説明

半導体電力変換装置

【課題】スイッチング素子のオンオフ切り替え時において、スイッチング素子のゲートに供給されるゲート電圧の変化を監視し、最適なタイミングで段階的にゲート電圧を切り替えることによって、スイッチング素子のオンオフ切り替え時における電圧・電流サージを発生させない半導体電力変換装置を提供する。
【解決手段】本発明の半導体電力変換装置は、スイッチング素子をオンオフさせる半導体電力変換装置であって、スイッチング素子に供給されるゲート電圧の変化を検出するゲート電圧変化検出手段と、入力される駆動信号に基づいて、スイッチング素子のゲートにゲート駆動電圧を出力するゲート駆動手段とを備え、ゲート駆動手段は、ゲート電圧変化検出手段によってゲート電圧の変化が検出されたタイミングで、ゲート駆動電圧を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体電力変換装置に関し、より特定的には、スイッチング素子のオンオフ切り替え時における電圧・電流サージの発生を抑制する半導体電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電圧駆動型のスイッチング素子として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられている。IGBTは、環境分野の電力制御機器、ハイブリッド車および電気自動車のパワーコントロールユニットに組み込まれているインバータ回路等に用いられ、スイッチング損失の低減、および高速動作等、更なる性能向上が求められている。
【0003】
そこで、スイッチング損失およびスイッチング時間の増加を抑制する従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路が、特許文献1に開示されている。図11は、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10を示す図である。図11において、ゲート駆動回路10は、スイッチング素子としてIGBT11と、コンパレータ12と、遅延回路13と、ワンショット回路14とを備え、スイッチング素子のオンオフ切り替え時におけるゲート電圧を制御している。具体的には、IGBT11をオフからオンに切り替える際、コンパレータ12は、IGBT11のゲート・エミッタ間電圧Vgeを監視する。そして、ゲート・エミッタ間電圧Vgeが所定の閾値に達すれば、遅延回路13に設定された所定の遅延時間経過後、一定期間、ワンショット回路14は、ゲート駆動条件制御信号を出力する。
【0004】
図12は、スイッチング素子をオフからオンに切り替える際のゲート電圧Vge、コレクタ電圧Vce、およびIGBT電流Icを示す図である。図12に示すように、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10では、IGBT11をオフからオンに切り替える際、IGBT11のゲートに、IGBT11をオンさせるためのゲート電圧Vgeを急激に供給するのではなく、遅延回路13に設定された所定の遅延時間経過後に、IGBT11をオンさせるためのゲート電圧Vgeを供給している。
【0005】
上述したように、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10では、IGBT11をオフからオンに切り替えるための経路を2つ設けており、段階的にゲート電圧Vgeを切り替えることによって、緩やかにIGBT11をオフからオンに切り替えている。これにより、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10は、スイッチング損失の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−83371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10では、IGBT11のオンオフ切り替え動作を段階的に行うことによって、IGBT11のオンオフ切り替え時におけるスイッチング損失の低減および電圧・電流サージの発生の抑制を図っているものの、段階的にゲート電圧Vgeを切り替える際のタイミングは、遅延回路13に設定された所定の遅延時間に依存する。このため、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10では、IGBT11のオンオフ切り替え時に、図12に示すように、電圧・電流サージが発生してしまう場合がある。
【0008】
具体的には、例えば、IGBT11のオンオフ切り替え時に、電圧・電流サージが発生しないように、予め最適な遅延時間を遅延回路13に設定したとしても、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10を動作させる周囲の温度変動などの影響があるため、実際にゲート電圧Vgeを切り替えているタイミングは、最適なタイミングであるとは言えない。
【0009】
また、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10では、IGBT11のオンオフを切り替えるための経路が2つ設けられており、IGBT11のオンオフ切り替え時に、電圧・電流サージが発生しないように、IGBT11のオンオフ切り替え動作速度を調整するための抵抗などの素子がそれぞれの経路に配置されている。従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10では、それぞれの経路に配置される素子を調整しているものの、これらの素子には個体バラツキがある。
【0010】
このように、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10では、周囲の温度変動などの環境、およびそれぞれの経路に配置される素子の個体バラツキを考慮して、予め最適な遅延時間を遅延回路13に設定し、IGBT11のオンオフ切り替え時における電圧・電流サージの発生を完全に抑制することは困難である。
【0011】
それ故に、本発明の目的は、スイッチング素子のオンオフ切り替え時において、スイッチング素子のゲートに供給されるゲート電圧の変化を監視し、最適なタイミングで段階的にゲート電圧を切り替えることによって、スイッチング素子のオンオフ切り替え時における電圧・電流サージを発生させない半導体電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の半導体電力変換装置は、スイッチング素子をオンオフさせる半導体電力変換装置であって、スイッチング素子に供給されるゲート電圧の変化を検出するゲート電圧変化検出手段と、入力される駆動信号に基づいて、スイッチング素子のゲートにゲート駆動電圧を出力するゲート駆動手段とを備え、ゲート駆動手段は、ゲート電圧変化検出手段によってゲート電圧の変化が検出されたタイミングで、ゲート駆動電圧を制御することを特徴とする。
かかる構成により、スイッチング素子のオンオフ切り替え時において、周囲の温度変動などの環境、および当該半導体電力変換装置に組み込まれた素子の個体バラツキの影響に関わらず、スイッチング素子のゲートに供給されるゲート電圧の変化を検出した最適なタイミングで、段階的にゲート電圧を切り替えることができる。これにより、スイッチング素子のオンオフ切り替え時における電圧・電流サージの発生を完全に抑制することができる。
【0013】
さらに、好ましいゲート駆動手段は、負入力端子にゲート電圧が帰還するオペアンプと、オペアンプの正入力端子に入力される目標ゲート電圧を設定する目標ゲート電圧設定手段とを備える。
かかる構成により、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路のように、オンオフ経路を複数設ける必要がなく、ゲート駆動回路から出力されるゲート駆動電圧を可変制御することができるため、回路の縮小化となる。
【0014】
また、好ましい目標ゲート電圧は、スイッチング素子をオンさせるオン期間は、スイッチング素子をオンさせる第1のゲート駆動電圧であり、スイッチング素子をオフさせるオフ期間は、スイッチング素子をオフさせる第2のゲート駆動電圧であり、オン期間のうち、オン期間開始からゲート電圧が第1のゲート駆動電圧に変化することがゲート電圧変化検出手段によって検出されるまでのオフオン切り替え過渡期間は、第2のゲート駆動電圧以上かつ第1のゲート駆動電圧以下であって予め設定された第1の目標ゲート電圧であり、オフ期間のうち、オフ期間開始からゲート電圧が第2のゲート駆動電圧に変化することがゲート電圧変化検出手段によって検出されるまでのオンオフ切り替え過渡期間は、第2のゲート駆動電圧以上かつ第1のゲート駆動電圧以下であって予め設定された第2の目標ゲート電圧であることを特徴とする。
かかる構成により、オン期間、オフ期間、オフオン切り替え過渡期間、およびオンオフ切り替え過渡期間における最適な目標ゲート電圧を予め設定しているため、段階的に最適なゲート電圧に切り替えることができる。
【0015】
さらに、好ましい目標ゲート電圧設定手段は、オフオン切り替え過渡期間のうち、オン期間開始から予め設定された時間経過後に、目標ゲート電圧を第1の目標ゲート電圧から下げ、オンオフ切り替え過渡期間のうち、オフ期間開始から予め設定された時間経過後に、目標ゲート電圧を第2の目標ゲート電圧から上げることを特徴とする。
かかる構成により、スイッチング素子のオンオフ切り替え時におけるスイッチング速度を確保しつつ、かつ電圧・電流サージの発生をより確実に抑制することができる。
【0016】
また、好ましいゲート電圧変化検出手段は、スイッチング素子に供給されるゲート電圧の微分値を監視することを特徴とする。
かかる構成により、従来の半導体電力変換装置における遅延回路およびコンパレータを備える必要がなく、スイッチング素子に供給されるゲート電圧の変化を適切に検出することができる。
【0017】
また、上記目的を達成するために、上述した本発明の半導体電力変換装置の各構成が行うそれぞれの処理は、一連の処理手順を与える半導体電力変換方法として捉えることができる。この方法は、一連の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムの形式で提供される。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で、コンピュータに導入されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上述のように、本発明の半導体電力変換装置によれば、スイッチング素子のオンオフ切り替え時において、スイッチング素子のゲートに供給されるゲート電圧の変化を監視するため、周囲の温度変動などの環境、および当該半導体電力変換装置に組み込まれた素子の個体バラツキの影響に関わらず、最適なタイミングで段階的にゲート電圧を切り替えることができる。これにより、本発明の半導体電力変換装置では、スイッチング素子のオンオフ切り替え時における電圧・電流サージの発生を完全に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体電力変換装置100を示す図
【図2】駆動信号、目標ゲート電圧Vm、ゲート駆動電圧Vg1、ゲート電圧Vg、ゲート電圧変化検出結果Vg2、コレクタ電圧Vce、およびIGBT電流Icの様子を示すタイミングチャート
【図3】IGBT110がオンからオフに切り替わる際の半導体電力変換装置100の動作および各電圧・電流(信号)の様子を示す図
【図4】図2に示したA1部分の拡大図
【図5】IGBT110がオフからオンに切り替わる際の半導体電力変換装置100の動作および各電圧・電流(信号)の様子を示す図
【図6】図2に示したA2部分の拡大図
【図7】目標電圧をVmsに設定した場合(点線で示す)と、目標電圧をVmsよりVssに近い値であるVms’に設定した場合(実線で示す)とにおけるゲート電圧Vgと、コレクタ電圧VceおよびIGBT電流Icとの変化の様子を示す図
【図8】変形例における駆動信号、目標ゲート電圧Vm、ゲート駆動電圧Vg1、ゲート電圧Vg、ゲート電圧変化検出結果Vg2、コレクタ電圧Vce、およびIGBT電流Icの様子を示すタイミングチャート
【図9】図8に示したB1部分の拡大図
【図10】図8に示したB2部分の拡大図
【図11】従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路10を示す図
【図12】スイッチング素子をオフからオンに切り替える際のゲート電圧Vge、コレクタ電圧Vce、およびIGBT電流Icを示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体電力変換装置100を示す図である。図1において、半導体電力変換装置100は、IGBT110と、抵抗120と、ゲート駆動回路130と、ゲート電圧変化検出部140とを備える。さらに、ゲート駆動回路130は、目標ゲート電圧設定部131と、オペアンプ132とから構成されており、オペアンプ132は、ゲート電圧フィードバック回路133によって、負帰還回路を形成している。
【0021】
スイッチング素子であるIGBT110のオンオフ制御を示す駆動信号(オン/オフ)がゲート駆動回路130に入力される。ゲート駆動回路130における目標ゲート電圧設定部131は、入力された駆動信号(オン/オフ)に基づいて、目標ゲート電圧Vmを設定し、オペアンプ132の正入力端子に出力する。
【0022】
オペアンプ132は、ゲート駆動電圧Vg1を出力する。当該ゲート駆動電圧Vg1は、抵抗120を介して、IGBT110のゲートにゲート電圧Vgとして供給される。また、ゲート電圧Vgは、ゲート電圧フィードバック回路133を介して、オペアンプ132の負入力端子に帰還される。
【0023】
ゲート電圧変化検出部140は、IGBT110のゲートに供給されるゲート電圧Vgを監視し、当該ゲート電圧Vgの変化を検出し、ゲート電圧変化検出結果Vg2を目標ゲート電圧設定部131に通知する。例えば、ゲート電圧変化検出部140は、ゲート電圧Vgの微分値を監視することによって、当該ゲート電圧Vgの変化を検出すればよい。
【0024】
そして、目標ゲート電圧設定部131が、ゲート電圧変化検出部140から通知されたゲート電圧変化検出結果Vg2に応じて目標ゲート電圧Vmを設定することによって、オペアンプ132から出力されるゲート駆動電圧Vg1が制御されている。
【0025】
図2は、駆動信号、目標ゲート電圧Vm、ゲート駆動電圧Vg1、ゲート電圧Vg、ゲート電圧変化検出結果Vg2、コレクタ電圧Vce、およびIGBT電流Icの様子を示すタイミングチャートである。なお、Vddは、ゲート駆動回路130が出力する最大電圧であって、IGBT110をオンさせるためのゲート電圧であり、Vssは、ゲート駆動回路130が出力する最小電圧であって、IGBT110をオフさせるためのゲート電圧である。また、Vmsは、IGBT110をオンからオフに切り替える際に、電圧・電流サージを発生させない目標ゲート電圧であって、Vss以上かつVdd以下であり、Vmdは、IGBT110をオフからオンに切り替える際に、電圧・電流サージを発生させない目標ゲート電圧であって、Vss以上かつVdd以下である。
【0026】
<オンオフ切り替え動作>
図3は、IGBT110がオンからオフに切り替わる際の半導体電力変換装置100の動作および各電圧・電流(信号)の様子を示す図である。図2および図3を参照しながら、IGBT110がオンからオフに切り替わる際の半導体電力変換装置100の動作および各電圧・電流(信号)の様子について、詳しく説明する。
【0027】
先ず、時刻T1において、駆動信号(オン)から駆動信号(オフ)になっており、ここで、IGBT110をオンからオフに切り替えるための動作が開始される。
【0028】
ステップS110において、目標ゲート電圧設定部131は、駆動信号(オフ)を受信する。
【0029】
ステップS120において、目標ゲート電圧設定部131は、受信した駆動信号(オフ)に基づいて、目標ゲート電圧VmをVddからVmsに設定する。
【0030】
ここで、オペアンプ132の正入力端子には、目標ゲート電圧設定部131によって設定されたVmsが入力される。オペアンプ132の負入力端子には、ゲート電圧フィードバック回路133を介して、ゲート電圧Vgが負帰還されている。時刻T1の直前では、ゲート電圧Vgは、IGBT110をオンさせるためのゲート電圧であるVdd(≧Vms)であるため、時刻T1において、ゲート駆動電圧Vg1は、ゲート駆動回路130が出力する最小電圧であるVssとなる(C110)。
【0031】
ゲート駆動電圧Vg1がVddからVssに降下するため、ゲート電圧VgはVddから降下を開始し(C120)、同時に、コレクタ電圧Vceは上昇を開始し、IGBT電流Icは降下を開始する(C130)。
【0032】
オペアンプ132の正入力端子には、目標ゲート電圧設定部131によって設定されたVmsが入力されており、オペアンプ132の負入力端子には、ゲート電圧フィードバック回路133を介して、ゲート電圧Vgが負帰還されているため、ミラー領域で動作し、次第に、ゲート駆動電圧Vg1およびゲート電圧Vgは、Vmsで定常状態となる(C111、C121)。
【0033】
一方、コレクタ電圧Vceは上昇し続け、IGBT電流Icは降下し続け、その後、時刻T2において、コレクタ電圧Vceは上昇を完了し、IGBT電流Icは降下を完了する(C131)。
【0034】
コレクタ電圧Vceの上昇が完了し、およびIGBT電流Icの降下が完了することによって、ミラー領域を抜けて、ゲート電圧Vgは、Vmsの定常状態から降下を開始する(C122)。
【0035】
ここで、ステップS130において、ゲート電圧変化検出部140は、ゲート電圧Vgの変化を検出し、ゲート電圧変化検出結果Vg2を目標ゲート電圧設定部131に通知する。
【0036】
次に、ステップS140において、目標ゲート電圧設定部131は、ゲート電圧変化検出部140から通知されたゲート電圧変化検出結果Vg2に基づいて、目標ゲート電圧VmをVmsからVssに設定する。
【0037】
ここで、オペアンプ132の正入力端子には、目標ゲート電圧設定部131によって設定されたVssが入力されるため、オペアンプ132から出力されるゲート駆動電圧Vg1は、VmsからVssとなり(C112)、Vmsの定常状態から降下を開始しているゲート電圧VgもVssとなる(C123)。
【0038】
このように、時刻T1において、駆動信号(オフ)が入力されることによって、IGBT110をオンからオフに切り替えるための動作が開始され、時刻T2において、ゲート電圧VgがVssまで降下することによって、IGBT110をオンからオフに切り替えるための動作が終了する。
【0039】
さらに、IGBT110をオンからオフに切り替える際の目標ゲート電圧設定部131の動作について、詳しく説明する。図4は、図2に示したA1部分の拡大図である。図4において、目標ゲート電圧設定部131に駆動信号(オン)が入力されている期間をオン期間Ton、駆動信号(オフ)が入力されている期間をオフ期間Toffとしている。さらに、オフ期間Toffのうち、目標ゲート電圧設定部131に駆動信号(オフ)が入力されてからゲート電圧VgがVssとなるまでの期間をオンオフ切り替え過渡期間Toff−cとしている。換言すれば、オンオフ切り替え過渡期間Toff−cは、図2に示した時刻T1からT2までの期間である。
【0040】
オン期間Tonでは、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmにVddを設定している。
【0041】
駆動信号(オフ)が入力されたタイミングで、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVddからVmsに設定する(時刻T1)。ここで、Vmsは、IGBT110をオンからオフに切り替える際に、電圧・電流サージを発生させない目標ゲート電圧として、目標ゲート電圧設定部131に予め格納されている。
【0042】
このように、駆動信号(オフ)が入力されたタイミングで、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVddからVssではなく、先ず、Vmsに設定することによって、図2に示すように、IGBT110をオンからオフに切り替える際に(時刻T1)、電圧・電流サージが発生しない。
【0043】
そして、オンオフ切り替え過渡期間Toff−cでは、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmsに維持する(時刻T1〜T2)。
【0044】
次に、時刻T2において、ゲート電圧変化検出部140がゲート電圧Vgの変化を検出し、ゲート電圧変化検出結果Vg2を目標ゲート電圧設定部131に通知する。目標ゲート電圧設定部131は、当該ゲート電圧変化検出結果Vg2を受信したタイミングで、目標ゲート電圧VmをVmsからVssに設定する。
【0045】
このように、目標ゲート電圧設定部131は、予め設定された所定の遅延時間ではなく、ゲート電圧変化検出結果Vg2を受信したタイミングで、目標ゲート電圧VmをVmsからVssに設定しているため、図2に示すように、IGBT110をオンからオフに切り替える際に(時刻T2)、電圧・電流サージが発生しない。より詳細には、周囲の温度変動などの環境、および半導体電力変換装置100に組み込まれた素子の個体バラツキの影響に関わらず、ゲート電圧変化検出部140がゲート電圧Vgの変化を監視することによって、目標ゲート電圧設定部131が目標ゲート電圧Vmを切り替えるタイミングを制御している。これにより、図2に示すように、IGBT110をオンからオフに切り替える際に(時刻T2)、電圧・電流サージが発生しない。
【0046】
<オフオン切り替え動作>
図5は、IGBT110がオフからオンに切り替わる際の半導体電力変換装置100の動作および各電圧・電流(信号)の様子を示す図である。図2および図5を参照しながら、IGBT110がオフからオンに切り替わる際の半導体電力変換装置100の動作および各電圧・電流(信号)の様子について、詳しく説明する。
【0047】
先ず、時刻T3において、駆動信号(オフ)から駆動信号(オン)になっており、ここで、IGBT110をオフからオンに切り替えるための動作が開始される。
【0048】
ステップS210において、目標ゲート電圧設定部131は、駆動信号(オン)を受信する。
【0049】
ステップS220において、目標ゲート電圧設定部131は、受信した駆動信号(オン)に基づいて、目標ゲート電圧VmをVssからVmdに設定する。
【0050】
ここで、オペアンプ132の正入力端子には、目標ゲート電圧設定部131によって設定されたVmdが入力される。オペアンプ132の負入力端子には、ゲート電圧フィードバック回路133を介して、ゲート電圧Vgが負帰還されている。時刻T3の直前では、ゲート電圧Vgは、IGBT110をオフさせるためのゲート電圧であるVss(≦Vmd)であるため、時刻T3において、ゲート駆動電圧Vg1は、ゲート駆動回路130が出力する最大電圧であるVddとなる(C210)。
【0051】
ゲート駆動電圧Vg1がVssからVddに上昇するため、ゲート電圧VgはVssから上昇を開始し(C220)、同時に、コレクタ電圧Vceは降下を開始し、IGBT電流Icは上昇を開始する(C230)。
【0052】
オペアンプ132の正入力端子には、目標ゲート電圧設定部131によって設定されたVmdが入力されており、オペアンプ132の負入力端子には、ゲート電圧フィードバック回路133を介して、ゲート電圧Vgが負帰還されているため、ミラー領域で動作し、次第に、ゲート駆動電圧Vg1およびゲート電圧Vgは、Vmdで定常状態となる(C211、C221)。
【0053】
一方、コレクタ電圧Vceは降下し続け、IGBT電流Icは上昇し続け、その後、時刻T4において、コレクタ電圧Vceは降下を完了し、IGBT電流Icは上昇を完了する(C231)。
【0054】
コレクタ電圧Vceの降下が完了し、およびIGBT電流Icの上昇が完了することによって、ミラー領域を抜けて、ゲート電圧Vgは、Vmdの定常状態から上昇を開始する(C222)。
【0055】
ここで、ステップS230において、ゲート電圧変化検出部140は、ゲート電圧Vgの変化を検出し、ゲート電圧変化検出結果Vg2を目標ゲート電圧設定部131に通知する。
【0056】
次に、ステップS240において、目標ゲート電圧設定部131は、ゲート電圧変化検出部140から通知されたゲート電圧変化検出結果Vg2に基づいて、目標ゲート電圧VmをVmdからVddに設定する。
【0057】
ここで、オペアンプ132の正入力端子には、目標ゲート電圧設定部131によって設定されたVddが入力されるため、オペアンプ132から出力されるゲート駆動電圧Vg1は、VmdからVddとなり(C212)、Vmdの定常状態から上昇を開始しているゲート電圧VgもVddとなる(C223)。
【0058】
このように、時刻T3において、駆動信号(オン)が入力されることによって、IGBT110をオフからオンに切り替えるための動作が開始され、時刻T4において、ゲート電圧VgがVddまで上昇することによって、IGBT110をオフからオンに切り替えるための動作が終了する。
【0059】
さらに、IGBT110をオフからオンに切り替える際の目標ゲート電圧設定部131の動作について、詳しく説明する。図6は、図2に示したA2部分の拡大図である。図6において、目標ゲート電圧設定部131に駆動信号(オフ)が入力されている期間をオフ期間Toff、駆動信号(オン)が入力されている期間をオン期間Tonとしている。さらに、オン期間Tonのうち、目標ゲート電圧設定部131に駆動信号(オン)が入力されてからゲート電圧VgがVddとなるまでの期間をオフオン切り替え過渡期間Ton−cとしている。換言すれば、オフオン切り替え過渡期間Ton−cは、図2に示した時刻T3からT4までの期間である。
【0060】
オフ期間Toffでは、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmにVssを設定している。
【0061】
駆動信号(オン)が入力されたタイミングで、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVssからVmdに設定する(時刻T3)。ここで、Vmdは、IGBT110をオフからオンに切り替える際に、電圧・電流サージを発生させない目標ゲート電圧として、目標ゲート電圧設定部131に予め格納されている。
【0062】
このように、駆動信号(オン)が入力されたタイミングで、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVssからVddではなく、先ず、Vmdに設定することによって、図2に示すように、IGBT110をオフからオンに切り替える際に(時刻T3)、電圧・電流サージが発生しない。
【0063】
そして、オフオン切り替え過渡期間Ton−cでは、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmdに維持する(時刻T3〜T4)。
【0064】
次に、時刻T4において、ゲート電圧変化検出部140がゲート電圧Vgの変化を検出し、ゲート電圧変化検出結果Vg2を目標ゲート電圧設定部131に通知する。目標ゲート電圧設定部131は、当該ゲート電圧変化検出結果Vg2を受信したタイミングで、目標ゲート電圧VmをVmdからVddに設定する。
【0065】
このように、目標ゲート電圧設定部131は、予め設定された所定の遅延時間ではなく、ゲート電圧変化検出結果Vg2を受信したタイミングで、目標ゲート電圧VmをVmdからVddに設定しているため、図2に示すように、IGBT110をオフからオンに切り替える際に(時刻T4)、電圧・電流サージが発生しない。より詳細には、周囲の温度変動などの環境、および半導体電力変換装置100に組み込まれた素子の個体バラツキの影響に関わらず、ゲート電圧変化検出部140がゲート電圧Vgの変化を監視することによって、目標ゲート電圧設定部131が目標ゲート電圧Vmを切り替えるタイミングを制御している。これにより、図2に示すように、IGBT110をオフからオンに切り替える際に(時刻T4)、電圧・電流サージが発生しない。
【0066】
以上のように、本発明の一実施形態に係る半導体電力変換装置100によれば、IGBT110のオンオフ切り替え時において、IGBT110のゲートに供給されるゲート電圧Vgの変化を監視するため、周囲の温度変動などの環境、および当該半導体電力変換装置100に組み込まれた抵抗120などの個体バラツキの影響に関わらず、最適なタイミングで段階的にゲート電圧Vgを切り替えることができる。これにより、本発明の一実施形態に係る半導体電力変換装置100では、IGBT110のオンオフ切り替え時における電圧・電流サージの発生を完全に抑制することができる。
【0067】
なお、本発明の一実施形態に係る半導体電力変換装置100では、ゲート駆動回路130から出力されるゲート駆動電圧Vg1を可変制御できるため、従来の半導体電力変換装置におけるゲート駆動回路に比べて、IGBTのオンオフを切り替えるための経路を複数設ける必要がない。これにより、回路を構成する素子を削減することができ、コストダウン、および回路の縮小化を実現することができる。
【0068】
また、オペアンプ132が負帰還回路を構成し、ゲート電圧Vgを制御しているため、フィードバック制御中は、ノイズや温度変動などの外的影響を受けず、安定した動作を実現することができる。
【0069】
さらに、本発明の一実施形態に係る半導体電力変換装置100では、ゲート電圧変化検出部140によって、IGBT110に供給されるゲート電圧Vgの微分値を監視するため、従来の半導体電力変換装置における遅延回路およびコンパレータを備える必要がない。
【0070】
また、本実施形態では、VmsおよびVmdは、電圧・電流サージを発生させない目標ゲート電圧として、目標ゲート電圧設定部131に予め格納されているものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、VmsおよびVmdは、別途、記憶部などに記憶されており、目標ゲート電圧設定部131が当該記憶部から取得する構成であっても構わない。さらには、VmsおよびVmdは、電圧・電流サージを発生させない目標ゲート電圧として最適な値となるように、例えば、コレクタ電圧VceおよびIGBT電流Icに応じて、動的に調整できる構成であっても構わない。
【0071】
さらに、Vmsの値が小さい程、コレクタ電圧Vceが上昇する変化量およびIGBT電流Icが降下する変化量は大きくなる。図7は、目標電圧をVmsに設定した場合(点線で示す)と、目標電圧をVmsよりVssに近い値であるVms’に設定した場合(実線で示す)とにおけるゲート電圧Vgと、コレクタ電圧VceおよびIGBT電流Icとの変化の様子を示す図である。目標電圧をVms’に設定すると、ゲート電圧Vgは、VddからVms’まで降下する。これに伴い、コレクタ電圧Vceが上昇する変化量およびIGBT電流Icが降下する変化量は、目標電圧をVmsに設定した場合よりVms’に設定した場合の方が大きくなって、その結果、IGBT110のオンオフ切り替え速度が速くなる。同様に、Vmdの値が大きい程、コレクタ電圧Vceが降下する変化量およびIGBT電流Icが上昇する変化量が大きくなって、IGBT110のオフオン切り替え速度が速くなる。
【0072】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。本変形例に係る半導体電力変換装置の構成は、図1に示した本発明の一実施形態に係る半導体電力変換装置100と同様である。
【0073】
図8は、本変形例における駆動信号、目標ゲート電圧Vm、ゲート駆動電圧Vg1、ゲート電圧Vg、ゲート電圧変化検出結果Vg2、コレクタ電圧Vce、およびIGBT電流Icの様子を示すタイミングチャートである。図8において、時刻T1とT2との間の時刻T5、および時刻T3とT4との間の時刻T6以外は、本発明の一実施形態で説明した図2と同様である。以下、本変形例では、本発明の一実施形態と異なる点について、詳しく説明する。
【0074】
<オンオフ切り替え動作 変形例>
図9は、図8に示したB1部分の拡大図である。図9において、オン期間Ton、オフ期間Toff、およびオンオフ切り替え過渡期間Toff−cについて、目標ゲート電圧設定部131の基本的な動作は、図4で示した本発明の一実施形態と同様である。
【0075】
図4に示した本発明の一実施形態では、オンオフ切り替え過渡期間Toff−cにおいて、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmsに維持していたが、図9に示した本変形例では、目標電圧上昇タイミング(時刻T5)において、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmsから徐々に上昇している。
【0076】
オンオフ切り替え過度期間Toff−cのうち、時刻T1〜T5の期間では、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmsに一定に維持し、時刻T5〜T2の期間では、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmsから徐々に上昇する。これにより、時刻T1〜T5の期間では、IGBT110のオンオフ切り替えを一定の速度で行い、時刻T5〜T2の期間では、コレクタ電圧Vceが上昇する変化量およびIGBT電流Icが降下する変化量を小さくすることによって、時刻T2における電圧・電流サージの発生を確実に抑制している。
【0077】
なお、目標電圧上昇タイミング(時刻T5)は、駆動信号(オフ)が入力されてからの所定時間として、目標ゲート電圧設定部131に予め格納されている。また、目標電圧上昇タイミング(時刻T5)から、目標ゲート電圧設定部131が徐々に上昇させる目標ゲート電圧Vm(上昇量および上昇速度)についても、目標ゲート電圧設定部131に予め格納されている。
【0078】
<オフオン切り替え動作 変形例>
図10は、図8に示したB2部分の拡大図である。図10において、オフ期間Toff、オン期間Ton、およびオフオン切り替え過渡期間Ton−cについて、目標ゲート電圧設定部131の基本的な動作は、図6で示した本発明の一実施形態と同様である。
【0079】
図6に示した本発明の一実施形態では、オフオン切り替え過渡期間Ton−cにおいて、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmdに維持していたが、図10に示した本変形例では、目標電圧降下タイミング(時刻T6)において、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmdから徐々に降下している。
【0080】
オフオン切り替え過度期間Ton−cのうち、時刻T3〜T6の期間では、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmdに一定に維持し、時刻T6〜T4の期間では、目標ゲート電圧設定部131は、目標ゲート電圧VmをVmdから徐々に降下する。これにより、時刻T2〜T6の期間では、IGBT110のオフオン切り替えを一定の速度で行い、時刻T6〜T4の期間では、コレクタ電圧Vceが降下する変化量およびIGBT電流Icが上昇する変化量を小さくすることによって、時刻T4における電圧・電流サージの発生を確実に抑制している。
【0081】
なお、目標電圧下降タイミング(時刻T6)は、駆動信号(オン)が入力されてからの所定時間として、目標ゲート電圧設定部131に予め格納されている。また、目標電圧降下タイミング(時刻T6)から、目標ゲート電圧設定部131が徐々に降下させる目標ゲート電圧Vm(降下量および降下速度)についても、目標ゲート電圧設定部131に予め格納されている。
【0082】
以上のように、本発明の一実施形態の変形例によれば、IGBT110のオンオフ切り替え時におけるスイッチング速度を確保しつつ、かつ電圧・電流サージの発生をより確実に抑制することができる。
【0083】
なお、本変形例では、目標電圧上昇タイミング(時刻T5)および目標電圧上昇タイミング(時刻T6)を決定する所定時間は、目標ゲート電圧設定部131に予め格納されているものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、目標電圧上昇タイミング(時刻T5)および目標電圧上昇タイミング(時刻T6)を決定する所定時間は、別途、記憶部などに記憶されており、目標ゲート電圧設定部131が当該記憶部から取得する構成であっても構わない。さらには、当該所定時間は、IGBT110のオンオフ切り替え時におけるスイッチング速度、および電圧・電流サージを発生させない最適な値となるように、例えば、コレクタ電圧VceおよびIGBT電流Icに応じて、動的に調整できる構成であっても構わない。
【0084】
同様に、本変形例では、目標ゲート電圧設定部131が徐々に上昇させる目標ゲート電圧Vm(上昇量および上昇速度)および徐々に降下させる目標ゲート電圧Vm(降下量および降下速度)は、目標ゲート電圧設定部131に予め格納されているものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、目標ゲート電圧設定部131が徐々に上昇させる目標ゲート電圧Vm(上昇量および上昇速度)および徐々に降下させる目標ゲート電圧Vm(降下量および降下速度)は、別途、記憶部などに記憶されており、目標ゲート電圧設定部131が当該記憶部から取得する構成であっても構わない。さらには、当該上昇量および上昇速度、および降下量および降下速度は、電圧・電流サージを発生させない最適な値となるように、例えば、コレクタ電圧VceおよびIGBT電流Icに応じて、動的に調整できる構成であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、インバータ回路等に組み込まれている電圧駆動型のスイッチング素子をオンオフさせる半導体電力変換装置等に有用である。
【符号の説明】
【0086】
10 ゲート駆動回路
12 コンパレータ
13 遅延回路
14 ワンショット回路
100 半導体電力変換装置
11、110 IGBT
120 抵抗
130 ゲート駆動回路
140 ゲート電圧変化検出部
131 目標ゲート電圧設定部
132 オペアンプ
133 ゲート電圧フィードバック回路
S110、S120、S130、S140、S210、S220、S230、S240 半導体電力変換装置100が実行する各ステップ
C110、C111、C112、C210、C211、C212 ゲート駆動電圧Vg1の遷移
C120、C121、C122、C123、C220、C221、C222、C223 ゲート電圧Vgの遷移
C130、C131、C230、C231 コレクタ電圧VceおよびIGBT電流Icの遷移

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子をオンオフさせる半導体電力変換装置であって、
前記スイッチング素子に供給されるゲート電圧の変化を検出するゲート電圧変化検出手段と、
入力される駆動信号に基づいて、前記スイッチング素子のゲートにゲート駆動電圧を出力するゲート駆動手段とを備え、
前記ゲート駆動手段は、前記ゲート電圧変化検出手段によって前記ゲート電圧の変化が検出されたタイミングで、前記ゲート駆動電圧を制御することを特徴とする、半導体電力変換装置。
【請求項2】
前記ゲート駆動手段は、
負入力端子に前記ゲート電圧が帰還するオペアンプと、
前記オペアンプの正入力端子に入力される目標ゲート電圧を設定する目標ゲート電圧設定手段とを備える、請求項1に記載の半導体電力変換装置。
【請求項3】
前記目標ゲート電圧は、
前記スイッチング素子をオンさせるオン期間は、前記スイッチング素子をオンさせる第1のゲート駆動電圧であり、
前記スイッチング素子をオフさせるオフ期間は、前記スイッチング素子をオフさせる第2のゲート駆動電圧であり、
前記オン期間のうち、前記オン期間開始から前記ゲート電圧が前記第1のゲート駆動電圧に変化することが前記ゲート電圧変化検出手段によって検出されるまでのオフオン切り替え過渡期間は、前記第2のゲート駆動電圧以上かつ前記第1のゲート駆動電圧以下であって予め設定された第1の目標ゲート電圧であり、
前記オフ期間のうち、前記オフ期間開始から前記ゲート電圧が前記第2のゲート駆動電圧に変化することが前記ゲート電圧変化検出手段によって検出されるまでのオンオフ切り替え過渡期間は、前記第2のゲート駆動電圧以上かつ前記第1のゲート駆動電圧以下であって予め設定された第2の目標ゲート電圧であることを特徴とする、請求項2に記載の半導体電力変換装置。
【請求項4】
前記目標ゲート電圧設定手段は、
前記オフオン切り替え過渡期間のうち、前記オン期間開始から予め設定された時間経過後に、前記目標ゲート電圧を前記第1の目標ゲート電圧から下げ、
前記オンオフ切り替え過渡期間のうち、前記オフ期間開始から予め設定された時間経過後に、前記目標ゲート電圧を前記第2の目標ゲート電圧から上げることを特徴とする、請求項3に記載の半導体電力変換装置。
【請求項5】
前記ゲート電圧変化検出手段は、前記スイッチング素子に供給されるゲート電圧の微分値を監視することを特徴とする、請求項1に記載の半導体電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−200037(P2011−200037A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64811(P2010−64811)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】