説明

反射型光電センサ

【課題】被検出物体の有無の検出以外に光電センサから被検出物体の反射率を判別することができる反射型光電センサを提供する。
【解決手段】図2(a)に示すように投光手段から被検出物体に照射する光Pfを第1〜第6のパルス光Pf1〜Pf6に分割し、各パルス光の投光量Eを相違させて、変化率ε1の光Pfを被検出物体に照射する。被検出物体から反射されたパルス光を受光手段により受光し、図2(b)に示すパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2を判別する。被検出物体の反射率δが異なると、図2(b)又は図2(c)に示すようにパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2も変化するので、この両者の相関データに基づいて、判定されたパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2に応じた被検出物体の反射率δを選択して判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子からの出射光が、その光路上にある被検出物体で反射され、その反射光を受光素子で受光することにより、物体の有無の検出を行う反射型光電センサに係り、詳しくは物体の反射率あるいは光電センサと物体との距離を判別することができる反射型光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の反射型光電センサは、例えば、工場の生産ライン等で、物体の有無を判別するために多用されている。従来の反射型光電センサは、発光素子により発光された光が投光レンズを介して、該投光レンズより前方に配置された紙等の被検出物体に照射される。照射された光は、被検出物体の表面により反射され、この反射光の一部は、受光レンズを通して受光素子で受光され、この光は光信号から電気信号に変換され、さらに増幅器により増幅される。そして、増幅された光の光量が予め設定された閾値を超えた場合に、被検出物体が有ると判定される。
【0003】
従来の反射型光電センサの発光素子から発光される光が常時検出領域に照射されると、エネルギーが浪費されることになるので、図6(a)に示すように、発光素子から所定の周期で同じ形状の縦長矩形のパルス光として被検出物体に照射され、反射されたパルス光は図6(b)に示すように減衰されて受光素子に入るようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−132803号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の反射型光電センサは、発光素子から発光されるパルス光が、図6(a)に示すように、同じ矩形のパルス波形となるようになっていたので、受光素子により受光されるパルス光の波形が図6(b)に示すように減衰されてはいるが単調な形状のパルス光となる。このため、受光されたパルス光を基に被検出物体の有無の検出を行うことしかできないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、被検出物体の有無の検出以外に、一単位の光が複数のパルス光として被検出物体に照射されたときの各パルス光の受光量レベルと予め定められた所定レベルとを比較し、受光量レベルが前記所定レベル以下から以上に変化したときの投光された光の各パルス光の投光量を判別することができ、この投光量に基づいて光電センサから被検出物体までの距離を判別することができる反射型光電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、被検出物体へ光を照射する投光手段と、上記被検出物体から反射された光を受光する受光手段と、上記受光手段の受光量に基づいて前記被検出物体の有無の判別を行う有無判別手段とを備えた反射型光電センサにおいて、前記投光手段に対して、投光量が異なる複数のパルス光を順次出射させる投光動作を制御する投光量制御手段と、各投光動作毎に、各パルス光による受光量レベルと予め定められた所定レベルとの比較を行う受光量比較手段と、前記受光量比較手段の比較により前記受光量レベルが前記所定レベル以下から以上に変化したときの投光された各パルス光の投光量を判別して出力する投光量判別手段と、光電センサから異なる距離に存在する複数の被検出物体による受光量レベルが前記所定レベル以下から以上に変化するときの投光されたパルス光の投光量と前記各距離とを対応付けて記憶する距離記憶手段と、前記投光量判別手段から出力される投光量情報に対応する距離を、前記距離記憶手段に記憶されたデータベースの中から読み出すことにより光電センサから前記被検出物体までの距離を判別する距離判別手段とを備えることを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記各投光動作毎に各パルス光による受光量をそれぞれ記憶する受光量記憶手段と、上記受光量記憶手段に記憶された各パルス光の受光量から受光量の変化率を判別して出力する変化率判別手段と、前記変化率判別手段により判別された変化率に基づいて前記距離判別手段により判別された距離を補正する距離補正手段とを備えることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記投光量制御手段は、各投光動作におけるパルス光の数を任意に変更する機能を備えることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2において、前記投光量制御手段は、所定時間の中で各投光動作におけるパルス数を任意に変更する機能を備えていることを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記投光量制御手段は、各投光動作における各パルス光の投光量を任意に設定可能に構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
各請求項に記載の発明によれば、被検出物体の有無の検出以外に、光が複数のパルス光として被検出物体に照射されたときの各パルス光の受光量レベルと予め定められた所定レベルとを比較し、受光量レベルが前記所定レベル以下から以上に変化したときの投光された光の各パルス光の投光量を判別することができる。この判別された投光量に基づいて光電センサから被検出物体までの距離を判別することができる。この距離を判別することによって、例えば被検出物体の位置や形状あるいは大きさの判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】反射型光電センサの第1の実施形態を示すブロック回路図。
【図2】(a)〜(c)は、第1の実施形態の光電センサの動作を説明するグラフ。
【図3】反射型光電センサの第2の実施形態を示すブロック回路図。
【図4】(a)〜(c)は、第2の実施形態の光電センサの動作を説明するグラフ。
【図5】(a)〜(c)は、第2の実施形態の光電センサの動作を説明するグラフ。
【図6】(a),(b)は、従来の光電センサの投光波形及び受光波形を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、反射型光電センサの第1の実施形態を図1及び図2に従って説明する。
この第1の実施形態の光電センサは、概略的に見て、図1に示すようにワーク等の被検出物体11に所定の加工を施す生産ラインのコンベアによって搬送される前記被検出物体11に光を照射する投光手段12と、前記被検出物体11に入反射された光を受光する受光手段13と、前記投光手段12及び受光手段13の動作を制御する制御装置14とよって構成されている。
【0014】
そこで、前記投光手段12、受光手段13及び制御装置14の各構成を順次説明する。
前記投光手段12は、発光回路15と、該発光回路15に接続された発光素子16と、投光レンズ17とによって構成されている。又、前記受光手段13は、受光素子18と、前記被検出物体11によって反射された光を前記受光素子18に導く受光レンズ19と、前記受光素子18に接続された受光回路20とによって構成されている。そして、受光素子18により受光された光を受光回路20により電気信号に変換して増幅し、制御装置14に送るようになっている。
【0015】
次に、前記制御装置14について説明する。この制御装置14は、各種の演算処理あるいは判別処理を行う中央演算処理装置(CPU)21を備えている。このCPU21には、各種の動作プログラムを予め記憶するためのリードオンリーメモリ(ROM)22が接続されるとともに、各種のデータを記憶するための記憶手段としての読み出し書き込み可能なランダムアクセスメモリ(RAM)23が接続されている。このRAM23は、受光量記憶手段、反射率記憶手段及び距離記憶手段として機能する。前記CPU21には投光量制御手段24が設けられ、この投光量制御手段24によって、図2(a)に示すように、1回の投光動作により投光される一単位の光Pfを第1〜第6の矩形のパルス光Pf1〜Pf6に分割された波形とし、各パルス光Pf1〜Pf6の投光量Eが時間tの経過と共に段階的に増加するように制御できるようにしている。そして、各パルス光Pf1〜Pf6の投光量E1〜E6の変化率ε1を所望する値に設定できるようにしている。この変化率ε1は、例えば第1のパルス光Pf1から第6のパルス光Pf6までの経過時間を基準時間tcとすると、この所定の基準時間tc当たりの第1のパルス光Pf1の投光量E1から第6のパルス光Pf6の投光量E6の変化量(E6−E1)を意味する。
【0016】
前記CPU21には、前記受光回路20からの受光信号に基づいて、被検出物体11の有無を判別する有無判別手段25が設けられている。この有無判別手段25によって、例えば、前記第1〜第6のパルス光Pg1〜Pg6のうち第6のパルス光Pg6の受光量W6が所定値を超えた場合に、被検出物体11が有ると判別するようにしている。
【0017】
又、前記CPU21には、図2(b)に示すように受光手段13により受光された第1〜第6のパルス光Pg1〜Pg6の受光量Wに基づいて、一単位のパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2を判別するための変化率判別手段26が設けられている。この変化率ε2は、前述した変化率ε1と同様に第1のパルス光Pg1から第6のパルス光Pg6までの経過時間を基準時間tcとし、この所定の基準時間tc当たりの第1のパルス光Pg1の受光量W1から第6のパルス光Pg6の受光量W6の変化量(W6−W1)を意味する。
【0018】
さらに、前記CPU21には、前記変化率判別手段26によって判別されたパルス光Pgの受光量の変化率ε2に基づいて、被検出物体11の反射率δを判別するための反射率判別手段27が設けられている。この反射率判別手段27は、次のような機能を有している。即ち、被検出物体11の表面の色彩の違いや表面処理の違い等によって、前記発光素子16から発光され光Pfの各パルス光Pf1〜Pf6が一定の変化率ε1に設定されている場合においても、被検出物体11の反射率δの相違によって、例えば反射率δが高い場合には、図2(b)に示すように、受光されたパルス光Pgの変化率ε2が大きくなる。反対に、被検出物体11の反射率δが低い場合には、図2(c)に示すように受光されたパルス光Pgの変化率ε2が小さくなることが判っている。このため、投光される光Pfの投光量Eの変化率ε1と、被検出物体11の反射率δと、受光されたパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2との相関データを予め実験あるいは適正な理論を用いて求める。そして、この相関データをデータベースとして、前記RAM23に予め記憶させておき、このデータベースの中から判別された変化率ε2に対応する反射率δを選択する。この選択された反射率δは、制御装置14に接続された表示装置28に表示されるようになっている。なお、この表示装置28には、被検出物体11の有無の判別結果あるいはその他の各種のデータが表示されるようになっている。
【0019】
前記CPU21には、前記投光量制御手段24、有無判別手段25、変化率判別手段26及び反射率判別手段27等の各種のデータを入力する入力装置29が接続されている。
次に、前記のように構成された反射型光電センサの動作について説明する。
【0020】
図1において、前記投光手段12が作動され、前記投光量制御手段24からの制御信号によって、発光回路15が作動され、発光素子16から図2(a)に示す投光量Eの変化率ε1の光Pfが所定の周期で、被検出物体11に向かって照射される。この被検出物体11に照射された光Pfは、被検出物体11によって反射され、受光素子18によって受光される。この受光されたパルス光Pgは、受光回路20に入力されて光信号から電気信号に変換され、例えば図2(b)に示すように、第1〜第6のパルス光Pg1〜Pg6として、有無判別手段25に入力される。この有無判別手段25によって、第6のパルス光Pg6の受光量W6が予め設定された基準値に達したか否かが判別され、基準値に達した場合には、被検出物体11が有ると判別されて、表示装置28にその旨が表示される。
【0021】
一方、前記受光回路20からCPU21に送信された図2(b)に示すデータは、前記変化率判別手段26に入力されて、この変化率判別手段26によって、受光されたパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2が判別される。この判別された変化率ε2が前記反射率判別手段27に入力されて、この反射率判別手段27によって、予めRAM23に記憶された投光量Eの変化率ε1、被検出物体11の反射率δ及び受光されたパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2の相関データに基づいて、実際の変化率ε2に応じた被検出物体11の反射率δが選択され、この選択された被検出物体11の反射率δが表示装置28に表示される。
【0022】
ところで、被検出物体11の反射率δが判別されると、被検出物体11が例えば紙である場合においては、紙の色彩の赤色、黄色、青色等の相違を判別することができるので、被検出物体11の色彩の相違を判別するために利用することが可能となる。又、被検出物体11が例えば切削加工された各種の部品である場合において、部品の表面の仕上げ状態によって反射率δが異なるので、この反射率δを判別することによって、部品の表面仕上げ精度の良否を判別することができる。
【0023】
上記実施形態の反射型光電センサによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記制御装置14に投光量制御手段24を設け、発光素子16から図2(a)に示す第1〜第6のパルス光Pf1〜Pf6の光Pfを被検出物体11に向かって照射し、受光手段13によって受光されたパルス光Pgの第1〜第6のパルス光Pg1〜Pgnの変化率ε2を変化率判別手段26によって判別するようにした。又、この変化率ε2に基づいて反射率判別手段27によって、被検出物体11の反射率δを前述した投光量Eの変化率ε1、被検出物体11の反射率δ及び受光されたパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2の相関データの中から選択して判別するようにした。このため、制御装置14のCPU21の機能を変更するのみで、被検出物体11の反射率δを容易に判別でき、この反射率δによって被検出物体11の例えば、色彩や加工精度の良否等を判別することができる。
【0024】
(2)上記実施形態では、RAM23に予め記憶された投光される光Pfの変化率ε1、受光されたパルス光Pgの変化率ε2及び被検出物体11の反射率δの相関関係を表すデータベースの中から受光されたパルス光Pgの変化率ε2に応じた被検出物体11の反射率δを選択して設定するようにした。このため、被検出物体11の反射率δを適正に判別することができるとともに、変化率判別手段26及び反射率判別手段27の動作を制御するソフトウェアのプログラムを容易に行うことができる。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、反射型光電センサの第2の実施形態を図3〜図5に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の反射型光電センサの制御装置14の構成を変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0026】
図3に示すように、前記制御装置14には、投光手段12から所定の変化率ε1で光Pfが被検出物体11に照射されたときの前記受光手段13による各パルス光Pg1〜Pg6の受光量W1〜W6のレベルと予め定められた被検出物体11の検出が可能な所定レベルとの比較を行う受光量比較手段31が設けられている。この受光量比較手段31には、前記受光量比較手段31の比較により前記受光量のレベルが前記所定レベル以下から以上に変化したときの投光された光Pfの各パルス光Pf1〜Pf6の投光量E1〜E6を判別して出力する投光量判別手段32が設けられている。さらに、この投光量判別手段32には、該投光量判別手段32により判別された投光レベルに基づいて光電センサ(投光手段12)から被検出物体11までの距離Lを判別する距離判別手段33が接続されている。さらに、前記CPU21には、前記変化率判別手段26及び距離判別手段33からの信号に基づいて、前記距離Lを補正するための距離補正手段34が設けられている。
【0027】
次に、上記受光量比較手段31、投光量判別手段32、距離判別手段33及び距離補正手段34の機能を順次説明する。
図4(a)に示すように、発光素子16から被検出物体11に照射される光Pfの第1〜第6のパルス光Pf1〜Pf6の投光量Eの変化率ε1と、図4(b)に示すように受光されたパルス光Pgの第1〜第6のパルス光Pg1〜Pg6の受光量Wの変化率ε2とが同じである場合においても、光電センサから被検出物体11までの距離Lの相違によって、パルス光Pgの波形が図4(b)又は図4(c)に示すように異なる波形となる。即ち、前記距離Lが短い場合には、被検出物体11の反射も正常に行われて、図4(b)に示すように受光されたパルス光Pgの波形は、投光された光Pfの波形とほぼ同様の波形となる。しかし、前記距離Lが大きい場合には、図4(c)に示すように、光の減衰によって、検出が可能な最初のパルス光が検出されるのは、投光された第1〜第6のパルス光Pf1〜Pf6のうち例えば第4のパルス光Pf4と対応する第4のパルス光Pg4が最初となる。従って、投光された第1〜第6のパルス光Pf1〜Pf6のうち最初に第1のパルス光Pf1が検出された場合の前記距離Lを第1距離L1とし、以下、第2〜第6のパルス光Pf2〜Pf6が順次最初に検出された場合のそれぞれの距離を第2〜第6距離L2〜L6として、これらの相関データを実験により求める。そして、この相関データをデータベースとして、前記RAM23に予め記憶させておき、前記受光量比較手段31、投光量判別手段32及び距離判別手段33によって、前記相関データのなかから最初に検出された任意のパルス光に対応する前記距離L1〜L6のいずれかを選択するようにしている。
【0028】
さらに詳述すると、この第2の実施形態においては、光電センサから異なる距離L1〜L6に存在する複数の被検出物体11による各パルス光Pg1〜Pg6の受光量W1〜W6のレベルが前記所定レベル以下から以上に変化するときの投光されたパルス光Pf1〜Pf6の投光量E1〜E6と、前記各距離L1〜L6とが対応付けられてRAM23にデータベースとして記憶される。そして、前記投光量判別手段32から出力された投光量(例えば第4のパルス光Pf4のE4)情報に対応する距離L4を、前記RAM23に記憶されたデータベースの中から読み出すことにより光電センサから前記被検出物体までの距離L4を判別する。この距離L4が判別されることによって、例えば、被検出物体11の高さ、幅等を知ることが可能となる。
【0029】
ところで、上述した距離L1〜L6の判別方法は、受光されたパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2が投光された光Pfの投光量Eの変化率ε1と同じ場合に適用される。しかし、前述したように、被検出物体11の反射率δが変化すると、第1の実施形態で述べた図2(b)及び(c)に示すように、受光されたパルス光Pgの受光量Wの変化率ε2も変動する。このため、この第2の実施形態においては、パルス光Pgの変化率ε2の相違によって、距離L1〜L6の判別動作に誤差が生じないように、前記距離補正手段34に以下の機能を付与している。
【0030】
即ち、図5(a)に示すように、受光されたパルス光Pgの変化率が基準変化率ε2kと同じ変化率の場合に、例えば図5(b)に示すように第4のパルス光Pg4が最初に検出されるものとすると、図5(a)に示すように、変化率ε2kよりも判別された変化率ε2が小さい場合には、受光量Wが減少するので、図5(c)に示すように第5のパルス光Pg5が最初に検出されることになる。従って、判別された変化率ε2が基準変化率ε2kと異なる場合に、基準変化率ε2kと判別され変化率ε2との変化率差と、前記距離Lの補正値との相関データを予め実験や適正な理論により求めておき、これを距離の補正演算式として設定し、この補正演算式をROM22に記憶する。そして、距離補正手段34により前記補正演算式に基づいて、実際の変化率差に対応する距離Lの補正値を演算するようにしている。
【0031】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1の実施形態において、前記反射率判別手段27に対し、予め記憶媒体に記憶されたパルス光Pgの受光量Wの複数の変化率ε2と、各変化率ε2に応じて設定された複数の反射率δとの相関データを、記憶媒体に予めデータベースとして記憶しておき、このデータベースの中から判別された前記変化率ε2に応じた反射率δを選択する機能を付与してもよい。
【0032】
・第1の実施形態において、図1に示す前記反射率判別手段27を省略してもよい。この場合には、光電センサの変化率判別手段26から出力された受光量の変化率情報を光電センサとは別の制御機器に設けられた反射率判別手段27に送信して、反射率を判別する。
【0033】
・第2の実施形態において、図3に示す前記距離判別手段33及び距離補正手段34を省略してもよい。この場合には、光電センサの投光量判別手段32から出力された投光量情報を光電センサとは別の制御機器に設けられた距離判別手段33及び距離補正手段34に送信して、距離を判別する。
【0034】
・第2の実施形態において、判別された変化率ε2が基準変化率ε2kと異なる場合に、基準変化率ε2kと判別され変化率ε2との変化率差と、前記距離Lの補正値との相関データを予め実験や適正な理論により求めておき、これを距離の補正データとしてRAM23に記憶しておき、距離補正手段34により前記補正データの中から該当する補正データを選択して、実際の変化率差に対応する距離Lの補正値を距離判別手段33により演算するようにしもよい。
【0035】
・第1の実施形態において、図2(a)に示す光Pfを第1〜第6のパルス光Pf1〜Pf6の投光量が段階的に小さくなるように投光量制御手段24の機能を設定してもよい。
【0036】
・前記投光量制御手段24に対し、一単位の光Pfを形成する複数のパルス光Pf1〜Pfnの数を任意に変更する機能を付与してもよい。
・前記投光量制御手段24に対し、所定時間の中でパルス光Pf1〜Pfnの数を任意の数に可変設定する機能を付与してもよい。
【0037】
・前記投光量制御手段24に対し、一単位の光Pfを形成するパルス光の各投光量をそれぞれ任意の投光量に可変設定する機能を付与してもよい。
【符号の説明】
【0038】
δ…反射率、E,E1〜E6…投光量、L,L1〜L6…距離、W,W1,W6…受光量、ε1,ε2,ε2k…変化率、Pf,Pg…パルス光、ε2k…基準変化率、Pf1〜Pf6…パルス光、11…被検出物体、12…投光手段、13…受光手段、24…投光量制御手段、25…有無判別手段、26…変化率判別手段、27…反射率判別手段、31…受光量比較手段、32…投光量判別手段、33…距離判別手段、34…距離補正手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物体へ光を照射する投光手段と、
上記被検出物体から反射された光を受光する受光手段と、
上記受光手段の受光量に基づいて前記被検出物体の有無の判別を行う有無判別手段とを備えた反射型光電センサにおいて、
前記投光手段に対して、投光量が異なる複数のパルス光を順次出射させる投光動作を制御する投光量制御手段と、
各投光動作毎に、各パルス光による受光量レベルと予め定められた所定レベルとの比較を行う受光量比較手段と、
前記受光量比較手段の比較により前記受光量レベルが前記所定レベル以下から以上に変化したときの投光された各パルス光の投光量を判別して出力する投光量判別手段と、
光電センサから異なる距離に存在する複数の被検出物体による受光量レベルが前記所定レベル以下から以上に変化するときの投光されたパルス光の投光量と前記各距離とを対応付けて記憶する距離記憶手段と、
前記投光量判別手段から出力される投光量情報に対応する距離を、前記距離記憶手段に記憶されたデータベースの中から読み出すことにより光電センサから前記被検出物体までの距離を判別する距離判別手段と
を備えることを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項2】
請求項1において、前記各投光動作毎に各パルス光による受光量をそれぞれ記憶する受光量記憶手段と、
上記受光量記憶手段に記憶された各パルス光の受光量から受光量の変化率を判別して出力する変化率判別手段と、
前記変化率判別手段により判別された変化率に基づいて前記距離判別手段により判別された距離を補正する距離補正手段と、を備えることを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記投光量制御手段は、各投光動作におけるパルス光の数を任意に変更する機能を備えることを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記投光量制御手段は、所定時間の中で各投光動作におけるパルス数を任意に変更する機能を備えていることを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、前記投光量制御手段は、各投光動作における各パルス光の投光量を任意に設定可能に構成されていることを特徴とする反射型光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−211913(P2012−211913A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−131765(P2012−131765)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【分割の表示】特願2007−173485(P2007−173485)の分割
【原出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】