説明

印刷装置、印刷方法、印刷プログラム及び記録媒体

【課題】無用なオーダーシートの印刷を防止し得る印刷装置、印刷方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】ディレクトリオーダーシート50は、インデックス形式で配置されているディレクトリ情報欄51と、ディレクトリ情報欄51に対応して配設されているディレクトリ選択欄52とが設けられている。また、ディレクトリ情報欄51(51a,51b)には、記憶手段としてのメモリーカードに記憶されているディレクトリのディレクトリ番号53a,53bと、ディレクトリを示す情報であるディレクトリ情報54a,54bとが表示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オーダーシートに基づいて印刷する印刷装置、印刷方法、印刷プログラム及び記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ機能を有する印刷装置(いわゆる複合機)において、オーダーシートを用いてメモリーカードやDVD(デジタルヴァーサタイルディスク)等の記憶媒体に記憶されている画像ファイルを選択する方法がある(特許文献1参照)。
【0003】
オーダーシートには、記憶媒体に記憶されている画像ファイルのサムネイルと各サムネイルごとに設けられた印刷選択欄とが印刷されている。ユーザは、サムネイルによって記憶媒体に記憶されている画像ファイルを確認し、そのサムネイルに対応している印刷選択欄を塗りつぶすことで印刷対象を選択する。印刷装置は、オーダーシートを読み取り、印刷選択欄が塗りつぶされているか否かによって印刷対象とする画像ファイルを判断し印刷を実行する。
【0004】
ところで、近年、HDD(ハードディスクドライブ)やDVD等のメディアに代表されるように、記憶媒体の大容量化が進んでいる。このような大容量の記憶媒体は大量の画像ファイルを保存することができるため、デジタルカメラ等で撮影された画像の保存やコンピュータで作成されたデータのバックアップなどに用いられている。
【0005】
画像ファイルを記憶媒体に保存する際、記憶媒体にはディレクトリが設けられる。ユーザは例えば観光地や花火大会などの催し物や行事ごとに撮影された複数の画像ファイル(画像ファイル群)を各ディレクトリに分類して管理する。
【特許文献1】特開2004−255729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、オーダーシートを用いて印刷対象を確認し選択しようとすると、記憶媒体に保存されている全ての画像ファイルがオーダーシートに表示される。そのため、オーダーシートが複数枚に及び、その時々において必要としない(印刷を望んでいない)画像のサムネイルが印刷された無用なオーダーシートが印刷されてしまうおそれがある。
【0007】
この発明はこうした従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、無用なオーダーシートの印刷を防止し得る印刷装置、印刷方法、プログラム及び記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、画像ファイルをディレクトリ毎に分類して記憶する記憶手段と、前記画像ファイルに対応付けられ各画像ファイルを印刷対象として選択するための印刷選択欄を有するオーダーシートを読み取るスキャナ部と、前記スキャナ部にて生成されたデータに基づいて前記オーダーシートによって選択された印刷対象を媒体に印刷するプリンタ部と、を有する印刷装置であって、前記プリンタ部は、前記ディレクトリ毎に、ディレクトリ選択欄とディレクトリ情報とを有するディレクトリオーダーシートを印刷する第1印刷部と、前記スキャナ部にて生成されたディレクトリオーダーシートのデータに基づいて選択されたディレクトリに格納された画像ファイルのオーダーシートを印刷する第2印刷部と、を備えたことを要旨とする。
【0009】
この印刷装置によれば、ディレクトリ情報が表示されるディレクトリ情報欄と、ディレクトリ選択欄とを有するディレクトリオーダーシートを得ることができる。よって、ユーザはディレクトリ情報欄によってディレクトリの情報を確認することによりオーダーシートに対応する画像ファイルをディレクトリ単位で選択することが可能となる。そのため、その時々において必要としない(印刷を望んでいない)画像のサムネイルが印刷された無用なオーダーシートが印刷されることを妨げることができる。
【0010】
上述した印刷装置においては、前記記憶手段に前記ディレクトリを作成するディレクトリ管理手段をさらに備え、前記ディレクトリ管理手段は画像ファイルを前記記憶手段に作成したディレクトリに格納するといった態様をとることもできる。
【0011】
このような印刷装置によれば、記憶手段に記憶される画像ファイルはディレクトリ管理手段によって作成されるディレクトリに分類されて格納される。よって、ユーザはディレクトリオーダーシートによってオーダーシートに対応付けられる画像ファイルを詳細に特定することが可能となる。
【0012】
上述した印刷装置においては、前記記憶手段は、前記ディレクトリと前記ディレクトリが作成される際に与えられる設定ディレクトリ情報とを関連付けて記憶し、前記設定ディレクトリ情報を参照して前記ディレクトリ情報を作成するディレクトリ情報作成手段をさらに備えるといった態様をとることもできる。
【0013】
このような構成によれば、ディレクトリに関する情報(例えば、ディレクトリを特定するためのキーワードなど)をユーザが予め設定し設定ディレクトリ情報として記憶手段に記憶することができる。また、ディレクトリ情報作成手段により設定ディレクトリ情報を参照してディレクトリ情報が作成される。よって、ユーザは設定ディレクトリ情報を確認することが可能となるためディレクトリを誤って選択するおそれが低減され、無用なオーダーシートの印刷を防止することができる。
【0014】
上述した印刷装置においては、前記設定ディレクトリ情報は、各ディレクトリに格納されている画像ファイルを示す代表ファイル情報を含み、前記第1印刷部は前記代表ファイル情報に基づいて特定される画像ファイルの縮小画像を前記ディレクトリオーダーシートに印刷するといった態様をとることもできる。
【0015】
このような印刷装置によれば、ディレクトリオーダーシートに代表ファイル情報にもとづいて特定される画像ファイルの縮小画像(サムネイル)が表示される。よって、ユーザはディレクトリに記憶された画像ファイルの内容を容易に認識することが可能となる。
【0016】
上述した印刷装置において、前記第1印刷部は、前記ディレクトリ管理手段によって前記ディレクトリが作成されるごとに前記ディレクトリオーダーシートを印刷するといった態様をとることもできる。
【0017】
このような印刷装置によれば、ユーザは記憶手段に記憶する毎に記憶手段に設けられているディレクトリを確認することができる。
上述した印刷装置においては、前記ディレクトリ情報は前記ディレクトリに格納されている画像ファイルの情報を含むといった態様をとることもできる。
【0018】
このようなディレクトリ情報によれば、ディレクトリに分類されている画像ファイルの作成日時(すなわち撮影日時)や画像ファイルのサムネイル等の画像ファイルの情報がディレクトリオーダーシートに記載される。よって、ユーザはディレクトリに記憶された画像ファイルを明確に認識することが可能となり、印刷対象とする画像ファイルが記憶されているディレクトリをより確実に選択することができる。
【0019】
本発明は、画像を読み取るスキャナ部と媒体に印刷するプリンタ部とを用いて記憶手段にディレクトリ毎に分類され記憶されている画像ファイルを印刷するための印刷方法であって、前記スキャナ部が前記画像ファイルに対応付けられ各画像ファイルを印刷対象として選択するための印刷選択欄を有するオーダーシートを読み取る処理と、前記プリンタ部が前記スキャナ部にて生成されたデータに基づいて前記オーダーシートによって選択された印刷対象を印刷する処理と、を有し、前記プリンタ部が、前記ディレクトリ毎に、ディレクトリ選択欄とディレクトリ情報とを有するディレクトリオーダーシートを印刷する第1印刷処理と、前記スキャナ部にて生成されたディレクトリオーダーシートのデータに基づいて選択されたディレクトリに格納された画像ファイルのオーダーシートを印刷する第2印刷処理と、をさらに有することを要旨としている。
【0020】
この印刷方法によれば、ディレクトリ情報が表示されるディレクトリ情報欄と、ディレクトリ選択欄とを有するディレクトリオーダーシートを得ることができる。よって、ユーザはディレクトリ情報欄によってディレクトリの情報を確認することによりオーダーシートに対応する画像ファイルをディレクトリ単位で選択することが可能となる。そのため、その時々において必要としない(印刷を望んでいない)画像のサムネイルが印刷された無用なオーダーシートが印刷されることを妨げることができる。
【0021】
本発明は、コンピュータに画像を読み取るスキャナ部と媒体に印刷するプリンタ部とを用いて記憶手段にディレクトリ毎に分類され記憶されている画像ファイルを印刷するための処理を実行させるプログラムであって、前記コンピュータは、前記プログラムに従って、前記スキャナ部が前記画像ファイルに対応付けられ各画像ファイルを印刷対象として選択するための印刷選択欄を有するオーダーシートを読み取る処理を実行し、前記プリンタ部が前記スキャナ部にて生成されたデータに基づいて前記オーダーシートによって選択された印刷対象を印刷する処理を実行し、前記コンピュータは、さらに、前記プリンタ部が、前記ディレクトリ毎に、ディレクトリ選択欄とディレクトリ情報とを有するディレクトリオーダーシートを印刷する第1印刷処理と、前記スキャナ部にて生成されたディレクトリオーダーシートのデータに基づいて選択されたディレクトリに格納された画像ファイルのオーダーシートを印刷する第2印刷処理と、を実行することを要旨としている。
【0022】
このプログラムによれば、ディレクトリ情報が表示されるディレクトリ情報欄と、ディレクトリ選択欄とを有するディレクトリオーダーシートを得るための処理をコンピュータに実行させることができる。よって、ユーザはディレクトリ情報欄によってディレクトリの情報を確認することによりオーダーシートに対応する画像ファイルをディレクトリ単位で選択することが可能となる。そのため、その時々において必要としない(印刷を望んでいない)画像のサムネイルが印刷された無用なオーダーシートが印刷されることを妨げることができる。
【0023】
本発明は、コンピュータに画像を読み取るスキャナ部と媒体に印刷するプリンタ部とを用いて記憶手段にディレクトリ毎に分類され記憶されている画像ファイルを印刷するための処理を実行させるプログラムを記録する記録媒体であって、前記コンピュータは、前記プログラムに従って、前記スキャナ部が前記画像ファイルに対応付けられ各画像ファイルを印刷対象として選択するための印刷選択欄を有するオーダーシートを読み取る処理を実行し、前記プリンタ部が前記スキャナ部にて生成されたデータに基づいて前記オーダーシートによって選択された印刷対象を印刷する処理を実行し、前記コンピュータは、さらに、前記プリンタ部が、前記ディレクトリ毎に、ディレクトリ選択欄とディレクトリ情報とを有するディレクトリオーダーシートを印刷する第1印刷処理と、前記スキャナ部にて生成されたディレクトリオーダーシートのデータに基づいて選択されたディレクトリに格納された画像ファイルのオーダーシートを印刷する第2印刷処理と、を実行することを要旨としている。
【0024】
この記録媒体に記録されたプログラムによれば、コンピュータにディレクトリ情報が表示されるディレクトリ情報欄と、ディレクトリ選択欄とを有するディレクトリオーダーシートを得るための処理を実行させることができる。よって、ユーザはディレクトリ情報欄によってディレクトリの情報を確認することによりオーダーシートに対応する画像ファイルをディレクトリ単位で選択することが可能となる。そのため、その時々において必要としない(印刷を望んでいない)画像のサムネイルが印刷された無用なオーダーシートが印刷されることを妨げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
なお、本実施形態の印刷装置は、パソコン(PC)からスキャン指示を行うネットワークスキャン機能(Scanner)、PCから印刷指示を行うネットワークプリンタ機能(Printer)、ローカルコピー機能(Copy)など、多数の機能を有するSPC複合装置である。
【0026】
図1はSPC複合装置1の斜視図であり、図2は後述する原稿台カバーを開いた状態のSPC複合装置1の斜視図である。
図1及び図2に示すように、SPC複合装置1は画像を読み取るスキャナ部2と、画像を印刷するためのプリンタ部3と、ユーザが操作するための操作パネル部4とを備える。SPC複合装置1は操作パネル部4によって操作することが可能となっており、パーソナルコンピュータなどの外部機器を介することなくスキャナ部2で読み取った画像をプリンタ部3で印刷するローカルコピー機能などの様々な機能が実現される。
【0027】
スキャナ部2はプリンタ部3の上に配置されており、そのスキャナ部2の上部には、読み取る原稿を載置するための原稿台ガラス5(図2参照)と、原稿を読み取る際や不使用時に原稿台ガラス5を覆う原稿台カバー6とが設けられている。原稿台カバー6は、開閉可能に形成され、閉止した際には原稿台ガラス5上に載置された原稿を原稿台ガラス5側に押圧する機能も有している。スキャナ部2は、内部に設けた発光部(図示略)から原稿台ガラス5を通して原稿に光を照射し、原稿による反射光をCCD(電荷結合素子)で検出することで原稿台ガラス5に載置した原稿の記載内容(画像または文章等)を読み取る。
【0028】
プリンタ部3は、カラー画像の出力が可能な構成であり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクを、印刷用紙等の媒体上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式を採用している。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いてもよい。
【0029】
操作パネル部4は、決定やキャンセル、メニュー画面の呼び出しや項目の選択などの様々なコマンドに対応するボタンが配設されている。ユーザはこれらのボタンによってSPC複合装置1を直接操作することができる。
【0030】
また、SPC複合装置1の本体側面には、外部機器と接続するための接続手段としてUSBポート7が設けられている。USBポート7は、SPC複合装置1とホストコンピュータとをUSBケーブルを介して接続する。SPC複合装置1がホストコンピュータに接続されることにより、スキャナ機能によるホストコンピュータへの画像の取り込み、プリンタ機能による印刷出力が実現される。
【0031】
また、SPC複合装置1の背面側にはプリンタ部3へ用紙を供給するための用紙供給部8(図1参照)が設けられ、その用紙供給部8には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー9(図1参照)が備えられている。SPC複合装置1の前面側の下部に、プリンタ部3で印刷された用紙を排紙する排紙部10が設けられ、その排紙部10には、不使用時に排紙口を塞ぐことが可能な排紙トレー11が備えられている。さらに、排紙部10の上部に操作パネル部4が設けられている。
【0032】
操作パネル部4のほぼ中央には、液晶ディスプレー12が設けられている。液晶ディスプレー12は、設定項目や設定状態、動作状態等を文字にて表示することが可能であるとともに、スキャナ部2で読み取った画像を表示することも可能となっている。
【0033】
また、排紙部10の右側には、メモリーカードスロット13が設けられている。このメモリーカードスロット13は、例えばPCMCIA規格に準拠しており、このような規格に準拠したメモリーカード14が着脱可能に構成されている。メモリーカードスロット13にメモリーカード14を装入することでPCを介することなく記憶媒体に記憶された画像ファイルを印刷するダイレクトプリント機能が実現される。
【0034】
メモリーカード14は、書き換え可能な不揮発性のメモリを内蔵しており、そのメモリーカード14に印刷対象となる複数の画像ファイルなどが記憶されている。なお、メモリーカード14に格納されているデータについての詳細な説明は後述する。
【0035】
次に本実施形態に係るSPC複合装置1の電気的構成について説明する。
図3は、SPC複合装置1の電気的構成を示すブロック図である。なお、図3においてはSPC複合装置1をPCなどの外部機器と接続するためのインターフェイス回路などは省略している。
【0036】
SPC複合装置1は、プリンタ部3のケース内に全体的な制御を司るメイン基板(図示略)を備える。このメイン基板には、CPU組み込みASIC(Application Specific IC)21、プログラムROM22、第1のSDRAM23、及び第2のSDRAM24、ハードディスクドライブ25が実装されている。
【0037】
ASIC21は、ASIC21に外付けされるプログラムROM22と第1のSDRAM23と操作パネル部4とが接続された内部バス21aを有する。
プログラムROM22には、CPU31により実行される制御プログラムなどが記憶されている。第1のSDRAM23には、制御プログラムを実行して処理する画像データや印刷データなどが一時的に記憶される。
【0038】
第2のSDRAM24は、スキャナ入力回路32と画像処理回路33とに接続されており、各回路32、33における処理の前後の画像データや印刷データが一時的に格納される。この第2のSDRAM24には、複数のメモリ領域(ラインバッファ24a、マイクロウィーブ(Micro Weave)バッファ24b、イメージバッファ24cなど)が確保されている。
【0039】
ハードディスクドライブ25は、大容量の記憶手段としての機能を有し画像ファイルや様々な情報が記憶されている。なお、ハードディスクドライブ25の詳しい説明は後述する。
【0040】
また、ASIC21には、CPU31、スキャナ入力回路32、画像処理回路33、メモリーカード入出力回路34、ヘッド制御ユニット35、JPEG解凍回路36が内蔵されており、それらは内部バス21aに接続されている。
【0041】
CPU31は、中央処理装置である。CPU31はプログラムROM22に記憶されている制御プログラムに基づいて各回路や機能部に対して制御信号を出力する。プリンタ部3(図1参照)はCPU31がプログラムROM22に記憶されているプログラムを実行することによって後述する第1印刷処理及び第2印刷処理を実行する第1印刷部及び第2印刷部となる。
【0042】
スキャナ入力回路32には、スキャナ部2が接続されている。スキャナ部2は、原稿台ガラス5に載置された原稿を光学的に読み取ってCCD(電荷結合素子)2aに蓄えられた電荷を、A/D変換回路2bによってA/D変換する。そして、スキャナ部2は、A/D変換されたデータをASIC21のスキャナ入力回路32に入力する。
【0043】
スキャナ入力回路32は、CPU31の制御の下、スキャナ部2から入力される各ラスタラインデータ(RGBの多諧調画像データ)をSDRAM24のラインバッファ24aに一旦蓄える。そして、スキャナ入力回路32は、取り込んだRGBデータに対してライン間補正処理を順次施し、同一ラインに対するRGBデータとして画像処理回路33に送る。
【0044】
画像処理回路33は、(解像度変換処理が施された)画像データを取り込み、色変換、ハーフトーン処理、マイクロウィーブ処理などの画像処理を行う。色変換処理は、RGBの多階調画像データから、CMYKの4色の多階調画像データに変換する処理である。ハーフトーン処理は、多階調データを面積階調データに変換する処理である。マイクロウィーブ処理は、行間の縞(バンディング)を防止すべく、ドットラインの形成方法を調節する処理である。
【0045】
この画像処理回路33において、マイクロウィーブ処理が施されたデータはマイクロウィーブバッファ24bに格納される。さらに、画像処理回路33は、そのマイクロウィーブバッファ24bに格納したデータを所定のサイズ毎に読み出して、諸情報(例えば、各色毎のノズル数、ヘッド走査回数など)に基づき並び替えた後、イメージバッファ24cに転送する。このデータ転送の結果、イメージバッファ24cには、プリンタ部3に設けられた書込キャリッジ(図示略)の走査毎の各ノズルにインクを吐出させるためのヘッド駆動データが格納される。
【0046】
イメージバッファ24cに記憶された走査毎のヘッド駆動データ(印刷データ)はCPU31によって読み出され、ヘッド制御ユニット35に転送される。ヘッド制御ユニット35は、CPU31の制御によりヘッド駆動データに基づいてプリンタヘッド35aを駆動し、インク滴の吐出の有無や、吐出するインク滴の量を制御する。これによって、スキャナ部2が読み取った画像に対するコピー印刷が実現される。
【0047】
JPEG解凍回路36は、CPU31の制御に基づいて、メモリーカード14やハードディスクドライブ25から読み出された画像ファイルに対して復号化処理を施することで、画像ファイルからRGBの多階調画像データに解凍(デコード)して、その画像データをSDRAM23に格納する。その画像データは、CPU31の制御によって画像処理回路33に転送され、上述した画像処理で印刷データに変換される。そして、印刷データに基づいてプリンタヘッド35aが駆動されることで、メモリーカード14やハードディスクドライブ25に記憶されている画像ファイルに対応した画像が印刷される。
【0048】
メモリーカード入出力回路34は、メモリーカードスロット13にメモリーカード14が装着されたときのインターフェース回路として機能する。メモリーカード14には図示しないデジタルカメラで撮影した画像ファイルが格納されている。これら画像ファイルは、RGBの画像データを例えばJPEG形式で圧縮したファイルであり、CPU31は、メモリーカード入出力回路34を介してメモリーカード14から画像ファイルを読み出し、JPEG解凍回路36やハードディスクドライブ25に転送する。
【0049】
次に、図4及び図5を用いて記憶手段としてのハードディスクドライブ25について説明する。
本実施の形態に係るハードディスクドライブ25は大容量を有し、デジタルカメラ等で撮影された画像の保管やコンピュータで作成したデータなどのバックアップなどに用いられている。なお、その他の記憶手段として例えばDVD(デジタルヴァーサタイルドライブ)等が挙げられる。なお、記憶手段はUSBポート7(図1参照)を介してSPC複合装置1の外部に設けることもできる。
【0050】
まず、図4を用いてハードディスクドライブ25に記憶されている画像ファイルについて説明する。
図4に示すように、ハードディスクドライブ25には画像ファイルがディレクトリ毎に分類されて保存されている。詳述すると、ハードディスクドライブ25には第1ディレクトリ41と第2ディレクトリ42とが設けられている。第1ディレクトリ41には例えば観光地で撮影された複数の画像に対応する画像ファイル(画像ファイル41a、画像ファイル41b、画像ファイル41c)が順に格納され、第2ディレクトリ42には花火大会で撮影された複数の画像に対応する画像ファイル(画像ファイル42a、画像ファイル42b、画像ファイル42c)が順に格納されている。なお、各ディレクトリ41、42に格納されている画像ファイル41a,41b,41c,42a,42b,42cは、画像ファイル41a,41b,41c,42a,42b,42c自身が作成された日時(例えば撮影日時)などの情報を有している。
【0051】
また、ハードディスクドライブ25には画像ファイル41a,41b,41c,42a,42b,42cとともにメタファイル43が記憶されている。
図5はメタファイル43の概略図である。図5に示すように、メタファイル43は、各ディレクトリの名称44とユーザによって予め設定された設定ディレクトリ情報45とがテキスト形式で記述されている。
【0052】
設定ディレクトリ情報45は、ディレクトリを特徴付ける情報であり、キーワード46や代表ファイル情報47等が記憶されている。設定ディレクトリ情報45は各ディレクトリ41、42ごとに設定されており、ディレクトリ41、42(図4参照)の名称44a,44bに対応してメタファイル43に記述されている。設定ディレクトリ情報45a,45bはメタファイル43によって各ディレクトリ41、42と関連付けられている。
【0053】
キーワード46は、ディレクトリに保存されている画像ファイルをユーザが容易に確認するためのものである。キーワード46はテキストの形式で記述された情報であり、第1ディレクトリ41については「観光地」がキーワード46aとして記述され、第2ディレクトリ42については「花火大会」がキーワード46bとして記述されている。
【0054】
代表ファイル情報47は、ディレクトリ内に格納されている画像ファイルを特定する情報である。代表ファイル情報47は各ディレクトリ41、42ごとに設定されている。詳述すると、第1ディレクトリ41に対応する代表ファイル情報47aには第1ディレクトリ41に格納されている画像ファイル41bの名称が記述されている。また、第2ディレクトリ42に対応する代表ファイル情報47bには第2ディレクトリ42に格納されている画像ファイル42cの名称が記述されている。代表ファイル情報47(47a,47b)として示されている画像ファイル41b、42cがディレクトリに格納されている画像ファイルを代表する代表画像ファイルとなる。
【0055】
CPU31はメタファイル43を参照することにより、各ディレクトリ41、42とキーワード46a、46bや代表画像ファイル41b、42c等の設定ディレクトリ情報45a、45bとを対応付ける。
【0056】
次に、ディレクトリオーダーシート50について説明する。
図6はディレクトリオーダーシート50の概略構成図である。図6に示すように、ディレクトリオーダーシート50は、インデックス形式で配置されているディレクトリ情報欄51と、ディレクトリ情報欄51に対応して配設されているディレクトリ選択欄52とが設けられている。
【0057】
ディレクトリ情報欄51は、ハードディスクドライブ25に設けられている各ディレクトリ41、42に対応している。詳述すると、第1ディレクトリ41に対応して第1ディレクトリ情報欄51aが設けられ、第2ディレクトリ42に対応して第2ディレクトリ情報欄51bが設けられる。
【0058】
また、ディレクトリ情報欄51(51a,51b)には、ハードディスクドライブ25に記憶されているディレクトリのディレクトリ番号53a,53bと、ディレクトリを示す情報であるディレクトリ情報54a,54bとが表示されている。
【0059】
ディレクトリ番号53a,53bは、ハードディスクドライブ25に設けられたディレクトリの名称を示している。ユーザは、ディレクトリ番号53a,53bを確認することによってハードディスクドライブ25に設けられ各ディレクトリ選択欄52に対応するディレクトリ41、42の名称を認識することができる。
【0060】
ディレクトリ情報54a,54bは、各ディレクトリ41、42を特徴付ける情報であり、各ディレクトリ41、42に対応するキーワード55a,55bと日時56a,56bとサムネイル57a,57bとが表示されている。ディレクトリ情報54a,54bは、CPU31が前述したメタファイル43に記述されている設定ディレクトリ情報45を参照して作成されている。
【0061】
キーワード55a,55bは、メタファイル43に記述されたキーワード46に基づいて作成されており、第1ディレクトリ41及び第2ディレクトリ42(図4参照)それぞれに対して「観光地」や「花火大会」などのようなテキストの形式で表示されている。
【0062】
日時56a,56bは、メタファイル43の代表ファイル情報47に基づいて設定された代表画像ファイル41b,42cが作成された日時である。(各ディレクトリ41、42の先頭に格納されている画像ファイルが作成された日時である。)ユーザはこの日時56a,56bを確認することにより画像ファイルが作成された日時(例えば催し物の開催日)を認識することができる。
【0063】
サムネイル57a,57bは、ディレクトリに保存されている画像ファイルの縮小画像である。サムネイル57a,57bが表示される画像ファイルはメタファイル43に記述されている代表ファイル情報47に基づいて決定され、代表画像ファイル41b,42cとなっている。ユーザは、サムネイル57a,57bを確認することによってそれぞれのディレクトリを代表する画像ファイルの内容を認識することができる。
【0064】
ユーザはディレクトリ情報欄51に記述されているディレクトリ番号53a,53b、キーワード55a,55b、日時56a,56b、及びサムネイル57a,57bを確認するとこにより、ディレクトリに格納されている画像ファイルを確認する。
【0065】
ディレクトリ選択欄52は、楕円状を有する閉曲線として表示されており、ディレクトリ情報欄51ごとに設けられている。ユーザはディレクトリ選択欄52の内部を塗りつぶすことによりディレクトリを選択する。
【0066】
また、ディレクトリオーダーシート50の右上にはメディア情報欄58が設けられている。メディア情報欄58は、ディレクトリオーダーシート50がSPC複合装置1に接続されているハードディスクドライブ25に対応しているかを判断するためのものであり、対応するハードディスクドライブ25を示すチェックコード58aが所定のパターンで表示されている。
【0067】
上述したディレクトリオーダーシート50を用いることにより、ユーザはハードディスクドライブ25に設けられたディレクトリに格納されている画像ファイルを確認し、印刷対称とする画像ファイルが格納されているディレクトリを的確に選択することが可能となる。
【0068】
次に、オーダーシート60について説明する。
図7はオーダーシート60の概略構成図である。図7に示すようにオーダーシート60は、ディレクトリオーダーシート50によって選択されたディレクトリに格納されている画像ファイルの縮小画像61と印刷選択欄62とが設けられている。
【0069】
縮小画像61は、インデックス形式で配置されている。ユーザは縮小画像61を確認することにより印刷選択欄62に対応する画像ファイルの内容を認識することができる。
印刷選択欄62は、楕円状を有する閉曲線として表示されている。ユーザは印刷選択欄62の内部を塗りつぶすことにより印刷対象とする画像ファイルを選択する。
【0070】
また、オーダーシート60の図7図示状態で下側の領域には、複数のサイズ指定欄63が設けられている。サイズ指定欄63は印刷サイズを指定するためのものであり、楕円状を有する閉曲線として表示されている。ユーザはサイズ指定欄63を黒く塗りつぶすことにより用紙サイズを指定する。
【0071】
また、オーダーシート60の右上にはコード印刷欄64が設けられている。コード印刷欄64は、オーダーシート60がSPC複合装置1に接続されているハードディスクドライブ25に対応しているかを判断するためのものであり、対応するハードディスクドライブ25を示すチェックコード64aが所定のパターンで表示されている。
【0072】
なお、コード印刷欄64に記載されているチェックコード64aにはハードディスクドライブ25のディレクトリに関する情報も含まれている。SPC複合装置1はチェックコード64aを読み取ることによりオーダーシート60がハードディスクドライブ25に設けられているどのディレクトリに対応しているかを判断する。
【0073】
上述したようなオーダーシート60を用いることにより、ユーザはハードディスクドライブ25内の多数の画像ファイルを認識し選択することが可能となり、印刷対象となる画像ファイルはオーダーシート60をスキャナ部2が読み取ることによって決定される。
【0074】
次に、CPU31によって実行される第1印刷処理について説明する。第1印刷処理はディレクトリオーダーシート50を印刷するための処理である。
図8はディレクトリオーダーシート50を印刷する処理(第1印刷処理)を示すフローチャートである。本処理は、例えばユーザによってコマンドが入力されたときに実行される。なお、図8の処理はプログラムROM22に記憶されている制御プログラムをCPU31が実行することにより実現される。
【0075】
まず、ステップ101(S101)において、CPU31はハードディスクドライブ25に設けられているディレクトリの個数を確認する。
次に、ステップ102(S102)において、CPU31はハードディスクドライブ25に設けられているディレクトリの個数が複数個存在するかを判断する。
【0076】
ステップ102(S102)においてディレクトリが複数個存在しなかった場合(ディレクトリが存在しない場合を含む)、本処理を終了する。
ステップ102(S102)においてディレクトリが複数個存在した場合、ステップ103(S103)に移行する。
【0077】
ステップ103(S103)において、CPU31はメタファイル43を検索し、ディレクトリごとに設定ディレクトリ情報45の有無を判断する。
ステップ103(S103)においてディレクトリに対応する設定ディレクトリ情報45が存在しなかった場合、CPU31はステップ104(S104)の処理に移行する。ステップ104(S104)においてCPU31はディレクトリ番号などディレクトリ自身が個別に有する情報をディレクトリ情報とし、ステップ105(S105)の処理に移行する。
【0078】
また、ステップ103(S103)においてディレクトリに対応する設定ディレクトリ情報45が存在する場合、CPU31はステップ106(S106)の処理に移行する。ステップ106(S106)においてCPU31は設定ディレクトリ情報をディレクトリ情報とする。詳しくは、メタファイル43に記述されているキーワード46(46a,46b)に基づいてディレクトリ情報欄51に記述されるキーワード55a,55bを作成し、代表ファイル情報47(47a,47b)に基づいて日時56a,56b及びサムネイル57a,57bを作成する。ディレクトリ情報を設定したCPU31は、ステップ105(S105)の処理に移行する。
【0079】
ステップ105(S105)において、CPU31はハードディスクドライブ25に設けられている全てのディレクトリについてディレクトリ情報が設定されたかを判断する。
ステップ105(S105)においてディレクトリ情報が全てのディレクトリに対して設定されていないと判断した場合、CPU31はステップ103(S103)の処理に移行し次のディレクトリについて同様の処理を実行する。
【0080】
ステップ105(S105)においてディレクトリ情報が全てのディレクトリに対して設定されていると判断した場合、CPU31はステップ107(S107)の処理に移行する。
【0081】
ステップ107(S107)において、CPU31はディレクトリ選択欄52とディレクトリと対応付けられたディレクトリ情報が記述されるディレクトリ情報欄51とを印刷する為の印刷データを作成しディレクトリオーダーシート50を印刷する処理を実行する。
【0082】
このような処理により、図6に示すようなディレクトリ情報54a,54bを有するディレクトリ情報欄51(51a,51b)とディレクトリ選択欄52とを有するディレクトリオーダーシート50が得られる。
【0083】
次に、CPU31によって実行される第2印刷処理について説明する。第2印刷処理は、オーダーシート60を作成するための処理である。
図9はオーダーシート60が作成されるディレクトリを特定する処理を示すフローチャートである。なお、図9の処理は、図8に示される処理と同様、プログラムROM22に記憶されている制御プログラムをCPU31が実行することにより実現される。
【0084】
なお、CPU31によってこの印刷処理が実行される前に、ユーザはディレクトリオーダーシート50に表示されているディレクトリ情報54a,54bによってディレクトリの内容を確認し、オーダーシートの作成を希望するディレクトリに対応するディレクトリ選択欄52を黒く塗りつぶす。そして、ユーザはディレクトリオーダーシート50を原稿台ガラス5に載置し、操作パネル部4を操作する。CPU31は、操作パネル部4のボタン操作を検知したとき図9の処理を開始する。
【0085】
まず、ステップ201(S201)において、CPU31は制御信号をスキャナ部2に出力し、スキャナ部2により原稿台ガラス5に載置されたディレクトリオーダーシート50をスキャンさせる。このとき、スキャナ部2の内部から原稿台ガラス5を通してディレクトリオーダーシート50に光が照射され、ディレクトリオーダーシート50による反射光がCCD2aで検出されA/D変換回路2bにて変換された読み取りデータがスキャナ部2から出力される。そして、CPU31は、その読み取りデータをスキャナ入力回路32を解して取り込み、読み取ったデータに基づいてコード化されたチェックコード58aのパターンを読み取る。
【0086】
次に、ステップ202(S202)において、CPU31は読み取ったチェックコード58aがハードディスクドライブ25の各画像ファイルに対応する正常なコードか否かを判断し、正常なコードである場合はステップ203(S203)に移行する。一方、読み取ったチェックコードが正常でない場合(ディレクトリオーダーシート50がハードディスクドライブ25に記憶されている各画像ファイルに対応するシートでない場合)、本処理を終了する。
【0087】
次に、ステップ203(S203)において、CPU31は各ディレクトリ選択欄52の選択情報に基づいてオーダーシート60を作成する対象となったディレクトリを判断しオーダーシート60を印刷する。
【0088】
次に、ステップ204(S204)において、CPU31はディレクトリ選択欄52によって選択された全てのディレクトリについてオーダーシート60を印刷する処理を実行したかを判断する。
【0089】
ステップ204(S204)において全てのディレクトリについて実行されていないと判断した場合、CPU31はステップ203(S203)に移行し、オーダーシート60を印刷する処理を実行する。
【0090】
ステップ204(S204)において全てのディレクトリについてオーダーシートを印刷する処理が実行されたと判断された場合、CPU31は本処理を終了する。
このような処理に基づきディレクトリオーダーシート50によってユーザが印刷対象とする画像ファイルが格納されているディレクトリが特定され、特定されたディレクトリのオーダーシート60のみがプリンタ部3から出力される。
【0091】
ユーザは出力されたオーダーシート60のサムネイル57a,57bを参照して画像ファイルを確認し印刷選択欄62やサイズ指定欄63などを塗りつぶす。次に、ユーザは印刷選択欄62やサイズ指定欄63が塗りつぶされたオーダーシート60をスキャナ部2にセットする。SPC複合装置1はオーダーシート60を読み取りその読み取り結果に基づいて印刷対象とする画像ファイルや画像の印刷されるサイズを特定し印刷を実行する。
【0092】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ディレクトリオーダーシート50には、ディレクトリ情報54a,54bと、ディレクトリ選択欄52とが設けられている。このようなディレクトリオーダーシート50によれば、ユーザはディレクトリ情報54a,54bによってハードディスクドライブ25に記憶されたディレクトリの内容を確認し、オーダーシート60に表示され選択対象となる画像ファイルをディレクトリ単位で選択することが可能となる。よって、その時々において必要としない(印刷を望んでいない)画像のサムネイルが印刷された無用なオーダーシートが印刷されることを妨げることができる。また、ディレクトリオーダーシート50はプリンタ部3で印刷可能なサイズの用紙に印刷されるため多くのディレクトリ情報54a,54bが表示される。よって、大きな表示画面に機械的に接続することなく1度に多くのディレクトリの内容を確認することができる。
【0093】
(2)ユーザは設定ディレクトリ情報45としてディレクトリに関する情報(例えば、ディレクトリを特定するためのキーワードなど)を予め設定し記憶手段に記憶することができる。よって、ユーザがディレクトリを誤って選択するおそれが低減され無用なオーダーシートの印刷を防止することができる。
【0094】
(3)メタファイル43には代表ファイル情報47が記憶されているため、SPC複合装置1はディレクトリオーダーシート50にユーザによって設定されたディレクトリを代表する代表画像ファイル41b,42cの情報を得ることができる。よって、ディレクトリを代表画像ファイル41b,42cのサムネイル57a,57bをディレクトリ情報欄51に表示することが可能となるため、ユーザはディレクトリに記憶された画像ファイルの内容を容易に認識することが可能となる。
【0095】
なお、上記実施の形態では、以下の態様に変更した変形例を採用してもよい。
(変形例1)上記実施形態では記憶手段としてのハードディスクドライブ25は設定ディレクトリ情報45が記述されたメタファイル43を記憶しているとしたが、このような態様に限定されない。ハードディスクドライブ25にメタファイル43(設定ディレクトリ情報45)が記憶されていない場合、図8のステップ103(S103)において設定ディレクトリ情報45が存在しないと判断されステップ104(S104)に移行する。ステップ104(S104)において、CPU31は、ディレクトリ自身が有する情報をディレクトリ情報として設定する。ここで、ディレクトリ自身が有する情報としては、例えば、ハードディスクドライブ25にディレクトリが作成された日時やディレクトリが記憶する画像ファイルの容量や数などが挙げられる。また、ディレクトリ自身の情報に限らず、CPU31によって決定される画像ファイル(例えばディレクトリの先頭に格納されている画像ファイル)の名称や作成日時(格納されている画像ファイルが複数日に亘って作成されている場合などには作成された日時の範囲)、サムネイルなどをディレクトリ情報とすることもできる。このようなディレクトリ情報によっても、ユーザはディレクトリに記憶された画像ファイルを明確に認識することが可能となり、印刷対象とする画像ファイルが記憶されているディレクトリをより確実に選択することができる。
【0096】
(変形例2)上記実施形態においては、ディレクトリ情報欄51にディレクトリ情報54a,54bとしてキーワード、日時、サムネイルとしたがこのような態様に限定されない。ディレクトリ情報54a,54bはキーワード55a,55b、日時56a,56b、サムネイル57a,57bのいずれかのみでもよく適宜変更可能である。
【0097】
(変形例3)上記実施形態では、メタファイル43には設定ディレクトリ情報45としてキーワード46と代表ファイル情報47とが記述されているがキーワード46のみが記述されていてもよく、逆に代表ファイル情報47のみが記述されていてもよい。設定ディレクトリ情報45として定義される情報は適宜変更可能である。
【0098】
(変形例4)上記実施形態において、ハードディスクドライブ25にはすでにディレクトリが設けられていたがこのような態様に限定されない。例えば、ハードディスクドライブ25にメモリーカード14から画像ファイルが転送される際にディレクトリ管理手段によってハードディスクドライブ25にディレクトリが作成されてもよい。このようなディレクトリ管理手段によれば、例えばメモリーカード14からハードディスクドライブ25に画像ファイルがコピーされる毎にディレクトリが作成される。よって、ハードディスクドライブ25に記憶される画像ファイルは確実にディレクトリごとに分類されるため、ユーザはディレクトリオーダーシートによってオーダーシートに対応付けられる画像ファイルを詳細に特定することが可能となる。なお、ディレクトリ管理手段はCPU31がプログラムROM22に記憶されているプログラムを実行することによって実現されてもよいし、新たな制御回路としてASIC21の外部に配設されてもよい。
【0099】
(変形例5)上記実施形態においては、ディレクトリオーダーシート50を印刷する処理はユーザによってコマンドが入力されたときに実行されているがこのような態様に限定されない。例えば、前述したディレクトリ管理手段によってディレクトリが作成されるごとにプリンタ部3がディレクトリオーダーシートを印刷するといった構成を用いてもよい。このようなディレクトリ管理手段によれば、ユーザは記憶手段に記憶する毎にハードディスクドライブ25に設けられているディレクトリを確認することができる。
【0100】
(変形例6)上記実施形態において、ハードディスクドライブ25にはすでにメタファイル43が記憶されていたが、ディレクトリ情報作成手段によってハードディスクドライブ25にディレクトリが作成される際に作成されてもよい。ディレクトリ作成手段は、例えば、ハードディスクドライブ25にディレクトリが作成されメモリーカード14から画像ファイルが転送される際にユーザに設定ファイル情報の作成を促す。このような構成によれば、ディレクトリに関する情報(例えば、ディレクトリを特定するためのキーワードなど)をユーザが予め設定し設定ディレクトリ情報45としてハードディスクドライブ25に記憶することができる。なお、ディレクトリ情報設定手段はCPU31がプログラムROM22に記憶されているプログラムを実行することによって実現されてもよいし、新たな制御回路としてASIC21の外部に配設されてもよい。
【0101】
(変形例7)上記実施形態においては、SPC複合装置1のプログラムROM22に記憶された制御プログラムに基づいてディレクトリオーダーシート50を印刷する処理が実行されたがこのような態様に限定されない。例えば、図8及び図9に示すような処理(第1印刷処理、第2印刷処理)を実行するためのプログラムを含むプリンタドライバとしてSPC複合装置に接続されたコンピュータにインストールすることにより上述した処理を実現することもできる。なお、プログラムはネットワークを介してダウンロードすることもできるし、プログラムを記憶する記録媒体によってインストールすることもできる。なお、変形例5及び変形例6に示したCPU31が実行しディレクトリ管理手段やディレクトリ情報作成手段としての機能を実現するためのプログラムについても同様である。
【0102】
(変形例8)上記実施形態においては、スキャナ部2とプリンタ部3とを有するSPC複合装置1において印刷装置を実現したが、コンピュータに接続されたスキャナとプリンタとによって印刷装置を実現することもできる。
【0103】
(変形例9)上記実施形態においては、ハードディスクドライブ25には2つのディレクトリ41、42が設けられているが、ハードディスクドライブ25に設けられるディレクトリの数は適宜変更可能である。
【0104】
(変形例10)上記実施形態においては、HDD25はSPC複合装置1の内部に配置されているがこのような態様に限定されず、SPC複合装置1の外部に配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】SPC複合装置を示す斜視図。
【図2】スキャナ部のカバーを開いた状態のSPC複合装置を示す斜視図。
【図3】SPC複合装置の電気的構成を示すブロック図。
【図4】記憶手段の有する画像ファイルの説明図。
【図5】記憶手段の有する設定ファイル情報の説明図。
【図6】ディレクトリオーダーシートの概略構成図。
【図7】オーダーシートの概略構成図。
【図8】ディレクトリオーダーシートを印刷する処理のフローチャート。
【図9】ディレクトリを特定する処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0106】
2…スキャナ部、3…プリンタ部、41,42…ディレクトリ、41a,41b,41c,42a,42b,42c…画像ファイル、43…設定ディレクトリ情報が記述されているメタファイル、45,45a,45b…設定ディレクトリ情報、47,47a,47b…代表ファイル情報、50…ディレクトリオーダーシート、51…ディレクトリ情報欄、52…ディレクトリ選択欄、54a,54b…ディレクトリ情報、60…オーダーシート、61…縮小画像、62…印刷選択欄。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ファイルをディレクトリ毎に分類して記憶する記憶手段と、
前記画像ファイルに対応付けられ各画像ファイルを印刷対象として選択するための印刷選択欄を有するオーダーシートを読み取るスキャナ部と、
前記スキャナ部にて生成されたデータに基づいて前記オーダーシートによって選択された印刷対象を媒体に印刷するプリンタ部と、を有する印刷装置であって、
前記プリンタ部は、前記ディレクトリ毎に、ディレクトリ選択欄とディレクトリ情報とを有するディレクトリオーダーシートを印刷する第1印刷部と、前記スキャナ部にて生成されたディレクトリオーダーシートのデータに基づいて選択されたディレクトリに格納された画像ファイルのオーダーシートを印刷する第2印刷部と、を備えた
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記記憶手段に前記ディレクトリを作成するディレクトリ管理手段をさらに備え、
前記ディレクトリ管理手段は画像ファイルを前記記憶手段に作成したディレクトリに格納する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記記憶手段は、前記ディレクトリと前記ディレクトリが作成される際に与えられる設定ディレクトリ情報とを関連付けて記憶し、
前記設定ディレクトリ情報を参照して前記ディレクトリ情報を作成するディレクトリ情報作成手段をさらに備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記設定ディレクトリ情報は、各ディレクトリに格納されている画像ファイルを示す代表ファイル情報を含み、
前記第1印刷部は前記代表ファイル情報に基づいて特定される画像ファイルの縮小画像を前記ディレクトリオーダーシートに印刷する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項に記載の印刷装置において、
前記第1印刷部は、前記ディレクトリ管理手段によって前記ディレクトリが作成されるごとに前記ディレクトリオーダーシートを印刷する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の印刷装置において、
前記ディレクトリ情報は、前記ディレクトリに格納されている画像ファイルの情報を含む
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
画像を読み取るスキャナ部と媒体に印刷するプリンタ部とを用いて記憶手段にディレクトリ毎に分類され記憶されている画像ファイルを印刷するための印刷方法であって、
前記スキャナ部が前記画像ファイルに対応付けられ各画像ファイルを印刷対象として選択するための印刷選択欄を有するオーダーシートを読み取る処理と、
前記プリンタ部が前記スキャナ部にて生成されたデータに基づいて前記オーダーシートによって選択された印刷対象を印刷する処理と、を有し、
前記プリンタ部が、前記ディレクトリ毎に、ディレクトリ選択欄とディレクトリ情報とを有するディレクトリオーダーシートを印刷する第1印刷処理と、前記スキャナ部にて生成されたディレクトリオーダーシートのデータに基づいて選択されたディレクトリに格納された画像ファイルのオーダーシートを印刷する第2印刷処理と、をさらに有する
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項8】
コンピュータに画像を読み取るスキャナ部と媒体に印刷するプリンタ部とを用いて記憶手段にディレクトリ毎に分類され記憶されている画像ファイルを印刷するための処理を実行させるプログラムであって、
前記コンピュータは、前記プログラムに従って、前記スキャナ部が前記画像ファイルに対応付けられ各画像ファイルを印刷対象として選択するための印刷選択欄を有するオーダーシートを読み取る処理を実行し、
前記プリンタ部が前記スキャナ部にて生成されたデータに基づいて前記オーダーシートによって選択された印刷対象を印刷する処理を実行し、
前記コンピュータは、さらに、前記プリンタ部が、前記ディレクトリ毎に、ディレクトリ選択欄とディレクトリ情報とを有するディレクトリオーダーシートを印刷する第1印刷処理と、前記スキャナ部にて生成されたディレクトリオーダーシートのデータに基づいて選択されたディレクトリに格納された画像ファイルのオーダーシートを印刷する第2印刷処理と、を実行する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータに画像を読み取るスキャナ部と媒体に印刷するプリンタ部とを用いて記憶手段にディレクトリ毎に分類され記憶されている画像ファイルを印刷するための処理を実行させるプログラムを記録する記録媒体であって、
前記コンピュータは、前記プログラムに従って、前記スキャナ部が前記画像ファイルに対応付けられ各画像ファイルを印刷対象として選択するための印刷選択欄を有するオーダーシートを読み取る処理を実行し、
前記プリンタ部が前記スキャナ部にて生成されたデータに基づいて前記オーダーシートによって選択された印刷対象を印刷する処理を実行し、
前記コンピュータは、さらに、前記プリンタ部が、前記ディレクトリ毎に、ディレクトリ選択欄とディレクトリ情報とを有するディレクトリオーダーシートを印刷する第1印刷処理と、前記スキャナ部にて生成されたディレクトリオーダーシートのデータに基づいて選択されたディレクトリに格納された画像ファイルのオーダーシートを印刷する第2印刷処理と、を実行する
ことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−252183(P2006−252183A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67787(P2005−67787)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】