説明

印刷ジョブ抽出装置およびプリントシステム

【課題】使用者の従来よりも容易な印刷ジョブデータの特定を可能とすることができる印刷ジョブ抽出技術を提供する。
【解決手段】ログとして記録されている1つまたは複数の印刷ジョブデータの中から所望の印刷ジョブデータを抽出する印刷ジョブ抽出装置であって、ユーザの操作入力に基づいて、印刷ジョブデータに含まれる、印刷条件に関する少なくとも1つのパラメータに基づく第1の抽出基準についての情報を取得する抽出基準取得部と、抽出基準取得部にて取得される第1の抽出基準に関する情報に基づいて、記録される1つまたは複数の印刷ジョブデータの中から第1の抽出基準を満たす印刷ジョブデータを抽出する抽出部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは複数の印刷ジョブデータをログとして記録するプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使用者のクライアントPCと、プリンタとをネットワークを介して接続したプリントシステムが知られている。印刷ジョブは、クライアントPCからプリンタサーバに送られてスプールされた後、プリンタサーバからプリンタに送られて印刷される。また、プリンタサーバは、印刷処理が行われた印刷ジョブのジョブデータ(本明細書においては、印刷ジョブデータと称す)を所定の期間記憶しており、当該記憶される印刷ジョブデータは、例えば再印刷などに利用されている。
【0003】
従来のプリントシステムにおいて、印刷ジョブデータを容易に見つけることができるようにするために、印刷ジョブデータに係るドキュメントを作成したアプリケーション名や、クライアントPC名などの印刷ジョブデータに含まれる情報を、クライアントPCやプリンタのディスプレイに表示することにより使用者に提示する技術が知られている(例えば特許文献1に記載されるプリントシステム)。また、印刷ジョブデータに含まれる情報をディスプレイに表示して使用者に提示する際に、クライアントPC名が同一である印刷ジョブデータごとにグループ化する技術が知られている(例えば特許文献2に記載されるプリントシステム)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−330190号公報
【特許文献2】特開2001−205863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年のプリンタサーバは、記憶領域として、従来よりも大容量のハードディスクを備えている。これにより、プリンタサーバに記憶される印刷ジョブデータの数も多くなるので、ディスプレイには、従来よりも大量の印刷ジョブデータについての情報が表示されることとなる。このような場合において、希望する印刷ジョブデータを大量の印刷ジョブデータの中から見つけ出すことは、使用者にとって煩わしい作業である。特に、印刷ジョブデータを作成した使用者(以下、単に作成者と称す)とは異なる者が印刷ジョブデータを見つけようとする場合に、印刷ジョブデータに係るドキュメント名や印刷時刻が不明であるときは、印刷ジョブデータを特定することは困難である。
【0006】
さらに、印刷ジョブデータがクライアントPC名に基づいてグループ化されて表示されても、クライアントPCの名前は自由に設定、変更が可能であるため、クライアントPCの名前から印刷ジョブデータを作成した作成者を容易に特定できない場合がある。そして、このようにクライアントPC名から作成者の特定が容易でない場合に、作成者とは異なる者にとっては、印刷ジョブデータについての情報が同一のクライアントPCごとにグループ化されていても、希望する印刷ジョブデータの特定は相変わらず容易でない。
【0007】
この発明の実施の形態は、従来よりも容易な印刷ジョブデータの特定を可能とする印刷ジョブ抽出技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、ログとして記録されている1つまたは複数の印刷ジョブデータの中から所望の印刷ジョブデータを抽出する印刷ジョブ抽出装置であって、ユーザの操作入力に基づいて、印刷ジョブデータに含まれる、印刷条件に関する少なくとも1つのパラメータに基づく抽出基準についての情報を取得する抽出基準取得部と、前記抽出基準取得部にて取得される前記抽出基準に関する情報に基づいて、記録される1つまたは複数の前記印刷ジョブデータの中から前記抽出基準を満たす印刷ジョブデータを抽出する抽出部と、を備える印刷ジョブ抽出装置に関する。
【0009】
また、本発明の別の態様は、そのデータ(印刷ジョブデータ自身)の一部または全部に対する処理についての権限に関する情報を含む印刷ジョブデータを取得し、所定の記憶領域にログとして記録する記憶制御部と、ユーザの操作入力に基づいて、前記印刷ジョブデータに含まれる、印刷条件に関する少なくとも1つのパラメータに基づく抽出基準についての情報を取得する抽出基準取得部と、前記抽出基準取得部にて取得される前記抽出基準に関する情報に基づいて、1つまたは複数の前記印刷ジョブデータの中から前記抽出基準を満たす前記印刷ジョブデータを抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出される前記印刷ジョブデータについての処理を、そのデータ中に含まれる前記権限に関する情報に基づき制限する処理制限部と、を備えるプリントシステムに関する。
【0010】
また、本発明の別の態様は、そのデータの一部または全部に対する処理についての権限に関する情報を含む印刷ジョブデータを取得してログとして所定の記憶領域に記録し、ユーザの操作入力に基づいて、前記印刷ジョブデータに含まれる、印刷条件に関する少なくとも1つのパラメータに基づく抽出基準についての情報を取得し、取得される前記抽出基準に関する情報に基づいて、記録される1つまたは複数の印刷ジョブデータの中から前記抽出基準を満たす印刷ジョブデータを抽出し、抽出される前記印刷ジョブデータについての処理を、そのデータ中に含まれる前記権限に関する情報に基づき制限する印刷ジョブ管理方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
以上に詳述したように本発明によれば、従来よりも容易な印刷ジョブデータの特定を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態のプリントシステムの構成の概要を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態における、印刷ジョブデータに含まれる情報の例示図である。
【図3】図3は、本実施形態における、使用者を認証するための使用者認証画面の例示図である。
【図4】図4は、本実施形態における、プリンタサーバ101に係る機能ブロック図である。
【図5】図5は、本実施形態における、印刷ジョブ抽出要求を受け付けるための印刷ジョブ抽出要求画面の例示図である。
【図6】図6は、本実施形態における、印刷ジョブ抽出ルールを編集するための編集画面の例示図である。
【図7】図7は、本実施形態における、抽出された印刷ジョブデータに含まれる情報を、印刷ジョブ抽出ルールに応じた表示態様で表示するWebページの例示図である。
【図8】図8は、本実施形態における、抽出された印刷ジョブデータに含まれる情報を、印刷ジョブ抽出ルールに応じた表示態様で表示するWebページの例示図である。
【図9】図9は、本実施形態における、抽出された印刷ジョブデータに含まれる情報を、印刷ジョブ抽出ルールに応じた表示態様で表示するWebページの例示図である。
【図10】図10は、本実施形態における、抽出された印刷ジョブデータについて印刷処理を実行させるための印刷設定画面の例示図である。
【図11】図11は、本実施形態における、クライアントPC102に印刷ジョブデータを生成させるための印刷ジョブ生成指示画面の例示図である。
【図12】図12は、本実施形態における、記憶部11に記憶される公開範囲制限に係るテンプレートファイルの例示図である。
【図13】図13は、本実施形態における、記憶部11に記憶されるアクセス制限に係るテンプレートファイルの例示図である。
【図14】図14は、本実施形態における、使用者認証に係る処理のフローを示す図である。
【図15】図15は、本実施形態における、印刷ジョブ抽出処理のフローを示す図である。
【図16】図16は、他の実施形態における、プリンタサーバ101に係る機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態のプリントシステムの構成の概要を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、プリントシステムは、プリンタサーバ101と、1つまたは複数のクライアントPC102と、1つまたは複数のMFP(Multi Function Peripheral)103と、認証サーバ104とを備える。また、各構成コンポーネントは、LANやWAN、無線LANなどのネットワークを介して接続されている。
【0015】
ここで、プリンタサーバ101、クライアントPC102、および認証サーバ104の各構成コンポーネントはそれぞれ、汎用コンピュータに搭載される標準的な要素を有している。例えば、このような標準的な要素として、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、外部記憶装置などの記憶領域、ネットワークインターフェース、ディスプレイ、キーボード、およびマウス等が挙げられる。同様に、MFP103もまた、CPU、RAM、ROM、ハードディスクなどの記憶領域、スキャナ、プリンタ、ディスプレイ、タッチパネルやボタンなどの操作部、およびネットワークを通じて外部との通信を行うためのネットワークインターフェース等、標準的な要素を有している。
【0016】
また、各構成コンポーネントに含まれるCPU(プリンタサーバ101のCPU101a、クライアントPC102のCPU102a、MFP103のCPU103a、および認証サーバ104のCPU104a)は、記憶領域(プリンタサーバ101の記憶領域101b、クライアントPC102の記憶領域102b、MFP103の記憶領域103b、および認証サーバ104の記憶領域104b)に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより、ドキュメントを作成したり、修正することができる。さらに、クライアントPC102は、プログラムとして実装されているプリンタドライバ102d(ジョブデータ生成部に相当)を用いた処理によって、アプリケーションにより作成等されたドキュメントについての印刷ジョブデータを生成することができる。
【0017】
以下、プリントシステムの各構成コンポーネントについて、詳述する。まず、プリンタサーバ101は、印刷ジョブデータを取得して、MFP103の印刷処理の処理待ち状況に応じて当該印刷ジョブデータをMFP103に送出するとともに、取得した印刷ジョブデータを解析することによりその内容をログとして記録する。また、プリンタサーバ101は、クライアントPC102またはMFP103から取得した印刷ジョブ抽出要求に基づき、印刷ジョブデータを抽出するとともに、抽出された印刷ジョブデータに含まれる情報の少なくとも一部を表示するWebページ(図7〜9、詳しくは後述)を構成する。ここで、当該印刷ジョブ抽出要求は、印刷ジョブデータを抽出するためのルール(以下、印刷ジョブ抽出ルールと称す)を指定するための情報と、印刷条件に関する少なくとも1つのパラメータに基づく抽出基準についての情報または印刷ジョブデータが生成されたタイミング(例えば、特定の年月日時)または期間に基づく抽出基準についての情報のうち少なくともいずれかとを伴っている。プリンタサーバ101は、印刷ジョブ抽出ルールについての情報、および少なくともいずれかの抽出基準についての情報とに基づき抽出基準を満たす印刷ジョブデータを抽出するとともに、抽出の際に用いられた印刷ジョブ抽出ルールに応じた表示態様で印刷ジョブデータに含まれる情報の少なくとも一部が表示されるように、Webページを構成する。
【0018】
なお、本明細書において、印刷条件とは、印刷ジョブデータを新規に作成するとき、または記憶されている印刷ジョブデータについて新たに印刷するときに設定可能な条件をいい、具体的には、紙媒体等への印刷部数、カラーモード、両面印刷、複数の画像を縮小して1枚の紙媒体に印刷するNin1印刷(または、N-up印刷ともいわれている)などを挙げることができる。また、本実施形態において、印刷条件に関する抽出基準として用いられる印刷条件とは、例えば印刷ジョブデータ生成時に設定される印刷条件である。しかしながら、これに限定されるものではなく、記憶されている印刷ジョブデータを印刷するときに設定された印刷条件としてもよい。
【0019】
また、本実施形態において、印刷ジョブデータとは、例えばクライアントPC102に実装されるプリンタドライバにより生成することができる、アプリケーションを用いて作成したドキュメントファイルを印刷するためのジョブデータである。印刷ジョブデータには、図2に示すような、印刷部数、印刷日時(クライアントPC102にて生成された日時、印刷ジョブデータが生成されたときに相当)、印刷ジョブデータ生成に係るクライアントPC102に関連するユーザ名、ドキュメントのファイルタイトル、カラーモード、両面印刷、Nin1印刷についての情報や後述する公開範囲制限およびアクセス制限などについての情報のほか、ドキュメントファイル(印刷対象)が含まれている。
【0020】
クライアントPC102は、実装されるアプリケーションプログラムを用いてドキュメントを作成、編集する。また、クライアントPC102は、実装されるプリンタドライバ102dを用いてドキュメントについて印刷ジョブデータを生成し、プリンタサーバ101を経由してMFP103に送出する。さらにクライアントPC102は、印刷ジョブデータ抽出を希望する使用者(以下、単に要求者と称す)からの入力に基づき、印刷ジョブ抽出要求をネットワークインターフェースを介してプリンタサーバ101に送出する。さらにまた、クライアントPC102は、プリンタサーバ101により構成されたWebページにアクセスして、抽出された印刷ジョブに係るジョブデータの一部または全部を、ディスプレイ102dに表示することができる。加えて、クライアントPC102は、当該Webページを用いて、抽出された印刷ジョブデータに係るドキュメントの閲覧、ダウンロード、および印刷処理を実行させることができる。
【0021】
MFP103は、モノクロまたはカラーコピー機能、モノクロまたはカラースキャナ機能のほか、ネットワークを介してプリンタサーバ101から取得した印刷ジョブデータに基づくモノクロ印刷やカラー印刷を行う機能等を有している。また、MFP103は、ディスプレイ103cと、タッチパネルセンサを搭載したグラフィカルディスプレイおよび数値やスタート、キャンセルなど頻繁に利用する専用ボタン、状態表示LEDなどで構成される操作部103dとを備える。したがって、クライアントPC102と同様に、MFP103は、当該操作部103dを用いた要求者からの入力作業に基づき、印刷ジョブ抽出要求を構成し、ネットワークインターフェースを介してプリンタサーバ101に送出することができる。さらに、MFP103は、プリンタサーバ101により構成されたWebページ(図7〜9)にアクセスして、抽出された印刷ジョブデータに含まれる情報の一部または全部をディスプレイ103cに表示することができる。加えて、MFP103は、当該Webページを用いて、抽出された印刷ジョブデータに係るドキュメントの閲覧、ダウンロード、および印刷処理を実行させることができる。
【0022】
なお、本実施形態においては、クライアントPC102またはMFP103は、図3に示すような、クライアントPC102またはMFP103のディスプレイ102c、103cに表示される使用者認証画面110を用いて使用者を識別するための情報(以下、単に使用者識別情報と称す)を取得する。また、MFP103は、MFP103に付属する、要求者所有のIDカード106が有する識別情報を取得するための認証用カードリーダ105を用いて使用者識別情報を取得するようにしてもよい。取得される使用者識別情報は、ネットワークインターフェースを介し、後述する認証サーバ104に送出される。使用者認証画面を用いて取得される使用者識別情報と、認証用カードリーダ105を用いて取得する使用者識別情報とは、同一でもよく、また、異なっていてもよい。
【0023】
認証サーバ104は、クライアントPC102またはMFP103のディスプレイ102c、103cに表示される使用者認証画面、または認証用カードリーダ105を用いて要求者所有のIDカード106から取得した使用者識別情報が、当該認証サーバ104において予め記憶されている一人または複数の使用者に関する情報のうちのいずれかに含まれているか判定する。取得される使用者識別情報が予め記憶されている使用者に関する情報のうちいずれかに含まれている場合、認証サーバ104は、印刷ジョブデータ抽出処理の実行が可能であることを、クライアントPC102またはMFP103に通知する。クライアントPC102またはMFP103は、当該通知を取得した場合に、要求者からの入力に基づく印刷ジョブ抽出要求を送出する。
【0024】
次に、プリンタサーバ101が備える印刷ジョブデータ抽出機能のブロック構成について、図4を用いて詳述する。プリンタサーバ101は、記憶部11と、記憶制御部12と、抽出基準取得部13と、抽出部14と、情報提供部15とを備える。記憶部11は、印刷ジョブデータをログとして記憶する。記憶制御部12は、クライアントPC102のプリンタドライバ102dにて生成された印刷ジョブデータを取得して記憶部11にログとして記録して記憶させ、また、記憶させた印刷ジョブデータをMFP103に送出する。抽出基準取得部13は、要求者の操作入力に基づいて、印刷ジョブデータを抽出するための印刷ジョブ抽出ルールおよび抽出基準についての情報を取得する。抽出部14は、抽出基準取得部13が取得した印刷ジョブ抽出ルールおよび抽出基準に関する情報に基づいて、記録される1つまたは複数の印刷ジョブデータの中から抽出基準を満たす印刷ジョブデータを抽出する。情報提供部15は、抽出される印刷ジョブに係るジョブデータの一部または全部を、印刷ジョブ抽出ルールに応じた表示態様で提供する。なお、本実施形態において、情報提供部15は、抽出された印刷ジョブデータ中に含まれる、そのデータの一部または全部に対する処理についての権限に関する情報に基づき、処理を制限する処理制限部を兼ねる(詳細は後述)。
【0025】
記憶部11(例えばプリンタサーバ101のハードディスク)は、ログとして記録された印刷ジョブデータを記憶するほか、印刷ジョブデータを抽出するためのルールである印刷ジョブ抽出ルール、および抽出された印刷ジョブデータに含まれるデータの一部または全部に対する処理についての権限に関する、処理制限情報(詳しくは後述)が記憶されている。
【0026】
記憶制御部12は、クライアントPC102から取得する、プリンタドライバ102dにて生成された印刷ジョブデータについて解析を実行し、当該解析に基づき、印刷ジョブデータに含まれる、印刷部数、印刷日時(クライアントPC102にて生成された日時)、印刷ジョブデータ生成に係るクライアントPC102に関連するユーザ名、ドキュメントのファイルタイトルについての情報や後述する公開範囲制限およびアクセス制限についての情報のほか、ドキュメントファイル(印刷対象)を、ログとして記憶部11に記録して記憶させる。そして、記憶制御部12は、記録処理が完了した印刷ジョブデータを、MFP103に送出する。
【0027】
なお、記憶制御部12により記憶部11に記憶されるこれら印刷ジョブデータは、新たに印刷処理が実行されたときにその内容が更新されるようにしてもよく、また、更新されずにそのまま維持されるようにしてもよい。具体的には、印刷部数を例に挙げて説明すると、記憶される印刷ジョブデータが抽出され、それについて再印刷処理が実行された場合に、再印刷処理の際の印刷部数が当初記憶されていた印刷部数に加算されるようにしてもよい。また、再印刷処理の際の印刷部数が加算されることなく、印刷ジョブデータが生成されて最初に印刷処理が実行されたときの印刷部数が、そのまま印刷ジョブデータ中にて維持されるように構成することもできる。
【0028】
抽出基準取得部13は、MFP103から送出される印刷ジョブ抽出要求に伴う、使用者識別情報、印刷ジョブ抽出ルールについての情報、および抽出基準についての情報を取得し、印刷ジョブ抽出ルールについての情報および抽出基準についての情報を抽出部14に送出する。また、使用者識別情報については、情報提供部15に送出する。
【0029】
抽出部14は、取得した印刷ジョブ抽出ルールについての情報および抽出基準についての情報に基づき、記憶部11に記憶されている印刷ジョブデータを抽出する。
【0030】
印刷ジョブデータの抽出処理について、MFP103から抽出要求を送出する場合を例に挙げてより具体的に説明する。認証サーバ104から印刷ジョブ抽出処理の実行が可能であるとの通知を取得した後、MFP103は、図5に示すような、印刷ジョブ抽出要求の実行を受け付けるための、印刷ジョブ抽出要求画面310をディスプレイ103cに表示する。ここで、ボタン301は、印刷ジョブデータ抽出要求、後述する印刷期間(または印刷タイミング)に関する抽出基準および後述する印刷部数に関する抽出基準とともに、所定のタイミングまたは所定期間内における印刷部数に基づき印刷ジョブデータを抽出するとの印刷ジョブ抽出ルールについての情報をプリンタサーバ101に送出するためのボタンである。また、抽出要求画面中のボタン302は、印刷ジョブデータ抽出要求および後述する印刷部数に関する抽出基準とともに、印刷部数に基づき印刷ジョブデータを抽出するとの印刷ジョブ抽出ルールについての情報をプリンタサーバ101に送出するためのボタンである。さらに、ボタン303は、印刷ジョブデータ抽出要求および後述する印刷期間(または印刷タイミング)に関する抽出基準とともに、所定のタイミングまたは所定期間内において印刷が実行された印刷ジョブデータを抽出するとの印刷ジョブ抽出ルールについての情報をプリンタサーバ101に送出するためのボタンである。
【0031】
すなわち、MFP103は、要求者による抽出要求画面中のボタン301〜303のいずれかの押下により、印刷ジョブ抽出要求および抽出基準についての情報とともに、印刷ジョブ抽出ルールについての情報を、プリンタサーバ101の抽出部12に送出する。また、本実施形態においては、所定期間内における印刷部数に基づき抽出を実行させる場合と、(期間を限定していない)印刷部数に基づき抽出を実行させる場合とが、印刷ジョブデータに含まれる、印刷条件に関するパラメータに基づく抽出基準を用いて抽出を行う場合に相当する。
【0032】
また、本実施形態において、抽出要求画面310は、印刷ジョブデータ抽出において、抽出する印刷ジョブデータの範囲をさらに限定することができる追加ルールについての情報を付加して送出させるためのチェックボックス304および305と、抽出基準についての情報や、上記追加ルールに係る詳細な条件についての情報を設定するために用いることができるボタン306とを備える。
【0033】
チェックボックス304は、認証サーバ104にて認証された要求者とは異なる者により作成された印刷ジョブデータを抽出するとのルール(以下、単に第1の追加ルールと称す)についての情報を印刷ジョブ抽出要求に付加するためのチェックボックスである。また、チェックボックス305は、特定のMFP103に送出された、言い換えれば特定のMFP103において印刷処理が実行された印刷ジョブを抽出するとのルール(以下、単に第2の追加ルールと称す)に関する情報を印刷ジョブ抽出要求に付加するためのチェックボックスである。
【0034】
ボタン306は、図6に示すような、抽出基準となるタイミングまたは期間(以下、基準タイミングまたは基準期間と称す)、印刷処理が実行されたMFP103、および抽出基準となる印刷部数(以下、基準印刷部数と称す)を指定するための編集画面410を表示させるためのボタンである。ボタン306を押下することにより、図6の編集画面410が新たにMFP103のディスプレイ103cに表示される。
【0035】
したがって、要求者は、テキストボックス401に数値を入力することにより、抽出する印刷ジョブデータの印刷された期間を具体的に指定することができる。また、要求者は、テキストボックス402に数値を入力することにより、抽出する印刷ジョブデータの印刷部数の範囲を具体的に指定することができる。
【0036】
ここで、テキストボックス401、402においては、範囲の上限または下限に対応するボックスのいずれかのみに数値を入力した場合、入力した基準タイミングより後または前に印刷された印刷ジョブデータ、もしくは入力した基準印刷部数より多いまたは少ない印刷ジョブデータが抽出される。また、範囲の上限および下限に対応するボックスの両方に数値を入力した場合、入力した基準期間内に印刷された印刷ジョブデータ、もしくは印刷部数が基準印刷部数の下限値以上であって上限値以下である印刷ジョブデータが抽出される。
【0037】
すなわち、テキストボックス401の入力に基づき、基準期間(または基準タイミング)と、抽出対象となる印刷ジョブデータにおける印刷日時と基準期間(または基準タイミング)との関係に関する情報(本実施形態では、基準期間の範囲内、基準タイミングより前、または基準タイミングより後のいずれかを示す情報)とが、基準期間または基準タイミングに関する抽出基準についての情報として設定される。また、テキストボックス402の入力に基づいて、基準印刷部数と、抽出対象となる印刷ジョブデータにおける印刷部数と基準印刷部数との関係に関する情報(本実施形態では、基準印刷部数の下限値以上であって上限値以下であるもの、基準印刷部数より少ないもの、または基準印刷部数より多いもののいずれかを示す情報)とが、印刷部数に関する抽出基準についての情報として設定される。
【0038】
このほか、要求者は、リストボックス403を操作することにより、印刷処理が実行されたMFP103を指定する。よって、チェックボックス305にチェックし、且つリストボックス403を操作することにより、印刷処理が実行されたMFP103を限定して抽出することができる。また、ボタン404は設定を更新するためのボタンであり、ボタン405は設定を更新せずに処理を終了するためのボタンである。
【0039】
プリンタサーバ101における抽出基準取得部13は、印刷ジョブ抽出要求とともに、使用者識別情報、印刷ジョブ抽出ルールについての情報、および抽出基準についての情報を取得して、印刷ジョブ抽出ルールについての情報および抽出基準についての情報を抽出部14に送出する。また、使用者識別情報については、後述する処理制限での使用に供するために、情報提供部15に送出する。抽出部14は、取得した印刷ジョブ抽出ルールについての情報に基づき、記憶部11に記憶されている印刷ジョブ抽出ルールを特定し、当該印刷ジョブ抽出ルールと、取得した抽出基準についての情報とに基づき、記憶部11に記憶されている1つまたは複数の印刷ジョブデータから抽出基準を満たす印刷ジョブデータを抽出する。
【0040】
具体的には、印刷部数に基づき印刷ジョブデータを抽出するとの印刷ジョブ抽出ルールに基づくとき、抽出部14は、記憶されている印刷ジョブデータであって、その印刷部数が基準印刷部数と編集画面にて指定された関係を満たすもの(具体的には、基準印刷部数の下限値以上であって上限値以下であるもの、基準印刷部数より少ないもの、または基準印刷部数より多いもののいずれか)を抽出し、使用した印刷ジョブ抽出ルールについての情報とともに情報提供部15に送出する。また、所定期間内の印刷部数に基づき印刷ジョブデータを抽出するとの印刷ジョブ抽出ルールに基づくとき、抽出部14は、記憶されている印刷ジョブデータであって、基準タイミングまたは基準期間と編集画面410において指定された関係を満たすもの(具体的には、基準期間内に印刷されたもの、基準タイミングより前もしくは後に印刷されたもののいずれか)であって、且つその印刷部数が基準印刷部数と編集画面にて指定された関係を満たすものを抽出し、使用した印刷ジョブ抽出ルールについての情報とともに情報提供部15に送出する。一方、所定期間内の印刷ジョブデータを抽出するとの印刷ジョブ抽出ルールに基づくとき、抽出部14は、記憶されている印刷ジョブデータであって、基準タイミングまたは基準期間と編集画面410において指定された関係を満たすものを抽出し、使用した印刷ジョブ抽出ルールについての情報とともに情報提供部15に送出する。
【0041】
情報提供部15は、取得した印刷ジョブデータおよび印刷ジョブ抽出ルールについての情報に基づき、当該印刷ジョブ抽出ルールに応じた表示態様でジョブデータの一部または全部をディスプレイ103cに表示するWebページを構成する。
【0042】
具体的には、所定期間内の印刷部数に基づき印刷ジョブデータを抽出するとの印刷ジョブ抽出ルールについての情報を取得したとき、および印刷部数に基づき印刷ジョブデータを抽出するとの印刷ジョブ抽出ルールについての情報を取得したとき、情報提供部15は、図7および図8に示すように、取得した印刷ジョブデータに含まれる情報の少なくとも一部を印刷部数順に並べるとともに、抽出された各印刷ジョブデータに係る印刷部数を少なくとも表示するテーブル510を含むWebページを構成する。また、所定期間内における印刷処理が実行された印刷ジョブデータを抽出するとの印刷ジョブ抽出ルールについての情報を取得したとき、情報提供部15は、図9に示すような、取得した印刷ジョブデータに含まれる情報の少なくとも一部を印刷処理が実行された順に並べるとともに、各印刷ジョブデータに係る印刷日時を少なくとも表示するテーブル512を含むWebページを構成する。
【0043】
ここで、テーブル510、511、および512内には、View列に配置された、印刷ジョブデータごとの閲覧処理を実行させるためのボタン群501、Download列に配置された、印刷ジョブデータごとのダウンロード処理を実行させるためのボタン群502、およびPrint列に配置された、印刷ジョブデータごとのプリント処理を実行させるためのボタン群503が設けられている。
【0044】
ボタン群501におけるいずれかのボタンを押下することにより、MFP103のディスプレイ103cに、押下したボタンに対応する印刷ジョブデータに係るドキュメントの画面が表示され、使用者は当該ドキュメントを閲覧することができる。また、ボタン群502におけるいずれかのボタンを押下することにより、押下したボタンに対応する印刷ジョブデータ中に含まれるドキュメントのファイルデータをダウンロードさせることができる。さらに、ボタン群503におけるいずれかのボタンを押下することにより、図10に示すような印刷設定画面610がディスプレイ103cに表示される。当該印刷設定画面610における印刷処理を実行させるための印刷ボタン601を押下することにより、ボタン群503中の押下したボタンに対応する印刷ジョブデータを記憶部11からMFP103に送出させて、印刷処理を実行させることができる。また、本実施形態においては、図10の印刷設定画面において、印刷条件を設定するためのボックス602〜605に対し入力または操作を行うことにより、部数、カラーモード選択、両面印刷、Nin1印刷などの印刷条件を設定することが可能である。なお、閲覧、ダウンロード、および印刷に関する具体的な処理は、当該技術分野において当業者に知られる通常の方法により、プリンタサーバ101、クライアントPC102、またはMFP103のいずれかのCPUに対していずれかの記憶領域に記憶されているプログラムを実行させることにより、行わせることができる。
【0045】
ここで、本実施形態においては、情報提供部15は、印刷ジョブデータに含まれる、そのデータの一部または全部に対する処理(本実施形態においては、閲覧、ダウンロード、または印刷処理)についての権限に関する情報に基づき、当該処理の実行を制限することができる。すなわち、本実施形態の情報提供部15は、処理制限部としての機能を兼ねる。
【0046】
より具体的に説明すると、本実施形態において、記憶部11は、閲覧等の処理を実行できる使用者の範囲を段階的に限定するための公開範囲制限に係るテンプレートファイル、および印刷ジョブデータごとに閲覧等の処理を段階的に制限するアクセス制限に係るテンプレートファイルを処理制限情報として予め記憶している。また、印刷ジョブデータ中には、各テンプレートファイル中に記述されている、記憶部11に記憶される公開範囲制限、およびアクセス制限の内容に対応する識別情報(以下、制限識別情報と称す。印刷ジョブデータに含まれる、そのデータの一部または全部に対する処理についての権限に関する情報に相当)を含んでいる。
【0047】
情報提供部15は、抽出基準取得部13より取得した使用者識別情報と、抽出部14より取得した印刷ジョブデータ中に含まれる制限識別情報とに基づき、記憶部11に記憶される公開範囲制限およびアクセス制限に係るテンプレートファイルを参照する。そして、情報提供部15は、参照結果に基づきそれぞれの印刷ジョブデータに対し、そのデータ中に含まれる制限識別情報に対応する閲覧等の処理についての制限を適用し、併せて特定の処理が制限されている(すなわち、処理を実行させる権限がない)ことをWebページを介して要求者に通知する。
【0048】
図7〜9においては、通知を兼ねる処理の制限に関する適用の一例として、実行が許可される処理に対応するボタンは実線で表し、また、実行が許可されていない処理に対応するボタンは破線で表し、押下できない(すなわち、各処理についての実行要求を送出できない)ように設定される。すなわち、印刷ジョブデータに含まれるドキュメントファイルついて閲覧が許されていても、当該ドキュメントファイルのダウンロード、およびドキュメントファイルの内容についての印刷(言い換えれば、当該印刷ジョブデータのMFP103への送出)が許可されていない場合、閲覧するためのボタン(実線)は押下できるが、ダウンロードおよび印刷するためのボタン(破線)は押下できない。
【0049】
また、本実施形態においては、公開範囲制限とアクセス制限との2種類の制限が適用される場合がある。すなわち、ある印刷ジョブデータについて、アクセス制限において閲覧等の処理が可能と設定されていても、公開範囲制限に基づき印刷ジョブ抽出要求を行った要求者について閲覧等の処理が許可されていない場合、当該印刷ジョブデータに対応するボタンはすべて破線で表示され、押下することができない。
【0050】
なお、本実施形態においては、各印刷ジョブデータについての公開範囲制限およびアクセス範囲制限については、クライアントPC102のディスプレイ102cに表示される、印刷ジョブデータを生成させるための印刷ジョブ生成指示画面710(図11)を用いて、最初の印刷処理における部数、カラーモード選択、両面印刷、Nin1印刷などの印刷条件を設定する際に、併せて設定することができる。言い換えれば、本実施形態において、ジョブデータ生成部に相当するプリンタドライバ102dは、印刷ジョブデータの生成時に、該印刷ジョブデータに制限識別情報を含ませた状態で印刷ジョブデータの生成を行う。
【0051】
具体的に説明すると、本実施形態においては、上述のとおり、公開範囲制限の内容、およびアクセス制限の内容は、テンプレートファイルとして予め記憶部11に記憶されている。図12および図13に、本実施形態における公開制限およびアクセス制限のテンプレートファイルの一例を示す。本実施形態において、各テンプレートファイルはCSVファイル形式により構成されており、閲覧(View)、ダウンロード(Download)、および印刷(Print)の各処理について、数値1は処理実行が許可されていることを、また、数値0は処理実行が許可されていないことを示している。なお、本実施形態においては、このようにCSVファイルとしてテンプレートファイルを構成しているがこれに限定されるものではなく、他の形式(例えばXMLファイル)とすることもできる。
【0052】
印刷ジョブデータの生成を指示するにあたり、印刷ジョブデータの作成者は、印刷ジョブ生成指示画面710中のリストボックス701を操作することにより、生成させる印刷ジョブデータに対し、どの段階の公開範囲制限を適用するか特定するために、公開範囲制限における制限識別情報(公開範囲制限に係るテンプレートファイル中のNo.1〜3のいずれか)を指定する。また、作成者は、生成させる印刷ジョブデータに対し、どの段階のアクセス制限を適用するか特定するために、アクセス制限における制限識別情報(アクセス制限に係るテンプレートファイル中のNo.1〜3のいずれか)を指定する。そして、プリンタドライバ102dは、そのデータ中に指定に応じた制限識別情報を付与して印刷ジョブデータを生成する。
【0053】
なお、上述のとおり公開範囲制限、およびアクセス制限に係るテンプレートファイルはプリンタサーバ101の記憶部11に記憶されており、クライアントPC102、MFP103においては、そのテンプレートファイルをダウンロードし、その内容を作成者や要求者に提示することができる。また、記憶部11に記憶されているテンプレートファイルが更新された場合は、その更新についての通知がプリンタサーバ101からクライアントPC102やMFP103にされるような構成としてもよい。
【0054】
続いて、図14、15を用い、本実施形態における、印刷ジョブデータ抽出を要求する際の使用者認証の処理フローについて、MFP103から印刷ジョブ抽出を要求する場合を例に挙げて説明する。
【0055】
図14に示すように、まず、Act101において、MFP103は、要求者の使用者識別情報を取得する。具体的には、要求者が操作部103dを介しプリンタサーバ101への印刷ジョブ抽出要求の送出指示をMFP103に入力すると、MFP103は、図2の使用者認証画面110をディスプレイ103cに表示させる。当該使用者認証画面中のテキストボックスへの要求者の入力により使用者識別情報を取得すると、MFP103は、取得した使用者識別情報を認証サーバ104に送出する。また、付属の認証用カードリーダ105から使用者識別情報を取得した場合、MFP103は、要求者からプリンタサーバ101への印刷ジョブ抽出要求の送出指示があったものとみなし、取得した使用者識別情報を認証サーバ104に送出する。
【0056】
次に、Act102において、認証サーバ104は、MFP103から取得した要求者についての使用者識別情報が、予め登録されている使用者に関する情報のうちいずれかに含まれているか、判定する。取得した使用者識別情報を含む使用者に関する情報が記憶されていない場合、認証サーバは、使用者の認証を失敗したとして、認証失敗に関する通知をMFP103に送出する(Act105)。当該認証失敗の通知を取得したMFP103は、ディスプレイ103cにおける表示等により、認証が失敗したことを要求者に通知し、要求者に正しい使用者識別情報の入力を促す。
【0057】
一方、取得した使用者識別情報が記憶されている使用者に関する情報のいずれかに含まれている場合、Act103に進み、認証サーバ104は、認証が成功したことをMFP103に通知する。当該認証成功の通知を取得したとき、MFP103は、ディスプレイ103cに印刷ジョブ抽出要求画面を表示させる。
【0058】
Act104において、MFP103は、要求者による印刷ジョブ抽出要求画面におけるボタン301〜303のうちいずれかの押下により、使用者識別情報、各ボタン301〜303にそれぞれ対応するいずれかの印刷ジョブ抽出ルールについての情報および抽出基準についての情報とともに、印刷ジョブ抽出要求をプリンタサーバ101の抽出基準取得部13に送出する。さらに、本実施形態においては、第1の追加ルール(抽出される印刷ジョブデータを要求者とは異なる者により作成されたものに限定するルール)についての情報、および第2の追加ルール(印刷ジョブデータが印刷されたMFP103を限定するルール)ついての情報のいずれか、または両方が併せて送出されるようにしてもよい。
【0059】
続いて、図15のAct201において、抽出基準取得部13は、印刷ジョブ抽出要求と併せて使用者識別情報、印刷ジョブ抽出ルールについての情報および抽出基準についての情報を取得し、このうち印刷ジョブ抽出ルールについての情報および抽出基準についての情報を抽出部14に送出する。また、上述の第1の追加ルールについての情報および第2の追加ルールについての情報を伴う場合は、これらも抽出部14に送出する。一方、使用者識別情報については、情報提供部15に送出する。
【0060】
次に、Act202において、抽出部14は、印刷ジョブ抽出ルールについての情報および抽出基準についての情報に加えて、第1の追加ルールを取得したか、確認する。さらに、抽出部14は、Act203において、印刷ジョブ抽出ルールについての情報および抽出基準についての情報に加えて、第2の追加ルールを取得したか、確認する。なお、抽出基準取得部13、抽出部14における上述の複数の情報についての取得は、個別に異なるタイミングで取得してもよいし、同時に取得してもよい。また、抽出部14による抽出処理実行時に結果として取得されていればよく、それぞれの情報を取得する順序は問わない。さらに、後述する情報提供部15における印刷ジョブデータおよび使用者識別情報の取得についても同様である。
【0061】
Act204において、抽出部14は、取得した印刷ジョブ抽出ルールについての情報および抽出基準についての情報に基づき(第1の追加ルールおよび第2の追加ルールのいずれか、または両方についての情報を伴う場合は、少なくともいずれかの追加ルールについての情報にも基づき)、記憶部11に記憶されている印刷ジョブデータを抽出する。次いで、抽出部14は、抽出した印刷ジョブデータを、使用した印刷ジョブ抽出ルールについての情報とともに、情報提供部15に送出する。また、抽出基準と編集画面410にて設定された関係を満足する印刷ジョブデータが抽出されなかった場合は、抽出されなかったとの通知を、情報提供部13に送出する。
【0062】
Act205において、情報提供部15は、印刷ジョブデータが抽出された否かについて判定する。印刷ジョブデータが抽出されたと判定したとき、Act206において、情報提供部15は、記憶部11に記憶される処理制限情報に基づき、所定の処理についての制限の設定を行う。具体的には、情報提供部15は、まず、印刷ジョブデータ中に含まれる公開範囲制限、およびアクセス制限に関する制限識別情報に基づき、記憶部11に記憶されている公開範囲制限、およびアクセス範囲制限に係るテンプレートファイルを参照する。次いで当該参照結果と抽出基準取得部13から取得した使用者識別情報とに基づき、閲覧、ダウンロード、および印刷の各処理を抽出された印刷ジョブデータそれぞれに対して個別に制限する。
【0063】
例えば、本実施形態においては、取得した印刷ジョブデータ中にアクセス制限を特定するための制限特定情報として数値No.2が含まれる場合、当該印刷ジョブデータについてのドキュメントファイルの閲覧の実行は許可されるが、ダウンロードおよび印刷処理の実行は許可されないこととなる。また、アクセス制限を特定するための制限特定情報として数値No.1が含まれており、アクセス制限に基づくときは当該印刷ジョブデータに対応するドキュメントファイルについての閲覧等のいずれの処理の実行が許可される場合でも、公開範囲制限を特定するための制限特定情報として数値No.3が印刷ジョブデータ中に含まれ、且つ、使用者識別情報から要求者が印刷ジョブデータの作成者とは異なる部署に属する者と判定されるときには、閲覧等のいずれの処理についても実行が許可されない。
【0064】
次に、Act207において、情報提供部15は、印刷ジョブデータの一部または全部を印刷ジョブ抽出ルールに応じた表示態様で提示するためのWebページを構成する。また、情報提供部15は、Webページを構成したことをMFP103に通知する。当該通知を取得したMFP103は、構成されたWebページに自動的にアクセスし、ディスプレイ103cに表示させる。
【0065】
一方、Act205において印刷ジョブデータが抽出されなかったと判定されるとき、情報提供部15は、Ac207において、印刷ジョブデータが抽出されなかったことを表示するWebページを構成する。また、情報提供部15は、Webページを構成したことをMFP103に通知し、印刷ジョブが抽出された場合と同様に、構成されたWebページをディスプレイ103cに表示させる。
【0066】
以上に説明したように本実施形態のプリントシステムによれば、従来のように抽出された印刷ジョブデータがランダムに示されるのではなく、要求者が指定した印刷条件に従う表示態様で抽出されたジョブデータの一部または全部が示されるため、要求者は、従来よりも容易に印刷ジョブデータを見つけることができる。
【0067】
また、変更等を意図的に行うことが容易でない印刷条件に関する所定のルールに基づき、印刷ジョブデータの抽出および抽出された印刷ジョブデータの一部または全部の提供が行われるので、クライアントPC名等の容易に変更可能な基準に基づいて印刷ジョブデータについての情報を示す従来技術と比較し、要求者は、より確実に所望の印刷ジョブデータを見つけることができる。
【0068】
以上、本発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の実施形態とすることも可能である。
【0069】
例えば、本実施形態においては、情報提供部15が処理制限部の機能を兼ねる構成としているがこれに限定されるものではなく、他の構成とすることももちろん可能である。例えば、図16に示すように、プリントサーバ103が処理制限部16を、情報提供部15とは別個に備えるようにしてもよい。
【0070】
この場合、処理制限部16は、抽出部14から印刷ジョブデータを取得するとともに、抽出基準取得部13から使用者識別情報を取得する。処理制限部16は、取得した印刷ジョブデータ中に含まれる公開範囲制限およびアクセス制限についての制限識別情報に基づき、記憶部11に記憶されている公開範囲制限およびアクセス制限のテンプレートファイルを参照する。次に、処理制限部16は、当該参照結果と使用者識別情報とに基づき、印刷ジョブデータの一部または全部(例えばドキュメントファイル)について処理の制限を適用する。そして、印刷ジョブ制限部16は、その一部または全部について当該処理の制限が適用された印刷ジョブデータを、情報提供部15に送出する。情報提供部15は、抽出部14から取得した、印刷ジョブ抽出ルールについての情報に応じた表示態様で印刷ジョブデータの少なくとも一部を表示するWebページを構成するとともに、当該Webページにて、適用された処理の制限についての情報をユーザに通知する。
【0071】
加えて、以上に説明した実施形態においては、プリンタサーバ101が記憶される印刷ジョブデータの抽出および抽出されたそのデータの一部または全部の提供を実行しているがこれに限定されるものではない。例えば、クライアントPC102またはMFP103などの他の構成コンポーネントが、プリンタサーバ101に記憶される印刷ジョブデータの抽出、抽出されたそのデータの一部または全部の提供、および印刷ジョブデータの一部または全部に対する処理の制限を実行するようにしてもよい。したがって、少なくとも抽出基準取得部13および抽出部14を備えていれば抽出機能を実現することができる。
【0072】
また、本実施形態においては、印刷ジョブ抽出ルールを記憶部11に予め記憶し、それについての情報を印刷ジョブ抽出要求とともにMFP103から送出するように構成している。しかしながらこれに限定されるものではなく、他の構成とすることが可能であり、例えば印刷ジョブ抽出ルール自体を印刷ジョブ抽出要求とともに送出するように構成してもよい。
【0073】
さらに、処理制限情報についても、記憶部11に予め記憶されているように構成しているがこれに限定されるものではなく、他の構成とするようにしてもよい。例えば、処理制限情報をクライアントPC102にて記憶するとともに、プリンタドライバが当該処理制限情報を印刷ジョブデータ中に含めて生成するようにしてもよい。
【0074】
さらにまた、本実施形態においては、印刷条件に関する抽出基準として、印刷部数に関する抽出基準を挙げているがこれに限定されるものではない。例えば、印刷ジョブデータが生成されたときに、カラー印刷された印刷ジョブデータや両面印刷された印刷ジョブデータ、またはNin1印刷された印刷ジョブデータを抽出するような抽出基準としてもよい。
【0075】
さらにまた、本実施形態においては、タイミングまたは期間に基づく抽出基準として、印刷ジョブデータが生成されたタイミングまたは期間に基づく抽出基準を挙げているがこれに限定されるものではない。例えば、印刷ジョブデータに基づきMFP103にて紙媒体への出力処理が実行されたタイミングまたは期間に基づく抽出基準としてもよい。
【0076】
さらにまた、本実施形態においては、Webページを構成して抽出された印刷ジョブデータの一部または全部を表示するものとしているがこれに限定されるものではない。例えば、当該印刷ジョブデータの一部または全部をクライアントPC102またはMFP103に送出し、クライアントPC102またはMFP103が印刷ジョブデータの一部または全部を表示する画面を構成して、それぞれのディスプレイ102c、103cに表示するようにしてもよい。さらに、本発明においては、印刷ジョブデータの一部または全部の表示とは、紙媒体への出力を用いた表示も含む概念である。
【0077】
さらにまた、プリントシステムを構成する1つまたは複数のコンピュータにおいて上述した各動作を実行させるプログラムを、印刷ジョブ抽出プログラムとして提供することができる。本実施形態では、発明を実施する機能を実現するための当該プログラムが、装置内部に設けられた記憶領域に予め記録されている場合を例示したが、これに限らず同様のプログラムをネットワークから装置にダウンロードしてもよいし、同様のプログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であってもよい。具体的に、記録媒体としては、例えば、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、回線上の伝送媒体などが挙げられる。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と共働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0078】
なお、本実施形態におけるプログラムには、実行モジュールが動的に生成されるプログラムを含むものとする。
【0079】
本発明を特定の態様により詳細に説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱しないかぎり、様々な変更および改質がなされ得ることは、当業者には自明であろう。
【0080】
以上に詳述したように本発明によれば、要求者に対し、従来よりも容易な印刷ジョブデータの特定を可能とすることができる技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
101:プリンタサーバ
102:クライアントPC
103:MFP
104:認証サーバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ログとして記録されている1つまたは複数の印刷ジョブデータの中から所望の印刷ジョブデータを抽出する印刷ジョブ抽出装置であって、
ユーザの操作入力に基づいて、印刷ジョブデータに含まれる、印刷条件に関する少なくとも1つのパラメータに基づく第1の抽出基準についての情報を取得する抽出基準取得部と、
前記抽出基準取得部にて取得される前記第1の抽出基準に関する情報に基づいて、記録される1つまたは複数の前記印刷ジョブデータの中から前記第1の抽出基準を満たす印刷ジョブデータを抽出する抽出部と、を備える印刷ジョブ抽出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷ジョブ抽出装置において、
前記抽出基準取得部は、前記第1の抽出基準として、基準印刷部数と、抽出対象となる印刷ジョブデータにおける印刷部数の前記基準印刷部数との関係に関する情報とを取得し、
前記抽出部は、前記抽出基準取得部にて取得される前記基準印刷部数と前記関係を満たす印刷ジョブデータを、記録される1つまたは複数の前記印刷ジョブデータの中から抽出する印刷ジョブ抽出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷ジョブ抽出装置において、
前記抽出基準取得部は、ユーザの操作入力に基づいて、タイミングまたは期間に関する
第2の抽出基準についての情報を取得し、
前記抽出部は、前記抽出基準取得部にて取得される前記第1の抽出基準に関する情報および前記第2の抽出基準に関する情報に基づいて、記録される1つまたは複数の前記印刷ジョブデータの中から前記第1の抽出基準および前記第2の抽出基準を満たす印刷ジョブデータを抽出する印刷ジョブ抽出装置。
【請求項4】
そのデータの一部または全部に対する処理についての権限に関する情報を含む印刷ジョブデータを取得し、所定の記憶領域にログとして記録する記憶制御部と、
ユーザの操作入力に基づいて、前記印刷ジョブデータに含まれる、印刷条件に関する少なくとも1つのパラメータに基づく抽出基準についての情報を取得する抽出基準取得部と、
前記抽出基準取得部にて取得される前記抽出基準に関する情報に基づいて、1つまたは複数の前記印刷ジョブデータの中から前記抽出基準を満たす前記印刷ジョブデータを抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出される前記印刷ジョブデータについての処理を、そのデータ中に含まれる前記権限に関する情報に基づき制限する処理制限部と、
を備えるプリントシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のプリントシステムにおいて、
前記印刷ジョブデータの生成時に、該印刷ジョブデータに前記権限に関する情報を含ませた状態で印刷ジョブデータの生成を行う、ジョブデータ生成部をさらに備え、
前記記憶制御部は、前記ジョブデータ生成部にて生成される前記印刷ジョブデータを前記所定の記憶領域にログとして記録するプリントシステム。
【請求項6】
そのデータの一部または全部に対する処理についての権限に関する情報を含む印刷ジョブデータを取得してログとして所定の記憶領域に記録し、
ユーザの操作入力に基づいて、前記印刷ジョブデータに含まれる、印刷条件に関する少なくとも1つのパラメータに基づく抽出基準についての情報を取得し、
取得される前記抽出基準に関する情報に基づいて、記録される1つまたは複数の印刷ジョブデータの中から前記抽出基準を満たす印刷ジョブデータを抽出し、
抽出される前記印刷ジョブデータについての処理を、そのデータ中に含まれる前記権限に関する情報に基づき制限する印刷ジョブ管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記印刷ジョブデータの生成時に、該印刷ジョブデータに前記権限に関する情報を含ませた状態で印刷ジョブデータの生成を実行し、
生成される前記印刷ジョブデータを前記所定の記憶領域にログとして記録する印刷ジョブ管理方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−301544(P2009−301544A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135833(P2009−135833)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】