説明

印刷版、印刷版原版および印刷方法

【課題】 表面平滑なパターンを形成することが可能な印刷版、印刷版原版および印刷方法を提供すること。
【解決手段】支持体上にインキ剥離性部位と親インキ性部位を有する印刷版上にインキを塗布する工程、前記インキ剥離性部位上のインキを選択的にブランケット上に転写する工程、および前記ブランケット上のインキを被印刷物に再転写する工程を有する印刷方法に使用される印刷版であって、前記インキ剥離性部位表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下であることを特徴とする印刷版。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷版、印刷版原版および印刷方法に関する。より詳しくは、電子機器用途の微細パターン印刷に好適に用いられる印刷版、印刷版原版および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイや太陽電池、Radio Frequency Identification(RF−ID)などの電子機器が注目されている。電子機器の配線、薄膜トランジスタ(TFT)電極またはカラーフィルターなどの微細パターンは、従来フォトリソ法により形成されてきた。しかし、近年、機能性インキまたは機能性ペーストを印刷する印刷法により、微細パターンを形成する技術が検討されている。印刷法では直接パターンを形成できるため、フォトリソ法に比べて工程が少なくなり、製造コストを安くできる。また、現像廃液などの問題もなくなり環境にやさしい。さらにプラスチック基板に対する印刷も容易であるため、電子機器のフレキシブル化にとって有効な方法である。
【0003】
微細パターン印刷法として、これまでに、反転凸版印刷法が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。これはシリンダに取り付けられたシリコーンブランケット上にインキを塗布し、予備乾燥を行った後、非画像パターンが形成された凸版を押圧して不要なインキを除去し、ブランケット上に残ったインキを被印刷物に転写する方法であり、10μm程度の微細な導電性パターンも形成されている。しかしながらこの方法ではベタ膜の印刷において画像パターン部のブランケットが上記凸版の凹部に接触し、パターンに抜けが生じる課題があった。
【0004】
他の微細パターン印刷法としてマイクロコンタクトプリント法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。シリコーンゴムにより型取りした版を用いて数十nm程度のパターンを印刷することができるが、大面積化が困難である、印刷速度が非常に遅いという課題があり、現実的な方法とは言えなかった。
【0005】
一方、インキの糸曳き現象を防止する方法として、(1)撥樹脂機能を施した画線部と親樹脂機能を施した非画線部を有する画像形成版に樹脂を塗布する工程、(2)撥樹脂機能を施した画像転写シートを画像形成版に押圧して画線部上の樹脂を画像転写シートに転写する工程、および(3)画像転写シート上の画線部上樹脂を基板上に転写する工程によってなる画像形成法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−58921号公報
【特許文献2】特開2006−278845号公報
【特許文献3】特開2004−249696号公報
【非特許文献1】ラングミュア(Langmuir)(米国)、1994年、第10巻、第5号、1498−1511頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に記載された画像形成法は微細パターン印刷に適するものであるが、インキの転写によってインキ剥離性部位の表面形状が印刷物の表面形状に直接影響する。特に電子機器用途においては、印刷されたパターンの表面平滑性が不十分な場合、(1)配線や電極などの導電性パターンにおいてパターンの膜厚ムラが生じ、電導度または電荷移動度が低下する、(2)ボトムゲート型TFTのゲート電極において表面に突起部が存在すると、突起部に電界が集中してリークが生じたり、オンオフ比などのTFT特性が低下する、(3)カラーフィルターにおいて色ムラが生じたり、画質が低下する、などの課題が生じることから、良好な電気的特性または光学的特性を発揮するために、パターンの表面平滑性が要求されている。
【0008】
しかしながら、従来公知の印刷版は表面平滑性が十分でなく、これを用いて印刷したパターンの表面平滑性も不十分であるため、このパターンを用いた電子機器の電気的特性または光学的特性が低下する課題があった。本発明は、表面平滑なパターンを形成することが可能な印刷版、印刷版原版および印刷方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、支持体上にインキ剥離性部位と親インキ性部位を有する印刷版上にインキを塗布する工程、前記インキ剥離性部位上のインキを選択的にブランケット上に転写する工程、および前記ブランケット上のインキを被印刷物に再転写する工程を有する印刷方法に使用される印刷版であって、前記インキ剥離性部位表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下であることを特徴とする印刷版である。また、上記印刷方法に使用される印刷版原版であって、支持体上に少なくとも親インキ層とインキ剥離層をこの順に有し、前記インキ剥離層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下であることを特徴とする印刷版原版である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の印刷版または印刷版原版を用いて、表面平滑な印刷パターンを形成できる。これによりフォトリソ法で製造したものに近い電気的特性または光学的特性を持つ電子機器を、簡便かつ低コストで製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の印刷方法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の印刷方法の別の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の印刷版および印刷版原版は、支持体上にインキ剥離性部位と親インキ性部位を有する印刷版上にインキを塗布する工程、前記インキ剥離性部位上のインキを選択的にブランケット上に転写する工程、および前記ブランケット上のインキを被印刷物に再転写する工程を有する印刷方法に用いられる。かかる印刷方法は、電子機器用途の微細パターンを簡便な方法で、かつ低コストで形成することができる。この印刷方法を用いて製造される電子機器の具体例としては、フラットパネルディスプレイの駆動回路に用いられるTFT、プラズマディスプレイ(PDP)の前面板や背面板、PDPの電磁波遮蔽シールド、RF−IDのアンテナやチップ、太陽電池、カラーフィルター、有機エレクトロルミネッセンス(EL)の発光素子などが挙げられる。特に電子機器用途におけるパターン印刷では、印刷されたパターンの解像度だけでなく、十分な電気的特性または光学的特性を発現するためにパターン形状が重要であり、表面平滑なパターンを形成できることが求められる。
【0013】
上記印刷方法について説明する。図1は本発明の印刷方法の一例を示す概略図である。本発明の印刷方法はこれらに限定されるものではない。
【0014】
(a)支持体1上に少なくとも親インキ層2とインキ剥離層3をこの順に有する印刷版原版をパターン加工することにより、インキ剥離性部位と親インキ性部位を形成した印刷版を得る。(b)印刷版上にブレードコーター5を用いてインキ4を塗布する。(c)転写胴6に巻き付けたシリコーンブランケット7を印刷版に押し当ててインキ剥離性部位上のインキ(画線部上インキ4’)を選択的に転写する。ここで、インキ剥離性部位上のインキ(画線部上インキ4’)を選択的に転写するとは、非画線部上インキ4”を実質的に転写せず、実質的にインキ剥離性部位上のインキ(画線部上インキ4’)のみを転写することを意味する。(d)シリコーンブランケット7上に転写されたインキ(画線部上インキ4’)を被印刷物8に再転写し、印刷パターン9を形成する。
【0015】
図2は本発明の印刷方法の別の例を示す概略図である。(a)支持体1上に露光により濡れ性が変化するインキ剥離層10を積層した印刷版原版を準備する。(b)フォトマスク11を介して紫外光12を照射してパターン露光する。(c)露光による濡れ性変化を利用して、濡れ性未変化部位(画線部)10’と濡れ性変化部位(非画線部)10”を有する印刷版を得る。(d)印刷版上にブレードコーター5を用いてインキ4を塗布する。(e)転写胴6に巻き付けたシリコーンブランケット7を印刷版に押し当てて濡れ性未変化部位(画線部)10’上のインキ(画線部上インキ4’)を選択的に転写する。ここで、濡れ性未変化部位(画線部)10’上のインキ(画線部上インキ4’)を選択的に転写するとは、濡れ性変化部位(非画線部)10”上のインキ(非画線部上インキ4”)を実質的に転写せず、実質的に濡れ性未変化部位(画線部)10’上のインキ(画線部上インキ4’)のみを転写することを意味する。(f)シリコーンブランケット7上に転写されたインキ(画線部上インキ4’)を被印刷物8に再転写し、印刷パターン9を形成する。
【0016】
本発明の印刷版について具体的に説明する。本発明の印刷版は、支持体上にインキ剥離性部位と親インキ性部位を有するものである。
【0017】
支持体は寸法安定性のある板またはフィルムであればよく、具体的には、アルミニウム、ステンレスなどの金属板、ソーダライム、石英などのガラス板、シリコンウェハー、耐熱フィルムなどが挙げられる。耐熱フィルムの素材としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、アラミド、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
インキ剥離性部位とは、インキを塗布することが可能で、かつ塗布されたインキを選択的にブランケットに転写することが可能である部位をいう。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素性樹脂などを主成分として構成されるものが挙げられる。そのなかでも、インキ剥離性の観点から、シリコーンゴムを主成分として構成されることが好ましい。
【0019】
親インキ性部位とは、インキとの親和性が高く、ブランケットと接触させたときにこの部位上に塗布されたインキが実質的に転写されない部位をいう。具体的には、後述する感光性樹脂から形成される感光性部位、少なくとも光熱変換物質および金属含有有機化合物を含む感熱性部位、紫外光の照射により濡れ性が変化してインキとの親和性が高くなる部位などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本発明の重要な特徴の一つは、画線部となる印刷版のインキ剥離性部位の表面粗さを特定の範囲にすることによって、前記印刷方法により印刷されたパターンの表面形状を平滑にできることにある。すなわち、印刷版のインキ剥離性部位表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下であることが重要である。Raが0.05μmを超えると、印刷されたパターン表面の山谷の起伏が大きくなり、配線や電極などにおいて電導度が低くなったり、TFTにおけるオンオフ比が低下したり、カラーフィルターにおいて色ムラが生じることがある。これらの観点から、Raは0.03μm以下が好ましい。また、Rzが0.6μmを超えると、印刷されたパターンの表面の山谷の起伏の最大振幅が大きくなり、配線や電極の電導度やTFTのオンオフ比の低下に加え、断線や絶縁破壊によるショートが起きることがある。またカラーフィルターにおいて白抜けが生じることがある。これらの観点から、Rzは0.3μm以下が好ましい。なお、かかる印刷版を用いて印刷されたパターン表面のRaは0.04μm以下が好ましく、0.02μm以下がより好ましく、Rzは0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましい。
【0021】
本発明では、印刷版のインキ剥離性部位表面の算術平均粗さ(Ra)と最大高さ(Rz)は、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(株式会社キーエンス製)を使用して、対物レンズ倍率150倍、測定ピッチ0.01μmの条件で測定したデータを、JIS B0601−2001対応表面粗さ計測アプリケーションVK−H1R9(株式会社キーエンス製)を使用して、カットオフ値0.08mmの条件で線粗さ計測解析を行うことにより求める。
【0022】
本発明の印刷版は、例えば、支持体上に少なくとも親インキ層とインキ剥離層をこの順に有する印刷版原版から、パターン加工によりインキ剥離層の一部を除去し親インキ層を露出させることにより製造することができる。ここで、親インキ層とインキ剥離層は、後述の印刷版原版を構成する親インキ層およびインキ剥離層として例示されるものが挙げられる。また、特開平11−344804号公報に記載されているように、支持体上に光触媒を含有するインキ剥離性のシリコーン層を積層したのち、これを紫外線によりパターン露光し、露光した部分の濡れ性を変化させて親インキ性にすることによっても製造できるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0023】
次に、本発明の印刷版原版について具体的に説明する。
【0024】
本発明の印刷版原版は、支持体上に少なくとも親インキ層とインキ剥離層をこの順に有するものである。ここで、親インキ層とは、パターン加工により上に積層されたインキ剥離層が除去され、露出した部分が前述の印刷版の親インキ性部位となる層である。また、インキ剥離層とは、パターン加工後に残った部分が前述の印刷版のインキ剥離性部位となる層である。
【0025】
本発明の重要な特徴の他の一つは、印刷版原版のインキ剥離層の表面粗さを特定の範囲にすることにより、これをパターン加工した印刷版のインキ剥離性部位の表面粗さを特定の範囲にすることができ、それにより前記印刷方法により印刷されたパターンの表面形状を平滑にできることにある。そのため、印刷版原版のインキ剥離層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下であることが重要である。RaやRzがこの値よりも大きくなる場合、パターン加工した印刷版のインキ剥離性部位表面のRaが0.05μm以下かつRzが0.6μm以下とすることが困難となり、印刷版の表面粗さに関する説明で先に例示したように、発明の効果が十分発揮できなくなる。これらの観点から、印刷版原版のインキ剥離層表面のRaは0.03μm以下が好ましく、またRzは0.3μm以下が好ましい。
【0026】
支持体としては、本発明の印刷版を構成する支持体として先に例示したものを挙げることができる。
【0027】
インキ剥離層としては、具体的には、シリコーンゴム層、フッ素ゴム層、フッ素性樹脂層などが挙げられる。そのなかでも、インキ剥離性の観点から、シリコーンゴム層が好ましい。
【0028】
シリコーンゴム層は、例えば、オルガノポリシロキサンを一部架橋することにより形成することができる。代表的なオルガノポリシロキサンとして、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むものを挙げることができる。
【0029】
【化1】

【0030】
nは2以上の整数である。RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜50の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。これらの炭化水素基は置換されていてもいなくてもよく、また芳香環を含んでいてもよい。インキ剥離性の観点から、RおよびRの全体の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0031】
シリコーンゴム層は、付加反応架橋型、縮合反応架橋型のいずれであってもよい。
【0032】
付加反応架橋型のシリコーンゴム層は、少なくともビニル基含有オルガノポリシロキサン、多価ハイドロジェンオルガノポリシロキサン(架橋剤)および硬化触媒を含む組成物から形成される。
【0033】
ビニル基含有オルガノポリシロキサンとは、主鎖末端または主鎖中にビニル基を少なくとも2個有するものを指し、中でも主鎖末端に有するものが好ましい。また、取扱い性、インキ剥離性、耐久性の面から、重量平均分子量10,000〜500,000のものが好ましい。
【0034】
多価ハイドロジェンオルガノポリシロキサンとは、主鎖末端または主鎖中にケイ素−水素結合を少なくとも2個有するものを指し、両末端水素基のポリジメチルシロキサン、両末端メチル基のポリメチルハイドロジェンシロキサン、両末端メチル基の(メチルハイドロジェンシロキサン)−(ジメチルシロキサン)共重合体、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。多価ハイドロジェンオルガノポリシロキサンの含有量は、シリコーンゴム層の硬化性および組成物の安定性の観点から、ビニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対して0.5重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。また、20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。
【0035】
硬化触媒は公知のものから任意に選ばれるが、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金、白金−メチルビニルポリシロキサン錯体などの白金系の触媒が好ましい。硬化触媒の含有量は、シリコーンゴム層の硬化性および塗布前の液の安定性の観点から、ビニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対して0.01重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。また、20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。
【0036】
また、組成物の硬化速度を調整するために、反応抑制剤を含有してもよい。反応抑制剤としては、含窒素化合物、リン系化合物、ケトン、不飽和アルコールなどが挙げられ、中でもアセチレン基含有アルコールが好ましい。反応抑制剤の含有量は、シリコーンゴム層の硬化性および組成物の安定性の観点から、ビニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対して0.01重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。また、20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましい。
【0037】
その他に水酸基含有オルガノポリシロキサン、加水分解性基含有シランもしくはシロキサン、ゴム強度を向上させるシリカなどの公知の充填剤、接着性を向上させる公知のシランカップリング剤などの化合物を含有してもよい。
【0038】
縮合反応架橋型のシリコーンゴム層は、少なくとも水酸基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤および硬化触媒を含む組成物から形成される。
【0039】
水酸基含有オルガノポリシロキサンとは、主鎖末端または主鎖中に水酸基を少なくとも2個有するものを指し、中でも主鎖末端に有するものが好ましい。また、取扱い性、インキ剥離性、耐久性の面から、重量平均分子量10,000〜500,000のものが好ましい。
【0040】
架橋剤としては、例えば、アセトキシシラン類、アルコキシシラン類、ケトキシミノシラン類、アルケニルオキシシラン類、アリルオキシシラン類が挙げられる。なかでもシリコーンゴム層の硬化速度、取扱い性などの観点からアセトキシシラン類、ケトキシミノシラン類が好ましいが、これらに限定されるものではない。具体的には、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン等のアセトキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等のアルコキシシラン類、ビニルメチルビス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、アリルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシミノ)シラン等のケトキシミノシラン類、ビニルトリスイソプロペノキシシラン、ジイソプロペノキシジメチルシラン、トリイソプロペノキシメチルシラン等のアルケニルオキシシラン類、テトラアリロキシシラン等のアリルオキシシラン類などが挙げられる。架橋剤の含有量は、シリコーンゴム層の硬化性および組成物の安定性の観点から、水酸基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対して0.5重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。また、50重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましい。
【0041】
硬化触媒としては、錫、亜鉛、鉛、鉄、コバルト、カルシウム、マンガンなどの金属のカルボン酸塩、スルホン酸塩、ホウ酸塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的には、二酢酸ジブチル錫、二ラウリル酸ジブチル錫、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄が例示される。硬化触媒の含有量は、シリコーンゴム層の硬化性および組成物の安定性の観点から、水酸基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対して0.01重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。また、20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。
【0042】
その他にゴム強度を向上させるシリカなどの公知の充填剤、接着性を向上させる公知のシランカップリング剤などの化合物を含有してもよい。
【0043】
本発明の印刷版原版において、インキ剥離層の平均膜厚は、インキ剥離性および耐久性の観点から0.1μm以上が好ましく、印刷物のパターン再現性の観点から0.5μm以上がより好ましい。また、経済的観点から20μm以下が好ましく、微細パターン再現性の観点から2.0μm以下がより好ましい。なお、印刷版原版のインキ剥離層の平均膜厚は、この印刷版原版をパターン加工した印刷版のインキ剥離性部位の平均膜厚と実質的に変化がなく、よって印刷版のインキ剥離性部位の平均膜厚を測定することで印刷版原版のインキ剥離層の平均膜厚を求めることができる。印刷版のインキ剥離性部位の平均膜厚は、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(株式会社キーエンス製)を使用して、対物レンズ倍率150倍、測定ピッチ0.01μmの条件で測定したデータを、解析アプリケーションVK Analyzer(株式会社キーエンス製)を用いてインキ剥離層(インキ剥離性部位)表面と親インキ層(親インキ性部位)表面との高度差を解析することにより求めることができる。
【0044】
本発明の印刷版原版の親インキ層は、感光層または感熱層が好ましい。
【0045】
感光層とは、紫外光や可視光などを照射することで化学反応が起こり、それによって硬化、溶解、濡れ性変化などの物性変化が起こる層をいう。例えば、感光性樹脂から形成される層または酸化チタンなどの光触媒を含む層などが挙げられる。ここで、感光性樹脂とは、露光により硬化する光硬化性樹脂や、露光により分解したり可溶化したりする光分解性樹脂などが挙げられる。なかでも微細パターン再現性の観点から、感光性樹脂から形成される層が好ましい。具体的には、エチレン性不飽和化合物、ジアゾ化合物、キノンジアジド化合物、アジド化合物、o−ニトロベンジルカルビノールエステル化合物等を有する層が挙げられる。本発明においては、例えば、特公昭61−54218号公報、特開平7−281424号公報に記載の感光層を好ましく用いることができる。
【0046】
感熱層とは、描き込みに使用されるレーザー光に感応する層をいい、レーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有する。感熱層にはアブレーション型と光熱剥離型があるが、本発明においては光熱剥離型の感熱層が好ましい。光熱剥離型の感熱層は、少なくとも光熱変換物質および金属含有有機化合物を含む。さらに、活性水素基含有化合物やバインダー樹脂を含んでもよく、なかでもノボラック樹脂およびポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。本発明においては、例えば、特開平11−221977号公報、特開2002−72262号公報に記載の感熱層を好ましく用いることができる。
【0047】
本発明の印刷版原版は、基板と親インキ層の間にプライマー層あるいは断熱層を有してもよい。
【0048】
まずプライマー層について説明する。プライマー層を設ける目的として、基板材の保護、基板表面の平坦化、接着性向上、光ハレーション防止、耐刷性向上などが挙げられる。プライマー層としては、これらの目的を満足し、耐溶剤性、経時安定性が十分であれば特に限定されるものではないが、好ましくは特公平3−36208号公報、特公平6−82214号公報、特開平9−288351号公報、特開平10−239833号公報、特開2004−199016号公報、特開2007−219195号公報などに開示されているブロック型イソシアネートとエポキシ樹脂を熱架橋するプライマー層が用いられる。
【0049】
次に断熱層について説明する。親インキ層が感熱層である場合、熱が基板に逃げることを防ぐための断熱性向上、また基板と親インキ層との接着性向上を目的として断熱層を設けることが好ましい。断熱層としては、これらの目的を達し、耐溶剤性、経時安定性が十分高いものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは特開2004−199016号公報、特開2004−334025号公報、特開2007−219195号公報などに開示されている金属キレート化合物を含有する断熱層が用いられる。
【0050】
本発明の印刷版原版は、インキ剥離層の上に保護フィルムを有することが好ましい。保護フィルムを有することにより版面を保護し、流通時や保管時または露光時の版面の疵を防止し、インキ剥離層の表面平滑性をより高いレベルで維持することができる。
【0051】
保護フィルムのインキ剥離層に接する表面の形状は、印刷版原版のインキ剥離層の表面形状に影響するため、保護フィルム表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下であることが好ましい。さらに、Raは0.03μm以下がより好ましく、また、Rzは0.3μm以下がより好ましい。
【0052】
保護フィルムは、被覆密着性と剥離性を両立し、紫外線やレーザー光照射によるパターン形成が十分できる程度に透明なフィルムであればよく、無機粒子などの添加物を含んでいてもよい。また、表面処理を施されたり複数のフィルムを積層されていてもよい。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタラート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、酢酸セルロース、セロファン、ポリ乳酸などが挙げられ、特にパターン再現性の観点からポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラートが好ましい。
【0053】
ここで、ポリプロピレンを用いるとき、表面に成長した球晶によるクレーター状の痕が残り、表面粗さが大きくなる場合がしばしばある。しかしながら特開2007−126644号公報などに記載されているように結晶生成を制御することで球晶の形成を抑制し表面粗さの小さいフィルムを製造することが可能であり、本発明ではこのような平坦化されたフィルムを用いることが好ましい。
【0054】
また、保護フィルムの厚さは、取扱い容易性と強度の観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上20μm以下がより好ましい。
【0055】
ここで、本発明の印刷版原版の製造方法の例について説明する。塗布面を脱脂した支持体上に必要によりプライマー層液または断熱層液を塗布した後、加熱乾燥して硬化させプライマー層または断熱層を形成する。続いてプライマー層または断熱層と同様の方法により親インキ層とインキ剥離層を順次設ける。各液の塗布方法としては、スリットダイコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ロールブレードコーター、バリバーロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、マイクロメーター付アプリケーター、ベーカー式アプリケーター、フィルムアプリケーターなどが挙げられる。各層の加熱乾燥には、通常、熱風オーブンや赤外線オーブンなどの加熱装置が用いられる。インキ剥離層表面をフィルムで保護する場合には、インキ剥離層形成後、十分冷却したのちにラミネーターにより被覆する。
【0056】
次に、上記の方法で製造された印刷版原版をパターン加工して印刷版を製造する方法の例について説明する。まず、印刷版原版に対し非画線部のインキ剥離層を除去できるようにパターン露光を行う。その方法としては、画像マスクまたは画像フィルムを介して露光する方法、デジタルデータに基づいてレーザー走査により露光する方法などが挙げられる。ここで、露光時にインキ剥離層の表面に保護フィルムが被覆されていてもいなくてもよいが、画像マスクや画像フィルムを原版に密着させて露光する場合には、版表面の保護と密着性向上のために保護フィルムが被覆されていることが好ましい。露光光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、紫外光レーザー、可視光レーザー、赤外光レーザーなどが挙げられる。
【0057】
次に、保護フィルムがある場合にはこれを剥がした後、現像液の存在下で現像パッドまたは現像ブラシなどを用いて版面を擦り、非画線部のインキ剥離層を除去して親インキ層を露出させることにより現像する。現像前に前処理液に浸漬する工程を含んでもよく、また検版性を高めるために現像後に後処理液をかけて親インキ層を染色する工程を含んでもよい。前処理液、現像液、後処理液およびそれらを用いた現像方法については、特公平4−3865号公報、特公平4−29053号公報、特開平4−163557号公報、特開平4−343360号公報、特開平9−34132号公報、特開2003−167356号公報、特開2005−338580号公報などに開示された方法を用いることができる。前処理液の具体例としては、PP−1、PP−3、PP−F、PTS−1、NP−1、CP−1、DP−1(いずれも東レ(株)製)などを挙げることができる。現像液の具体例としては、HP−7N、WH−3(いずれも東レ(株)製)、水道水などを挙げることができる。後処理液の具体例としては、PA−1、PA−2、PA−F、PA−FII、NA−1(いずれも東レ(株)製)などを挙げることができる。
【0058】
また、上記現像処理は市販の自動現像機を用いて行うこともできる。自動現像機の具体例として、TWL−400シリーズ、TWL−650シリーズ、TWL−860シリーズおよびTWL−1160シリーズ(いずれも東レ(株)製)などが挙げられる。
【0059】
次に、本発明の印刷方法について説明する。まず、支持体上に前記特定範囲の表面粗さを有するインキ剥離性部位と親インキ性部位を有する印刷版上にインキを塗布する。
【0060】
本発明の印刷方法に用いられるインキは、機能性インキまたは機能性ペーストが好ましく、主に機能性材料とバインダーポリマーなどの媒材、溶媒および物性を調節する添加物により構成される。
【0061】
機能性材料とは、印刷物が機能を発揮するために必要な材料であり、それぞれの目的に応じて選択される。具体的には、導電性インキ(ペースト)における金属微粒子、金属酸化物微粒子、カーボン粉末、カーボンナノチューブおよび導電性高分子、半導体インキにおける有機半導体材料、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、シリコン半導体微粒子、化合物半導体微粒子、酸化物半導体微粒子、ポリシランおよびポリゲルマン、レジストインキにおける感光性樹脂、カラーフィルター製造用インキにおける有機顔料および無機顔料、有機EL素子製造用インキにおける発光材料および電荷輸送材料、絶縁性インキにおける絶縁材料が例示される。
【0062】
次に、前記インキ剥離性部位上のインキを選択的にブランケット上に転写し、ブランケット上のインキを被印刷物に再転写する。
【0063】
本発明の印刷方法に用いられるブランケットは、上記インキに対する表面の濡れ性が印刷版の親インキ性部位より小さくインキ剥離性部位よりも大きくなるように、また被印刷物にインキを完全に再転写させるためインキ剥離性も合わせ持つように設計されることが好ましい。さらに、電子機器用途では固い基板(例えばガラス基板)に印刷することや、段差のあるパターン上に積層して印刷することも必要であり、これに対応するため、ブランケットはある程度の柔軟性を有することが好ましい。これらの特性を満たす材質として、具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴムなどが例示されるが、特にインキ剥離性の観点から、シリコーンゴムが好ましい。
【0064】
本発明の印刷方法に用いられる被印刷物は特に限定されるものではないが、電子機器用途において印刷物の熱処理が必要になる場合には、耐熱性のある材料が好ましい。このような材料として、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、アラミド、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマーなどの耐熱プラスチックのフィルムまたはシート、ソーダライムや石英などのガラス板、シリコンウェハーなどが挙げられる。また、基板上に他の方法により何らかのパターンを形成したのち、その上に本発明の印刷版を用いて印刷してもよい。例えば薄膜トランジスタの製造においてゲート電極とゲート絶縁層のパターンを形成し、その上にソース・ドレイン電極を印刷する場合が挙げられる。
【実施例】
【0065】
以下に実施例を用いて本発明を説明する。
【0066】
<プライマー層液1の調製>
下記の組成に従って試薬を混合した後、室温で沈殿物がなくなるまで撹拌し、プライマー層液1を調製した。
(1)ポリウレタン樹脂(”サンプレン(登録商標)”LQ−T18、三洋化成工業(株)製):115重量部
(2)エポキシ樹脂(”エピコート(登録商標)”827、ジャパンエポキシレジン(株)製):10重量部
(3)TDI型ブロックドイソシアネート(”ディスモジュール(登録商標)”CTステープル、住化バイエルウレタン(株)製):10重量部
(4)MDI型ブロックドイソシアネート(DMS6X、明成化学工業(株)製):10重量部
(5)ブチル化尿素樹脂(”ベッカミン(登録商標)”P−138、DIC(株)製):20重量部
(6)酸化チタン:10重量部
(7)N,N−ジメチルホルムアミド:750重量部 。
【0067】
<プライマー層液2の調製>
下記の組成に従って試薬を混合した後、室温で沈殿物がなくなるまで撹拌し、プライマー層液2を調製した。
(1)エポキシ・フェノール樹脂(”カンコート(登録商標)”90T−25−3094、関西ペイント(株)製):15重量部
(2)N,N−ジメチルホルムアミド:85重量部 。
【0068】
<酸化チタン分散液の調製>
N,N−ジメチルホルムアミド10重量部中に酸化チタン(CR−50、石原産業(株)製)10重量部を添加し5分間撹拌した。さらに、ガラスビーズ(No.08)を15重量部添加し20分間激しく撹拌した。その後ガラスビーズを除去して酸化チタン分散液を得た。
【0069】
<断熱層液1の調製>
下記の組成に従って試薬を混合した後、室温で沈殿物がなくなるまで撹拌し、断熱層液1を調製した。
(1)エポキシ樹脂(”エピコート”1010、ジャパンエポキシレジン(株)製):49重量部
(2)ポリウレタン樹脂(”サンプレン”LQ−T1331D、三洋化成工業(株)製):490重量部
(3)アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)(”ALCH−TR”、川研ファインケミカル(株)製):11.2重量部
(4)ビニル系重合物(”ディスパロン(登録商標)”LC−951、楠本化成(株)製):0.2重量部
(5)酸化チタン分散液(濃度50重量%):84重量部
(6)N,N−ジメチルホルムアミド:505重量部
(7)メチルエチルケトン:402重量部 。
【0070】
<親インキ層液1の調製>
下記の組成に従って試薬を混合した後、室温で沈殿物がなくなるまで撹拌し、親インキ層液1を調製した。
(1)1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂(”スミライトレジン(登録商標)”PR−50622、住友ベークライト(株)製)の部分エステル化物(元素分析法によるエステル化度36%):70重量部
(2)4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート:21重量部
(3)ポリウレタン樹脂(”ミラクトラン(登録商標)”P22S 、日本ミラクトラン(株)製):30重量部
(4)ジブチルスズジアセテート:0.2重量部
(5)p−トルエンスルホン酸:0.8重量部
(6)テトラヒドロフラン:800重量部 。
【0071】
<親インキ層液2の調製>
下記の組成に従って試薬を混合した後、室温で沈殿物がなくなるまで撹拌し、親インキ層液2を調製した。
(1)アジピン酸とポリエチレングリコールからなるポリエステルポリオールとイソホロンジイソシアネートとのポリウレタン:56重量部
(2)ペンタオキシプロピレンジアミン/グリシジルメタクリレート=1/4モル比付加反応物:15重量部
(3)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート/メチルグリシジルエーテル=1/2/2モル比付加反応物:14重量部
(4)1,9−ノナンジオールジアクリレート:8重量部
(5)4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン:3重量部
(6)2,4−ジエチルチオキサントン:5重量部
(7)ビクトリアピュアーブルーBOH:0.3重量部
(8)エチルセロソルブ:580重量部 。
【0072】
<親インキ層液3の調製>
下記の組成に従って試薬を混合した後、室温で沈殿物がなくなるまで撹拌し、親インキ層液3を調製した。
(1)赤外線吸収染料(“PROJET(登録商標)”825LDI、(株)Avecia製):16重量部
(2)チタンジ−n−ブトキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)(”ナーセムチタン”、日本化学産業(株)製):37.5重量部
(3)フェノールノボラック樹脂(”スミライトレジン”PR53195、住友ベークライト(株)製):60重量部
(4)ポリウレタン樹脂(”サンプレン”LQ−T1331D、三洋化成工業(株)製):125重量部
(5)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:15重量部
(6)テトラヒドロフラン:993重量部
(7)エタノール:64重量部 。
【0073】
<インキ剥離層液1の調製>
下記の組成に従って試薬を混合した後、室温で沈殿物がなくなるまで撹拌し、インキ剥離層液1を調製した。
(1)α,ω−両末端シラノールポリジメチルシロキサン(DMS−S38[重量平均分子量58,000]、GELESTInc.製):100重量部
(2)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミノ)シラン:3重量部
(3)テトラ(メチルエチルケトキシミノ)シラン:1重量部
(4)ジブチル錫ジアセテート:0.03重量部
(5)3−アミノプロピルトリメトキシシラン:0.15重量部
(6)イソパラフィン系溶剤(”アイソパー(登録商標)”E、エクソンモービル(有)製):920重量部 。
【0074】
<インキ剥離層液2の調製>
下記の組成に従って試薬を混合した後、室温で沈殿物がなくなるまで撹拌し、インキ剥離層液2を調製した。
(1)α,ω−両末端シラノールポリジメチルシロキサン(DMS−S32[重量平均分子量36,000]、GELESTInc.製):100重量部
(2)エチルトリアセトキシシラン:12重量部
(3)ジブチル錫ジアセテート:0.01重量部
(4)イソパラフィン系溶剤(”アイソパー”E、エクソンモービル(有)製):1400重量部 。
【0075】
<インキ剥離層液3の調製>
下記の組成に従って試薬を混合した後、室温で沈殿物がなくなるまで撹拌し、インキ剥離層液3を調製した。
(1)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(DMS−V52[重量平均分子量155,000]、GELESTInc.製):100重量部
(2)両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基含有ポリシロキサン(HMS−151、GELESTInc.製):4重量部
(3)ビニルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン:3重量部
(4)白金触媒(SRX−212、東レダウコーニングシリコーン(株)製):7重量部
(5)イソパラフィン系溶剤(”アイソパー”E、エクソンモービル(有)製):1222重量部 。
【0076】
(実施例1)
<印刷版原版作製>
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上にプライマー層液1を塗布したのち230℃で120秒間乾燥し、平均膜厚6.0μmのプライマー層を設けた。このプライマー層の上に親インキ層液1を塗布したのち135℃で30秒間乾燥し、平均膜厚1.5μmの親インキ層を設けた。次にこの親インキ層の上にインキ剥離層液1を塗布したのち125℃、露点30℃で70秒間湿熱硬化し平均膜厚2.0μmのインキ剥離層を設けた。
【0077】
続いて前記積層構造体に対し保護フィルムとして表面の算術平均粗さ(Ra)0.03μm、最大高さ(Rz)0.25μmのポリプロピレンフィルムをラミネートし、印刷版原版を得た。得られた印刷版原版はそれらを重ね合わせたのち、アルミコート紙で包み、光が当たらないようにして保管および輸送した。
【0078】
<露光・現像>
得られた印刷版原版を、インキ剥離層表面に保護フィルムを被覆した状態で超高圧水銀灯露光機(PEM−6M、ユニオン光学(株)製)の露光ステージに設置した。ライン幅/スペース幅が3μm/3μm、4μm/4μm、5μm/5μm、6μm/6μm、7μm/7μm、8μm/8μm、9μm/9μm、10μm/10μm、15μm/15μm、20μm/20μm、30μm/30μm、40μm/40μm、50μm/50μm、75μm/75μm、100μm/100μmの直線パターンが描かれたポジ型のフォトマスクをこの原版の保護フィルム上に乗せ、積算光量100mJ/cmになるように露光した。次に露光版から保護フィルムを取り除き、自動現像機TWL−860KII(東レ株式会社製)を用いて現像し印刷版を得た。
【0079】
<印刷版のパターン再現性評価>
得られた印刷版を光学顕微鏡で観察したところ、再現された最小のライン幅/スペース幅は5μm/5μmであった。
【0080】
<印刷版のインキ剥離性部位および印刷版原版のインキ剥離層の表面粗さ測定>
得られた印刷版のインキ剥離性部位および現像前の印刷版原版のインキ剥離層の表面を超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(株式会社キーエンス製)を用いて、対物レンズ倍率150倍、測定ピッチ0.01μmの条件で測定し、JIS B0601−2001対応表面粗さ計測アプリケーションVK−H1R9(株式会社キーエンス製)を使用して、カットオフ値0.08mmの条件で線粗さ計測解析を行ったところ、印刷版原版、印刷版ともに算術平均粗さ(Ra)が0.03μm、最大高さ(Rz)が0.25μmであった。
【0081】
<印刷版のインキ剥離性部位の平均膜厚測定>
得られた印刷版のライン幅/スペース幅が15μm/15μmのラインを、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(株式会社キーエンス製)を用いて、対物レンズ倍率150倍、測定ピッチ0.01μmの条件で測定した。このデータを解析アプリケーションVK Analyzer(株式会社キーエンス製)を用いて、30μmの間隔で抽出した3カ所の測定点のインキ剥離性部位表面と親インキ性部位表面の高度差を測定することにより平均膜厚を求めたところ、2.0μmであった。
【0082】
(実施例2〜9)
保護フィルムを表1に記載のものに変更した以外は実施例1と同様の操作で印刷版原版および印刷版を得た。実施例1と同様に評価した評価結果を表1に示す。
【0083】
(実施例10〜15)
インキ剥離層の平均膜厚を表1〜2の記載のように変更した以外は実施例1と同様の操作で印刷版原版および印刷版を得た。実施例1と同様に評価した評価結果を表1〜2に示す。
【0084】
(実施例16)
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上にプライマー層液2を塗布したのち230℃で60秒間乾燥し、平均膜厚3.0μmのプライマー層を設けた。このプライマー層の上に親インキ層液2を塗布したのち100℃で60秒間乾燥し、平均膜厚4.0μmの親インキ層を設けた。次にこの親インキ層の上にインキ剥離層液2を塗布したのち125℃で80秒間加熱硬化し平均膜厚1.0μmのインキ剥離層を設けた。
【0085】
続いて前記積層構造体に対し保護フィルムとして表面の算術平均粗さ(Ra)0.03μm、最大高さ(Rz)0.25μmのポリプロピレンフィルムをラミネートし、印刷版原版を得た。得られた印刷版原版はそれらを重ね合わせたのち、アルミコート紙で包み、光が当たらないようにして保管および輸送した。
【0086】
得られた印刷版原版を、インキ剥離層表面に保護フィルムを被覆した状態で超高圧水銀灯露光機(PEM−6M、ユニオン光学(株)製)の露光ステージに設置した。ライン幅/スペース幅が3μm/3μm、4μm/4μm、5μm/5μm、6μm/6μm、7μm/7μm、8μm/8μm、9μm/9μm、10μm/10μm、15μm/15μm、20μm/20μm、30μm/30μm、40μm/40μm、50μm/50μm、75μm/75μm、100μm/100μmの直線パターンが描かれたネガ型のフォトマスクをこの原版の保護フィルム上に乗せ、積算光量60mJ/cmになるように露光した。次に露光版から保護フィルムを取り除き、自動現像機TWL−860KII(東レ株式会社製)を用いて現像し印刷版を得た。実施例1と同様に評価した評価結果を表2に示す。
【0087】
(実施例17)
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に断熱層液1を塗布したのち200℃で60秒間乾燥し、平均膜厚10μmの断熱層を設けた。この断熱層の上に親インキ層液3を塗布したのち150℃で80秒間乾燥し、平均膜厚1.5μmの親インキ層を設けた。次にこの親インキ層の上にインキ剥離層液3を塗布したのち125℃で80秒間加熱硬化し平均膜厚1.0μmのインキ剥離層を設けた。
【0088】
続いて前記積層構造体に対し保護フィルムとして表面の算術平均粗さ(Ra)0.03μm、最大高さ(Rz)0.25μmのポリプロピレンフィルムをラミネートし、印刷版原版を得た。得られた印刷版原版はそれらを重ね合わせたのち、アルミコート紙で包み、光が当たらないようにして保管および輸送した。
【0089】
得られた印刷版原版を製版機TDL−4400(東レ株式会社製)に装着し、ライン幅/スペース幅が3μm/3μm、4μm/4μm、5μm/5μm、6μm/6μm、7μm/7μm、8μm/8μm、9μm/9μm、10μm/10μm、15μm/15μm、20μm/20μm、30μm/30μm、40μm/40μm、50μm/50μm、75μm/75μm、100μm/100μmの直線パターンのデジタルデータに基づいて、半導体レーザー(波長830nm)を走査し、照射エネルギー150mJ/cmで露光した。次に露光版から保護フィルムを取り除き、自動現像機TWL−860KII(東レ株式会社製)を用いて現像し印刷版を得た。実施例1と同様に評価した評価結果を表2に示す。
【0090】
(比較例1〜4)
保護フィルムを表2に記載のように変更した以外は実施例1と同様の操作で印刷版原版および印刷版を得た。実施例1と同様に評価した評価結果を表2に示す。
【0091】
(比較例5)
保護フィルムを表2に記載のように変更した以外は実施例16と同様の操作で印刷版原版および印刷版を得た。実施例1と同様に評価した評価結果を表2に示す。
【0092】
(比較例6)
保護フィルムを表2に記載のように変更した以外は実施例17と同様の操作で印刷版原版および印刷版を得た。実施例1と同様に評価した評価結果を表2に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
<導電性インキの作製>
銀ナノメタルインキ(60重量%、アルバックマテリアル(株)製)10gをオクタン20gで希釈して導電性インキを調製した。
【0096】
(実施例18)
実施例1で作製した印刷版を特開2004−249696号公報に記載の平台型印刷機の版定盤にセットした。次に印刷版のパターン上全面にウェット膜厚5μmで上記導電性インキを塗布した。次にシリコーンゴムブランケットを取り付けた転写胴を版面上に押し当てて、インキ剥離性部位上のインキをブランケット上に転写させた。次に転写胴を印刷定盤にセットされた石英ガラス基板上に移動し、ブランケットと基板を接触させてインキを転写させた。最後にインキが転写されたガラス基板を200℃の熱風オーブン中で30分間焼結させ、厚さ1μmの印刷物を得た。
【0097】
<印刷物のパターン再現性評価>
得られた印刷物を光学顕微鏡で観察したところ、再現された最小のライン幅/スペース幅は5μm/5μmであった。
【0098】
<印刷物の表面粗さ測定>
印刷版の表面粗さ測定と同様の方法で、得られた印刷物パターンの表面の計測解析を行ったところ、算術平均粗さ(Ra)が0.02μm、最大高さ(Rz)が0.20μmであった。
【0099】
(実施例19〜34および比較例7〜12)
印刷版を表3に記載のものに変更した以外は実施例18と同様にして、印刷物を得た。実施例18と同様に評価した評価結果を表3に示す。
【0100】
【表3】

【0101】
(実施例35)
<有機薄膜トランジスタの作製>
実施例1と同様の方法で作製した印刷版原版を露光現像し、幅20μmのゲート電極パターンが形成された印刷版と、チャネル長/チャネル幅=20μm/1mmのソース電極パターンおよびドレイン電極パターンが形成された印刷版をそれぞれ作製した。まずゲート電極パターンが形成された印刷版を用いてガラス基板に導電性インキを印刷し、180℃の熱風オーブン中で1時間焼結して膜厚50nmのゲート電極を得た。次にポリビニルフェノールのイソプロピルアルコール溶液をスピンコートし、180℃の熱風オーブン中で1時間焼結し、膜厚1μmのゲート絶縁層を得た。続いてソース電極パターンおよびドレイン電極パターンが形成された印刷版を用いてゲート絶縁層上に導電性インキを印刷し、180℃の熱風オーブン中で1時間焼結して膜厚100nmソース電極/ドレイン電極を得た。さらに有機半導体層としてポリ(3−ヘキシルチオフェン)のトルエン溶液をスピンコートし、100℃で60分間乾燥して有機薄膜トランジスタを作製した。
【0102】
<有機薄膜トランジスタ特性の評価>
作製した有機薄膜トランジスタのゲート電圧(Vg)−ソース・ドレイン間電流(Isd)特性を計測解析したところ、電荷移動度2.7×10−4cm/Vs、オンオフ比5.7×10の良好なトランジスタ特性を示した。形成されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の表面粗さは測定していないが、実施例18において算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Rz)が小さく、表面平滑な印刷パターンが得られた方法と同一の印刷方法によって、表面平滑性の高いゲート電極、ソース電極、ドレイン電極が形成されたことが良好なトランジスタ特性が発現した主因であると推定できる。
【0103】
(実施例36〜40)
印刷版原版を表4に記載のものに変更した以外は実施例35と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、Vg−Isd特性を計測解析したところ、いずれも良好なトランジスタ特性を示した。評価結果を表4に示す。形成されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の表面粗さは測定していないが、実施例19〜22および24において算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Rz)が小さく、表面平滑な印刷パターンが得られた方法と同一の印刷方法によって、表面平滑性の高いゲート電極、ソース電極、ドレイン電極が形成されたことが良好なトランジスタ特性が発現した主因であると推定できる。
【0104】
(比較例13〜16)
印刷版原版を表4に記載のものに変更した以外は、実施例35と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、Vg−Isd特性を計測解析したところ、いずれもキャリア移動度の低下とオンオフ比の低下がみられ、トランジスタとしての特性が十分でないことが分かった。評価結果を表4に示す。形成されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の表面粗さは測定していないが、比較例7〜10において算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Rz)が大きく、表面平滑性の低い印刷パターンが得られた方法と同一の印刷方法によって、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の表面平滑性が低下したことがトランジスタとしての特性が十分ではなかった主因であると推定できる。
【0105】
【表4】

【符号の説明】
【0106】
1 支持体
2 親インキ層(親インキ性部位)
3 インキ剥離層(インキ剥離性部位)
4 インキ
4’ 画線部上インキ
4” 非画線部上インキ
5 ブレードコーター
6 転写胴
7 シリコーンブランケット
8 被印刷物
9 印刷パターン
10 露光により濡れ性が変化するインキ剥離層
10’ 塗れ性未変化部位(画線部)
10” 濡れ性変化部位(非画線部)
11 フォトマスク
12 紫外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上にインキ剥離性部位と親インキ性部位を有する印刷版上にインキを塗布する工程、前記インキ剥離性部位上のインキを選択的にブランケット上に転写する工程、および前記ブランケット上のインキを被印刷物に再転写する工程を有する印刷方法に使用される印刷版であって、前記インキ剥離性部位表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下であることを特徴とする印刷版。
【請求項2】
支持体上にインキ剥離性部位と親インキ性部位を有する印刷版上にインキを塗布する工程、前記インキ剥離性部位上のインキを選択的にブランケット上に転写する工程、および前記ブランケット上のインキを被印刷物に再転写する工程を有する印刷方法に使用される印刷版原版であって、支持体上に少なくとも親インキ層とインキ剥離層をこの順に有し、前記インキ剥離層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下であることを特徴とする印刷版原版。
【請求項3】
前記インキ剥離層の上に保護フィルムを有することを特徴とする請求項2に記載の印刷版原版。
【請求項4】
前記保護フィルムの前記インキ剥離層に接する表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の印刷版原版。
【請求項5】
前記親インキ層が感光層もしくは感熱層であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の印刷版原版。
【請求項6】
前記インキ剥離層がシリコーンゴム層であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の印刷版原版。
【請求項7】
前記感光層が感光性樹脂から形成されることを特徴とする請求項5に記載の印刷版原版。
【請求項8】
前記感熱層が少なくとも光熱変換物質および金属含有有機化合物を含むことを特徴とする請求項5に記載の印刷版原版。
【請求項9】
前記インキ剥離層の平均膜厚が0.1μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の印刷版原版。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれかに記載の印刷版原版をパターン加工して得られる、インキ剥離性部位と親インキ性部位を有する印刷版。
【請求項11】
支持体上にインキ剥離性部位と親インキ性部位を有し、前記インキ剥離性部位表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下であり、かつ最大高さ(Rz)が0.6μm以下である印刷版上にインキを塗布する工程、前記インキ剥離性部位上のインキを選択的にブランケット上に転写する工程、および前記ブランケット上のインキを被印刷物に再転写する工程を有する印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−131980(P2010−131980A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237000(P2009−237000)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】