説明

原子線源および表面改質装置

【課題】使用条件が異なる場合に容易に対応できる汎用性をもたせると共に、ビーム照射中に電子ビームの分布を変更することにより、リアルタイムに基板の処理状態を制御可能にする。
【解決手段】陰極としての放電容器1の内部に、陽極となる棒状の電極2を2本配置し、これらの電極2に直流電源6を接続して電圧を印加する。また、2本の電極2の間に1本の棒状の絶縁体3を配置し、かつ、絶縁体3を絶縁体駆動部20により上下左右に移動可能な構造にする。さらに、放電容器1には、容器内でプラズマを発生させるために必要なガスを導入するガス供給口4、および電子ビームを放出する放出部であるビーム放出孔5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体製造プロセスなどにおいて、ドライエッチング,表面クリーニングなどを行うための原子線(電子ビーム)を発生する原子線源に関し、特に照射範囲における処理速度の均一性が要求されるような場合に好適な原子線源、および、その原子線源を用いた表面改質装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の原子ビームの発生装置では、被処理基板内での処理速度の均一性を得るために、被処理基板を回転させたり、ビームの放出孔の分布やその孔径を最適化する方法、あるいは放出孔が設けられている部分の板厚に変化をもたせて最適化する方法があった。
【0003】
図12は特許文献1に記載された従来の原子線源の構成例を図である。
【0004】
図12において、101はガスノズル、102は直流電源、103はビーム放出用電極、104は原子ビーム、105は陽極、108a〜108cはビーム放出孔、109は試料、110は回転台を示している。
【0005】
図13は特許文献2に記載された従来の原子線源の他の構成例を示す図である。(a)は一部断面した斜視図、(b)は放電電極の断面図である。
【0006】
図13(a),(b)において、210はプラズマ空間、212は放電容器、214はガス導入口、216はガス導入電極、218は原子ビーム放出孔、220は放出電極、222は電極、224はガス導入管、228は直流電源を示している。
【特許文献1】特開平8−255698号公報
【特許文献2】特開平10−106798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1,2に記載の従来の構成では、原子ビームと被処理基板との距離,角度などを変更したり、あるいは異なる装置に取り付けたりするなど、使用条件が異なる場合には、電子ビームの放出孔の分布,孔径,厚みを最適化し直す必要があり、このため、放出孔が設けられている放出孔電極を新たに作成し直す必要がある。よって、被処理基板の処理均一化にはコストと、期間がかかるという課題を有していた。
【0008】
また、放出孔の分布,孔径,厚みは、基板をビームで照射している間に変更することは困難であった。このため、ビーム照射中に電子ビームの分布を変更することができないという問題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、使用条件が異なる場合に容易に対応できる汎用性をもたせると共に、ビーム照射中に電子ビームの分布を変更することにより、リアルタイムに基板の処理状態を制御することができる原子線源および表面改質装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の原子線源に係る発明は、陰極として作用して内部にプラズマを発生させ、イオンあるいは原子を放出する筒状体と、前記筒状体の一部に開口され、前記イオンあるいは原子を外部に放出する放出部と、前記筒状体の内部に配置される陽極と、前記放出部と前記陽極とに電気的に接続され、電圧を印加して前記筒状体内に前記プラズマを発生させる電源と、前記筒状体の内部に配置される絶縁体とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の原子線源において、筒状体の内部で放出部に対して絶縁体を変位させる絶縁体駆動部を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の原子線源において、陽極の任意の2点の端面から絶縁体の中心までの距離を、それぞれ同じ距離に設定したことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3いずれか1項記載の原子線源において、陽極を、リング状電極あるいは2つの棒状陽極としたことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4いずれか1項記載の原子線源において、絶縁体の形状を、絶縁体の中心線に対して対称な形状にしたことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、筒状体内部にプラズマを発生する原子線源からイオンあるいは原子を対象物に放出して該対象物の表面改質を行う表面改質装置において、前記電子線源として請求項1〜5のいずれか1項記載の原子線源を使用し、該電子線源のイオンあるいは原子を放出する放出中心軸を、前記対象物の載置平面に垂直な軸線に対して任意の角度に傾けて設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、原子線と被処理基板との距離,角度などを変更すること、あるいは異なる装置に取付けることなど、使用条件が異なる場合にも容易に対応できると共に、電子線照射中に電子線の分布を変更することにより、リアルタイムに基板の処理状態を制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明に係る原子ビーム源の実施形態の概略構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【0019】
図1の実施形態1の原子ビーム源10では、直方体の筒状体である陰極としての放電容器1の内部に、陽極となる棒状の電極2が2本配置されており、これらの電極2が直流電源6に接続されて電圧を印加できるようになっている。また、2本の電極2の間に1本の棒状の絶縁体3が配置されており、図中の矢印で示すように、絶縁体駆動部(後で詳述する)20により、絶縁体3が上下左右に移動可能な構造になっている。さらに放電容器1には、容器内でプラズマを発生させるために必要なガスを導入するガス供給口4、および電子ビームを放出する放出部であるビーム放出孔5が設けられている。
【0020】
この例では放電容器1の外周形状は直方体状の筒状体であるが、図2に示すような円柱形,立方体,球形,多面体など、どのような形状でもよい。この放電容器1は、ステンレス,アルミニウムなどの導電体で形成され、電極2との間に電圧を印加してプラズマを発生させるが、放電容器1を接地することが一般的である。そして内部で発生するプラズマにより放電容器1が削られることを防ぐために、容器内面にカーボンなどスパッタ率の低い材料を用いることがよい。
【0021】
前記電極2については、本例では円柱形状のものを2本配置しているが、断面形状は、四角,多角形など、どのような筒状形状のものでもよい。例えば、図2に示す本実施形態の原子ビーム源の変形例のような円柱状の放電容器1の場合(図1に示す部材と対応する部材には同一符号を付して説明は省略する)は、電極2をリング状のものにしている。この電極2の材料も実施形態1における放電容器1の内側と同様に、カーボンなどを用いるのがよい。さらに電極2の形状は、図1に示すような棒状、図2に示すようなリング状のほかにも、多角形,板状の電極に複数の任意の形状の孔を穿設したものなどでもよい。
【0022】
図3(a),(b)は本発明に係る表面改質装置の実施形態の構成を示す説明図であり、本例では図1に示す構成の原子ビーム源10を使用している。
【0023】
図3において、原子ビーム源10におけるイオンあるいは原子ビーム11を放出する放出中心軸Mを、表面改質の対象物である基板8を載置する基板保持台9の載置平面に垂直な軸線Nに対し、任意の角度θに傾けて設置することが可能になっている。
【0024】
このため、原子ビーム源10から基板8に対して電子ビーム11を照射する際には、図3(a)に示すように、基板8の表面に対して原子ビーム11が垂直になるようにしたり、図3(b)に示すように、任意の角度θをもつようにして照射してもよい。また、図3(b)では、原子ビーム源10の電極2および絶縁体3が基板8の表面と平行になるように配置しているが、電極2および絶縁体3が基板8の表面と平行にならないような配置であってもよい。
【0025】
図4は本原子ビーム源10における原子ビームの動作原理の説明図を示しており、原子ビームを動作させるには、先ず、直流電源6以外の構成要素を真空容器1内に入れて十分に排気した後、ガス供給口4からガス(本例ではアルゴン)を導入する。ここで真空容器1外に設置された直流電源6によって、電極2と放電容器1の間に電圧を印加する。これにより電極2と放電容器1の間に放電が生じてプラズマが発生し、アルゴンイオンと電子が生成される。
【0026】
図4のような構成では、中央付近で発生した電子は、2つの電極(陽極)2からの引力および放電容器(陰極)1からの斥力がほぼ左右対称に働き、放電容器1内の中央を上下方向に往復運動を繰り返すことになり、中央の上下に電子密度の大きな部分ができる。中央付近以外で発生した原子は、電極2の引力および放電容器からの斥力により、電極(陽極)2へ引きつけられる。
【0027】
また、アルゴンイオンは、中央付近では、電極(陽極)2からの斥力、放電容器(陰極)1からの引力によって、上または下方向に加速し、ビーム放出孔5に向かって加速されたイオンが、ビーム放出孔5の手前、あるいはビーム放出孔5にて電子と衝突,再結合をして中性原子になる。イオンと電子の衝突においては、電子の質量がイオンに比べて無視できるほどに小さいので、アルゴンイオンの運動エネルギーは、そのまま原子に受け継がれて高速の原子ビームが放出される。その他のイオンは放電容器(陰極)1に引き付けられるか、電子と衝突して中性原子になる。
【0028】
このような動作原理であるため、2つの電極2からの等距離にある面,線、あるいは点においては、アルゴンイオンおよび加速されたアルゴン原子の密度が大きくなり、ひいては電子ビームの強度が強くなるという構造になっている。電極が2本の棒でなくて、孔を有する板状のものの場合でも、電極2の各部から等距離にある面,線,点においても同様である。したがって、このような位置関係にある部位に絶縁体3を配置することが放電容器1内のプラズマ状態に大きな影響を与え、放電容器1から放出される電子ビームの分布、基板処理の均一性を制御するために有効である。
【0029】
また、上述した構造上、電極2から等距離にある面,線,点に対してプラズマおよび電子ビームの分布は対称になるため、放出される電子ビームの分布の均一性、すなわち、基板処理の均一性向上のためには、絶縁体3の形状も、この面,線,点に対して対称な形状にすることがよい。さらに、絶縁体3は1個である必要はなく、複数の絶縁体3を電極2から等距離にある面,線,点に対して対称に配置してもよい。
【0030】
前記絶縁体3については、図1では円柱形状の例を示したが、図2のような円板状のものなど、どのような形状でもよい。
【0031】
図5(a)〜(h)は電極2が2本の棒状の場合における絶縁体3の各種形状例を示す原子ビーム源の断面図であって、断面形状は、(a)に示す四角あるいは多角形、(b)に示す楕円、(c)に示す十字、(d)に示すひし形、(e)に示すリング、(f)に示すフリー曲線、(g),(h)に示す複数の円形形状で作成したものなど、どのようなものでもよい。
【0032】
図6(a)〜(d)は電極2が棒状でない場合の絶縁体3の各種形状例を示す図であって、(a),(b)に示すように、電極2がリング状の場合は絶縁体3としては球状、あるいは棒状(断面は任意形状)にしたり、中心軸に対して軸対称な任意の形状が可能であり、(c)に示すように、電極2が多角形に孔が形成された形状の場合も同様である。
【0033】
また(d)に示すように、板状の電極2に複数の孔2aが形成された形状の場合には、各孔2aに対してそれぞれ球状、棒状または軸対称な任意の形状の絶縁体3を配置する。このように、電極2に複数の孔2aがある場合は、全ての孔2aに絶縁体3を配置する必要はなく、一部の孔2aに配置するだけでもよい。
【0034】
絶縁体3の材質としては、高温になる場合があるので、アルミナなどセラミックなどが望ましい。
【0035】
図7は絶縁体の構成を示す断面図であって、(a),(b)に示す断面が円形あるいは四角形の中実体で全体が絶縁体3のもの、あるいは(c),(d)に示すように、導電体21の表面に絶縁体3の膜を形成したもの、あるいは(e),(f)に示すように、中空の導電体21の表面に絶縁体3の膜を形成したもの、あるいは(g),(h)に示すように、中空の導電体21の内外周に絶縁体3の膜を形成したものでも同様の効果が得られる。
【0036】
また、ビーム放出孔5については、図1,図2に示したように、孔部が略均一に配置してあればよく、この放出孔の孔形状も一般には円形が加工も容易でよいが、その他の形状であってもよい。
【0037】
図8(a)〜(d)は図1に示す構成の原子ビーム源内の絶縁体3の位置変位の説明図、図9は絶縁体が図8(a)〜(d)に示す位置のときの原子ビームから放出されるビームの強度分布の実測図である。
【0038】
図8において、(a)は絶縁体がない場合、(b)は絶縁体3が中央に配された場合、(c)は絶縁体3が下部(ビーム放出孔5側)に配された場合、(d)は反対に絶縁体3が上部に配された場合を示す。
【0039】
電子ビーム照射対象である基板表面に対して、垂直に原子ビームを照射した場合には、このビームの強度分布は、原子ビームによる処理速度(例えば、基板表面の加工速度など)の分布と一致する。以下では、基板の処理速度の分布と絶縁体の位置の関係を説明するが、原子ビームの強度分布についても同様のことが言える。
【0040】
図9に示すように、絶縁体3がない図8(a)の場合では、中央部での処理速度が大きくなっているのに対し、絶縁体3を2つの電極2の中央に配置した図8(b)の場合では、全体的に均一になる。また、図8(c)に示すように絶縁体3をビーム放出孔5側に移動すると、中央を対称軸として2つの山ができる分布になり、図8(d)に示すように、反対に絶縁体3を放出孔5から離れる方向に移動すると中央の処理速度が非常に大きくなる。
【0041】
このように絶縁体3の位置を変化させることで、処理速度の分布を変化させることができる。ここでは、絶縁体3を上下方向に移動した場合の例を示したが、絶縁体3を左右に移動した場合にも処理速度の分布を変化させることができる。
【0042】
さらには、処理中の基板上の膜厚をリアルタイムで測定して、その結果をフィードバックして、上述したように絶縁体3の位置を移動させることにより、さらに処理速度の均一性を向上させることができる。
【0043】
例えば、図1に示すような原子ビーム源の構成において、処理対象の基板の外周部の処理速度を大きくしたい場合は、図8(c)に示すように、絶縁体3をビーム放出孔5側へ移動させる。また、逆に基板中央部の処理速度を大きくしたい場合は、図8(d)に示すように、絶縁体3をビーム放出孔5側から遠ざける方向へ移動させることによって、制御することができる。また、基板の均一処理だけでなく、基板表面に凹凸加工をしたい場合には、処理中に絶縁体3を移動させることで実現可能となる。
【0044】
図10は本実施形態に適用される絶縁体駆動部の構成例を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図である。
【0045】
図10において、絶縁体駆動部20は、放電容器1に設けられた長孔23の範囲で、柱状の絶縁体3を上下移動可能にボルト24などで固定する構成になっており、長孔23における外部に対して開いている部分(ボルト24の頭部で被覆されない部位)を被覆用の板(図示せず)などで塞ぐことができるようにしてある。
【0046】
この構成により、原子ビーム源を取り付ける装置を変更したり、あるいは原子ビーム取り付け位置を変更したり、あるいは基板ごとに原子ビームによる基板処理速度の分布を変更するなど、基板の処理速度の分布をビーム照射中に変更する必要がない場合に、絶縁体3の位置を放電容器1に設けられた長孔23の範囲内で移動することができる。
【0047】
なお、図10に示す構成において、絶縁体3は、放電容器1でなく、電極2など他の部分に固定してもよい。また単純な長孔23だけでなく、絶縁体3を移動させたい範囲によっては、それに適合する孔形状にする。
【0048】
図11は本実施形態に適用される絶縁体駆動部の他の構成例を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図である。
【0049】
図11において、絶縁体駆動部20は、原子ビーム照射中に絶縁体3を移動させる必要がある場合には、例えばモータ25の動力を、ボールねじ26およびガイド27に連結されたシャフト28などを介して絶縁体3に伝達することで、絶縁体3の位置を移動させ、上述したように基板の処理速度の分布を制御することを可能にしている。
【0050】
この際、移動するシャフト28と放電容器1との隙間からガスの漏れを防止するために、本例ではベローズ29を使用している。ベローズ29以外にもマグネットカップリング、あるいはOリングなどによるシール方法を用いてもよい。
【0051】
前記モータ25,ボールねじ26,ガイド27などが真空中において使用可能な構造のものであれば、図11のような構造全体を真空容器1内に配置することができる。しかし、モータ25,ボールねじ26,ガイド27などが真空中で使用不可能なものであれば、図11中にYで示した面と原子ビームを設置する真空容器1の壁との間で適宜シールすることにより、モータ25,ボールねじ26,ガイド27などを大気中に配置することができ、図11のような構成で実現可能になる。
【0052】
なお、前記構成例以外にも、各種機構により絶縁体を移動させる構成は実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、原子ビームと被処理基板との距離、角度などを変更すること、あるいは異なる装置に取付けることなど、使用条件が異なる場合にも容易に対応できると共に、電子ビーム照射中に電子ビームの分布を変更することにより、リアルタイムに処理対象である基板の処理状態を制御することができるという特徴を有し、半導体製造プロセスなどにおいて、照射範囲における処理速度の均一性あるいは処理速度分布の制御が要求されるような場合などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る原子ビーム源の実施形態の概略構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図
【図2】本実施形態の変形例である円柱状の放電容器を一部断面して示す斜視図
【図3】(a),(b)は本発明に係る表面改質装置の実施形態の構成を示す説明図
【図4】本実施形態の原子ビーム源における原子ビームの動作原理の説明図
【図5】(a)〜(h)は本実施形態の電極が2本の棒状の場合における絶縁体の各種形状例を示す原子ビーム源の断面図
【図6】(a)〜(d)は本実施形態の電極が棒状でない場合の絶縁体の各種形状例を示す図であり、(a),(b)は斜視図、(c),(d)は上図が平面図、下図が断面図
【図7】(a)〜(h)は本実施形態の絶縁体の構成を示す断面図
【図8】(a)〜(d)は本実施形態の原子ビーム源内における絶縁体の位置変位の説明図
【図9】図8(a)〜(d)のときの原子ビームから放出されるビームの強度分布の実測図
【図10】本実施形態に適用される絶縁体駆動部の構成例を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図
【図11】本実施形態に適用される絶縁体駆動部の他の構成例を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図
【図12】従来の原子線源の構成例を示す図
【図13】従来の原子線源の他の構成例を示す図
【符号の説明】
【0055】
1 放電容器
2 電極
3 絶縁体
4 ガス供給口
5 ビーム放出孔
6 直流電源
8 基板
9 基板保持台
10 原子ビーム源
11 原子ビーム
20 絶縁体駆動部
21 導電体
23 長孔
24 ボルト
25 モータ
26 ボールねじ
27 ガイド
28 シャフト
29 ベローズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極として作用して内部にプラズマを発生させ、イオンあるいは原子を放出する筒状体と、
前記筒状体の一部に開口され、前記イオンあるいは原子を外部に放出する放出部と、
前記筒状体の内部に配置される陽極と、
前記放出部と前記陽極とに電気的に接続され、電圧を印加して前記筒状体内に前記プラズマを発生させる電源と、
前記筒状体の内部に配置される絶縁体と、
を備えたことを特徴とする原子線源。
【請求項2】
前記筒状体の内部で前記放出部に対して前記絶縁体を変位させる絶縁体駆動部を備えたことを特徴とする請求項1記載の原子線源。
【請求項3】
前記陽極の任意の2点の端面から前記絶縁体の中心までの距離を、それぞれ同じ距離に設定したことを特徴とする請求項1または2記載の原子線源。
【請求項4】
前記陽極を、リング状電極あるいは2つの棒状陽極としたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の原子線源。
【請求項5】
前記絶縁体の形状を、前記絶縁体の中心線に対して対称な形状にしたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の原子線源。
【請求項6】
筒状体内部にプラズマを発生する原子線源からイオンあるいは原子を対象物に放出して該対象物の表面改質を行う表面改質装置において、
前記電子線源として請求項1〜5のいずれか1項記載の原子線源を使用し、該電子線源のイオンあるいは原子を放出する放出中心軸を、前記対象物の載置平面に垂直な軸線に対して任意の角度に傾けて設置したことを特徴とする表面改質装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−281346(P2008−281346A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123159(P2007−123159)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】