説明

反射防止膜

ガス放出の低減のために反射防止膜中で有用な新規の自己架橋性ポリマーが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のポリマー、及びガス放出の低減に反射防止膜用組成物中で前記ポリマーを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、コンピュータチップや集積回路の製造などの微細化された電子部品の製造のためのマイクロリソグラフィプロセスに使用されている。これらのプロセスでは、一般的に、先ずフォトレジスト組成物のフィルムの薄い塗膜を、集積回路の製造に使用されるシリコンウェハなどの基材に塗布する。この被覆された基材を次いでベーク処理してフォトレジスト組成物中の溶剤を蒸発させ、そして基材上に塗膜を定着させる。この基剤の被覆されそしてベーク処理された表面を次に放射線による像様露光に付す。
【0003】
この放射線露光は、被覆された表面の露光された領域において化学的な変化を引き起こす。可視光線、紫外線(UV)、電子ビーム及びX線放射エネルギーが、現在マイクロリソグラフィプロセスに常用されている放射線種である。この像様露光の後、被覆された基材は現像剤溶液で処理され、フォトレジストの放射線露光された領域または未露光の領域のいずれかが溶解除去される。
【0004】
半導体デバイスは微細化に向かう傾向があり、このような微細化に伴う問題を解決するために精巧なマルチレベルシステムが使用されている。フォトリソグラフィに高吸光性の反射防止膜を使用することが、高反射性の基材からの光の後方反射(back reflection)に起因する問題を軽減するためのより簡単な方策である。後方反射の二つの有害な効果が薄膜干渉と反射ノッチングである。薄膜干渉は、レジストの厚さが変わるとレジスト膜中の全光強度を変動させるために、それを原因としてライン幅の微小寸法(CD)が変化する結果となる。線幅の変動はスウィング比(S)に比例し、それ故、より良好な線幅制御のためには最小化しなければならない。スウィング比は次の通り定義される。
【0005】
【数1】

【0006】
式中、
1は、レジスト/空気界面またはレジスト/上面コート界面における反射率であり、R2は、レジスト/基材界面における反射率であり、αは、レジストの光学吸収係数であり、そしてDは、レジストの膜厚である。
【0007】
反射防止膜は、フォトレジストの露光に使用された放射線を吸収することによって機能し(すなわち、R2を低下させる)、それによってスウィング比を減少させる。反射ノッチングは、起伏のある構造的特徴(トポグラフィ)を含む基材上でフォトレジストをパターン化する際に深刻になる。このような構造的特徴は、フォトレジストフィルム中に光を散乱させて、線幅の変動を招きそして極端な場合にはレジストが完全に失われた領域をも生じさせる。
【0008】
有機反射防止膜は、通常は180℃以上の温度で硬化される。それで、小さな分子は、硬化中にフィルムから昇華する傾向がある。低分子量成分のガス放出は、反射防止膜の問題の一つである。なぜならば、これらの成分は、ベーク用の炉やそれらの排気設備に蓄積する傾向があるからである。昇華した材料は、それらが蓄積した表面から除去されると基材上に欠陥を生じさせる恐れがある。本発明は、低分子量架橋剤の必要性を省く、自己架橋可能なポリマーを使用する。
【本発明の概要】
【0009】
本発明は、活性水素側基(pendant active hydrogen)を含むエチレン性不飽和化合物から誘導された第一の繰り返し単位、及び前記第一の繰り返し単位と共重合可能な第二の繰り返し単位を含み、この際、ポリマー中の前記活性水素側基のうちの少なくとも10モル%がアミノプラストで置換されているポリマーであって、酸性条件下に自己架橋する前記ポリマーに関する。
【0010】
また本発明は、反射防止膜用組成物を構成するために溶剤中に該新規ポリマーを使用することにも関する。該反射防止膜は、任意に酸発生剤を含むこともできる。該反射防止膜中のポリマーは、更に、吸光性発色団を含む繰り返し単位を含む。吸光性発色団を含む繰り返し単位は、前記第一の繰り返し単位、第二の繰り返し単位、または追加のモノマーであることができる。
【0011】
更に本発明は、基材上に像を形成する方法であって、a)この基材を、本発明の組成物で被覆し; b)段階a)の被膜を加熱し; c)段階b)の被膜の上に、フォトレジスト溶液から被膜を形成し; d)このフォトレジスト被膜を加熱して、この被膜から溶剤を実質的に除去し; e)このフォトレジスト被膜を像様露光し; f)水性アルカリ性現像剤を用いて像を現像し; g)場合により、現像の前及び後に基材を加熱し; そしてh) 段階b)の組成物をドライエッチすることを含む前記方法に関する。
【本発明の詳細な説明】
【0012】
本発明は、活性水素側基を含むエチレン性不飽和化合物から誘導された第一の繰り返し単位、及び前記第一の繰り返し単位と共重合可能な第二の繰り返し単位を含み、この際、ポリマー中の前記活性水素側基のうちの少なくとも10モル%がアミノプラストで置換されているポリマーであって、酸性条件下に自己架橋する前記ポリマーに関する。
【0013】
また本発明は、反射防止膜用組成物を構成するために、溶剤中で該新規ポリマーを使用することにも関する。該反射防止膜は、任意で酸発生剤を含むこともできる。該反射防止膜中のポリマーは、更に、吸光性発色団を有する繰り返し単位を含む。吸光性発色団を含む繰り返し単位は、上記の第一の繰り返し単位、第二の繰り返し単位、または追加のモノマーであることができる。
【0014】
前記第一の繰り返し単位のエチレン性不飽和化合物としては、活性水素側基を有する重合性化合物を挙げることができる。このエチレン性不飽和化合物の例としては、次のものには限定されないが、例えばヒドロキシ含有アクリレートモノマー、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシイソデシルアクリレート、ヒドロキシラウリルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートなど、及び上記のアクリレート類に対応するヒドロキシ含有メタクリレートモノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシイソデシルメタクリレート、ヒドロキシラウリルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレートなど; アリル性モノマー、例えばアリルアルコール、メタリルアルコール、及びアリルアルコールまたはメタリルアルコールとエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはこれらの類似物またはこれらの混合物などとのアルコキシル化生成物、(これらの例としては、アリルアルコールモノプロポキシレート及びアリルアルコールモノエトキシレートなどが挙げられる); スチレン誘導体、例えばp-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシスチレン、α-メチル-p-ヒドロキシスチレン、4-ヒドロキシ-2-メチルスチレン、4-ヒドロキシ-3-メチルスチレン、3-ヒドロキシ-2-メチルスチレン、3-ヒドロキシ-4-メチルスチレン、3-ヒドロキシ-5-メチルスチレン; アミノ基で置換されたモノマー、例えばアミノエチルアクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、2-メチルアミノエチルメタクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、4-アミノシクロヘキシルメタクリレート、及び4-アミノスチレンなど; カルボン酸基で置換されたモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸及びこれらの類似物など; スルホン酸基で置換されたモノマー、例えばビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルベンジルスルホン酸、メタリルスルホン酸及びこれらの類似物など、並びに対応するスルホンアミド類及びこれらの類似物などが挙げられる。
【0015】
第二の繰り返し単位としては、例えば、芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、m-メチルスチレン、4-アセトキシスチレン、4-カルボキシスチレン、4-アミノスチレン、4-メトキシスチレン、1,3-ジメチルスチレン、タートブチルスチレン、ビニルナフタレン及びこれらの類似物など; アルキルメタクリレート類、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレートなど; ビニルエーテル類、例えばエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、トリルビニルエーテル及びこれらの類似物など; アルキルアクリレート類、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ドデシルアクリレートなど; アリールメタクリレート類またはアルキルアリールメタクリレート類、例えばフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート; アリールアクリレート類またはアルキルアリールアクリレート類、例えばフェニルアクリレート、ベンジルアクリレート; ビニルエーテル類及びエステル類などを挙げることができる。本質的には、活性水素側基を含まずそして第二の繰り返し単位として前記第一の繰り返し単位と重合することができるものであれば、反射防止膜用組成物に使用されるポリマーの製造に常用される他の任意のモノマーを使用することができる。
【0016】
更に、前記第二の繰り返し単位とは異なるかまたは同一の追加のモノマーを該ポリマーの一部として、例えばターポリマー、テトラポリマーまたはこれらの類似物とすることもできる。
【0017】
本発明のポリマーを反射防止膜用組成物に使用する際は、この反射防止膜用組成物の吸光は、ポリマー中の吸光性発色団としてまたは染料添加剤としてであることができる。ポリマー中の吸光性発色団を使用することが好ましい。なぜならば、これは、組成物中の余分な揮発性成分の潜在的リスクを減らすためである。
【0018】
吸光性発色団の例は、一つ乃至四つの個別のまたは縮合した環(各々の環には3〜10個の原子が含まれる)を有する炭化水素芳香族部分または複素環式芳香族部分である。第一の繰り返し単位及び第二の繰り返し単位と重合可能な吸光性発色団含有モノマーの例としては、置換されているかまたは置換されていないフェニルを含むビニル化合物、置換されているかまたは置換されていないアントラシルを含むビニル化合物、置換されているかまたは置換されていないフェナントリルを含むビニル化合物、置換されているかまたは置換されていないナフチルを含むビニル化合物、置換されているかまたは置換されておらずそして酸素、窒素、硫黄またはこれらの組み合わせなどのヘテロ原子を含む複素環式環、例えばピロリジニル、ピラニル、ピペリジニル、アクリジニル、キノリニルなどを含むビニル化合物などが挙げられる。他の使用し得る発色団は、米国特許第6,114,085号明細書、同第5,652,297号明細書、同第5,981,145号明細書、同第5,939,236号明細書、同第5,935,760号明細書及び同第6,187,506号明細書に記載されている。なお、これらの特許文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。好ましい発色団は、置換されているかまたは置換されていないフェニルのビニル化合物、置換されているかまたは置換されていないアントラシルのビニル化合物、及び置換されているかまたは置換されていないナフチルのビニル化合物であり、より好ましいモノマーは、スチレン、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、安息香酸ビニル、4−tert−ブチル安息香酸ビニル、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレート、2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、9-アントラセニルメチルメタクリレート、9-ビニルアントラセン、2-ビニルナフタレン、N-ビニルフタルイミド、N-(3-ヒドロキシ)フェニルメタクリルアミド、N-(3-ヒドロキシ-4-ニトロフェニルアゾ)フェニルメタクリルアミド、N-(3-ヒドロキシル-4-エトキシカルボニルフェニルアゾ)フェニルメタクリルアミド、N-(2,4-ジニトロフェニルアミノ)フェニルマレイミド、3-(4-アセトアミノフェニル)アゾ-4-ヒドロキシスチレン、3-(4-エトキシカルボニルフェニル)アゾ-アセトアセトキシエチルメタクリレート、3-(4-ヒドロキシフェニル)アゾ-アセトアセトキシエチルメタクリレート、3-(4-ニトロフェニル)アゾアセトアセトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、及び3-(4-メトキシカルボニルフェニル)アゾアセトアセトキシエチルメタクリレートである。
【0019】
場合により、吸光性発色団を有するモノマーは、第一の繰り返し単位を同じであることができる。例えば、吸光性発色団成分と活性水素側基の両方を含むヒドロキシスチレンなどである。この場合、第二の繰り返し単位は、ヒドロキシスチレンと重合できる任意の他のモノマーであることができる。第一の繰り返し単位が活性水素側基のみを有する他のケースでは、第二の繰り返し単位は、この第一の繰り返し単位と重合する任意のモノマーであることができるか(この際は、吸光性発色団を含む追加のモノマー単位を場合により加える必要がある)、または第二の繰り返し単位は、第一の繰り返し単位と重合しかつ吸光性発色団を含む任意のモノマー(例えば、スチレンまたはベンジルメタクリレート、あるいはこれらの類似物)であることができる(この場合は、吸光性発色団を含む追加のモノマーは任意である)。好ましくは、第一の繰り返し単位が活性水素側基のみを含む場合には、第二の繰り返し単位は吸光性発色団を含む。
【0020】
更に他のケースでは、第一の繰り返し単位上の活性水素をアミノプラストで置換する際の反応中にポリオールを加えることも有益であり得る。ポリオールの添加は、反射防止膜用組成物によって形成されるフィルムの吸光パラメータk値を減少することができる。有用なポリオールの例を以下に示す。
【0021】
【化1】

【0022】
ポリ[トリメチロールプロパン/ジ(プロピレングリコール)−alt−アジピン酸/フタル酸無水物]、平均Mn 約500
【0023】
【化2】

【0024】
ポリ[ジ(エチレングリコール)/グリセロール−alt−アジピン酸]、平均Mn 約2,500
【0025】
【化3】

【0026】
ポリ[ジ(エチレングリコール)/トリメチロールプロパン−alt−アジピン酸]、平均Mn 約2,300
本明細書で使用するヒドロカルビルという用語は、任意の置換されていないかまたは置換された脂肪族、環状脂肪族、芳香族またはアリール基及びこれらの組み合わせを意味する。
【0027】
アルコキシアルキルは、本明細書で定義されるアルキル基に結合した、本明細書に定義されるアルコキシ基のことである。アルコキシアルキル基の例には、メトキシメチル、メトキシエチル、イソプロポキシメチル及びこれらの類似物などが挙げられる。
【0028】
アルキロールは、アルキル基(アルキルは、1個〜約20個の炭素原子(好ましくは1個〜約8個の炭素原子、より好ましくは1個〜約6個の炭素原子)を含む分枝状または直鎖状非環式アルキル基を指す。低級アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、iso−アミル、ヘキシル、オクチル、及びこれらの類似物などが挙げられる)に結合した、本明細書で定義されるヒドロキシ基のことである。
【0029】
本発明のポリマーは、第一の繰り返し単位として、次の式を有することができる。
【0030】
【化4】

【0031】
式中、Rは、ポリマー主鎖の一部である第一の繰り返し単位の反復部分であり、
Lは、連結基であり、そして
Tは、CO2、CSO、O、S、NR1、CONR1、SO3、PO3またはSO2NR1であり、この際、R1は、ヒドロカルビル基または水素であり、
そしてHのうちの少なくとも10モル%がアミノプラストで置換されている。
【0032】
連結基のLとしては、二価の炭化水素残基、例えば炭素原子数が1〜20、より好ましくは2〜12のアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、またはアルカリーレン基などが挙げられる。
【0033】
アルキレンとは、炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素から二つの水素原子を除いて誘導される二価の基、例えば−CH2−、−CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−CH2C(CH3)2CH2−及びこれらの類似物などである。
【0034】
シクロアルキレンは、置換されていないかまたは以下に記載の一つもしくはそれ以上の置換基によって置換されていることができる、約3〜約15個までの範囲の炭素原子を含む単環式もしくは二環式の二価の環を含む基のことである。
【0035】
アリーレンは、置換されていないかまたは以下に記載の一つもしくはそれ以上の置換基で置換されていることができる、二価の芳香族基、典型的には6〜14個までの範囲の炭素原子を有する二価の芳香族基のことである。
【0036】
アルカリーレンは、置換されていないかまたは以下に記載の一つもしくはそれ以上の置換基によって置換されていることができる、アルキル置換された二価のアリール基、典型的には約7〜16個までの範囲の炭素原子を有するアルキル置換された二価のアリール基のことである。
【0037】
アラルキレンは、置換されていないかまたは以下に記載の一つもしくはそれ以上の置換基によって置換されていることができる、アリール置換された二価のアルキル基、典型的には約7〜16個までの範囲の炭素原子を有するアリール置換された二価のアルキル基のことである。
【0038】
本明細書で使用するアリールとは、置換されていないかまたは以下に記載の一つもしくはそれ以上の置換基によって置換されていることができる、一つまたは二つの芳香族環を有する単環式もしくは二環式の炭素環式環系、例えば、限定はされないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル及びこれらの類似物のことである。
【0039】
上記の基は、置換されていないか、または次の置換基、すなわち低級アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルケニルオキシ、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルケニル、(アルコキシカルボニル)チオアルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、トリアルキルアミノアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルコキシ、アルカノイルアミノ、アリールアルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、カルボキシアルデヒド、カルボキシ、カルボキシアルケニル、カルボキシアルコキシ、アルキルスルホニルアミノ、シアノアルコキシ、(複素環式)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ、フェニル及びテトラゾリルアルコキシから独立して選択される置換基で置換されていることができる。加えて、置換されたアリール基としては、テトラフルオロフェニル及びペンタフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0040】
Lの例には、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、フェニルメチレン(−C6H4−CH2−)などが挙げられる。Lの二価の炭化水素部分は、更に、活性水素部分の結合機能(coupling function)を妨げない基で置換されていてもよい。このような非妨害性置換基の好ましい例は、アルキル、アリール、アルキルもしくはアリールで置換されたシリル基、及びフッ素置換基である。
【0041】
Lの他の例には、−C(=O)O−(CH2)n−(nは1〜10の整数である)が挙げられる。
【0042】
それゆえ、上記の式中のT−H基は、−COOH、−CSOH、−OH、−SH、−CONR1H、−SO3H、−PO3H、−SO2NR1Hまたは−NR1H 基であることができ、この際、R1は、好ましくは、C1-18、好ましくはC1-10ヒドロカルビル基または水素であり、そしてHは水素である。好ましいR1基は、炭素原子数が1〜18、より好ましくは1〜12のアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリールである。最も好ましくは、T−H基は−OHまたは−NR1Hである。
【0043】
本発明において有用なアミノプラストの例には、例えばグリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノプラストが挙げられる。
【0044】
モノマー性メチル化グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂は、酸官能性フォトレジストと一緒に使用できる熱硬化性ポリエステル反射防止膜の調製に有用である。
【0045】
グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂は次の式を有することができる。
【0046】
【化5】

【0047】
式中、Yは、H、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、及び炭素原子数7〜20のアラルキル基から選択され、各R2は、独立して、H、アルキロール基及びアルコキシアルキル基から選択される。
【0048】
一つの例は、N,N,N,N−テトラヒドロキシメチルグルコールウリル(R2がアルキロールの時)であり、他の例は、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル(R2がアルコキシアルキルの時)である。N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリルの例としては、例えば、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(n−プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(i−プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(n−ブトキシメチル)グリコールウリル、及びN,N,N,N−テトラ(t−ブトキシメチル)グリコールウリルなどを挙げることができる。N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルは、Cytec IndustriesからPOWDERLINKの商標で入手することができる(例えば、POWDERLINK 1174)。他の例には、メチルプロピルテトラメトキシメチルグリコールウリル、及びメチルフェニルテトラメトキシメチルグリコールウリルなどが挙げられる。類似の材料は、三和ケミカル社(日本)からNIKALACの商標で入手することもできる。
【0049】
他のアミノプラスト架橋剤は、Cytec IndustriesからCYMELの商標で、及びMonsanto Chemical Co.からRESIMENEの商標で商業的に入手することができる。このような化合物の他のアミノプラスト架橋剤の例の一部は、ホルムアグアナミン、アセトグアナミン、メチロールベンゾグアナミン、またはこれらのアルキルエーテル化合物、例えばテトラメチロールベンゾグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン及びトリメトキシメチルベンゾグアナミン; 2,6−ビス(ヒドロキシメチル)4−メチルフェノールまたはこれのアルキルエーテル化合物である。
【0050】
他の可能な架橋剤には、メチロールメラミン類、例えばヘキサメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、及びテトラメチロールメラミン、並びにエーテル化されたアミノ樹脂、例えばアルコキシ化されたメラミン樹脂(例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン及びテトラメトキシメチルメラミン)などが挙げられる。様々なメラミン及び尿素樹脂が、Nikalacs(三和ケミカル社)、Plastopal(BASF AG)、またはMaprenal(Clariant GmbH)の商標で商業的に入手することができる。
【0051】
熱酸発生剤を使用する場合は、本発明の熱酸発生剤は、90℃を超えるが250℃未満の温度に加熱された時に酸を発生する化合物である。この酸は、架橋剤と一緒にポリマーを架橋する。反射防止膜は、熱処理の後は、フォトレジストの塗布に使用する溶剤中に不溶性になり、更にフォトレジストの像の形成に使用するアルカリ性現像剤中にも不溶性になる。好ましくは、熱酸発生剤は90℃で、より好ましくは150℃で、更により好ましくは190℃で活性化する。反射防止膜は、その塗膜を架橋させるのに十分な時間加熱される。熱酸発生剤の例としては、限定はされないが、オニウム塩、ベンゾイントシレート類、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、シクロヘキシルp−トルエンスルホネート類、メンチルp−トルエンスルホネート類、ボルニルp−トルエンスルホネート類、シクロヘキシルトリイソプロピルベンゼンスルホネート類、シクロヘキシル4−メトキシベンゼンスルホネート類、ポリヒドロキシフェノール性化合物の2,1,4−ジアゾナフトキノンエステル、ニトロベンジルトシレート類、例えば2−ニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、4−ニトロベンジルトシレート; ニトロベンジルベンゼンスルホネート類、例えば2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホネート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホネート; フェノール性スルホネートエステル類、例えばフェニル−4−メトキシベンゼンスルホネート、芳香族スルホンアミド類、アルキルもしくはアリールリン酸エステル類、及び有機スルホン酸の他のアリールもしくはアルキルエステル及びアミン塩、例えばドデシルベンジルスルホニウムトリエチルアンモニウム塩(DDBSA:Et3N)などが挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生する化合物が一般的に好適である。
【0052】
該新規反射防止膜用組成物では遊離の酸も使用し得るが、これよりも熱酸発生剤の方が好ましい。なぜならば、ポリマーが溶液中で架橋し得る場合は、反射防止膜用溶液の経時的貯蔵安定性が酸の存在下に影響を受ける恐れがあるからである。熱酸発生剤は、該反射防止膜が基材上で加熱されて初めて活性化される。
【0053】
典型的には、熱酸発生剤は、反射防止膜用組成物中に、この組成物の乾質成分の全量の約0〜10重量%、好ましくは約0.1〜7.0重量%、より好ましくは該組成物の乾質成分の全量の約0.1〜5.0重量%の濃度で存在する。
【0054】
重合に使用する方法は、ビニルポリマーの重合のために従来公知の方法の任意のものであることができ、例えばイオン重合法または遊離基重合法であることができる。形成されるポリマー構造は、交互コポリマー、ブロックコポリマーまたはランダムコポリマーからなることができる。該ポリマーの重量平均分子量は約500〜約1,000,000、好ましくは約1,000〜約100,000、より好ましくは約2,000〜約40,000の範囲である。
【0055】
モノマーは有機溶剤中で重合することができ、この際、この溶剤は、反射防止膜の塗布用の溶剤と同じであり、好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)または乳酸エチルである。
【0056】
該コーティング組成物は、本発明のポリマー及び適当な溶剤または溶剤混合物を含む。塗膜の性能を高めるために他の成分も加えることができ、例えば、モノマー性染料、ポリマー性染料、及び/またはモノマー性染料とポリマー性染料との混合物、低級アルコール、表面レベリング剤、粘着性促進剤、消泡剤などであり、これらは全て当業者には周知である。
【0057】
該反射防止膜の吸光性は、染料官能基上の置換基の適当な選択によって、或る波長または或る波長範囲に合わせるために最適化することができる。電子吸引性または電子供与性の置換基を使用すると、一般的には吸光波長はそれぞれより長波長側または短波長側にシフトする。加えて、特に好ましい溶剤中への該反射防止膜用ポリマーの溶解性は、モノマー上の置換基の適当な選択によって調節することができる。
【0058】
該反射防止膜用組成物のポリマーは、溶液の総重量の約1%〜約40%の範囲で存在する。正確な使用重量は、ポリマーの分子量及び望まれる塗膜のフィルム厚に依存する。混合物または単独物としての使用し得る典型的な溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、オキシイソ酪酸エステル、例えばメチル−2−ヒドロキシイソブチレート、及びガンマブチロラクトンである。毒性が低くそして良好な塗布性及び溶解性を有する溶剤が一般的に好ましい。
【0059】
該反射防止膜は基材の表面に塗布され、そして更にドライエッチングに付されるため、半導体デバイスの性質が悪影響を受けない程度に、そのフィルムが十分に金属イオン濃度が低く、純度が高いことも想定される。ポリマーの溶液をイオン交換カラムにまたはアニオン交換カラムとカチオン交換カラムとの組み合わせに通したり、濾過や、抽出プロセスなどの処理を使用して、金属イオンの濃度及び異物を減少させることができる。各金属につき50ppb未満のポリマー中の金属イオン濃度が好ましく、10ppb未満がより好ましく、そして1ppb未満の濃度が一層好ましい。
【0060】
該反射防止膜用組成物は、当業者には周知の技術、例えばディップコート法、スピンコート法またはスプレーコート法を用いて基材上に塗布される。反射防止膜のフィルム厚は、典型的には約0.01μm(ミクロン)〜約1μm(ミクロン)の範囲である。より厚い塗膜、特に10μm(ミクロン)までの塗膜も、必要ならば(特に、起伏のある基材の平坦化のために)使用することができる。塗膜は、更に、ホットプレートまたは熱対流炉で加熱して、残った溶剤を除去し、フィルムを不溶化する。
【0061】
該反射防止膜の上に塗布されるフォトレジストは、半導体工業で使用される任意の種のものであることができる。
【0062】
フォトレジスト組成物にはネガ型とポジ型の二つのタイプのものがある。ネガ型フォトレジスト組成物を放射線で像様露光すると、放射線に曝された領域のレジスト組成物が現像剤溶液に溶けにくくなり(例えば架橋反応が起こる)、他方、フォトレジスト塗膜の未露光の領域はこのような溶液に比較的可能性のまま残る。それゆえ、露光されたネガ型レジストを現像剤で処理すると、フォトレジスト塗膜の未露光の領域が除去され、塗膜にネガ型の像が形成される。それによって、フォトレジスト組成物が付着していた下にある基材表面の所望の部分が裸出される。
【0063】
これに対し、ポジ型フォトレジスト組成物を放射線で像様露光すると、放射線に曝された領域のフォトレジスト組成物が現像剤溶液に溶けやすくなり(例えば転位反応が起こる)、他方、未露光の領域は現像剤溶液に比較的不溶性のまま残る。それ故、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理すると、塗膜の露光された領域が除去され、フォトレジスト塗膜にポジ型の像が形成される。この場合もまた、下にある表面の所望の部分が裸出される。
【0064】
ポジ型フォトレジスト組成物は、一般的にネガ型レジストと比べて良好な解像能力を有するので、現在はネガ型のものよりも優勢である。フォトレジスト解像度とは、レジスト組成物が、露光及び現像の後に、高いレベルの鋭い像縁をもってフォトマスクから基材に転写することができる最小の図形(feature)と定義される。現在の多くの製造用途では、1ミクロン未満のオーダーのレジスト解像度が必要である。加えて、現像されたフォトレジスト壁の側面が基材に対してほぼ垂直であることが大概の場合に望ましい。レジスト塗膜の現像された領域と現像されていない領域との間のこのような明確な境界画定が、マスク像の基材への正確なパターン転写につながるのである。このことは、微細化に向かう動向がデバイス上での微小寸法(CD)を小さくしているのでより一層重要となってきている。
【0065】
ノボラック樹脂と光活性化合物としてのキノンジアジド化合物とを含むポジ型フォトレジストが当業界において周知である。ノボラック樹脂は、典型的には、ホルムアルデヒドと一種またはそれ以上のポリ置換フェノール類とを酸触媒、例えばシュウ酸の存在下に縮合することによって製造される。一般的に、光活性化合物は、ポリヒドロキシフェノール性化合物とナフトキノンジアジド酸またはそれらの誘導体とを反応させることによって得られる。これらの種のレジストの感度は、典型的には約300nm〜440nmの範囲である。
【0066】
四分の一ミクロン未満の形状を有する像をパターン化するためには、高解像度の化学増幅型深紫外線(100〜300nm)ポジ型及びネガ型フォトレジストを利用することができる。微細化に大きな進展をもたらした二つの主な深紫外線(UV)露光技術があり、これらは、248nm及び193nmで放射線を放つレーザーである。このようなフォトレジストの例は、次の特許、すなわち米国特許第4,491,628号明細書、米国特許第5,350,660号明細書、欧州特許出願公開第794458号明細書及び英国特許第2320718号明細書に記載されている。なお、これらの特許文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。248nm用のフォトレジストは、典型的には、置換されたポリヒドロキシスチレン及びこれのコポリマーに基づくものである。他方、193nm露光用のフォトレジストは、芳香族化合物がこの波長で不透明であるため非芳香族系のポリマーを必要とする。一般的に、芳香族官能基を排除することによって失われた耐エッチング性を補うために、脂肪環状炭化水素がポリマー中に組み込まれる。更に、波長が低いほど、基材からの反射が、フォトレジストのリソグラフィ性能に対して益々有害なものとなる。それ故、これらの波長では、反射防止膜が重要となる。
【0067】
更に、本発明の方法は、該新規反射防止膜用組成物で基材を被覆し、そしてポリマーがフォトレジストの塗布用溶剤中または水性アルカリ性現像剤中に溶けなくなる十分な程度までポリマーを不溶化するために、塗布に使用した溶剤を除去するのに十分な温度及び十分な時間で、ホットプレートまたは熱対流炉で加熱することを含む。当業界で公知の様々な基材、例えば平坦な基材、起伏(トポグラフィ)のある基材または穴のある基材を使用することができる。好ましい温度範囲は、約70℃〜約250℃、好ましくは約100℃〜約200℃である。温度が70℃未満では、溶剤の除去が不十分となったり、または不溶化の程度が不十分となり、他方、温度が250℃を超えると、ポリマーが化学的に不安定になる恐れがある。使用すべき正確な温度は、特定の用途によって決定される。次いで、感光性材料のフィルムを反射防止膜の表面に塗布しそしてベーク処理してフォトレジスト溶剤を実質的に除去する。このフォトレジストを像様露光しそして水性現像剤中で現像して、処理されたレジストを除去する。現像の前及び露光の後に任意の加熱段階をプロセスに組み入れることができる。フォトレジストの塗布及び像の形成の方法は当業者には周知であり、そして使用される特定のタイプのレジストに最適化される。次いで、このパターン化された基材をドライエッチングする。このエッチングは、反射防止膜の露光された部分を除去するために適当なエッチング室中で行うことができ、この際、残ったフォトレジストがエッチングマスクとして働く。エッチング工程を最適化するために任意の加熱段階を含めることができる。当業界において公知の様々なエッチング技術を使用することができる。
【0068】
該新規組成物の吸光パラメータ(k)は、エリプソメトリで測定して約0.1〜約1.0、好ましくは約0.15〜約0.7の範囲である。該反射防止膜の屈折率(n)も最適化される。このn及びk値は、エリプソメーター、例えばJ.A.Woollam WVASE VU−302TMエリプソメーターを用いて計算することができる。k及びnの最適範囲の正確な値は、使用する露光波長及び用途のタイプに依存する。193nmの場合に典型的にはkの好ましい範囲は0.1〜0.75であり、248nmではkの好ましい範囲は0.15〜0.8であり、365nmでは好ましい範囲は0.1〜0.8である。該反射防止膜の厚さは、上面のフォトレジストの厚さよりも薄い。好ましくは、該反射防止膜のフィルム厚は、(露光波長/屈折率)の値よりも小さく、より好ましくは、これは、(露光波長/(2×屈折率))の値よりも小さく、この際、この屈折率は反射防止膜の屈折率であり、これはエリプソメーターで測定することができる。該反射防止膜の最適なフィルム厚は、露光波長、反射防止膜及びフォトレジストの屈折率、上面コート及び底面コートの吸光特性、及び基材の光学特性によって決定される。底面反射防止膜は、露光及び現像段階によって除去しなければならないため、最適なフィルム厚は、反射防止膜に光の吸収が存在しない光学ノードを避けることによって決定される。
【0069】
相互混合を防ぐために反射防止膜とフォトレジストとの間に中間層を置くことができ、そしてこれも、本発明の範囲内に含まれるものとして想定されている。中間層は、溶剤から塗布された不活性ポリマーであり、このポリマーの例はポリスルホン及びポリイミドである。
【0070】
底面コート、例えば本発明による底面コートを必要とする他の方法は、底面コートのエッチングのための耐エッチングマスクを作るために感光性層をシリル化できる方法である。このような方法は、本発明の組成物を用いて基材上に底面コートを形成し、感光性層を形成し、この感光性層に像を形成しそして現像し、この感光性層を適当なシリル化剤でシリル化し、そしてこのシリル化された感光性像をマスクとして使用して前記の底面コートをエッチングすることを含む。シリル化のコンセプトは当業者には既知であり、これは文献Sebald et al, SPIE, Vol. 1262, 528-537頁, 1990に記載されている。シリル化されるフォトレジストは、当技術分野において既知のようにシリル化が可能なものとなるように設計される。本発明の底面コートは、最適なエッチング性を有するためにこのプロセスに極めて適していることが判明した。
【0071】
本発明が有用な他の方法は三層適用の用途である。例えば、193nmの露光の場合は、マイクロチップ工業では、典型的には、おおざっぱに言うと、32〜80nmの底面反射防止膜の上に270〜350nmのレジストを使用する(所謂、単層加工プロセス)。三層適用の用途では、フォトレジストの厚さ(約150〜200nm)は、単層適用の用途の場合よりもかなり薄く、低いアスペクト比のラインを与える。その代わり、三層底面反射防止膜は約300〜700nmの厚さを持ち、中間層は約30〜215nm厚である。三層レジスト加工の利点としては、(a)低減されたレジストアスペクト比; (b)ケイ素含有及び疎水性(二層)レジストではなく慣用のまたは超薄膜のレジストの使用が可能; (c)レジストと基材との最小化された相互作用; (d)像の形成、マスキング及び反射防止層のための最適な厚さ制御; 及び(e)三層底面反射防止膜が高度な平坦化性を持つように設計されている故に向上した焦点深度(DOF)などが挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下の具体例は、本発明の組成物を製造及び使用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明の実施に排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈するべきものではない。
【0073】
自己架橋性樹脂を含む反射防止膜用調合物の例を以下に示す。
【0074】
例1: ポリ(アリルアルコール−co−スチレン)とN,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルとの反応
ポリ(アリルアルコール−co−スチレン)コポリマー(Aldrich、Mw 2000、アリルアルコール33モル%)20.0g、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル(Powderlink 1174, Cytec Industries)10.6g、p−トルエンスルホン酸(Aldrich)0.15g、及びテトラヒドロフラン(THF)155gを室温で五日間攪拌した。反応溶液を10000mlの蒸留水中に注ぎ入れることによって反応生成物を析出させ、減圧濾過によって分離し、そして減圧デシケーター中で一晩乾燥して、白色粉末状の樹脂17.8gを得た。Mw=5,200(GPC/PS標準)。
【0075】
例2 反射防止膜用調合物
例1からの官能化されたポリ(アリルアルコール−co−スチレン)樹脂1.0g、ドデシルベンジルスルホニウムトリエチルアンモニウム塩(DDBSA:Et3N)0.01g、及び70/30ArFシンナー(AZ Electronic Materials USA Corp.)40.0gをプラスチックボトル中で一緒にしそして一晩転動(roll)させ、次いで0.2μmPTFEポアフィルターに通した。スピンキャストし、次いで200℃で60秒間ベーク処理してフィルムとした。このフィルムは、ArFシンナー中に浸漬した後は除去することができず、そして浸漬の前及び後で同じ膜厚(FT)を維持する。角度可変分光エリプソメーターFT41nm; 193nmでの最適化された屈折率“n”は1.81であり、吸光パラメータ“k”は0.76であった。
【0076】
例3: ポリ(ヒドロキシエチルメチルメタクリレート−co−ベンジルメタクリレート)(HBと省略)の合成
ベンジルメタクリレート83.2g、ヒドロキシエチルメタクリレート25.8g(ベンジルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレートの供給比=80/20)、THF 500ml、及びAIBN 2gをこの順序で1L丸底フラスコに入れて一緒にした。この溶液を窒素雰囲気下に12時間還流した。冷却後、このポリマーを、4Lのヘキサン中に析出させて回収し、濾過しそして減圧デシケーター中で乾燥した。ポリマーは98.5%の収率で製造された。Mw=30000(GPC/PS標準)。
【0077】
例4 HBとN,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルとの反応
例3からのポリマー7.2g、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル(Powderlink 1174, Cytec Industries)3.6g、p−トルエンスルホン酸(Aldrich)0.054g、及びTHF 56gを室温下に二日間攪拌した。生じた反応生成物を蒸留水中で析出させ、そして減圧デシケーター中で一晩乾燥して、白色粉末状の樹脂6.7gを得た。Mw=34000(GPC/PS標準)。
【0078】
例5 反射防止膜用調合物
例4からの官能化されたHB樹脂 1.0g、ドデシルベンジルスルホニウムトリエチルアンモニウム塩(DDBSA:Et3N)0.01g、及び70/30ArFシンナー(AZ Electronic Materials USA Corp.)40gをプラスチックボトル中で一緒にしそして一晩転動し、次いで0.2μmPTFEポアフィルターに通した。スピンキャストし、次いで200℃で60秒間ベーク処理してフィルムを得た。このフィルムは、ArFシンナー中に浸漬した後は除去することができず、そして浸漬の前及び後に同じFTを維持する。角度可変分光エリプソメーターFT40nm; 193nmでの最適化された屈折率“n”は1.86であり、吸光パラメータ“k”は0.76であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素側基を含むエチレン性不飽和化合物から誘導された第一の繰り返し単位、及び前記第一の繰り返し単位と共重合可能な第二の繰り返し単位を含み、この際、ポリマー中の前記活性水素側基の少なくとも10モル%がアミノプラストで置換されているポリマーであって、酸性条件下に自己架橋する前記ポリマー。
【請求項2】
前記アミノプラストが、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、及びこれらの誘導体から選択される、請求項1のポリマー。
【請求項3】
前記アミノプラストがグリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂である、請求項2の方法。
【請求項4】
前記アミノプラストがグリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂であり、そしてグリコールウリル、メチルグリコールウリル、エチルグリコールウリル、テトラヒドロキシメチルグリコールウリル、テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、テトラ(n−プロポキシメチル)グリコールウリル、テトラ(i−プロポキシメチル)グリコールウリル、テトラ(n−ブトキシメチル)グリコールウリル、テトラ(t−ブトキシメチル)グリコールウリル、テトラ(イソブトキシメチル)グリコールウリル、メチルプロピルテトラメトキシメチルグリコールウリル、及びメチルフェニルテトラメトキシメチルグリコールウリルから選択される、請求項3のポリマー。
【請求項5】
前記グルコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂がテトラ(メトキシメチル)グリコールウリルである、請求項4のポリマー。
【請求項6】
吸光性発色団を有する少なくとも一種の単位を更に含む、請求項1〜5のいずれか一つのポリマー。
【請求項7】
吸光性発色団を有する前記単位が前記第一の繰り返し単位である、請求項6のポリマー。
【請求項8】
吸光性発色団を有する前記単位が前記第二の繰り返し単位である、請求項6のポリマー。
【請求項9】
吸光性発色団を有する前記単位が、前記第一の繰り返し単位または前記第二の繰り返し単位のどちらでもない、請求項6のポリマー。
【請求項10】
前記発色団が、炭化水素芳香族環を含む化合物、置換されているかまたは置換されていないフェニルを含む化合物、置換されているかまたは置換されていないアントラシルを含む化合物、置換されているかまたは置換されていないフェナントリルを含む化合物、置換されているかまたは置換されていないナフチルを含む化合物、酸素、窒素、硫黄もしくはこれらの組み合わせから選択されるヘテロ原子を含む置換されているかまたは置換されていない複素環式芳香族環を含む化合物から選択される、請求項6〜9のいずれか一つのポリマー。
【請求項11】
反射防止膜用組成物中での、請求項1〜10のいずれか一つのポリマーの使用。
【請求項12】
(i)請求項1〜10のいずれか一つのポリマー及び(ii)溶剤を含む、反射防止膜用組成物。
【請求項13】
熱酸発生剤を更に含む、請求項12の組成物。
【請求項14】
基材上に像を形成する方法であって、a)基材を請求項12または13の組成物で被覆し; b)段階a)の被膜を加熱し; c)段階b)の被膜の上にフォトレジスト溶液から被膜を形成し; d)このフォトレジスト被膜を加熱してこの被膜から溶剤を実質的に除去し; e)フォトレジスト被膜を像様露光し; f)水性アルカリ性現像剤で像を現像し; g)場合によっては、現像の前及び後に基材を加熱し、及びh)段階b)の組成物をドライエッチングすることを含む前記方法。
【請求項15】
前記フォトレジストが、非芳香族系ポリマー、光活性化合物及びフォトレジスト溶剤を含む、請求項14の方法。
【請求項16】
前記フォトレジストが、芳香族系ポリマー、光活性化合物及びフォトレジスト溶剤を含む、請求項14の方法。
【請求項17】
段階a)における被膜を90℃を超える温度でベーク処理する、請求項14〜16のいずれか一つの方法。

【公表番号】特表2009−514003(P2009−514003A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537228(P2008−537228)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003074
【国際公開番号】WO2007/052132
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(305010827)エイゼット・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・コーポレイション (81)
【Fターム(参考)】