接続され、ゲートがノードN11に接続されたPMOSトランジスタM21と、
電源VSSにソースが接続され、ゲートがPMOSトランジスタM21のゲートと共通にノードN11に接続されたNMOSトランジスタM22と、
NMOSトランジスタM22のドレインノードN21に一端が接続された抵抗R22と、抵抗R22の他端と、PMOSトランジスタM21のドレイン間に接続された抵抗R21と、
ドレインとゲートが接続されて抵抗R22の他端に接続され、ソースがPMOSトランジスタM21のドレインに接続されたPMOSトランジスタM23と、
を備え、NMOSトランジスタM22のドレインノードN21と電源VDD間には容量C2が接続されている。
【0019】
特に制限されないが、図1において、容量C1は、例えば、ゲートがノードN11に接続され、ソースとドレインが共通接続され電源VSSに接続されたNMOSトランジスタ(MOSキャパシタ)からなる。また容量C2は、例えばゲートがノードN21に接続され、ソースとドレインが共通接続され電源VDDに接続されたPMOSトランジスタ(MOSキャパシタ)からなる。
【0020】
図1には、2段のインバータ11、12が示されているが、3段以上の構成とする場合、インバータ12の出力が、初段のインバータ11と同一構成のインバータの入力に接続され、インバータ11とインバータ12が交互に接続される。奇数段のインバータを接続する構成の場合、最終段のインバータは、インバータ11と同一構成とされ、偶数段のインバータを接続する構成の場合、最終段のインバータはインバータ12と同一構成とされる。なお、図1では、インバータ11とインバータ12の順に接続された構成が示されているが、インバータ12を初段、インバータ11を次段としてもよいことは勿論である。
【0021】
抵抗素子R11、R12、R21、R22は、一般に用いられる金属抵抗または拡散層抵抗であり、導体の特徴である正の温度特性(温度が高くなるに従い抵抗値が増加する)を持つ。
【0022】
図1において、電源電圧VDDは、PMOSトランジスタM11の閾値の絶対値|VTP|と、NMOSトランジスタM12の閾値VTNの和に比べて十分高い電圧に設定される。また、PMOSトランジスタM21の閾値の絶対値|VTP|と、NMOSトランジスタM22の閾値VTNの和に比べて十分高い電圧に設定される。NMOSトランジスタM12、M22のオン抵抗、PMOSトランジスタM11、M21のオン抵抗は、正の温度特性を有する。例えばNMOSトランジスタM12は、そのゲート・ソース間電圧VGSが閾値電圧VTN以上の強反転領域で、ドレイン電流は、高温時の方が低温時よりも減少し、オン抵抗は、高温時の方が低温時よりも増加し、正の温度特性を有する。
【0023】
図2(A)、(B)は、低電圧領域でのNMOSFET、PMOSFETのIDS−VGS特性を説明する図である(非特許文献1のFig.1参照)。図2(A)に示すように、NMOSFETにおいて、ゲート・ソース間電圧VGSが所定の電圧(VZTC(N))以下では、NMOSFETが導通(オン)時のドレイン電流(ドレイン・ソース間電流)IDSは、高温時の方が低温時よりも電流値が大となる。ドレイン・ソース間の端子間抵抗に換算すると、抵抗値(オン抵抗)は負の温度特性を有する。一方、ゲート・ソース間電圧VGSが所定の電圧(VZTC(N))よりも大きい場合、ドレイン・ソース間電流IDSは、低温時の方が高温時よりも電流値が大となる。ドレイン・ソース間の端子間抵抗に換算すると、抵抗値(オン抵抗)は正の温度特性を有する。ゲート・ソース間電圧VGSが所定の電圧(VZTC(N))のときには、高温時と低温時のドレイン・ソース間電流IDSが交差し、ドレイン・ソース間電流IDSの温度特性は零(0)となる。高温時と低温時のドレイン・ソース間電流IDSが交差する点をZTC(Zero Temparature Coefficient)ポイントという。ドレイン・ソース間電流IDSの温度特性が0となるZTCポイントのゲート・ソース間電圧VGSをVZTC(N)と表す。VZTC(N)は通常、NMOSFETの閾値電圧VTHN付近にある。
【0024】
また図2(B)に示すように、PMOSFETにおいて、ゲート・ソース間電圧VGS(<0)が所定の電圧VZTC(P)(<0)よりも高い場合(ゲート・ソース間電圧VGSの絶対値がVZTC(P)の絶対値よりも小さい場合)、PMOSFETが導通(オン)時のドレイン電流IDSは、高温時の方が低温時よりも電流値が大となり、ドレイン・ソース間の端子間抵抗に換算すると、抵抗値(オン抵抗)は負の温度特性を有する。ゲート・ソース間電圧VGS(<0)が所定の電圧VZTC(P)(<0)よりも低い場合、ドレイン電流IDSは、低温時の方が高温時よりも電流値が大となり、ドレイン・ソース間の端子間抵抗に換算すると、抵抗値(オン抵抗)は正の温度特性を有する。ゲート・ソース間電圧VGS(<0)が所定の電圧VZTC(P)のときには、高温時と低温時のドレイン電流IDSが交差し、ドレイン電流IDSの温度特性は零(0)となる。VZTC(P)(<0)は通常PMOSFETの閾値電圧VTHP(<0)付近にある。以下、概説する。
【0025】
飽和領域におけるMOSトランジスタのドレイン・ソース間電流IDSは一般に式(1)で表される(非特許文献1参照)。なお、図1において、MOSトランジスタM13はドレインとゲートが接続され、ドレイン・ソース間電圧VDSはゲート・ソース間電圧にVGSに等しく、VDS>VGS−VTH(VTH:閾値電圧)が成り立つため、飽和領域で動作する。
【0026】

【0027】
式(1)において、μ(T)は温度T(絶対温度)でのキャリアの移動度(モビリティ)、VTH(T)は温度T(絶対温度)での閾値電圧である。αはドレイン・ソース間電流IDSのゲート・ソース電圧VGSの依存性を示す指数項の係数である(例えばα=1〜2)。温度(絶対温度)Tにおける閾値電圧VTH(T)と移動度μ(T)は、それぞれ次式(2)、(3)で表される。
【0028】

【0029】

【0030】
式(2)において、κ(>0)は温度係数であり、例えば2.5mV/K(KはKelvin)である。式(3)において、mは例えば3/2(=1.5)で与えられる。なお、Tは所定の基準温度であり、例えば25℃(室温)のとき、T=273.15+25=298.15K(絶対温度)である。
【0031】
閾値電圧VTH(T)の温度特性は負であり(高温時の方が低温時よりも値が小さい)、移動度μ(T)の温度特性も負であるが、式(1)において、閾値電圧VTH(T)にはマイナス符号がかかるため、MOSFETのドレイン・ソース間電流IDSの温度特性に関して、閾値電圧VTH(T)は正として作用する。式(1)の右辺に(2)、(3)を代入し対数をとると、
【0032】

【0033】
式(4)をTで微分すると次式(5)と表される。
【0034】


【0035】
式(5)の右辺の第1項(負値)は高温時には低温時よりも値が大きくなり、第2項(正値)は、高温時には低温時よりも値は小さくなる。ドレイン・ソース間電流IDSの温度特性が0となるのは、温度Tで微分した微係数が0となることである。式(5)においてTを所定の値に設定した場合の値が0となることに対応する。したがって、式(6)が成り立ち、式(8)が得られる。
【0036】

【0037】

【0038】


【0039】
式(8)において、例えばT=Tとすると式(9)が得られる。
【0040】

【0041】
式(9)のVGSが、T=Tを含む所定の温度範囲でのZTCポイントでのゲート・ソース間電圧VGS(VZTC)の一つ(近似値)を与える。
【0042】
ドレイン・ソース間電流IDSの温度特性は、図2(A)に示すように、ゲート・ソース間電圧VGSによって、VGS<VZTC(N)で正(高温ほど電流値が大きくなる)、VGS>VZTC(N)で負(高温ほど電流値が小さくなる)、VGS=VZTC(N)で0となる。以上でZTCポイントのゲート・ソース間電圧VGSの説明を終える。
【0043】
再び図1を参照すると、本実施形態においては、NMOSトランジスタM13ゲート・ソース間電圧VGSが、ZTCポイント以下の電圧となるように、ノードN11の電圧を抵抗R11、R12で分圧している。INがHighレベル(=VDD)となり、NMOSトランジスタM12が導通し、容量C1の電荷を電源VSS側に放電する場合に、NMOSトランジスタM13のゲート・ソース間に印加される電圧は、VZTC(N)以下となり、飽和領域で動作するNMOSトランジスタM13のドレイン・ソース間電流IDSの電流値は、高温時に低温時よりも増大する正の温度特性を有する。ドレイン・ソース間端子間抵抗は、高温時に低温時よりも減少する負の温度特性を有する。
【0044】
図3は、図1の回路の動作を説明するための波形図である。図3には、図1の入力信号INとノードM11、N12、N13の電圧波形が示されている。図1において、入力信号INがLowレベル(電源電圧VSS)のとき、PMOSトランジスタM11が導通し、NMOSトランジスタM12は非導通とされる。容量C11は、PMOSトランジスタM11を介して電源VDDから充電される。すなわち、ノードN11はHigh電位(=電源電位VDD)にプリチャージされる(容量C1にはC1×VDDの電荷が蓄積される)。NMOSトランジスタM12は非導通であり、ノードN12、N13は、電源VSSと非導通であり、PMOSトランジスタM11を介して電源VDDに接続されるため、ともに電源電圧VDDとされる。NMOSトランジスタM12のゲート・ソース間電圧VGSは、ノードN12とN13の差電圧で与えられるがノードN12とN13は等電位であり、閾値電圧以下であるため、NMOSトランジスタM13は非導通とされる。なお、INがLowレベルでノードN11がHighとなると、2段目のインバータのNMOSトランジスタM22が導通し、PMOSトランジスタM21は非導通となり、ノードN21は電源電位VSSとなり、第2の容量C2は充電される(容量C2の蓄積電荷Q=C2×VDD)。
【0045】
この状態からINをLowレベルからHighレベル(VDD)に遷移させると、NMOSトランジスタM12が導通し、PMOSトランジスタM11は非導通となり、ノードN13は、VSSレベルに速やかに放電される。そして、ノードN12は、ノードN11の電位を、抵抗R11とR12で分圧した電圧となる。抵抗R11とR12の抵抗値は、ノードN12の電圧は、好ましくは、図2のZTCポイント以下であり、NMOSトランジスタM13の閾値電圧以上となるように、設定される。
【0046】
容量C1の蓄積電荷(Q=C1×VDD)を放電するために、徐々に、ノードN11、N12の電位が下がる。
【0047】
NMOSトランジスタM13のゲート・ドレイン間電圧=ゲート・ソース間電圧VGSは、図2のZTCポイントの電圧VZTC(N)以下とされ、NMOSトランジスタM13のドレイン電流は温度が高くなるほど大となり、ドレイン・ソース間の端子間抵抗R13(T)は、負の温度特性を示す。NMOSトランジスタM13のドレイン・ソース間の端子間抵抗R13(T)は、式(10)で近似される。
【0048】
R13(T)=R13(T0)×(1-a1(T-T0)) ・・・(10)
【0049】
は所定の基準温度(室温等)、R13(T)は基準温度TでのNMOSトランジスタM13のドレイン・ソース間の端子間抵抗である。抵抗R13(T)の温度係数は−a1であり、負値である(a1>0)。
【0050】
抵抗R12は、次式(11)で与えられる。
【0051】
R12(T)=R12(T0)×(1+a2(T-T0)) ・・・(11)
【0052】
R12(T)は基準温度Tで抵抗R12の抵抗値である。抵抗R12(T)の温度係数はa2(>0)である。
【0053】
高温時には、抵抗R12の抵抗値R12は低温時よりも大となるが、NMOSトランジスタM13のドレイン・ソース間の端子間抵抗R13は低温時よりも小となる。このため、高温時における並列合成抵抗R=R12‖R13(T)の増大を抑制している。
【0054】
並列合成抵抗R=R12‖R13(T)は、
1/RP=1/R12+1/R13(T) ・・・(12)
で与えられる。式(12)において、高温時に、1/R12は減少するが、1/R13(T)は増大し、1/Rの減少を緩和している。すなわち、MOSトランジスタM13は、抵抗R12の正の温度特性を緩和・抑制、あるいは相殺するように働く。
【0055】
逆に低温時には、高温時よりも抵抗R12の抵抗値は下るが、NMOSトランジスタM13のドレイン・ソース間電流IDSは高温時よりも減少し、ドレイン・ソース間の端子間抵抗R13は高温時よりも大となる。このため、低温時における並列合成抵抗R=R12(T)‖Ron13(T)の減少を抑制している。
【0056】
なお、容量C1の放電パスであるノードN11とVSS間の抵抗成分は、NMOSトランジスタM12のオン抵抗をRon12とすると、
R=R11+R12‖R13+Ron12 ・・・(13)
で与えられる。時定数τはτ=CRで与えられる。時定数τの立ち下がり時間tf=2.2CR与えられる。式(13)の右辺第2項の並列合成抵抗の温度特性の温度変化を緩和、抑制し、立ち下がり時間tfの温度特性を緩和している。
【0057】
図3において、ノードN11の電圧が徐々に下がり、次段のインバータの放電動作が始まる(ノードN21がVSSからVDDへの立ち上がりを開始)までの間の時間がインバータ1段あたりの遅延時間(図3の「遅延時間」参照)を決定する。次段のインバータの放電動作の開始(PMOSトランジスタM21が導通し、NMOSトランジスタM22が非導通となり、ノードN21が立ち上がりを開始)は、ノードN11の電圧がほぼ電源電圧の半分(0.5×VDD)であることから、MOSトランジスタM13が負の温度特性状態にバイアスされて動作している。次段のインバータの動作開示までの遅延時間(ノードN11の電源電圧VDDからの立ち下がり動作時)、NMOSトランジスタN13の負の温度特性によって、抵抗R12の正の温度特性(温度係数)の影響が緩和もしくは相殺されることになる。
【0058】
なお、2段目のインバータ(M21、M22、M23、R21、R22、C2)についても、容量C2の放電時(ノードN21をVSSからVDDに設定するとき)、抵抗R22、R21により、PMOSトランジスタM23のゲート・ソース間電圧の絶対値|VGS|が|VZTC(P)|以下となるように設定され、高温時のほうが低温時よりも、ドレイン電流が大となり、ドレイン・ソース間の端子間抵抗は負の温度特性を有する。このため、温度変化時において、PMOSトランジスタM23は正の温度特性(温度係数)の抵抗R22の影響を緩和している。
【0059】
<実施形態1の変形例>
図4は、実施形態2として、前記実施形態1の変形例を示す図である。図4を参照すると、この変形例では、図1の1段目のインバータにおいて、抵抗R11が削除され、2段目のインバータにおいて抵抗R22が削除されている。図4において、NMOSトランジスタM13のゲート・ソース間電圧VGSは、ノードN11とノードN13間の電圧となる。ここで、図2のVGSのZTCポイントの電圧VZTC(N)(図2(A)参照)をVDD×0.8とすると、NMOSトランジスタM13の温度特性はほぼVDD×0.8でちょうど0、それ以下で負となるため、MOSトランジスタM13のドレイン・ソース間の端子間抵抗の温度特性が負となるのは、図5の電圧波形N11の「温度特性負領域」で示した期間となる。
【0060】
電源電圧VDDと容量値C1による設計に関して、ノードN11の時定数τが小さい場合や、電源電圧VDDがNMOSトランジスタM31の負の温度特性領域に比べて非常に高い場合には、前記実施形態1のように、ノードN11の電圧を抵抗R1で電圧降下させた電圧を、NMOSトランジスタM13のゲート・ソース電圧VGSとすることが好ましい。
【0061】
NMOSトランジスタM13のドレイン・ソース電流IDSに関しては、NMOSトランジスタM13のゲート・ソース間電圧を、閾値電圧VTH付近で使用するが、このときに流れるドレイン・ソース電流IDSは、図6に示すように、例えばゲート・ソース間電圧VGSを電源電圧VDDとした場合に流れるドレイン・ソース電流の値の例えば1/8程度である。
【0062】
INがHighレベル(=VDD)のとき、NMOSトランジスタM12のゲート・ソース間電圧VGSは電源電圧VDDとされる。このときのNMOSトランジスタM12のドレイン・ソース間電流をIDS(M12)とする。ゲート・ソース間電圧VGSが電源電圧VDDのときのドレイン・ソース間電流の1/8の電流値をとる値に設定されたNMOSトランジスタM13のドレイン・ソース間電流IDSを、ゲート・ソース間電圧VGSがVDDであるNMOSトランジスタM12のドレイン・ソース間電流IDS(M12)にほぼ対応させるために、NMOSトランジスタM13のゲートサイズ(ゲート幅W)は、NMOSトランジスタM12のゲートサイズ(ゲート幅W)よりも大きなサイズに設定される。容量C1の放電時に、NMOSトランジスタM12(このとき、NMOSトランジスタM12のゲート電圧=VDD)に流れるドレイン・ソース間電流IDS(M12)は、並列回路を構成する抵抗R12とNMOSトランジスタM13にそれぞれ分流する電流の和であることから、NMOSトランジスタM13のゲート幅Wは、抵抗R12の抵抗値に応じて、NMOSトランジスタM12のゲート幅の8倍よりも小な値に設定される(例えば3倍程度)。
【0063】
したがって、NMOSトランジスタM13を抵抗R12と並列に使用するために、NMOSトランジスタM13のゲートサイズ(ゲート幅)を特別に小さくしたり、大きくすることは必要ない。同様のことが、2段目のインバータにおいて抵抗R21に並列に接続されるPMOSトランジスタM23についてもいえる。
【0064】
<実施形態2>
図7は、本発明の実施形態2の構成を示す図である。図1、図4に示した前記実施形態1とその変形例では、1段目のインバータのNMOSトランジスタM13と、2段目のPMOSインバータM23は、ゲートとドレインを接続したダイオード接続構成としている。本実施形態では、1段目のインバータのNMOSトランジスタM13と、2段目のPMOSインバータM23は、MOSトランジスタとして用いている。そして、NMOSトランジスタM13とPMOSインバータM23のゲート電圧(ゲート・ソース間電圧)Sig1、Sig2として、図2のZTCポイント以下の電圧を、電圧発生回路10から供給することによって、NMOSトランジスタM13とPMOSインバータM23のドレイン・ソース間の端子間電圧を負の温度特性を得ることができる。
【0065】
なお、抵抗R12、R21の正の温度特性を緩和する点については、図8に示すように、抵抗R11、R22は省略してもよい。電源電圧VDDがNMOSトランジスタM31の負の温度特性領域に比べてさほど高くない場合等に、図8の構成が用いられる。
【0066】
本実施形態において、電圧発生回路10は、一般的な定電圧発生回路(バンドギャップリファレンス回路等、温度に依存しない基準電圧発生回路)が用いられる。NMOSトランジスタM13、PMOSトランジスタM23のゲート電圧に供給するための電圧を設定するため、電圧発生回路10の出力電圧は、ヒューズ等の調整手段で基準電圧の出力タップ等を選択して設定することによって、容易に設計ができる。特に制限されないが、このヒューズ等の溶断は、半導体装置の製造工程において、高温、低温時での伝播遅延時間等のテスト結果に基づき、NMOSトランジスタM13、PMOSトランジスタM23のゲート電圧を調整するようにしてもよい。
【0067】
Sig1は例えば0.4〜0.8Vの範囲内、PMOSトランジスタM23については、NMOSトランジスタM13のゲート電圧よりも、仮に0.1V高めにシフトした特性であれば、Sig2は0.5〜0.9Vの範囲内で設定する。なお、電圧Sig1、Sig2の電圧は、SPICEのMOSFETのモデル(BSIM3v3.1等)の閾値電圧の温度依存性、移動度の温度依存性モデルを用いたNMOSFETとPMOSFETのIDS−VGS特性のシミュレーション結果、又は、該シミュレーション結果と実測結果、等に基づき、導出するようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態によれば、正の温度特性の抵抗素子の特性を緩和するための素子として負の温度特性を有するMOSFET(M13、M23)を備えたことにより、通常のCMOSプロセスをそのまま適用することが可能であり、MOSFET(M13、M23)のゲートサイズの増大もさほど大きくなくて済む。このため、特許文献1と比較して、製造工程数を削減し、回路素子の規模、面積の増大を抑止しながら、遅延回路一段あたりの伝播遅延時間の温度依存性を抑制することができる。
【0069】
上記実施形態によれば、例えば図10に示したような、インバータを複数段備えたリングオシレータに適用可能である。ただし、リングオシレータは、DRAMメモリセルのセルフリフレッシュ用のタイマに制限されるものでない。複数段のインバータにおいて、図1又は図4のインバータ11、12の一方を複数段カスケード接続した構成としてもよい。また、容量C1、C2は、MOSキャパシタでなく、例えば上下配線層の配線間の容量等(平行平板型容量)であってもよい。
【0070】
メモリセルは、揮発性、不揮発性、及びそれらの混合でも構わない。上記実施形態によれば、インバータを複数段備えた遅延回路列、等、任意の信号伝送回路、システムに適用可能である。
【0071】
上記のとおり本願の技術思想は、信号伝送回路を有する任意の半導体装置に適用できる。更に、図面で開示した各回路ブロック内の回路形式、その他の制御信号を生成する回路は、実施例が開示する回路形式限られない。
【0072】
本発明の半導体装置の技術思想は、様々な半導体装置に適用することができる。例えば、CPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Control Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ASSP(Application Specific Standard Product)、メモリ(Memory)等の半導体装置全般に、本発明を適用することができる。このような本発明が適用された半導体装置の製品形態としては、例えば、SOC(システムオンチップ)、MCP(マルチチップパッケージ)やPOP(パッケージオンパッケージ)などが挙げられる。これらの任意の製品形態、パッケージ形態を有する半導体装置に対して本発明を適用することができる。また、トランジスタは、電界効果トランジスタ(Field Eeffect Transistor;FET)であれば良く、MOS(Metal Oxide Semiconductor)以外にもMIS(Metal−Insulator Semiconductor)、TFT(Thin Film Transistor)等の様々なFETに適用できる。トランジスタ等の様々なFETに適用できる。更に、装置内に一部のバイポーラ型トランジスタを有しても良い。更に、PMOSトランジスタ(P型チャネルMOSトランジスタ)は、第1導電型のトランジスタ、NMOSトランジスタ(N型チャネルMOSトランジスタ)は、第2電型のトランジスタの代表例である。
【0073】
なお、前記実施形態等には含まれていないが、図1、図4、図7、図8等において、例えば抵抗R12に負の温度特性を持たせる構成の場合には、MOSトランジスタM13を正の温度特性(MOSトランジスタM13にZTC以上のゲート・ソース間電圧を与え、高温時にドレイン電流が減少する)とする関連発明(比較例)も原理上は考え得る。さらに、例えば図8等において、抵抗R12をMOSトランジスタで置き換え、当該MOSトランジスタに電圧発生回路10からZTC以上のゲート・ソース間電圧を供給することで、ドレイン電流が高温時に減少する負の温度特性(端子間抵抗は正の温度特性)を有し、この正の温度特性を、MOSトランジスタM13の端子間抵抗の負の温度特性で緩和させる構成とした関連発明(比較例)も原理上は考え得る。
【0074】
また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
10 電圧発生回路
11 初段のインバータ
12 次段のインバータ
112 容量
114 PMOSトランジスタ
116 NMOSトランジスタ
118 抵抗素子(温度依存抵抗素子)
120 抵抗素子(温度非依存抵抗素子)
400 発振回路
402、404、406、408 インバータ
410 NAND
412、422 ノード
414 PMOSトランジスタ
416 NMOSトランジスタ
418 温度依存抵抗素子
420 キャパシタ(容量)
424 トランジスタ直列回路
426 遅延回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる電源電位の第1の電源と第2の電源との間に直列に接続され、制御電極が共通に接続された第1及び第2のFET(Field Effect Transistor)と、前記第1のFET及び前記第2のFETの間に接続された第1の回路と、を有するインバータを含み、
前記第1の回路は、互いに並列に接続された第1の抵抗素子及び第3のFETを含み、
前記第3のFETは、その動作範囲に、前記第1の抵抗素子の温度特性と逆極性の温度特性を示す領域を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第1の抵抗素子は正の温度特性を有し、前記第3のFETは、端子間抵抗値が負の温度特性を示す領域を動作範囲に含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の回路は、更に、
前記互いに並列に接続された前記第1の抵抗素子及び前記第3のFETの一端と、
前記第1のFET及び前記第2のFETのいずれか一方の間に接続された第2の抵抗素子を更に備える、請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3のFETのゲート電極に電圧を供給する電圧発生回路を備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3のFETのゲート電極はそれ自身の電極にダイオード接続される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1及び第3のFETは、ともに第1の導電型トランジスタであり、
前記第2のFETは、第2の導電型トランジスタである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
第1乃至第3のノードと、第1及び第2の前記インバータをさらに備え、
前記第1のインバータは、
前記第1のインバータが含む前記第1及び第2のFETの共通接続された前記制御電極に接続する第1の入力ノードと、
前記第1のインバータが含む前記第1の回路の一端と前記第1及び第2のFETのいずれかの一端との間に接続する第1の出力ノードと、
を含み、
前記第2のインバータは、
前記第2のインバータが含む前記第1及び第2のFETの共通接続された前記制御電極に接続する第2の入力ノードと、
前記第2のインバータが含む前記第1の回路の一端と前記第1及び第2のFETのいずれか一端との間に接続する第2の出力ノードと、
を含み、
前記第1のノードは前記第1の入力ノードに接続し、
前記第2のノードは、前記第1の出力ノードに接続するとともに、前記第2の入力ノードに接続し、
前記第3のノードは前記第2の出力ノードに接続する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1のインバータが含む前記第1の回路において、
前記第1及び第3のFETは、第1の導電型トランジスタであり、
前記第2のFETは、第2の導電型トランジスタであり、
前記第2のインバータが含む前記第1の回路において、
前記第2のFETは、前記第1の導電型トランジスタであり、
前記第1及び第3のFETは、前記第2の導電型トランジスタである、請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
第1の電源電位を有する第1の電源線、及び、第1のノードの間に接続する第1のFET(Field Effect Transistor)と、
前記第1の電源電位と異なる第2の電源電位を有する第2の電源線、及び、第2のノードの間に接続する第2のFETと、
前記第1及び第2のノードの間に接続する第1の回路と、を有するインバータを備え、
前記第1の回路は、並列に接続された第1の抵抗素子及び第3のFETを備え、
前記第1の抵抗素子は正の温度特性を有し、
前記第3のFETは、その動作範囲に、端子間抵抗値が負の温度特性を示す領域を含む、半導体装置。
【請求項10】
前記第3のFETに、ゲート電圧を与える電圧発生回路を備えた請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第3のFETのドレインとゲートが接続された請求項9又は10記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の回路が、前記第1及び第2のFETの一方と、前記第1の抵抗素子と前記第3のFETのドレインの接続点の間に、さらに第2の抵抗素子を備えた請求項9乃至11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第3のFETは、ドレイン電流の温度特性が正を示す動作領域を含むように、バイアスされる、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
互いに異なる電源電位の第1の電源と第2の電源間に直列に接続され、入力ノードの信号のレベルに応答して、一方が導通するとき、他方は非導通となる第1及び第2のFETを備え、前記第1及び第2のFETの一方の導通時に、出力ノードに一端が接続される容量を充電し、他方の導通時に、前記容量を放電し、
さらに、
一端が前記容量の一端に接続され、他端が前記第1及び第2のFETのいずれかのドレインに接続され、正の温度特性を有する第1の抵抗素子と、
前記第1の抵抗素子の前記一端と前記他端にドレインとソースがそれぞれ接続され、前記容量の放電時に、ゲート・ソース間電圧が、ドレイン電流の温度特性が正となる電圧範囲を含むようにバイアスされる第3のFETと、
を含むインバータを備えた半導体装置。
【請求項15】
前記第1のFETの導通時に前記容量が充電され、前記第2のFETの導通時に、前記容量が放電され、
前記第1の抵抗素子の前記他端が前記第2のFETのドレインに接続され、
前記容量の一端と、前記第1の抵抗素子の前記一端と前記第3のFETのドレインとの接続点の間に接続された第2の抵抗素子をさらに備え、
前記容量の端子間電圧を分圧した電圧が、前記第3のFETのドレイン・ソース間に印加される、請求項14記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第3のFETはゲートとドレインが接続されている、請求項14又は15記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第3のFETのゲートは、電圧発生回路からゲート電圧を受ける、請求項14又は15記載の半導体装置。
【請求項18】
複数段カスケード接続した前記インバータを備えた請求項14乃至17のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−110661(P2013−110661A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255762(P2011−255762)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】