反射型光ギャップセンサ
【課題】温度特性の良い反射型光ギャップセンサを実現する。
【解決手段】発光ダイオード1からの射出光は、第1格子11で等ピッチの線状光線に変換され、反射面5を照射する。反射面5からの反射光は、第2格子12で制限され、第3格子上13に像を形成する。検出部6と反射面5間のギャップが変化すると像ピッチが変化する。第3格子13を通して像ピッチの変化に伴う位相変化を検出する。
【解決手段】発光ダイオード1からの射出光は、第1格子11で等ピッチの線状光線に変換され、反射面5を照射する。反射面5からの反射光は、第2格子12で制限され、第3格子上13に像を形成する。検出部6と反射面5間のギャップが変化すると像ピッチが変化する。第3格子13を通して像ピッチの変化に伴う位相変化を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対抗配置された2つの物体間の間隙を検出するギャップセンサに関し、光の回折像を利用した反射型光ギャップセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオードからの光を被測定面に照射し、その反射光をフォトダイオードで受光し、検出部と被測定面のギャップ変動に対する光強度の変化を検出する反射型光ギャップセンサが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
図10は従来の反射型ギャップセンサの主要部のブロック図である。
図10において、72は被測定面、73は検出部、74は点灯部、75は演算部である。
検出部73は、LED81と、このLED81から放射されて被測定面72で反射された反射光を受光するフォトダイオード82を備えている。
点灯部74は、LED81を所定の周波数で点滅させるための駆動電源である。
演算部75は、フォトダイオード82の短絡電流から検出部73の上端と被測定面72との間のギャップ長を算出するもので、電流増幅器91と、バンドパスフイルタ92と、整流回路93と、平滑回路94と、演算回路95と、線形ゲイン補償回路96とで構成されている。
【0003】
次に、動作について説明する。
検出部73と被測定面72との間のギャップが変化すると、フォトダイオード82の短絡電流が変化する。この短絡電流の変化を演算部75でギャップ長に比例する電圧信号になるように演算処理し、ギャップ変化を検出する。
また、フォトダイオード82の電極間にコンデンサ85が接続されており、短絡電流の一部をコンデンサに流し、温度に対するコンデンサの誘電率の変化を利用して、周囲温度の変化による短絡電流の変化が検出特性に影響しないように補正している。
このように従来の反射型光ギャップセンサは、被測定面のギャップ変動に対する光強度の変化を検出することによって検出部と被測定面間のギャップを検出し、コンデンサの誘電率の変化を利用して光強度の温度変動成分を補償していた。
【0004】
また、従来、インコーヒーレント光が間隙を開けて配置した2枚の回折格子を通り抜けたときに出来る像の解析が行われ、その解析結果が開示されている。(例えば、非特許文献1参照)。
図11は像の解析に用いられたスリットの構成図である。
図11において、G1、G2の2枚の格子の格子間距離と、格子のスリットピッチとの関係が、
p1=(1+Z1/Z2)p2/N
の関係を満たすとき、
pi=p1Z2/Z1
で示される周期piの像が、像面上に形成されることが示されている。
ここで、
Z1=格子G1、G2間の距離
Z2=格子G2と像面間の距離
p1=格子G1のスリットピッチ
p2=格子G2のスリットピッチ
である。
また、Nは整数で、格子G1の周期に対応しており、例えば、N=1の場合、G1の(1+Z1/Z2)p2周期成分に対する結像を示す。
【特許文献1】特許第3103156号公報
【非特許文献1】精密工学学会誌 Vol.62,No.7,1996
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の反射型光ギャップセンサは、ギャップ変動に対する光強度の変化を検出しているので、周囲温度の影響をうけるという問題があり、上述の従来技術ではコンデンサの温度に対する誘電率の変化を利用して補正しているが、フォトダイオードやコンデンサの特性のばらつき等により、広い温度範囲で精度よく補正することは難しく、温度特性の良い反射型光ギャップセンサを得ることは困難であった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、広い温度範囲において温度特性の良い反射型光ギャップセンサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の発明は、対向配置された2つの部材の一方に光源と受光素子と格子を備えた検出部が取り付けられ、前記光源からの射出光を、反射面を有するもう一方の部材に照射し、その反射光を前記受光素子で検出することによって両部材間のギャップを検出する反射型光ギャップセンサにおいて、前記格子は、前記射出光を制限する等ピッチの第1格子と、前記第1格子を透過した光で前記反射面を照射し、その反射光を制限する等ピッチの第2格子と、前記第1格子と前記第2格子を透過した光で生成される前記第1格子の透過光の像を検出する第3格子を備え、前記部材間のギャップ変化に対応して発生する前記像の周期の変化を検出し、前記部材間のギャップを検出するものである。
また、請求項2に記載の発明は、対向配置された2つの部材の一方に光源と受光素子と格子を備えた検出部が取り付けられ、前記光源からの射出光を、反射面を有するもう一方の部材に照射し、その反射光を前記受光素子で検出することによって両部材間のギャップを検出する反射型光ギャップセンサにおいて、前記格子は、前記射出光を制限する等ピッチの第1格子と、前記第1格子を透過した光をさらに制限する等ピッチの第2格子と、前記第1格子と前記第2格子を透過した光で前記反射面を照射し、その反射光によって生成される前記第1格子の透過光の像を検出する第3格子を備え、前記部材間のギャップ変化に対応して発生する前記像の周期の変化を検出し、前記部材間のギャップを検出するものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記射出光の主光線が、前記第1格子乃至第3格子の格子面に対して垂直に入射するように前記第1格子乃至第3格子を配置したものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記検出部は、前記射出光の主光線が格子面に対して垂直に入射するようプリズムを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1または請求項2に記載の発明によると、ギャップ変化に対する像の位相変化を検出しているので、温度による光強度の変化が検出特性に影響しないので温度特性の良いギャップセンサを得ることが出来る。
請求項3に記載の発明によると、第1格子乃至第3格子の格子面に対して射出光の主光線が垂直に入射するように各格子面を配置すれば、検出信号が大きくなりノイズに強い検出ができる。
請求項4に記載の発明によると、格子に対して垂直に射出光が入射するようプリズムを備えれば、光路を短く出来るので、検出部と反射面との相対的な傾きに対して影響が小さく、安定した検出特性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の第1実施例を示す反射型光ギャップセンサの斜視図である。
図において1はインコーヒーレントな射出光を射出する発光ダイオード、11はこの射出光から等ピッチの線状光線を生成する第1格子、12は等ピッチの線状光線によって照射された反射面5からの反射光を制限するための第2格子、13は第3格子で第3格子13上に形成される像を検出するためのものである。2は第3格子を透過した光信号を電気信号に変換するためのフォトダイオードである。3は第1格子11、第2格子12、第3格子13をそれぞれパターン形成するためのガラス基板である。また、5は被測定面の反射面である。本実施例では、第1格子11と第2格子12を同一のガラス基板上に形成することも可能である。
【0010】
図2は、本実施例の反射型光ギャップセンサの側面図である。
図2において4は検出部で、発光ダイオード1、第1格子11、第2格子12、第3格子13、フォトダイオード2およびこれらを収納し固定するためのセンサケース7から構成され図示しない一方の部材に固定されている。
図2において、Z11は第1格子11からもう一方の部材の反射面5までの距離、Z12は反射面5から第2格子12までの距離である。Z11とZ12を加えたものが図10のZ1に対応する。また、Z2は第2格子12と第3格子間13の距離で、図10のZ2に対応する。
【0011】
次に、各格子の格子パターンについて説明する。
図1において、矢印で示した方向をそれぞれx軸方向、y軸方向、z軸方向とすると、各格子とも、x軸方向にスリットを持つy軸方向に等ピッチの格子パターンとなっている。
格子のスリットピッチは検出するギャップや検出部の大きさを考慮して決定するが、非特許文献1に示されているように、結像する条件として第1格子11のスリットピッチp1と第2格子12のスリットピッチp2間にはp2=p1N/(1+Z1/Z2)の関係が必要であり、この関係を満足するように形成してある。なお、Z1はギャップ長によって変化するため、測定の中心となるギャップ長におけるZ1を適用してp2を設定した。
第3格子13のスリットピッチp3は、第3格子上に生成される像周期piと等しいピッチになるように形成されている。像周期piはpi=p1Z2/Z1で与えられ、Z1はギャップ長によって変化するが、測定の中心となるギャップ長におけるZ1を適用してp3を設定した。
【0012】
図3は、第3格子の構成を示す平面図である。
第1格子11と第2格子12はそれぞれ1つのスリット郡のみから構成されるが、第3格子13はa11、a12、b11、b12の4つのスリット郡と、a21、a22、b21、b22の4つのスリット郡から構成され、第3格子面上の主光線との交点x0を通るx軸中心線の左右にそれぞれ配置されている。
スリット郡a11とa12、b11とb12、a21とa22、b21とb22はそれぞれお互いに電気的に180度の位相差を持つように構成され、スリット郡a11とb11、a12とb12、a21とb21、a22とb22はそれぞれお互いに電気的に90度の位相差を持つように構成されている。
【0013】
次に、本実施例のギャップ検出動作について説明する。
図4はギャップが変化したときの像周期の変化を示す模式図である。第3格子13上のa11スリット郡上の像について示す。他の第3格子13上のスリット郡についても同様である。
図4において、四角で示した範囲はa11スリット郡による検出範囲を示す。正弦波状の波形は像強度分布を示している。実線は、あるギャップにおける像強度分布を示し、点線はギャップが変化したときの像強度分布を示す。ギャップ変化によって像ピッチがpiからpi’に変化し、a11スリット郡内では平均θの位相変化が発生する。
【0014】
図5は検出回路の回路図である。
スリット郡a11、a12、b11、b12からの検出についてのみ示し、スリット郡a21、a22、b21、b22からの検出については同様であるので省略する。
図5において21、22、23、24はそれぞれスリット郡a11、a12、b11、b12の背後に配置されたフォトダイオードである。61はアンプでフォトダイオード21、22、23、24の出力をそれぞれ電圧信号va11、va12、vb11、vb12に変換する。62は差動アンプで、va11とva12の差動信号であるva1とvb11とvb12の差動信号であるvb1を得る。63は位相演算部でtan−1(va1/vb1)の演算を行い位相信号θ1を得る。
同様にスリット郡a21、a22、b21、b22を通して検出したフォトダイオードの信号からθ2を得る。64は位相差演算部で位相信号θ1と、位相信号θ2との差(θ1−θ2)を演算する。(θ1−θ2)とギャップとは一定の関係をもつことからギャップを検出することができる。
【実施例2】
【0015】
図6は、本発明の第2実施例を示す反射型光ギャップセンサの斜視図である。
また、図7は、本実施例の反射型光ギャップセンサの側面図である。
本実施例が第1実施例と異なる点は、第1実施例では第1格子11を透過した光で反射面5を照射していたが、本実施例では第1格子11と第2格子12を透過した光で反射面5を照射している点である。
図7においてZ1は第1格子11、第2格子12間の距離で、図10に示したスリット構成図のZ1に対応する。また、Z21は第2格子12から反射面5までの距離、Z22は反射面5から第3格子13までの距離で、両者を加えたものが図10に示したスリット構成図のZ2に対応する。
実施例1では、Z1の変化に伴う第3格子13上の像の位相変化を検出していたが、本実施例では、Z2の変化に伴う第3格子13上の像の位相変化を検出する。
位相検出動作については第1実施例と同じであるので省略する。
なお、本実施例では、第2格子12と第3格子13を同一のガラス基板上に形成することが可能である。
【実施例3】
【0016】
図8は、本発明の第3実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図である。
本実施例が第2実施例と異なる点は、発光ダイオード1からの射出光の主光線aが、第1格子11、第2格子12及び第3格子13の各格子面に対して垂直に入射するように各格子を配置した点である。
本実施例では、主光線が各格子面に対して垂直に入射するので、検出信号が大きくなりノイズに強いギャップセンサを得ることが出来る。
【実施例4】
【0017】
図9は、本発明の第4実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図である。
図9において、14はプリズムである。発光ダイオード1からの射出光の主光線aが各格子面及び反射面5に対して垂直に入射するようにプリズム14を設置している。また、本実施例では第1格子11は、第2格子12を兼ねた構成となる。
本実施例では各格子面及び反射面に対して主光線aが垂直に入射するので、光路を短く出来、検出部と反射面との相対的な傾きに対して各格子への照射位置の変動を小さく出来るので、安定した検出ができる。
【0018】
このように本発明では、検出部と反射面間のギャップが変化による結像する像のピッチが変化から像の位相変化を求め、ギャップを検出しているので、温度による光強度の変化に影響されず、温度特性の良いギャップセンサを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例を示す反射型光ギャップセンサの斜視図
【図2】本発明の第1実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図
【図3】本発明の第3格子の構成を示す平面図
【図4】本発明の像周期の変化を示す模式図
【図5】本発明の検出回路の回路図
【図6】本発明の第2実施例を示す反射型光ギャップセンサの斜視図
【図7】本発明の第2実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図
【図8】本発明の第3実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図
【図9】本発明の第4実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図
【図10】従来の反射型ギャップセンサの主要部のブロック図
【図11】回折像の解析を示すスリットの構成図
【符号の説明】
【0020】
1 発光ダイオード
11 第1格子
12 第2格子
13 第3格子
14 プリズム
2、21、22、23、24 フォトダイオード
3 ガラス基板
4 検出部
5 反射面
61 アンプ
62 差動アンプ
63 位相演算部
64 位相差演算部
7 ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、対抗配置された2つの物体間の間隙を検出するギャップセンサに関し、光の回折像を利用した反射型光ギャップセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオードからの光を被測定面に照射し、その反射光をフォトダイオードで受光し、検出部と被測定面のギャップ変動に対する光強度の変化を検出する反射型光ギャップセンサが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
図10は従来の反射型ギャップセンサの主要部のブロック図である。
図10において、72は被測定面、73は検出部、74は点灯部、75は演算部である。
検出部73は、LED81と、このLED81から放射されて被測定面72で反射された反射光を受光するフォトダイオード82を備えている。
点灯部74は、LED81を所定の周波数で点滅させるための駆動電源である。
演算部75は、フォトダイオード82の短絡電流から検出部73の上端と被測定面72との間のギャップ長を算出するもので、電流増幅器91と、バンドパスフイルタ92と、整流回路93と、平滑回路94と、演算回路95と、線形ゲイン補償回路96とで構成されている。
【0003】
次に、動作について説明する。
検出部73と被測定面72との間のギャップが変化すると、フォトダイオード82の短絡電流が変化する。この短絡電流の変化を演算部75でギャップ長に比例する電圧信号になるように演算処理し、ギャップ変化を検出する。
また、フォトダイオード82の電極間にコンデンサ85が接続されており、短絡電流の一部をコンデンサに流し、温度に対するコンデンサの誘電率の変化を利用して、周囲温度の変化による短絡電流の変化が検出特性に影響しないように補正している。
このように従来の反射型光ギャップセンサは、被測定面のギャップ変動に対する光強度の変化を検出することによって検出部と被測定面間のギャップを検出し、コンデンサの誘電率の変化を利用して光強度の温度変動成分を補償していた。
【0004】
また、従来、インコーヒーレント光が間隙を開けて配置した2枚の回折格子を通り抜けたときに出来る像の解析が行われ、その解析結果が開示されている。(例えば、非特許文献1参照)。
図11は像の解析に用いられたスリットの構成図である。
図11において、G1、G2の2枚の格子の格子間距離と、格子のスリットピッチとの関係が、
p1=(1+Z1/Z2)p2/N
の関係を満たすとき、
pi=p1Z2/Z1
で示される周期piの像が、像面上に形成されることが示されている。
ここで、
Z1=格子G1、G2間の距離
Z2=格子G2と像面間の距離
p1=格子G1のスリットピッチ
p2=格子G2のスリットピッチ
である。
また、Nは整数で、格子G1の周期に対応しており、例えば、N=1の場合、G1の(1+Z1/Z2)p2周期成分に対する結像を示す。
【特許文献1】特許第3103156号公報
【非特許文献1】精密工学学会誌 Vol.62,No.7,1996
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の反射型光ギャップセンサは、ギャップ変動に対する光強度の変化を検出しているので、周囲温度の影響をうけるという問題があり、上述の従来技術ではコンデンサの温度に対する誘電率の変化を利用して補正しているが、フォトダイオードやコンデンサの特性のばらつき等により、広い温度範囲で精度よく補正することは難しく、温度特性の良い反射型光ギャップセンサを得ることは困難であった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、広い温度範囲において温度特性の良い反射型光ギャップセンサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の発明は、対向配置された2つの部材の一方に光源と受光素子と格子を備えた検出部が取り付けられ、前記光源からの射出光を、反射面を有するもう一方の部材に照射し、その反射光を前記受光素子で検出することによって両部材間のギャップを検出する反射型光ギャップセンサにおいて、前記格子は、前記射出光を制限する等ピッチの第1格子と、前記第1格子を透過した光で前記反射面を照射し、その反射光を制限する等ピッチの第2格子と、前記第1格子と前記第2格子を透過した光で生成される前記第1格子の透過光の像を検出する第3格子を備え、前記部材間のギャップ変化に対応して発生する前記像の周期の変化を検出し、前記部材間のギャップを検出するものである。
また、請求項2に記載の発明は、対向配置された2つの部材の一方に光源と受光素子と格子を備えた検出部が取り付けられ、前記光源からの射出光を、反射面を有するもう一方の部材に照射し、その反射光を前記受光素子で検出することによって両部材間のギャップを検出する反射型光ギャップセンサにおいて、前記格子は、前記射出光を制限する等ピッチの第1格子と、前記第1格子を透過した光をさらに制限する等ピッチの第2格子と、前記第1格子と前記第2格子を透過した光で前記反射面を照射し、その反射光によって生成される前記第1格子の透過光の像を検出する第3格子を備え、前記部材間のギャップ変化に対応して発生する前記像の周期の変化を検出し、前記部材間のギャップを検出するものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記射出光の主光線が、前記第1格子乃至第3格子の格子面に対して垂直に入射するように前記第1格子乃至第3格子を配置したものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記検出部は、前記射出光の主光線が格子面に対して垂直に入射するようプリズムを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1または請求項2に記載の発明によると、ギャップ変化に対する像の位相変化を検出しているので、温度による光強度の変化が検出特性に影響しないので温度特性の良いギャップセンサを得ることが出来る。
請求項3に記載の発明によると、第1格子乃至第3格子の格子面に対して射出光の主光線が垂直に入射するように各格子面を配置すれば、検出信号が大きくなりノイズに強い検出ができる。
請求項4に記載の発明によると、格子に対して垂直に射出光が入射するようプリズムを備えれば、光路を短く出来るので、検出部と反射面との相対的な傾きに対して影響が小さく、安定した検出特性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の第1実施例を示す反射型光ギャップセンサの斜視図である。
図において1はインコーヒーレントな射出光を射出する発光ダイオード、11はこの射出光から等ピッチの線状光線を生成する第1格子、12は等ピッチの線状光線によって照射された反射面5からの反射光を制限するための第2格子、13は第3格子で第3格子13上に形成される像を検出するためのものである。2は第3格子を透過した光信号を電気信号に変換するためのフォトダイオードである。3は第1格子11、第2格子12、第3格子13をそれぞれパターン形成するためのガラス基板である。また、5は被測定面の反射面である。本実施例では、第1格子11と第2格子12を同一のガラス基板上に形成することも可能である。
【0010】
図2は、本実施例の反射型光ギャップセンサの側面図である。
図2において4は検出部で、発光ダイオード1、第1格子11、第2格子12、第3格子13、フォトダイオード2およびこれらを収納し固定するためのセンサケース7から構成され図示しない一方の部材に固定されている。
図2において、Z11は第1格子11からもう一方の部材の反射面5までの距離、Z12は反射面5から第2格子12までの距離である。Z11とZ12を加えたものが図10のZ1に対応する。また、Z2は第2格子12と第3格子間13の距離で、図10のZ2に対応する。
【0011】
次に、各格子の格子パターンについて説明する。
図1において、矢印で示した方向をそれぞれx軸方向、y軸方向、z軸方向とすると、各格子とも、x軸方向にスリットを持つy軸方向に等ピッチの格子パターンとなっている。
格子のスリットピッチは検出するギャップや検出部の大きさを考慮して決定するが、非特許文献1に示されているように、結像する条件として第1格子11のスリットピッチp1と第2格子12のスリットピッチp2間にはp2=p1N/(1+Z1/Z2)の関係が必要であり、この関係を満足するように形成してある。なお、Z1はギャップ長によって変化するため、測定の中心となるギャップ長におけるZ1を適用してp2を設定した。
第3格子13のスリットピッチp3は、第3格子上に生成される像周期piと等しいピッチになるように形成されている。像周期piはpi=p1Z2/Z1で与えられ、Z1はギャップ長によって変化するが、測定の中心となるギャップ長におけるZ1を適用してp3を設定した。
【0012】
図3は、第3格子の構成を示す平面図である。
第1格子11と第2格子12はそれぞれ1つのスリット郡のみから構成されるが、第3格子13はa11、a12、b11、b12の4つのスリット郡と、a21、a22、b21、b22の4つのスリット郡から構成され、第3格子面上の主光線との交点x0を通るx軸中心線の左右にそれぞれ配置されている。
スリット郡a11とa12、b11とb12、a21とa22、b21とb22はそれぞれお互いに電気的に180度の位相差を持つように構成され、スリット郡a11とb11、a12とb12、a21とb21、a22とb22はそれぞれお互いに電気的に90度の位相差を持つように構成されている。
【0013】
次に、本実施例のギャップ検出動作について説明する。
図4はギャップが変化したときの像周期の変化を示す模式図である。第3格子13上のa11スリット郡上の像について示す。他の第3格子13上のスリット郡についても同様である。
図4において、四角で示した範囲はa11スリット郡による検出範囲を示す。正弦波状の波形は像強度分布を示している。実線は、あるギャップにおける像強度分布を示し、点線はギャップが変化したときの像強度分布を示す。ギャップ変化によって像ピッチがpiからpi’に変化し、a11スリット郡内では平均θの位相変化が発生する。
【0014】
図5は検出回路の回路図である。
スリット郡a11、a12、b11、b12からの検出についてのみ示し、スリット郡a21、a22、b21、b22からの検出については同様であるので省略する。
図5において21、22、23、24はそれぞれスリット郡a11、a12、b11、b12の背後に配置されたフォトダイオードである。61はアンプでフォトダイオード21、22、23、24の出力をそれぞれ電圧信号va11、va12、vb11、vb12に変換する。62は差動アンプで、va11とva12の差動信号であるva1とvb11とvb12の差動信号であるvb1を得る。63は位相演算部でtan−1(va1/vb1)の演算を行い位相信号θ1を得る。
同様にスリット郡a21、a22、b21、b22を通して検出したフォトダイオードの信号からθ2を得る。64は位相差演算部で位相信号θ1と、位相信号θ2との差(θ1−θ2)を演算する。(θ1−θ2)とギャップとは一定の関係をもつことからギャップを検出することができる。
【実施例2】
【0015】
図6は、本発明の第2実施例を示す反射型光ギャップセンサの斜視図である。
また、図7は、本実施例の反射型光ギャップセンサの側面図である。
本実施例が第1実施例と異なる点は、第1実施例では第1格子11を透過した光で反射面5を照射していたが、本実施例では第1格子11と第2格子12を透過した光で反射面5を照射している点である。
図7においてZ1は第1格子11、第2格子12間の距離で、図10に示したスリット構成図のZ1に対応する。また、Z21は第2格子12から反射面5までの距離、Z22は反射面5から第3格子13までの距離で、両者を加えたものが図10に示したスリット構成図のZ2に対応する。
実施例1では、Z1の変化に伴う第3格子13上の像の位相変化を検出していたが、本実施例では、Z2の変化に伴う第3格子13上の像の位相変化を検出する。
位相検出動作については第1実施例と同じであるので省略する。
なお、本実施例では、第2格子12と第3格子13を同一のガラス基板上に形成することが可能である。
【実施例3】
【0016】
図8は、本発明の第3実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図である。
本実施例が第2実施例と異なる点は、発光ダイオード1からの射出光の主光線aが、第1格子11、第2格子12及び第3格子13の各格子面に対して垂直に入射するように各格子を配置した点である。
本実施例では、主光線が各格子面に対して垂直に入射するので、検出信号が大きくなりノイズに強いギャップセンサを得ることが出来る。
【実施例4】
【0017】
図9は、本発明の第4実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図である。
図9において、14はプリズムである。発光ダイオード1からの射出光の主光線aが各格子面及び反射面5に対して垂直に入射するようにプリズム14を設置している。また、本実施例では第1格子11は、第2格子12を兼ねた構成となる。
本実施例では各格子面及び反射面に対して主光線aが垂直に入射するので、光路を短く出来、検出部と反射面との相対的な傾きに対して各格子への照射位置の変動を小さく出来るので、安定した検出ができる。
【0018】
このように本発明では、検出部と反射面間のギャップが変化による結像する像のピッチが変化から像の位相変化を求め、ギャップを検出しているので、温度による光強度の変化に影響されず、温度特性の良いギャップセンサを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例を示す反射型光ギャップセンサの斜視図
【図2】本発明の第1実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図
【図3】本発明の第3格子の構成を示す平面図
【図4】本発明の像周期の変化を示す模式図
【図5】本発明の検出回路の回路図
【図6】本発明の第2実施例を示す反射型光ギャップセンサの斜視図
【図7】本発明の第2実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図
【図8】本発明の第3実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図
【図9】本発明の第4実施例を示す反射型光ギャップセンサの側面図
【図10】従来の反射型ギャップセンサの主要部のブロック図
【図11】回折像の解析を示すスリットの構成図
【符号の説明】
【0020】
1 発光ダイオード
11 第1格子
12 第2格子
13 第3格子
14 プリズム
2、21、22、23、24 フォトダイオード
3 ガラス基板
4 検出部
5 反射面
61 アンプ
62 差動アンプ
63 位相演算部
64 位相差演算部
7 ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された2つの部材の一方に光源と受光素子と格子を備えた検出部が取り付けられ、前記光源からの射出光を、反射面を有するもう一方の部材に照射し、その反射光を前記受光素子で検出することによって両部材間のギャップを検出する反射型光ギャップセンサにおいて、
前記格子は、
前記射出光を制限する等ピッチの第1格子と、
前記第1格子を透過した光で前記反射面を照射し、その反射光を制限する等ピッチの第2格子と、
前記第1格子と前記第2格子を透過した光で生成される前記第1格子の透過光の像を検出する第3格子を備え、
前記部材間のギャップ変化に対応して発生する前記像の周期の変化を検出し、前記部材間のギャップを検出することを特徴とする反射型光ギャップセンサ。
【請求項2】
対向配置された2つの部材の一方に光源と受光素子と格子を備えた検出部が取り付けられ、前記光源からの射出光を、反射面を有するもう一方の部材に照射し、その反射光を前記受光素子で検出することによって両部材間のギャップを検出する反射型光ギャップセンサにおいて、
前記格子は、
前記射出光を制限する等ピッチの第1格子と、
前記第1格子を透過した光をさらに制限する等ピッチの第2格子と、
前記第1格子と前記第2格子を透過した光で前記反射面を照射し、その反射光によって生成される前記第1格子の透過光の像を検出する第3格子を備え、
前記部材間のギャップ変化に対応して発生する前記像の周期の変化を検出し、前記部材間のギャップを検出することを特徴とする反射型光ギャップセンサ。
【請求項3】
前記射出光の主光線が、前記第1格子乃至第3格子の格子面に対して垂直に入射するように前記第1格子乃至第3格子を配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の反射型光ギャップセンサ。
【請求項4】
前記検出部は、前記射出光の主光線が格子面に対して垂直に入射するようプリズムを備えたことを特徴とする請求項1記載の反射型光ギャップセンサ。
【請求項1】
対向配置された2つの部材の一方に光源と受光素子と格子を備えた検出部が取り付けられ、前記光源からの射出光を、反射面を有するもう一方の部材に照射し、その反射光を前記受光素子で検出することによって両部材間のギャップを検出する反射型光ギャップセンサにおいて、
前記格子は、
前記射出光を制限する等ピッチの第1格子と、
前記第1格子を透過した光で前記反射面を照射し、その反射光を制限する等ピッチの第2格子と、
前記第1格子と前記第2格子を透過した光で生成される前記第1格子の透過光の像を検出する第3格子を備え、
前記部材間のギャップ変化に対応して発生する前記像の周期の変化を検出し、前記部材間のギャップを検出することを特徴とする反射型光ギャップセンサ。
【請求項2】
対向配置された2つの部材の一方に光源と受光素子と格子を備えた検出部が取り付けられ、前記光源からの射出光を、反射面を有するもう一方の部材に照射し、その反射光を前記受光素子で検出することによって両部材間のギャップを検出する反射型光ギャップセンサにおいて、
前記格子は、
前記射出光を制限する等ピッチの第1格子と、
前記第1格子を透過した光をさらに制限する等ピッチの第2格子と、
前記第1格子と前記第2格子を透過した光で前記反射面を照射し、その反射光によって生成される前記第1格子の透過光の像を検出する第3格子を備え、
前記部材間のギャップ変化に対応して発生する前記像の周期の変化を検出し、前記部材間のギャップを検出することを特徴とする反射型光ギャップセンサ。
【請求項3】
前記射出光の主光線が、前記第1格子乃至第3格子の格子面に対して垂直に入射するように前記第1格子乃至第3格子を配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の反射型光ギャップセンサ。
【請求項4】
前記検出部は、前記射出光の主光線が格子面に対して垂直に入射するようプリズムを備えたことを特徴とする請求項1記載の反射型光ギャップセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−349606(P2006−349606A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179060(P2005−179060)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
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