収容具
【課題】 収容物の取り扱いをより快適に行うことができる使用性に優れた収容具を提供する。
【解決手段】 樹脂成形容器の内部に、収容物3と、この収容物3を取り扱うために用いられる取扱用部材4とが収容される収容具1であって、前記樹脂成形容器2が、その下端部を含む本体5と、上端部を含む把手体6とに分離可能であり、また、前記取扱用部材4が、前記収容物3を授受する授受部11と、この授受部11が一端に設けられた棒状部12とを備え、前記棒状部12の他端が前記樹脂成形容器2の把手体6に固定されている。
【解決手段】 樹脂成形容器の内部に、収容物3と、この収容物3を取り扱うために用いられる取扱用部材4とが収容される収容具1であって、前記樹脂成形容器2が、その下端部を含む本体5と、上端部を含む把手体6とに分離可能であり、また、前記取扱用部材4が、前記収容物3を授受する授受部11と、この授受部11が一端に設けられた棒状部12とを備え、前記棒状部12の他端が前記樹脂成形容器2の把手体6に固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、消毒液とこの消毒液を患部等に塗布するための綿棒等の取扱用部材とを備えた患部消毒具や洗浄具として用いることができ、その他、化粧品を収容した容器、種々の検査用のサンプル採取容器としても用いることができる収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
患部の消毒方法として、綿棒に消毒液を含ませてこれを患部に塗布することが行われている。そして、従来の収容具として、前記綿棒を収容する第一収容部と、消毒液を収容する第二収容部とを隔離して備えた袋状の患部消毒具がある。この患部消毒具は、第二収容部に圧が加えられると第一収容部と第二収容部とが連通し、第二収容部内の消毒液を第一収容部内に送り前記綿棒の綿部に含ませることで綿棒を用いた消毒作業が可能となるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の患部消毒具では、消毒液を第二収容部から第一収容部へと送ったときに、綿棒の棒状部分が消毒液で濡れてしまい、綿棒を取り扱うときにその作業者の手に消毒液が付着し、これが作業者に不快感を与えたり消毒作業の効率を低下させてしまうおそれがあった。
【0004】
そして、前記患部消毒具として用いられる収容具の他、化粧品を収容した容器、サンプル採取容器として用いられる収容具でも、化粧品やサンプル等の収容物を扱うときにその者の手に収容物が付着したりするおそれがあった。
【0005】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、収容物の取り扱いをより快適に行うことができる使用性に優れた収容具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の塗布具の一つは、樹脂成形容器の内部に、収容物と、この収容物を取り扱うために用いられる取扱用部材とが収容される収容具であって、前記樹脂成形容器が、その下端部を含む本体と、上端部を含む把手体とに分離可能であり、また、前記取扱用部材が、前記収容物を授受する授受部と、この授受部が一端に設けられた棒状部とを備え、前記棒状部の他端が前記樹脂成形容器の把手体に固定されていることを特徴としている(請求項1)。
【0007】
また、本発明の塗布具のもう一つは、樹脂成形容器の内部に、収容物と、この収容物を取り扱うために用いられる取扱用部材とが収容される収容具であって、前記樹脂成形容器が、その下端部を含む本体と、上端部を含む把手体とに分離可能であり、また、前記樹脂成形容器の上端部に可撓性の材料により袋状の閉空間が形成されていると共に前記取扱用部材が管状であり、取扱用部材はその上端が前記閉空間に連通するように把手体に固定されていることを特徴としている(請求項2)。
【0008】
上記いずれの発明においても、前記樹脂成形容器が筒状の側壁を備え、この側壁を一周する環状薄肉部が上下方向に適宜の間隔をあけて二つ設けられており、前記側壁の二つの環状薄肉部に挟まれた帯状部位に連設された摘まみ部を引っ張ると、前記帯状部位が側壁から離脱し、樹脂成形容器の把手体が本体から分離するように構成されていてもよい(請求項3)。
【0009】
また、前記取扱用部材が、帯状部位を樹脂成形容器の側壁から離脱させるときに帯状部位および/またはその近傍に緊張力を付与する鍔部を備えていてもよい(請求項4)。
【0010】
さらに、前記取扱用部材の鍔部が、帯状部位を樹脂成形容器の側壁から離脱させた後に、樹脂成形容器の本体の開口に対して挿抜自在となり、かつ、前記開口に挿入されるとこの開口を閉塞するように構成されていてもよい(請求項5)。
【0011】
また、前記樹脂成形容器が一つずつ切り離すことができるように複数連結されていてもよい(請求項6)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、収容物の取り扱いをより快適に行うことができる使用性に優れた収容具が得られる。すなわち、前記収容具では、収容物が付着する取扱用部材を手で持つ必要がなく、収容物が付着していない把手体の外面を持つことで収容物を保持した取扱用部材を扱うことができる。従って、塗布作業等を行う者の手に収容物が付着して、これが作業者に不快感を与えたり塗布作業等の効率を低下させてしまうことや手に付着した雑菌による二次汚染を確実に防止することができる。
【0013】
さらに、取扱用部材の保持部に保持された収容物を塗布作業等により使い切った場合には、取扱用部材を本体内に挿入して本体内にある収容物を授受部に新たに保持させれば、さらに塗布作業等を続行することができる。従って、樹脂成形容器に収容する収容物の量は、授受部に一度に保持させることができる収容物の量の上限等によって制限されることがなく、収容物の用途や種類等を考慮して設定することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、取扱用部材と把手体とで構成されるスポイトによって収容物を取り扱うことができ、その使用性がより向上する。
【0015】
請求項3に係る発明では、摘まみ部を引っ張るだけで本体と把手体とをワンタッチ方式で容易に分離させることができ、使用性の面で向上を図ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、帯状部位の離脱をより容易に行うことができる。
【0017】
請求項5に係る発明では、樹脂成形容器の本体のリキャップが可能となり、収容物の使用と保管とを繰り返し行うことができ、より長期間の収容物の使用も可能となる。そして、特に前記収容物が化粧品である場合には、化粧品の使用実感を何回か試すことができる道具として本発明の収容具を用いることができ、この場合、消費者は収容物(化粧品)に対するアレルギー反応の有無等を簡便に知ることもできる。
【0018】
また、請求項5に係る本発明の収容具を化粧試供品として用いれば、化粧試供品の長期間の使用が可能であるので、これを消費者に提供すれば、消費者は時間をかけて化粧試供品(例えば口紅)についての服装とのコーディネートを充分に試すことができる。さらにこの場合、以下のようなメリットも挙げられる。すなわち、従来より、化粧品売り場では、化粧品テスターを用い、複数の消費者に塗布することがなされており、不衛生であるうえ、化粧試供品を塗布する場所が目の近傍や唇であるケースも多く、感染の危険性が大きいという問題があり、消費者から敬遠されていた。しかし、本発明の収容具を化粧試供品に用いれば、一人の消費者に化粧試供品を一つずつ配ることができるので、化粧試供品の衛生的な使用が可能となり、上記問題が起こらない。しかも、上述した化粧試供品についての服装とのコーディネートの充分な吟味と衛生的な使用とを実現可能としたことによって、消費者の化粧品についての購買意欲の増進を図ることも可能となる。
【0019】
請求項6に係る発明では、特に複数の収容具の運搬や保管等を行う際に、収容具が取り扱い易いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図4は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1(A)および(B)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る収容具1は、樹脂成形容器2を有し、この樹脂成形容器2の内部に収容物3および取扱用部材4が密閉状態で収容されている。
【0021】
前記樹脂成形容器2は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、塩化ビニール等の半透明または透明な合成樹脂からなり、ブロー成形やインジェクション成形によって成形される。そして、樹脂成形容器2は、閉塞された下端部を含む本体5と、閉塞された上端部を含む把手体6とに分離可能となっている。詳しくは、図1(A)に示すように、樹脂成形容器2は、ほぼ円筒状の側壁7を備え、側壁7を一周する環状薄肉部8が上下方向に適宜の間隔をあけて二つ設けられており、前記側壁7の二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9に連設された摘まみ部10を引っ張ると、図1(B)に示すように、二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9が側壁7から離脱し、樹脂成形容器2の把手体6が本体5から分離するように構成されている。
【0022】
また、図2に示すように、前記樹脂成形容器2は一つずつ切り離すことができるように複数(例えば、3〜10、この実施の形態では五つ)連結されている。
【0023】
前記収容物3としては塗布材料が挙げられ、具体的には、ポピドンヨード、ヨードチンキ、エタノール(医薬品、医薬部外品)等の消毒液、痛み止め用液、化粧用液などの液体や、ゲル状体、クリーム状体などが挙げられる。なお、この実施の形態では収容物3としてポピドンヨードが用いられている。ここで、前記樹脂成形容器2内には、収容物3および取扱用部材4とともに気体が封入されるが、収容物3が空気によって劣化する場合(例えば収容物3が空気により劣化するヨード類等である場合)には、前記気体として不活性ガス(例えばN2 ガス、Arガス、Neガス等)を用いることが望ましい。しかし、前記収容物3が空気によって劣化しない場合(例えば収容物3が空気によって劣化しないエタノール等である場合)には、前記気体として空気を用いることができる。
【0024】
前記取扱用部材4は、図1(A)に示すように、前記収容物3を授受するための授受部11と、この授受部11が一端(下端)に設けられた例えばポリプロピレンからなる棒状部12とを備え、前記棒状部12の他端(上端)が前記樹脂成形容器2の把手体6に固定されている。前記授受部11は、例えば、前記棒状部12の一端に綿(脱脂綿等)を巻いて形成されたものであり、収容物(ポピドンヨード)3を吸収して保持する。そして、図1(A)に示すように、取扱用部材4は、一端(下端)が把手体6の下端よりも下方に突出し、本体5内の下部にまで進入した状態となるように構成されている。なお、取扱用部材4としては、例えば、5〜8cm程度の長さを有する普通サイズのものの他、15cm程度の長さを有するビッグサイズのものでもよい。
【0025】
さらに、前記取扱用部材4の棒状部12は、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させるときに帯状部位9および/またはその近傍に緊張力を付与するほぼ円筒状または円柱状の鍔部12aを備えている。詳述すると、前記鍔部12aは、樹脂成形容器2の側壁7の内径とほぼ同程度の外径を有し、本体5と把手体6とを分離していない状態では帯状部位9の内側に位置するように構成されている。なお、この実施の形態では、前記鍔部12aを棒状部12と一体としているが、両者を別体としてもよい。
【0026】
次に、上記の構成からなる収容具1の製造方法について説明する。まず、図3に示すように、一端側に開口部2aを有する状態の複数の樹脂成形容器2をそれぞれ切り離し可能に複数(五つ)連結した状態で成形する。なお、前記開口部2aは、樹脂成形容器2の下端部に形成されている。
【0027】
続いて、開口部2aから樹脂成形容器2の内部に取扱用部材4を挿入し、取扱用部材4の棒状部12の他端を樹脂成形容器2の上端部に固定する。この固定は、例えば、樹脂成形容器2の上端部の内径を棒状部12の他端の外径よりも若干小さめに形成し、樹脂成形容器2の上端部内に棒状部12の他端を強引に嵌め込むことによって行ってもよく、熱融着や超音波を用いて両者2,12を融着させることにより行ってもよい。なお、いずれの場合にも、前記棒状部12の固定を行いやすくするために、樹脂成形容器2の上端部の内径および外径を他の部分よりも小さくすることが好ましい。
【0028】
その後、開口部2aが上側となるように樹脂成形容器2を配置し、その内部に収容物3を注入する。そして、前記開口部2aを熱融着や超音波を用いることにより閉じ、このとき、樹脂成形容器2内の空気を不活性ガスに置換して封入する。以上で、収容具1の製造が完了する。なお、最後に行った空気を不活性ガスに置換する工程は、前記収容物3が空気によって劣化しない場合には不要である。また、図3には、開口部2aの径が他の部分とほぼ同一であるように示しているが、開口部2aは先端部側ほど細くなるように形成することが望ましい。このように形成することにより、隣り合う開口部2a間に十分なスペースが確保されるので、開口部2aを閉じるときに開口部2aの近傍部分が引き延ばされても隣り合う開口部2aどうしが互いに干渉し合ったり結合したりすることがなく、使用者による各樹脂成形容器2の切り離し作業が妨げられることも確実に防止される。
【0029】
上記の構成からなる収容具1を使用するには、まず、図2に示すように、複数連結された状態の収容具1の一つを取り外し、把手体6が上側になるように樹脂成形容器2を持つ。このとき、図4(A)に示すように、取扱用部材4の授受部11が収容物3に接触した状態となるように収容物3の量や取扱用部材4の棒状部12の長さなどを設定しておくことが望ましい。
【0030】
続いて、前記摘まみ部10を引っ張り二つの環状薄肉部8を破断させることにより、側壁7の二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9を側壁7から離脱させ、前記把手体6を本体5から分離させる。このとき、前記鍔部12aが帯状部位9および/またはその近傍の裏側に当接し、緊張力を付与するので、上記帯状部位9の離脱を容易に行うことができる。なお、収容物3が分離後の本体5内に収まるようにその量を設定しておく必要がある。
【0031】
そして、把手体6を持ち、この把手体6に固定された取扱用部材4を本体5内から引き抜くことにより、収容物3の塗布作業を行うことができる。このとき、収容物3が付着している取扱用部材4を直接持つのではなく、図1(B)に示すように、収容物3が付着していない把手体6を持って取扱用部材4を取り扱うことができる。
【0032】
ここで、取扱用部材4の授受部11に保持された(吸収された)収容物3が多すぎる場合、そのまま本体5から取扱用部材4を引き抜くと、授受部11から収容物3が雫となって落下し、樹脂成形容器2の周囲等が汚れるおそれがある。しかし、図4(B)に示すように、本体5を構成する側壁7を授受部11とともに指等で挟み授受部11を絞れば、授受部11に保持された余剰の収容物3を樹脂成形容器2の外で調整することなく本体5内に戻すことができ、上記のように樹脂成形容器2の周囲等が汚れることを確実に防止することができる。
【0033】
なお、第1の実施の形態は、種々に変形することができる。具体的には、前記樹脂成形容器2の成形は、主にインジェクション成形により行われるが、樹脂成形容器2の形状を適宜に変更してブロー成形など他の成形方法により成形するように構成してもよい。
【0034】
また、前記取扱用部材4の授受部11は、綿を棒状部12の一端に巻いて形成されるものに限られず、例えば、スポンジ、発泡樹脂等の吸湿性に優れた材料を棒状部12の一端に固定することで形成されていてもよい。さらに、前記収容物3が液体ではなくクリーム状やゲル状をしている場合には、棒状部12の一端をへら状にしたり適宜に折り曲げたりすることにより授受部11を形成してもよい。
【0035】
さらに、上記樹脂成形容器2では、側壁7に、二つの環状薄肉部8と、側壁7の二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9に連設された摘まみ部10とを設けることにより、本体5と把手体6とを分離させる構造(オープンシール構造)を構成していたが、このような構成に限られない。例えば、側壁7に環状薄肉部8を一つのみ形成し、本体5と把手体6とを捩じって引きちぎり、分離させるようにしてもよい。
【0036】
また、把手体6が上側になった状態の樹脂成形容器2内において、取扱用部材4の授受部11が収容物3に接触していなくてもよく、この場合、樹脂成形容器2における前記帯状部位9の上下方向の幅を大きくすることにより、帯状部位9を側壁7から離脱させた後に取扱用部材4の授受部11を本体5内に収容された収容物3に接触させることができるように構成すればよい。すなわち、前記帯状部位9の上下方向の幅の大きくするに伴い、把手体6の分離後における本体5内への取扱用部材4の挿入可能な深さが大きくなり、授受部11が本体5の底に当接するまで取扱用部材4を本体5内に挿入することができるように前記帯状部位9の幅を決定しておくことが望ましく、このように決定すれば、取扱用部材4による収容物3の保持作業を容易に行うことができる。
【0037】
また、棒状部12の他端を樹脂成形容器2の上端部のみによって固定してもよいが、例えば、図1(C)に示すように、把手体6内の下部から上部にまで、嵌め込まれた棒状部12を保持する筒状(円筒状)の保持部6aを形成し、棒状部12をより強力に把手体6に保持させるように構成してもよい。図1(C)において、6bは把手体6の側壁から前記保持部6aにかけて設けられた四つのブリッジ部6bである。
【0038】
上述したものに限られず、本発明に係る収容具1は種々に変形して実施することができる。そこで、以下に、その具体的な変形例を示すための実施の形態について図5以降を参照しながら説明する。なお、各実施の形態において、他の実施の形態に示した部材等と同一または同等の部材等については、それらに同じ符号を付してある。
【0039】
図5(A)および(B)は、本発明の第2の実施の形態に係る収容具13を示す。この収容具13の樹脂成形容器2は、可撓性の材料により形成された袋状の閉空間14(図5(B)参照)をその上端部に備えている。また、前記取扱用部材4は管状となっており、取扱用部材4の上端は前記閉空間14に連通するように把手体6に固定されている。ここで、閉空間14を形成する可撓性材料としては、第1の実施の形態に係る収容具1の樹脂成形容器2の成形に用いられている材料を挙げることができる。
【0040】
さらに、前記取扱用部材4は、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させるときに帯状部位9および/またはその近傍に緊張力を付与する鍔部15を備え、また、この鍔部15は、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させた後に、樹脂成形容器2の本体5の開口5aに対して挿抜自在となり、かつ、前記開口5aに挿入されるとこの開口5aを閉塞するように構成されている。
【0041】
詳述すると、前記鍔部15は、樹脂成形容器2の側壁7の内径とほぼ同程度の外径を有し、本体5と把手体6とを分離していない状態では帯状部位9の内側に位置するように構成されている。また、鍔部15の外周面には、図5(B)に示すように、環状突起部15aが上下に間隔をおいて二つ設けられている。
【0042】
上記の構成からなる収容具13では、閉空間14を有する把手体6と前記閉空間14に連通する管状の取扱用部材4とでスポイトが構成される。すなわち、把手体6および取扱用部材4をスポイトと同様に扱うことで収容物3を使用することができる。なお、取扱用部材4に適宜の目盛りを設けて、任意量の収容物3の吸い上げが容易となるように構成してもよい。
【0043】
また、本体5と把手体6とを分離した後、把手体6に固定された取扱用部材4の鍔部15を本体5の開口5aに挿入すると、二つの環状突起部15aがシール部材として機能することになり、本体5内の収容物3をほぼ密閉状態で保管することが可能となり、収容物3の揮発や乾燥等を防止する効果が得られる。しかも、開口5aに対して鍔部15は着脱自在であり、リキャップ可能となっていることから、収容物3の使用と保管とを繰り返し行うことができる。
【0044】
なお、第2の実施の形態に係る収容具13の他の構成は、第1の実施の形態に係る収容具1と同様であるので、その説明を省略する。
【0045】
図6(A)および(B)は、本発明の第3の実施の形態に係る収容具17を示す。この収容具17は、図6(A)に示すように、樹脂成形容器18を有し、樹脂成形容器18の内部に収容物19および取扱用部材4が密閉状態で収容されている。
【0046】
前記樹脂成形容器18は、図1に示した樹脂成形容器2より径が大きくなっている等、樹脂成形容器2と形状が若干異なるが、その材料および成形方法は同じものとすることができ、また、閉塞された下端部を含む本体5と、閉塞された上端部を含む把手体6とに分離可能となっている点でも同じである。すなわち、樹脂成形容器18のほぼ円筒状の側壁7に、二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9が設けられており、この帯状部位9に連設された摘まみ部10を引っ張ると、図6(B)に示すように、帯状部位9が側壁7から離脱し、把手体6が本体5から分離するように構成されている。
【0047】
前記収容物19は口紅であり、保持容器20に充填されている。この保持容器20は、図6(B)に示すように、ほぼ円形状の底部21と、この底部21の周縁に立設されたほぼ円筒状の側壁22と、前記底部21の中央部に設けられたほぼ円形状の貫通孔23の周縁に立設されたほぼ円筒状の筒状部24とを備えている。なお、筒状部24の上端は側壁22の上端とほぼ同じかそれより上方の位置にある。
【0048】
また、この実施の形態における取扱用部材4の授受部11はブラシ(リップブラシ)になっており、また、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させるときに帯状部位9および/またはその近傍に緊張力を付与する鍔部25が棒状部12に設けられている。この鍔部25は、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させた後に、樹脂成形容器18の本体5の開口5aに嵌合するように構成されている。
【0049】
詳述すると、前記鍔部25は、ほぼ円形状の鍔部本体26と、ほぼ十字形状の挿入部27とを備えている。そして、挿入部27の側面は、樹脂成形容器2の側壁7の内壁面に密接するように湾曲面となっている。また、取扱用部材4は、本体5と把手体6とを分離していない状態では前記挿入部27が帯状部位9の内側に位置するように構成されている。
【0050】
次に、前記収容具17の製造方法について説明する。まず、図7(A)に示すように、一端側に開口部18aを有し他端側が閉塞されたほぼ円筒状の樹脂成形容器18を用意する。なお、図7(A)に示す樹脂成形容器18は、図6(A)および(B)に示す状態と上下が逆になっている。
【0051】
続いて、開口部18aから樹脂成形容器18の内部に取扱用部材4を挿入する。このとき、取扱用部材4は前記授受部11が上側になるようにする。そして、図7(B)に示すように、取扱用部材4の棒状部12の下端側(鍔部25よりも下側の部分)を樹脂成形容器18に固定する。この固定は、例えば、熱融着や超音波を用いて行うことができる。
【0052】
その後、図7(B)および(C)に示すように、予め保持容器20に充填した収容物19を樹脂成形容器18内に収容する。このとき、保持容器20は底部21が上側となるようにし、また、保持容器20の筒状部24に取扱用部材4の棒状部12を挿通させ、保持容器20を樹脂成形容器18内に設けた段部18bに当接させて固定する。
【0053】
なお、この実施の形態では、収容物19としての口紅を所定温度(例えば90℃)以上で溶解して液状とし、この状態で保持容器20に充填した後、冷却によって保持容器20内で固化させている。
【0054】
最後に、図7(D)に示すように、樹脂成形容器18の開口部18aを熱融着や超音波を用いることにより閉じる。このとき、樹脂成形容器18において保持容器20が収容されている位置から開口部18aまでの部位は一方向に縮径するように変形し、また、開口部18aをシールする際の反動が保持容器20に加わることになるので、前記段部18bに当接していた保持容器20は開口部18a側へも移動しないように固定された状態となる。以上で、収容具17の製造が完了する。なお、開口部18aを閉じるときに、樹脂成形容器18内の空気を不活性ガスに置換して封入してもよいが、前記収容物19が空気によって劣化しない場合等には前記置換を行わなくてもよい。
【0055】
上記の構成からなる収容具17は未開封では図6(A)に示す状態となっており、この収容具17を使用するには、摘まみ部10を引っ張り二つの環状薄肉部8を破断させて、側壁7の二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9を側壁7から離脱させればよい。そして、前記把手体6と本体5とを引き離し、取扱用部材4を本体5から引き抜けば、収容具17は収容物19の塗布作業が可能な状態となり、塗布作業は、取扱用部材4の授受部12で、保持容器20に充填した収容物19を擦り取ることで行うことができる。
【0056】
上記の構成からなる収容具17では、本体5と把手体6とを分離した後、把手体6に固定された取扱用部材4の鍔部25の挿入部27を本体5の開口5aに嵌合すると、鍔部25の鍔部本体26が開口5aを閉塞し、本体5内の収容物19をほぼ密閉状態で保管することが可能となる。しかも、開口5aに対して鍔部25は着脱自在であるので、収容物3の使用と保管とを繰り返し行うことができる。
【0057】
なお、第3の実施の形態に係る収容具17の他の構成は、第1の実施の形態に係る収容具1と同様であるので、その説明を省略する。
【0058】
また、上記第3の実施の形態では、収容物19として口紅を用いているが、これに限られず、ブラシタイプの前記取扱用部材4によって扱うのに適したもの(例えばリップクリーム等の化粧品)であればよい。
【0059】
さらに、第3の実施の形態において、前記保持容器20に代えて、図8に示す保持容器28を用いてもよい。すなわち、この図に示すように、保持容器28は、ほぼ円形状の天部29と、この天部29の周縁に立設されたほぼ円筒状の側壁22と、前記天部29の中央部に設けられたほぼ円形状の貫通孔30の周縁に連設されたほぼ円筒状の筒状部24とを備え、前記天部29に複数(図示例では三つ)の凹入部31が設けられている。そして、凹入部31に前記収容物19が充填される。
【0060】
上記の構成からなる保持容器28では、複数ある凹入部31に充填する収容物19の色、種類等をそれぞれ異ならせることができるので、複数種の収容物19を収容具17に収容する場合に用いて好適である。なお、図8において、32は摘まみ部であり、この摘まみ部32は、保持容器28を上下逆にした状態で樹脂成形容器18内に収容するとき(図7(C)参照)に用いられる。
【0061】
また、第3の実施の形態において、収容物19を口紅ではなくアイシャドーとしてもよく、この場合には、図9に示すように、前記取扱用部材4をリップブラシとはせずにシャドーチップとしてもよいし、授受部11をブラシ状に形成してもよい。さらに、この場合、保持容器20に代えて、図9に示す保持容器33を用いることが望ましい。
【0062】
すなわち、前記保持容器33は、前記保持容器20の側壁22とほぼ同じ外径を有するほぼ円筒状の筒部34と、この筒部34に連設され、本体5の中央部を避けた位置に固定される容器本体35とを備えている。そして、この容器本体35の外側面は本体5の内壁にほぼ密着すると共に、内側面に上下方向に延びる単数または複数(図示例では二つ)の凹入部31が設けられており、各凹入部31に収容物19が収容される。なお、保持容器33は、前記容器本体35が本体5内への取扱用部材4の収容を邪魔しないように構成されている。
【0063】
また、第3の実施の形態において、取扱用部材4としてアイライナーブラシ等を用いてもよい。
【0064】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る収容具36を示す。この収容具36は、上記第3の実施の形態に係る収容具17と比べて、取扱用部材4の授受部11がリップブラシではなくマスカラ用のブラシとなっており、また、保持容器20に充填される収容物19としての口紅に代えて、本体5に直接収容される収容物37としてのマスカラが用いられている点で主に異なる。
【0065】
上記の構成からなる収容具36では、前記保持容器20の筒状部24が、授受部(ブラシ)11に対する収容物(マスカラ)37の付着量を調整する機能を発揮する。すなわち、取扱用部材4によって保持容器20内の収容物37を取り出すときに、保持容器20の筒状部24を利用することで、授受部11に付着させる収容物37の量を調整することができ、授受部11に余分に付着した収容物37を本体5内に残すことができる。具体的には、取扱用部材4の授受部11を保持容器20の筒状部24に擦り付ける等すればよい。
【0066】
また、第4の実施の形態において、収容物37をマスカラではなく化粧クリームとしてもよく、この場合には、前記取扱用部材4をシャドーチップとせずにスプーンとすればよい。さらに、この場合、前記保持容器20に代えて、図11に示すC形容器39を用いることが望ましい。
【0067】
すなわち、前記C形容器39は、前記保持容器20の一部を切り欠き、中央の貫通孔が側方に連通する形状を呈するように構成されたものである。そして、上記構成からなるC形容器39では、適宜の大きさの切り欠き部40が形成されることから、化粧クリームである収容物37を盛った状態の授受部11を本体5から容易に抜き出すことができる。
【0068】
ここで、上記各実施の形態ではいずれも収容具を塗布具(患部消毒具、化粧品塗布具)として用いる例を示しているが、本発明の収容具は、各種の検査(例えば、検便、水質調査等)に用いるサンプル容器として用いることもできる。例えば、第4の実施の形態において図10に示す取扱用部材4を上述したスプーンとする場合には、収容具36を検便の採取容器として用いることができる。具体的には、収容具36の製造段階で収容物37を樹脂成形容器内に収容せず、取扱用部材4によって採取したサンプルを本体5内に収容すればよい。同様に、図5(A)および(B)に示す収容具13は、例えば水質調査のためのサンプルの採取に用いることができる。
【0069】
また、第3および第4の実施の形態では、前記挿入部27をほぼ十字形状としているが、このような構成に限らず、例えば、図12に示すように、挿入部27をほぼ円柱形状または円筒形状とし、かつ、その外周面に単数または複数(図示例では二つ)の環状突起部27aを設けてもよい。この場合には、本体5と把手体6とを分離した後、把手体6に固定された取扱用部材4の挿入部27を本体5の開口5aに挿入すると、環状突起部27aがシール部材として機能することになり、本体5内の収容物をほぼ密閉状態で保管することが可能となり、収容物の揮発や乾燥等を防止する効果やリキャップ性能が向上することになる。しかも、開口5aに対して挿入部27は着脱自在であり、リキャップ可能となっていることから、収容物の使用と保管とを繰り返し行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(A)および(B)は、本発明の第1の実施の形態に係る分離前および分離後の収容具の構成を概略的に示す斜視図、(C)は(B)のX−X線断面図である。
【図2】分離可能に複数連結された状態の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】製造途中の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】(A)は分離前の収容具の構成を概略的に示す縦断面図、(B)は分離後の収容具の使用方法を概略的に示す説明図である。
【図5】(A)および(B)は、本発明の第2の実施の形態に係る分離前および分離後の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】(A)および(B)は、本発明の第3の実施の形態に係る分離前および分離後の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図7】(A)〜(D)は、第3の実施の形態に係る収容具の製造方法を概略的に示す説明図である。
【図8】第3の実施の形態に係る収容具の変形例の構成を概略的に示す斜視図である。
【図9】第3の実施の形態に係る収容具の他の変形例の構成を概略的に示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る分離後の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図11】第4の実施の形態に係る収容具の変形例に用いられるC形容器の構成を概略的に示す斜視図である。
【図12】第3および第4の実施の形態に係る収容具の挿入部の変形例の構成を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
1 収容具
2 樹脂成形容器
3 収容物
4 取扱用部材
5 本体
6 把手体
11 授受部
12 棒状部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、消毒液とこの消毒液を患部等に塗布するための綿棒等の取扱用部材とを備えた患部消毒具や洗浄具として用いることができ、その他、化粧品を収容した容器、種々の検査用のサンプル採取容器としても用いることができる収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
患部の消毒方法として、綿棒に消毒液を含ませてこれを患部に塗布することが行われている。そして、従来の収容具として、前記綿棒を収容する第一収容部と、消毒液を収容する第二収容部とを隔離して備えた袋状の患部消毒具がある。この患部消毒具は、第二収容部に圧が加えられると第一収容部と第二収容部とが連通し、第二収容部内の消毒液を第一収容部内に送り前記綿棒の綿部に含ませることで綿棒を用いた消毒作業が可能となるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の患部消毒具では、消毒液を第二収容部から第一収容部へと送ったときに、綿棒の棒状部分が消毒液で濡れてしまい、綿棒を取り扱うときにその作業者の手に消毒液が付着し、これが作業者に不快感を与えたり消毒作業の効率を低下させてしまうおそれがあった。
【0004】
そして、前記患部消毒具として用いられる収容具の他、化粧品を収容した容器、サンプル採取容器として用いられる収容具でも、化粧品やサンプル等の収容物を扱うときにその者の手に収容物が付着したりするおそれがあった。
【0005】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、収容物の取り扱いをより快適に行うことができる使用性に優れた収容具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の塗布具の一つは、樹脂成形容器の内部に、収容物と、この収容物を取り扱うために用いられる取扱用部材とが収容される収容具であって、前記樹脂成形容器が、その下端部を含む本体と、上端部を含む把手体とに分離可能であり、また、前記取扱用部材が、前記収容物を授受する授受部と、この授受部が一端に設けられた棒状部とを備え、前記棒状部の他端が前記樹脂成形容器の把手体に固定されていることを特徴としている(請求項1)。
【0007】
また、本発明の塗布具のもう一つは、樹脂成形容器の内部に、収容物と、この収容物を取り扱うために用いられる取扱用部材とが収容される収容具であって、前記樹脂成形容器が、その下端部を含む本体と、上端部を含む把手体とに分離可能であり、また、前記樹脂成形容器の上端部に可撓性の材料により袋状の閉空間が形成されていると共に前記取扱用部材が管状であり、取扱用部材はその上端が前記閉空間に連通するように把手体に固定されていることを特徴としている(請求項2)。
【0008】
上記いずれの発明においても、前記樹脂成形容器が筒状の側壁を備え、この側壁を一周する環状薄肉部が上下方向に適宜の間隔をあけて二つ設けられており、前記側壁の二つの環状薄肉部に挟まれた帯状部位に連設された摘まみ部を引っ張ると、前記帯状部位が側壁から離脱し、樹脂成形容器の把手体が本体から分離するように構成されていてもよい(請求項3)。
【0009】
また、前記取扱用部材が、帯状部位を樹脂成形容器の側壁から離脱させるときに帯状部位および/またはその近傍に緊張力を付与する鍔部を備えていてもよい(請求項4)。
【0010】
さらに、前記取扱用部材の鍔部が、帯状部位を樹脂成形容器の側壁から離脱させた後に、樹脂成形容器の本体の開口に対して挿抜自在となり、かつ、前記開口に挿入されるとこの開口を閉塞するように構成されていてもよい(請求項5)。
【0011】
また、前記樹脂成形容器が一つずつ切り離すことができるように複数連結されていてもよい(請求項6)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、収容物の取り扱いをより快適に行うことができる使用性に優れた収容具が得られる。すなわち、前記収容具では、収容物が付着する取扱用部材を手で持つ必要がなく、収容物が付着していない把手体の外面を持つことで収容物を保持した取扱用部材を扱うことができる。従って、塗布作業等を行う者の手に収容物が付着して、これが作業者に不快感を与えたり塗布作業等の効率を低下させてしまうことや手に付着した雑菌による二次汚染を確実に防止することができる。
【0013】
さらに、取扱用部材の保持部に保持された収容物を塗布作業等により使い切った場合には、取扱用部材を本体内に挿入して本体内にある収容物を授受部に新たに保持させれば、さらに塗布作業等を続行することができる。従って、樹脂成形容器に収容する収容物の量は、授受部に一度に保持させることができる収容物の量の上限等によって制限されることがなく、収容物の用途や種類等を考慮して設定することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、取扱用部材と把手体とで構成されるスポイトによって収容物を取り扱うことができ、その使用性がより向上する。
【0015】
請求項3に係る発明では、摘まみ部を引っ張るだけで本体と把手体とをワンタッチ方式で容易に分離させることができ、使用性の面で向上を図ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、帯状部位の離脱をより容易に行うことができる。
【0017】
請求項5に係る発明では、樹脂成形容器の本体のリキャップが可能となり、収容物の使用と保管とを繰り返し行うことができ、より長期間の収容物の使用も可能となる。そして、特に前記収容物が化粧品である場合には、化粧品の使用実感を何回か試すことができる道具として本発明の収容具を用いることができ、この場合、消費者は収容物(化粧品)に対するアレルギー反応の有無等を簡便に知ることもできる。
【0018】
また、請求項5に係る本発明の収容具を化粧試供品として用いれば、化粧試供品の長期間の使用が可能であるので、これを消費者に提供すれば、消費者は時間をかけて化粧試供品(例えば口紅)についての服装とのコーディネートを充分に試すことができる。さらにこの場合、以下のようなメリットも挙げられる。すなわち、従来より、化粧品売り場では、化粧品テスターを用い、複数の消費者に塗布することがなされており、不衛生であるうえ、化粧試供品を塗布する場所が目の近傍や唇であるケースも多く、感染の危険性が大きいという問題があり、消費者から敬遠されていた。しかし、本発明の収容具を化粧試供品に用いれば、一人の消費者に化粧試供品を一つずつ配ることができるので、化粧試供品の衛生的な使用が可能となり、上記問題が起こらない。しかも、上述した化粧試供品についての服装とのコーディネートの充分な吟味と衛生的な使用とを実現可能としたことによって、消費者の化粧品についての購買意欲の増進を図ることも可能となる。
【0019】
請求項6に係る発明では、特に複数の収容具の運搬や保管等を行う際に、収容具が取り扱い易いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図4は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1(A)および(B)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る収容具1は、樹脂成形容器2を有し、この樹脂成形容器2の内部に収容物3および取扱用部材4が密閉状態で収容されている。
【0021】
前記樹脂成形容器2は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、塩化ビニール等の半透明または透明な合成樹脂からなり、ブロー成形やインジェクション成形によって成形される。そして、樹脂成形容器2は、閉塞された下端部を含む本体5と、閉塞された上端部を含む把手体6とに分離可能となっている。詳しくは、図1(A)に示すように、樹脂成形容器2は、ほぼ円筒状の側壁7を備え、側壁7を一周する環状薄肉部8が上下方向に適宜の間隔をあけて二つ設けられており、前記側壁7の二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9に連設された摘まみ部10を引っ張ると、図1(B)に示すように、二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9が側壁7から離脱し、樹脂成形容器2の把手体6が本体5から分離するように構成されている。
【0022】
また、図2に示すように、前記樹脂成形容器2は一つずつ切り離すことができるように複数(例えば、3〜10、この実施の形態では五つ)連結されている。
【0023】
前記収容物3としては塗布材料が挙げられ、具体的には、ポピドンヨード、ヨードチンキ、エタノール(医薬品、医薬部外品)等の消毒液、痛み止め用液、化粧用液などの液体や、ゲル状体、クリーム状体などが挙げられる。なお、この実施の形態では収容物3としてポピドンヨードが用いられている。ここで、前記樹脂成形容器2内には、収容物3および取扱用部材4とともに気体が封入されるが、収容物3が空気によって劣化する場合(例えば収容物3が空気により劣化するヨード類等である場合)には、前記気体として不活性ガス(例えばN2 ガス、Arガス、Neガス等)を用いることが望ましい。しかし、前記収容物3が空気によって劣化しない場合(例えば収容物3が空気によって劣化しないエタノール等である場合)には、前記気体として空気を用いることができる。
【0024】
前記取扱用部材4は、図1(A)に示すように、前記収容物3を授受するための授受部11と、この授受部11が一端(下端)に設けられた例えばポリプロピレンからなる棒状部12とを備え、前記棒状部12の他端(上端)が前記樹脂成形容器2の把手体6に固定されている。前記授受部11は、例えば、前記棒状部12の一端に綿(脱脂綿等)を巻いて形成されたものであり、収容物(ポピドンヨード)3を吸収して保持する。そして、図1(A)に示すように、取扱用部材4は、一端(下端)が把手体6の下端よりも下方に突出し、本体5内の下部にまで進入した状態となるように構成されている。なお、取扱用部材4としては、例えば、5〜8cm程度の長さを有する普通サイズのものの他、15cm程度の長さを有するビッグサイズのものでもよい。
【0025】
さらに、前記取扱用部材4の棒状部12は、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させるときに帯状部位9および/またはその近傍に緊張力を付与するほぼ円筒状または円柱状の鍔部12aを備えている。詳述すると、前記鍔部12aは、樹脂成形容器2の側壁7の内径とほぼ同程度の外径を有し、本体5と把手体6とを分離していない状態では帯状部位9の内側に位置するように構成されている。なお、この実施の形態では、前記鍔部12aを棒状部12と一体としているが、両者を別体としてもよい。
【0026】
次に、上記の構成からなる収容具1の製造方法について説明する。まず、図3に示すように、一端側に開口部2aを有する状態の複数の樹脂成形容器2をそれぞれ切り離し可能に複数(五つ)連結した状態で成形する。なお、前記開口部2aは、樹脂成形容器2の下端部に形成されている。
【0027】
続いて、開口部2aから樹脂成形容器2の内部に取扱用部材4を挿入し、取扱用部材4の棒状部12の他端を樹脂成形容器2の上端部に固定する。この固定は、例えば、樹脂成形容器2の上端部の内径を棒状部12の他端の外径よりも若干小さめに形成し、樹脂成形容器2の上端部内に棒状部12の他端を強引に嵌め込むことによって行ってもよく、熱融着や超音波を用いて両者2,12を融着させることにより行ってもよい。なお、いずれの場合にも、前記棒状部12の固定を行いやすくするために、樹脂成形容器2の上端部の内径および外径を他の部分よりも小さくすることが好ましい。
【0028】
その後、開口部2aが上側となるように樹脂成形容器2を配置し、その内部に収容物3を注入する。そして、前記開口部2aを熱融着や超音波を用いることにより閉じ、このとき、樹脂成形容器2内の空気を不活性ガスに置換して封入する。以上で、収容具1の製造が完了する。なお、最後に行った空気を不活性ガスに置換する工程は、前記収容物3が空気によって劣化しない場合には不要である。また、図3には、開口部2aの径が他の部分とほぼ同一であるように示しているが、開口部2aは先端部側ほど細くなるように形成することが望ましい。このように形成することにより、隣り合う開口部2a間に十分なスペースが確保されるので、開口部2aを閉じるときに開口部2aの近傍部分が引き延ばされても隣り合う開口部2aどうしが互いに干渉し合ったり結合したりすることがなく、使用者による各樹脂成形容器2の切り離し作業が妨げられることも確実に防止される。
【0029】
上記の構成からなる収容具1を使用するには、まず、図2に示すように、複数連結された状態の収容具1の一つを取り外し、把手体6が上側になるように樹脂成形容器2を持つ。このとき、図4(A)に示すように、取扱用部材4の授受部11が収容物3に接触した状態となるように収容物3の量や取扱用部材4の棒状部12の長さなどを設定しておくことが望ましい。
【0030】
続いて、前記摘まみ部10を引っ張り二つの環状薄肉部8を破断させることにより、側壁7の二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9を側壁7から離脱させ、前記把手体6を本体5から分離させる。このとき、前記鍔部12aが帯状部位9および/またはその近傍の裏側に当接し、緊張力を付与するので、上記帯状部位9の離脱を容易に行うことができる。なお、収容物3が分離後の本体5内に収まるようにその量を設定しておく必要がある。
【0031】
そして、把手体6を持ち、この把手体6に固定された取扱用部材4を本体5内から引き抜くことにより、収容物3の塗布作業を行うことができる。このとき、収容物3が付着している取扱用部材4を直接持つのではなく、図1(B)に示すように、収容物3が付着していない把手体6を持って取扱用部材4を取り扱うことができる。
【0032】
ここで、取扱用部材4の授受部11に保持された(吸収された)収容物3が多すぎる場合、そのまま本体5から取扱用部材4を引き抜くと、授受部11から収容物3が雫となって落下し、樹脂成形容器2の周囲等が汚れるおそれがある。しかし、図4(B)に示すように、本体5を構成する側壁7を授受部11とともに指等で挟み授受部11を絞れば、授受部11に保持された余剰の収容物3を樹脂成形容器2の外で調整することなく本体5内に戻すことができ、上記のように樹脂成形容器2の周囲等が汚れることを確実に防止することができる。
【0033】
なお、第1の実施の形態は、種々に変形することができる。具体的には、前記樹脂成形容器2の成形は、主にインジェクション成形により行われるが、樹脂成形容器2の形状を適宜に変更してブロー成形など他の成形方法により成形するように構成してもよい。
【0034】
また、前記取扱用部材4の授受部11は、綿を棒状部12の一端に巻いて形成されるものに限られず、例えば、スポンジ、発泡樹脂等の吸湿性に優れた材料を棒状部12の一端に固定することで形成されていてもよい。さらに、前記収容物3が液体ではなくクリーム状やゲル状をしている場合には、棒状部12の一端をへら状にしたり適宜に折り曲げたりすることにより授受部11を形成してもよい。
【0035】
さらに、上記樹脂成形容器2では、側壁7に、二つの環状薄肉部8と、側壁7の二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9に連設された摘まみ部10とを設けることにより、本体5と把手体6とを分離させる構造(オープンシール構造)を構成していたが、このような構成に限られない。例えば、側壁7に環状薄肉部8を一つのみ形成し、本体5と把手体6とを捩じって引きちぎり、分離させるようにしてもよい。
【0036】
また、把手体6が上側になった状態の樹脂成形容器2内において、取扱用部材4の授受部11が収容物3に接触していなくてもよく、この場合、樹脂成形容器2における前記帯状部位9の上下方向の幅を大きくすることにより、帯状部位9を側壁7から離脱させた後に取扱用部材4の授受部11を本体5内に収容された収容物3に接触させることができるように構成すればよい。すなわち、前記帯状部位9の上下方向の幅の大きくするに伴い、把手体6の分離後における本体5内への取扱用部材4の挿入可能な深さが大きくなり、授受部11が本体5の底に当接するまで取扱用部材4を本体5内に挿入することができるように前記帯状部位9の幅を決定しておくことが望ましく、このように決定すれば、取扱用部材4による収容物3の保持作業を容易に行うことができる。
【0037】
また、棒状部12の他端を樹脂成形容器2の上端部のみによって固定してもよいが、例えば、図1(C)に示すように、把手体6内の下部から上部にまで、嵌め込まれた棒状部12を保持する筒状(円筒状)の保持部6aを形成し、棒状部12をより強力に把手体6に保持させるように構成してもよい。図1(C)において、6bは把手体6の側壁から前記保持部6aにかけて設けられた四つのブリッジ部6bである。
【0038】
上述したものに限られず、本発明に係る収容具1は種々に変形して実施することができる。そこで、以下に、その具体的な変形例を示すための実施の形態について図5以降を参照しながら説明する。なお、各実施の形態において、他の実施の形態に示した部材等と同一または同等の部材等については、それらに同じ符号を付してある。
【0039】
図5(A)および(B)は、本発明の第2の実施の形態に係る収容具13を示す。この収容具13の樹脂成形容器2は、可撓性の材料により形成された袋状の閉空間14(図5(B)参照)をその上端部に備えている。また、前記取扱用部材4は管状となっており、取扱用部材4の上端は前記閉空間14に連通するように把手体6に固定されている。ここで、閉空間14を形成する可撓性材料としては、第1の実施の形態に係る収容具1の樹脂成形容器2の成形に用いられている材料を挙げることができる。
【0040】
さらに、前記取扱用部材4は、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させるときに帯状部位9および/またはその近傍に緊張力を付与する鍔部15を備え、また、この鍔部15は、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させた後に、樹脂成形容器2の本体5の開口5aに対して挿抜自在となり、かつ、前記開口5aに挿入されるとこの開口5aを閉塞するように構成されている。
【0041】
詳述すると、前記鍔部15は、樹脂成形容器2の側壁7の内径とほぼ同程度の外径を有し、本体5と把手体6とを分離していない状態では帯状部位9の内側に位置するように構成されている。また、鍔部15の外周面には、図5(B)に示すように、環状突起部15aが上下に間隔をおいて二つ設けられている。
【0042】
上記の構成からなる収容具13では、閉空間14を有する把手体6と前記閉空間14に連通する管状の取扱用部材4とでスポイトが構成される。すなわち、把手体6および取扱用部材4をスポイトと同様に扱うことで収容物3を使用することができる。なお、取扱用部材4に適宜の目盛りを設けて、任意量の収容物3の吸い上げが容易となるように構成してもよい。
【0043】
また、本体5と把手体6とを分離した後、把手体6に固定された取扱用部材4の鍔部15を本体5の開口5aに挿入すると、二つの環状突起部15aがシール部材として機能することになり、本体5内の収容物3をほぼ密閉状態で保管することが可能となり、収容物3の揮発や乾燥等を防止する効果が得られる。しかも、開口5aに対して鍔部15は着脱自在であり、リキャップ可能となっていることから、収容物3の使用と保管とを繰り返し行うことができる。
【0044】
なお、第2の実施の形態に係る収容具13の他の構成は、第1の実施の形態に係る収容具1と同様であるので、その説明を省略する。
【0045】
図6(A)および(B)は、本発明の第3の実施の形態に係る収容具17を示す。この収容具17は、図6(A)に示すように、樹脂成形容器18を有し、樹脂成形容器18の内部に収容物19および取扱用部材4が密閉状態で収容されている。
【0046】
前記樹脂成形容器18は、図1に示した樹脂成形容器2より径が大きくなっている等、樹脂成形容器2と形状が若干異なるが、その材料および成形方法は同じものとすることができ、また、閉塞された下端部を含む本体5と、閉塞された上端部を含む把手体6とに分離可能となっている点でも同じである。すなわち、樹脂成形容器18のほぼ円筒状の側壁7に、二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9が設けられており、この帯状部位9に連設された摘まみ部10を引っ張ると、図6(B)に示すように、帯状部位9が側壁7から離脱し、把手体6が本体5から分離するように構成されている。
【0047】
前記収容物19は口紅であり、保持容器20に充填されている。この保持容器20は、図6(B)に示すように、ほぼ円形状の底部21と、この底部21の周縁に立設されたほぼ円筒状の側壁22と、前記底部21の中央部に設けられたほぼ円形状の貫通孔23の周縁に立設されたほぼ円筒状の筒状部24とを備えている。なお、筒状部24の上端は側壁22の上端とほぼ同じかそれより上方の位置にある。
【0048】
また、この実施の形態における取扱用部材4の授受部11はブラシ(リップブラシ)になっており、また、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させるときに帯状部位9および/またはその近傍に緊張力を付与する鍔部25が棒状部12に設けられている。この鍔部25は、帯状部位9を樹脂成形容器2の側壁7から離脱させた後に、樹脂成形容器18の本体5の開口5aに嵌合するように構成されている。
【0049】
詳述すると、前記鍔部25は、ほぼ円形状の鍔部本体26と、ほぼ十字形状の挿入部27とを備えている。そして、挿入部27の側面は、樹脂成形容器2の側壁7の内壁面に密接するように湾曲面となっている。また、取扱用部材4は、本体5と把手体6とを分離していない状態では前記挿入部27が帯状部位9の内側に位置するように構成されている。
【0050】
次に、前記収容具17の製造方法について説明する。まず、図7(A)に示すように、一端側に開口部18aを有し他端側が閉塞されたほぼ円筒状の樹脂成形容器18を用意する。なお、図7(A)に示す樹脂成形容器18は、図6(A)および(B)に示す状態と上下が逆になっている。
【0051】
続いて、開口部18aから樹脂成形容器18の内部に取扱用部材4を挿入する。このとき、取扱用部材4は前記授受部11が上側になるようにする。そして、図7(B)に示すように、取扱用部材4の棒状部12の下端側(鍔部25よりも下側の部分)を樹脂成形容器18に固定する。この固定は、例えば、熱融着や超音波を用いて行うことができる。
【0052】
その後、図7(B)および(C)に示すように、予め保持容器20に充填した収容物19を樹脂成形容器18内に収容する。このとき、保持容器20は底部21が上側となるようにし、また、保持容器20の筒状部24に取扱用部材4の棒状部12を挿通させ、保持容器20を樹脂成形容器18内に設けた段部18bに当接させて固定する。
【0053】
なお、この実施の形態では、収容物19としての口紅を所定温度(例えば90℃)以上で溶解して液状とし、この状態で保持容器20に充填した後、冷却によって保持容器20内で固化させている。
【0054】
最後に、図7(D)に示すように、樹脂成形容器18の開口部18aを熱融着や超音波を用いることにより閉じる。このとき、樹脂成形容器18において保持容器20が収容されている位置から開口部18aまでの部位は一方向に縮径するように変形し、また、開口部18aをシールする際の反動が保持容器20に加わることになるので、前記段部18bに当接していた保持容器20は開口部18a側へも移動しないように固定された状態となる。以上で、収容具17の製造が完了する。なお、開口部18aを閉じるときに、樹脂成形容器18内の空気を不活性ガスに置換して封入してもよいが、前記収容物19が空気によって劣化しない場合等には前記置換を行わなくてもよい。
【0055】
上記の構成からなる収容具17は未開封では図6(A)に示す状態となっており、この収容具17を使用するには、摘まみ部10を引っ張り二つの環状薄肉部8を破断させて、側壁7の二つの環状薄肉部8に挟まれた帯状部位9を側壁7から離脱させればよい。そして、前記把手体6と本体5とを引き離し、取扱用部材4を本体5から引き抜けば、収容具17は収容物19の塗布作業が可能な状態となり、塗布作業は、取扱用部材4の授受部12で、保持容器20に充填した収容物19を擦り取ることで行うことができる。
【0056】
上記の構成からなる収容具17では、本体5と把手体6とを分離した後、把手体6に固定された取扱用部材4の鍔部25の挿入部27を本体5の開口5aに嵌合すると、鍔部25の鍔部本体26が開口5aを閉塞し、本体5内の収容物19をほぼ密閉状態で保管することが可能となる。しかも、開口5aに対して鍔部25は着脱自在であるので、収容物3の使用と保管とを繰り返し行うことができる。
【0057】
なお、第3の実施の形態に係る収容具17の他の構成は、第1の実施の形態に係る収容具1と同様であるので、その説明を省略する。
【0058】
また、上記第3の実施の形態では、収容物19として口紅を用いているが、これに限られず、ブラシタイプの前記取扱用部材4によって扱うのに適したもの(例えばリップクリーム等の化粧品)であればよい。
【0059】
さらに、第3の実施の形態において、前記保持容器20に代えて、図8に示す保持容器28を用いてもよい。すなわち、この図に示すように、保持容器28は、ほぼ円形状の天部29と、この天部29の周縁に立設されたほぼ円筒状の側壁22と、前記天部29の中央部に設けられたほぼ円形状の貫通孔30の周縁に連設されたほぼ円筒状の筒状部24とを備え、前記天部29に複数(図示例では三つ)の凹入部31が設けられている。そして、凹入部31に前記収容物19が充填される。
【0060】
上記の構成からなる保持容器28では、複数ある凹入部31に充填する収容物19の色、種類等をそれぞれ異ならせることができるので、複数種の収容物19を収容具17に収容する場合に用いて好適である。なお、図8において、32は摘まみ部であり、この摘まみ部32は、保持容器28を上下逆にした状態で樹脂成形容器18内に収容するとき(図7(C)参照)に用いられる。
【0061】
また、第3の実施の形態において、収容物19を口紅ではなくアイシャドーとしてもよく、この場合には、図9に示すように、前記取扱用部材4をリップブラシとはせずにシャドーチップとしてもよいし、授受部11をブラシ状に形成してもよい。さらに、この場合、保持容器20に代えて、図9に示す保持容器33を用いることが望ましい。
【0062】
すなわち、前記保持容器33は、前記保持容器20の側壁22とほぼ同じ外径を有するほぼ円筒状の筒部34と、この筒部34に連設され、本体5の中央部を避けた位置に固定される容器本体35とを備えている。そして、この容器本体35の外側面は本体5の内壁にほぼ密着すると共に、内側面に上下方向に延びる単数または複数(図示例では二つ)の凹入部31が設けられており、各凹入部31に収容物19が収容される。なお、保持容器33は、前記容器本体35が本体5内への取扱用部材4の収容を邪魔しないように構成されている。
【0063】
また、第3の実施の形態において、取扱用部材4としてアイライナーブラシ等を用いてもよい。
【0064】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る収容具36を示す。この収容具36は、上記第3の実施の形態に係る収容具17と比べて、取扱用部材4の授受部11がリップブラシではなくマスカラ用のブラシとなっており、また、保持容器20に充填される収容物19としての口紅に代えて、本体5に直接収容される収容物37としてのマスカラが用いられている点で主に異なる。
【0065】
上記の構成からなる収容具36では、前記保持容器20の筒状部24が、授受部(ブラシ)11に対する収容物(マスカラ)37の付着量を調整する機能を発揮する。すなわち、取扱用部材4によって保持容器20内の収容物37を取り出すときに、保持容器20の筒状部24を利用することで、授受部11に付着させる収容物37の量を調整することができ、授受部11に余分に付着した収容物37を本体5内に残すことができる。具体的には、取扱用部材4の授受部11を保持容器20の筒状部24に擦り付ける等すればよい。
【0066】
また、第4の実施の形態において、収容物37をマスカラではなく化粧クリームとしてもよく、この場合には、前記取扱用部材4をシャドーチップとせずにスプーンとすればよい。さらに、この場合、前記保持容器20に代えて、図11に示すC形容器39を用いることが望ましい。
【0067】
すなわち、前記C形容器39は、前記保持容器20の一部を切り欠き、中央の貫通孔が側方に連通する形状を呈するように構成されたものである。そして、上記構成からなるC形容器39では、適宜の大きさの切り欠き部40が形成されることから、化粧クリームである収容物37を盛った状態の授受部11を本体5から容易に抜き出すことができる。
【0068】
ここで、上記各実施の形態ではいずれも収容具を塗布具(患部消毒具、化粧品塗布具)として用いる例を示しているが、本発明の収容具は、各種の検査(例えば、検便、水質調査等)に用いるサンプル容器として用いることもできる。例えば、第4の実施の形態において図10に示す取扱用部材4を上述したスプーンとする場合には、収容具36を検便の採取容器として用いることができる。具体的には、収容具36の製造段階で収容物37を樹脂成形容器内に収容せず、取扱用部材4によって採取したサンプルを本体5内に収容すればよい。同様に、図5(A)および(B)に示す収容具13は、例えば水質調査のためのサンプルの採取に用いることができる。
【0069】
また、第3および第4の実施の形態では、前記挿入部27をほぼ十字形状としているが、このような構成に限らず、例えば、図12に示すように、挿入部27をほぼ円柱形状または円筒形状とし、かつ、その外周面に単数または複数(図示例では二つ)の環状突起部27aを設けてもよい。この場合には、本体5と把手体6とを分離した後、把手体6に固定された取扱用部材4の挿入部27を本体5の開口5aに挿入すると、環状突起部27aがシール部材として機能することになり、本体5内の収容物をほぼ密閉状態で保管することが可能となり、収容物の揮発や乾燥等を防止する効果やリキャップ性能が向上することになる。しかも、開口5aに対して挿入部27は着脱自在であり、リキャップ可能となっていることから、収容物の使用と保管とを繰り返し行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(A)および(B)は、本発明の第1の実施の形態に係る分離前および分離後の収容具の構成を概略的に示す斜視図、(C)は(B)のX−X線断面図である。
【図2】分離可能に複数連結された状態の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】製造途中の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】(A)は分離前の収容具の構成を概略的に示す縦断面図、(B)は分離後の収容具の使用方法を概略的に示す説明図である。
【図5】(A)および(B)は、本発明の第2の実施の形態に係る分離前および分離後の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】(A)および(B)は、本発明の第3の実施の形態に係る分離前および分離後の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図7】(A)〜(D)は、第3の実施の形態に係る収容具の製造方法を概略的に示す説明図である。
【図8】第3の実施の形態に係る収容具の変形例の構成を概略的に示す斜視図である。
【図9】第3の実施の形態に係る収容具の他の変形例の構成を概略的に示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る分離後の収容具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図11】第4の実施の形態に係る収容具の変形例に用いられるC形容器の構成を概略的に示す斜視図である。
【図12】第3および第4の実施の形態に係る収容具の挿入部の変形例の構成を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
1 収容具
2 樹脂成形容器
3 収容物
4 取扱用部材
5 本体
6 把手体
11 授受部
12 棒状部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形容器の内部に、収容物と、この収容物を取り扱うために用いられる取扱用部材とが収容される収容具であって、前記樹脂成形容器が、その下端部を含む本体と、上端部を含む把手体とに分離可能であり、また、前記取扱用部材が、前記収容物を授受する授受部と、この授受部が一端に設けられた棒状部とを備え、前記棒状部の他端が前記樹脂成形容器の把手体に固定されていることを特徴とする収容具。
【請求項2】
樹脂成形容器の内部に、収容物と、この収容物を取り扱うために用いられる取扱用部材とが収容される収容具であって、前記樹脂成形容器が、その下端部を含む本体と、上端部を含む把手体とに分離可能であり、また、前記樹脂成形容器の上端部に可撓性の材料により袋状の閉空間が形成されていると共に前記取扱用部材が管状であり、取扱用部材はその上端が前記閉空間に連通するように把手体に固定されていることを特徴とする収容具。
【請求項3】
前記樹脂成形容器が筒状の側壁を備え、この側壁を一周する環状薄肉部が上下方向に適宜の間隔をあけて二つ設けられており、前記側壁の二つの環状薄肉部に挟まれた帯状部位に連設された摘まみ部を引っ張ると、前記帯状部位が側壁から離脱し、樹脂成形容器の把手体が本体から分離するように構成されている請求項1または2に記載の収容具。
【請求項4】
前記取扱用部材が、帯状部位を樹脂成形容器の側壁から離脱させるときに帯状部位および/またはその近傍に緊張力を付与する鍔部を備えている請求項3に記載の収容具。
【請求項5】
前記取扱用部材の鍔部が、帯状部位を樹脂成形容器の側壁から離脱させた後に、樹脂成形容器の本体の開口に対して挿抜自在となり、かつ、前記開口に挿入されるとこの開口を閉塞するように構成されている請求項4に記載の収容具。
【請求項6】
前記樹脂成形容器が一つずつ切り離すことができるように複数連結されている請求項1〜5のいずれかに記載の収容具。
【請求項1】
樹脂成形容器の内部に、収容物と、この収容物を取り扱うために用いられる取扱用部材とが収容される収容具であって、前記樹脂成形容器が、その下端部を含む本体と、上端部を含む把手体とに分離可能であり、また、前記取扱用部材が、前記収容物を授受する授受部と、この授受部が一端に設けられた棒状部とを備え、前記棒状部の他端が前記樹脂成形容器の把手体に固定されていることを特徴とする収容具。
【請求項2】
樹脂成形容器の内部に、収容物と、この収容物を取り扱うために用いられる取扱用部材とが収容される収容具であって、前記樹脂成形容器が、その下端部を含む本体と、上端部を含む把手体とに分離可能であり、また、前記樹脂成形容器の上端部に可撓性の材料により袋状の閉空間が形成されていると共に前記取扱用部材が管状であり、取扱用部材はその上端が前記閉空間に連通するように把手体に固定されていることを特徴とする収容具。
【請求項3】
前記樹脂成形容器が筒状の側壁を備え、この側壁を一周する環状薄肉部が上下方向に適宜の間隔をあけて二つ設けられており、前記側壁の二つの環状薄肉部に挟まれた帯状部位に連設された摘まみ部を引っ張ると、前記帯状部位が側壁から離脱し、樹脂成形容器の把手体が本体から分離するように構成されている請求項1または2に記載の収容具。
【請求項4】
前記取扱用部材が、帯状部位を樹脂成形容器の側壁から離脱させるときに帯状部位および/またはその近傍に緊張力を付与する鍔部を備えている請求項3に記載の収容具。
【請求項5】
前記取扱用部材の鍔部が、帯状部位を樹脂成形容器の側壁から離脱させた後に、樹脂成形容器の本体の開口に対して挿抜自在となり、かつ、前記開口に挿入されるとこの開口を閉塞するように構成されている請求項4に記載の収容具。
【請求項6】
前記樹脂成形容器が一つずつ切り離すことができるように複数連結されている請求項1〜5のいずれかに記載の収容具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−102478(P2006−102478A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60929(P2005−60929)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(593072118)ニッポー株式会社 (8)
【出願人】(390030052)大衛株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(593072118)ニッポー株式会社 (8)
【出願人】(390030052)大衛株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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