原稿搬送装置、画像形成装置及び原稿搬送方法
【課題】本発明は、原稿をセットする際に原稿の取扱いが慣れている場合又は不慣れな場
合のいずれにおいても原稿を正確かつ確実にセットできるとともに従来に比べて作業効率
を高めることが可能な原稿搬送装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】画像形成装置1の原稿搬送部2は、載置台10にセットされた原稿が搬送ロ
ーラ13に突き当てられて正確にセットされたか否かを検知するために複数のサイズ検知
センサ20を備えている。そして、サイズ検知センサ20からの検知信号に基づいて挿入
された原稿のサイズを検知するとともに、少なくとも2つのサイズ検知センサからの検知
信号に基づいて原稿が正確にセットされていることを検知した後搬送ローラ13による搬
送開始を行うようにする。
合のいずれにおいても原稿を正確かつ確実にセットできるとともに従来に比べて作業効率
を高めることが可能な原稿搬送装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】画像形成装置1の原稿搬送部2は、載置台10にセットされた原稿が搬送ロ
ーラ13に突き当てられて正確にセットされたか否かを検知するために複数のサイズ検知
センサ20を備えている。そして、サイズ検知センサ20からの検知信号に基づいて挿入
された原稿のサイズを検知するとともに、少なくとも2つのサイズ検知センサからの検知
信号に基づいて原稿が正確にセットされていることを検知した後搬送ローラ13による搬
送開始を行うようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、スキャナ等に設けられる原稿搬送装置、画像形成装置及び原稿搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、スキャナ等では、様々なサイズの原稿を読み取ることが要請されており、例えば、最大幅が914mmの原稿にも対応することが原稿搬送装置に求められている。原稿を搬送する場合、搬送ローラに対して利用者が原稿の先端を突き当てて正確な位置にセットした後搬送ローラにより狭持されて搬送されていく。しかしながら、幅広の原稿のように利用者が取り扱いに不慣れで原稿を正確にセットできないと、原稿が斜めの状態で搬送されて、原稿を正確に読み取れない可能性がある。そのため、例えば、特許文献1では、取り扱いが不慣れな原稿の場合でも利用者が原稿を正確にセットできるように一定のセット時間を設定して、セット時間の経過をLED点滅やブザーによる警告音で利用者に報知し、セット時間の経過後に原稿の搬送が開始されるようにしている。このようにセット時間を設定することで、利用者が不慣れな場合でもセット時間の間に正確に原稿をセットすることができるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1では、正確に原稿をセットした場合でも必ず所定のセット時間が経過するまで原稿が搬送されるのを待つ必要がある。サイズの大きい原稿の取り扱いに慣れてきた場合においても、原稿読み取りを行う際にはその都度所定のセット時間待たなければならなくなる。そのため、原稿の取り扱いに不慣れな場合と同様の作業時間が必要となってしまい、使い勝手が悪く作業効率が低下するという問題点があった。また、セット時間を設定した場合でもセット時間内に正確な原稿のセットを確実に行うことができないという難点がある。
【0004】
そこで、本発明は、原稿をセットする際に原稿の取扱いが慣れている場合又は不慣れな場合のいずれにおいても原稿を正確かつ確実にセットできるとともに従来に比べて作業効率を高めることが可能な原稿搬送装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、予め定められた所定位置に原稿がセットされた場合に原稿を検知し、直線状に配置された複数のサイズ検知手段と、所定位置にセットされた原稿を読取位置に搬送する搬送手段と、少なくとも2つの前記サイズ検知手段からの検知信号に基づいて前記搬送手段の搬送開始を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載の原稿搬送装置において、前記搬送手段は、原稿の先端が突き当てられて所定位置にセットされる搬送ローラを備えており、前記サイズ検知手段は、前記搬送ローラの軸方向に沿って配列されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の原稿搬送装置において、前記制御手段は、
前記複数のサイズ検知手段のうち、当該複数のサイズ検知手段の中央から最も外側で前記原稿を検知した第1サイズ検知手段と、前記中央に対して前記第1のサイズ検知手段とは反対側に配置され、前記第1サイズ検知手段よりも前記中央からの距離が近い第2サイズ検知手段と、の出力に基づいて前記搬送手段の搬送開始を制御することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の原稿搬送装置において、原稿が正確にセットされていないことを報知する報知手段を備えており、前記制御手段は、少なくとも2つの前記サイズ検知手段からの検知信号に基づいて前記報知手段を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の原稿搬送装置を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、予め定められた所定位置に原稿がセットされた場合に原稿を検知し、直線状に配置された複数のサイズ検知手段からの検知信号に基づいてセットされた原稿のサイズを決定して読取位置に原稿を搬送する原稿搬送方法であって、2つの前記サイズ検知手段から検知信号に基づいて前記原稿のセット状態を検知し、前記サイズ検知手段から検知信号に基づいて前記原稿が正確にセットされていると判定された場合に前記原稿のサイズを決定し、所定位置にセットされた原稿を読取位置に搬送開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定位置にセットされた原稿の先端位置に対向して直線状に配置された複数のサイズ検知手段のうち少なくとも2つのサイズ検知手段からの検知信号に基づいて原稿の搬送開始を行うようにしているので、原稿が正確にセットされない限り搬送されず、また正確にセットされた場合には直ちに原稿の搬送が行われるようになる。そのため、原稿の取扱いが慣れている場合又は不慣れな場合のいずれにおいても原稿を正確かつ確実にセットできるとともに従来に比べて作業効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態を備えた画像形成装置に関する概略構成図である。
【図2】原稿搬送制御を行うためのブロック構成図である。
【図3】11個のサイズ検知センサを用いた場合のサイズ検知センサの配列状態を示す説明図である。
【図4】サイズ検知センサと、該サイズ検知センサの中央Tからの距離と、原稿サイズとの対応を示した表である。
【図5】本実施例の原稿搬送装置の処理フローである。
【図6】原稿セット検知処理の処理フローである。
【図7】原稿サイズ認識処理の処理フローである。
【図8】第1サイズ検知センサA、第2サイズ検知センサB、第3サイズ検知センサCの位置関係を示した図である。
【図9】第1サイズ検知センサA、第2サイズ検知センサB、第3サイズ検知センサCの対応を示した図である。
【図10】制御部の機能構成例を示した図である。
【図11】10進数値と第1サイズ検知センサAとの対応を示した図である。
【図12】各原稿サイズの原稿の両端を検知するサイズ検知センサを示した図である。
【図13】サイズ検知センサに新たなサイズ検知センサを追加配置して原稿が正確にセットされたか否かを検知するための対応関係を示す説明図である。
【図14】サイズ検知センサS1又はS2が検知された場合の処理フローである。
【図15】原稿をセットする場合においてメッセージ表示処理に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明に係る実施形態を備えた画像形成装置に関する概略構成図である。画像形成装置1は、原稿搬送部2、原稿読取部3、画像形成部4、給紙部5、用紙搬送部6、定着部7及び排紙部8を備えている。
【0014】
原稿搬送部2では、原稿Pを載置する原稿載置台10、載置された原稿をガイドする上ガイドユニット11及び下ガイド板12、原稿を原稿読取部3に搬送する、搬送手段としての搬送ローラ13及びプレスローラ14、原稿読取部3に対向配置されたコンタクトガラス15及び白色板16、読み取られた原稿をガイドする下ガイド板17、読み取られた原稿を搬出する搬送ローラ18及びプレスローラ19を備えている。ガイドユニット11には、後述するように、操作表示部、LEDやブザーといった報知機器が取り付けられている。
【0015】
原稿Pは、利用者により読取面を下面にして手差しでセットされる。原稿載置台10に原稿Pが載置されて下ガイド板12に沿ってガイドユニット11内に挿入され、原稿Pの先端が搬送ローラ13及びプレスローラ14の間のニップ部に突き当てられてセットされるようになる。セットされた原稿Pは、搬送ローラ13が回転駆動されて搬送されていき、コンタクトガラス15の上面を通過して原稿読取部3により読み取られる。読み取られた原稿Pは、下ガイド板17に沿って搬送されていき、回転駆動される搬送ローラ18及びプレスローラ19の間に導入されて搬出されるようになる。
【0016】
搬送ローラ13の近傍には、原稿Pの搬送方向上流側に複数のサイズ検知センサ20が設けられている。サイズ検知センサ20は、検知範囲に原稿Pがあるか否かを検知するものである。サイズ検知センサ20としては例えば、発光素子及び受光素子からなる光学センサを用いることができる。光学センサの場合には、下ガイド板13の下方に光学センサを配置し、下ガイド板13に穿設された検知孔から上方に向かって発光素子により光を照射して原稿Pの先端が挿入されて反射した光を受光素子により検知すればよい。こうした光学検知センサ以外にも電気的又は機械的に検知するセンサを用いるようにしてもよく、特に限定されない。
【0017】
搬送ローラ13とコンタクトガラス15との間には、レジストセンサ21が配置されており、搬送ローラ13により搬送された原稿Pの先端がレジストセンサ21に検知されると一旦搬送動作を停止し、その後読み取り動作を行うために所定の速度で原稿Pを搬送するように制御される。
【0018】
原稿読取部3は、CIS等の公知の画像読取センサを備えており、コンタクトガラス15の上面を通過する原稿Pを読み取り、読み取った画像データを画像形成部4に送信する。
【0019】
画像形成部4は、感光体ドラム30、帯電ローラ31、露光ユニット32、現像ユニット33及び転写ローラ35を備えており、こうした画像形成部4の構成は公知のものである。感光体ドラム30を回転させながらその表面を帯電ローラ31により一様に帯電した後、原稿読取部3からの画像データに基づいて露光ユニット32により感光体ドラム30の表面を露光して表面電位を変化させ静電潜像を形成する。そして、形成された静電潜像に対して現像ユニット33からトナーが転移して現像処理が行われる。現像されたトナー像は、転写ローラ35との間を通過する用紙に転写されて搬送ベルト34により搬送される。こうした画像形成処理は公知のものである。
【0020】
給紙部5は、給紙カセット36内に積載された用紙を給紙ローラ37により1枚ずつ用紙搬送部6に給紙する。用紙搬送部6では、用紙搬送路に沿って配列された複数組の搬送ローラにより用紙を画像形成部4に搬送する。
【0021】
定着部7では、トナー像が転写された用紙を搬送しながら定着ローラにより圧接してトナー像を定着させ、定着処理された用紙は排紙部8に搬送されて排紙ローラにより排紙トレイ38に排紙される。
【0022】
図2は、原稿搬送制御を行うためのブロック構成図である。制御部40は、サイズ検知センサ20及びレジストセンサ21からの検知信号並びに操作表示部42からの操作信号に基づいて搬送モータ43を駆動制御する。搬送モータ43は、搬送ローラ13及び18を回転駆動するモータで、搬送モータ43を駆動制御することで原稿搬送制御を行うことができる。記憶部41には、挿入された原稿サイズを設定するためのサイズ検知センサ20の組合せデータや正確にセットされたか否かを認識するためのサイズ検知センサ20の組合せデータ等の搬送制御に必要なデータが記憶されている。
【0023】
また、原稿が正確にセットされたか否かを報知する報知部44は、LEDやブザー等を作動させて利用者に報知する。制御部40は、原稿が正確にセットされているか否か判定し報知部44を制御して報知処理を行い、原稿のセット状態に関するメッセージを操作表示部42に表示するよう制御する。
【0024】
図3は、11個のサイズ検知センサS1〜S11を用いた場合のサイズ検知センサの配列状態を示す説明図である。各サイズ検知センサは、セットされる原稿の中央Tの両側に配列され、それぞれ検知する原稿サイズに対応した位置に配置されている。具体的には、対応する原稿サイズの原稿がセットされた場合、最も外側で原稿を検知するセンサが対応するサイズ検知センサになる位置に配置されている。換言すれば、原稿が挿入された場合、該原稿を検知した複数のサイズ検知センサのうち、最も外側のサイズ検知センサが、該原稿のサイズに対応するサイズ検知センサになるように、各サイズ検知センサS1〜S11は、配置されている。各サイズ検知センサS1〜S11は、搬送ローラ13の中心軸Uに沿って直線状に配列されている。
【0025】
また、複数のサイズ検知センサ20を第1センサ群201、第2センサ群202に分ける。また、図3(a)(b)では、原稿Pの中央T(破線で示す)の原稿幅方向の左右で、左側に位置するサイズ検知センサ群を左側センサ群とし、右側に位置するセンサ群を右側センサ群とする。そして、以下の説明では、第1センサ群201を左側センサ群201とし、第2センサ群202を右側センサ群202とする。なお、図3(a)(b)の例では、左側センサ群201は、サイズ検知センサS2、S4、S6、S8、S10により構成され、右側センサ群202は、サイズ検知センサS1、S3、S5、S7、S9、S11により構成される。
【0026】
また、左側センサ群201、右側センサ群202は、それぞれ別に信号を出力するようにしてもよい。また、複数のサイズ検知センサ20全体で同時に信号を出力しても良い。例えば、左センサ群201を構成する各サイズ検知センサS2、S4、S6、S8、S10は、1または0を出力する。そして、以下の説明では、例えば、各サイズ検知センサS2、S4、S6、S8、S10が、それぞれ、1、1、1、0、0を出力した場合には、該出力を[0,0,1,1,1]と示す。ここで、サイズ検知センサが、原稿を検知しているときは「1」を出力し、検知していないときは「0」を出力するものとする。これは一例でありこの形式に限定されるわけではない。
【0027】
この例では、原稿サイズとして、A判(A0、A1、A2、A3、A4)、B判(B1、B2、B3、B4)及び大型判(幅914mm;Zで表示)を検知するように、複数のサイズ検知センサが配列されている。A判及び大型判については、図3(a)に示すように、右側センサ群202が対応するように設定されている(○印で表示)。また、B判については、図3(b)に示すように、左側センサ群201が対応するように設定されている(○印で表示)。
【0028】
図4に、各サイズ検知センサS1〜S11と、各サイズ検知センサS1〜S11の中央Tからの距離と、各サイズ検知センサS1〜S11が最も外側で原稿を検知する原稿サイズと、の対応を示す。また、図3中のA4T、A3Tなどはそれぞれ、A4の幅、A3の幅を示す。なお、図4の記載では、中央Tからサイズ検知センサS1までの距離X1(=105mm)と、中央Tからサイズ検知センサS2までの距離X2(=105mm)が等しいが、図3などに示すように、X1>X2となるように、サイズ検知センサS1、サイズ検知センサS2を配置させてもよい。この場合には、サイズ検知センサの対応する原稿サイズは、A4よりも小さいものとなる。
【0029】
次に、図5〜図9を用いて本実施の形態の処理フローを説明する。また、図10に、制御部40(図2参照)の機能構成例を示す。図10の例では、制御部40は、センサ検知手段402、セット検知手段404、サイズ認識手段406、搬送ボタン検知手段408、搬送開始手段410を含む。
【0030】
図5は本実施例の原稿搬送装置の全体の流れをあらわす処理フローである。まず、センサ検知手段402は、右側センサ群202または左側センサ群201の何れかから、原稿を検知した出力があるかを確認する(ステップS1)。
【0031】
右側センサ群202または左側センサ群201の何れかから、原稿を検知した出力があった場合には(ステップS1のYes)、セット検知手段404は、原稿セット検知処理を行う(ステップS2)。ステップS2の原稿セット検知処理の詳細は図6を用いて後述する。
【0032】
原稿セット検知処理が完了すると、サイズ認識手段406は、原稿サイズ検知処理を行う(ステップS3)。原稿サイズ検知処理の詳細は図7を用いて後述する。
【0033】
原稿サイズが検知されると、搬送ボタン検知手段408は、操作表示部42(図2参照)の原稿搬送ボタンが押下されたか否かを検知する(ステップS4)。搬送ボタン検知手段408が、原稿搬送ボタンが押下されたと検知すると(ステップS4のYes)、搬送開始手段401は、原稿の搬送処理が開始する(ステップS5)。つまり、搬送開始手段401は、搬送モータ43(図2参照)を駆動する。
[原稿セット検知処理]
次に、図6を用いて、原稿セット検知処理の詳細を説明する。原稿セット検知処理は、原稿が正確にセットされているか否かを検知する処理である。図6はセット検知手段402による原稿セット検知処理(図5でのステップS2の処理)の流れを表す処理フローである。まず、セット検知手段402が、複数のサイズ検知センサS1〜S11のうち、原稿を検知しているサイズ検知センサを確認する。そして、セット検知手段402が、原稿を検知している複数のサイズ検知センサの中で、最も外側のサイズ検知センサを第1サイズ検知センサAとして決定する(ステップS201)。換言すると、第1サイズ検知センサAは、複数のサイズ検知手段S1〜S11のうち、複数のサイズ検知手段の中央Tから最も外側で原稿を検知したサイズ検知手段である。
【0034】
以下に、第1サイズ検知センサAの決定手法を2つ説明する。
【0035】
<第1の決定手法>
まず、第1の決定手法について説明する。上述のように、原稿を検知しているサイズ検知センサ20が「1」を出力し、原稿を検知していないサイズ検知センサ20が「0」を出力する場合について説明する。この場合に、セット検知手段402は、各サイズ検知センサごとの出力を確認する。そして、「1」を出力している複数のサイズ検知センサの中で、最も外側のサイズ検知センサを第1サイズ検知センサAとして決定する。
【0036】
<第2の決定手法>
次に、第2の決定手法について説明する。例えば、サイズ検知センサS1が原稿を検知した場合(例えば、「1」を出力した場合)、該サイズ検知センサS1が属する右側センサ群202(図3(a)参照)の出力を10進数に置き換えてもよい。この第2の決定手法では、図11に示すテーブル表を用いる。図11に示すテーブル表は、該置き換えられた10進数の値と、第1サイズ検知センサAとを対応付けたものであり、予め記憶部41(図2参照)に記憶させておく。図11に示すテーブル表では、例えば、10進数値が「1」の場合は、第1サイズ検知センサAは「S1」となり、10進数値が「7」の場合は、第1サイズ検知センサAは「S5」となる。
【0037】
例えば、右側センサ群202(サイズ検知センサS11、S9、S7、S5、S3、S1)の出力が、[0、0、0、1、1、1]である場合には、「000111」を10進数に置き換えることで、セット検知手段404は「7」を算出する。そして、セット検知手段404が、図11に示すテーブル表を参照して、算出された「7」と対応するサイズ検知センサS5を第1サイズ検知センサAとして決定する。
【0038】
また、第1サイズ検知センサAの決定手法については、上記第1の決定手法、第2の決定手法に限られない。
【0039】
第1サイズ検知センサAが決定されると、セット検知手段402は、該決定された第1サイズ検知センサAに基づいて、第2サイズ検知センサBを決定する(ステップS202)。図8に、第1サイズ検知センサAと第2サイズ検知センサBとの位置関係を示す。また、図8では、右側センサ群202を破線で囲い、左側センサ群201を一点鎖線で囲い、複数のサイズ検知センサ20を2点鎖線で囲む。
【0040】
図8に示すように、第2サイズ検知センサBは第1サイズ検知センサAとは中央Tに対して反対側に配置されている。また、中央Tから第1サイズ検知センサAまでの距離を距離Xとする。第2サイズ検知センサBは、中央Tからの距離が距離X以下となる複数のセンサの中で、中央Tからの距離が最も距離Xに近いセンサである。換言すれば、第2サイズ検知センサBは、中央Tからの距離が距離X以下となる複数のセンサの中で、中央Tから最も遠い位置にあるセンサである。
【0041】
また、予め図9に示すテーブル表を用いても良い。該テーブル表は予め作成され、記憶部41(図2参照)に記憶される。第1サイズ検知センサAが決定されると、セット検知手段404が、図9に示すテーブル表を参照して、第2サイズ検知センサBを決定する。例えば、第1サイズ検知センサAがS5だった場合には、第2サイズ検知センサBはS6となる。
【0042】
次に、セット検知手段404は、第2サイズ検知センサBが原稿を検知しているか否かを確認する(ステップS203)。ステップS203において、第2サイズ検知センサBが原稿を検知していれば(ステップS203のYes)、セット検知手段404は、原稿は正確にセットされていると判断する(図15(c)の状態)。第2サイズ検知センサBが原稿を検知していない場合は(ステップS203のNo)、原稿が正確にセットされていないため(図15(b)の状態)、ステップS203が繰り返される。そして、第2サイズ検知センサBが原稿を検知するまで(つまり、原稿が正確にセットされるまで)、後述する報知処理やメッセージ表示処理が行われる。正確にセットされた場合には、原稿セット検知処理を終了する。
【0043】
なお、図6では、「第1サイズ検知センサA」「第2サイズ検知センサB」をそれぞれ単に、「センサA」「センサB」として示す。
【0044】
[原稿サイズ検知処理]
次に、図7を用いて、サイズ認識手段406による原稿サイズ検知処理を説明する。原稿サイズ検知処理は、原稿サイズを検知する処理である。ここでは一例として、ステップS201の原稿セット検知処理で取得した第1サイズ検知センサAの情報を使用して原稿サイズ検知処理を行う。
【0045】
まず、第3サイズ検知センサCを決定する(ステップS301)。なお、図7では、「第3サイズ検知センサC」を単に「センサC」として示す。ここで、第3サイズ検知センサCの決定手法について説明する。図8に示すように、第3サイズ検知センサCは第1サイズ検知センサAとは中央Tに対して反対側(つまり、第2サイズ検知センサBと同じ側)に配置されている。また、中央Tから第1サイズ検知センサAまでの距離を距離Xとすると、第3サイズ検知センサCは、中央からの距離が距離Xよりも大きく、かつ、原稿を検知する可能性のあるセンサである。換言すると、第3サイズ検知センサCは、第2サイズ検知センサBよりも中央Tから離れているサイズ検知センサであり、かつ、原稿を検知する可能性のあるセンサである。
【0046】
第3サイズ検知センサCは、図9に示すテーブル表を用いて、第1サイズ検知センサAに基づいて定められる。例えば、第1サイズ検知センサAがS3であれば、第3サイズ検知センサCはS6となる。図9に示すテーブル表は、予め作成されて、記憶部41に記憶される。
【0047】
次に、サイズ認識手段406は、第3サイズ検知センサCが、原稿を検知したか否かを確認する(ステップS302)。具体的には、サイズ認識手段406は、第3サイズ検知センサCの出力を確認する。また、ステップS201(図6参照)で第1サイズ検知センサAが決定されると、考えられる原稿サイズが複数ある場合がある。この複数の原稿サイズを原稿サイズ候補という。この原稿サイズ候補とは、第1サイズ検知センサAに対応する原稿サイズと、該原稿サイズよりも大きな原稿サイズである。
【0048】
図12に、原稿が正確にセットされた場合に、各原稿サイズと、原稿の両端を検知するサイズ検知センサとの対応関係を示す。例えば、セットされた原稿の原稿サイズがA3であれば、サイズ検知センサS3とS4とが、該原稿の○印で示す両端を検知する。具体的な例を図12を参照して説明する。例えば第1サイズ検知センサAがサイズ検知センサS5だった場合、サイズ認識手段406は、「第1サイズ検知センサAが属する右側センサ群202ではS5が一番外側であること」を、第1サイズ検知センサAの検知の際に認識している。そして、原稿サイズ候補は、図12の記載から、サイズA2とサイズB2の2種類となる。何故なら、図12の記載から、S5に対応する○印は、A2TとB2Tに付されているからである。図4に示されるように、サイズA2はサイズ検知センサS5に対応する原稿サイズであり、サイズB2はサイズ検知センサS8に対応する原稿サイズである。また、サイズ検知センサS8の中央Tからの距離(=235mm)は、サイズ検知センサS5の中央Tからの距離(=195mm)よりも長い。
【0049】
そこで、サイズ認識手段406は、第3サイズ検知センサCの出力を用いて、原稿サイズ候補から、正確な原稿サイズを絞り込んで設定する。ステップS302は、原稿サイズが第1サイズ検知センサAに対応するサイズなのか、第3サイズ検知センサCに対応するサイズなのかを確認するステップである。つまり、第3サイズ検知センサCが原稿を検知した場合(例えば、第3サイズ検知センサCが「1」を出力した場合)には、原稿サイズは、第3サイズ検知センサCに対応するサイズとなり、ステップS302のYesとなる。一方、第3サイズ検知センサCが原稿を検知しなかった場合(例えば、第3サイズ検知センサが「0」を出力した場合)には、原稿サイズは、第1サイズ検知センサAに対応するサイズとなり、ステップS302のNoとなる。
【0050】
なお、決定した第1サイズ検知センサAよっては第3サイズ検知センサCが存在しない場合がある(図9の例では、第1サイズ検知センサAがS9またはS11の場合)。ステップS302「第3サイズ検知センサCが原稿検知?」のNoは、「第3サイズ検知センサCが原稿を検知しない場合」の他、「第3サイズ検知センサCが存在しない場合」も含んでいる。
【0051】
ステップS302がYesだった場合、ステップS303に進む。ステップS303では、第3サイズ検知センサCに対応する原稿サイズの中で、最も大きなサイズを原稿サイズに設定する。この場合は、原稿サイズは、「B2」であると検知される。
【0052】
また、ステップS302がNoだった場合、ステップS304に進む。ステップS304では、第1サイズ検知センサAに対応するサイズを原稿サイズに設定する。この場合は、原稿サイズは、「A2」であると検知される。
【0053】
ところで、図9に表すように、第1サイズ検知センサAに対して第3サイズ検知センサCは基本的には1つである。この場合、第3サイズ検知センサCが原稿を検知すると、第3サイズ検知センサCに対応するサイズが原稿サイズに設定する。
【0054】
しかしながら、右側センサ群202を構成する各センサの間隔と、左側センサ群201を構成する各センサの間隔と、の関係によっては、第1サイズ検知センサAに対応する第3サイズ検知センサCが複数存在する場合がある。例えば、図9の記載から、第1サイズ検知センサAがサイズ検知センサS10である場合には、第3サイズ検知センサCはサイズ検知センサS9とS11になる。この場合には該複数の第3サイズ検知センサCから出力され、該複数の第3サイズ検知センサCの出力のうち、最も、大きい方のサイズが原稿サイズとして設定される。例えば、第3サイズ検知センサCがサイズ検知センサS9とS11の場合には、図4の記載から、原稿サイズが「A0」と「大型判」となるが、原稿サイズは、大きい方の「大型判」に設定される。
【0055】
なお、原稿サイズ検知には様々な方法があるため、上記の方法に限定されるものではない。例えば、原稿サイズ検知の処理フローでサイズ検知センサ20を構成するセンサの全ての出力を確認し、最も大きな原稿サイズを設定しても良い。
【0056】
このように、サイズ検知センサ20を構成する何れかのセンサが原稿を検知すると、原稿を検知した中で最も外側のサイズ検知センサが第1サイズ検知センサAとして決定され、予め記憶されているテーブル表(図9参照)から第1サイズ検知センサAに対応する第2サイズ検知センサBが特定される。そして第2サイズ検知センサBの出力により原稿のセット状態が検知される(図5のステップS2)。正確に原稿のセットが行われた後に原稿サイズが検知されて(図5のステップS3)、原稿の搬送処理が可能になる。
【0057】
図13は、サイズ検知センサS1〜S11にサイズ検知センサSA〜SIを追加配置して原稿が正確にセットされたか否かを検知するための対応関係を示す説明図である。この例では、各サイズの原稿の両端を検知する2つのサイズ検知センサが別個に配置されており、対応する2つの検知センサが原稿を検知しているかチェックすることで、原稿のセット状態及び原稿のサイズを検知することができる。中央Tの右側には、サイズ検知センサS1、SA、S3、SB、S5、SC、S7、SD、S9、S11の順に配列されており、左側には、サイズ検知センサS2、S4、SE、S6、SF、S8、SG、S10、SH、SIの順に配列されている。
【0058】
各サイズ検知センサの配置は、以下のとおりである。
A4;S1、S2(中央Tからの距離105mm、105mm)
A3;S3、SE(中央Tからの距離137mm、148mm)
A2;S5、SF(中央Tからの距離195mm、210mm)
A1;S7、SG(中央Tからの距離282mm、297mm)
A0;S9、SH(中央Tからの距離400mm、420mm)
大型判;S11、SI(中央Tからの距離451mm、457mm)
B4;S4、SA(中央Tからの距離115mm、128mm)
B3;S6、SB(中央Tからの距離163mm、182mm)
B2;S8、SC(中央Tからの距離235mm、257mm)
B1;S10、SD(中央Tからの距離335mm、364mm)
この例では、原稿の左側先端部及び右側先端部のいずれかがサイズ検知センサにより最初に検知された場合に一意的に原稿サイズが検知されるので、原稿サイズを検知した後原稿のセット状態をチェックすればよい。図14は、サイズ検知センサS1又はS2が検知された場合の処理フローである。まず、いずれかのサイズ検知センサが原稿を検知したかチェックし(ステップS20)、最初にサイズ検知センサS1又はS2が原稿を検知すると(ステップS21)、検知結果に基づいて原稿サイズをA4に設定する(ステップS22)。次に、サイズ検知センサS1又はS2のうち検知されていないほうが原稿を検知したか否かチェックして(ステップS23)、原稿が正確にセットされたか検知する。そして、原稿が正確にセットされたことが検知されると、操作表示部の原稿搬送ボタンを押下したかチェックし(ステップS24)、原稿搬送ボタンが押下されると、原稿の搬送処理が開始される(ステップS25)。
【0059】
以上説明したように、制御手段である制御部40は、例えば、サイズ検知センサS1又はS2のいずれか一方から最初の検知信号を受信した後に他方のサイズ検知センサS2から次の検知信号を受信することで原稿Pが正確にセットされた状態であることを検知して搬送手段である搬送ローラ13の搬送動作を開始する。
【0060】
図15は、原稿をセットする場合においてメッセージ表示処理に関する説明図である。この例では、メッセージを表示する操作表示部42がガイドユニット11に取り付けられている。まず、原稿Pがガイドユニット11に挿入されていない状態では、「原稿をセットしてください」というメッセージが操作表示部42に表示される(図15(a))。原稿Pがガイドユニット11に挿入されて、原稿Pのサイズを検知する2つのサイズ検知センサ20のうち一方で原稿Pの先端部が検知されると、「原稿を正しくセットしてください」というメッセージが表示される(図15(b))。そして、両方のサイズ検知センサ20が原稿Pの先端部を検知すると、「原稿を読み取ることができます」というメッセージが表示され(図15(c))、この後原稿搬送ボタンを押下することで原稿の搬送が開始されるようになる。
【0061】
以上説明したように、この例では、原稿Pが正確にセットされていないことを報知する報知手段として、メッセージを表示する操作表示部42を設けており、制御部40は、原稿Pの2つのサイズ検知センサのうち一方の検知信号を受信すると正しくセットする旨のメッセージを表示するよう操作表示部42を制御し、両方のサイズ検知センサの検知信号を受信すると読み取り可能である旨のメッセージを表示するよう操作表示部42を制御する。
【符号の説明】
【0062】
1・・画像形成装置、2・・原稿搬送部、3・・原稿読取部、4・・画像形成部、5・・給紙部、6・・用紙搬送部、7・・定着部、8・・排紙部、10・・載置台、11・・ガイドユニット、12・・下ガイド板、13・・搬送ローラ、14・・プレスローラ、15・・コンタクトガラス、16・・白色板、17・・下ガイド板、18・・搬送ローラ、19・・プレスローラ、20・・サイズ検知センサ、21・・レジストセンサ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2002−265094号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、スキャナ等に設けられる原稿搬送装置、画像形成装置及び原稿搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、スキャナ等では、様々なサイズの原稿を読み取ることが要請されており、例えば、最大幅が914mmの原稿にも対応することが原稿搬送装置に求められている。原稿を搬送する場合、搬送ローラに対して利用者が原稿の先端を突き当てて正確な位置にセットした後搬送ローラにより狭持されて搬送されていく。しかしながら、幅広の原稿のように利用者が取り扱いに不慣れで原稿を正確にセットできないと、原稿が斜めの状態で搬送されて、原稿を正確に読み取れない可能性がある。そのため、例えば、特許文献1では、取り扱いが不慣れな原稿の場合でも利用者が原稿を正確にセットできるように一定のセット時間を設定して、セット時間の経過をLED点滅やブザーによる警告音で利用者に報知し、セット時間の経過後に原稿の搬送が開始されるようにしている。このようにセット時間を設定することで、利用者が不慣れな場合でもセット時間の間に正確に原稿をセットすることができるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1では、正確に原稿をセットした場合でも必ず所定のセット時間が経過するまで原稿が搬送されるのを待つ必要がある。サイズの大きい原稿の取り扱いに慣れてきた場合においても、原稿読み取りを行う際にはその都度所定のセット時間待たなければならなくなる。そのため、原稿の取り扱いに不慣れな場合と同様の作業時間が必要となってしまい、使い勝手が悪く作業効率が低下するという問題点があった。また、セット時間を設定した場合でもセット時間内に正確な原稿のセットを確実に行うことができないという難点がある。
【0004】
そこで、本発明は、原稿をセットする際に原稿の取扱いが慣れている場合又は不慣れな場合のいずれにおいても原稿を正確かつ確実にセットできるとともに従来に比べて作業効率を高めることが可能な原稿搬送装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、予め定められた所定位置に原稿がセットされた場合に原稿を検知し、直線状に配置された複数のサイズ検知手段と、所定位置にセットされた原稿を読取位置に搬送する搬送手段と、少なくとも2つの前記サイズ検知手段からの検知信号に基づいて前記搬送手段の搬送開始を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載の原稿搬送装置において、前記搬送手段は、原稿の先端が突き当てられて所定位置にセットされる搬送ローラを備えており、前記サイズ検知手段は、前記搬送ローラの軸方向に沿って配列されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の原稿搬送装置において、前記制御手段は、
前記複数のサイズ検知手段のうち、当該複数のサイズ検知手段の中央から最も外側で前記原稿を検知した第1サイズ検知手段と、前記中央に対して前記第1のサイズ検知手段とは反対側に配置され、前記第1サイズ検知手段よりも前記中央からの距離が近い第2サイズ検知手段と、の出力に基づいて前記搬送手段の搬送開始を制御することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の原稿搬送装置において、原稿が正確にセットされていないことを報知する報知手段を備えており、前記制御手段は、少なくとも2つの前記サイズ検知手段からの検知信号に基づいて前記報知手段を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の原稿搬送装置を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、予め定められた所定位置に原稿がセットされた場合に原稿を検知し、直線状に配置された複数のサイズ検知手段からの検知信号に基づいてセットされた原稿のサイズを決定して読取位置に原稿を搬送する原稿搬送方法であって、2つの前記サイズ検知手段から検知信号に基づいて前記原稿のセット状態を検知し、前記サイズ検知手段から検知信号に基づいて前記原稿が正確にセットされていると判定された場合に前記原稿のサイズを決定し、所定位置にセットされた原稿を読取位置に搬送開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定位置にセットされた原稿の先端位置に対向して直線状に配置された複数のサイズ検知手段のうち少なくとも2つのサイズ検知手段からの検知信号に基づいて原稿の搬送開始を行うようにしているので、原稿が正確にセットされない限り搬送されず、また正確にセットされた場合には直ちに原稿の搬送が行われるようになる。そのため、原稿の取扱いが慣れている場合又は不慣れな場合のいずれにおいても原稿を正確かつ確実にセットできるとともに従来に比べて作業効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態を備えた画像形成装置に関する概略構成図である。
【図2】原稿搬送制御を行うためのブロック構成図である。
【図3】11個のサイズ検知センサを用いた場合のサイズ検知センサの配列状態を示す説明図である。
【図4】サイズ検知センサと、該サイズ検知センサの中央Tからの距離と、原稿サイズとの対応を示した表である。
【図5】本実施例の原稿搬送装置の処理フローである。
【図6】原稿セット検知処理の処理フローである。
【図7】原稿サイズ認識処理の処理フローである。
【図8】第1サイズ検知センサA、第2サイズ検知センサB、第3サイズ検知センサCの位置関係を示した図である。
【図9】第1サイズ検知センサA、第2サイズ検知センサB、第3サイズ検知センサCの対応を示した図である。
【図10】制御部の機能構成例を示した図である。
【図11】10進数値と第1サイズ検知センサAとの対応を示した図である。
【図12】各原稿サイズの原稿の両端を検知するサイズ検知センサを示した図である。
【図13】サイズ検知センサに新たなサイズ検知センサを追加配置して原稿が正確にセットされたか否かを検知するための対応関係を示す説明図である。
【図14】サイズ検知センサS1又はS2が検知された場合の処理フローである。
【図15】原稿をセットする場合においてメッセージ表示処理に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明に係る実施形態を備えた画像形成装置に関する概略構成図である。画像形成装置1は、原稿搬送部2、原稿読取部3、画像形成部4、給紙部5、用紙搬送部6、定着部7及び排紙部8を備えている。
【0014】
原稿搬送部2では、原稿Pを載置する原稿載置台10、載置された原稿をガイドする上ガイドユニット11及び下ガイド板12、原稿を原稿読取部3に搬送する、搬送手段としての搬送ローラ13及びプレスローラ14、原稿読取部3に対向配置されたコンタクトガラス15及び白色板16、読み取られた原稿をガイドする下ガイド板17、読み取られた原稿を搬出する搬送ローラ18及びプレスローラ19を備えている。ガイドユニット11には、後述するように、操作表示部、LEDやブザーといった報知機器が取り付けられている。
【0015】
原稿Pは、利用者により読取面を下面にして手差しでセットされる。原稿載置台10に原稿Pが載置されて下ガイド板12に沿ってガイドユニット11内に挿入され、原稿Pの先端が搬送ローラ13及びプレスローラ14の間のニップ部に突き当てられてセットされるようになる。セットされた原稿Pは、搬送ローラ13が回転駆動されて搬送されていき、コンタクトガラス15の上面を通過して原稿読取部3により読み取られる。読み取られた原稿Pは、下ガイド板17に沿って搬送されていき、回転駆動される搬送ローラ18及びプレスローラ19の間に導入されて搬出されるようになる。
【0016】
搬送ローラ13の近傍には、原稿Pの搬送方向上流側に複数のサイズ検知センサ20が設けられている。サイズ検知センサ20は、検知範囲に原稿Pがあるか否かを検知するものである。サイズ検知センサ20としては例えば、発光素子及び受光素子からなる光学センサを用いることができる。光学センサの場合には、下ガイド板13の下方に光学センサを配置し、下ガイド板13に穿設された検知孔から上方に向かって発光素子により光を照射して原稿Pの先端が挿入されて反射した光を受光素子により検知すればよい。こうした光学検知センサ以外にも電気的又は機械的に検知するセンサを用いるようにしてもよく、特に限定されない。
【0017】
搬送ローラ13とコンタクトガラス15との間には、レジストセンサ21が配置されており、搬送ローラ13により搬送された原稿Pの先端がレジストセンサ21に検知されると一旦搬送動作を停止し、その後読み取り動作を行うために所定の速度で原稿Pを搬送するように制御される。
【0018】
原稿読取部3は、CIS等の公知の画像読取センサを備えており、コンタクトガラス15の上面を通過する原稿Pを読み取り、読み取った画像データを画像形成部4に送信する。
【0019】
画像形成部4は、感光体ドラム30、帯電ローラ31、露光ユニット32、現像ユニット33及び転写ローラ35を備えており、こうした画像形成部4の構成は公知のものである。感光体ドラム30を回転させながらその表面を帯電ローラ31により一様に帯電した後、原稿読取部3からの画像データに基づいて露光ユニット32により感光体ドラム30の表面を露光して表面電位を変化させ静電潜像を形成する。そして、形成された静電潜像に対して現像ユニット33からトナーが転移して現像処理が行われる。現像されたトナー像は、転写ローラ35との間を通過する用紙に転写されて搬送ベルト34により搬送される。こうした画像形成処理は公知のものである。
【0020】
給紙部5は、給紙カセット36内に積載された用紙を給紙ローラ37により1枚ずつ用紙搬送部6に給紙する。用紙搬送部6では、用紙搬送路に沿って配列された複数組の搬送ローラにより用紙を画像形成部4に搬送する。
【0021】
定着部7では、トナー像が転写された用紙を搬送しながら定着ローラにより圧接してトナー像を定着させ、定着処理された用紙は排紙部8に搬送されて排紙ローラにより排紙トレイ38に排紙される。
【0022】
図2は、原稿搬送制御を行うためのブロック構成図である。制御部40は、サイズ検知センサ20及びレジストセンサ21からの検知信号並びに操作表示部42からの操作信号に基づいて搬送モータ43を駆動制御する。搬送モータ43は、搬送ローラ13及び18を回転駆動するモータで、搬送モータ43を駆動制御することで原稿搬送制御を行うことができる。記憶部41には、挿入された原稿サイズを設定するためのサイズ検知センサ20の組合せデータや正確にセットされたか否かを認識するためのサイズ検知センサ20の組合せデータ等の搬送制御に必要なデータが記憶されている。
【0023】
また、原稿が正確にセットされたか否かを報知する報知部44は、LEDやブザー等を作動させて利用者に報知する。制御部40は、原稿が正確にセットされているか否か判定し報知部44を制御して報知処理を行い、原稿のセット状態に関するメッセージを操作表示部42に表示するよう制御する。
【0024】
図3は、11個のサイズ検知センサS1〜S11を用いた場合のサイズ検知センサの配列状態を示す説明図である。各サイズ検知センサは、セットされる原稿の中央Tの両側に配列され、それぞれ検知する原稿サイズに対応した位置に配置されている。具体的には、対応する原稿サイズの原稿がセットされた場合、最も外側で原稿を検知するセンサが対応するサイズ検知センサになる位置に配置されている。換言すれば、原稿が挿入された場合、該原稿を検知した複数のサイズ検知センサのうち、最も外側のサイズ検知センサが、該原稿のサイズに対応するサイズ検知センサになるように、各サイズ検知センサS1〜S11は、配置されている。各サイズ検知センサS1〜S11は、搬送ローラ13の中心軸Uに沿って直線状に配列されている。
【0025】
また、複数のサイズ検知センサ20を第1センサ群201、第2センサ群202に分ける。また、図3(a)(b)では、原稿Pの中央T(破線で示す)の原稿幅方向の左右で、左側に位置するサイズ検知センサ群を左側センサ群とし、右側に位置するセンサ群を右側センサ群とする。そして、以下の説明では、第1センサ群201を左側センサ群201とし、第2センサ群202を右側センサ群202とする。なお、図3(a)(b)の例では、左側センサ群201は、サイズ検知センサS2、S4、S6、S8、S10により構成され、右側センサ群202は、サイズ検知センサS1、S3、S5、S7、S9、S11により構成される。
【0026】
また、左側センサ群201、右側センサ群202は、それぞれ別に信号を出力するようにしてもよい。また、複数のサイズ検知センサ20全体で同時に信号を出力しても良い。例えば、左センサ群201を構成する各サイズ検知センサS2、S4、S6、S8、S10は、1または0を出力する。そして、以下の説明では、例えば、各サイズ検知センサS2、S4、S6、S8、S10が、それぞれ、1、1、1、0、0を出力した場合には、該出力を[0,0,1,1,1]と示す。ここで、サイズ検知センサが、原稿を検知しているときは「1」を出力し、検知していないときは「0」を出力するものとする。これは一例でありこの形式に限定されるわけではない。
【0027】
この例では、原稿サイズとして、A判(A0、A1、A2、A3、A4)、B判(B1、B2、B3、B4)及び大型判(幅914mm;Zで表示)を検知するように、複数のサイズ検知センサが配列されている。A判及び大型判については、図3(a)に示すように、右側センサ群202が対応するように設定されている(○印で表示)。また、B判については、図3(b)に示すように、左側センサ群201が対応するように設定されている(○印で表示)。
【0028】
図4に、各サイズ検知センサS1〜S11と、各サイズ検知センサS1〜S11の中央Tからの距離と、各サイズ検知センサS1〜S11が最も外側で原稿を検知する原稿サイズと、の対応を示す。また、図3中のA4T、A3Tなどはそれぞれ、A4の幅、A3の幅を示す。なお、図4の記載では、中央Tからサイズ検知センサS1までの距離X1(=105mm)と、中央Tからサイズ検知センサS2までの距離X2(=105mm)が等しいが、図3などに示すように、X1>X2となるように、サイズ検知センサS1、サイズ検知センサS2を配置させてもよい。この場合には、サイズ検知センサの対応する原稿サイズは、A4よりも小さいものとなる。
【0029】
次に、図5〜図9を用いて本実施の形態の処理フローを説明する。また、図10に、制御部40(図2参照)の機能構成例を示す。図10の例では、制御部40は、センサ検知手段402、セット検知手段404、サイズ認識手段406、搬送ボタン検知手段408、搬送開始手段410を含む。
【0030】
図5は本実施例の原稿搬送装置の全体の流れをあらわす処理フローである。まず、センサ検知手段402は、右側センサ群202または左側センサ群201の何れかから、原稿を検知した出力があるかを確認する(ステップS1)。
【0031】
右側センサ群202または左側センサ群201の何れかから、原稿を検知した出力があった場合には(ステップS1のYes)、セット検知手段404は、原稿セット検知処理を行う(ステップS2)。ステップS2の原稿セット検知処理の詳細は図6を用いて後述する。
【0032】
原稿セット検知処理が完了すると、サイズ認識手段406は、原稿サイズ検知処理を行う(ステップS3)。原稿サイズ検知処理の詳細は図7を用いて後述する。
【0033】
原稿サイズが検知されると、搬送ボタン検知手段408は、操作表示部42(図2参照)の原稿搬送ボタンが押下されたか否かを検知する(ステップS4)。搬送ボタン検知手段408が、原稿搬送ボタンが押下されたと検知すると(ステップS4のYes)、搬送開始手段401は、原稿の搬送処理が開始する(ステップS5)。つまり、搬送開始手段401は、搬送モータ43(図2参照)を駆動する。
[原稿セット検知処理]
次に、図6を用いて、原稿セット検知処理の詳細を説明する。原稿セット検知処理は、原稿が正確にセットされているか否かを検知する処理である。図6はセット検知手段402による原稿セット検知処理(図5でのステップS2の処理)の流れを表す処理フローである。まず、セット検知手段402が、複数のサイズ検知センサS1〜S11のうち、原稿を検知しているサイズ検知センサを確認する。そして、セット検知手段402が、原稿を検知している複数のサイズ検知センサの中で、最も外側のサイズ検知センサを第1サイズ検知センサAとして決定する(ステップS201)。換言すると、第1サイズ検知センサAは、複数のサイズ検知手段S1〜S11のうち、複数のサイズ検知手段の中央Tから最も外側で原稿を検知したサイズ検知手段である。
【0034】
以下に、第1サイズ検知センサAの決定手法を2つ説明する。
【0035】
<第1の決定手法>
まず、第1の決定手法について説明する。上述のように、原稿を検知しているサイズ検知センサ20が「1」を出力し、原稿を検知していないサイズ検知センサ20が「0」を出力する場合について説明する。この場合に、セット検知手段402は、各サイズ検知センサごとの出力を確認する。そして、「1」を出力している複数のサイズ検知センサの中で、最も外側のサイズ検知センサを第1サイズ検知センサAとして決定する。
【0036】
<第2の決定手法>
次に、第2の決定手法について説明する。例えば、サイズ検知センサS1が原稿を検知した場合(例えば、「1」を出力した場合)、該サイズ検知センサS1が属する右側センサ群202(図3(a)参照)の出力を10進数に置き換えてもよい。この第2の決定手法では、図11に示すテーブル表を用いる。図11に示すテーブル表は、該置き換えられた10進数の値と、第1サイズ検知センサAとを対応付けたものであり、予め記憶部41(図2参照)に記憶させておく。図11に示すテーブル表では、例えば、10進数値が「1」の場合は、第1サイズ検知センサAは「S1」となり、10進数値が「7」の場合は、第1サイズ検知センサAは「S5」となる。
【0037】
例えば、右側センサ群202(サイズ検知センサS11、S9、S7、S5、S3、S1)の出力が、[0、0、0、1、1、1]である場合には、「000111」を10進数に置き換えることで、セット検知手段404は「7」を算出する。そして、セット検知手段404が、図11に示すテーブル表を参照して、算出された「7」と対応するサイズ検知センサS5を第1サイズ検知センサAとして決定する。
【0038】
また、第1サイズ検知センサAの決定手法については、上記第1の決定手法、第2の決定手法に限られない。
【0039】
第1サイズ検知センサAが決定されると、セット検知手段402は、該決定された第1サイズ検知センサAに基づいて、第2サイズ検知センサBを決定する(ステップS202)。図8に、第1サイズ検知センサAと第2サイズ検知センサBとの位置関係を示す。また、図8では、右側センサ群202を破線で囲い、左側センサ群201を一点鎖線で囲い、複数のサイズ検知センサ20を2点鎖線で囲む。
【0040】
図8に示すように、第2サイズ検知センサBは第1サイズ検知センサAとは中央Tに対して反対側に配置されている。また、中央Tから第1サイズ検知センサAまでの距離を距離Xとする。第2サイズ検知センサBは、中央Tからの距離が距離X以下となる複数のセンサの中で、中央Tからの距離が最も距離Xに近いセンサである。換言すれば、第2サイズ検知センサBは、中央Tからの距離が距離X以下となる複数のセンサの中で、中央Tから最も遠い位置にあるセンサである。
【0041】
また、予め図9に示すテーブル表を用いても良い。該テーブル表は予め作成され、記憶部41(図2参照)に記憶される。第1サイズ検知センサAが決定されると、セット検知手段404が、図9に示すテーブル表を参照して、第2サイズ検知センサBを決定する。例えば、第1サイズ検知センサAがS5だった場合には、第2サイズ検知センサBはS6となる。
【0042】
次に、セット検知手段404は、第2サイズ検知センサBが原稿を検知しているか否かを確認する(ステップS203)。ステップS203において、第2サイズ検知センサBが原稿を検知していれば(ステップS203のYes)、セット検知手段404は、原稿は正確にセットされていると判断する(図15(c)の状態)。第2サイズ検知センサBが原稿を検知していない場合は(ステップS203のNo)、原稿が正確にセットされていないため(図15(b)の状態)、ステップS203が繰り返される。そして、第2サイズ検知センサBが原稿を検知するまで(つまり、原稿が正確にセットされるまで)、後述する報知処理やメッセージ表示処理が行われる。正確にセットされた場合には、原稿セット検知処理を終了する。
【0043】
なお、図6では、「第1サイズ検知センサA」「第2サイズ検知センサB」をそれぞれ単に、「センサA」「センサB」として示す。
【0044】
[原稿サイズ検知処理]
次に、図7を用いて、サイズ認識手段406による原稿サイズ検知処理を説明する。原稿サイズ検知処理は、原稿サイズを検知する処理である。ここでは一例として、ステップS201の原稿セット検知処理で取得した第1サイズ検知センサAの情報を使用して原稿サイズ検知処理を行う。
【0045】
まず、第3サイズ検知センサCを決定する(ステップS301)。なお、図7では、「第3サイズ検知センサC」を単に「センサC」として示す。ここで、第3サイズ検知センサCの決定手法について説明する。図8に示すように、第3サイズ検知センサCは第1サイズ検知センサAとは中央Tに対して反対側(つまり、第2サイズ検知センサBと同じ側)に配置されている。また、中央Tから第1サイズ検知センサAまでの距離を距離Xとすると、第3サイズ検知センサCは、中央からの距離が距離Xよりも大きく、かつ、原稿を検知する可能性のあるセンサである。換言すると、第3サイズ検知センサCは、第2サイズ検知センサBよりも中央Tから離れているサイズ検知センサであり、かつ、原稿を検知する可能性のあるセンサである。
【0046】
第3サイズ検知センサCは、図9に示すテーブル表を用いて、第1サイズ検知センサAに基づいて定められる。例えば、第1サイズ検知センサAがS3であれば、第3サイズ検知センサCはS6となる。図9に示すテーブル表は、予め作成されて、記憶部41に記憶される。
【0047】
次に、サイズ認識手段406は、第3サイズ検知センサCが、原稿を検知したか否かを確認する(ステップS302)。具体的には、サイズ認識手段406は、第3サイズ検知センサCの出力を確認する。また、ステップS201(図6参照)で第1サイズ検知センサAが決定されると、考えられる原稿サイズが複数ある場合がある。この複数の原稿サイズを原稿サイズ候補という。この原稿サイズ候補とは、第1サイズ検知センサAに対応する原稿サイズと、該原稿サイズよりも大きな原稿サイズである。
【0048】
図12に、原稿が正確にセットされた場合に、各原稿サイズと、原稿の両端を検知するサイズ検知センサとの対応関係を示す。例えば、セットされた原稿の原稿サイズがA3であれば、サイズ検知センサS3とS4とが、該原稿の○印で示す両端を検知する。具体的な例を図12を参照して説明する。例えば第1サイズ検知センサAがサイズ検知センサS5だった場合、サイズ認識手段406は、「第1サイズ検知センサAが属する右側センサ群202ではS5が一番外側であること」を、第1サイズ検知センサAの検知の際に認識している。そして、原稿サイズ候補は、図12の記載から、サイズA2とサイズB2の2種類となる。何故なら、図12の記載から、S5に対応する○印は、A2TとB2Tに付されているからである。図4に示されるように、サイズA2はサイズ検知センサS5に対応する原稿サイズであり、サイズB2はサイズ検知センサS8に対応する原稿サイズである。また、サイズ検知センサS8の中央Tからの距離(=235mm)は、サイズ検知センサS5の中央Tからの距離(=195mm)よりも長い。
【0049】
そこで、サイズ認識手段406は、第3サイズ検知センサCの出力を用いて、原稿サイズ候補から、正確な原稿サイズを絞り込んで設定する。ステップS302は、原稿サイズが第1サイズ検知センサAに対応するサイズなのか、第3サイズ検知センサCに対応するサイズなのかを確認するステップである。つまり、第3サイズ検知センサCが原稿を検知した場合(例えば、第3サイズ検知センサCが「1」を出力した場合)には、原稿サイズは、第3サイズ検知センサCに対応するサイズとなり、ステップS302のYesとなる。一方、第3サイズ検知センサCが原稿を検知しなかった場合(例えば、第3サイズ検知センサが「0」を出力した場合)には、原稿サイズは、第1サイズ検知センサAに対応するサイズとなり、ステップS302のNoとなる。
【0050】
なお、決定した第1サイズ検知センサAよっては第3サイズ検知センサCが存在しない場合がある(図9の例では、第1サイズ検知センサAがS9またはS11の場合)。ステップS302「第3サイズ検知センサCが原稿検知?」のNoは、「第3サイズ検知センサCが原稿を検知しない場合」の他、「第3サイズ検知センサCが存在しない場合」も含んでいる。
【0051】
ステップS302がYesだった場合、ステップS303に進む。ステップS303では、第3サイズ検知センサCに対応する原稿サイズの中で、最も大きなサイズを原稿サイズに設定する。この場合は、原稿サイズは、「B2」であると検知される。
【0052】
また、ステップS302がNoだった場合、ステップS304に進む。ステップS304では、第1サイズ検知センサAに対応するサイズを原稿サイズに設定する。この場合は、原稿サイズは、「A2」であると検知される。
【0053】
ところで、図9に表すように、第1サイズ検知センサAに対して第3サイズ検知センサCは基本的には1つである。この場合、第3サイズ検知センサCが原稿を検知すると、第3サイズ検知センサCに対応するサイズが原稿サイズに設定する。
【0054】
しかしながら、右側センサ群202を構成する各センサの間隔と、左側センサ群201を構成する各センサの間隔と、の関係によっては、第1サイズ検知センサAに対応する第3サイズ検知センサCが複数存在する場合がある。例えば、図9の記載から、第1サイズ検知センサAがサイズ検知センサS10である場合には、第3サイズ検知センサCはサイズ検知センサS9とS11になる。この場合には該複数の第3サイズ検知センサCから出力され、該複数の第3サイズ検知センサCの出力のうち、最も、大きい方のサイズが原稿サイズとして設定される。例えば、第3サイズ検知センサCがサイズ検知センサS9とS11の場合には、図4の記載から、原稿サイズが「A0」と「大型判」となるが、原稿サイズは、大きい方の「大型判」に設定される。
【0055】
なお、原稿サイズ検知には様々な方法があるため、上記の方法に限定されるものではない。例えば、原稿サイズ検知の処理フローでサイズ検知センサ20を構成するセンサの全ての出力を確認し、最も大きな原稿サイズを設定しても良い。
【0056】
このように、サイズ検知センサ20を構成する何れかのセンサが原稿を検知すると、原稿を検知した中で最も外側のサイズ検知センサが第1サイズ検知センサAとして決定され、予め記憶されているテーブル表(図9参照)から第1サイズ検知センサAに対応する第2サイズ検知センサBが特定される。そして第2サイズ検知センサBの出力により原稿のセット状態が検知される(図5のステップS2)。正確に原稿のセットが行われた後に原稿サイズが検知されて(図5のステップS3)、原稿の搬送処理が可能になる。
【0057】
図13は、サイズ検知センサS1〜S11にサイズ検知センサSA〜SIを追加配置して原稿が正確にセットされたか否かを検知するための対応関係を示す説明図である。この例では、各サイズの原稿の両端を検知する2つのサイズ検知センサが別個に配置されており、対応する2つの検知センサが原稿を検知しているかチェックすることで、原稿のセット状態及び原稿のサイズを検知することができる。中央Tの右側には、サイズ検知センサS1、SA、S3、SB、S5、SC、S7、SD、S9、S11の順に配列されており、左側には、サイズ検知センサS2、S4、SE、S6、SF、S8、SG、S10、SH、SIの順に配列されている。
【0058】
各サイズ検知センサの配置は、以下のとおりである。
A4;S1、S2(中央Tからの距離105mm、105mm)
A3;S3、SE(中央Tからの距離137mm、148mm)
A2;S5、SF(中央Tからの距離195mm、210mm)
A1;S7、SG(中央Tからの距離282mm、297mm)
A0;S9、SH(中央Tからの距離400mm、420mm)
大型判;S11、SI(中央Tからの距離451mm、457mm)
B4;S4、SA(中央Tからの距離115mm、128mm)
B3;S6、SB(中央Tからの距離163mm、182mm)
B2;S8、SC(中央Tからの距離235mm、257mm)
B1;S10、SD(中央Tからの距離335mm、364mm)
この例では、原稿の左側先端部及び右側先端部のいずれかがサイズ検知センサにより最初に検知された場合に一意的に原稿サイズが検知されるので、原稿サイズを検知した後原稿のセット状態をチェックすればよい。図14は、サイズ検知センサS1又はS2が検知された場合の処理フローである。まず、いずれかのサイズ検知センサが原稿を検知したかチェックし(ステップS20)、最初にサイズ検知センサS1又はS2が原稿を検知すると(ステップS21)、検知結果に基づいて原稿サイズをA4に設定する(ステップS22)。次に、サイズ検知センサS1又はS2のうち検知されていないほうが原稿を検知したか否かチェックして(ステップS23)、原稿が正確にセットされたか検知する。そして、原稿が正確にセットされたことが検知されると、操作表示部の原稿搬送ボタンを押下したかチェックし(ステップS24)、原稿搬送ボタンが押下されると、原稿の搬送処理が開始される(ステップS25)。
【0059】
以上説明したように、制御手段である制御部40は、例えば、サイズ検知センサS1又はS2のいずれか一方から最初の検知信号を受信した後に他方のサイズ検知センサS2から次の検知信号を受信することで原稿Pが正確にセットされた状態であることを検知して搬送手段である搬送ローラ13の搬送動作を開始する。
【0060】
図15は、原稿をセットする場合においてメッセージ表示処理に関する説明図である。この例では、メッセージを表示する操作表示部42がガイドユニット11に取り付けられている。まず、原稿Pがガイドユニット11に挿入されていない状態では、「原稿をセットしてください」というメッセージが操作表示部42に表示される(図15(a))。原稿Pがガイドユニット11に挿入されて、原稿Pのサイズを検知する2つのサイズ検知センサ20のうち一方で原稿Pの先端部が検知されると、「原稿を正しくセットしてください」というメッセージが表示される(図15(b))。そして、両方のサイズ検知センサ20が原稿Pの先端部を検知すると、「原稿を読み取ることができます」というメッセージが表示され(図15(c))、この後原稿搬送ボタンを押下することで原稿の搬送が開始されるようになる。
【0061】
以上説明したように、この例では、原稿Pが正確にセットされていないことを報知する報知手段として、メッセージを表示する操作表示部42を設けており、制御部40は、原稿Pの2つのサイズ検知センサのうち一方の検知信号を受信すると正しくセットする旨のメッセージを表示するよう操作表示部42を制御し、両方のサイズ検知センサの検知信号を受信すると読み取り可能である旨のメッセージを表示するよう操作表示部42を制御する。
【符号の説明】
【0062】
1・・画像形成装置、2・・原稿搬送部、3・・原稿読取部、4・・画像形成部、5・・給紙部、6・・用紙搬送部、7・・定着部、8・・排紙部、10・・載置台、11・・ガイドユニット、12・・下ガイド板、13・・搬送ローラ、14・・プレスローラ、15・・コンタクトガラス、16・・白色板、17・・下ガイド板、18・・搬送ローラ、19・・プレスローラ、20・・サイズ検知センサ、21・・レジストセンサ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2002−265094号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた所定位置に原稿がセットされた場合に原稿を検知し、直線状に配置された複数のサイズ検知手段と、
所定位置にセットされた原稿を読取位置に搬送する搬送手段と、
少なくとも2つの前記サイズ検知手段からの出力に基づいて前記搬送手段の搬送開始を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の原稿搬送装置において、
前記搬送手段は、原稿の先端が突き当てられて所定位置にセットされる搬送ローラを備
えており、前記サイズ検知手段は、前記搬送ローラの軸方向に沿って配列されていること
を特徴とする原稿搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の原稿搬送装置において、
前記制御手段は、
前記複数のサイズ検知手段のうち、当該複数のサイズ検知手段の中央から最も外側で前記原稿を検知した第1サイズ検知手段と、
前記中央に対して前記第1のサイズ検知手段とは反対側に配置され、前記第1サイズ検知手段よりも前記中央からの距離が近い第2サイズ検知手段と、
の出力に基づいて前記搬送手段の搬送開始を制御することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の原稿搬送装置において、
原稿が正確にセットされていないことを報知する報知手段を備えており、前記制御手段
は、少なくとも2つの前記サイズ検知手段からの検知信号に基づいて前記報知手段を制御
することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の原稿搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装
置。
【請求項6】
予め定められた所定位置に原稿がセットされた場合に原稿を検知し、直線状に配置された複数のサイズ検知手段からの検知信号に基づいてセットされた原稿のサイズを決定して読取位置に原稿を搬送する原稿搬送方法であって、
2つの前記サイズ検知手段から検知信号に基づいて前記原稿のセット状態を検知し、前記サイズ検知手段から検知信号に基づいて前記原稿が正確にセットされていると判定された場合に前記原稿のサイズを決定し、所定位置にセットされた原稿を読取位置に搬送開始することを特徴とする原稿搬送方法。
【請求項1】
予め定められた所定位置に原稿がセットされた場合に原稿を検知し、直線状に配置された複数のサイズ検知手段と、
所定位置にセットされた原稿を読取位置に搬送する搬送手段と、
少なくとも2つの前記サイズ検知手段からの出力に基づいて前記搬送手段の搬送開始を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の原稿搬送装置において、
前記搬送手段は、原稿の先端が突き当てられて所定位置にセットされる搬送ローラを備
えており、前記サイズ検知手段は、前記搬送ローラの軸方向に沿って配列されていること
を特徴とする原稿搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の原稿搬送装置において、
前記制御手段は、
前記複数のサイズ検知手段のうち、当該複数のサイズ検知手段の中央から最も外側で前記原稿を検知した第1サイズ検知手段と、
前記中央に対して前記第1のサイズ検知手段とは反対側に配置され、前記第1サイズ検知手段よりも前記中央からの距離が近い第2サイズ検知手段と、
の出力に基づいて前記搬送手段の搬送開始を制御することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の原稿搬送装置において、
原稿が正確にセットされていないことを報知する報知手段を備えており、前記制御手段
は、少なくとも2つの前記サイズ検知手段からの検知信号に基づいて前記報知手段を制御
することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の原稿搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装
置。
【請求項6】
予め定められた所定位置に原稿がセットされた場合に原稿を検知し、直線状に配置された複数のサイズ検知手段からの検知信号に基づいてセットされた原稿のサイズを決定して読取位置に原稿を搬送する原稿搬送方法であって、
2つの前記サイズ検知手段から検知信号に基づいて前記原稿のセット状態を検知し、前記サイズ検知手段から検知信号に基づいて前記原稿が正確にセットされていると判定された場合に前記原稿のサイズを決定し、所定位置にセットされた原稿を読取位置に搬送開始することを特徴とする原稿搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−79672(P2011−79672A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167785(P2010−167785)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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