印刷制御装置、印刷装置、印刷制御方法およびコンピュータプログラム
【課題】印刷画質を向上させるように各印刷画素におけるドットの形成状態を決定すること
【解決手段】RGB表色系で表された印刷対象の画像を、印刷装置が印刷可能なCMYK表色系で表されたデータである中間画像に変換する色変換処理を行う。色変換処理後に生成される各色成分毎の中間画像を構成する画素についてエッジ領域画素であるか否かの判定を行い、色成分毎に、エッジ領域画素に対応する印刷媒体上の位置に、エッジからの距離に応じて所定サイズのドットが形成されるように、ドットの割り当てを行う。こうすれば、複数色のインクが混色されて形成されるエッジにおいても、インクのにじみが抑制される。
【解決手段】RGB表色系で表された印刷対象の画像を、印刷装置が印刷可能なCMYK表色系で表されたデータである中間画像に変換する色変換処理を行う。色変換処理後に生成される各色成分毎の中間画像を構成する画素についてエッジ領域画素であるか否かの判定を行い、色成分毎に、エッジ領域画素に対応する印刷媒体上の位置に、エッジからの距離に応じて所定サイズのドットが形成されるように、ドットの割り当てを行う。こうすれば、複数色のインクが混色されて形成されるエッジにおいても、インクのにじみが抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画素から構成される画像を複数サイズのドットを利用して印刷する際のドットの形成状態を決定する画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
紙や布、フィルムなどの各種印刷媒体にドットを形成して画像を印刷する印刷装置として、インクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタは、例えばシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインクを印刷媒体に向けて噴射して印刷媒体上にインクドットを形成することにより、印刷媒体上に画像を印刷する。インクジェットプリンタには、例えば大ドット(Lドット)、中ドット(Mドット)、小ドット(Sドット)のように、複数サイズのドットを形成可能なものがある。
【0003】
インクジェットプリンタによる画像の印刷の際には、一般に、画像を表す画像データに基づき、各印刷画素におけるドットの形成状態を決定する処理(ハーフトーン処理と呼ばれる)が行われる(例えば特許文献1)。ここで、各印刷画素におけるドットの形成状態を決定するとは、各印刷画素にどの色のどのサイズのドットを形成するか、あるいはドットを形成しないか、を決定することである。
【0004】
【特許文献1】特開2007−118238号公報
【0005】
ハーフトーン処理の際には、色のにじみの発生を抑制する等のために、印刷媒体の単位面積当たりの総インク量に制限が設けられる場合がある。このような場合には、例えば画像中の文字や線画におけるエッジの部分を構成する印刷画素に、異なるサイズのドットが混在して形成されたり、当該印刷画素の一部にドットが形成されなかったりする可能性があり、エッジのがたつきや欠けによって印刷画質が低下するおそれがあった。
【0006】
なお、このような問題は、インクジェットプリンタによる画像の印刷に限らず、ドットを利用して画像を印刷する際の各印刷画素におけるドットの形成状態を決定する際に共通の問題であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、印刷画質を向上させるように各印刷画素におけるドットの形成状態を決定することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換する色変換手段と、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出する検出手段と、前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てるドット割り当て手段と、を備える印刷制御装置。
【0010】
適用例1の印刷制御装置によれば、印刷装置が印刷可能な第2の表色系で表された中間画像を対象としてエッジ画素の検出が行われ、エッジ画素に対応する印刷媒体上の位置に所定サイズのドットが形成されるようにドット割り当てが行われる。従って、エッジをほぼ均一なサイズのドットで揃えて形成できる。よって、エッジのがたつきや欠けを抑制でき、印刷画質を向上できる。
【0011】
[適用例2]
適用例1の印刷制御装置であって、前記第2の表色系は、前記印刷装置による印刷に用いられる複数の色成分で構成されており、前記色変換手段は、前記色成分毎に前記中間画像を生成し、前記検出手段は、前記色成分毎に前記エッジ画素を検出し、前記ドット割り当て手段は、前記色成分毎に、前記エッジ画素に前記所定サイズのドットを割り当てる。適用例2の印刷制御装置によれば、色成分毎にエッジ画素の検出と所定サイズのドット割り当てが行われる。従って、複数色のドットが混ざり合う画素についても、インクのにじみを抑制できる。
【0012】
[適用例3]
適用例2の印刷制御装置であって、前記検出手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、各色成分に対して予め規定されている所定濃度を有する画素を、前記エッジ画素として検出する。一般的に、最大濃度を有する画素は、複数のサイズのうち比較的大きなサイズのドットが割り当てられるので、にじみが生じやすい。従って、適用例3の印刷制御装置によれば、所定濃度を有する画素について、前記ドットの割り当てを行うことができる。よって、全ての画素に対してエッジ画素であるかの判断を行う必要がないため、低い処理負荷で効率的に印刷画質の向上を図ることができる。
【0013】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3いずれかの印刷制御装置であって、前記印刷装置は、印刷材を噴射する印刷ヘッド、および、印刷媒体の少なくとも一方を所定の方向に移動させて、印刷媒体上に前記画像を形成し、前記検出手段は、前記中間画像を構成する画素のうち、前記所定の方向および前記所定の方向に交差する方向に沿ったエッジを構成する前記エッジ画素を検出する。一般的に、印刷ヘッドが移動する方向および印刷媒体の搬送される方向に沿ったエッジは人間の目にはにじみやがたつきが目立つことが知られている。適用例4の印刷制御装置によれば印刷ヘッドが移動する方向および印刷媒体の搬送される方向に沿ったエッジを構成する画素がエッジ画素として検出される。よって、エッジ部分において目立つドットのにじみを抑制できる。
【0014】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4いずれかの印刷制御装置であって、前記検出手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、前記色成分の最大濃度を有する画素であって前記エッジ画素から所定の距離に位置する画素であるエッジ近傍画素を検出し、前記ドット割り当て手段は、前記エッジ近傍画素に対して、前記複数のサイズのドットの内の、前記エッジ画素からの距離に応じて定められたサイズのドットを割り当てる。適用例5の印刷制御装置によれば、エッジ近傍画素に対して、複数サイズのドットの内の、エッジ画素からの距離に応じて定まるサイズのドットが形成されるようにドット割り当てが行われる。従って、エッジ近傍の画素についてもほぼ均一なサイズのドットで揃えて形成できる。よって、エッジ画素とエッジ近傍画素とからなるエッジ領域のがたつきや欠けを抑制でき、印刷画質を向上できる。
【0015】
[適用例6]
適用例5の印刷制御装置において、前記ドット割り当て手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、前記エッジ画素および前記エッジ近傍画素以外の画素に対して、ハーフトーン処理によりドットを割り当てる。適用例6の印刷制御装置によれば、エッジ画素およびエッジ近傍画素に該当しない通常画素に対してはハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定される。よって、通常画素については印刷媒体の単位面積当たりの総インク量に制限を設けることができ、色のにじみの発生を抑制して印刷画質を向上させることができる。
【0016】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。例えば、上記印刷制御装置が組み込まれた印刷装置、印刷制御方法、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
A.実施例
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例における印刷システムの構成を概略的に示す説明図である。本実施例における印刷システム1000は、画像処理装置としてのパーソナルコンピュータ100と、パーソナルコンピュータ100に有線または無線によって接続されたプリンタ200と、を備えている。
【0018】
パーソナルコンピュータ100は、プログラムを実行することにより種々の処理や制御を行うデュアルコアCPU110と、プログラムやデータ・情報を格納するメモリ120と、外部に接続される周辺機器との間でデータや情報のやりとりを行う入出力インタフェース(I/F)部130と、を備えている。メモリ120は、出力バッファ32を有している。パーソナルコンピュータ100は、さらに、キーボードやポインティングデバイスなどの入力装置、ディスプレイなどの表示装置、CD−ROMドライブ装置などの記録再生装置等を備えていてもよい。
【0019】
パーソナルコンピュータ100には、アプリケーションプログラム10やプリンタドライバ20などのプログラムがインストールされている。アプリケーションプログラム10やプリンタドライバ20は、所定のオペレーティングシステム(図示せず)の下でデュアルコアCPU110により実行される。
【0020】
アプリケーションプログラム10は、例えば画像編集機能を実現するためのプログラムである。ユーザは、アプリケーションプログラム10の提供するユーザインターフェースを介して、アプリケーションプログラム10により編集された画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム10は、ユーザより印刷の指示を受けると、プリンタドライバ20に印刷の対象となる画像を出力する。なお、本実施例では、画像はRGBデータとして出力される。
【0021】
プリンタドライバ20は、アプリケーションプログラム10から出力された画像に基づき中間画像を生成する機能を実現するためのプログラムである。プリンタドライバ20は、CD−ROMなどの各種記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体等)に記憶されて配布されたり、またはインターネットなど各種通信手段を通じて配信されたりする。
【0022】
プリンタドライバ20は、アプリケーションプログラム10から画像を受け取り、画像に基づき印刷データを生成し、生成した印刷データをプリンタ200に出力する。ここで、印刷データは、プリンタ200が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータとドットデータとを含む。コマンドデータは、プリンタ200に特定の動作の実行を指示するためのデータである。ドットデータは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素(印刷画素)におけるドットの形成状態を表すデータであり、具体的には、各印刷画素にどの色のどのサイズのドットを形成するか(あるいはドットを形成しないか)を示すデータである。ここで、「ドット」とは、プリンタ200から噴射されたインクが印刷媒体に着弾したインク滴を意味する。なお、本実施例で用いられるプリンタ200は、CMYK表色系で表されたデータに基づいて印刷を行うプリンタである。CMYK表色系とは、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4つの色成分によって画像を表す表色系である。プリンタ200は、C,M,Y,Kの各色のインクを用いて印刷を行う。
【0023】
プリンタドライバ20は、解像度変換処理部21と、色変換処理部22と、エッジ領域判定部23と、ハーフトーン処理部26と、ドット割り当て部27と、印刷データ生成部28と、を含んでいる。色変換処理部22は、特許請求の範囲における「色変換手段」に当たり、エッジ領域判定部23は特許請求の範囲における「検出手段」に当たり、ドット割り当て部27は特許請求の範囲における「ドット割り当て手段」に当たる。
【0024】
解像度変換処理部21は、アプリケーションプログラム10から出力された画像の解像度をプリンタ200の印刷解像度に一致するように変換する解像度変換処理を行う。
【0025】
色変換処理部22は、RGB表色系で表された印刷対象の画像を、印刷装置が印刷可能なCMYK表色系で表されたデータである中間画像に変換する色変換処理を行う。具体的には、色変換処理部22は、画像を構成する全画素のそれぞれについて、RGB値で表された画素値をCMYK値に変換する。なお、第1実施例において、「RGB表色系で表された画像を、CMYK表色系で表された中間画像に変換する」とは、RGB値で表された画像の各画素値をCMYK値に変換し、変換後のCMYK値が、色成分毎に分割されて保存された中間画像を生成することを意味する。CMYK値は、C,M,Y,Kの各色の濃度をパーセンテージで表した値である。第1実施例では、色変換処理部22は、4つの色成分の各々について中間画像が生成される。
【0026】
エッジ領域判定部23は、CMYK表色系の各色成分で表された各中間画像を構成する各画素(以降、第1実施例では中間画素と呼ぶ)について、エッジ領域画素であるか否かを判定する。「エッジ」とは、画像内に生じる明るい部分と暗い部分の境界、すなわち、CMYK値のいずれかの値が急激に変化する部分の境界のことを表す。例えば、CMYK値のいずれかの値が、0%から100%に変化する境界部分がエッジに当たる。本明細書では、最大濃度が100%、最小濃度が0%である。エッジのよりCMYK値の高い側に隣接し、かつ、最大濃度の中間画素を「エッジ画素」と呼び、最大濃度を有し、エッジからの距離が2である中間画素を「エッジ近傍画素」と呼ぶ。実施例において、1中間画素分の幅を距離が1であると表し、「隣接する」とはエッジからの距離が1であることを意味する。なお、エッジ近傍画素は、1画素幅の領域に換えて、2以上の複数の中間画素分の幅を有する領域とすることもできる。エッジ画素とエッジ近傍画素との論理和を、本明細書では「エッジ領域画素」と呼ぶ。
【0027】
すなわち、エッジ領域判定部23は、中間画素について、エッジ画素もしくはエッジ近傍画素であるか否かを判定する。「エッジ画素」は、当該中間画素の上、下、左、右の方向に隣接する4つの隣接中間画素のうちの少なくとも一つが最小濃度である中間画素である。「エッジ近傍画素」とは、当該中間画素の上、下、左、右の方向において距離が2となる4つの中間画素のうちの少なくとも一つが最小濃度である中間画素である。
【0028】
ハーフトーン処理部26は、エッジ領域画素以外の中間画素に対して、画素値に基づきハーフトーン処理を行い、通常処理画素に対応した印刷画素におけるドットの形成状態を決定し、出力バッファ32に記録する。本実施例では、ハーフトーン処理部26は、印刷媒体の単位面積当たりの総インク量に制限を設けつつ、ディザマトリクスによる閾値処理によってハーフトーン処理を行う。なお、本実施例で用いられるプリンタ200は、小さいサイズの小ドット(以下「Sドット」とも呼ぶ)と中程度のサイズの中ドット(以下「Mドット」とも呼ぶ)と大きいサイズの大ドット(以下「Lドット」とも呼ぶ)との3種類のサイズのドットを形成可能なプリンタである。そのため、印刷画素におけるドットの形成状態としては、各インク色について、ドットを形成しない、Sドットを形成する、Mドットを形成する、Lドットを形成する、の計4つの選択肢が存在することとなる。
【0029】
ドット割り当て部27は、中間画素の内、エッジ画素にSドットを割り当てることにより、エッジ画素におけるドットの形成状態を決定し、出力バッファ32に記録する。また、ドット割り当て部27は、中間画素の内、エッジ近傍画素にMドットを割り当てることにより、エッジ近傍画素におけるドットの形成状態を決定し、出力バッファ32に記録する。換言すれば、ドット割り当て部27は、濃度が最大濃度の中間画素であって画像のエッジからの距離が1であればSドットを割り当て、最大濃度の中間画素であってエッジからの距離が2であればMドットを割り当てることにより、ドットの形成状態の決定を行っている。
【0030】
印刷データ生成部28は、出力バッファ32に記録された各印刷画素におけるドットの形成状態に基づき、印刷される画像を構成する画素におけるドットの形成状態を表すドットデータを含む印刷データを生成すると共に、印刷データをプリンタ200に転送すべき順序に並び替える。
【0031】
本実施例のプリンタ200は、印刷媒体にインクドットを形成して画像を印刷するインクジェットプリンタである。プリンタ200は、プログラムを実行することによりプリンタ200全体の制御や各種処理を行うCPU210と、プログラムやデータ・情報を格納するメモリ220と、外部に接続されるパーソナルコンピュータ100との間でデータや情報のやりとりを行う入出力インタフェース(I/F)部230と、CPU210からの指示に従って各ユニットを制御するユニット制御回路240と、ヘッドユニット250と、キャリッジユニット260と、搬送ユニット270と、を備えている。
【0032】
ヘッドユニット250は、印刷媒体にインクを噴射するためのヘッド(図示せず)を有している。ヘッドは、複数のノズルを有し、各ノズルから断続的にインクを噴射する。このヘッドはキャリッジ(図示せず)に搭載されており、キャリッジが所定の走査方向(主走査方向)に移動すると、ヘッドも主走査方向に移動する。ヘッドが主走査方向に移動している間にインクを断続的に噴射することにより、主走査方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が印刷媒体上に形成される。主走査方向は特許請求の範囲の「所定の方向」に当たる。
【0033】
キャリッジユニット260は、ヘッドを搭載するキャリッジを主走査方向に往復移動させるための駆動装置である。キャリッジには、ヘッドの他、インクを収容するインクカートリッジも着脱可能に保持されている。
【0034】
搬送ユニット270は、印刷媒体を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の搬送方向に所定の搬送量で印刷媒体を搬送させることによって副走査を行うための駆動装置である。搬送ユニット270は、例えば、給紙ローラ、搬送モータ、搬送ローラ、プラテン、及び排紙ローラ(図示せず)などによって構成される。搬送方向は特許請求の範囲の「所定の方向に交差する方向」に当たる。
【0035】
プリンタ200は、パーソナルコンピュータ100から印刷データを受領すると、印刷処理を実行する。まず、CPU210は、パーソナルコンピュータ100から入出力インタフェース部230を介して印刷データを受領し、受領した印刷データに含まれる各種コマンドに基づいて、印刷すべき紙(印刷媒体)を印刷開始位置に位置決めする。CPU210は、キャリッジユニット260、ヘッドユニット250を制御して、主走査方向に沿って移動するヘッドから、インクを断続的に噴射させ、噴射されたインク滴が紙上に着弾させることにより紙上にドットを形成させる。また、CPU210は、搬送ユニット270を制御し、紙を搬送方向に搬送させて、ヘッドに対し相対的に移動させる。これにより、ヘッドは、先に形成されたドットの位置とは異なる位置にドットを形成することが可能になる。こうして、印刷するためのデータがなくなるまで、ドット形成や搬送などの処理を繰り返し、ドットから構成される画像を紙に印刷する。その後、印刷するためのデータがなくなれば、印刷処理が完了する。
【0036】
A2.ドット形成状態の決定処理:
A2−1.決定処理の全体構成:
図2および図3は、ドット形成状態の決定処理の流れを示すフローチャートである。ドット形成状態の決定処理は、解像度変換処理部21による解像度変換処理後の画像に基づき、各印刷画素におけるドットの形成状態を決定し、出力バッファ32に記録する処理である。このドット形成状態の決定処理は、デュアルコアCPU(以下、単に「CPU」と呼ぶ)110を構成する2個のプロセッサコアで処理を分担しつつ実行される。
【0037】
図2に示すように、処理が開始されると、CPU110は、解像度変換処理部21による解像度変換処理後の画像を読み込む(ステップS100)。次いで、CPU110は、読み込んだ画像に色変換処理を施して中間画像を生成する(ステップS102)。
【0038】
図4は、第1実施例における色変換処理について模式的に示す説明図である。図4では、説明を簡易にするために、RGB表色系で表現された原画像GDを表しており、5行5列の画素(合計25画素)から構成されている。この画像を中間画像に変換する処理について説明する。なお、図4において、画像GDの各画素を、Pijと表し、中間画像MDを構成する各中間画素をQijと表す。ここで、iは行番号を表しており、jは列番号を表す。例えば、画像GDにおいて、ハッチングされている画素(2行4列に位置する画素)は、P24と表される。また、画像GDにおける各画素のR、G、Bの階調値は、RGB(Rの階調値、Gの階調値、Bの階調値)と表される。例えば、P24=RGB(182,0,129)と表される。
【0039】
画像GDに色変換処理が施されると、画像GDの各画素のRGB値は、CMYK値に変換される。CMYK値をCMYK(Cの値、Mの値、Yの値、Kの値)と表すと、画素P24=RGB(182,0,129)は、中間画素Q24=CMYK(30,100,0,0)に色変換される。ここで、CMYKの各値は、各色成分の濃度を表している。例えば、画素P24をCMYK表色系で表す場合、30%の濃度のシアンと、100%の濃度のマゼンタとを混色させることにより表現できる。また、図4において、シアンの値を表す場合にはQCij、マゼンタの値を表す場合にはQMij、イエローの値を表す場合にはQYij、ブラックの値を表す場合にはQBijと表す。
【0040】
色変換処理部22は、C,M,Y,Kの各色成分ごとに、中間画像MD1〜MD4を生成する。図4において、中間画像MD1は、全中間画素について、シアン(C)の値のみを抽出した画像であり、中間画像MD2は、全中間画素について、マゼンタ(M)の値のみを抽出した画像であり、中間画像MD3は、全中間画素について、イエロー(Y)の値のみを抽出した画像であり、中間画像MD4は、全中間画素について、ブラック(K)の値のみを抽出した画像である。第1実施例において、各色成分に対して予め規定された最大濃度は100%、最小濃度は0%である。なお、各色成分の最大濃度、最小濃度は、例えば、最大濃度98%、最小濃度5%といったように任意に設定できる。
【0041】
色変換処理を終了すると、CPU110は、図5に示した中間画像40における左上の中間画素を最初の注目画素として設定する(ステップS104)。次いで、CPU110は、全色成分について、インク色別処理を行う(ステップS106〜S112)。インク色別処理(C)は、シアンについてのドットの形成状態を決定する処理であり、インク色別処理(M)は、マゼンタについてのドットの形成状態を決定する処理であり、インク色別処理(Y)は、イエローについてのドットの形成状態を決定する処理であり、インク色別処理(K)は、ブラックについてのドットの形成状態を決定する処理である。
【0042】
インク色別処理について、図3および図5を参照して説明する。以降では、一例としてシアンについてのインク色別処理を説明する。
【0043】
図5は、色変換処理後の印刷対象画像の一例を示す説明図である。中間画像40は、シアン中間画像MD1に基づいて表される画像である。なお、図5における中間画像MD1は、図4において説明した中間画像MD1とは別の画像である。以下では、中間画像40に基づき印刷処理が行われるものとして説明する。図5に示す中間画像40は、線画Aを含んでいる。線画Aは、横4×縦11個のシアン色の中間画素によって構成されている。中間画像40の線画A以外の部分の中間画素はすべて白色画素である。すなわち、中間画像40は、白色とインクドット色の1つであるシアン色とのみにより構成されたモノクロ画像(単色画像)である。なお、図5において、×印は後述する注目画素を示しており、実線矢印は注目画素が移動する軌跡を示している。
【0044】
図6は、出力バッファ32(図1参照)の構成を示す説明図である。出力バッファ32は、中間画像40の各画素に対応した印刷画素におけるドット形成状態が記録可能なように構成されている。図6に示した32Aの部分は、中間画像40の線画Aに対応した部分である。なお、出力バッファ32は、必ずしも中間画像40全体の各中間画素に対応した印刷画素におけるドット形成状態が記録可能な容量を有するように構成されている必要はなく、印刷処理をバンド(中間画像40を複数の帯状領域に分割した分割画像)単位で実行する場合には、出力バッファ32はバンド内の各画素に対応した印刷画素におけるドット形成状態が記録可能な容量を有するように構成されていればよい。
【0045】
図7および図8は、注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図である。図7および図8の上段には、中間画像40上の線画A(図5参照)との関係における注目画素の位置(×マークで示す)を示しており、下段には、出力バッファ32における線画Aに対応した部分32A(図6参照)の状態を示している。図中の記号「S」は「Sドットを形成する」というドット形成状態を示している。同様に、図中の記号「M」は「Mドットを形成する」というドット形成状態を、記号「L」は「Lドットを形成する」というドット形成状態を、それぞれ示している。時間の経過と共に、図7の左端の状態(状態1a)から右端の状態(状態1e)、さらに図8の左端の状態(状態1f)から右端の状態(状態1j)へと推移するものとする。図7に示した状態1aは、中間画像40における左上の画素が最初の注目画素として設定されたときの状態を示している。なお、実施例では、線画Aを構成する画素は全て最大濃度の画素である。
【0046】
インク色別処理が開始されると、CPU110は、注目画素が最大濃度の画素であるか否かを判定する(ステップS202)。本実施例に用いられる中間画像40は、線画A以外の部分はすべて白色であるため、CPU110は、図7の状態1aにおいては、注目画素は最大濃度ではないと判定する。CPU110は、注目画素のシアンの濃度が最大濃度ではないと判定した場合には(ステップS202:NO)、該画素についてハーフトーン処理部26によりハーフトーン処理を行い、次いでマゼンタ、イエロー、ブラックの各インク色別処理を終了して図2のステップS114に進む(ステップS204)。ハーフトーン処理の結果、図7の状態1aにおいては、注目画素に対応した印刷画素のドット形成状態は「ドットを形成しない」という状態に決定される。
【0047】
ステップS204の実行後、ステップS114(図2)において、CPU110は、注目画素が中間画像40の右端の画素であるか否かを判定する。例えば、各画素の位置が座標で表されている場合、画像のサイズと座標とに基づいて、画素が右端部に位置しているかを判定すればよい。CPU110は、注目画素が中間画像40の右端の画素ではないと判定した場合には(ステップS114:NO)、1画素分右の画素を注目画素に設定する(ステップS116)。その後、処理はステップS106に戻る。
【0048】
図7の状態1aにおいて、注目画素に対応した印刷画素のドット形成状態が決定されると、1画素分右の画素を注目画素に設定する。この後、ステップS202において、再度、注目画素は最大濃度画素ではないと判定される。そのため、この状態においても、ステップS204によりハーフトーン処理部26によるハーフトーン処理が実行され、注目画素に対応した印刷画素のドット形成状態は「ドットを形成しない」という状態に決定される。すなわち、第1実施例では、最大濃度画素以外の画素は、全てハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定される。このような処理が繰り返され、図7の状態1aから注目画素が中間画像40の右端まで移動すると、ステップS114において注目画素は右端であると判定される。このときには、CPU110が、注目画素は画像の下端の画素であるか否かを判定する(ステップS118)。注目画素は画像の下端の画素ではないと判定された場合には(ステップS118:NO)、CPU110が、注目画素を1ライン下の画像左端に移動する(ステップS120)。その後、処理はステップS106に戻る。
【0049】
上述の処理が繰り返され、注目画素が図7の状態1bに示す位置まで移動すると、CPU110は、ステップS202において、再度、注目画素は最大濃度画素であるかの判定を行う。状態1bにおける注目画素は最大濃度画素であるので、CPU110は、ステップS206ないしS214の処理を実行して、非最小濃度画素の集合領域に含まれる注目画素に対応した印刷画素のドット形成状態を決定する。なお、第1実施例では、注目画素の濃度が最大濃度でない場合には、注目画素の位置にかかわらずハーフトーン処理によりドットの形成状態が決定される。例えば、状態1bにおいて、注目画素が白画素とのエッジ部分に位置しているが、注目画素が最大濃度画素でない場合には、この注目画素は、ハーフトーン処理によりドットの形成状態が決定される。以下の各状態においても同様に、最大濃度画素でない画素は、位置に関わらずハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定される。
【0050】
ステップS206ないしS214の処理は、ドット割り当て部27(図1参照)による処理を含むものであることから、ドット割り当て部27による処理について次に詳述する。ドット割り当て部27による処理は、本実施例では、線画の縦方向(上下方向)のサイズと横方向(左右方向)のサイズを求め、いずれのサイズが狭いかを判定し、その狭い方向(以下、「狭小方向」と呼ぶ)での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。ここで「ドットパターン」とは、印刷画素毎に対応するドットサイズの並びである。
【0051】
図9は、ドット割り当て部27によって作成されるドットパターンを例示する説明図である。ドットパターンは、線画の狭小方向の画素数、すなわち線幅によって異なったものとなっている。図9(a)は線幅が1画素であるときのドットパターンであり、図9(b)は線幅が2画素であるときのドットパターンであり、図9(c)は線幅が3画素であるときのドットパターンであり、図9(d)は線幅が4画素であるときのドットパターンである。図9(a)に示すように、線幅が1画素であるときのドットパターンは「M」である。図9(b)に示すように、線幅が2画素であるときのドットパターンは「MM」である。図9(c)に示すように、線幅が3画素であるときのドットパターンは「MLM」である。図9(d)に示すように、線幅が4画素であるときのドットパターンは「SLLS」である。
【0052】
図10は、上記4種類のドットパターンを生成するために用いられるテーブルデータTDを示す説明図である。図示するように、テーブルデータTDは、縦方向(u方向)が0〜3、横方向(v方向)が0〜3によって構成される4×4のマトリックスである。テーブルデータTDに記録される「1」は「Sドット」を、「2」は「M」ドットを、「3」は「L」を示している。なお、「0」はドットが生成されないことを示している。
【0053】
ドット割り当て部27は、テーブルデータTDから引数u,vに応じた記録位置のデータを読み出すことで、図9の(a)〜(d)に示したドットパターンを得る。この結果、(u,v)=(0,0)の時、図9の(a)に示した「M」のドットパターンを得ることができる。(u,v)=(1,0),(1,1)の時、図9の(b)に示した「MM」のドットパターンを得ることができる。(u,v)=(2,0),(2,1),(2,2)の時、図9の(c)に示した「MLM」のドットパターンを得ることができる。(u,v)=(3,0),(3,1),(3,2),(3,3)の時、図9の(d)に示した「SLLS」のドットパターンを得ることができる。なお、各ドットパターンは、エッジからの距離が大きくなるほど大きなサイズとなるように定められている。
【0054】
図3に戻って、ステップS206ないしS214の処理を以下詳述する。注目画素が最大濃度であり、処理がステップS206に移行すると、CPU110は、まず、中間画像において、注目画素の上下左右それぞれの方向のシアン色の最小濃度(0%)ではない画素の連続数(以降、実施例では、非最小濃度画素連続数と呼ぶ)U,D,L,Rを算出する(ステップS206)。"U"は注目画素の上方向におけるシアン色画素の連続数であり、"D"は注目画素の下方向におけるシアン色画素の連続数であり、"L"は注目画素の左方向におけるシアン色画素の連続数であり、"R"は注目画素の右方向におけるシアン色画素の連続数である。
【0055】
なお、本実施例では、ドット割り当て部27によるドットの割り付けの線幅は4画素までであることから、線幅が5以上であれば正確な線幅を知る必要はない。このために、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rの各値は最大値4までカウントした時点で計算を打ち切る構成とした。すなわち、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rの各値は実際の線幅が4を上回る場合、値4となる。
【0056】
次いで、CPU110は、U+D+1の値とL+R+1の値とを比較し、両者の大小関係(等しいを含む)を判定する(ステップS208)。U+D+1の値は注目画素を含む線画の縦方向の画素数を示し、L+R+1の値は注目画素を含む線画の横方向の画素数を示すことから、ステップS208の処理によれば、注目画素を含む線画が、縦方向の画素数よりも横方向の画素数が少ない縦線、横方向の画素数よりも縦方向の画素数が少ない横線、縦方向と横方向の画素数が等しい等幅線のいずれに該当するかが判定される。
【0057】
CPU110は、ステップS208で「>」、すなわち、注目画素を含む線画が縦線であると判定されたときには、縦線に対応したドット形成処理、すなわち縦線対応処理を実行する(ステップS210)。また、ステップS208で「<」、すなわち、注目画素を含む線画が横線であると判定されたときには、横線に対応したドット形成処理、すなわち横線対応処理を実行する(ステップS212)。ステップS208で「=」、すなわち、注目画素を含む線画が等幅線であると判定されたときには、等幅線に対応したドット形成処理、すなわち等幅線対応処理を実行する(ステップS214)。
【0058】
注目画素が図7の状態1bに示す位置の場合には、U=0,D=4、L=0,R=3であることから、ステップS210に処理が移行し、縦線対応処理が実行されることになる。
【0059】
A2−2.縦線対応処理の構成:
図11は、ステップS210で実行される縦線対応処理を示すフローチャートである。CPU110は、まず、ステップS302で、L+R+1の値、すなわち線画の横方向の画素数が値4以下であるか否かを判定する。ステップS302で、L+R+1≦4と判定されると、CPU110は、ドット割り当て部27により、テーブルデータTD(図10)から(u,v)=(L+R,L)に対応する記録位置のデータを読み出して、そのデータに応じたサイズのドットを割り当てる処理を行う(ステップS304)。すなわち、線画の狭小方向(横方向)の画素数を引数uとし、その狭小方向における画素位置(一方側のエッジからの距離)を引数vとし、テーブルデータTDから引数u,vに応じた記録位置のデータを読み出して、そのデータに応じたサイズのドットを割り当てる処理を行う。注目画素が図7の状態1bに示す位置の場合には、L+R=3,L=0であることから、テーブルデータTDから(u,v)=(3,0)に格納されている値1が読み出されてSサイズのドットが割り当てられる。
【0060】
次に、注目画素が図7の状態1bから右に1画素移動して、図7の状態1cにあるとすると、この注目画素に対しても最大濃度画素であるかの判定が行われる。最大濃度画素であると判定されると、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rを算出する処理がステップS206(図3)により実行される。U=0,L=1,R=2,D=4と求まることから、U+D+1>L+R+1となるため、この注目画素にも縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=4であることから、ステップS304に処理が移行し、L+R=3,L=1であることから、テーブルデータTDから(u,v)=(3,1)に格納されている値3が読み出されてLサイズのドットが割り当てられる。
【0061】
続いて、注目画素が図7の状態1cから右に1画素移動して、図7の状態1dに移動すると、この注目画素に対しても最大濃度画素であるかの判定が行われる。最大濃度画素であると判定されると、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rを算出する処理がステップS206(図3)により実行される。U=0,L=2,R=1,D=4と求まることから、U+D+1>L+R+1となるため、この注目画素にも縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=4であることから、ステップS304に処理が移行し、L+R=3,L=2であることから、テーブルデータTDから値3が読み出されてLサイズのドットが割り当てられる。
【0062】
同様に、注目画素が右に移動し、図7の状態1eにおいても、同様に最大濃度画素であるかの判定が行われる。最大濃度画素であると判定されると、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rを算出する処理がステップS206(図3)により実行され、縦線対応処理が行われる。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=4であることから、ステップS304に処理が移行し、L+R=3,L=3であることから、テーブルデータTDから値1が読み出されてSサイズのドットが割り当てられる。
【0063】
注目画素が1ライン下に移動した状態を図8の状態1fに示した。この注目画素に対しても同様に最大濃度画素であるかの判定が行われる。最大濃度画素であると判定されると、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rを算出する処理がステップS206(図3)により実行される。U=1,L=0,R=3,D=4と求まることから、U+D+1>L+R+1となるため、この注目画素にも縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=4であることから、ステップS304に処理が移行し、L+R+1=4,L=0であることから、テーブルデータTDから値1が読み出されてSサイズのドットが割り当てられる。
【0064】
同様に、状態1g、状態1h、状態1i(図7)のときの注目画素に対しては、L=1,L=2,L=3となるため、それぞれLサイズ、Lサイズ、Sサイズのドットが割り当てられる。さらに、同様の処理を残りの画素にも適用することで、状態1jのときの注目画素に対してもドットの割り当てがなされ、線画Aに含まれる全ての画素に対するドットの形成状態が決まる。なお、注目画素が最大濃度画素でない場合(図3のステップS202:NO)には、画像のエッジ部分に位置する画素であっても、ハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定される(図3のステップS204)ので、エッジ部分であっても、Mサイズのドットが形成される画素も存在する。
【0065】
図11に戻り、ステップS302で線画の横方向の画素数が値4を上回ると判定された場合には、CPU110は、ステップS306ないしS316の処理を行う。すなわち、CPUは、まず、RがLより小さいか否かを判定し(ステップS306)、RがLより小さいと判定されたときに、Rが値2未満か否かを判定する(ステップS308)。CPU110は、RがLより小さく、かつRが値2未満と判定されたときに、注目画素がエッジ画素に該当する場合(R=0のとき)にはSサイズのドットを、注目画素がエッジ近傍画素に該当する場合(R=1のとき)にはMサイズのドットを割り当てる(ステップS310)。一方、ステップS308で、Rが値2以上であると判定されたときには、ステップS204(図3)と同様のハーフトーン処理を行う(ステップS312)。
【0066】
また、CPU110は、ステップS306でRがL以上であると判定されたときには、Lが値2未満か否かを判定し(ステップS314)、Lが値2未満と判定されたときに、注目画素がエッジ画素に該当する場合(L=0のとき)にはSサイズのドットを、注目画素がエッジ近傍画素に該当する場合(L=1のとき)にはMサイズのドットを割り当てる(ステップS316)。一方、ステップS314で、Lが値2以上であると判定されたときには、ステップS312に処理を移行して、ステップS204(図3)と同様のハーフトーン処理を行う。すなわち、ステップS310,S316によれば、狭小方向(線幅方向)での注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。ステップS304,ステップS310,ステップS312またはステップS316の実行後、「リターン」に抜けて、縦線対応処理を一旦終了する。
【0067】
A2−3.横線対応処理の構成:
図12は、ステップS212で実行される横線対応処理を示すフローチャートである。この横線対応処理は、図11を用いて説明した縦線対応処理と同一の原理で作成されたものである。すなわち、縦線対応処理では、狭小方向である左右方向(LR方向)での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしていたところを、この横線対応処理では、狭小方向である上下方向(UD方向)での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。この結果、図示するように、横線対応処理は、図11の縦線対応処理における"L"を"U"に変更し、"R"を"D"に変更した内容となっている。なお、ステップの番号は、縦線対応処理の300番台から400番台となっており、下2桁については縦線対応処理の下2桁の番号と同一である。
【0068】
図13ないし図15は、横線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32Bの状態とを対応付けて示す説明図である。図13ないし図15の上段には、線画Bとの関係における注目画素の位置(×マークで示す)を示しており、下段には、出力バッファ32Bにおける線画Bに対応した部分32Bの状態を示している。線画Bは、横線対応処理が適用されるべく、横4×縦3個のシアン色画素とした。時間の経過と共に、図13の左端の状態(状態2a)から右端の状態(状態2e)、さらに図14の左端の状態(状態2f)から右端の状態(状態2i)、さらに図15の左端の状態(状態2j)から右端の状態(状態2m)へと推移するものとする。
【0069】
ここでは、図12で示した横線対応処理の各ステップの詳細な説明、および図13ないし図15で示した状態2a〜2mの変遷の詳細な説明は省略するが、要は、線画が縦方向の画素数が値4以下の横線である場合に、狭小方向である縦方向での注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。なお、図13〜図15においては、説明を簡略とするため、線画Bを構成する全画素が最大濃度を有しているものとして以下に説明する。引数uをU+Dとし、引数vをUとして図10に示すテーブルデータTDからデータを読み出すことにより、縦方向での注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。この結果、図15の状態2mに示すように、縦方向の画素数が3である横線は、上側の行の各印刷画素にMサイズのドットが、上下方向中央の行の各印刷画素にLサイズのドットが、下側の行の各印刷画素にMサイズのドットが割り当てられることになる。
【0070】
A2−4.等幅線対応処理の構成:
図16は、ステップS214で実行される等幅線対応処理を示すフローチャートである。この等幅線対応処理に処理が移行すると、CPU110は、まず、ステップS206で算出した非最小濃度画素連続数U,D,L,Rの中から最小値を選択することにより、注目画素のエッジからの最短距離MINを求める(ステップS502)。
【0071】
次いで、CPU110は、U+D+1の値、すなわち線画の横幅の画素数が値4以下であるか否かを判定する(ステップS504)。ステップS504で、U+D+1≦4と判定されると、CPU110は、ドット割り当て部27により、テーブルデータTD(図10)から(u,v)=(U+D,MIN)に対応する記録位置のデータを読み出して、そのデータに応じたサイズのドットを割り当てる処理を行う(ステップS506)。すなわち、引数vの値を最短距離MINとしてテーブルデータTDからの読み出しを行う。
【0072】
一方、ステップS504で、U+D+1>4と判定されたときには、最短距離MINが値2未満か否かを判定し(ステップS508)、最短距離MINが値2未満と判定されたときに、注目画素がエッジ画素に該当する場合(MIN=0のとき)にはSサイズのドットを、注目画素がエッジ近傍画素に該当する場合(MIN=1のとき)にはMサイズのドットを割り当てる(ステップS510)。一方、ステップS508で、MINが値2以上であると判定されたときには、ステップS204(図3)と同様のハーフトーン処理を行う(ステップS512)。ステップS506,ステップS510またはステップS512の実行後、「リターン」に抜けて、等幅線対応処理を一旦終了する。
【0073】
図17ないし図19は、等幅線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図である。図17ないし図19の上段には、線画Cとの関係における注目画素の位置(×マークで示す)を示しており、下段には、出力バッファ32における線画Cに対応した部分32の状態を示している。線画Cは、等幅線対応処理が適用可能となるよう、横6×縦14個のシアン色画素とした。時間の経過と共に、図17の左端の状態(状態3a)から右端の状態(状態3e)、さらに図18の左端の状態(状態3f)から右端の状態(状態3j)、さらに図19の左端の状態(状態3k)から右端の状態(状態3n)へと推移するものとする。なお、図17〜図19においては、説明を簡略とするため、全画素が最大濃度を有しているものとして以下に説明する。
【0074】
注目画素が移動して図17の状態3bに示す位置となった場合には、上側と左側にはシアン色画素が無いためU=0,L=0となり、右側には5画素、下側には13画素のシアン色画素が存在するが、最大値は4であるためR,Dの演算は途中で打ち切られ、R=4,D=4となる。図3のステップS208によりU+D+1の値とL+R+1の値とは等しいと判定されるから、ステップS214の等幅線対応処理に移行する。実際には線幅が等しいわけではないが、縦横ともに幅が十分広い場合は、両端の2画素を、エッジからの距離に応じたドットサイズで出力すれば、がたつきを抑えた出力ができる。等幅線対応処理のステップS510により上記端部の処理がなされることから、処理を等幅線対応処理に移行しても問題ない。
【0075】
図16の等幅線対応処理によれば、ステップS504でU+D+1=5>4と判定され、ステップS508で最短距離MIN=0<2と判定され、ステップS510に移行する。ステップS510では、MIN=0であるからSサイズが記録される(図17状態3b)。
【0076】
次に、注目画素が図17の状態3bから右に1画素移動して図17の状態3cにある場合には、U=0,L=1,R=4,D=4となる。U+D+1の値とL+R+1の値は等しくなく、U+D+1<L+R+1となるため、この画素には横線対応処理が適用される。実際は、横幅の方が狭い縦線であるが、縦横ともに幅が十分広く、端部のみの処理が行われるため、このような横線であるとの判定がされても問題はない。図12の横線対応処理において、まず、ステップS402でU+D+1=5>4と判定され、ステップS406でD=4>U=0と判定され、ステップS414でU=0<2と判定され、ステップS416に移行する。ステップS416では、U=0であるからSサイズが記録される(図17状態3c)。
【0077】
注目画素が右に順に移動し、一番右側の画素を除いた第1行目の残りの画素に、横線対応処理が行われ、U=0となるため、ステップS416でSサイズが記録される。状態3dである一番右側の画素については、U=0,L=4,R=0,D=4 となるため、等幅線対応処理が行われる。図16の等幅線対応処理によれば、ステップS504でU+D+1=5>4と判定され、ステップS508で最短距離MIN=0<2と判定され、ステップS510に移行する。ステップS510では、MIN=0であるからSサイズが記録される(図17の状態3d)。
【0078】
次に、注目画素が1ライン下に移動して図17の状態3eにある場合には、U=1,L=0,R=4,D=4となる。U+D+1=6はL+R+1=5よりも大きいことから、この画素には縦線対応処理が適用される。図11の縦線対応処理において、まず、ステップS302でL+R+1=5>4と判定され、ステップS306でR=4>L=0と判定され、ステップS314でL=0<2と判定され、ステップS316に移行する。ステップS316では、L=0であるからSサイズが記録される(図17状態3e)。
【0079】
次に、注目画素が図17の状態3eから右に1画素移動して図18の状態3fにある場合には、U=1,L=1,R=4,D=4となる。U+D+1の値とL+R+1の値は等しいため、等幅線対応処理が適用される。図16の等幅線対応処理によれば、ステップS504でU+D+1=6>4と判定され、ステップS508で最短距離MIN=1<2と判定され、ステップS510に移行する。ステップS510では、MIN=1であるからMサイズが記録される(図18状態3f)。
【0080】
図18の状態3fから注目画素が右に順に移動し、一番右側の画素を除いた第2行目の残りの画素に、横線対応処理が行われ、MIN=1となるため、ステップS510でMサイズが記録される。その後、状態3gである第2行目の一番右側の画素、状態3hである第3行目の一番左側の画素、状態3iである第3行目の左から2つ目の画素と順に、等幅線対応処理、縦線対応処理または横線対応処理のいずれかが実行され、エッジからの最短距離に対応したサイズのドットが出力バッファ32に記録される。
【0081】
次に、図18の状態3jの位置に注目画素が移動すると、U=2,L=2,R=3,D=4と求まることから、U+D+1>L+R+1となるため、注目画素に縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=6であることからステップS306に処理が移行し、R=3>L=2であることからステップS314に処理が移行し、Lは2で2未満でないことからステップS312に移行する。ステップS312で、注目画素に対してハーフトーン処理が実行され、ハーフトーン処理によって決定されたSサイズのドットが出力バッファ32に記録される(図18状態3j)。
【0082】
図18の状態3jから注目画素が右に1画素移動して図19の状態3kにある場合には、U=2,L=3,R=2,D=4となる。U+D+1>L+R+1となるため、注目画素に縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=6であることからステップS306に処理が移行し、R=2<L=3であることからステップS308に処理が移行し、Rは2で2未満でないことからステップS312に移行する。ステップS312で、注目画素に対してハーフトーン処理が実行され、ハーフトーン処理によって決定されたMサイズのドットが出力バッファ32に記録される(図19状態3k)。
【0083】
その後も、注目画素の移動と注目画素の判定結果に応じた方法によるドット形成状態の決定とが繰り返し実行され、出力バッファ32の状態は図19の状態3l、状態3m、状態3nに示したように遷移する。
【0084】
従って、本実施例の印刷システム1000によれば、エッジの部分を構成する印刷画素には、サイズのバラツキの少ないドットが形成されるようにドットの割り当てが行われるので、大きくサイズの異なるドット(例えば、LサイズとSサイズ)が混在して形成されたり欠けが生じたりすることを抑制できる。したがって、プリンタ200による画像の印刷の際に、エッジのがたつきや欠けが抑制され、印刷画質を向上させることができる。
【0085】
図20に、上述の実施例のように構成されたドット形成状態の決定処理により得られた出力バッファ32の状態を示した。図20(a)は、印刷対象画像の一例である。印刷対象画像は、線画Cを備える。図20(b)は、従来の画像処理によって印刷対象画像を画像処理して得られたドットデータである。ここで言う「従来の画像処理」とはハーフトーン処理だけが施されるものである。図20(c)は、本実施例のドット形成状態の決定処理により得られた出力バッファ32の状態である。
【0086】
図20(b)のドットパターンにおける、最右列の下から5行目、および最右列の最下行の各印刷画素は、ドット無しの形成状態となっている。また、エッジの部分を構成する印刷画素にLサイズ、Mサイズ、Sサイズの異なるサイズのドットが混在して形成されている。これに対して、図20(c)に示すように、プリンタ200による画像の印刷の際に、エッジ部分のうち、従来の画像処理においてLドットが形成される画素、すなわち、最大濃度画素については、エッジ画素に対応する印刷画素にSドットが形成され、エッジ近傍画素に対応した印刷画素にMドットが形成されることとなる。エッジに位置する画素のうち、最大濃度でない画素は通常のハーフトーン処理によって決定されたサイズのドットが形成される。また、エッジからの距離が2より大きい通常処理画素に対応した印刷画素のドット形成状態は、通常のハーフトーン処理によって決定される。
【0087】
また、本実施例の印刷システム1000によれば、色変換後のインク色に対応した各色成分別に生成された中間画像を対象として色成分毎にエッジ領域画素の判定および予め決定されているサイズのドット形成を行うことができる。例えば、図4において、P24=RGB(182,0,129)であり、P24に対応する色変換処理後のQ24はCMYK(30,100,0,0)である。すなわち、P24に対応する印刷媒体上の印刷画素には、シアンとマゼンタとの各ドットが形成されることにより、P24の色が再現される。従来の画像処理では、QC24=30%、QM24=100%であるので、ハーフトーン処理によりP24に対応する印刷画素には、SサイズもしくはMサイズのシアン色のドットと、Lサイズのマゼンタ色のドットが形成されることになる。一方、本実施例の画像処理(インク色別処理)によれば、QC24=30%≠最大濃度100%であるので、QC24については通常処理画素としてハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定され、SサイズもしくはMサイズのシアン色のドットが形成される。一方、QM24=100%=最大濃度100%であるので、QM24については、非最小濃度画素連続数が計数され、縦線対応処理、横線対応処理、等幅線対応処理のいずれかの処理によってドットサイズがSサイズもしくはMサイズと決定される。QY24、QK24はともに0%であるため、通常処理画素としてハーフトーン処理によってドットの形成状態がドットを形成しないと決定される。従って、色変換後の中間画像において、上記に述べたようにエッジ領域画素に含まれる印刷画素がマゼンタ100%、シアン30%といった値を取っている場合、従来の画像処理ではLサイズのマゼンタ色のドットが形成されるため、マゼンタインクがにじみ画質の低下の虞があるが、実施例によれば、SサイズもしくはMサイズのマゼンタ色のドットが形成されるので、マゼンタ成分のエッジのにじみを抑制でき、エッジの再現精度を向上できる。
【0088】
また、一般的に、RGB表色系で表された画像に対してエッジ判定を行いドットの形成状態を決定する場合、色変換処理に利用されるルックアップテーブル(LUT)の修正に応じてインク使用比率が変わるため、RGB表色系で表された画像のエッジ判定条件も修正する必要が生じ、設計工数が増加するという問題がある。本実施例の印刷システム1000によれば、色変換処理後の、インク濃度で表された中間画像に基づいてエッジ判定を行うため、設計工数の増加を回避できる。
【0089】
また、RGB表色系で表された画像に対してエッジ判定を行いドットの形成状態を決定する処理を、使用されるインク数が異なるプリンタへ実装する場合、プリンタの使用インク数(インクの組み合わせ)に応じて、RGBデータで判定したエッジ情報を後半のモジュールに引き渡すための、データ構造の設計変更を行わなければならないという問題が生じる。本実施例の印刷システム1000によれば、色変換処理後の中間画像に対してエッジ判定を行うので、設計変更の虞を回避できる。
【0090】
また、一般的に、印刷ヘッドが移動する主走査方向および印刷媒体の搬送される副走査方向に沿ったエッジは、人間の視覚にはにじみやがたつきが目立つことが知られている。実施例の印刷システム1000によれば、主走査方向および副走査方向に沿ったエッジを構成する画素がエッジ画素として検出され、比較的大きいドット(Lドット)以外のドットが割り当てられる。よって、エッジ部分において目立つドットのにじみを抑制できる。
【0091】
また、実施例の印刷システム1000によれば、エッジ近傍画素に対して、複数サイズのドットの内の、エッジ画素からの距離に応じて定まるサイズのドットが割り当てられる。従って、エッジ近傍の画素についてもほぼ均一なサイズのドットで揃えて形成できる。よって、エッジ画素とエッジ近傍画素とからなるエッジ領域のがたつきや欠けを抑制でき、印刷画質を向上できる。
【0092】
さらに、上記ドット形成状態の決定処理によれば、印刷対象画像の線幅が値4以下である例えば線画A,線画Bの部分に対応した印刷画素のドット形成状態は、図8、図15に示したように決定される。すなわち、線画の狭小方向、すなわち線幅方向での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。このために、線幅が所定値以下の細線部分に対して特有のドットサイズの割り当てが可能となる。したがって、小さいサイズのドットが割り当てられて細線部分が細く(薄く)なりすぎることを防止することができる。この結果、印刷画質をより向上させることができる。
【0093】
特に本実施例では、線画における線幅の方向、すなわち縦横の内の狭小方向を優先してドットサイズのパターンを定めていることから、長い方向に同じドットサイズが比較的連続して出力されることになる。この結果、エッジをより滑らかに印刷することができる。
【0094】
また、本実施例では、エッジ領域画素に該当しない通常画素に対してはハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定されるため、通常画素については印刷媒体の単位面積当たりの総インク量に制限を設けることができ、色のにじみの発生を抑制して印刷画質を向上させることができる。
【0095】
さらに、上記ドット形成状態の決定処理によれば、各画素に割り当てるドットのサイズを近傍の画素の処理結果に依存しないで定めていることから、本実施例では、CPUをデュアルコアのプロセッサとすることで並列処理を容易に行うことができる。この結果、処理速度を大幅に向上することができる。
【0096】
B.変形例:
(1)上記実施例では、複数色により構成された画像を対象に、エッジにおける印刷画質を向上させるためのドット形成状態の決定処理を説明したが、本発明は、白色と画像の印刷に用いられるドットの色の1つ(例えばシアンやマゼンタ、イエロー)とのみにより構成された画像を対象に、当該ドットの色のエッジにおける印刷画質を向上させるためのドット形成状態の決定処理にも適用可能である。さらには、中間色を含むカラー画像において、各色の画像を画像処理する際にも各色の画像毎に本発明を適用する構成としてもよい。
【0097】
(2)上記実施例では、注目画素が最大濃度であるか否かに基づいて所定のサイズのドットの割り当てを行っているが、例えば、注目画素が所定の濃度以上であるか否かに基づいてドットの割り当てを行っても良い。例えば、注目画素の濃度が、通常のハーフトーン処理ではLサイズのドットが形成される濃度を、所定サイズのドット割り当てを行うか否かの判断閾値(ステップS202)としてもよい。また、注目画素が非最小濃度であるか否かに基づいて所定サイズのドットの割り当てを行っても良い。こうすれば、画像のエッジに位置する画素を全てエッジ画素と判定できるので、ドットの形成状態のばらつきを更に抑制できる。
【0098】
(3)上記実施例では、ハーフトーン処理部26は、ディザマトリクスによる閾値処理によってハーフトーン処理を行う構成であったが、これに換えて、濃度パターン法、誤差拡散法(ED法)等の他の手法によりハーフトーン処理を行う構成としてもよい。さらに、これらの周知のハーフトーン処理の手法に他の特異処理を加えることによりドットの形成状態を決定する構成をハーフトーン処理部としてもよい。
【0099】
(4)上記実施例では、ドット割り当て部27により構成される線幅毎の各ドットパターンは、エッジからの距離が大きくなるほど大きなサイズとなるように定められていたが、必ずしもこの構成に限る必要はなく、線幅に基づいて定まるドットパターンであればいずれの態様であってもよい。また、割り当ての方向も、線画の縦横のうちの狭小方向での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するように構成していたが、狭小でない方向での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するように構成してもよい。
【0100】
(5)さらに、ドット割り当て部27により割り当てられるドットサイズも前記実施例に限る必要はなく、エッジからの距離が値1であっても値2であってもSドットを割り当てる構成等、他のサイズのドットを割り当てる構成としてもよい。エッジ領域画素に対応する印刷画素には、印刷に用いられる複数サイズのドットの内の最大サイズのドット(Lドット)以外のドットが割り当てられるのが好ましい。これによれば、エッジ部分におけるにじみや太りがより良好に抑制され、印刷画質がさらに向上する。
【0101】
(6)上記実施例では、CPUをデュアルコアプロセッサとしたが、これに換えて、コアの数を3個、4個、…と他の数のコアを備えるマルチコアプロセッサとしてもよい。
【0102】
(7)上記実施例では、エッジ領域判定部23は、注目画素の上、下、左、右の方向に隣接する4つの隣接画素のうちの少なくとも一つが白色であるか否かを判定することで、エッジ画素であるか否かを判定しているが、これに換えて、注目画素の上、下、左、右、左上、左下、右上、右下の方向に隣接する8つの隣接画素のうちの少なくとも一つが白色であるか否かを判定する構成としてもよい。また、エッジ近傍画素についても、注目画素の上、下、左、右の方向に換えて、注目画素の上、下、左、右、左上、左下、右上、右下の8方向におけるエッジからの距離が値2となる8つの画素のうちの少なくとも一つが白色であるか否かを判定する構成としてもよい。
【0103】
(8)上記実施例では、中間画像40の全体において同一の方法でドット形成状態の決定処理を行っているが、中間画像40における文字や線画(記号、図形、グラフ等)を含むテキスト領域のみを対象として上記実施例の方法でドット形成状態の決定を行うとしてもよい。この場合には、例えば、画像のRGB値に基づいてテキスト領域を検出してもよいし、画素の輝度値に基づいてテキスト領域を検出してもよい。
【0104】
(9)上記実施例では、画像はRGBデータであるとしているが、画像は必ずしもRGBデータである必要はない。また、上記実施例では、プリンタ200はCMYKの4色のインクを用いて3種類のサイズのドットを形成することにより印刷を行うとしているが、プリンタ200はCMYK以外の他の色のインクを用いて印刷を行うとしてもよいし、2種類(あるいは4種類以上)のサイズのドットを形成することにより印刷を行うとしてもよい。この場合であっても、原画像を表す画像から、印刷装置が処理可能な表色系に色変換処理された各色成分の中間画像に対してエッジ判定、ドットの割り当てを行うこととすれば、実施例と同様の効果を得られる。
【0105】
(10)上記実施例では、画像処理装置がパーソナルコンピュータ100として構成されているが、本発明は、パーソナルコンピュータ100以外のドット形成状態を決定する画像処理を行う画像処理装置にも適用可能である。例えば、画像処理装置をプリンタとして構成することも可能である。
【0106】
(11)また、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0107】
(12)上記実施例では、印刷媒体にインクを噴射するためのヘッドが主走査方向に移動するプリンタを例に説明したが、ヘッドを主走査方向に複数個並べて配置し、ヘッドは移動しないラインヘッドプリンタにも適用可能である。
【0108】
(13)上記実施例では、注目画素の設定(図2のステップS104)を、色変換処理(ステップS102)後の中間画像に対して行っているが、例えば、解像度変換処理後の画像に対して行っても良い。また、解像度変換後の画像に対して、バンド単位で行ってもよい。更には、解像度変換後の画像全体に対して色変換処理を施しているが、例えば、エッジ判定するために必要十分な中間画素が生成されるように色変換処理を施しても良い。
【0109】
(14)上記実施例では、インク色別処理は、C,M,Y,Kの順に行っているが、この順番は任意に設定可能である。例えば、ヘッドユニット250の仕様に応じて変更してもよい。
【0110】
(15)上記実施例において、ドットサイズの変更は、例えば、1回あたりのインクの滴量の変更や、1ドットの形成に要する噴射回数の変更により実現してもよい。
【0111】
(16)上記実施例において、キャリッジユニット260のキャリッジ上にインクカートリッジを保持しないオフキャリッジを適用してもよい。
【0112】
(17)上記実施例では、デュアルコアCPU110を用いているが、CPUは1つでもよい。
【0113】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施例における印刷システムの構成を概略的に示す説明図。
【図2】第1実施例におけるドット形成状態の決定処理の流れを示すフローチャート。
【図3】第1実施例におけるインク色別処理の流れを示すフローチャート。
【図4】第1実施例における色変換処理について模式的に示す説明図。
【図5】色変換処理後の印刷対象画像の一例を示す説明図。
【図6】出力バッファ32(図1参照)の構成を示す説明図である。
【図7】注目画素の位置と出力バッファ32Aの状態とを対応付けて示す説明図。
【図8】注目画素の位置と出力バッファ32Aの状態とを対応付けて示す説明図。
【図9】ドット割り当て部27によって作成されるドットパターンを例示する説明図である。
【図10】4種類のドットパターンを生成するために用いられるテーブルデータTDを示す説明図である。
【図11】ステップS210で実行される縦線対応処理を示すフローチャートである。
【図12】ステップS212で実行される横線対応処理を示すフローチャートである。
【図13】横線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32Bの状態とを対応付けて示す説明図。
【図14】横線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32Bの状態とを対応付けて示す説明図。
【図15】横線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32Bの状態とを対応付けて示す説明図。
【図16】ステップS214で実行される等幅線対応処理を示すフローチャート。
【図17】等幅線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図。
【図18】等幅線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図。
【図19】等幅線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図。
【図20】第1実施例の効果について説明する説明図。
【符号の説明】
【0115】
10…アプリケーションプログラム
20…プリンタドライバ
21…解像度変換処理部
22…色変換処理部
23…エッジ領域判定部
26…ハーフトーン処理部
27…ドット割り当て部
28…印刷データ生成部
32…出力バッファ
40…印刷対象画像
100…パーソナルコンピュータ
110…CPU
120…メモリ
130…入出力インタフェース部
200…プリンタ
210…CPU
220…メモリ
230…入出力インタフェース部
240…ユニット制御回路
250…ヘッドユニット
260…キャリッジユニット
270…搬送ユニット
1000…印刷システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画素から構成される画像を複数サイズのドットを利用して印刷する際のドットの形成状態を決定する画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
紙や布、フィルムなどの各種印刷媒体にドットを形成して画像を印刷する印刷装置として、インクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタは、例えばシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインクを印刷媒体に向けて噴射して印刷媒体上にインクドットを形成することにより、印刷媒体上に画像を印刷する。インクジェットプリンタには、例えば大ドット(Lドット)、中ドット(Mドット)、小ドット(Sドット)のように、複数サイズのドットを形成可能なものがある。
【0003】
インクジェットプリンタによる画像の印刷の際には、一般に、画像を表す画像データに基づき、各印刷画素におけるドットの形成状態を決定する処理(ハーフトーン処理と呼ばれる)が行われる(例えば特許文献1)。ここで、各印刷画素におけるドットの形成状態を決定するとは、各印刷画素にどの色のどのサイズのドットを形成するか、あるいはドットを形成しないか、を決定することである。
【0004】
【特許文献1】特開2007−118238号公報
【0005】
ハーフトーン処理の際には、色のにじみの発生を抑制する等のために、印刷媒体の単位面積当たりの総インク量に制限が設けられる場合がある。このような場合には、例えば画像中の文字や線画におけるエッジの部分を構成する印刷画素に、異なるサイズのドットが混在して形成されたり、当該印刷画素の一部にドットが形成されなかったりする可能性があり、エッジのがたつきや欠けによって印刷画質が低下するおそれがあった。
【0006】
なお、このような問題は、インクジェットプリンタによる画像の印刷に限らず、ドットを利用して画像を印刷する際の各印刷画素におけるドットの形成状態を決定する際に共通の問題であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、印刷画質を向上させるように各印刷画素におけるドットの形成状態を決定することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換する色変換手段と、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出する検出手段と、前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てるドット割り当て手段と、を備える印刷制御装置。
【0010】
適用例1の印刷制御装置によれば、印刷装置が印刷可能な第2の表色系で表された中間画像を対象としてエッジ画素の検出が行われ、エッジ画素に対応する印刷媒体上の位置に所定サイズのドットが形成されるようにドット割り当てが行われる。従って、エッジをほぼ均一なサイズのドットで揃えて形成できる。よって、エッジのがたつきや欠けを抑制でき、印刷画質を向上できる。
【0011】
[適用例2]
適用例1の印刷制御装置であって、前記第2の表色系は、前記印刷装置による印刷に用いられる複数の色成分で構成されており、前記色変換手段は、前記色成分毎に前記中間画像を生成し、前記検出手段は、前記色成分毎に前記エッジ画素を検出し、前記ドット割り当て手段は、前記色成分毎に、前記エッジ画素に前記所定サイズのドットを割り当てる。適用例2の印刷制御装置によれば、色成分毎にエッジ画素の検出と所定サイズのドット割り当てが行われる。従って、複数色のドットが混ざり合う画素についても、インクのにじみを抑制できる。
【0012】
[適用例3]
適用例2の印刷制御装置であって、前記検出手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、各色成分に対して予め規定されている所定濃度を有する画素を、前記エッジ画素として検出する。一般的に、最大濃度を有する画素は、複数のサイズのうち比較的大きなサイズのドットが割り当てられるので、にじみが生じやすい。従って、適用例3の印刷制御装置によれば、所定濃度を有する画素について、前記ドットの割り当てを行うことができる。よって、全ての画素に対してエッジ画素であるかの判断を行う必要がないため、低い処理負荷で効率的に印刷画質の向上を図ることができる。
【0013】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3いずれかの印刷制御装置であって、前記印刷装置は、印刷材を噴射する印刷ヘッド、および、印刷媒体の少なくとも一方を所定の方向に移動させて、印刷媒体上に前記画像を形成し、前記検出手段は、前記中間画像を構成する画素のうち、前記所定の方向および前記所定の方向に交差する方向に沿ったエッジを構成する前記エッジ画素を検出する。一般的に、印刷ヘッドが移動する方向および印刷媒体の搬送される方向に沿ったエッジは人間の目にはにじみやがたつきが目立つことが知られている。適用例4の印刷制御装置によれば印刷ヘッドが移動する方向および印刷媒体の搬送される方向に沿ったエッジを構成する画素がエッジ画素として検出される。よって、エッジ部分において目立つドットのにじみを抑制できる。
【0014】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4いずれかの印刷制御装置であって、前記検出手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、前記色成分の最大濃度を有する画素であって前記エッジ画素から所定の距離に位置する画素であるエッジ近傍画素を検出し、前記ドット割り当て手段は、前記エッジ近傍画素に対して、前記複数のサイズのドットの内の、前記エッジ画素からの距離に応じて定められたサイズのドットを割り当てる。適用例5の印刷制御装置によれば、エッジ近傍画素に対して、複数サイズのドットの内の、エッジ画素からの距離に応じて定まるサイズのドットが形成されるようにドット割り当てが行われる。従って、エッジ近傍の画素についてもほぼ均一なサイズのドットで揃えて形成できる。よって、エッジ画素とエッジ近傍画素とからなるエッジ領域のがたつきや欠けを抑制でき、印刷画質を向上できる。
【0015】
[適用例6]
適用例5の印刷制御装置において、前記ドット割り当て手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、前記エッジ画素および前記エッジ近傍画素以外の画素に対して、ハーフトーン処理によりドットを割り当てる。適用例6の印刷制御装置によれば、エッジ画素およびエッジ近傍画素に該当しない通常画素に対してはハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定される。よって、通常画素については印刷媒体の単位面積当たりの総インク量に制限を設けることができ、色のにじみの発生を抑制して印刷画質を向上させることができる。
【0016】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。例えば、上記印刷制御装置が組み込まれた印刷装置、印刷制御方法、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
A.実施例
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例における印刷システムの構成を概略的に示す説明図である。本実施例における印刷システム1000は、画像処理装置としてのパーソナルコンピュータ100と、パーソナルコンピュータ100に有線または無線によって接続されたプリンタ200と、を備えている。
【0018】
パーソナルコンピュータ100は、プログラムを実行することにより種々の処理や制御を行うデュアルコアCPU110と、プログラムやデータ・情報を格納するメモリ120と、外部に接続される周辺機器との間でデータや情報のやりとりを行う入出力インタフェース(I/F)部130と、を備えている。メモリ120は、出力バッファ32を有している。パーソナルコンピュータ100は、さらに、キーボードやポインティングデバイスなどの入力装置、ディスプレイなどの表示装置、CD−ROMドライブ装置などの記録再生装置等を備えていてもよい。
【0019】
パーソナルコンピュータ100には、アプリケーションプログラム10やプリンタドライバ20などのプログラムがインストールされている。アプリケーションプログラム10やプリンタドライバ20は、所定のオペレーティングシステム(図示せず)の下でデュアルコアCPU110により実行される。
【0020】
アプリケーションプログラム10は、例えば画像編集機能を実現するためのプログラムである。ユーザは、アプリケーションプログラム10の提供するユーザインターフェースを介して、アプリケーションプログラム10により編集された画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム10は、ユーザより印刷の指示を受けると、プリンタドライバ20に印刷の対象となる画像を出力する。なお、本実施例では、画像はRGBデータとして出力される。
【0021】
プリンタドライバ20は、アプリケーションプログラム10から出力された画像に基づき中間画像を生成する機能を実現するためのプログラムである。プリンタドライバ20は、CD−ROMなどの各種記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体等)に記憶されて配布されたり、またはインターネットなど各種通信手段を通じて配信されたりする。
【0022】
プリンタドライバ20は、アプリケーションプログラム10から画像を受け取り、画像に基づき印刷データを生成し、生成した印刷データをプリンタ200に出力する。ここで、印刷データは、プリンタ200が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータとドットデータとを含む。コマンドデータは、プリンタ200に特定の動作の実行を指示するためのデータである。ドットデータは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素(印刷画素)におけるドットの形成状態を表すデータであり、具体的には、各印刷画素にどの色のどのサイズのドットを形成するか(あるいはドットを形成しないか)を示すデータである。ここで、「ドット」とは、プリンタ200から噴射されたインクが印刷媒体に着弾したインク滴を意味する。なお、本実施例で用いられるプリンタ200は、CMYK表色系で表されたデータに基づいて印刷を行うプリンタである。CMYK表色系とは、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4つの色成分によって画像を表す表色系である。プリンタ200は、C,M,Y,Kの各色のインクを用いて印刷を行う。
【0023】
プリンタドライバ20は、解像度変換処理部21と、色変換処理部22と、エッジ領域判定部23と、ハーフトーン処理部26と、ドット割り当て部27と、印刷データ生成部28と、を含んでいる。色変換処理部22は、特許請求の範囲における「色変換手段」に当たり、エッジ領域判定部23は特許請求の範囲における「検出手段」に当たり、ドット割り当て部27は特許請求の範囲における「ドット割り当て手段」に当たる。
【0024】
解像度変換処理部21は、アプリケーションプログラム10から出力された画像の解像度をプリンタ200の印刷解像度に一致するように変換する解像度変換処理を行う。
【0025】
色変換処理部22は、RGB表色系で表された印刷対象の画像を、印刷装置が印刷可能なCMYK表色系で表されたデータである中間画像に変換する色変換処理を行う。具体的には、色変換処理部22は、画像を構成する全画素のそれぞれについて、RGB値で表された画素値をCMYK値に変換する。なお、第1実施例において、「RGB表色系で表された画像を、CMYK表色系で表された中間画像に変換する」とは、RGB値で表された画像の各画素値をCMYK値に変換し、変換後のCMYK値が、色成分毎に分割されて保存された中間画像を生成することを意味する。CMYK値は、C,M,Y,Kの各色の濃度をパーセンテージで表した値である。第1実施例では、色変換処理部22は、4つの色成分の各々について中間画像が生成される。
【0026】
エッジ領域判定部23は、CMYK表色系の各色成分で表された各中間画像を構成する各画素(以降、第1実施例では中間画素と呼ぶ)について、エッジ領域画素であるか否かを判定する。「エッジ」とは、画像内に生じる明るい部分と暗い部分の境界、すなわち、CMYK値のいずれかの値が急激に変化する部分の境界のことを表す。例えば、CMYK値のいずれかの値が、0%から100%に変化する境界部分がエッジに当たる。本明細書では、最大濃度が100%、最小濃度が0%である。エッジのよりCMYK値の高い側に隣接し、かつ、最大濃度の中間画素を「エッジ画素」と呼び、最大濃度を有し、エッジからの距離が2である中間画素を「エッジ近傍画素」と呼ぶ。実施例において、1中間画素分の幅を距離が1であると表し、「隣接する」とはエッジからの距離が1であることを意味する。なお、エッジ近傍画素は、1画素幅の領域に換えて、2以上の複数の中間画素分の幅を有する領域とすることもできる。エッジ画素とエッジ近傍画素との論理和を、本明細書では「エッジ領域画素」と呼ぶ。
【0027】
すなわち、エッジ領域判定部23は、中間画素について、エッジ画素もしくはエッジ近傍画素であるか否かを判定する。「エッジ画素」は、当該中間画素の上、下、左、右の方向に隣接する4つの隣接中間画素のうちの少なくとも一つが最小濃度である中間画素である。「エッジ近傍画素」とは、当該中間画素の上、下、左、右の方向において距離が2となる4つの中間画素のうちの少なくとも一つが最小濃度である中間画素である。
【0028】
ハーフトーン処理部26は、エッジ領域画素以外の中間画素に対して、画素値に基づきハーフトーン処理を行い、通常処理画素に対応した印刷画素におけるドットの形成状態を決定し、出力バッファ32に記録する。本実施例では、ハーフトーン処理部26は、印刷媒体の単位面積当たりの総インク量に制限を設けつつ、ディザマトリクスによる閾値処理によってハーフトーン処理を行う。なお、本実施例で用いられるプリンタ200は、小さいサイズの小ドット(以下「Sドット」とも呼ぶ)と中程度のサイズの中ドット(以下「Mドット」とも呼ぶ)と大きいサイズの大ドット(以下「Lドット」とも呼ぶ)との3種類のサイズのドットを形成可能なプリンタである。そのため、印刷画素におけるドットの形成状態としては、各インク色について、ドットを形成しない、Sドットを形成する、Mドットを形成する、Lドットを形成する、の計4つの選択肢が存在することとなる。
【0029】
ドット割り当て部27は、中間画素の内、エッジ画素にSドットを割り当てることにより、エッジ画素におけるドットの形成状態を決定し、出力バッファ32に記録する。また、ドット割り当て部27は、中間画素の内、エッジ近傍画素にMドットを割り当てることにより、エッジ近傍画素におけるドットの形成状態を決定し、出力バッファ32に記録する。換言すれば、ドット割り当て部27は、濃度が最大濃度の中間画素であって画像のエッジからの距離が1であればSドットを割り当て、最大濃度の中間画素であってエッジからの距離が2であればMドットを割り当てることにより、ドットの形成状態の決定を行っている。
【0030】
印刷データ生成部28は、出力バッファ32に記録された各印刷画素におけるドットの形成状態に基づき、印刷される画像を構成する画素におけるドットの形成状態を表すドットデータを含む印刷データを生成すると共に、印刷データをプリンタ200に転送すべき順序に並び替える。
【0031】
本実施例のプリンタ200は、印刷媒体にインクドットを形成して画像を印刷するインクジェットプリンタである。プリンタ200は、プログラムを実行することによりプリンタ200全体の制御や各種処理を行うCPU210と、プログラムやデータ・情報を格納するメモリ220と、外部に接続されるパーソナルコンピュータ100との間でデータや情報のやりとりを行う入出力インタフェース(I/F)部230と、CPU210からの指示に従って各ユニットを制御するユニット制御回路240と、ヘッドユニット250と、キャリッジユニット260と、搬送ユニット270と、を備えている。
【0032】
ヘッドユニット250は、印刷媒体にインクを噴射するためのヘッド(図示せず)を有している。ヘッドは、複数のノズルを有し、各ノズルから断続的にインクを噴射する。このヘッドはキャリッジ(図示せず)に搭載されており、キャリッジが所定の走査方向(主走査方向)に移動すると、ヘッドも主走査方向に移動する。ヘッドが主走査方向に移動している間にインクを断続的に噴射することにより、主走査方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が印刷媒体上に形成される。主走査方向は特許請求の範囲の「所定の方向」に当たる。
【0033】
キャリッジユニット260は、ヘッドを搭載するキャリッジを主走査方向に往復移動させるための駆動装置である。キャリッジには、ヘッドの他、インクを収容するインクカートリッジも着脱可能に保持されている。
【0034】
搬送ユニット270は、印刷媒体を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の搬送方向に所定の搬送量で印刷媒体を搬送させることによって副走査を行うための駆動装置である。搬送ユニット270は、例えば、給紙ローラ、搬送モータ、搬送ローラ、プラテン、及び排紙ローラ(図示せず)などによって構成される。搬送方向は特許請求の範囲の「所定の方向に交差する方向」に当たる。
【0035】
プリンタ200は、パーソナルコンピュータ100から印刷データを受領すると、印刷処理を実行する。まず、CPU210は、パーソナルコンピュータ100から入出力インタフェース部230を介して印刷データを受領し、受領した印刷データに含まれる各種コマンドに基づいて、印刷すべき紙(印刷媒体)を印刷開始位置に位置決めする。CPU210は、キャリッジユニット260、ヘッドユニット250を制御して、主走査方向に沿って移動するヘッドから、インクを断続的に噴射させ、噴射されたインク滴が紙上に着弾させることにより紙上にドットを形成させる。また、CPU210は、搬送ユニット270を制御し、紙を搬送方向に搬送させて、ヘッドに対し相対的に移動させる。これにより、ヘッドは、先に形成されたドットの位置とは異なる位置にドットを形成することが可能になる。こうして、印刷するためのデータがなくなるまで、ドット形成や搬送などの処理を繰り返し、ドットから構成される画像を紙に印刷する。その後、印刷するためのデータがなくなれば、印刷処理が完了する。
【0036】
A2.ドット形成状態の決定処理:
A2−1.決定処理の全体構成:
図2および図3は、ドット形成状態の決定処理の流れを示すフローチャートである。ドット形成状態の決定処理は、解像度変換処理部21による解像度変換処理後の画像に基づき、各印刷画素におけるドットの形成状態を決定し、出力バッファ32に記録する処理である。このドット形成状態の決定処理は、デュアルコアCPU(以下、単に「CPU」と呼ぶ)110を構成する2個のプロセッサコアで処理を分担しつつ実行される。
【0037】
図2に示すように、処理が開始されると、CPU110は、解像度変換処理部21による解像度変換処理後の画像を読み込む(ステップS100)。次いで、CPU110は、読み込んだ画像に色変換処理を施して中間画像を生成する(ステップS102)。
【0038】
図4は、第1実施例における色変換処理について模式的に示す説明図である。図4では、説明を簡易にするために、RGB表色系で表現された原画像GDを表しており、5行5列の画素(合計25画素)から構成されている。この画像を中間画像に変換する処理について説明する。なお、図4において、画像GDの各画素を、Pijと表し、中間画像MDを構成する各中間画素をQijと表す。ここで、iは行番号を表しており、jは列番号を表す。例えば、画像GDにおいて、ハッチングされている画素(2行4列に位置する画素)は、P24と表される。また、画像GDにおける各画素のR、G、Bの階調値は、RGB(Rの階調値、Gの階調値、Bの階調値)と表される。例えば、P24=RGB(182,0,129)と表される。
【0039】
画像GDに色変換処理が施されると、画像GDの各画素のRGB値は、CMYK値に変換される。CMYK値をCMYK(Cの値、Mの値、Yの値、Kの値)と表すと、画素P24=RGB(182,0,129)は、中間画素Q24=CMYK(30,100,0,0)に色変換される。ここで、CMYKの各値は、各色成分の濃度を表している。例えば、画素P24をCMYK表色系で表す場合、30%の濃度のシアンと、100%の濃度のマゼンタとを混色させることにより表現できる。また、図4において、シアンの値を表す場合にはQCij、マゼンタの値を表す場合にはQMij、イエローの値を表す場合にはQYij、ブラックの値を表す場合にはQBijと表す。
【0040】
色変換処理部22は、C,M,Y,Kの各色成分ごとに、中間画像MD1〜MD4を生成する。図4において、中間画像MD1は、全中間画素について、シアン(C)の値のみを抽出した画像であり、中間画像MD2は、全中間画素について、マゼンタ(M)の値のみを抽出した画像であり、中間画像MD3は、全中間画素について、イエロー(Y)の値のみを抽出した画像であり、中間画像MD4は、全中間画素について、ブラック(K)の値のみを抽出した画像である。第1実施例において、各色成分に対して予め規定された最大濃度は100%、最小濃度は0%である。なお、各色成分の最大濃度、最小濃度は、例えば、最大濃度98%、最小濃度5%といったように任意に設定できる。
【0041】
色変換処理を終了すると、CPU110は、図5に示した中間画像40における左上の中間画素を最初の注目画素として設定する(ステップS104)。次いで、CPU110は、全色成分について、インク色別処理を行う(ステップS106〜S112)。インク色別処理(C)は、シアンについてのドットの形成状態を決定する処理であり、インク色別処理(M)は、マゼンタについてのドットの形成状態を決定する処理であり、インク色別処理(Y)は、イエローについてのドットの形成状態を決定する処理であり、インク色別処理(K)は、ブラックについてのドットの形成状態を決定する処理である。
【0042】
インク色別処理について、図3および図5を参照して説明する。以降では、一例としてシアンについてのインク色別処理を説明する。
【0043】
図5は、色変換処理後の印刷対象画像の一例を示す説明図である。中間画像40は、シアン中間画像MD1に基づいて表される画像である。なお、図5における中間画像MD1は、図4において説明した中間画像MD1とは別の画像である。以下では、中間画像40に基づき印刷処理が行われるものとして説明する。図5に示す中間画像40は、線画Aを含んでいる。線画Aは、横4×縦11個のシアン色の中間画素によって構成されている。中間画像40の線画A以外の部分の中間画素はすべて白色画素である。すなわち、中間画像40は、白色とインクドット色の1つであるシアン色とのみにより構成されたモノクロ画像(単色画像)である。なお、図5において、×印は後述する注目画素を示しており、実線矢印は注目画素が移動する軌跡を示している。
【0044】
図6は、出力バッファ32(図1参照)の構成を示す説明図である。出力バッファ32は、中間画像40の各画素に対応した印刷画素におけるドット形成状態が記録可能なように構成されている。図6に示した32Aの部分は、中間画像40の線画Aに対応した部分である。なお、出力バッファ32は、必ずしも中間画像40全体の各中間画素に対応した印刷画素におけるドット形成状態が記録可能な容量を有するように構成されている必要はなく、印刷処理をバンド(中間画像40を複数の帯状領域に分割した分割画像)単位で実行する場合には、出力バッファ32はバンド内の各画素に対応した印刷画素におけるドット形成状態が記録可能な容量を有するように構成されていればよい。
【0045】
図7および図8は、注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図である。図7および図8の上段には、中間画像40上の線画A(図5参照)との関係における注目画素の位置(×マークで示す)を示しており、下段には、出力バッファ32における線画Aに対応した部分32A(図6参照)の状態を示している。図中の記号「S」は「Sドットを形成する」というドット形成状態を示している。同様に、図中の記号「M」は「Mドットを形成する」というドット形成状態を、記号「L」は「Lドットを形成する」というドット形成状態を、それぞれ示している。時間の経過と共に、図7の左端の状態(状態1a)から右端の状態(状態1e)、さらに図8の左端の状態(状態1f)から右端の状態(状態1j)へと推移するものとする。図7に示した状態1aは、中間画像40における左上の画素が最初の注目画素として設定されたときの状態を示している。なお、実施例では、線画Aを構成する画素は全て最大濃度の画素である。
【0046】
インク色別処理が開始されると、CPU110は、注目画素が最大濃度の画素であるか否かを判定する(ステップS202)。本実施例に用いられる中間画像40は、線画A以外の部分はすべて白色であるため、CPU110は、図7の状態1aにおいては、注目画素は最大濃度ではないと判定する。CPU110は、注目画素のシアンの濃度が最大濃度ではないと判定した場合には(ステップS202:NO)、該画素についてハーフトーン処理部26によりハーフトーン処理を行い、次いでマゼンタ、イエロー、ブラックの各インク色別処理を終了して図2のステップS114に進む(ステップS204)。ハーフトーン処理の結果、図7の状態1aにおいては、注目画素に対応した印刷画素のドット形成状態は「ドットを形成しない」という状態に決定される。
【0047】
ステップS204の実行後、ステップS114(図2)において、CPU110は、注目画素が中間画像40の右端の画素であるか否かを判定する。例えば、各画素の位置が座標で表されている場合、画像のサイズと座標とに基づいて、画素が右端部に位置しているかを判定すればよい。CPU110は、注目画素が中間画像40の右端の画素ではないと判定した場合には(ステップS114:NO)、1画素分右の画素を注目画素に設定する(ステップS116)。その後、処理はステップS106に戻る。
【0048】
図7の状態1aにおいて、注目画素に対応した印刷画素のドット形成状態が決定されると、1画素分右の画素を注目画素に設定する。この後、ステップS202において、再度、注目画素は最大濃度画素ではないと判定される。そのため、この状態においても、ステップS204によりハーフトーン処理部26によるハーフトーン処理が実行され、注目画素に対応した印刷画素のドット形成状態は「ドットを形成しない」という状態に決定される。すなわち、第1実施例では、最大濃度画素以外の画素は、全てハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定される。このような処理が繰り返され、図7の状態1aから注目画素が中間画像40の右端まで移動すると、ステップS114において注目画素は右端であると判定される。このときには、CPU110が、注目画素は画像の下端の画素であるか否かを判定する(ステップS118)。注目画素は画像の下端の画素ではないと判定された場合には(ステップS118:NO)、CPU110が、注目画素を1ライン下の画像左端に移動する(ステップS120)。その後、処理はステップS106に戻る。
【0049】
上述の処理が繰り返され、注目画素が図7の状態1bに示す位置まで移動すると、CPU110は、ステップS202において、再度、注目画素は最大濃度画素であるかの判定を行う。状態1bにおける注目画素は最大濃度画素であるので、CPU110は、ステップS206ないしS214の処理を実行して、非最小濃度画素の集合領域に含まれる注目画素に対応した印刷画素のドット形成状態を決定する。なお、第1実施例では、注目画素の濃度が最大濃度でない場合には、注目画素の位置にかかわらずハーフトーン処理によりドットの形成状態が決定される。例えば、状態1bにおいて、注目画素が白画素とのエッジ部分に位置しているが、注目画素が最大濃度画素でない場合には、この注目画素は、ハーフトーン処理によりドットの形成状態が決定される。以下の各状態においても同様に、最大濃度画素でない画素は、位置に関わらずハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定される。
【0050】
ステップS206ないしS214の処理は、ドット割り当て部27(図1参照)による処理を含むものであることから、ドット割り当て部27による処理について次に詳述する。ドット割り当て部27による処理は、本実施例では、線画の縦方向(上下方向)のサイズと横方向(左右方向)のサイズを求め、いずれのサイズが狭いかを判定し、その狭い方向(以下、「狭小方向」と呼ぶ)での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。ここで「ドットパターン」とは、印刷画素毎に対応するドットサイズの並びである。
【0051】
図9は、ドット割り当て部27によって作成されるドットパターンを例示する説明図である。ドットパターンは、線画の狭小方向の画素数、すなわち線幅によって異なったものとなっている。図9(a)は線幅が1画素であるときのドットパターンであり、図9(b)は線幅が2画素であるときのドットパターンであり、図9(c)は線幅が3画素であるときのドットパターンであり、図9(d)は線幅が4画素であるときのドットパターンである。図9(a)に示すように、線幅が1画素であるときのドットパターンは「M」である。図9(b)に示すように、線幅が2画素であるときのドットパターンは「MM」である。図9(c)に示すように、線幅が3画素であるときのドットパターンは「MLM」である。図9(d)に示すように、線幅が4画素であるときのドットパターンは「SLLS」である。
【0052】
図10は、上記4種類のドットパターンを生成するために用いられるテーブルデータTDを示す説明図である。図示するように、テーブルデータTDは、縦方向(u方向)が0〜3、横方向(v方向)が0〜3によって構成される4×4のマトリックスである。テーブルデータTDに記録される「1」は「Sドット」を、「2」は「M」ドットを、「3」は「L」を示している。なお、「0」はドットが生成されないことを示している。
【0053】
ドット割り当て部27は、テーブルデータTDから引数u,vに応じた記録位置のデータを読み出すことで、図9の(a)〜(d)に示したドットパターンを得る。この結果、(u,v)=(0,0)の時、図9の(a)に示した「M」のドットパターンを得ることができる。(u,v)=(1,0),(1,1)の時、図9の(b)に示した「MM」のドットパターンを得ることができる。(u,v)=(2,0),(2,1),(2,2)の時、図9の(c)に示した「MLM」のドットパターンを得ることができる。(u,v)=(3,0),(3,1),(3,2),(3,3)の時、図9の(d)に示した「SLLS」のドットパターンを得ることができる。なお、各ドットパターンは、エッジからの距離が大きくなるほど大きなサイズとなるように定められている。
【0054】
図3に戻って、ステップS206ないしS214の処理を以下詳述する。注目画素が最大濃度であり、処理がステップS206に移行すると、CPU110は、まず、中間画像において、注目画素の上下左右それぞれの方向のシアン色の最小濃度(0%)ではない画素の連続数(以降、実施例では、非最小濃度画素連続数と呼ぶ)U,D,L,Rを算出する(ステップS206)。"U"は注目画素の上方向におけるシアン色画素の連続数であり、"D"は注目画素の下方向におけるシアン色画素の連続数であり、"L"は注目画素の左方向におけるシアン色画素の連続数であり、"R"は注目画素の右方向におけるシアン色画素の連続数である。
【0055】
なお、本実施例では、ドット割り当て部27によるドットの割り付けの線幅は4画素までであることから、線幅が5以上であれば正確な線幅を知る必要はない。このために、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rの各値は最大値4までカウントした時点で計算を打ち切る構成とした。すなわち、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rの各値は実際の線幅が4を上回る場合、値4となる。
【0056】
次いで、CPU110は、U+D+1の値とL+R+1の値とを比較し、両者の大小関係(等しいを含む)を判定する(ステップS208)。U+D+1の値は注目画素を含む線画の縦方向の画素数を示し、L+R+1の値は注目画素を含む線画の横方向の画素数を示すことから、ステップS208の処理によれば、注目画素を含む線画が、縦方向の画素数よりも横方向の画素数が少ない縦線、横方向の画素数よりも縦方向の画素数が少ない横線、縦方向と横方向の画素数が等しい等幅線のいずれに該当するかが判定される。
【0057】
CPU110は、ステップS208で「>」、すなわち、注目画素を含む線画が縦線であると判定されたときには、縦線に対応したドット形成処理、すなわち縦線対応処理を実行する(ステップS210)。また、ステップS208で「<」、すなわち、注目画素を含む線画が横線であると判定されたときには、横線に対応したドット形成処理、すなわち横線対応処理を実行する(ステップS212)。ステップS208で「=」、すなわち、注目画素を含む線画が等幅線であると判定されたときには、等幅線に対応したドット形成処理、すなわち等幅線対応処理を実行する(ステップS214)。
【0058】
注目画素が図7の状態1bに示す位置の場合には、U=0,D=4、L=0,R=3であることから、ステップS210に処理が移行し、縦線対応処理が実行されることになる。
【0059】
A2−2.縦線対応処理の構成:
図11は、ステップS210で実行される縦線対応処理を示すフローチャートである。CPU110は、まず、ステップS302で、L+R+1の値、すなわち線画の横方向の画素数が値4以下であるか否かを判定する。ステップS302で、L+R+1≦4と判定されると、CPU110は、ドット割り当て部27により、テーブルデータTD(図10)から(u,v)=(L+R,L)に対応する記録位置のデータを読み出して、そのデータに応じたサイズのドットを割り当てる処理を行う(ステップS304)。すなわち、線画の狭小方向(横方向)の画素数を引数uとし、その狭小方向における画素位置(一方側のエッジからの距離)を引数vとし、テーブルデータTDから引数u,vに応じた記録位置のデータを読み出して、そのデータに応じたサイズのドットを割り当てる処理を行う。注目画素が図7の状態1bに示す位置の場合には、L+R=3,L=0であることから、テーブルデータTDから(u,v)=(3,0)に格納されている値1が読み出されてSサイズのドットが割り当てられる。
【0060】
次に、注目画素が図7の状態1bから右に1画素移動して、図7の状態1cにあるとすると、この注目画素に対しても最大濃度画素であるかの判定が行われる。最大濃度画素であると判定されると、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rを算出する処理がステップS206(図3)により実行される。U=0,L=1,R=2,D=4と求まることから、U+D+1>L+R+1となるため、この注目画素にも縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=4であることから、ステップS304に処理が移行し、L+R=3,L=1であることから、テーブルデータTDから(u,v)=(3,1)に格納されている値3が読み出されてLサイズのドットが割り当てられる。
【0061】
続いて、注目画素が図7の状態1cから右に1画素移動して、図7の状態1dに移動すると、この注目画素に対しても最大濃度画素であるかの判定が行われる。最大濃度画素であると判定されると、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rを算出する処理がステップS206(図3)により実行される。U=0,L=2,R=1,D=4と求まることから、U+D+1>L+R+1となるため、この注目画素にも縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=4であることから、ステップS304に処理が移行し、L+R=3,L=2であることから、テーブルデータTDから値3が読み出されてLサイズのドットが割り当てられる。
【0062】
同様に、注目画素が右に移動し、図7の状態1eにおいても、同様に最大濃度画素であるかの判定が行われる。最大濃度画素であると判定されると、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rを算出する処理がステップS206(図3)により実行され、縦線対応処理が行われる。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=4であることから、ステップS304に処理が移行し、L+R=3,L=3であることから、テーブルデータTDから値1が読み出されてSサイズのドットが割り当てられる。
【0063】
注目画素が1ライン下に移動した状態を図8の状態1fに示した。この注目画素に対しても同様に最大濃度画素であるかの判定が行われる。最大濃度画素であると判定されると、非最小濃度画素連続数U,D,L,Rを算出する処理がステップS206(図3)により実行される。U=1,L=0,R=3,D=4と求まることから、U+D+1>L+R+1となるため、この注目画素にも縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=4であることから、ステップS304に処理が移行し、L+R+1=4,L=0であることから、テーブルデータTDから値1が読み出されてSサイズのドットが割り当てられる。
【0064】
同様に、状態1g、状態1h、状態1i(図7)のときの注目画素に対しては、L=1,L=2,L=3となるため、それぞれLサイズ、Lサイズ、Sサイズのドットが割り当てられる。さらに、同様の処理を残りの画素にも適用することで、状態1jのときの注目画素に対してもドットの割り当てがなされ、線画Aに含まれる全ての画素に対するドットの形成状態が決まる。なお、注目画素が最大濃度画素でない場合(図3のステップS202:NO)には、画像のエッジ部分に位置する画素であっても、ハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定される(図3のステップS204)ので、エッジ部分であっても、Mサイズのドットが形成される画素も存在する。
【0065】
図11に戻り、ステップS302で線画の横方向の画素数が値4を上回ると判定された場合には、CPU110は、ステップS306ないしS316の処理を行う。すなわち、CPUは、まず、RがLより小さいか否かを判定し(ステップS306)、RがLより小さいと判定されたときに、Rが値2未満か否かを判定する(ステップS308)。CPU110は、RがLより小さく、かつRが値2未満と判定されたときに、注目画素がエッジ画素に該当する場合(R=0のとき)にはSサイズのドットを、注目画素がエッジ近傍画素に該当する場合(R=1のとき)にはMサイズのドットを割り当てる(ステップS310)。一方、ステップS308で、Rが値2以上であると判定されたときには、ステップS204(図3)と同様のハーフトーン処理を行う(ステップS312)。
【0066】
また、CPU110は、ステップS306でRがL以上であると判定されたときには、Lが値2未満か否かを判定し(ステップS314)、Lが値2未満と判定されたときに、注目画素がエッジ画素に該当する場合(L=0のとき)にはSサイズのドットを、注目画素がエッジ近傍画素に該当する場合(L=1のとき)にはMサイズのドットを割り当てる(ステップS316)。一方、ステップS314で、Lが値2以上であると判定されたときには、ステップS312に処理を移行して、ステップS204(図3)と同様のハーフトーン処理を行う。すなわち、ステップS310,S316によれば、狭小方向(線幅方向)での注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。ステップS304,ステップS310,ステップS312またはステップS316の実行後、「リターン」に抜けて、縦線対応処理を一旦終了する。
【0067】
A2−3.横線対応処理の構成:
図12は、ステップS212で実行される横線対応処理を示すフローチャートである。この横線対応処理は、図11を用いて説明した縦線対応処理と同一の原理で作成されたものである。すなわち、縦線対応処理では、狭小方向である左右方向(LR方向)での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしていたところを、この横線対応処理では、狭小方向である上下方向(UD方向)での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。この結果、図示するように、横線対応処理は、図11の縦線対応処理における"L"を"U"に変更し、"R"を"D"に変更した内容となっている。なお、ステップの番号は、縦線対応処理の300番台から400番台となっており、下2桁については縦線対応処理の下2桁の番号と同一である。
【0068】
図13ないし図15は、横線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32Bの状態とを対応付けて示す説明図である。図13ないし図15の上段には、線画Bとの関係における注目画素の位置(×マークで示す)を示しており、下段には、出力バッファ32Bにおける線画Bに対応した部分32Bの状態を示している。線画Bは、横線対応処理が適用されるべく、横4×縦3個のシアン色画素とした。時間の経過と共に、図13の左端の状態(状態2a)から右端の状態(状態2e)、さらに図14の左端の状態(状態2f)から右端の状態(状態2i)、さらに図15の左端の状態(状態2j)から右端の状態(状態2m)へと推移するものとする。
【0069】
ここでは、図12で示した横線対応処理の各ステップの詳細な説明、および図13ないし図15で示した状態2a〜2mの変遷の詳細な説明は省略するが、要は、線画が縦方向の画素数が値4以下の横線である場合に、狭小方向である縦方向での注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。なお、図13〜図15においては、説明を簡略とするため、線画Bを構成する全画素が最大濃度を有しているものとして以下に説明する。引数uをU+Dとし、引数vをUとして図10に示すテーブルデータTDからデータを読み出すことにより、縦方向での注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。この結果、図15の状態2mに示すように、縦方向の画素数が3である横線は、上側の行の各印刷画素にMサイズのドットが、上下方向中央の行の各印刷画素にLサイズのドットが、下側の行の各印刷画素にMサイズのドットが割り当てられることになる。
【0070】
A2−4.等幅線対応処理の構成:
図16は、ステップS214で実行される等幅線対応処理を示すフローチャートである。この等幅線対応処理に処理が移行すると、CPU110は、まず、ステップS206で算出した非最小濃度画素連続数U,D,L,Rの中から最小値を選択することにより、注目画素のエッジからの最短距離MINを求める(ステップS502)。
【0071】
次いで、CPU110は、U+D+1の値、すなわち線画の横幅の画素数が値4以下であるか否かを判定する(ステップS504)。ステップS504で、U+D+1≦4と判定されると、CPU110は、ドット割り当て部27により、テーブルデータTD(図10)から(u,v)=(U+D,MIN)に対応する記録位置のデータを読み出して、そのデータに応じたサイズのドットを割り当てる処理を行う(ステップS506)。すなわち、引数vの値を最短距離MINとしてテーブルデータTDからの読み出しを行う。
【0072】
一方、ステップS504で、U+D+1>4と判定されたときには、最短距離MINが値2未満か否かを判定し(ステップS508)、最短距離MINが値2未満と判定されたときに、注目画素がエッジ画素に該当する場合(MIN=0のとき)にはSサイズのドットを、注目画素がエッジ近傍画素に該当する場合(MIN=1のとき)にはMサイズのドットを割り当てる(ステップS510)。一方、ステップS508で、MINが値2以上であると判定されたときには、ステップS204(図3)と同様のハーフトーン処理を行う(ステップS512)。ステップS506,ステップS510またはステップS512の実行後、「リターン」に抜けて、等幅線対応処理を一旦終了する。
【0073】
図17ないし図19は、等幅線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図である。図17ないし図19の上段には、線画Cとの関係における注目画素の位置(×マークで示す)を示しており、下段には、出力バッファ32における線画Cに対応した部分32の状態を示している。線画Cは、等幅線対応処理が適用可能となるよう、横6×縦14個のシアン色画素とした。時間の経過と共に、図17の左端の状態(状態3a)から右端の状態(状態3e)、さらに図18の左端の状態(状態3f)から右端の状態(状態3j)、さらに図19の左端の状態(状態3k)から右端の状態(状態3n)へと推移するものとする。なお、図17〜図19においては、説明を簡略とするため、全画素が最大濃度を有しているものとして以下に説明する。
【0074】
注目画素が移動して図17の状態3bに示す位置となった場合には、上側と左側にはシアン色画素が無いためU=0,L=0となり、右側には5画素、下側には13画素のシアン色画素が存在するが、最大値は4であるためR,Dの演算は途中で打ち切られ、R=4,D=4となる。図3のステップS208によりU+D+1の値とL+R+1の値とは等しいと判定されるから、ステップS214の等幅線対応処理に移行する。実際には線幅が等しいわけではないが、縦横ともに幅が十分広い場合は、両端の2画素を、エッジからの距離に応じたドットサイズで出力すれば、がたつきを抑えた出力ができる。等幅線対応処理のステップS510により上記端部の処理がなされることから、処理を等幅線対応処理に移行しても問題ない。
【0075】
図16の等幅線対応処理によれば、ステップS504でU+D+1=5>4と判定され、ステップS508で最短距離MIN=0<2と判定され、ステップS510に移行する。ステップS510では、MIN=0であるからSサイズが記録される(図17状態3b)。
【0076】
次に、注目画素が図17の状態3bから右に1画素移動して図17の状態3cにある場合には、U=0,L=1,R=4,D=4となる。U+D+1の値とL+R+1の値は等しくなく、U+D+1<L+R+1となるため、この画素には横線対応処理が適用される。実際は、横幅の方が狭い縦線であるが、縦横ともに幅が十分広く、端部のみの処理が行われるため、このような横線であるとの判定がされても問題はない。図12の横線対応処理において、まず、ステップS402でU+D+1=5>4と判定され、ステップS406でD=4>U=0と判定され、ステップS414でU=0<2と判定され、ステップS416に移行する。ステップS416では、U=0であるからSサイズが記録される(図17状態3c)。
【0077】
注目画素が右に順に移動し、一番右側の画素を除いた第1行目の残りの画素に、横線対応処理が行われ、U=0となるため、ステップS416でSサイズが記録される。状態3dである一番右側の画素については、U=0,L=4,R=0,D=4 となるため、等幅線対応処理が行われる。図16の等幅線対応処理によれば、ステップS504でU+D+1=5>4と判定され、ステップS508で最短距離MIN=0<2と判定され、ステップS510に移行する。ステップS510では、MIN=0であるからSサイズが記録される(図17の状態3d)。
【0078】
次に、注目画素が1ライン下に移動して図17の状態3eにある場合には、U=1,L=0,R=4,D=4となる。U+D+1=6はL+R+1=5よりも大きいことから、この画素には縦線対応処理が適用される。図11の縦線対応処理において、まず、ステップS302でL+R+1=5>4と判定され、ステップS306でR=4>L=0と判定され、ステップS314でL=0<2と判定され、ステップS316に移行する。ステップS316では、L=0であるからSサイズが記録される(図17状態3e)。
【0079】
次に、注目画素が図17の状態3eから右に1画素移動して図18の状態3fにある場合には、U=1,L=1,R=4,D=4となる。U+D+1の値とL+R+1の値は等しいため、等幅線対応処理が適用される。図16の等幅線対応処理によれば、ステップS504でU+D+1=6>4と判定され、ステップS508で最短距離MIN=1<2と判定され、ステップS510に移行する。ステップS510では、MIN=1であるからMサイズが記録される(図18状態3f)。
【0080】
図18の状態3fから注目画素が右に順に移動し、一番右側の画素を除いた第2行目の残りの画素に、横線対応処理が行われ、MIN=1となるため、ステップS510でMサイズが記録される。その後、状態3gである第2行目の一番右側の画素、状態3hである第3行目の一番左側の画素、状態3iである第3行目の左から2つ目の画素と順に、等幅線対応処理、縦線対応処理または横線対応処理のいずれかが実行され、エッジからの最短距離に対応したサイズのドットが出力バッファ32に記録される。
【0081】
次に、図18の状態3jの位置に注目画素が移動すると、U=2,L=2,R=3,D=4と求まることから、U+D+1>L+R+1となるため、注目画素に縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=6であることからステップS306に処理が移行し、R=3>L=2であることからステップS314に処理が移行し、Lは2で2未満でないことからステップS312に移行する。ステップS312で、注目画素に対してハーフトーン処理が実行され、ハーフトーン処理によって決定されたSサイズのドットが出力バッファ32に記録される(図18状態3j)。
【0082】
図18の状態3jから注目画素が右に1画素移動して図19の状態3kにある場合には、U=2,L=3,R=2,D=4となる。U+D+1>L+R+1となるため、注目画素に縦線対応処理が適用される。縦線対応処理(図11)においては、L+R+1=6であることからステップS306に処理が移行し、R=2<L=3であることからステップS308に処理が移行し、Rは2で2未満でないことからステップS312に移行する。ステップS312で、注目画素に対してハーフトーン処理が実行され、ハーフトーン処理によって決定されたMサイズのドットが出力バッファ32に記録される(図19状態3k)。
【0083】
その後も、注目画素の移動と注目画素の判定結果に応じた方法によるドット形成状態の決定とが繰り返し実行され、出力バッファ32の状態は図19の状態3l、状態3m、状態3nに示したように遷移する。
【0084】
従って、本実施例の印刷システム1000によれば、エッジの部分を構成する印刷画素には、サイズのバラツキの少ないドットが形成されるようにドットの割り当てが行われるので、大きくサイズの異なるドット(例えば、LサイズとSサイズ)が混在して形成されたり欠けが生じたりすることを抑制できる。したがって、プリンタ200による画像の印刷の際に、エッジのがたつきや欠けが抑制され、印刷画質を向上させることができる。
【0085】
図20に、上述の実施例のように構成されたドット形成状態の決定処理により得られた出力バッファ32の状態を示した。図20(a)は、印刷対象画像の一例である。印刷対象画像は、線画Cを備える。図20(b)は、従来の画像処理によって印刷対象画像を画像処理して得られたドットデータである。ここで言う「従来の画像処理」とはハーフトーン処理だけが施されるものである。図20(c)は、本実施例のドット形成状態の決定処理により得られた出力バッファ32の状態である。
【0086】
図20(b)のドットパターンにおける、最右列の下から5行目、および最右列の最下行の各印刷画素は、ドット無しの形成状態となっている。また、エッジの部分を構成する印刷画素にLサイズ、Mサイズ、Sサイズの異なるサイズのドットが混在して形成されている。これに対して、図20(c)に示すように、プリンタ200による画像の印刷の際に、エッジ部分のうち、従来の画像処理においてLドットが形成される画素、すなわち、最大濃度画素については、エッジ画素に対応する印刷画素にSドットが形成され、エッジ近傍画素に対応した印刷画素にMドットが形成されることとなる。エッジに位置する画素のうち、最大濃度でない画素は通常のハーフトーン処理によって決定されたサイズのドットが形成される。また、エッジからの距離が2より大きい通常処理画素に対応した印刷画素のドット形成状態は、通常のハーフトーン処理によって決定される。
【0087】
また、本実施例の印刷システム1000によれば、色変換後のインク色に対応した各色成分別に生成された中間画像を対象として色成分毎にエッジ領域画素の判定および予め決定されているサイズのドット形成を行うことができる。例えば、図4において、P24=RGB(182,0,129)であり、P24に対応する色変換処理後のQ24はCMYK(30,100,0,0)である。すなわち、P24に対応する印刷媒体上の印刷画素には、シアンとマゼンタとの各ドットが形成されることにより、P24の色が再現される。従来の画像処理では、QC24=30%、QM24=100%であるので、ハーフトーン処理によりP24に対応する印刷画素には、SサイズもしくはMサイズのシアン色のドットと、Lサイズのマゼンタ色のドットが形成されることになる。一方、本実施例の画像処理(インク色別処理)によれば、QC24=30%≠最大濃度100%であるので、QC24については通常処理画素としてハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定され、SサイズもしくはMサイズのシアン色のドットが形成される。一方、QM24=100%=最大濃度100%であるので、QM24については、非最小濃度画素連続数が計数され、縦線対応処理、横線対応処理、等幅線対応処理のいずれかの処理によってドットサイズがSサイズもしくはMサイズと決定される。QY24、QK24はともに0%であるため、通常処理画素としてハーフトーン処理によってドットの形成状態がドットを形成しないと決定される。従って、色変換後の中間画像において、上記に述べたようにエッジ領域画素に含まれる印刷画素がマゼンタ100%、シアン30%といった値を取っている場合、従来の画像処理ではLサイズのマゼンタ色のドットが形成されるため、マゼンタインクがにじみ画質の低下の虞があるが、実施例によれば、SサイズもしくはMサイズのマゼンタ色のドットが形成されるので、マゼンタ成分のエッジのにじみを抑制でき、エッジの再現精度を向上できる。
【0088】
また、一般的に、RGB表色系で表された画像に対してエッジ判定を行いドットの形成状態を決定する場合、色変換処理に利用されるルックアップテーブル(LUT)の修正に応じてインク使用比率が変わるため、RGB表色系で表された画像のエッジ判定条件も修正する必要が生じ、設計工数が増加するという問題がある。本実施例の印刷システム1000によれば、色変換処理後の、インク濃度で表された中間画像に基づいてエッジ判定を行うため、設計工数の増加を回避できる。
【0089】
また、RGB表色系で表された画像に対してエッジ判定を行いドットの形成状態を決定する処理を、使用されるインク数が異なるプリンタへ実装する場合、プリンタの使用インク数(インクの組み合わせ)に応じて、RGBデータで判定したエッジ情報を後半のモジュールに引き渡すための、データ構造の設計変更を行わなければならないという問題が生じる。本実施例の印刷システム1000によれば、色変換処理後の中間画像に対してエッジ判定を行うので、設計変更の虞を回避できる。
【0090】
また、一般的に、印刷ヘッドが移動する主走査方向および印刷媒体の搬送される副走査方向に沿ったエッジは、人間の視覚にはにじみやがたつきが目立つことが知られている。実施例の印刷システム1000によれば、主走査方向および副走査方向に沿ったエッジを構成する画素がエッジ画素として検出され、比較的大きいドット(Lドット)以外のドットが割り当てられる。よって、エッジ部分において目立つドットのにじみを抑制できる。
【0091】
また、実施例の印刷システム1000によれば、エッジ近傍画素に対して、複数サイズのドットの内の、エッジ画素からの距離に応じて定まるサイズのドットが割り当てられる。従って、エッジ近傍の画素についてもほぼ均一なサイズのドットで揃えて形成できる。よって、エッジ画素とエッジ近傍画素とからなるエッジ領域のがたつきや欠けを抑制でき、印刷画質を向上できる。
【0092】
さらに、上記ドット形成状態の決定処理によれば、印刷対象画像の線幅が値4以下である例えば線画A,線画Bの部分に対応した印刷画素のドット形成状態は、図8、図15に示したように決定される。すなわち、線画の狭小方向、すなわち線幅方向での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するようにしている。このために、線幅が所定値以下の細線部分に対して特有のドットサイズの割り当てが可能となる。したがって、小さいサイズのドットが割り当てられて細線部分が細く(薄く)なりすぎることを防止することができる。この結果、印刷画質をより向上させることができる。
【0093】
特に本実施例では、線画における線幅の方向、すなわち縦横の内の狭小方向を優先してドットサイズのパターンを定めていることから、長い方向に同じドットサイズが比較的連続して出力されることになる。この結果、エッジをより滑らかに印刷することができる。
【0094】
また、本実施例では、エッジ領域画素に該当しない通常画素に対してはハーフトーン処理によってドットの形成状態が決定されるため、通常画素については印刷媒体の単位面積当たりの総インク量に制限を設けることができ、色のにじみの発生を抑制して印刷画質を向上させることができる。
【0095】
さらに、上記ドット形成状態の決定処理によれば、各画素に割り当てるドットのサイズを近傍の画素の処理結果に依存しないで定めていることから、本実施例では、CPUをデュアルコアのプロセッサとすることで並列処理を容易に行うことができる。この結果、処理速度を大幅に向上することができる。
【0096】
B.変形例:
(1)上記実施例では、複数色により構成された画像を対象に、エッジにおける印刷画質を向上させるためのドット形成状態の決定処理を説明したが、本発明は、白色と画像の印刷に用いられるドットの色の1つ(例えばシアンやマゼンタ、イエロー)とのみにより構成された画像を対象に、当該ドットの色のエッジにおける印刷画質を向上させるためのドット形成状態の決定処理にも適用可能である。さらには、中間色を含むカラー画像において、各色の画像を画像処理する際にも各色の画像毎に本発明を適用する構成としてもよい。
【0097】
(2)上記実施例では、注目画素が最大濃度であるか否かに基づいて所定のサイズのドットの割り当てを行っているが、例えば、注目画素が所定の濃度以上であるか否かに基づいてドットの割り当てを行っても良い。例えば、注目画素の濃度が、通常のハーフトーン処理ではLサイズのドットが形成される濃度を、所定サイズのドット割り当てを行うか否かの判断閾値(ステップS202)としてもよい。また、注目画素が非最小濃度であるか否かに基づいて所定サイズのドットの割り当てを行っても良い。こうすれば、画像のエッジに位置する画素を全てエッジ画素と判定できるので、ドットの形成状態のばらつきを更に抑制できる。
【0098】
(3)上記実施例では、ハーフトーン処理部26は、ディザマトリクスによる閾値処理によってハーフトーン処理を行う構成であったが、これに換えて、濃度パターン法、誤差拡散法(ED法)等の他の手法によりハーフトーン処理を行う構成としてもよい。さらに、これらの周知のハーフトーン処理の手法に他の特異処理を加えることによりドットの形成状態を決定する構成をハーフトーン処理部としてもよい。
【0099】
(4)上記実施例では、ドット割り当て部27により構成される線幅毎の各ドットパターンは、エッジからの距離が大きくなるほど大きなサイズとなるように定められていたが、必ずしもこの構成に限る必要はなく、線幅に基づいて定まるドットパターンであればいずれの態様であってもよい。また、割り当ての方向も、線画の縦横のうちの狭小方向での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するように構成していたが、狭小でない方向での、注目画素のエッジからの距離に対応したドットパターンを作成するように構成してもよい。
【0100】
(5)さらに、ドット割り当て部27により割り当てられるドットサイズも前記実施例に限る必要はなく、エッジからの距離が値1であっても値2であってもSドットを割り当てる構成等、他のサイズのドットを割り当てる構成としてもよい。エッジ領域画素に対応する印刷画素には、印刷に用いられる複数サイズのドットの内の最大サイズのドット(Lドット)以外のドットが割り当てられるのが好ましい。これによれば、エッジ部分におけるにじみや太りがより良好に抑制され、印刷画質がさらに向上する。
【0101】
(6)上記実施例では、CPUをデュアルコアプロセッサとしたが、これに換えて、コアの数を3個、4個、…と他の数のコアを備えるマルチコアプロセッサとしてもよい。
【0102】
(7)上記実施例では、エッジ領域判定部23は、注目画素の上、下、左、右の方向に隣接する4つの隣接画素のうちの少なくとも一つが白色であるか否かを判定することで、エッジ画素であるか否かを判定しているが、これに換えて、注目画素の上、下、左、右、左上、左下、右上、右下の方向に隣接する8つの隣接画素のうちの少なくとも一つが白色であるか否かを判定する構成としてもよい。また、エッジ近傍画素についても、注目画素の上、下、左、右の方向に換えて、注目画素の上、下、左、右、左上、左下、右上、右下の8方向におけるエッジからの距離が値2となる8つの画素のうちの少なくとも一つが白色であるか否かを判定する構成としてもよい。
【0103】
(8)上記実施例では、中間画像40の全体において同一の方法でドット形成状態の決定処理を行っているが、中間画像40における文字や線画(記号、図形、グラフ等)を含むテキスト領域のみを対象として上記実施例の方法でドット形成状態の決定を行うとしてもよい。この場合には、例えば、画像のRGB値に基づいてテキスト領域を検出してもよいし、画素の輝度値に基づいてテキスト領域を検出してもよい。
【0104】
(9)上記実施例では、画像はRGBデータであるとしているが、画像は必ずしもRGBデータである必要はない。また、上記実施例では、プリンタ200はCMYKの4色のインクを用いて3種類のサイズのドットを形成することにより印刷を行うとしているが、プリンタ200はCMYK以外の他の色のインクを用いて印刷を行うとしてもよいし、2種類(あるいは4種類以上)のサイズのドットを形成することにより印刷を行うとしてもよい。この場合であっても、原画像を表す画像から、印刷装置が処理可能な表色系に色変換処理された各色成分の中間画像に対してエッジ判定、ドットの割り当てを行うこととすれば、実施例と同様の効果を得られる。
【0105】
(10)上記実施例では、画像処理装置がパーソナルコンピュータ100として構成されているが、本発明は、パーソナルコンピュータ100以外のドット形成状態を決定する画像処理を行う画像処理装置にも適用可能である。例えば、画像処理装置をプリンタとして構成することも可能である。
【0106】
(11)また、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0107】
(12)上記実施例では、印刷媒体にインクを噴射するためのヘッドが主走査方向に移動するプリンタを例に説明したが、ヘッドを主走査方向に複数個並べて配置し、ヘッドは移動しないラインヘッドプリンタにも適用可能である。
【0108】
(13)上記実施例では、注目画素の設定(図2のステップS104)を、色変換処理(ステップS102)後の中間画像に対して行っているが、例えば、解像度変換処理後の画像に対して行っても良い。また、解像度変換後の画像に対して、バンド単位で行ってもよい。更には、解像度変換後の画像全体に対して色変換処理を施しているが、例えば、エッジ判定するために必要十分な中間画素が生成されるように色変換処理を施しても良い。
【0109】
(14)上記実施例では、インク色別処理は、C,M,Y,Kの順に行っているが、この順番は任意に設定可能である。例えば、ヘッドユニット250の仕様に応じて変更してもよい。
【0110】
(15)上記実施例において、ドットサイズの変更は、例えば、1回あたりのインクの滴量の変更や、1ドットの形成に要する噴射回数の変更により実現してもよい。
【0111】
(16)上記実施例において、キャリッジユニット260のキャリッジ上にインクカートリッジを保持しないオフキャリッジを適用してもよい。
【0112】
(17)上記実施例では、デュアルコアCPU110を用いているが、CPUは1つでもよい。
【0113】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施例における印刷システムの構成を概略的に示す説明図。
【図2】第1実施例におけるドット形成状態の決定処理の流れを示すフローチャート。
【図3】第1実施例におけるインク色別処理の流れを示すフローチャート。
【図4】第1実施例における色変換処理について模式的に示す説明図。
【図5】色変換処理後の印刷対象画像の一例を示す説明図。
【図6】出力バッファ32(図1参照)の構成を示す説明図である。
【図7】注目画素の位置と出力バッファ32Aの状態とを対応付けて示す説明図。
【図8】注目画素の位置と出力バッファ32Aの状態とを対応付けて示す説明図。
【図9】ドット割り当て部27によって作成されるドットパターンを例示する説明図である。
【図10】4種類のドットパターンを生成するために用いられるテーブルデータTDを示す説明図である。
【図11】ステップS210で実行される縦線対応処理を示すフローチャートである。
【図12】ステップS212で実行される横線対応処理を示すフローチャートである。
【図13】横線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32Bの状態とを対応付けて示す説明図。
【図14】横線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32Bの状態とを対応付けて示す説明図。
【図15】横線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32Bの状態とを対応付けて示す説明図。
【図16】ステップS214で実行される等幅線対応処理を示すフローチャート。
【図17】等幅線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図。
【図18】等幅線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図。
【図19】等幅線対応処理が適用される注目画素の位置と出力バッファ32の状態とを対応付けて示す説明図。
【図20】第1実施例の効果について説明する説明図。
【符号の説明】
【0115】
10…アプリケーションプログラム
20…プリンタドライバ
21…解像度変換処理部
22…色変換処理部
23…エッジ領域判定部
26…ハーフトーン処理部
27…ドット割り当て部
28…印刷データ生成部
32…出力バッファ
40…印刷対象画像
100…パーソナルコンピュータ
110…CPU
120…メモリ
130…入出力インタフェース部
200…プリンタ
210…CPU
220…メモリ
230…入出力インタフェース部
240…ユニット制御回路
250…ヘッドユニット
260…キャリッジユニット
270…搬送ユニット
1000…印刷システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換する色変換手段と、
前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出する検出手段と、
前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てるドット割り当て手段と、
を備える印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷制御装置であって、
前記第2の表色系は、前記印刷装置による印刷に用いられる複数の色成分で構成されており、
前記色変換手段は、前記色成分毎に前記中間画像を生成し、
前記検出手段は、前記色成分毎に前記エッジ画素を検出し、
前記ドット割り当て手段は、前記色成分毎に、前記エッジ画素に前記所定サイズのドットを割り当てる、
印刷制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷制御装置であって、
前記検出手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、各色成分に対して予め規定されている所定濃度を有する画素を、前記エッジ画素として検出する、
印刷制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載の印刷制御装置であって、
前記印刷装置は、印刷材を噴射する印刷ヘッド、および、印刷媒体の少なくとも一方を所定の方向に移動させて、印刷媒体上に前記画像を形成し、
前記検出手段は、前記中間画像を構成する画素のうち、前記所定の方向および前記所定の方向に交差する方向に沿ったエッジを構成する前記エッジ画素を検出する、
印刷制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載の印刷制御装置であって、
前記検出手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、ドットが形成される画素であって前記エッジ画素から所定距離に位置する画素であるエッジ近傍画素を検出し、
前記ドット割り当て手段は、前記エッジ近傍画素に対して、前記複数のサイズのドットの内の、前記エッジ画素からの距離に応じて定められたサイズのドットを割り当てる、
印刷制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の印刷制御装置であって、
前記ドット割り当て手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、前記エッジ画素および前記エッジ近傍画素以外の画素に対して、ハーフトーン処理によりドットを割り当てる、
印刷制御装置。
【請求項7】
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置であって、
印刷材を噴射して印刷媒体上にドットを形成する印刷ヘッドと、
前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換する色変換手段と、
前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出する検出手段と、
前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てるドット割り当て手段と、
前記ドットの割り当てを表す印刷データに基づいて、前記印刷ヘッドを制御して前記印刷媒体上に前記画像を形成する印刷手段と、
を備える印刷装置。
【請求項8】
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置を制御する印刷制御方法であって、
前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換し、
前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出し、
前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てる、
印刷制御方法。
【請求項9】
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換する機能と、
前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出する機能と、
前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てる機能と、
を、コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換する色変換手段と、
前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出する検出手段と、
前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てるドット割り当て手段と、
を備える印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷制御装置であって、
前記第2の表色系は、前記印刷装置による印刷に用いられる複数の色成分で構成されており、
前記色変換手段は、前記色成分毎に前記中間画像を生成し、
前記検出手段は、前記色成分毎に前記エッジ画素を検出し、
前記ドット割り当て手段は、前記色成分毎に、前記エッジ画素に前記所定サイズのドットを割り当てる、
印刷制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷制御装置であって、
前記検出手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、各色成分に対して予め規定されている所定濃度を有する画素を、前記エッジ画素として検出する、
印刷制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載の印刷制御装置であって、
前記印刷装置は、印刷材を噴射する印刷ヘッド、および、印刷媒体の少なくとも一方を所定の方向に移動させて、印刷媒体上に前記画像を形成し、
前記検出手段は、前記中間画像を構成する画素のうち、前記所定の方向および前記所定の方向に交差する方向に沿ったエッジを構成する前記エッジ画素を検出する、
印刷制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載の印刷制御装置であって、
前記検出手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、ドットが形成される画素であって前記エッジ画素から所定距離に位置する画素であるエッジ近傍画素を検出し、
前記ドット割り当て手段は、前記エッジ近傍画素に対して、前記複数のサイズのドットの内の、前記エッジ画素からの距離に応じて定められたサイズのドットを割り当てる、
印刷制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の印刷制御装置であって、
前記ドット割り当て手段は、前記中間画像を構成する複数の画素のうち、前記エッジ画素および前記エッジ近傍画素以外の画素に対して、ハーフトーン処理によりドットを割り当てる、
印刷制御装置。
【請求項7】
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置であって、
印刷材を噴射して印刷媒体上にドットを形成する印刷ヘッドと、
前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換する色変換手段と、
前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出する検出手段と、
前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てるドット割り当て手段と、
前記ドットの割り当てを表す印刷データに基づいて、前記印刷ヘッドを制御して前記印刷媒体上に前記画像を形成する印刷手段と、
を備える印刷装置。
【請求項8】
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置を制御する印刷制御方法であって、
前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換し、
前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出し、
前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てる、
印刷制御方法。
【請求項9】
複数の画素により構成されている第1の表色系の画像を、複数のサイズのドットを利用して印刷する印刷装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記第1の表色系の画像から、前記印刷装置が印刷可能な第2の表色系の中間画像へ変換する機能と、
前記中間画像を構成する複数の画素のうち、エッジを構成する画素であるエッジ画素を検出する機能と、
前記エッジ画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの所定サイズのドットを割り当てる機能と、
を、コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−130303(P2010−130303A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302383(P2008−302383)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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