説明

受信装置

【課題】主に門扉の施解錠やシャッターの開閉等の遠隔操作に用いられる受信装置に関し、容易に製作が行え、安価で確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】制御手段12が送信装置4からの操作信号の、識別コードL1やL2内の所定の共通コードL3を記憶すると共に、この共通コードL3によって送信装置4を判別することで、制御手段12の記憶容量を大きくしなくとも、複数の送信装置4の判別が行えると共に、記憶容量の異なる複数の受信装置13を製作する必要もなくなるため、製作も容易で、安価で確実な遠隔操作が可能な受信装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に門扉の施解錠やシャッターの開閉等の遠隔操作に使用される受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、門扉の施解錠やシャッターの開閉等を、機械式キーにより直接操作することに加え、携帯した送信装置から受信装置に操作信号を送信し、離れた箇所から遠隔操作することが一般的に行われており、安価で確実な操作の可能なものが求められている。
【0003】
このような従来の受信装置や通信システムについて、図3及び図4を用いて説明する。
【0004】
図3は従来の通信システムのブロック回路図であり、同図において、1はアンテナ等の受信手段、2はマイコン等の制御手段で、上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)にこれらが実装され、受信手段1が制御手段2に接続されて、受信装置3が構成されている。
【0005】
また、4は携帯用の送信装置で、アンテナ等の送信手段5や、マイコン等の制御手段6、スイッチ7Aや7Bが配線基板(図示せず)に実装されると共に、送信装置毎に異なる識別コードや操作コード等が記憶された制御手段6に、送信手段5とスイッチ7A、7Bが接続されている。
【0006】
さらに、これらを略箱型で絶縁樹脂製のケース(図示せず)が覆い、スイッチ7A、7Bにはケースから突出する押釦等が装着されて、送信装置4が形成されている。
【0007】
なお、このような電波を用いて遠隔操作を行う受信装置3や送信装置4の場合、他の送信装置や受信装置による誤操作を防ぐため、使用前に、一組の受信装置3と送信装置4のみがペアとして操作可能となる設定、いわゆるペアリングが一般的に行われている。
【0008】
つまり、上記の構成において、先ず、所定の操作によって受信装置3をペアリング設定状態にした後、ペアリングする送信装置4の、例えば解錠用の押釦を押圧操作すると、例えばスイッチ7Aの電気的接離が行われ、これを制御手段6が検出して、図4(a)の信号コード図に示すような、送信装置毎に異なる識別コードL1と、門扉を解錠するための操作コードM1から形成された、操作信号が電波として送信手段5から送信される。
【0009】
そして、この操作信号を受信装置3の受信手段1が受信し、制御手段2が送信装置毎に固有の識別コードL1を記憶することによって、受信装置3と送信装置4が一組のペアとして操作可能となるペアリング設定が完了する。
【0010】
また、このようにペアリングされた受信装置3が門扉やシャッター等の所定箇所に装着されると共に、受信装置3の制御手段2がコネクタやリード線(図示せず)等によって、電池や交流電源(図示せず)、及び門扉の錠機構(図示せず)やシャッターの開閉を駆動する、モータ等の駆動手段8に電気的に接続されて、通信システムが構成される。
【0011】
以上の構成において、門扉とある程度離れた場所から、携帯した送信装置4の例えば門扉解錠用のスイッチ7Aを押圧操作すると、図4(a)に示したような、識別コードL1と門扉解錠用の操作コードM1から形成された、操作信号が電波として送信装置4から送信される。
【0012】
そして、この操作信号を受信装置3の受信手段1が受信し、この操作信号内の識別コードL1を制御手段2が判別して、ペアリング時に記憶した送信装置4のものと同一である場合には、操作コードM1に従って制御手段2から駆動信号が出力され、駆動手段8が駆動して門扉の錠が解錠される。
【0013】
つまり、門扉やシャッターに接近し機械式キーによって、門扉の施解錠やシャッターの開閉を直接行うことに加え、携帯した送信装置4を操作することによって、ある程度離れた場所からでも、門扉の施解錠やシャッターの開閉を遠隔操作できるように構成されている。
【0014】
また、上述したように、使用前にペアリングを行い、一組の受信装置3と送信装置4のみがペアとして操作可能となるように設定することで、他の送信装置や受信装置からの電波による誤操作を防ぎ、確実な遠隔操作が行えるようになっている。
【0015】
ただ、個人の住宅のように、門扉やシャッター等の遠隔操作を行う人間が、送信装置4を携帯した一人の人間のみである場合には、上記のように一組の受信装置3と送信装置4のみをペアリングすればよいが、マンション等の集合住宅の駐車場等のように、数人あるいは数十人の複数の人間が各々異なる送信装置4によって、一つの門扉やシャッター等の遠隔操作を行う場合には、一つの受信装置3に対し複数の送信装置4とのペアリングが必要となる。
【0016】
つまり、上述したように受信装置3に、ある送信装置4の識別コードL1を記憶させた後、これとは別の送信装置4の押釦を押圧操作して、図4(b)に示すような、別の識別コードL2と操作コードM1から形成された操作信号を送信し、この識別コードL2を制御手段2に記憶させることによって、一つの受信装置3に対する二つの送信装置4のペアリングが行われる。
【0017】
以下、同様に、三つ目の送信装置4、四つ目の送信装置4というように順次押釦を押圧操作して、各々異なる複数の識別コードを制御手段2に記憶させることで、受信装置3が複数の送信装置4を判別し、一つの受信装置3を複数の送信装置4で遠隔操作することが可能となる、ペアリング設定が行われるようになっている。
【0018】
すなわち、個人の住宅で用いられる受信装置3は、制御手段2が一つの送信装置4の識別コードを記憶するだけでよいが、集合住宅の駐車場等で使用される受信装置3には、複数の識別コードを記憶させる必要があるため、制御手段2の記憶容量が、個人住宅用に比べ大きなものとなってしまうものであった。
【0019】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2009−278506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上記従来の受信装置3や通信システムにおいては、集合住宅の駐車場等で用いられる受信装置3は、複数の送信装置4を判別する必要があるため、制御手段2の記憶容量が大きくなり、個人住宅用に比べ高価なものになると共に、個人住宅用と集合住宅用というように、制御手段2の記憶容量の異なる数種類の受信装置3が必要となり、受信装置3の製作も煩雑となり手間がかかってしまうという課題があった。
【0022】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、容易に製作が行え、安価で確実な遠隔操作が可能な受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために本発明は、制御手段が送信装置からの操作信号の、識別コード内の所定の共通コードを記憶すると共に、この共通コードによって送信装置を判別するようにして受信装置を構成したものであり、例えば識別コード先頭の二つのコードを共通コードとし、これによって制御手段が送信装置を判別することで、制御手段の記憶容量を大きくしなくとも、複数の送信装置の判別が行えると共に、記憶容量の異なる複数の受信装置を製作する必要もなくなるため、製作も容易で、安価で確実な遠隔操作が可能な受信装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、容易に製作が行え、安価で確実な操作が可能な受信装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態による通信システムのブロック回路図
【図2】同信号コード図
【図3】従来の通信システムのブロック回路図
【図4】同信号コード図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
【0027】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0028】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による通信システムのブロック回路図であり、同図において、1はアンテナ等の受信手段、12はマイコン等の制御手段で、上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)にこれらが実装され、受信手段1が制御手段12に接続されて、受信装置13が構成されている。
【0029】
また、4は携帯用の送信装置で、アンテナ等の送信手段5や、マイコン等の制御手段6、スイッチ7Aや7Bが配線基板(図示せず)に実装されると共に、送信装置毎に異なる識別コードや操作コード等が記憶された制御手段6に、送信手段5とスイッチ7A、7Bが接続されている。
【0030】
さらに、これらを略箱型で絶縁樹脂製のケース(図示せず)が覆い、スイッチ7A、7Bにはケースから突出する押釦等が装着されて、送信装置4が形成されている。
【0031】
そして、このような電波を用いて遠隔操作を行う受信装置13や送信装置4の場合、他の送信装置や受信装置による誤操作を防ぐため、使用前に、受信装置13と所定の送信装置4のみがペアとして操作可能となる設定、いわゆるペアリングが一般的に行われる。
【0032】
つまり、上記の構成において、先ず、所定の操作によって受信装置13をペアリング設定状態にした後、ペアリングする送信装置4の、例えば解錠用の押釦を押圧操作すると、例えばスイッチ7Aの電気的接離が行われ、これを制御手段6が検出して、図2(a)の信号コード図に示すような、送信装置毎に異なる識別コードL1と、門扉を解錠するための操作コードM1から形成された、操作信号が電波として送信手段5から送信される。
【0033】
そして、この操作信号を受信装置13の受信手段1が受信し、制御手段12が送信装置毎に固有の識別コードL1を記憶するが、この時、制御手段12は識別コードL1全体ではなく、予め定められた所定の共通コード、例えば識別コードL1先頭の二つのコード「00」を共通コードL3として記憶して、受信装置13と送信装置4のペアリング設定が行われる。
【0034】
また、このようにペアリングされた受信装置13が門扉やシャッター等の所定箇所に装着されると共に、受信装置13の制御手段12がコネクタやリード線(図示せず)等によって、電池や交流電源(図示せず)、及び門扉の錠機構(図示せず)やシャッターの開閉を駆動する、モータ等の駆動手段8に電気的に接続されて、通信システムが構成される。
【0035】
以上の構成において、門扉とある程度離れた場所から、携帯した送信装置4の例えば門扉解錠用のスイッチ7Aを押圧操作すると、図2(a)に示したような、識別コードL1と門扉解錠用の操作コードM1から形成された、操作信号が電波として送信装置4から送信される。
【0036】
そして、この操作信号を受信装置13の受信手段1が受信し、この操作信号の識別コードL1内の共通コードL3を制御手段12が判別して、共通コードL3がペアリング時に記憶した「00」である場合には、操作コードM1に従って制御手段12から駆動信号が出力され、駆動手段8が駆動して門扉の錠が解錠される。
【0037】
なお、この時、上記のようにペアリングを行った送信装置4ではなく、別の送信装置4の押釦を押圧操作して、図2(b)に示すような、別の識別コードL2と操作コードM1から形成された操作信号が送信された場合にも、この識別コードL2先頭の二つのコードが「00」で、記憶した共通コードL3と同じものである場合には、制御手段12がこれを判別して駆動手段8を駆動し、門扉の解錠が行われる。
【0038】
つまり、門扉やシャッターに接近し機械式キーによって、門扉の施解錠やシャッターの開閉を直接行うことに加え、携帯した送信装置4を操作することによって、ある程度離れた場所からでも、門扉の施解錠やシャッターの開閉を遠隔操作できるように構成されている。
【0039】
また、上記のように使用前にペアリングを行い、受信装置13と所定の送信装置4のみがペアとして操作可能となるように設定することで、他の送信装置や受信装置からの電波による誤操作を防ぎ、確実な遠隔操作が行えると共に、所定の共通コードL3を制御手段12が記憶することによって、複数の送信装置4による遠隔操作が可能なようになっている。
【0040】
すなわち、受信装置13と所定の送信装置4をペアリングする際、制御手段12が送信装置毎に固有の識別コードL1やL2全体ではなく、予め定められた所定の共通コード、例えば識別コードL1やL2先頭の二つのコード「00」を共通コードL3として記憶し、遠隔操作時には、この共通コードL3によって送信装置を判別することによって、一つの受信装置13を複数の送信装置4で遠隔操作できるように構成されている。
【0041】
したがって、マンション等の集合住宅の駐車場等のように、数人あるいは数十人の複数の人間が各々異なる送信装置4によって、一つの門扉やシャッター等の遠隔操作を行う場合にも、各々の送信装置4の識別コード先頭の二つのコードが、共通コードL3と同じ「00」のものを用いるようにすれば、複数の送信装置4によって一つの受信装置13を遠隔操作することができる。
【0042】
また、使用前にペアリングを行う際にも、複数の送信装置4を順次押圧操作して、各々異なる複数の識別コード全体を制御手段12に記憶させる必要はなく、2桁の共通コードL3を記憶させるだけですむため、制御手段12の記憶容量を大きくする必要がなく、安価に受信装置13を形成することが可能なようになっている。
【0043】
さらに、共通コードL3を持った一つの送信装置4で、一回だけ受信装置13のペアリングを行い、この受信装置13と数台あるいは数十台の、共通コードL3を持った送信装置4をセットとして組み合わせるだけで、受信装置13と複数の送信装置4の製作が行えるため、製作も容易に行うことができるように形成されている。
【0044】
なお、受信装置13と送信装置4のペアリングを行う際、送信装置4から送信された操作信号の識別コードが、予め定められた所定の共通コードL3ではない場合、例えば図2(c)に示すように、先頭の二つのコードが「00」ではなく「01」の識別コードL4であった場合には、制御手段12はこのコード「01」を共通コードとして記憶せず、識別コードL4全体を記憶して送信装置4とのペアリング設定が行われる。
【0045】
つまり、この場合には、上記のような一つの受信装置13に対して複数の送信装置4がペアリングされるのではなく、個人の住宅の門扉の施解錠やシャッターの開閉等に用いられる、一つの受信装置13に対して一つの送信装置4のみが、ペアとして遠隔操作可能となるペアリングが行われる。
【0046】
すなわち、ペアリングを行った送信装置4の識別コードL4が、予め定められた所定の共通コードL3とは異なる場合には、一組の受信装置13と送信装置4のみが、ペアとして操作可能となるペアリングが行われるため、個人住宅用と集合住宅用というように、記憶容量の異なる複数の受信装置13を製作する必要はなく、ペアリングによって一つの受信装置13を、個人住宅用にも集合住宅用にも設定を行えるようになっている。
【0047】
なお、以上の説明では、制御手段12が判別する共通コードL3を、識別コードL1やL2先頭の二つのコード「00」とした構成について説明したが、例えばマンション毎に共通コードL3を異なるものとした構成や、三つあるいは四つのコードを共通コードL3とした構成としても、本発明の実施は可能である。
【0048】
このように本実施の形態によれば、制御手段12が送信装置4からの操作信号の、識別コードL1やL2内の所定の共通コードL3を記憶すると共に、この共通コードL3によって送信装置4を判別することで、制御手段12の記憶容量を大きくしなくとも、複数の送信装置4の判別が行えると共に、記憶容量の異なる複数の受信装置13を製作する必要もなくなるため、製作も容易で、安価で確実な遠隔操作が可能な受信装置を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明による受信装置は、容易に製作が行えると共に、安価で確実な操作が可能なものが得られ、主に門扉の施解錠やシャッターの開閉等の遠隔操作用として有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 受信手段
4 送信装置
5 送信手段
6 制御手段
7A、7B スイッチ
8 駆動手段
12 制御手段
13 受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置からの操作信号を受信する受信手段と、この操作信号内の識別コードによって上記送信装置を判別する制御手段からなり、上記制御手段が上記識別コード内の所定の共通コードを記憶すると共に、この共通コードによって上記送信装置を判別する受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−182358(P2011−182358A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47433(P2010−47433)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】