説明

印刷装置

【課題】ベルトの緩みを正確に検出する。
【解決手段】給紙台に置かれた印刷用紙を1枚づつ取り出して搬送する第1の給紙部(10,20)と、第1の給紙部(10,20)により搬送された印刷用紙Wを所定の時期に印刷手段へ搬送する第2の給紙部(14)と、第2の給紙部(14)と第1、第2のベルト(14e、14h)を介して接続され、第2の給紙部(14)を駆動させるモータ(14c)と、第2の給紙部(14)近傍に設けられ、第2の給紙部(14)が駆動中の振動を検出する振動センサ(18)と、振動センサ(18)により検出された振動のインパルス加振に基づいて、第1、第2のベルト(14e、14h)の劣化を判定する劣化判定部(80a)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙を給紙する2次給紙ローラを回転駆動するためのベルトの緩みを精度良く検出する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な印刷装置では、給紙トレイに積置された印刷用紙が、1次給紙ローラにより1枚づつ取り出され、この取り出された印刷用紙が1次給紙ローラの下流側に設置された2次給紙ローラにより所定のタイミングで印刷部に給紙され、印刷部により印刷される。
【0003】
ここで、2次給紙ローラの回転軸は、ベルトを介してモータの回転軸と接続されており、モータの回転駆動がベルトにより伝達されて回転するようになっている。このベルトは、一般的にゴム等の弾性体により構成されているので、経年劣化により摩耗や伸びが発生し、これにより、ベルトの緩みが発生する場合があった。
【0004】
ベルトの緩みが大きくなるに従って、2次給紙ローラ部の振動は大きくなる。そして、この振動は、印刷用紙に印字するインクユニットに伝達され、この伝達された振動により、バンディングといわれる縞状の濃淡むら等の印刷不良が生じる場合があった。
【0005】
特許文献1には、現像器で発生した振動を加速度センサで検知し、検知された振動から所定周波数の振動を抽出し、この抽出された振動の振幅が閾値を超えたか否かで、現像器が寿命に達したか否かを判定する画像形成装置が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、無端ベルト部材に加わるストレスに基づく微少な変形破壊から発生する弾性波振動に基づいて、無端ベルト内部に発生する微少な変形波形を検出し、検出された変形波形に基づいて、寿命を判定する無端ベルト駆動装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−108517号公報
【特許文献2】特開2002−21952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、所定周波数の振動を抽出し、この抽出された振動の振幅が閾値を超えたか否かで、現像器が寿命に達したか否かを判定するので、2次給紙ローラにおける瞬間的に振動の振幅が大きくなる現象を捉えることができないので、モータの回転駆動を伝達するベルト緩みを正確に検出することができなかった。
【0009】
また、特許文献2に記載の無端ベルト駆動装置では、弾性波振動に基づいて、無端ベルト内部に発生する微少な変形波形を検出するので、特許文献1に記載の画像形成装置と同様に、2次給紙ローラにおける瞬間的に振動の振幅が大きくなる現象を捉えることができないので、モータの回転駆動を伝達するベルトの緩みを正確に検出することができなかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ベルトの緩みを正確に検出することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第1の特徴は、給紙台に置かれた印刷用紙を1枚づつ取り出して搬送する第1の給紙手段と、前記第1の給紙手段により搬送された印刷用紙を所定の時期に印刷手段へ搬送する第2の給紙手段と、前記第2の給紙手段と駆動伝達系を介して接続され、前記第2の給紙手段を駆動させる駆動手段と、前記第2の給紙手段近傍に設けられ、前記第2の給紙手段が駆動中の振動を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段により検出された振動のインパルス加振に基づいて、前記駆動伝達系の劣化を判定する劣化判定手段とを備えることにある。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第2の特徴は、前記劣化判定手段は、前記振動検出手段により検出された振動をフーリエ変換し、このフーリエ変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和し、この積和されたオーバーオール値に基づいて、前記駆動伝達系の劣化を判定することにある。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第3の特徴は、前記駆動伝達系の初期状態における前記振動検出手段により検出された振動に基づいて定められた前記オーバーオール値の閾値を記憶する閾値記憶手段と、を更に備え、前記劣化判定手段は、前記振動検出手段により検出された規定サイクル数分の振動をフーリエ変換し、このフーリエ変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和し、この積和されたオーバーオール値の平均が、前記閾値記憶手段に記憶された閾値を越えた場合に、前記駆動伝達系が劣化したと判定することにある。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第4の特徴は、前記駆動伝達系の初期状態における前記振動に基づいて、サイクル内の単位時間毎に定められた1サイクル分の前記オーバーオール値の閾値を記憶する閾値記憶手段と、を更に備え、前記劣化判定手段は、前記振動検出手段により検出された規定サイクル数分の振動をフーリエ変換し、このフーリエ変換された振動レベルを単位時間毎に前記オーバーオール値として積和し、この積和された規定サイクル分のオーバーオール値を前記単位時間毎に平均し、前記単位時間毎に平均されたオーバーオール値のうち1つ以上が、前記閾値記憶手段に記憶された対応する単位時間毎に定められた前記オーバーオール値の閾値を越えた場合に、前記駆動伝達系が劣化したと判定することにある。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第5の特徴は、前記劣化判定手段は、前記振動検出手段により検出された振動の振幅の最大値が所定の閾値を越えた場合に、前記駆動伝達系が劣化したと判定することにある。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第6の特徴は、前記駆動伝達系の初期状態における前記第2の給紙手段が駆動中の振動の振幅最大値に基づいて定められた閾値を記憶する閾値記憶手段と、を更に備え、前記劣化判定手段は、前記振動検出手段により検出された振動の振幅の最大値が、前記閾値記憶手段に記憶された閾値を越えた場合に、前記駆動伝達系が劣化したと判定することにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る印刷装置によれば、ベルトの緩みを正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1である印刷装置の全体構成を示す全体構成図である。
【図2】本発明の実施例1である印刷装置のサイド給紙部付近の構成を示した構成図である。
【図3】本発明の実施例1である印刷装置が備える2次給紙部の構成を示した構成図である。
【図4】本発明の実施例1である印刷装置の機能構成を示す機能構成図である。
【図5】本発明の実施例1である印刷装置の処理フローを示したフローチャートである。
【図6】(a)は、本発明の実施例1である印刷装置が備える第2のベルトの初期状態における印刷時の2次給紙ローラの回転速度の一例を示した図であり、(b)は、本発明の実施例1である印刷装置が備える第2のベルトの初期状態における振動センサにより検出された振動(加速度)の一例を示した図である。
【図7】(a)は、本発明の実施例1である印刷装置が備える第2のベルトの劣化状態における印刷時の2次給紙ローラの回転速度の一例を示した図であり、(b)は、本発明の実施例1である印刷装置が備える第2のベルトの劣化状態における振動センサにより検出された振動(加速度)の一例を示した図である。
【図8】図6(b)に示した第2のベルトの初期状態における振動センサにより検出された振動をFFT変換したFFT変換波形の一例を示した図である。
【図9】図7(b)に示した第2のベルトの劣化状態における振動センサにより検出された振動をFFT変換したFFT変換波形の一例を示した図である。
【図10】本発明の実施例3である印刷装置の処理フローを示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施例4である印刷装置の処理フローを示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施例4である印刷装置が備える第2のベルトの劣化状態におけるテスト運転時の2次給紙ローラの回転速度の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
<印刷装置の全体構成>
図1は、本発明の実施例1である印刷装置の全体構成を示す全体構成図である。
【0021】
図1に示すように印刷装置1は、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50とを備えている。
【0022】
サイド給紙部10は、印刷用紙Wが積層される給紙台11と、この給紙台11から最上位置の印刷用紙Wのみを給紙系搬送経路FR上へ搬送させる1次給紙部12と、この1次給紙部12によって搬送された印刷用紙Wを印刷部30へ搬送する2次給紙部14とを備えている。1次給紙部12により給紙系搬送経路FR上を搬送された印刷用紙Wは2次給紙部14に突き当てられることにより、印刷用紙Wの先端の位置あわせと斜行修正がなされて所定のタイミングで印刷部30へ向かって循環系搬送路CR上を搬送される。
【0023】
内部給紙部20は、印刷用紙Wが積層される給紙台21aと、この給紙台21aから最上位置の印刷用紙Wのみを給紙系搬送経路FR上へ搬送させる1次給紙部22aと、印刷用紙Wが積層される給紙台21bと、この給紙台21bから最上位置の印刷用紙Wのみを給紙系搬送経路FR上へ搬送させる1次給紙部22bと、印刷用紙Wが積層される給紙台21cと、この給紙台21cから最上位置の印刷用紙Wのみを給紙系搬送経路FR上へ搬送させる1次給紙部22cと、印刷用紙Wが積層される給紙台21dと、この給紙台21dから最上位置の印刷用紙Wのみを給紙系搬送経路FR上へ搬送させる1次給紙部22dとを備えている。
【0024】
1次給紙部22a,22b,22c,22dによりそれぞれ給紙系搬送経路FR上へ搬送された印刷用紙Wは、給紙系搬送経路FR上に設置された搬送ローラ23等の複数の搬送ローラにより給紙系搬送経路FR上を搬送され、2次給紙部14に突き当てられることにより、印刷用紙Wの先端の位置あわせと斜行修正がなされて所定のタイミングで印刷部30へ向かって循環系搬送路CR上を搬送される。
【0025】
印刷部30は、複数の印字ヘッドが組み込まれたヘッドユニット31と、ヘッドユニット31の対向面に設けられた環状の搬送ベルト32とを備えており、2次給紙部14により給紙された印刷用紙Wは、環状の搬送ベルト32内に設置された図示しない吸引手段によって搬送ベルト32上に吸着され、印刷条件により定められる速度で搬送されながら、ヘッドユニット31から吐出されたインクによりライン単位で印刷用紙Wに印刷される。
【0026】
印刷部30により印刷された印刷用紙Wは、循環系搬送路CR上に配置された搬送ローラ等によって循環系搬送路CR上を搬送される。循環系搬送路CR上には、循環系搬送路CR上を搬送された印刷用紙Wを排紙部40へ誘導するか、又は循環系搬送路CR上を再循環させるかを切り替える切り替え機構43が備えられている。
【0027】
切り替え機構43は、利用者の操作に基づいて、印刷用紙Wの片面のみを印刷する印刷モードである片面印刷モードが選択されている場合、印刷用紙Wを排紙部40へ誘導する。
【0028】
排紙部40は、印刷装置1の筐体から突出したトレイ形状をした排紙台41と、排紙台41に印刷用紙Wを誘導する一対の排紙ローラ42とを有している。そして、印刷部30により印刷された印刷用紙Wは、排紙ローラ42により排紙台41に搬送され、排紙台41に印刷面を下にして積載される。
【0029】
また、印刷用紙Wの両面を印刷する印刷モードである両面印刷モードが選択されている場合、印刷用紙Wの表面(最初に印刷される面を「表面」、次に印刷される面を「裏面」とする)印刷終了時には、切り替え機構43は、印刷用紙Wを排紙部40に誘導せずに、反転部50に誘導する。
【0030】
反転部50は、印刷用紙Wを反転させる反転台51と、循環系搬送路CRから反転台51へ印刷用紙Wを搬送し、又は反転台51から循環系搬送路CR上へ印刷用紙Wを搬送する反転ローラ52とを備えている。
【0031】
切り替え機構43により反転部50に誘導された印刷用紙Wは、反転ローラ52により循環系搬送路CRから反転台51に搬送され、所定時間経過後、反転台51から循環系搬送路CRへ搬送されることにより、循環系搬送路CRに対して表裏が反転する。そして、表裏が反転された印刷用紙Wは、循環系搬送路CR上に設けられた搬送ローラ53等の複数のローラにより循環系搬送路CR上を搬送され、2次給紙部14に突き当てられることにより、印刷用紙Wの先端の位置あわせと斜行修正がなされて所定のタイミングで印刷部30へ向かって循環系搬送路CR上を搬送される。
【0032】
<サイド給紙部10の構成>
図2は、本発明の実施例1である印刷装置1のサイド給紙部10付近の構成を示した構成図である。
【0033】
図2に示すように、2次給紙部14には、サイド給紙部10、内部給紙部20、及び反転部50の3つの経路から印刷用紙Wが搬送される。
【0034】
具体的には、サイド給紙部10から1次給紙部12により給紙系搬送経路FR上を搬送された印刷用紙W、内部給紙部20から1次給紙部22a,22b,22c,22dによりそれぞれ給紙台21a,21b,21c,21dから給紙系搬送経路FR上へ搬送され、給紙系搬送経路FR上を搬送ローラ23a,23bにより搬送された印刷用紙W、又は反転部50から反転ローラ52により循環系搬送路CR上へ搬送され、循環系搬送路CR上を搬送ローラ53a,53bにより搬送された印刷用紙Wが、循環系搬送路CR上を搬送されて、2次給紙部14に搬送される。
【0035】
そのため、搬送方向における2次給紙部14の手前には、給紙された印刷用紙Wの搬送経路と、裏面印刷の用紙が循環して搬送されてくる経路とが合流する合流地点が存在する。この合流地点を基準に、給紙機構側の経路を給紙系搬送路FRと称し、それ以外の経路を循環系搬送路CRと称している。
【0036】
1次給紙部12は、1次給紙ローラ12a,12bと、さばき板12dと、1次給紙駆動機構12cとを備えており、1次給紙駆動機構12cは、後述する制御部80からの制御信号に基づいて、1次給紙ローラ12a,12bを回転させることにより、給紙台11に積置された最上部の印刷用紙Wを給紙系搬送経路FR上へ搬送する。
【0037】
2次給紙部14は、2次給紙ローラ14a,14bを備えており、2次給紙ローラ14a,14bは、搬送された印刷用紙Wを挟み込み、間欠的に回転動作することによって、印刷用紙Wを循環系搬送路CR上へ搬送する。
【0038】
<2次給紙部14の構成>
図3は、本発明の実施例1である印刷装置1が備える2次給紙部14の構成を示した構成図である。
【0039】
図3に示すように、2次給紙部14は、回転軸P1を中心に回転するモータ14cと、モータ14cの回転軸P1の回転速度を検出するエンコーダ14nと、モータ14cの回転軸P1に固定された第1のプーリ14dと、この第1のプーリ14dに一端が掛けられた第1のベルト14eと、この第1のベルト14eの他端が掛けられた第2のプーリ14fと、第1のベルト14eのベルトテンションを調整するテンションローラ14kと、第2のプーリ14fと同軸に固定された第3のプーリ14gと、この第3のプーリ14gに一端が掛けられた第2のベルト14hと、この第2のベルト14hの他端が掛けられた第4のプーリ14jと、この第4のプーリ14jと歯車燐列して2次給紙ローラ14aの回転軸と同軸に固定された第5の歯車14Lとを備えている。
【0040】
そして、モータ14cの回転軸P1がR方向に回転すると、駆動伝達系である第1のベルト14eと第2のベルト14hとを介して、第5の歯車14Lが回転軸P2を中心にS方向に回転する。これにより、第5の歯車14Lが固定された2次給紙ローラ14aも回転軸P2を中心にS方向に回転し、2次給紙ローラ14aが回転しながら、2次給紙ローラ14a,14bで印刷用紙Wを上下方向から挟み込むことにより、印刷用紙Wを循環系搬送路CRへ搬送する。
【0041】
また、2次給紙部14の2次給紙ローラ14aの近傍には、例えば加速度センサ等で構成された振動センサ18が設けられている。例えば、振動センサ18は、2次給紙ローラ14aの回転軸P2の軸受け14mを固定するフレーム(図示しない)に固定され、軸受け14mを介して2次給紙ローラ14aから伝達される振動(加速度)を検出する。
【0042】
<印刷装置の機能構成>
図4は、本発明の実施例1である印刷装置1の機能構成を示す機能構成図である。
【0043】
図4に示すように印刷装置1は、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、搬送部60と、RAM71と、ROM72と、操作部73と、制御部80とを備えている。
【0044】
これらの構成のうち、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50とは、上述したので、説明を省略する。
【0045】
搬送部60は、給紙系搬送経路FR上や循環系搬送路CR上に配置された複数の搬送ローラ等を有しており、複数の搬送ローラを所定のタイミングで回転させることにより、印刷用紙Wを給紙系搬送経路FR上、又は循環系搬送路CR上を搬送する。また、搬送部60は、循環系搬送路CR上に配置された切り替え機構43を有しており、切り替え機構43は、循環系搬送路CR上を搬送された印刷用紙Wを排紙部40へ誘導するか、又は循環系搬送路CR上を再循環させるかを切り替える。
【0046】
RAM71は、揮発性半導体等で構成され、制御部80が各種処理を実行する上で必要なデータ等を記憶する。また、RAM71は、制御部80の指示に基づき、エンコーダ14nにより検出されたモータ14cの回転軸Pの回転速度と、振動センサ18により検出された振動データとを関連付けて記憶する。
【0047】
ROM72は、不揮発性半導体等で構成され、制御部80が実行する各種制御プログラム等を記憶している。また、ROM72は、第1、第2のベルト14e、14hの初期状態における振動に基づいて定められたオーバーオール値の閾値を記憶する。
【0048】
操作部73は、操作キーや表示/入力パネル等を備えており、利用者によって操作キーが押下操作され、又は表示/入力パネルがタッチ操作されることによって、両面/片面印刷を設定する操作信号、印刷枚数を設定する操作信号、又は印刷開始を要求する操作信号等を生成し、生成した操作信号を制御部80へ供給する。
【0049】
制御部80は、印刷装置1の中枢的な制御を行う。また、制御部80は、その機能上、劣化判定部80aと、表示制御部80bとを備える。
【0050】
劣化判定部80aは、振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動を高速フーリエ変換(以下、FFT(Fast Fourier Transform)変換という)し、このFFT変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和し、この積和されたオーバーオール値の平均である平均オーバーオール値が、ROM72に記憶された閾値を越えた場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定する。
【0051】
表示制御部80bは、劣化判定部80aにより、平均オーバーオール値がROM72に記憶された閾値を越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していることを示すメッセージを操作部73に表示させる。
【0052】
<印刷装置1の作用>
次に、本発明の実施例1である印刷装置1の作用について説明する。
【0053】
図5は、本発明の実施例1である印刷装置1の処理フローを示したフローチャートである。
【0054】
図5に示すように、制御部80は、印刷開始が要求されたか否かを判定する。具体的には、制御部80は、操作部73から印刷開始を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する(ステップS101)。
【0055】
ステップS101において、印刷開始が要求されたと判定された場合、制御部80は、印刷を開始する(ステップS102)。具体的には、制御部80の指示に基づき、サイド給紙部10又は内部給紙部20が、1次給紙部12,22a,22b,22c,22dのいずれかにより印刷用紙Wを給紙系搬送経路FR上へ搬送し、2次給紙部14の2次給紙ローラ14a,14bが回転しながら、印刷用紙Wを上下方向から挟み込み、所定のタイミングで印刷部30へ向かって循環系搬送路CR上を搬送し、印刷部30が搬送された印刷用紙Wを印刷した後、搬送部60が循環系搬送路CR上を搬送する。
【0056】
図6(a)は、本発明の実施例1である印刷装置1が備える第1、第2のベルト14e、14hの初期状態における印刷時の2次給紙ローラ14a,14bの回転速度の一例を示した図である。
【0057】
図6(a)に示すように、制御部80は、T1時点において、2次給紙部14の2次給紙ローラ14a,14bの回転を開始させる。具体的には、制御部80の指示に基づいて、モータ14cが回転軸P1を回転することにより、駆動伝達系である第1のベルト14eと第2のベルト14hとを介して、第4のプーリ14jが回転する。これにより、第5の歯車14Lが固定された2次給紙ローラ14aが回転する。
【0058】
そして、T2時点において、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度101が、予め定められた回転設定速度V1に達した後、所定時間が経過すると、制御部80は、2次給紙ローラ14aの回転速度101を回転設定速度V2で保持するように2次給紙部14を制御する。
【0059】
これにより、2次給紙ローラ14a,14bにより上下方向から挟み込まれた印刷用紙Wは、T3時点以降、ほぼ定速で、循環系搬送路CRへ搬送され、印刷部30により印刷される。
【0060】
そして、T4時点において、印刷部30により印刷用紙Wの印刷が終了すると、制御部80は、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度101を減速させる。
【0061】
次に、T6時点において、制御部80は、T1時点と同様に、2次給紙部14の2次給紙ローラ14a,14bの回転を開始させる。
このように、制御部80は、T1時点からT6時点までを1サイクルとして、繰り返し印刷用紙Wの印刷を行う。
【0062】
図6(b)は、本発明の実施例1である印刷装置1が備える第1、第2のベルト14e、14hの初期状態における振動センサ18により検出された振動(加速度)の一例を示した図である。なお、図6(b)における時間軸(x軸)と、図6(a)における時間軸(x軸)とは一致している。
【0063】
図6(b)に示すように、振動センサ18により検出された振動102は、図6(a)に示した2次給紙ローラ14a,14bの回転速度101に応じてその振幅の大きさが変動する。
【0064】
具体的には、T1時点〜T2時点の2次給紙ローラ14a,14bの回転速度101が上昇、即ち加速している間において、振動センサ18により検出された振動102の振幅は瞬間的に大きくなっており、さらに、T2時点〜T3時点及びT4〜T5時点の2次給紙ローラ14a,14bの回転速度101が下降、即ち減速している間においても、振動センサ18により検出された振動102の振幅は瞬間的に大きくなっている。
【0065】
このように、T1時点〜T2時点、T2時点〜T3時点、及びT4〜T5時点において、振動センサ18により検出された振動102の振幅が瞬間的に大きくなる部分をインパルス加振という。
【0066】
図7(a)は、本発明の実施例1である印刷装置1が備える第1、第2のベルト14e、14hの劣化状態における印刷時の2次給紙ローラ14a,14bの回転速度の一例を示した図である。
【0067】
図7(a)に示すように、制御部80は、T11時点において、2次給紙部14の2次給紙ローラ14a,14bの回転を開始させる。
【0068】
そして、T12時点において、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度101が、予め定められた回転設定速度V1に達した後、所定時間が経過すると、制御部80は、2次給紙ローラ14aの回転速度201を回転設定速度V1で保持するように2次給紙部14を制御する。
【0069】
これにより、2次給紙ローラ14a,14bにより上下方向から挟み込まれた印刷用紙Wは、T13以降、ほぼ定速で、循環系搬送路CRへ搬送され、印刷部30により印刷される。
【0070】
そして、T14時点において、印刷部30により印刷用紙Wの印刷が終了すると、制御部80は、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度101を減速させる。
【0071】
次に、T16時点において、制御部80は、T11時点と同様に、2次給紙部14の2次給紙ローラ14a,14bの回転を開始させる。
【0072】
このように、制御部80は、図6(a)と同様に、T11時点〜T16時点を1サイクルとして、繰り返し印刷を行う。
【0073】
図7(b)は、本発明の実施例1である印刷装置1が備える第1、第2のベルト14e、14hの劣化状態における振動センサ18により検出された振動(加速度)の一例を示した図である。なお、図7(b)における時間軸(x軸)と、図7(a)における時間軸(x軸)とは一致している。
【0074】
図7(b)に示すように、振動センサ18により検出された振動202は、図7(a)に示した2次給紙ローラ14a,14bの回転速度201に応じてその振幅の大きさが変動し、図6(b)に示した振動センサ18により検出された振動102と比較して、さらに振幅が大きくなっている。
【0075】
具体的には、T11時点〜T12時点の2次給紙ローラ14a,14bの回転速度101が上昇、即ち加速している間、図6(b)に示したT1時点〜T2時点の振動センサ18により検出された振動102と比較して、振動202の振幅は大きくなっている。また、同様に、T12時点〜T13時点、及びT14〜T15の2次給紙ローラ14a,14bの回転速度201が下降、即ち減速している間、図6(b)に示した振動センサ18により検出された振動102と比較して、振動202の振幅は大きくなっている。
【0076】
このように、第1、第2のベルト14e、14hの劣化状態における振動センサ18により検出された2次給紙ローラ14a,14b加速又は減速時の振動202(インパルス加振)の振幅は、第1、第2のベルト14e、14hの初期状態における振動センサ18により検出された2次給紙ローラ14a,14b加速又は減速時の振動102(インパルス加振)の振幅に比較して大きくなる。
【0077】
そして、制御部80は、印刷開始後、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度、即ち、エンコーダ14nにより検出されたモータ14cの回転軸Pの回転速度と、振動センサ18により検出された振動データとを関連付けて、RAM71に記憶させる。
【0078】
次に、制御部80の劣化判定部80aは、RAM71に記憶された振動データが規定サイクル数に達したか否かを判定する(ステップS103)。ここで、規定サイクル数とは、印刷装置1が印刷用紙Wを1枚印刷するために動作するサイクルを1サイクルとしたときに、予め設定されたサイクルの数のことをいい、例えば、1,2,4,8,16等、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0079】
ステップS103において、RAM71に記憶された振動データが規定サイクル数に達したと判定された場合、劣化判定部80aは、RAM71から、規定サイクル数分の振動データを抽出する(ステップS104)。
【0080】
次に、劣化判定部80aは、ステップS104において抽出された規定サイクル数分の振動データをFFT変換する(ステップS105)。
【0081】
図8は、図6(b)に示した第1、第2のベルト14e、14hの初期状態における振動センサ18により検出された振動をFFT変換したFFT変換波形の一例を示した図である。
【0082】
図8に示した例では、x軸に振動センサ18により検出された振動の周波数を示し、y軸に経過時間を示しており、一例として5サイクル分のFFT変換波形301を示している。
【0083】
図8に示したFFT変換波形301では、色が濃い程、その周波数帯の振動レベルが高くなるように表示されており、例えば、P1,P2の周波数帯の振動レベルが高いことがわかる。また、FFT変換波形301は、1サイクル毎に振動レベルが周期的に変動している。
【0084】
図9は、図7(b)に示した第1、第2のベルト14e、14hの劣化状態における振動センサ18により検出された振動をFFT変換したFFT変換波形の一例を示した図である。
【0085】
図9に示した例では、図8と同様に、x軸に振動センサ18により検出された振動の周波数を示し、y軸に経過時間を示しており、一例として5サイクル分のFFT変換波形401を示している。
【0086】
図9に示したFFT変換波形401では、図8に示したFFT変換波形301と同様に、色が濃い程、周波数帯の振動レベルが高くなるように表示されており、例えば、P1,P2の周波数帯の振動レベルが高いことがわかる。また、図8に示したFFT変換波形301と異なり、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度201における加速又は減速時の高周波数帯域402,403において、振動レベルが高くなっており、この振動レベルが高い高周波数帯域402,403は、各サイクルにおいて、周期的に検出されている。
【0087】
次に、図5に示すように、劣化判定部80aは、ステップS105において、FFT変換されたFFT変換波形に基づいて、単位時間毎に積和処理を実行することにより平均オーバーオール値を算出する(ステップS106)。具体的には、劣化判定部80aは、規定サイクル数分のFFT変換波形から、単位時間毎に下記の(数式1)を用いて、単位時間毎のオーバーオール値Fを算出する。ここで、単位時間とは、振動センサ18により検出される振動のサンプリング周期であり、V〜V2048は、各単位時間における1(Hz)〜2048(Hz)までの各周波数の振動レベルを示しており、Hは、ウィンドウ補正係数を示しており、ここでは、“2/3”である。
【数1】

【0088】
そして、劣化判定部80aは、算出した単位時間毎のオーバーオール値Fの平均である平均オーバーオール値を算出する。例えば、規定サイクル数が“8”である場合、各サイクル内において、単位時間毎に8つのオーバーオール値Fを加算し、この加算したオーバーオール値Fを“8”で除算することにより、オーバーオール値Fの平均値を算出する。
【0089】
さらに、劣化判定部80aは、算出された単位時間毎のオーバーオール値Fの平均値を全て加算し、この加算した値を1サイクル内の単位時間数で除算することにより、平均オーバーオール値を算出する。ここで、1サイクルが600(msec)であり、単位時間が200(μsec)である場合、1サイクル内の単位時間数は、“3000”となる。
【0090】
次に、劣化判定部80aは、ステップS106において算出された平均オーバーオール値が、ROM72に記憶されたオーバーオール値の閾値を越えたか否かを判定する(ステップS107)。ここで、この閾値は、高すぎると第1、第2のベルト14e、14hの劣化を検出できなくなり、低すぎると、第1、第2のベルト14e、14hは健全であるにもかかわらず、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定されるので、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。具体的には、図8に示した第1、第2のベルト14e、14hの初期状態におけるFFT変換波形301に基づいて、平均オーバーオール値を算出し、この算出された平均オーバーオール値から適切なマージンを加算した値を閾値として設定しておく。
【0091】
ステップS107において、平均オーバーオール値がROM72に記憶された閾値を越えたと判定された場合(YESの場合)、表示制御部80bは、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していることを示すメッセージを操作部73に表示させる(ステップS108)。例えば、表示制御部80bは、操作部73が備える表示/入力パネル上に、「2次給紙ベルトが緩んでいます。メンテナンスセンターにご連絡下さい。」等のメッセージを表示させる。
【0092】
次に、制御部80は、設定された印刷枚数分の印刷が終了したか否かを判定し(ステップS109)、設定された印刷枚数分の印刷が終了したと判定された場合は、処理を終了する。
【0093】
このように、本発明の実施例1である印刷装置1によれば、振動センサ18により検出されたインパルス加振の振動レベルが高くなると、それに伴って平均オーバーオール値が高くなり、この平均オーバーオール値が所定の閾値を越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していると判定するので、第1、第2のベルト14e、14hの緩みを正確に検出することができる。
【0094】
なお、本発明の実施例1では、振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動をFFT変換し、このFFT変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和したが、これに限らず、振動センサ18により検出された規定サイクル数分のインパルス加振の振動、即ち、2次給紙ローラ14a,14b加速又は減速時における振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動をFFT変換し、このFFT変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和するようにしてもよい。例えば、図7(a)に示したT11時点〜T13時点、及びT14時点〜T15時点における図7(b)に示した振動センサ18により検出された振動をFFT変換し、このFFT変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和する。
【0095】
これにより、2次給紙ローラ14a,14b加速又は減速時における振動センサ18により検出された振動のインパルス加振に基づいて、第1、第2のベルト14e、14hの劣化を判定するので、より素早く正確に第1、第2のベルト14e、14hの緩みを検出することができる。
【0096】
また、本発明の実施例1では、振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動をFFT変換したが、これに限らず、フーリエ変換であればよく、DFT(Discrete Fourier Transform)変換するようにしてもよい。
【0097】
また、本発明の実施例1である印刷装置1は、平均オーバーオール値が、ROM72に記憶された第2のベルト14hの初期状態における振動に基づいて定められた閾値を越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していると判定したが、これに限らない。
【0098】
例えば、本発明の実施例1である印刷装置1は、印刷開始時や所定枚数分の印刷を行う度に、振動センサ18により検出された振動に基づいて閾値を決定し、この決定された閾値をRAM71に記憶し、平均オーバーオール値が、RAM71に記憶された閾値を越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していると判定するようにしてもよい。
【0099】
また、本発明の実施例1では、印刷用紙の片面のみを印刷する片面印刷、又は印刷用紙の両面を印刷する両面印刷が可能な印刷装置1を例に挙げて説明したが、これに限らず、印刷用紙の片面のみを印刷する印刷装置や、印刷用紙Wの両面を印刷する印刷装置であってもよい。
【実施例2】
【0100】
本発明の実施例1では、振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動をFFT変換し、このFFT変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和し、この積和されたオーバーオール値の平均である平均オーバーオール値が、RAM71に記憶された閾値を越えた場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定する印刷装置1を例に挙げて説明したが、これに限らない。
【0101】
例えば、単位時間毎にオーバーオール値の平均を算出し、この単位時間毎に平均されたオーバーオール値のうち1つ以上が閾値を越えた場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定するようにしてもよい。
【0102】
そこで、本発明の実施例2では、振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動をFFT変換し、このFFT変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和し、この積和された規定サイクル分のオーバーオール値をサイクル内の単位時間毎に平均し、単位時間毎に平均されたオーバーオール値のうち1つ以上が、RAM71に記憶された対応する単位時間毎に定められたオーバーオール値の閾値を越えた場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定する印刷装置1を例に挙げて説明する。
【0103】
なお、本発明の実施例2である印刷装置1の構成のうち、ROM72以外の構成については、本発明の実施例1である印刷装置1の構成のうちそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0104】
ROM72は、不揮発性半導体等で構成され、制御部80が実行する各種制御プログラム等を記憶している。また、ROM72は、第1、第2のベルト14e、14hの初期状態における振動に基づいて定められた、サイクル内の単位時間毎に定められた1サイクル分のオーバーオール値の閾値を記憶する。
【0105】
また、本発明の実施例2である印刷装置1の作用について、本発明の実施例1である印刷装置1の作用を示した図5のフローチャートうち、ステップS106及びS107における処理のみが異なるので、ここでは、ステップS106及びS107について説明する。
【0106】
本発明の実施例2である印刷装置1が備える劣化判定部80aは、ステップS105において、FFT変換されたFFT変換波形に基づいて、単位時間毎に積和処理を実行することにより平均オーバーオール値を算出する(ステップS106)。具体的には、劣化判定部80aは、規定サイクル数分のFFT変換波形から、単位時間毎に上述した(数式1)を用いて、単位時間毎のオーバーオール値Fを算出する。
【0107】
そして、劣化判定部80aは、この積和された規定サイクル分のオーバーオール値Fをサイクル内の単位時間毎に平均し、単位時間毎に平均されたオーバーオール値Fを算出する。
【0108】
さらに、劣化判定部80aは、単位時間毎に平均されたオーバーオール値のうち1つ以上が、ROM72に記憶された対応する単位時間毎に定められたオーバーオール値の閾値を越えたか否かを判定し(ステップS107)、オーバーオール値の閾値を越えたと判定された場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定する。例えば、1サイクルが600(msec)であり、単位時間が200(μsec)である場合、1サイクル内の経過時間毎に配列された3000個のオーバーオール値と、ROM72に記憶された1サイクル内のそれぞれ経過時間に対応する3000個のオーバーオール値の閾値とを比較し、1サイクル内の経過時間毎に配列されたオーバーオール値のいずれか1つ以上が、1サイクル内の経過時間に対応するオーバーオール値の閾値を越えたか否かを判定し、オーバーオール値の閾値を越えたと判定された場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定する。
【0109】
このように、本発明の実施例2である印刷装置1によれば、単位時間毎にオーバーオール値の平均を算出し、この単位時間毎に平均されたオーバーオール値のうち1つ以上が閾値を越えた場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定するので、より正確に第1、第2のベルト14e、14hの緩みを検出することができる。
【実施例3】
【0110】
本発明の実施例1では、振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動をFFT変換し、このFFT変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和し、この積和されたオーバーオール値の平均である平均オーバーオール値が、ROM72に記憶された閾値を越えた場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定する印刷装置1を例に挙げて説明したが、これに限らない。
【0111】
本発明の実施例3では、振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動の振幅の最大値が、ROM72に記憶された閾値を越えた場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定する印刷装置1Aを例に挙げて説明する。
【0112】
なお、本発明の実施例2である印刷装置1の構成のうち、ROM72及び制御部80以外の構成については、本発明の実施例1である印刷装置1の構成のうちそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0113】
ROM72は、不揮発性半導体等で構成され、制御部80が実行する各種制御プログラム等を記憶している。また、ROM72は、第1、第2のベルト14e、14hの初期状態における検出された振動の振幅最大値に基づいて定められた閾値を記憶する。
【0114】
制御部80は、印刷装置1の中枢的な制御を行う。また、制御部80は、その機能上、劣化判定部80aと、表示制御部80bとを備える。
【0115】
劣化判定部80aは、振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動の振幅の最大値の平均である平均最大振幅が、ROM72に記憶された閾値を越えた場合に、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定する。
【0116】
表示制御部80bは、劣化判定部80aにより劣化したと判定された場合、即ち、平均最大振幅がROM72に記憶された閾値を越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していることを示すメッセージを操作部73に表示させる。
【0117】
図10は、本発明の実施例3である印刷装置1Aの処理フローを示したフローチャートである。
【0118】
図10に示すように、制御部80は、印刷開始が要求されたか否かを判定する。具体的には、制御部80は、操作部73から印刷開始を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する(ステップS201)。
【0119】
ステップS201において、印刷開始が要求されたと判定された場合、制御部80は、印刷を開始する(ステップS202)。具体的には、制御部80の指示に基づき、サイド給紙部10又は内部給紙部20が、1次給紙部12,22a,22b,22c,22dのいずれかにより印刷用紙Wを給紙系搬送経路FR上へ搬送し、2次給紙部14の2次給紙ローラ14a,14bが回転しながら、印刷用紙Wを上下方向から挟み込み、所定のタイミングで印刷部30へ向かって循環系搬送路CR上を搬送し、印刷部30が搬送された印刷用紙Wを印刷した後、搬送部60が循環系搬送路CR上を搬送する。
【0120】
そして、制御部80は、印刷開始後、図6(a)又は図7(a)に示した2次給紙ローラ14a,14bの回転速度、即ち、エンコーダ14nにより検出されたモータ14cの回転軸Pの回転速度と、図6(b)又は図7(b)に示した振動センサ18により検出された振動データとを関連付けて、RAM71に記憶させる。
【0121】
次に、制御部80の劣化判定部80aは、RAM71に記憶された振動データが規定サイクル数に達したか否かを判定する(ステップS203)。ここで、規定サイクル数とは、印刷装置1が印刷用紙Wを1枚印刷するために動作するサイクルを1サイクルとしたときに、予め設定されたサイクルの数のことをいい、例えば、4,8,16等、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0122】
ステップS203において、RAM71に記憶された振動データが規定サイクル数に達したと判定された場合、劣化判定部80aは、RAM71から、規定サイクル数分の振動データを抽出する(ステップS204)。
【0123】
次に、劣化判定部80aは、ステップS204において抽出された規定サイクル数分の振動データから、それぞれインパルス加振の振幅、即ち、最大の振幅を抽出し、この抽出された最大振幅を平均することにより平均最大振幅を算出する(ステップS205)。例えば、規定サイクル数が“8”である場合、劣化判定部80aは、各サイクルの最大振幅を加算し、この加算された最大振幅を“8”で除算することにより、平均最大振幅を算出する。
【0124】
次に、劣化判定部80aは、ステップS205において算出された平均最大振幅が、ROM72に記憶された閾値を越えたか否かを判定する(ステップS206)。ここで、この閾値は、高すぎると第1、第2のベルト14e、14hの劣化を検出できなくなり、低すぎると、第1、第2のベルト14e、14hは健全であるにもかかわらず、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定されるので、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。具体的には、図6(b)に示した第1、第2のベルト14e、14hの初期状態における振動データ102に基づいて、最大の振幅を抽出し、この抽出された振幅から適切なマージンを加算した値を閾値として設定する。
【0125】
ステップS206において、平均最大振幅がROM72に記憶された閾値を越えたと判定された場合(YESの場合)、表示制御部80bは、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していることを示すメッセージを操作部73に表示させる(ステップS207)。例えば、表示制御部80bは、操作部73が備える表示/入力パネル上に、「2次給紙ベルトが緩んでいます。メンテナンスセンターにご連絡下さい。」等のメッセージを表示させる。
【0126】
次に、制御部80は、設定された印刷枚数分の印刷が終了したか否かを判定し(ステップS208)、設定された印刷枚数分の印刷が終了したと判定された場合は、処理を終了する。
【0127】
このように、本発明の実施例1である印刷装置1によれば、振動センサ18により検出されたインパルス加振の振動レベルが高くなると、それに伴って平均最大振幅が高くなり、この平均最大振幅が所定の閾値を越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していると判定するので、第1、第2のベルト14e、14hの緩みを正確に検出することができる。
【実施例4】
【0128】
本発明の実施例1では、振動センサ18により検出された規定サイクル数分の振動に基づいて、第1、第2のベルト14e、14hの劣化を判定する印刷装置1を例に挙げて説明したが、これに限らない。
【0129】
本発明の実施例4では、エンコーダ14nにより検出された規定テストサイクル数分のモータ14cの回転軸Pの回転速度に基づいて、第1、第2のベルト14e、14hの劣化を判定する印刷装置1Bを例に挙げて説明する。
【0130】
なお、本発明の実施例2である印刷装置1の構成のうち、ROM72及び制御部80以外の構成については、本発明の実施例1である印刷装置1の構成のうちそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0131】
ROM72は、不揮発性半導体等で構成され、制御部80が実行する各種制御プログラム等を記憶している。また、ROM72は、第1、第2のベルト14e、14hの初期状態においてエンコーダ14nにより検出された規定サイクル数分のエンコード値(モータ14cの回転軸Pの回転速度)に基づいて定められた変動幅初期値及び速度ムラ量初期値を記憶する。
【0132】
制御部80は、印刷装置1の中枢的な制御を行う。また、制御部80は、その機能上、劣化判定部80aと、表示制御部80bとを備える。
【0133】
劣化判定部80aは、エンコーダ14nにより検出された規定テストサイクル数分のエンコード値(モータ14cの回転軸Pの回転速度)に基づいて算出された平均速度変動幅が、ROM72に記憶された変動幅初期値を越え、かつ、エンコーダ14nにより検出された規定テストサイクル数分のエンコード値(モータ14cの回転軸Pの回転速度)に基づいて算出された平均速度ムラ量が、ROM72に記憶された速度ムラ量初期値を越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定する。
【0134】
表示制御部80bは、劣化判定部80aにより、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定された場合、即ち、平均速度変動幅が、ROM72に記憶された変動幅初期値を越え、かつ、平均速度ムラ量が、ROM72に記憶された速度ムラ量初期値を越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していることを示すメッセージを操作部73に表示させる。
【0135】
図11は、本発明の実施例4である印刷装置1Bの処理フローを示したフローチャートである。
【0136】
図11に示すように、制御部80は、テスト運転開始が要求されたか否かを判定する。具体的には、制御部80は、操作部73からテスト運転開始を要求する操作信号が供給されたか否かを判定する(ステップS301)。
【0137】
ステップS301において、テスト開始が要求されたと判定された場合、制御部80は、テスト運転を開始する(ステップS302)。具体的には、制御部80の指示に基づき、2次給紙部14の2次給紙ローラ14a,14bが回転する。
【0138】
図12は、本発明の実施例4である印刷装置1Bが備える第1、第2のベルト14e、14hの劣化状態におけるテスト運転時の2次給紙ローラ14a,14bの回転速度の一例を示した図である。
【0139】
図12に示すように、制御部80は、T21時点において、2次給紙部14の2次給紙ローラ14a,14bの回転を開始させる。
【0140】
そして、T22時点において、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度501が、予め定められた回転設定速度V1に達すると、制御部80は、2次給紙ローラ14aの回転速度201を回転設定速度V1で保持するように2次給紙部14を制御する。
【0141】
そして、T22時点から所定時間が経過したT23時点において、制御部80は、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度501を減速させる。
【0142】
制御部80は、T21時点〜T23時点を1テストサイクルとして、T24時点〜T26時、及びT27時点〜T29時点も同様に、2次給紙ローラ14a,14bの加速運転、定速運転、及び減速運転を繰り返し実行する。
【0143】
図12に示すように、第1、第2のベルト14e、14hが劣化して緩むと、定常速度区間、即ちT22時点〜T23時点、T25時点〜T26時点、及びT28時点〜T29時点において、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度501は、Vmin〜Vmaxの変動幅が大きくなる。
【0144】
制御部80は、テスト運転開始後、2次給紙ローラ14a,14bの回転速度、即ち、エンコーダ14nにより検出されたモータ14cの回転軸Pの回転速度データをRAM71に記憶させる。
【0145】
次に、制御部80の劣化判定部80aは、RAM71に記憶された回転速度データが規定テストサイクル数に達したか否かを判定する(ステップS303)。ここで、規定テストサイクル数とは、加速運転、定速運転、及び減速運転の一連のサイクルを1テストサイクルとしたときに、予め設定されたテストサイクルの数のことをいい、例えば、1,2,4,8,16等、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0146】
ステップS303において、RAM71に記憶された回転速度データが規定テストサイクル数に達したと判定された場合、劣化判定部80aは、RAM71から、規定テストサイクル数分の回転速度データを抽出する(ステップS304)。
【0147】
次に、劣化判定部80aは、ステップS304において抽出された規定テストサイクル数分の回転速度データに基づいて、定常速度区間における平均速度変動幅VppMeanを算出する(ステップS305)。具体的には、劣化判定部80aは、規定テストサイクル数をN1とすると、規定テストサイクル数N1毎の速度変動幅Vpp(k)を、下記の(数式2)を用いて算出する。ここで、Vmax(k)は、第k番目のテストサイクルにおける2次給紙ローラ14a,14bの回転速度の最大値を示し、Vmin(k)は、第k番目のテストサイクルにおける2次給紙ローラ14a,14bの回転速度の最小値を示している。
【数2】

【0148】
そして、劣化判定部80aは、算出された規定テストサイクル数N1毎の速度変動幅Vpp(k)を下記の(数式3)を用いて平均することにより、平均速度変動幅VppMeanを算出する。
【数3】

【0149】
次に、劣化判定部80aは、ステップS306において算出された平均速度変動幅VppMeanが、ROM72に記憶された変動幅初期値VppIniを越えたか否かを判定する(ステップS306)。ここで、この変動幅初期値VppIniは、大きすぎると第1、第2のベルト14e、14hの劣化を検出できなくなり、小さすぎると、第1、第2のベルト14e、14hは健全であるにもかかわらず、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定されるので、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。具体的には、第1、第2のベルト14e、14hの初期状態においてエンコーダ14nにより検出された規定サイクル数分のエンコード値に基づいて、初期状態の平均速度変動幅を算出し、この算出された初期状態の平均速度変動幅から適切なマージンを加算した値を変動幅初期値VppIniとして設定する。
【0150】
ステップS306において、平均速度変動幅VppMeanが、ROM72に記憶された変動幅初期値VppIniを越えたと判定された場合(YESの場合)、劣化判定部80aは、ステップS304において抽出された規定テストサイクル数分の回転速度データに基づいて、定常速度区間における平均速度ムラ量F(ω,k)Meanを算出する(ステップS307)。具体的には、劣化判定部80aは、規定テストサイクル数をN1とすると、規定テストサイクル数N1毎に、第k番目の低周波帯域ωにおける周波数軸信号である速度ムラ量F(ω,k)を、下記の(数式4)を用いて算出する。ここで、f(t,k)は、第k番目のテストサイクルにおける時間軸信号を示している。
【数4】

【0151】
そして、劣化判定部80aは、算出された規定テストサイクル数N1毎の速度ムラ量F(ω,k)を下記の(数式5)を用いて平均することにより、平均速度ムラ量F(ω,k)Meanを算出する。
【数5】

【0152】
次に、劣化判定部80aは、ステップS307において算出された平均速度ムラ量F(ω,k)Meanが、ROM72に記憶された速度ムラ量初期値F(ω,k)Iniを越えたか否かを判定する(ステップS308)。ここで、この速度ムラ量初期値F(ω,k)Iniは、大きすぎると第1、第2のベルト14e、14hの劣化を検出できなくなり、小さすぎると、第1、第2のベルト14e、14hは健全であるにもかかわらず、第1、第2のベルト14e、14hが劣化したと判定されるので、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。具体的には、第1、第2のベルト14e、14hの初期状態においてエンコーダ14nにより検出された規定サイクル数分のエンコード値に基づいて、初期状態の平均速度ムラ量を算出し、この算出された初期状態の平均速度ムラ量から適切なマージンを加算した値を速度ムラ量初期値F(ω,k)Iniとして設定する。
【0153】
ステップS308において、平均速度ムラ量F(ω,k)Meanが、ROM72に記憶された速度ムラ量初期値F(ω,k)Iniを越えたと判定された場合(YESの場合)、表示制御部80bは、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していることを示すメッセージを操作部73に表示させる(ステップS309)。例えば、表示制御部80bは、操作部73が備える表示/入力パネル上に、「2次給紙ベルトが緩んでいます。メンテナンスセンターにご連絡下さい。」等のメッセージを表示させる。
【0154】
このように、本発明の実施例4である印刷装置1Bによれば、平均速度変動幅VppMeanが、ROM72に記憶された変動幅初期値VppIniを越え、かつ、平均速度ムラ量F(ω,k)Meanが、ROM72に記憶された速度ムラ量初期値F(ω,k)Iniを越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していると判定するので、第1、第2のベルト14e、14hの緩みを正確に検出することができる。
【0155】
なお、本発明の実施例4である印刷装置1Bは、平均速度変動幅VppMeanが、ROM72に記憶された変動幅初期値VppIniを越え、かつ、平均速度ムラ量F(ω,k)Meanが、ROM72に記憶された速度ムラ量初期値F(ω,k)Iniを越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していると判定したが、これに限らない。
【0156】
例えば、本発明の実施例4である印刷装置1Bは、例えば1000枚等の所定枚数の印刷を行う度に、テスト運転を行うようにすると共に、テスト運転終了後に、変動幅初期値VppIni及び速度ムラ量初期値F(ω,k)IniをRAM71に記憶するようにしてもよい。具体的には、本発明の実施例4である印刷装置1Bは、テスト運転終了時に、エンコーダ14nにより検出された規定サイクル数分のエンコード値(モータ14cの回転軸Pの回転速度)に基づいて、変動幅初期値VppIni及び速度ムラ量初期値F(ω,k)Iniを決定し、この決定された変動幅初期値VppIni及び速度ムラ量初期値F(ω,k)IniをRAM71に記憶し、次回のテスト運転開始時に、平均速度変動幅VppMeanが、RAM71に記憶された変動幅初期値VppIniを越え、かつ、平均速度ムラ量F(ω,k)Meanが、RAM71に記憶された速度ムラ量初期値F(ω,k)Iniを越えたと判定された場合、第1、第2のベルト14e、14hが劣化していると判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1,1A,1B…印刷装置
10…サイド給紙部(第1の給紙手段)
12,22a,22b,22c,22d…1次給紙部
14…2次給紙部(第2の給紙手段)
14a,14b…2次給紙ローラ
14c…モータ(駆動手段)
14d…第1のプーリ
14e…第1のベルト
14f…第2のプーリ
14g…第3のプーリ
14h…第2のベルト
14j…第4のプーリ
14L…第5の歯車
14n…エンコーダ
18…振動センサ(振動検出手段)
20…内部給紙部(第1の給紙手段)
30…印刷部
31…ヘッドユニット
40…排紙部
50…反転部
60…搬送部
71…RAM
72…ROM(閾値記憶手段)
73…操作部
80…制御部
80a…劣化判定部
80b…表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙台に置かれた印刷用紙を1枚づつ取り出して搬送する第1の給紙手段と、
前記第1の給紙手段により搬送された印刷用紙を所定の時期に印刷手段へ搬送する第2の給紙手段と、
前記第2の給紙手段と駆動伝達系を介して接続され、前記第2の給紙手段を駆動させる駆動手段と、
前記第2の給紙手段近傍に設けられ、前記第2の給紙手段が駆動中の振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段により検出された振動のインパルス加振に基づいて、前記駆動伝達系の劣化を判定する劣化判定手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記劣化判定手段は、
前記振動検出手段により検出された振動をフーリエ変換し、このフーリエ変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和し、この積和されたオーバーオール値に基づいて、前記駆動伝達系の劣化を判定する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記駆動伝達系の初期状態における前記振動検出手段により検出された振動に基づいて定められた前記オーバーオール値の閾値を記憶する閾値記憶手段と、を更に備え、
前記劣化判定手段は、
前記振動検出手段により検出された規定サイクル数分の振動をフーリエ変換し、このフーリエ変換された振動レベルを単位時間毎にオーバーオール値として積和し、この積和されたオーバーオール値の平均が、前記閾値記憶手段に記憶された閾値を越えた場合に、前記駆動伝達系が劣化したと判定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記駆動伝達系の初期状態における前記振動に基づいて、サイクル内の単位時間毎に定められた1サイクル分の前記オーバーオール値の閾値を記憶する閾値記憶手段と、を更に備え、
前記劣化判定手段は、
前記振動検出手段により検出された規定サイクル数分の振動をフーリエ変換し、このフーリエ変換された振動レベルを単位時間毎に前記オーバーオール値として積和し、この積和された規定サイクル分のオーバーオール値を前記単位時間毎に平均し、前記単位時間毎に平均されたオーバーオール値のうち1つ以上が、前記閾値記憶手段に記憶された対応する単位時間毎に定められた前記オーバーオール値の閾値を越えた場合に、前記駆動伝達系が劣化したと判定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の印刷装置。
【請求項5】
前記劣化判定手段は、
前記振動検出手段により検出された振動の振幅の最大値が所定の閾値を越えた場合に、前記駆動伝達系が劣化したと判定する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項6】
前記駆動伝達系の初期状態における前記第2の給紙手段が駆動中の振動の振幅最大値に基づいて定められた閾値を記憶する閾値記憶手段と、を更に備え、
前記劣化判定手段は、
前記振動検出手段により検出された振動の振幅の最大値が、前記閾値記憶手段に記憶された閾値を越えた場合に、前記駆動伝達系が劣化したと判定する
ことを特徴とする請求項5記載の印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−254458(P2010−254458A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109004(P2009−109004)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】