説明

取付け方法およびその方法を用いて製造された装置

取付け方法と、そのような方法を用いて製造される装置が開示される。ある実施例においては、この方法は、基板にキャップされたナノ材料を配置する工程と、配置後のキャップされたナノ材料上に電子部品を配置する工程と、配置後のキャップされたナノ材料および配置されたダイを乾燥させる工程と、乾燥後の配置された電子部品および乾燥後のキャップされたナノ材料を300℃以下の温度で焼結して、電子部品を基板に取付ける工程とを備える。この方法を用いて製造される方法もまた記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2007年7月19日付けの米国仮出願60/950,797および2008年7月17日付けの米国特許出願12/175,375に基づく優先権の利益を主張し、それぞれの全体の開示が、この出願においてすべての目的のために組み込まれる。
【0002】
技術分野
以下に開示するある実施形態は、概して、電子部品を基板に取付けるための方法に関している。より詳細には、ある実施例は300℃以下の温度を用いたダイの取付け方法およびそのような方法を用いて作られた装置に向けられる。
【背景技術】
【0003】
背景
ダイを基板に取付けるに際しては、ダイと基板との間にジョイントまたは電気カップリングが用いられる。ジョイントを作るときには、300℃を越える高い温度を用いてもよい。そのような高い温度は、傷つきやすいダイに損傷を与えて、装置の性能を劣化させ、あるいは寿命を限られたものにする可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
以下に述べる特徴、局面および実施例は、200℃以上の温度で機能および/または作動するジョイントに向けられる。典型的には錫合金である従来のはんだは、錫が低融点金属であるために、この温度では即座に破損する。ここで説明するジョイントの実施形態は、900℃で融解する銀を含むことにより、そのような高い温度において作動することができる。ある局面においては、ジョイントをもたらすために、300℃よりも低い温度で、ある量のキャッピング剤とともに銀ナノ粉末を焼結する工程を用いてもよい。以下においてさらに論ずるように、選択された量のキャッピングは高密度の銀ジョイントをもたらし、圧力焼結の間にシリコンダイに亀裂が入ることを防止することができる。
【0005】
第1の局面において、基板に電子部品を取付ける方法が開示される。ある実施例においては、この方法は、基板にキャップされたナノ材料を配置する工程と、配置後のキャップされたナノ材料上に電子部品を配置する工程と、配置後のキャップされたナノ材料および配置された電子部品を乾燥させる工程と、乾燥後の配置された電子部品および乾燥後のキャップされたナノ材料を300℃以下の温度で焼結して、電子部品を基板に取付ける工程とを備える。いくつかの実施例では、電子部品はダイであってもよい。
【0006】
ある実施形態においては、キャップされたナノ材料はキャッピング剤でキャップされた銀粒子を含んでもよく、そのキャッピング剤は、キャップされた銀粒子の重さに基づいて、約0.2重量パーセントから約15重量パーセント、特に、約1.5〜2.5重量パーセント含まれる。ある実施形態では、この方法はさらに、キャップされた銀粒子の基板上への配置の前に、キャップされた銀粒子を溶剤内に分散させる工程を含んでもよい。他の実施形態においては、この方法はさらに、焼結工程の間に、キャップされた銀粒子からキャッピング剤を取り除く工程を含んでもよい。ある実施例では、キャップされた金属粒子を含んでもよく、そのキャップされた金属粒子の金属は、金、銀、銅、ニッケル、プラチナ、パラジウム、鉄、およびこれらの合金からなる群より選ばれる。ある実施例では、乾燥および焼結工程は、両者とも300℃以下で行なわれる。ある実施形態では、焼結工程は、窒素雰囲気中で行なってもよい。ある実施例では、窒素雰囲気は大気圧とほぼ等しい圧力をもたらす。他の実施例では、圧力は大気圧を越えてもよく、たとえば、約0.2〜20MPaまたは約5MPaであってもよい。他の実施例では、乾燥工程は、大気圧よりも低い圧力で行なわれてもよい。
【0007】
他の局面においては、基板と、この基板上に配置された電子部品と、その電子部品と基板との間の電気的ジョイントを備える装置を提供し、この装置において、電気的ジョイントは、基板と電子部品との間の電気的ジョイントを提供するために、300℃以下で焼結されたナノ材料を含む。ある実施例では、電子部品はダイであってもよい。
【0008】
ある実施形態においては、基板はプリント基板でもよく、ナノ材料はキャップされた銀粒子を含む。いくつかの実施形態では、キャップされた銀粒子の重さに基づいて、ジョイントの形成前に、キャップされた銀粒子は約1重量パーセントから約15重量パーセントのキャッピング剤を含む。他の実施例では、ナノ材料は金属粒子を含んでもよく、その金属粒子の金属は、金、銀、銅、ニッケル、プラチナ、パラジウム、鉄、およびこれらの合金からなる群より選ばれる。いくつかの実施例では、電気的ジョイントは、ダイと基板との間で実質的に均一な厚さを有してもよい。ある実施例では、電気的ジョイントは、実質的にボイドフリーであってもよい。
【0009】
さらなる局面においては、電気的ジョイントを作り出すためのキットを開示し、このキットは、ナノ材料の重量に基づいて、約1重量パーセントから約15重量パーセントのキャッピング剤を含むキャップされた金属粒子を含むナノ材料、および、基板と、その基板の上に配置された電子部品との電気的ジョイントを提供するためにそのナノ材料を使うための使用説明書を備える。
【0010】
ある実施形態においては、キットはさらに、たとえば、ナノ材料とともに用いるためのダイのような電子部品を備えてもよい。他の実施形態においては、ダイおよびナノ材料とともに用いるための基板を備えてもよい。いくつかの実施形態においては、基板はプリント回路板であってもよい。
【0011】
他の局面においては、電子部品と基板とを電気的に連結することを容易にする方法が提供され、この方法は、300℃以下の温度でナノ材料を焼結した後に、電子部品と基板との間の電気的接合を行なうために効果的なナノ材料を提供する工程を含む。ある実施例では、電子部品はダイであってもよい。
【0012】
ある実施形態では、ナノ材料は、大気圧よりも低い圧力で焼結した後に、電子部品と基板との電気的接合を行なうのに効果的かもしれない。いくつかの実施形態では、ナノ材料はキャップされた銀粒子を含み、このキャップされた銀粒子は、その重量をベースとして、約1重量パーセントから約15重量パーセントのキャッピング剤を有する。いくつかの実施例においては、ナノ材料は金属粒子を含み、この金属粒子の金属は、金、銀、銅、ニッケル、プラチナ、パラジウム、およびそれらの合金からなる群から選ばれる。他の実施例では、金属粒子は、チオールおよびアミンからなる群より選ばれたキャッピング剤によりキャップされてもよい。
【0013】
追加の局面、実施形態、実施例、および特徴は、以下にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
ある実例となる実施形態、特徴および局面は、添付図面を参照して、以下にさらに詳細に説明される。
【図1】図1A−1Dは、ある実施例にしたがった、電子部品と基板との間の電気的ジョイントを作るための方法の概要を示す図である。
【図2】図2A−2Dは、ある実施例にしたがった、電子部品と基板との間の電気的ジョイントを作るための他の方法の概要を示す図である。
【図3】ある実施例にしたがった、銅製ヒートシンクに取り付けられたX線ダイを示す図である。
【図4】ある実施例にしたがった、ナノ銀ジョイントの横断面を示すSEM画像である。
【0015】
図中のある部品の寸法は、説明される技術をよりよく理解し易くするために、意図的に、図中の他の部品の寸法に対して相対的に、ゆがめられたり、拡大されたり、縮められたりしている。たとえば、ジョイントの厚さ、電子部品の寸法、および/または基板の寸法は、よりユーザーフレンドリーな説明を提供するために、実物の寸法比率から変えて示している。図に示された部品の実例となる寸法および厚さは、以下においてより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
ここで述べられるある実施形態は、ダイを含むがそれに限定されない電子部品を、プレプレッグ、プリント回路基板または電子デバイスの製造に一般に用いられるその他の基板を含むがそれらに限定されない、選択された基板(またはその領域)に取付けるために使用される材料および装置に向けられる。
【0017】
典型的なダイ取付け工程においては、シリコンダイが基板に取付けられ、保護のために被覆包囲され封止される前に、電気的に接続される。装置の損傷を避けるため、取付け温度は一般的には300℃未満である。電子パッケージに今日広く用いられているダイ取付け材料には、半田合金およびポリマーマトリックス複合材料の2つのタイプがある。これらの材料はいずれも低い加工温度を有するが、比較的低い熱および電気伝導性を有する。これらの材料に取付けられるダイは、125℃未満の動作温度で確実に目的を果たす。より高い動作温度のために、ダイは通常、高温半田(すなわちAuSn)または銀ガラスを含有する複合材を用いて取付けられる。これらの材料は、高い加工温度を要し、そのために、装置に高い機械応力を生じさせ、また、それらの材料は、比較的低い熱および電気伝導性を有する。
【0018】
銀は、高い電気および熱伝導性を有し、パワー半導体をパケージングするための半田合金および複合材料と置き換わることのできる魅力的なダイ取付け材料である。半田の動作温度はその融点によって限られるが、焼結された銀ジョイントは、焼結温度よりも高い温度で使用することができ、そのために、高温で作動する高性能な装置の提供を可能にする。ミクロンサイズおよびナノサイズの両方の銀パウダーを、ダイ取付けのために印刷可能なペーストを作り出すために使用された。銀ペーストによって組立てられた装置は、パワーエレクトロニクスへの適用において高い信頼性を示した。Agペーストステンシル印刷からなる一般的な取付け工程は、温度300℃、圧力約30〜40MPaでの焼結が後に続く。加えられる圧力は、そのような低温での銀パウダーの焼結を確実に行なうため、また、Agと基板との連結の良好な接合を提供するために必要である。そのような高い圧力を加えることは、取付け工程を複雑にし、また、シリコンデバイスに損傷を与える。
【0019】
ここで示されるある特徴、局面および実施例は、ナノ銀ペーストのような特別に作られたナノ材料を利用し、300℃以下の温度および/またはゼロか大気圧より低い圧力で、基板にたとえばシリコンダイのような電子部品の取付けを可能にする取付け工程に向けられる。これらの材料は、以下のある例において「ナノ材料」と称する。実例となるナノ材料は、2006年8月3日に出願された本願と同一出願人による米国特許出願第11/462,089号に開示されており、その開示全体は、この出願においてすべての目的のために言及することにより組み入れられる。ここで説明される装置および方法において用いるために適したナノ材料は、選択された量のキャッピング剤でキャップされた、1つ以上のタイプの金属粒子を含んでもよい。
【0020】
ある実施例においては、取付け工程で用いるための粒子を製造するための単一相溶液の使用は、ポリオール法において粒子を製造するために一般に用いられる相間移動試薬の省略を可能にする(ある実施形態においてはなおも相間移動試薬が使用されてもよいが)。単一相において反応が行なわれることにより、粒子の製造し易さが増し、粒子を製造するコストが減少する。さらに、単一相反応を用いることにより、粒子の大規模な工業的合成が達成されるかもしれない。このような粒子およびそれらの製造方法の更なる利点は、この開示を利用すれば当業者によって容易に選択されるであろう。
【0021】
ある実施例によれば、取付け工程に使用する粒子を提供するために用いられる金属は、錯体を形成しなくてもよく、また、1つ以上のリガンドと錯体を形成してもよい。たとえば、その金属は、EDTA,エチレンジアミン,蓚酸塩,2,2′−ビピリジン,シクロペンタジエン,ジエチレントリアミン,2,4,6,−トリメチルフェニル,1,10−フェナントロリン,トリエチレンテトラアミンまたは他のリガンドと錯体を形成してもよい。ある実施例においては、金属または金属塩を、溶剤、または、澄んではいるが必ずしも無色ではない溶液を提供するための溶媒系に溶解させてもよい。たとえば、金属または金属塩が溶剤に溶けていくときに溶液全体が澄んでいるように、適切な量の金属または金属塩を溶剤に加えてもよい。溶液全体が着色されてもよく、または無色であってもよい。適切な溶剤は、エチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、および、約1から約10の炭素原子を有する脂肪族アルコールが含まれるが、これらに限られるものではない。適切な溶剤としてさらに、ベンゼン、トルエン、ブチレン、ポリイソブチレン、エクソン(Exxon)から購入可能なイソパー(Isopar、登録商標)および2−6炭素原子を含む脂肪族側鎖を有する芳香族化合物を含むが、これらに限られない。適切な溶媒系は、ここで述べる例示的溶剤、および、例示的な溶剤に対して溶解性、混和性、または一部混和性を有する他の流体を含む。ある実施例では、溶剤の組み合わせが単一相を提供する。溶剤の混合に用いるときに単一相を達成するために、各溶剤の量を、溶剤を混合する際に単一相になるように調節してもよい。混合の際に1相以上存在する場合には、1つ以上の溶剤の相対的な量を変更することができ、たとえば、単一相が観察されるまで増加または減少させることができる。
【0022】
ある実施例によれば、金属粒子はキャッピング剤と混合させてもよい。キャッピング剤は、粒子を分離し、その成長の大きさを制限するのに効果的であってもよい。ある実施例では、キャッピング剤は、高分子量のキャッピング剤であってもよく、たとえば、約100g/mol以上の分子量を有する。例示的なキャッピング剤は、12以上の炭素原子を有する有機アミンを含むが、それに限られない。ある実施例では、有機アミンは少なくとも16の炭素原子を有し、そのような有機アミンとしてたとえば、ヘキサデシルアミンアミンが挙げられる。アミンの有機質部分は、飽和されていても、飽和されていなくてもよく、また、チオール、カルボン酸、ポリマー、およびアミドなどのような他の機能物質を選択的に含んでもよい。ここで開示された、材料の金属とともに用いる例示的なキャッピング剤の他のグループは、12以上の炭素原子を有するチオールである。ある実施例では、チオールは6以上の炭素原子を有する。チオールの有機質部分は、飽和されていても、飽和されていなくてもよく、また、ピロールなどのような他の機能物質を選択的に含んでもよい。使用に適した他のグループのキャッピング剤として、たとえばトリアゾロピリジン、テルピリジンなどのような、ピリジン基を有するキャッピング剤がある。適切なキャッピング剤はさらに、当業者であれば、この開示を利用すれば容易に選択されるであろう。
【0023】
取付け工程で用いるための材料を提供するためにキャッピング剤が金属粒子とともに用いられるある実施例においては、キャッピング剤は、金属溶液に加えられる前に溶剤内に溶解されてもよい。たとえば、キャッピング剤が溶剤内に溶解されてもよく、またその溶液が金属溶液と混合されてもよい。他の実施例においては、溶剤に事前に溶解させることなく、キャッピング剤を固体または液体の状態で金属溶液に直接加えられてもよい。キャッピング材料は、たとえば、段階的に加えてもよく、また、単一のステップで加えてもよい。ある実施例では、金属溶液に加えられるキャッピング剤の正確な量を、結果として生じるキャップされた粒子に求められる特性に応じて変化させてもよい。ある実施例においては、適切な量のキャッピング剤がキャップされた粒子の重量による望ましい量のキャッピング剤を提供するために加えられる。取付け工程に有用な材料のためのそのような望ましい重量のキャッピング剤について、以下により詳細に論ずる。この開示を利用すれば、結果として生成される材料の望ましい特性にしたがって、より多くのまたはより少ないキャッピング剤を用いることが望ましいかもしれないことを、当業者によって認識されるであろう。たとえば、プリント配線板などのような基板上に配置される粒子の導電性を高めるために、導電性(または他の物理特性)が最適化されるかあるいは望ましい範囲になるまで、キャッピング剤の量を調節することが望ましいかもしれない。この開示を利用すれば、キャッピング剤の適切な量を選択することは、当業者の能力の範囲内であろう。
【0024】
ある実施例では、キャッピング剤(またはキャッピング剤溶液)および金属塩溶液が混合されるとき、単一相が生じるか維持される。代替的な実施形態では、金属塩溶液は、キャッピング剤またはキャッピング剤溶液が加えられる前に単一相であることができ、キャッピング剤またはキャッピング剤溶液が加えられるときに単一相が維持される。単一相を提供するために金属溶液およびキャッピング剤が混合されるさらなる実施形態は、この開示を利用して当業者により容易に選択されるであろう。ある実施例では、キャッピング剤および金属溶液は、かき混ぜ、超音波処理、攪拌、振動、揺り動かしなどの従来の技術を用いて混合させてもよい。いくつかの実施例においては、金属溶液がかき混ぜられている間にキャッピング剤が金属溶液に加えられてもよい。ある実施例では、キャッピング剤と金属溶液との混合は、澄んだ、および/または無色の単一相が生じるまでかき混ぜて行なってもよい。
【0025】
ある実施例によれば、基板への堆積の前または後に、金属キャッピング剤に還元剤を加えてもよい。適切な還元剤は、溶液に溶解した金属イオンを金属粒子に変えることができる薬剤を含み、その金属粒子は、選ばれた条件の下で溶液中で沈殿するであろう。例示的な還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、ナトリウムジエチルジヒドリドアルミン酸(sodium diethyldihydridoaluminate)、ナトリウムトリまたはtert-butoxoヒドリドアルミン酸(tri- or tert-butoxohydridoaluminate)、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)ジヒドリドアルミン酸、水素化リチウム、水素化カルシウム、水素化チタン、水素化ジルコニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)、ジメチルスルフィドボラン、鉄イオン、ホルムアルデヒド、蟻酸、ヒドラジン、水素ガス、イソプロパノール、フェニルシラン、ポリメチル水素シロキサン、フェリシアンカリウム、シラン、ナトリウムハイドロサルファイト、ナトリウムアマルガム、ナトリウム(固体)、カリウム(固体)、亜ジチオン酸ナトリウム、スズイオン、亜硫酸塩化合物、水素化スズ、トリフェニルホスフィン、亜鉛水銀アマルガムを含むが、これらに限られない。金属キャッピング剤溶液に加えられる還元剤の正確な量は変わってもよいが、典型的には、ほぼすべての溶解された金属が、たとえばAg+1がAg0に、あるいはCu+2がCu0に変えられるとうに、荷電状態から非荷電状態に変えられるように、過剰に加えられる。いくつかの実施例では、還元剤は、金属キャッピング剤溶液に加えられる前に溶剤中に溶解されてもよく、また、他の実施例では、事前の溶解なしに金属キャッピング剤溶液に加えられてもよい。溶剤が還元剤を溶解するために用いられるとき、その溶剤は、好ましくは、還元剤によって改変または変化されないように、非反応性である。還元剤ととのみ用いられる例示的な溶剤は、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ヂメチルホルムアミド(DMF)、エタノール、トルエン、ヘプタン、オクタン、および、たとえば6以上の炭素原子を有する、線状、環状、または芳香族の溶剤のような、6以上の炭素原子を有する溶剤を含むが、これらに限られない。この開示を利用すれば、当業者により、還元剤を溶解するために適した溶剤を選択することができるであろう。
【0026】
ある実施例によれば、還元剤およびキャッピング剤金属溶液は、還元剤が金属と反応できるように、十分な時間混合あるいはかき混ぜを行なってもよい。ある実施例では、かき混ぜは、室温で行なってもよいが、他の実施例では、かき混ぜあるいは混合は、還元工程を早めるために、たとえば約30℃から約70℃までの高い温度で行なわれる。高い温度を用いる場合、溶剤の蒸発の可能性を減らすために、溶剤または溶媒系の沸点よりも低い温度に保つことが望ましいかもしれない。ある実施例では、溶剤全体の体積を減少させることが望ましいかもしれないが。
【0027】
ある実施例によれば、金属粒子は基板に堆積させる前に単一相溶液から分離してもよい。分離は、たとえば、上澄み液を別の容器に静かに移したり(decant)、遠心分離、濾過、ふるい分け、あるいはキャップされた金属粒子が溶解しない、たとえば抽出剤(extraction)のような他の液体を加えることなどにより生じるかもしれない。たとえば、メタノール、アセトン、水、または極性液体などのような液体を、金属塩、キャッピング剤、および還元剤を有機溶剤あるいは有機溶媒系に加えることによって得られる有機溶液に加えてもよい。ある実施例では、キャップされた金属粒子を除去するために、多数の異なる抽出剤液の添加物を溶液に加えてもよい。たとえば、抽出剤液の第1の量を、金属粒子のいくらかを取り除くために加えられてもよい。この第1の量の抽出剤液は、その後に、取り除かれ、静かに注がれ、あるいは有機溶液から分離されてもよく、追加の量の抽出剤液を有機溶液に加えられてもよい。金属粒子を分離するために用いられる適切な量の抽出剤液は、キャップされた金属粒子を製造するために用いられる溶剤の堆積によって変えてもよい。いくつかの実施例では、約2〜4倍あるいはそれ以上の溶剤が、キャップされた金属粒子を抽出するために用いられる。たとえば、金属粒子が焼く5リットルの溶剤中で製造されるならば、約20リットル以上の抽出剤液が用いられてもよい。この開示を利用すれば、適切な溶剤および適切な溶剤の量を選択することは、当業者の能力の範囲内であろう。
【0028】
ある実施例によれば、キャップされた粒子は、上澄みを別の容器に静かに移すこと(decanting)や、遠心分離、濾過などのような従来の技術を用いて、抽出剤液から分離されてもよい。いくつかの実施例では、抽出剤液を蒸発させてキャップされた粒子を残すようにしてもよい。キャップされた粒子は、抽出剤液からの分離の間またはその後に、洗浄され、大きさで分類され、過熱され、あるいはその他の処理が施されてもよい。ある実施形態では、ここでより詳細に論ずるように、抽出剤液は、インクを提供する分散媒のように、1種類以上の溶剤とともに選択的に用いられてもよい。他の実施例では、キャップされた金属粒子は単一相溶液中に残してもよく、また、粒子は、たとえば基板上の金型(mold)、流し型(form)、または鋳型(pattern)に入れて、シリコン基板(または他の適切な基板)の上に配置してもよい。焼結工程における高温は、溶剤の蒸発と金属粒子の焼結を生じさせ、それにより、導電体の基板への接着性を向上するための金属結合を提供することができる。
【0029】
ある実施例によれば、キャップされた粒子は残りの液体をすべて取り除くために乾燥させてもよい。たとえば、キャップされた粒子はオーブン内で、あるいは真空中で乾燥させてもよく、他の残りの抽出剤液および/または溶剤をすべて取り除くために、凍結乾燥を施してもよい。湿気侵入を防止するために、乾燥されたキャップされた粒子は、封止された容器内に選択的に、室温で貯蔵されてもよい。代替的な実施形態では、別に行なわれる乾燥ステップを省略してもよく、粒子は、焼結工程において乾燥されてもよい。
【0030】
ある実施例によれば、キャップされた粒子は、使用前にキャッピング剤を取り除くための処理を行なってもよい。キャッピング剤は、通常は反応後に粒子の表面に残存するが、キャッピング剤の存在は好ましくないかもしれない。たとえば、有機汚染を最低レベルにすることが可能な粒子を用いることが望ましい場合には、キャップされた粒子からキャッピング剤を取り除くことが好都合であろう。ある実施形態では、キャップされた粒子は、キャッピング剤が約2重量%未満まで、より詳細には約1重量%未満までキャッピング剤のレベルが減少するまで、処理されてもよい。キャッピング剤は、たとえば約1.5〜2.5重量%存在する。いくつかの実施例では、キャッピング剤は、たとえば、基板に堆積されるかもしれない、実質的に純粋な銀などの実質的に純粋な金属を提供するために取り除かれてもよい。
【0031】
ある実施形態においては、ナノインクを提供するために用いられる的確な金属は変わってもよく、たとえば、金、銀、銅、ニッケル、プラチナ、パラジウム、鉄、およびこれらの合金を含む導電性金属または導電性金属塩を含むがこれらに限られない遷移金属または遷移金属塩が挙げられる。金属または金属塩の的確な形態は、選択された溶媒系に応じて変えられてもよい。溶剤の蒸発を引き起こす可能性のある過度の加熱を行なうことなく、金属塩を選択された溶媒系に溶解させることが望ましい。金属塩の例示的な陰イオンは、硝酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、チオシアン酸塩、塩素酸塩、亜硝酸塩、および酢酸塩を含む。基板に電子部品を取付けるために適したナノインクの製造に用いるための他の適切な金属塩は、この開示を利用すれば、当業者によって容易に選択されるであろう。
【0032】
ここで用いられるキャップされた材料のある実施形態は、材料の加工が不完全に最終生成物または電子部品と基板との間の電気的ジョイントを生じないように、意図された量のキャッピング剤を含む。たとえば、キャッピング剤の量は、低ボイド、高導電性を有し、途切れが少ししか生じないか全く生じないジョイントまたは結合を提供するように選択されてもよい。ここで開示されるある実施形態は、たとえば200〜300℃の温度で焼結する間、固体表面を湿らせ固体表面に付着する、選択された量のキャッピング剤を有するキャップされた材料の好都合な特徴を用いる。
【0033】
取付け工程においてキャップされた材料が用いられるある実施例では、材料中のキャッピング剤の重量パーセントは、キャッピング剤の種類および/または望ましいジョイントにより、変わるかもしれない。たとえば、キャッピング剤を少ししか含まないか全く含まない材料は、シリコンのような基板材料に効果的に付着しないかもしれない。かなりの外圧を加えて、極めて低い比率のキャッピング剤を有するキャップされた材料から形成された構造を焼結することは、困難かもしれない。キャッピング剤が多すぎてもまた、結果として生じるジョイントに望ましくない影響を与える。たとえば、キャッピング剤の量が多すぎると、焼結中における有機物質の速い解離により、焼結後の構造が多孔質となって機械的に粗悪になるかもしれない。ヘキサデシルアミン(HDA)が用いられる実施例では、結果として生じる材料のキャッピング剤の比率は約10〜14重量%であるかもしれない。他のキャッピング剤が用いられる場合、キャッピング剤の重量パーセントは、例示的には、ピリジン塩基のキャッピング剤では約1〜10重量%、チオール系キャッピング剤では約1〜15重量%の範囲で変化するかもしれない。
【0034】
ある実施形態では、ここで説明されるナノ材料は、たとえばダイなどの電子部品と基板との間の電気的ジョイントを提供するために用いられてもよい。最初の例示的な方法が、図1A〜1Dに示される。例示の目的のみのために、図においてダイとして示された電子部品が参照されるが、以下にさらに論ずるように、他の適切な電子部品を用いてもよい。図1A,1Bに示されるように、ナノ材料110が基板100上に配置される。ここで用いられる「配置する(disposing)」という用語は、堆積すること、コーティング、はけ塗り(brushing)、塗装(painting)、ステンシルを用いた刷り付け(stenciling)、またはそれ以外の他の材料または基板に材料を配置することを意味している。ナノ材料を配置するために用いられる的確な方法は変化するかもしれず、例示的な方法は、インクジェット印刷、ステンシルを用いた刷り付け印刷、コーティング、はけ塗り、スピンコーティング、蒸着などを含むが、これらには限られない。いくつかの事例では、基板の表面全体をナノ材料で被覆してもよく、1つ以上のダイを所望の位置に配置してもよく、また、残りの材料を後で基板から取り除くか、エッチングにより除去されてもよい。他の実施例では、ナノ材料をダイが取付けられる位置の選択された領域のみに配置されてもよい。
【0035】
ある実施形態においては、ナノ材料は、約10ミクロンから約200ミクロンの厚さ、中でも特に約25μmから75ミクロンの厚さの基板に配置されてもよい。ナノ材料は、ほぼ均一な厚さに配置されてもよく、あるいは、ある領域が他の領域よりも増加した(または減少した)厚さを有してもよい。たとえば、基板に取付けられる第1の種類の電子部品のために第1の厚さを選択し、その基板に取付けられる別の種類の電子部品のために第2の厚さを選択するようにすることが望ましいかもしれない。
【0036】
いくつかの実施例では、ダイを配置する前に、部品を加工する間に基板表面からいかなる酸化をも取り除くために、半田付け用フラックスまたは他の材料が堆積されてもよい。例示的なフラックスは、同一出願人による「フラックス処方(Flux Formulation)」という名称のPCT出願No.PCT/US2007/81037に記載されたものを含むが、これに限られない。このPCT出願は、言及により全体の開示がこの出願に組み込まれる。しかしながら他の実施例では、ナノ材料自体が、フラックスや他の材料を必要としないように、基板の表面から酸化を取り除く(あるいは酸化が起こるのを防止する)のに適した特性を有する。
【0037】
ここで開示される方法およびキットとともに用いるために適した基板の例示的な寸法は、長さが約0.1cmから約2cm、幅が約0.1cmから約2cm、厚さが約0.01mmから約0.5mmであるが、それらに限られない。ここで開示される工程およびキットにおいて用いられるダイは、典型的には、基板の選択された部分に配置されてもよい半導体材料(または他の導電材料)を含む。ダイは、たとえば、ウエハ搭載、各々が1つ以上の集積回路を含む複数のダイを提供するための半導体ダイ切断を含む適切なウエハ製造工程を用いて製造されるが、これに限られない。ここで開示される材料および装置を用いて取付けられるかもしれない例示的な他の電子部品は、銅ヒートスプレッダー、銀または金ワイヤ、LED,MEMSの電子部品およびその他の電子部品を含むが、それらに限られない。
【0038】
ナノ材料110を配置した後、配置されたナノ材料110の上に電子部品120を配置してもよい(図1C参照)。そのような配置は、手動での配置、自動化されたピックアンドプレース装置、または、たとえばプリント回路基板上の望ましい位置または領域に電子部品をおくことができる他の適切な装置を用いることにより生じる。電子部品120は通常、外的な力や圧力を用いることなく、配置されたナノ材料110上に置かれる。焼結前に、電子部品120はナノ材料110と接触して適切な位置に保持されてもよい。
【0039】
電子部品120を配置した後に、電子部品120と基板110との間の電気的ジョイントを提供するために、ナノ材料110を硬化させるように組立て品全体を焼結してもよい(図1D参照)。焼結工程の間に、ナノ材料110の厚さは通常減少する。焼結は、適切な電気的ジョイントを提供するが電子部品に損傷を与えない温度で行なわれるのが望ましい。たとえば、ここで説明されるナノ材料は、ほぼ均一な厚さを有し、ボイドが少ししか、または全くない電気的ジョイントを提供するために300℃以下の温度での焼結を許容する。300℃以下の温度を用いることにより、電子部品への潜在的損傷の可能性を減少させる。焼結は、組立て体全体に熱を加えることにより、あるいは、特定の電子部品・ナノ材料・基板位置に集中させた熱を加えることにより行なってもよい。いくつかの実施例では、装置全体が、オーブン内に置かれてもよい。焼結に適した他の装置は、銅ヒートスプレッダー、銀または金ワイヤ、LED、MEMSなどを含むが、それらに限られない。いくつかの実施形態においては、焼結は約0.2〜20MPa,中でもたとえば5MPaの圧力で行なわれてもよい。
【0040】
ある実施形態では、組立て体は、選択された期間の選択された温度プロフィールを用い焼結されてもよい。焼結の温度プロフィールは、直線状、段階的、または他の適切な温度プロフィールであってもよい。たとえば、焼結工程の間、第1の焼結温度と第2の焼結温度との間を何回も周期変化させてもよい。焼結の結果、電子組立て体150(図1D)が製造され、この組立て体は、電子部品120、基板110およびそれらの間の電気的ジョイントを含む。電子組立て体は追加の電子部品の基板への配置、過熱、乾燥、さらなる焼結、および、たとえばプリンド回路基板のような電子装置の製造において共通に実施される他の処理工程を含むさらなる処理を行なってもよいが、それらに限られない。
【0041】
ある実施例では、組立て体の製造の間に、1回以上の乾燥工程を実施してもよい。乾燥は、たとえば、焼結工程の前に溶剤および界面活性剤を除去するために用いられてもよい。乾燥は、基板上にダイを配置する前か、または、基板上にダイを配した後に行なわれてもよい。たとえば、図2A〜2Dに示すように、電子組立て体は基板210上にナノ材料220を配置することによって製造してもよい。そのような配置は、ここで開示された例示的方法または他の適切な方法のいずれによっても生じるかもしれない。図示しないが、基板は、番号230で示された電子部品の配置の前に乾燥されてもよい。電子部品230は、ナノ材料220上に配置されてもよい(図2C参照)。電子部品−ナノ材料−基板組み立て体は、適切な温度で適切な装置を用いて任意に乾燥されてもよい(図2D参照)。組立て体240は、焼結された組立て体250を提供するために、その後に焼結温度で焼結される。
【0042】
ある実施例では、乾燥温度は約5℃から約200℃までの範囲、中でも約120℃から約160℃の範囲内で変化してもよく、一般には焼結温度より低い温度である。熱線銃、オーブン、赤外線ランプ、ホットプレート、および、熱を供給可能な他の装置を、部品を乾燥させるために用いることができる。いくつかの実施例では、組立て体は、オーブン内で第1の温度で乾燥させた後に、同じオーブン内で第2の温度で焼結させてもよい。他の実施例では、2回以上の乾燥工程が行なわれてもよい。たとえば、基板上に電子部品を配置する前に基板を乾燥させるような第1の乾燥工程を、第1の温度で行ない、その後に、第1の乾燥工程の温度よりも高いかまたは低い第2の温度で、第2の乾燥工程を行なうようにしてもよい。
【0043】
ある実施形態では、電子組立て体を乾燥および焼結することにより、焼結されたナノ材料のボイドの少なく、あるいはボイドを実質的に含まないようにすることができる。ナノ材料にボイドが形成されることにより、電気的ジョイントの全体的な完全性が損なわれ、その結果性能が劣化する可能性がある。いくつかの実施例では、ボイド形成が生じる可能性をさらに低減するために、大気圧よりも低い圧力を用いてもよい。
【0044】
以下、ここにおいて記載される技術のいくつかの新規な特徴をさらに説明するために、ある具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0045】
キャップされた銀粒子を含むナノ銀ペーストは、米国出願No.11/462,089に記載されているように作られた。端的には、銀ペーストの組成は、0から15重量パーセントのヘキサデシルアミンキャッピング剤を含む80重量パーセントのナノ銀粉末であった。溶剤(ペースト中19.5重量パーセント含む)としてブチルカルビトールが用いられ、界面活性剤BYK163(ペースト中に0.5重量パーセント)もまた含まれる。この組成物は、高速ミキサーであるSpeedMixer DAC 150 FVZ-K内で2500rpmで1分間混合され、その後に、EXAKT社の3本ロールミル(3-roll mill)で粉砕された。その結果できた材料を、200〜300℃での焼結工程中に、固体表面を湿らせ、固体表面に付着させるために用いられた。
【0046】
異なる量のヘキサデシルアミンキャッピング剤を有する銀ナノ粉末を用いて行なわれた実験は、キャッピング剤を含まないかごくわずかしか含まないナノ材料は、シリコンまたは他のいかなる材料にも付着しないことを示した。また、かなりの外圧を加えることなしには、焼結して緻密構造体にすることはできなかった。高いレベルのキャッピング剤(たとえば10重量%以上)と有する銀ナノ粉末を用いた実験によってもまた、予期したよりも望ましくない結果が得られた。高いキャッピング剤のレベルでは、焼結中に生じる有機物質の急速な放出が、焼結された構造体を多孔質または機械的に劣悪にする原因となるかもしれない。
【0047】
経験的観点から、ヘキサデシルアミン(HAD)がキャップされた銀ナノ粉末のための、望ましい特性を付与するキャッピング剤の望ましい量は、キャプされた銀ナノ粉末の重量に基づいて、約1.5〜2.5重量パーセントの範囲であることがわかった。
【実施例2】
【0048】
次の組成、すなわち、(キャップされた銀ナノ粉末の重量に基づいて2重量パーセントのHDAでキャップされた)70重量パーセントナノ銀粉末、15重量パーセントのブチルカルビトール、2重量パーセントのトルエン、0.75重量パーセントの分散剤ディスパービク163(Dysperbyk 163)、0.5重量パーセントの湿潤剤シルクェスト(Sylquest)A1100を有するペーストが作られた。
【0049】
キュラミックエレクトロニクス社(Curamic Electronics)の、アルミナを銅を直接接合した(DBC)25mm×25mmの基板上にステンシルを用いて印刷された。シテンシルの厚さは150ミクロン、開口は20×20mmであった。スパッタされたニッケル/金メタライズ層を有する15×15mmのシリコンダイが、銀印刷層の表面に配置された。この組立て体は、次の条件で処理された。すなわち、50℃で5分間乾燥し、その後140℃30分間乾燥し、最後の焼結を、300℃で2分間、5MPaの圧力で行なわれた。
【0050】
形成されたジョイントは、ボイドが生じていないかX線(銅製ヒートシンクに取り付けられたダイのX線について、図3参照)およびSEMによる横断面の観察(ナノ銀ジョイントの横断面を示す図4参照)によって検査された。ボイドの発生は観察されなかった。
【0051】
銀ジョイントの信頼性は、−50℃および+125℃の間の温度での熱衝撃試験において詳細に調べられた。ナノ銀ペーストとともに形成されたジョイントは700サイクル以上の熱衝撃試験に無事合格した。
【実施例3】
【0052】
キャップされた金粒子を含むナノ金ペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約2重量%のキャッピング剤でキャップされた金粒子を含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ金ペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。
【実施例4】
【0053】
キャップされたプラチナ粒子を含むナノプラチナペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされたプラチナ粒子を含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノプラチナペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。
【実施例5】
【0054】
キャップされたパラジウム粒子を含むナノパラジウムペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされたパラジウム粒子を含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノパラジウムペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。
【実施例6】
【0055】
キャップされた銅粒子を含むナノ銅ペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされたプラチナ粒子を含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ銅ペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。取付け工程において、1つ以上の焼結および/または乾燥工程が、窒素雰囲気中で行なわれてもよい。
【実施例7】
【0056】
銀粒子および銅粒子を含むナノ銀−ナノ銅ペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銀粒子または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銅粒子、またはこれらの両者を含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ銀−ナノ銅ペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。ナノ銀−ナノ銅粒子はそれぞれ、1:1,2:1,1:2の比率、あるいは、これらの比率の間のいかなる比率で含まれていてもよい。取付け工程において、1つ以上の焼結および/または乾燥工程が、窒素雰囲気中で行なわれてもよい。
【実施例8】
【0057】
銀粒子および金粒子を含むナノ銀−ナノ金ペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銀粒子または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた金粒子、またはこれらの両者を含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ銀−ナノ金ペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。ナノ銀−ナノ金粒子はそれぞれ、1:1,2:1,1:2の比率、あるいは、これらの比率の間のいかなる比率で含まれていてもよい。
【実施例9】
【0058】
銀粒子およびプラチナ粒子を含むナノ銀−ナノプラチナペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銀粒子または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた金粒子、またはこれらの両者を含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ銀−ナノ金ペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。ナノ銀−ナノプラチナ粒子はそれぞれ、1:1,2:1,1:2の比率、あるいは、これらの比率の間のいかなる比率で含まれていてもよい。
【実施例10】
【0059】
銀粒子およびパラジウム粒子を含むナノ銀−ナノパラジウムペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銀粒子または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされたパラジウム粒子、またはこれらの両者を含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ銀−ナノ金ペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。ナノ銀−ナノパラジウム粒子はそれぞれ、1:1,2:1,1:2の比率、あるいは、これらの比率の間のいかなる比率で含まれていてもよい。
【実施例11】
【0060】
銀粒子、銅粒子、およびパラジウム粒子を含むナノ銀−ナノ銅−ナノパラジウムペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銀粒子、または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銅粒子、または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされたパラジウム粒子、またはこれらの三者のすべてを含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ銀−ナノ銅−ナノパラジウムペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。ナノ銀−ナノ銅−ナノパラジウム粒子はそれぞれ、1:1:1,1:2:1,1:1:2の比率、あるいは、これらの比率の間のいかなる比率で含まれていてもよい。取付け工程において、1つ以上の焼結および/または乾燥工程が、窒素雰囲気中で行なわれてもよい。
【実施例12】
【0061】
銀粒子、金粒子およびパラジウム粒子を含むナノ銀−ナノ金−ナノパラジウムペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銀粒子、または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた金粒子、または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされたパラジウム粒子、またはこれらの三者のすべてを含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ銀−ナノ金−ナノパラジウムペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。ナノ銀−ナノ金−ナノパラジウム粒子はそれぞれ、1:1:1,1:2:1,1:1:2の比率、あるいは、これらの比率の間のいかなる比率で含まれていてもよい。
【実施例13】
【0062】
銀粒子、プラチナ粒子およびパラジウム粒子を含むナノ銀−ナノプラチナ−ナノパラジウムペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銀粒子、または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされたプラチナ粒子、または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされたパラジウム粒子、またはこれらの三者のすべてを含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ銀−ナノプラチナ−ナノパラジウムペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。ナノ銀−ナノプラチナ−ナノパラジウム粒子はそれぞれ、1:1:1,1:2:1,1:1:2の比率、あるいは、これらの比率の間のいかなる比率で含まれていてもよい。
【実施例14】
【0063】
銀粒子、金粒子および銅粒子を含むナノ銀−ナノ金−銅ペーストは、米国特許出願第11/462,089号に記載されたようにして作ることができる。そのペーストは、約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銀粒子、または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた金粒子、または約1〜2重量%のキャッピング剤でキャップされた銅粒子、またはこれらの三者のすべてを含んでもよい。そのキャッピング剤は、ヘキサデシルアミン、ドデカンチオール、または、他のアミン基もしくはチオール基を有するキャッピング剤であってもよい。ナノ銀−ナノ金−銅ペーストを、ダイ(または他の電子部品)を基板に取付けるために用いることができる。ナノ銀−ナノ金−ナノ銅粒子はそれぞれ、1:1:1,1:2:1,1:1:2の比率、あるいは、これらの比率の間のいかなる比率で含まれていてもよい。取付け工程において、1つ以上の焼結および/または乾燥工程が、窒素雰囲気中で行なわれてもよい。
【0064】
実施例の要素を導入する際には、「ある("a", "an")」、「その"the"」という冠詞は、1つ以上の要素があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」の用語は、非制限的(open ended)であることが意図され、列挙された要素以外の追加的な要素があってもよいことを意味する。この開示を利用すれば、当業者により、特定の実施例のさまざまな部品を、他の実施例におけるさまざまな部品と置き換えられ、あるいは代替的に用いられることができる。
【0065】
以上、いくつかの特徴、局面、実施例および実施形態を述べたが、この開示によれば、開示された例示的特徴、実施例、および実施形態の追加、置き換え、変更、および修正が、当業者により容易に認識されるであろう。
【図1A−1D】

【図2A−2E】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップされたナノ材料を基板上に配置する工程と、
ダイを配置された前記キャップされたナノ材料を配置する工程と、
配置された前記キャップされたナノ材料および配置されたダイを乾燥させる工程と、
前記基板に前記ダイを取付けるために、乾燥させた前記配置されたダイおよび乾燥させた前記キャップされたナノ材料を300℃以下の温度で焼結する工程とを備える、ダイを基板に取付ける方法。
【請求項2】
前記キャップされたナノ材料がキャッッピング剤でキャップされた銀粒子を含み、前記キャッッピング剤が、前記キャップされた銀粒子の重量に基づいて、約10重量パーセントから約15重量パーセント含まれている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャップされた銀粒子を基板に配置する前に、前記キャップされた銀粒子を溶剤中に分散させる工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記焼結する工程の間に、前記キャップされた銀粒子から前記キャッピング剤を取り除く工程をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記キャップされたナノ材料がキャップされた金属粒子を含み、前記キャップされた金属粒子の金属が、金、銀、銅、ニッケル、プラチナ、パラジウム、鉄、およびこれらの合金からなる群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記乾燥させる工程および前記焼結する工程が、300℃以下で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記焼結する工程が、窒素雰囲気の下で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記窒素雰囲気が、大気圧と略等しい圧力を与える、請求項8に記載の方法。
【請求項9】
前記乾燥させる工程が、大気圧よりも低い圧力で行なわれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に配置されたダイと、
前記ダイと前記基板との間の電気的ジョイントとを備え、該電気的ジョイントは、前記基板と前記ダイとの間の電気的カップリングを与えるための、300℃以下で焼結されたナノ材料を含む、装置、
【請求項11】
前記基板がプリント回路基板であり、前記ナノ材料がキャップされた銀粒子を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記キャップされた銀粒子が、前記ジョイントの形成前に、ナノ材料、キャップされた銀粒子の重量に基づいて、約1〜3重量パーセントのキャッピング剤を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ナノ材料が金属粒子を含み、該金属粒子の金属は、金、銅、ニッケル、プラチナ、パラジウム、鉄、およびそれらの合金からなる群から選ばれた、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記電気的ジョイントが、前記ダイと前記基板との間において略均一な厚さを有する、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記電気的ジョイントが実質的にボイドを有しない、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
電気的ジョイントを製造するためのキットであって、該キットは、
ナノ材料の重量に基づいて約10重量パーセントから約15重量パーセントのキャップされた金属粒子を含むナノ材料と、
前記ナノ材料を使用して、基板と、該基板の上に配置されるダイとの間の電気的ジョイントを提供するための、使用説明書とを備える、キット。
【請求項17】
前記ナノ材料とともに用いるダイをさらに備える、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記ダイおよび前記ナノ材料とともに用いる基板をさらに備える、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記基板がプリント回路基板である、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
ダイと基板との電気的結合を促進する方法であって、該方法は、前記ダイと前記基板との間の電気的ジョイントを提供するために有効なナノ材料を、300℃以下の温度で該ナノ材料を焼結した後に供給することを含む、方法
【請求項21】
前記ナノ材料は、前記ダイと前記基板との間に、大気圧より低い圧力で焼結した後に電気的ジョイントを提供するために有効である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ナノ材料が、キャップされた銀粒子の重量に基づいて、約10重量パーセントから約15重量パーセントのキャッピング剤を有する、キャップされた銀粒子を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ナノ材料は金属粒子を含み、該金属粒子の金属は、金、銀、銅、ニッケル、プラチナ、パラジウム、鉄、およびそれらの合金からなる群より選ばれる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記金属粒子が、チオールおよびアミンからなる群より選ばれたキャッピング剤によってキャップされている、請求項23に記載の方法。

【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−533984(P2010−533984A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517186(P2010−517186)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/070474
【国際公開番号】WO2009/012450
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(598085065)フライズ・メタルズ・インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】FRY’S METALS, INC
【Fターム(参考)】