説明

収穫機

【課題】作物の上端部の高さに適切に対応して取入部の高さを調整可能な収穫機を提供する。
【解決手段】コンバイン(収穫機)は、本体と、取入部と、収穫部昇降シリンダ18と、を備える。取入部は、立毛状態の作物から必要部分を分離して取り入れる。収穫部昇降シリンダ18は、取入部を本体に対して昇降させる。本体は、作物の上端部を検出する超音波センサ17を備える。そして、収穫部昇降シリンダ18は、超音波センサ17の検出結果に基づいて、取入部を昇降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立毛状態の作物から必要部分を収穫する収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、刈取り前の立毛状態の作物から、実、葉、穀粒等の必要部分を分離して取り入れる取入部を備える収穫機が知られている。また、この必要部分は作物の上端部にあることが多いため、作物の上端部をセンサ等で検出して、当該センサの検出結果に応じて取入部を上下させる構成の収穫機も知られている。特許文献1は、この種の収穫機を開示する。
【0003】
特許文献1が開示するコンバイン(収穫機)は、作物の上端部(作物頂部)を検出可能な作物頂部位置検出装置を備えている。この作物頂部位置検出装置は、2つの接触式センサを備えている。これらの接触式センサは、それぞれ異なる高さに配置されており、下側に配置される接触式センサが作物の上端部と接触し、かつ上側に配置される接触式センサが作物の上端部と接触していない状態となるように、取入部の高さを調整している。
【0004】
この構成により、作物の上端部と取入部との位置関係を調整して適切な収穫を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3122461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の構成は、上側に配置される接触式センサが作物の上端部と接触して初めて、取入部の位置が高いことを検出できる。同様に、下側に配置される接触式センサが作物の上端部と接触しなくなって初めて、取入部の位置が低いことを検出できる。
【0007】
そのため、取入部の高さの調整が遅れがちになり、作物の上端部の高さに応じて取入部を素早く移動させることができない。つまり、下側に配置される接触式センサが作物の上端部と接触し、かつ上側の接触式センサが作物の上端部と接触していない状態を維持することが困難である。
【0008】
これを解消するために、取入部を素早く上下させる構成にしたとしても、オーバーシュート等により上記の安定した位置関係になるまで時間が掛かってしまう。そのため、作物の上端部の高さが不規則な場合、適切な収穫を行うことができない。
【0009】
また、上記特許文献1の構成はセンサを2つ備えるため、高コストとなり、また、機械的及び電気的構成が複雑になってしまっていた。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、作物の上端部の高さに適切に対応して取入部の高さを調整可能な収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、以下の構成の収穫機が提供される。即ち、この収穫機は、本体と、取入部と、昇降装置と、を備える。前記取入部は、立毛状態の作物から必要部分を分離して取り入れる。前記昇降装置は、前記取入部を前記本体に対して昇降させる。前記本体は、作物の上端部を検出する非接触センサを備える。そして、前記昇降装置は、前記非接触センサの検出結果に基づいて、前記取入部を昇降させる。
【0013】
これにより、取入部を作物の高さに応じた適切な位置に保ちながら、当該取入部による分離及び取入れを行うことができる。また、作物の必要部分(穀粒等)の位置は、地面からの長さよりも当該作物の上端部からの長さから判断する方が正確であるため、分離等を行うときの取入部をより適切な位置に保つことができる。更に、自動で取入部を昇降させることができるため、オペレータの手間を軽減することができる。また、非接触センサを本体側に取り付けているため、進行方向前方の作物の上端部を検知し、収穫機の進行にあわせて取入部を上下させることができる。従って、作物を検出するセンサを取入部に取り付けてフィードバック制御を行う場合よりも、取入れ部の適切な高さを確実に実現することができる。
【0014】
前記の収穫機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記取入部は、分離部と、接触センサと、ガイド部と、を備える。前記分離部は、作物から必要部分を分離する。前記接触センサは、立毛状態の作物の上端部と接触することにより、当該作物の高さを検出する。前記ガイド部は、立毛状態の作物を前記分離部に案内し、前記接触センサの検出結果に基づいて少なくとも一部の位置が変更される。
【0015】
これにより、接触センサの出力に基づいてガイド部の位置を適切に保つことで、分離が行われるときの作物の姿勢を常に安定させることができる。そのため、分離の失敗や、作物の必要部分の飛散損失等を少なくすることができる。
【0016】
前記の収穫機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記接触センサは、回転体と、角度検出部と、を備える。前記回転体は、立毛状態の作物と接触することで回転する。前記角度検出部は、前記回転体の角度を検出可能である。
【0017】
これにより、接触センサの出力値として連続的な値を得ることができるので、回転量に応じて出力をON/OFFするような2値のセンサと比較して、ガイド部の位置をキメ細かく制御することができる。
【0018】
前記の収穫機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記取入部は、当該取入部の内部へ作物を差し入れるための差入孔を構成可能である。差し入れられた作物は、必要部分が分離されて取り入れられる。
【0019】
これにより、手刈りした作物等の分離及び取入れを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの全体的な構成を示す側面図。
【図2】取入部及び前方ガイド部を回動させる構成を示すブロック図。
【図3】取入部の構成を示す側面断面図。
【図4】取入部の動作を示す側面断面図。
【図5】分離部の高さの変化が収穫に及ぼす影響を説明する側面断面図。
【図6】前方ガイド部の高さの変化が収穫に及ぼす影響を説明する側面断面図。
【図7】手扱ぎ孔を構成するときの取入部の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。初めに、本実施形態のコンバインの全体的な構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るコンバインの側面図である。図2は、取入部及び前方ガイド部を回動させる構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、単に「左側」「右側」等というときは、コンバイン1が前進する方向に向かって左側及び右側を意味するものとする。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のコンバイン1は、立毛状態の稲、小麦等から穀粒を分離(脱粒)して取り入れて、本体10まで搬送する収穫部12を備えている。なお、収穫部12によって穀稈から穀粒だけを完全に分離することはできず、穀稈からの分離物には茎や穂切れ粒等が含まれている。そして、本体10の上部には、この穂切れ粒等から穀粒を分離するための脱穀装置14が備えられる。また、この脱穀装置14と並設するように、グレンタンク15がコンバイン1の上部右側に備えられている。
【0023】
グレンタンク15の前方には、コンバイン1を操作するための運転部16が配置されている。この運転部16には運転操作部及び運転座席等が設けられており、この運転操作部を操作することによって取入れや走行等、コンバイン1の各種の操作を行うように構成されている。この運転部16の下方には、コンバイン1の駆動源としての図略のエンジンが配置されている。
【0024】
図1に示すクローラ部11はコンバイン1の左右両側に配置されており、このクローラ部11が駆動することでコンバイン1を走行させるように構成されている。そして、この左右のクローラ部11を図略の走行ミッション装置によって制御することで、コンバイン1の走行方向及び速度の調節が可能になっている。
【0025】
本体10の上部には、超音波センサ(非接触センサ)17が取り付けられている。この超音波センサ17は穀稈の上端部に向けて超音波を発信するとともに、当該上端部で反射される超音波を再び受信するように構成されており、この超音波の発信から受信までの時間に基づいて穀稈の上端部までの距離を検出することができる。この検出結果は、図2に示すように、コンバイン1が備える制御部40に出力される。
【0026】
制御部40は、この距離と超音波センサ17の位置及び設置角度等に基づいて、コンバイン1より所定距離前方の穀稈の上端部の位置を算出することができる。
【0027】
本体10の前方に回動可能に取り付けられた収穫部12は、立毛状態の穀稈から穀粒を分離して取り入れる取入部30と、取入部30が取り入れた穀粒等を本体10に搬送する搬送部20と、を備えている。また、この収穫部12には収穫部昇降シリンダ(昇降部)18が接続されており、当該収穫部昇降シリンダ18が伸縮することによって、収穫部12が収穫部支持軸51を中心として回動する。これによって取入部30の高さを変化させることができる(図1の鎖線参照)。
【0028】
また、前記制御部40は、作動油の供給を調整する図略の装置に適宜の信号を送り、それにより収穫部昇降シリンダ18に対する作動油の供給量を制御可能になっている。以上の構成により、超音波センサ17が検出した穀稈の上端部の位置に基づいて取入部30の高さを調整することができる。
【0029】
なお、穀稈の上端部の位置を検出する構成として、超音波センサ17に代えて、レーザの送受信によって位置を検出するセンサや、圃場を撮影して画像処理を行うことで位置を算出する構成等を用いても良い。上記で挙げた他にも、本体10に設置され、非接触式で遠方の穀稈の上端部を検出可能であれば、適宜のセンサを用いることができる。
【0030】
また、収穫部12が備える搬送部20は、コンバイン1の左右方向に軸線を向けて配置されるスクリューコンベア21と、脱穀装置14の前方に配置されるチェーンコンベア22と、を備える。スクリューコンベア21は、取入部30が取り入れた穀粒等をコンバイン1の右側から左側へ(図1に示す紙面奥側から手前側へ)搬送し、チェーンコンベア22に送り込む。そして、このチェーンコンベア22によって穀粒等が脱穀装置14まで搬送される。
【0031】
そして、脱穀装置14によって穂切れ粒等が脱穀される。また、脱穀装置14は図略の選別装置を備えており、この選別装置によって、穀粒を選別している。ここで選別された穀粒は、前記グレンタンク15に貯留される。一方、選別された茎等は、選別装置から機外に排出される。なお、グレンタンク15内に貯留された穀粒は、排出オーガ19を介してコンバイン1の外に排出することができる。
【0032】
次に、取入部30の詳細な構成について図3及び図4を参照して説明する。図3は、取入部30の構成を示す側面断面図である。図4は、取入部30の動作を示す側面断面図である。
【0033】
図3に示すように、取入部30は、分離部31と、ガイド部32と、角度センサ(接触センサ)33と、を主要な構成として備える。
【0034】
分離部31は、図略のエンジン又はモータからの駆動によって回転可能な分離部本体311と、この分離部本体311の外側に配置された複数の分離歯312と、を備える。
【0035】
分離部本体311はコンバイン1の左右方向に回転軸を向けて配置されており、この回転軸を中心に当該分離部本体311が回転することにより、分離歯312を回転させることができる。分離歯312は、図略の取付部(例えば分離歯312と一体的に形成された板状の部材)を介して分離部本体311の表面に取り付けられている。また、それぞれの分離歯312は例えば三角形又は長方形の板状の部材であり、この分離歯312は、図2に示すように分離部本体311の外側に側面視で放射状に等間隔で複数配置されるとともに、コンバイン1の左右方向(分離部本体311の回転軸方向)にも並べて複数配置されている。
【0036】
この構成により、分離歯312同士の隙間に穀稈が入り込み、この状態で分離部本体311が回転することで、穀稈から穀粒を分離することができる(図4を参照)。
【0037】
また、ガイド部32は、取入部30の最前部に配置される前方ガイド部321と、前方ガイド部321の後部と少し重なるように配置される後方ガイド部322と、を備える。
【0038】
前方ガイド部321の前部はやや突出しており、この前部の下面は、収穫時において穀稈と接触し、当該穀稈を押し下げるように押圧している(図4を参照)。そして、押し下げられて撓んだ穀稈は、その茎部分から分離歯312に接触する。そして、分離部31によって、穀稈から穀粒等が分離される。このように、前方ガイド部321は、穀稈を適切な姿勢で分離部31に案内するガイド部として機能している。
【0039】
そして、分離された穀粒等は、分離されたときに分離歯312から受けた力や風圧等によって飛ばされ、前方ガイド部321及び後方ガイド部322の下面に沿うように移動する。そして、スクリューコンベア21に達すると、前述のように脱穀装置14へ搬送される。このように、前方ガイド部321及び後方ガイド部322は、穀粒等を適切にスクリューコンベア21まで案内する機能も有している。
【0040】
前述のように、前方ガイド部321の後部と後方ガイド部322の前部は平面視において一部重なっている。また、前方ガイド部321は、図3に示す回動軸323を回動中心として回動可能に構成されている。そして、取入部30は、ガイド部昇降シリンダ34(図2にのみ示す)を備え、このガイド部昇降シリンダ34の伸縮に従って、前方ガイド部321が回動するように構成されている。前方ガイド部321は、回動することにより高さを変更することができる。また、本実施形態では、この回動量を決定するために角度センサ33が用いられている。
【0041】
角度センサ33は、前方ガイド部321の前部下面に設置され、回動アーム(回転体)331と、角度検出部332と、を備える。
【0042】
回動アーム331は、穀稈と接触して力を受けることで、前方ガイド部321の前部下面近傍を中心に回動するように構成されている。そして、この回動アーム331が回動した角度は、角度検出部332によって検出される。また、この検出結果は、図2に示すように、前記制御部40に出力される(図2を参照)。
【0043】
そして、この検出結果に応じて、制御部40は、作動油の供給を調整する図略の装置に適宜の信号を送り、それによりガイド部昇降シリンダ34に対する作動油の供給量を変化させて、前方ガイド部321を回動させる。これにより、分離部31に導入される穀稈を精度良く適切な姿勢にすることができる。
【0044】
なお、この取入部30が備えるセンサは、回動アーム331の回動量に応じて穀稈の高さを検出する構成だけでなく、穀稈の高さを直接的に検出する構成や、接触したか否かのみを検出するセンサを、高さを変えて2つ配置する構成(従来技術で示した構成)等を用いることができる。
【0045】
以上の構成により、穀稈の高さに基づいて、前方ガイド部321の回動量(即ち、前方ガイド部321の高さ)高さを調整することができる。つまり、本実施形態の構成では、超音波センサ17の検出結果に基づいて取入部30(即ち、分離部31)の高さを、角度センサ33の検出結果に基づいて前方ガイド部321の高さを、調整可能となっている。
【0046】
次に、分離部31の高さの変化及び前方ガイド部321の高さの変化が収穫作業に与える影響について説明する。初めに、図5を参照して分離部31の高さの変化が収穫作業に与える影響について説明する。図5(a)は、分離部31の高さが高過ぎる場合の収穫作業を示す側面断面図であり、図5(b)は、分離部31の高さが適切である場合の収穫作業を示す側面断面図であり、図5(c)は、分離部31の高さが低過ぎる場合の収穫作業を示す側面断面図である。なお、ここでは、分離部31の高さの影響を説明するため、図5(a)から図5(c)までの前方ガイド部321の角度を一定にしている。
【0047】
図5(a)で示すように、分離部31の高さが高過ぎる場合は、分離歯312が穀稈の上端部にしか接触できないため、穀稈に穀粒が残ってしまうことがある。
【0048】
一方、図5(c)で示すように、分離部31の高さが低過ぎる場合は、穀稈の根元側から分離歯312と接触してしまう。この場合、分離歯312と接触する茎の長さが長くなるため、分離歯312と茎との摩擦力の合計が大きくなってしまい、より多くの駆動力を分離部本体311に供給しなければならない。また、取入部30が取り入れる茎及び葉等が多くなってしまうため、脱穀装置14の負担が大きくなる。
【0049】
そして、制御部40は、超音波センサ17が検出した穀稈の高さに対して分離部31の高さが図5(b)で示す高さになるように、収穫部昇降シリンダ18を制御している。
【0050】
次に、図6を参照して前方ガイド部321の高さの変化が収穫作業に与える影響について説明する。図6(a)は、前方ガイド部321の高さが高過ぎる場合の収穫作業を示す側面断面図であり、図6(b)は、前方ガイド部321の高さが適切である場合の収穫作業を示す側面断面図であり、図6(c)は、前方ガイド部321の高さが低過ぎる場合の収穫作業を示す側面断面図である。なお、ここでは、前方ガイド部321の高さの影響を説明するため、図6(a)から図6(c)までの分離部31の高さを一定にしている。
【0051】
図6(a)で示すように、前方ガイド部321の高さが高過ぎる場合は、分離された穀粒のうち前方ガイド部321よりも下方に飛ぶ穀粒の割合が多くなってしまう。従って、分離したにもかかわらず取り入れられない穀粒が発生してしまう(飛散損失)。
【0052】
一方、図6(c)で示すように、前方ガイド部321の高さが低過ぎる場合は、穀稈を大きく押し下げるため、分離歯312と穀稈との接触箇所が、通常よりも下方になってしまう。この場合、分離した穀粒が前方ガイド部321よりも下方に飛んでしまうため、前記飛散損失が大きくなってしまう。更に、取入部30の内部に穀稈の先端が十分に取り込まれないため、穀稈に穀粒が残ってしまうことがある。
【0053】
そして、制御部40は、角度センサ33が検出した穀稈の高さに対して前方ガイド部321の高さが図6(b)で示す高さになるように、ガイド部昇降シリンダ34を制御している。
【0054】
また、本実施形態では、前記角度検出部332として例えばポテンショメータが用いられている。従って、本実施形態の角度センサ33は、従来技術のような2値ではなく、連続的な値を得ることができる。従って、現在の前方ガイド部321の位置と、目的とする前方ガイド部321の位置との差を取得することができるので、例えばフィードバック制御等を行うことで、オーバーシュートを抑制しつつ、目標とする前方ガイド部321の高さに素早く近づけることが可能となる。
【0055】
次に、本実施形態のコンバイン1を用いて手扱ぎを行う方法について、図7を参照して説明する。図7は、手扱ぎ孔324を構成するときの取入部30の側面断面図である。前方ガイド部321の後端部のうち、コンバイン1の左右方向における一部は、図7に示すように前方に回動させることができる。この回動により、取入部30の上側に手扱ぎ孔(差入孔)324を構成させることができる。
【0056】
作業者は、運転部16等を操作することにより、コンバイン1を走行させずに搬送部20及び脱穀装置14等を動作させることができる。この状態で、手扱ぎ孔324に穀稈を差し入れることで、穀稈の取入れ、脱穀等を行うことができる。また、前方ガイド部321の後端部は、回動させて手扱ぎ孔324を構成させた後には、穀稈等を載置させるための台として機能している。
【0057】
なお、この手扱ぎ孔324を構成する方法は上記の方法に限られず、例えば前方ガイド部321を下方に回動させて、前方ガイド部321と後方ガイド部322とに隙間ができるような構成とし、当該隙間を手扱ぎ孔324として利用する方法も考えられる。
【0058】
以上に説明したように、本実施形態のコンバイン1は、本体10と、取入部30と、収穫部昇降シリンダ18と、を備える。取入部30は、立毛状態の作物から必要部分を分離して取り入れる。収穫部昇降シリンダ18は、取入部30を本体10に対して昇降させる。本体10は、作物の上端部を検出する超音波センサ17を備える。そして、収穫部昇降シリンダ18は、超音波センサ17の検出結果に基づいて、取入部30を昇降させる。
【0059】
これにより、取入部30を作物の高さに応じた適切な位置に保ちながら、当該取入部30による分離及び取入れを行うことができる。また、作物の必要部分(穀粒等)の位置は、地面からの長さよりも当該作物の上端部からの長さから判断する方が正確であるため、分離等を行うときの取入部30をより適切な位置に保つことができる。更に、自動で取入部30を昇降させることができるため、オペレータの手間を軽減することができる。また、超音波センサ17を本体側に取り付けているため、進行方向前方の作物の上端部を(やや先読み的に)検知し、コンバイン1の進行にあわせて取入部30を上下させることができる。この結果、作物を検出するセンサを取入部30に取り付けてフィードバック制御を行う場合よりも、取入れ部の適切な高さを確実に実現することができる。
【0060】
また、本実施形態のコンバイン1において、取入部30は、分離部31と、角度センサ33と、ガイド部32と、を備える。分離部31は、作物から必要部分を分離する。角度センサ33は、立毛状態の作物の上端部と接触することにより、当該作物の高さを検出する。ガイド部32は、立毛状態の作物を分離部31に案内し、角度センサ33の検出結果に基づいて少なくとも一部(前方ガイド部321)の位置が変更される。
【0061】
これにより、角度センサ33の出力に基づいて前方ガイド部321の位置を適切に保つことで、分離が行われるときの作物の姿勢を常に安定させることができる。そのため、分離の失敗や、作物の必要部分の飛散損失等を少なくすることができる。
【0062】
また、本実施形態のコンバイン1において、角度センサ33は、回動アーム331と、角度検出部332と、を備える。回動アーム331は、立毛状態の作物と接触することで回転する。角度検出部332は、この回転体の角度を検出可能である。
【0063】
これにより、角度センサ33の出力値として連続的な値を得ることができるので、回転量に応じて出力をON/OFFするような2値のセンサと比較して、ガイド部32の位置をキメ細かく制御することができる。
【0064】
また、本実施形態のコンバイン1において、取入部30は、当該取入部30の内部へ作物を差し入れるための手扱ぎ孔324を構成可能である。差し入れられた作物は、必要部分が分離されて取り入れられる。
【0065】
これにより、手刈りした作物等の分離及び取入れを容易に行うことができる。
【0066】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0067】
上記実施形態では、油圧で駆動する収穫部昇降シリンダ18及びガイド部昇降シリンダ34を用いているが、例えば電動モータ等の適宜のアクチュエータを用いることができる。
【0068】
上記実施形態では、取入部30又は前方ガイド部321を回動させることで当該取入部30の高さを変更したり、前方ガイド部321の位置を変更したりする構成であるが、回動させることに代えて、例えば平行移動させることで高さの変更等を行う構成にしても良い。
【0069】
本実施形態のコンバイン1の構成は、稲や小麦等だけでなく、葉、花、及び実等を収穫する収穫機に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 コンバイン(収穫機)
10 本体
17 超音波センサ(非接触センサ)
18 収穫部昇降シリンダ
30 取入部
31 分離部
32 ガイド部
321 前方ガイド部
33 角度センサ(接触センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
立毛状態の作物から必要部分を分離して取り入れる取入部と、
前記取入部を前記本体に対して昇降させる昇降装置と、
を備え、
前記本体は、作物の上端部を検出する非接触センサを備え、
前記昇降装置は、前記非接触センサの検出結果に基づいて、前記取入部を昇降させることを特徴とする収穫機。
【請求項2】
請求項1に記載の収穫機であって、
前記取入部は、
作物から必要部分を分離する分離部と、
立毛状態の作物の上端部と接触することにより、当該作物の高さを検出する接触センサと、
立毛状態の作物を前記分離部に案内し、前記接触センサの検出結果に基づいて少なくとも一部の位置が変更されるガイド部と、
を備えることを特徴とする収穫機。
【請求項3】
請求項2に記載の収穫機であって、
前記接触センサは、
立毛状態の作物と接触することで回転する回転体と、
前記回転体の角度を検出可能な角度検出部と、
を備えることを特徴とする収穫機。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の収穫機であって、
前記取入部は、当該取入部の内部へ作物を差し入れるための差入孔を構成可能であり、
差し入れられた作物は、必要部分が分離されて取り入れられることを特徴とする収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−82(P2012−82A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140701(P2010−140701)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】