説明

印刷装置

【課題】 手書き入力等の入力手段による用紙に記録した筆圧の窪みを再現する。
【解決手段】 手書き入力などにより作成された入力文書を、平面データ及び立体データとして読み取る手段と、インパクト方式により立体データを、インクジェット方式により平面データをそれぞれ出力文書として生成する印刷手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書き等による筆圧を再現する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置では、通常、入力されるデータは平面データであり、当該平面データを印刷していた。
【0003】
例えば、筆圧再現用の濃淡データを有するフォントを印刷することが特許文献1に記載されている。
【0004】
また、特許文献2のように筆圧検知機能付き入力ペンからのデータに応じて線画の幅を反映した印刷を行うことも知られている。
【0005】
また、凹凸情報を読み取る画像読取装置として、特許文献3、特許文献4等が知られている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−238066号公報
【特許文献2】特開2002−312113号公報
【特許文献3】特開2005−331934号公報
【特許文献4】特開2005−078335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、手書き入力等による入力手段を用いて作成した文書を複製する際、複写機等による従来の濃淡を付加した印刷処理だけでは、用紙に記録された筆圧が損なわれてしまい、同一文書の複製の再現としては十分ではなかった。
【0008】
本発明の目的は、用紙に記憶された筆圧による窪みを再現可能な印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、用紙に記録された色情報を平面データとして、且つ筆圧による窪みを立体データとして読み取る入力処理手段と、該入力処理手段で読み取った平面データ及び立体データを記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された平面データ及び立体データとにより筆圧情報を含む複製物を生成する印刷手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記印刷手段は、前記立体データを生成するインパクト方式ヘッドと、前記平面データを印刷生成するインクジェット方式ヘッドとを有することを特徴とする。
【0011】
また、前記記憶処理手段で記憶した平面データ及び立体データを、表示・コピー・切り出し・貼り付け処理する加工処理手段を有することを特徴とする。
【0012】
さらに、前記加工処理手段で加工処理された平面データ及び立体データを前記記憶手段に記憶する記憶処理手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、手書きによる筆圧で用紙に生じた窪みを再現した印刷複製物を出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかる実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明に関する印刷装置の基本構成を示すブロック図である。
【0016】
入力処理手段2は、色鉛筆やサインペン等の筆記具を用いて作成された入力文書1を、平面データ10及び立体データ11として読み取る。この入力処理手段2としては、凹凸情報読取スキャナ等、公知の技術を利用できる。
【0017】
記憶処理手段3は、平面データ10及び立体データ11の関連付けを行い、読み取り結果9として記憶媒体4に記憶する。
【0018】
印刷手段5は、入力処理手段2で読み取った平面データ10及び立体データ11、若しくは記憶媒体4に記憶されている読み取り結果9を、筆圧処理機能6及び、着色処理機能7により、出力文書8を印刷する。
【0019】
加工処理手段12は、記憶媒体4に既に記憶されている読み取り結果9を、読み出し機能30でデータとして読み出し、表示機能25で表示し、切り出し機能26、コピー機能27、貼り付け機能28等で文書の加工を行い、加工処理後のデータを、保存機能29で、記憶処理手段3により、記憶媒体4に記憶する。
【0020】
次に、図2を用いて、本発明の入力処理手段2及び、記憶処理手段3について説明する。図2は、本発明のデータ読取処理及びデータ記憶処理を示した説明図である。入力文書1は、例えば、用紙に、人による手書きで作成されたものである。ここでは、用紙は葉書等の厚紙とした。
【0021】
窪み13は、入力文書1の一部を拡大し、用紙の側面(厚さ方向)から見たものである。入力文書1を入力処理手段2で読み取った結果が、平面データ10としての縦座標15並びに横座標16並びに色18であり、立体データ11としての縦座標15並びに横座標16並びに筆圧17である。
【0022】
記憶処理手段3は、平面データ10及び、立体データ11の関連付けを行い、読み取り結果9として、ファイル化してHDD等の記憶媒体4に記憶する。
【0023】
次に、本発明の印刷手段について説明する。図3は、本発明の印刷手段による印刷処理を示した説明図である。
【0024】
本実施例では、印刷手段5として、インパクト方式及びインクジェット方式のヘッドを双方備える。インパクト方式ヘッドは、用紙に窪みを生じさせる目的で使用する。また、インクジェット方式ヘッドは、着色させる目的で用いる。
【0025】
印刷手段5の筆圧処理機能6は、入力処理手段2で読み取った立体データ11、若しくは記憶媒体4から読み出した読み取り結果9を元に、立体データ11の縦座標15及び横座標16で示す座標位置に、立体データ11の筆圧17の値を使用して、インパクト方式により筆圧情報を用紙に形成する。これにより、筆圧17による窪みのみを印刷することで筆圧情報が形成された出力文書14を作成する。
【0026】
着色処理機能7は、筆圧処理機能6が終了すると、平面データ10の縦座標15及び、横座標16で示す座標位置に、インクジェット方式により色18を着色する。
【0027】
上記のように、本実施例においては、インパクト方式で印字後、インクジェット方式で印刷する。そのため、シリアル方式ヘッドの場合は、主走査方向において、インパクト方式ヘッド、インクジェット方式ヘッドの順に配置するのが好ましい。また、ライン型ヘッドの場合、用紙搬送上流側にインパクト方式ヘッド、その下流にインクジェット方式ヘッドを配置する。なお、ライン型ヘッド方式においては、用紙を一時的に静止させた上でライン型ヘッドを移動させる構成でも構わない。
【0028】
次に、記憶処理手段3によって記憶媒体4に記憶される、読み取り結果9の加工処理手段12について説明する。図4は、加工処理手段12による加工処理を示した説明図である。
【0029】
加工処理手段12は、入力処理手段2で読み取った画像データを編集する機能を有しており、具体的には、表示機能25、切り出し機能26、コピー機能27、貼り付け機能28、保存機能29、読み出し機能30を備えている。以下、各機能について説明する。
【0030】
読み出し機能30は、記憶媒体4に記憶されている読み取り結果を読み出す機能である。表示機能25は、記憶媒体4から読み出したデータを文書として表示手段(図示せず)に表示する機能である。切り出し機能26は、操作手段(図示せず)から入力された編集情報に基づき、文書の一部を切り取り、切り出し文書を作成する機能である。コピー機能27は、文書データをコピーする機能である。貼り付け機能28は、文書データに、切り出し文書を貼り付ける機能である。保存機能29は、記憶処理手段3を使用して、加工処理済データ24を記憶媒体4に記憶保存する機能である。
【0031】
例えば、ユーザによる読み取り結果の編集処理を考える。記憶媒体4に記憶されている読み取り結果のデータのリストを表示手段に表示し、操作手段からのユーザの入力値によりユーザが編集したい少なくとも一つのデータが特定される。そして、読み出し機能30により、記憶手段4から読み取り結果A19及び読み取り結果B20が読み出される。次に、表示機能25により、読み取り結果A19及び読み取り結果B20を、文書A22及び文書B23として表示する。次に、操作手段からの入力により、編集処理(切り出し機能26、コピー機能27、貼り付け機能28)が適宜行われる。切り出し機能26により、文書A22の一部を切り取り、切り出し文書31が作成される。コピー機能27により、文書B23がコピーされる。貼り付け機能28により、コピーされた文書B23に、切り出し文書31が貼り付けられる。これにより、加工データ24が作成される。編集処理後のデータは、保存機能29により、読み取り結果C21として記憶媒体4に記憶される。
【0032】
本発明は、手書き入力等の入力手段を用いた文書の筆圧を記憶し、再現した印刷が可能となる。また、文書データの一部にのみ筆圧を再現した印刷をしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の基本構成を示したブロック図である。
【図2】本発明のデータ読み取り処理及び、データ記憶処理を示した説明図である。
【図3】本発明の印刷処理を示した説明図である。
【図4】本発明の加工処理を示した説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1:入力文書、2:入力処理手段、3:記憶処理手段、4:記憶媒体、5:印刷手段、6:筆圧処理機能、7:着色処理機能、8:出力文書、9:読み取り結果(記憶データ)、10:平面データ、11:立体データ、12:加工処理手段、13:窪み、14:筆圧処理の出力文書、15:縦座標、16:横座標、17:筆圧、18:色、19:読み取り結果A、20:読み取り結果B、21:読み取り結果C、22:文書A、23:文書B、24:加工データ、25:表示機能、26:切り出し機能、27:コピー機能、28:貼り付け機能、29:保存機能、30:読み出し機能、31:切り出し文書。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に記録された色情報を平面データとして、且つ筆圧による窪みを立体データとして読み取る入力処理手段と、該入力処理手段で読み取った平面データ及び立体データを記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された平面データ及び立体データとにより筆圧情報を含む複製物を生成する印刷手段と、を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷手段は、前記立体データを生成するインパクト方式ヘッドと、前記平面データを印刷生成するインクジェット方式ヘッドとを有することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記記憶処理手段で記憶した平面データ及び立体データを、表示・コピー・切り出し・貼り付け処理する加工処理手段を有することを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記加工処理手段で加工処理された平面データ及び立体データを前記記憶手段に記憶する記憶処理手段を有することを特徴とする請求項3記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−5931(P2010−5931A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168166(P2008−168166)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】