説明

可変容量値検出回路およびその駆動方法

【課題】容量素子から読み出される信号について、S/N比の向上が図られ、感度の向上が図られた可変容量値検出回路を提供する。
【解決手段】可変容量値検出回路は、物理現象に伴って容量値が変化する可変容量101と、積分容量102と演算増幅器103とを有する積分回路109と、可変容量101または積分回路109に接続する複数のスイッチとを備えている。複数のスイッチを適宜オンまたはオフさせることによって、可変容量101に電荷を蓄積させるステップと、可変容量101に蓄積された電荷を積分容量102に転送するステップとを交互に複数回繰り返し、ノイズの低減を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度や圧力などの種々の物理現象に応じて容量が可変することを利用した容量値変化検知素子の検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
室温の物体や人体からは、波長10μm付近の赤外線が輻射されており、これを計測することにより、それらの存在や温度の情報が非接触で得られるため、侵入警戒器、科学計測等のさまざまな応用がなされている。
【0003】
例えば、より高度な温度検知装置を用いれば、夜間でも物体の温度分布を非接触で得られる。この温度検知装置を使用することで従来より安全な自動車走行が実現されている。
【0004】
こういった温度検知装置において、重要な要素技術の一つは熱を検知することのできる赤外線イメージセンサである。赤外線イメージセンサは大別すると量子型赤外センサと非冷却型赤外センサの2種類に大きく分けられる。
【0005】
量子型赤外センサは、感度が大きいため検知能力に優れているが、冷却が必要なため装置が大型になるといった点で実用面、価格面に課題がある。
【0006】
一方、非冷却型赤外センサは、量子型赤外センサに比べ感度が多少劣るものの、冷却装置を使わずに室温動作が可能であるという利点があり、低コストで赤外線検知装置を実現することができる。このため、非冷却型赤外線センサとして、抵抗ボロメータの温度特性や、pnダイオードのドレイン電流の温度特性を利用するもの、焦電効果を用いるもの、誘電ボロメータ、サーモパイル等を用いるものなど、数多くのものが提案されている。中でも、電界を印加して誘電率の温度変化を検知する誘電ボロメータは、チョッパが必要ない等の優れた特徴を有しており、実用的見地から期待されている。
【0007】
誘電ボロメータでは、赤外線により温度上昇した時にキャパシタ(容量素子)の容量値が変化することを利用している。ところが、容量値を直接検出することは通常できない。そのため、温度によって変化する容量素子と温度変化しない参照容量素子とを直列接続し、接続された素子の両端に電圧を印加した際の中間電位の変化や位相の変化など読み取ることで微小な容量値の変化を読み取る。
【0008】
図8は、従来のセンサの構成と、当該センサで発生するノイズとを示す図である。同図に示すように、画素1001において、センサ容量1003と参照容量1005の二つの容量を直列に接続し、その両端に電圧を印加する場合、センサ容量1003および参照容量1005と増幅器1009との間にトランジスタスイッチ1007を配置し、そのスイッチをオンした状態で微小な容量変化を読む。
【特許文献1】特開2006−3301
【特許文献2】USP4902895
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のセンサでは、2つの容量の中間電位は容量に蓄積された電荷がスイッチのオン抵抗の熱ノイズに起因してランダムにばらつく。これがいわゆるkT/Cノイズである。このノイズは容量に電荷が存在する限り発生する。このため、従来のセンサでは、期待通りの測定精度を得るのが困難であった。
【0010】
例えば、大気、レンズなどの光学系を介してセンサに到達する赤外線の伝達率が約1/1000、センサ容量の容量値温度変化率が1%/Tであり、参照容量、センサ容量が共に1pFである場合を考える。被写体の温度変化が1℃変化した時、センサ容量の温度変化は0.001℃となり、容量変化はΔC=1pFx0.001x0.01=1x10−5pFとなる。直列容量への印加電圧が5Vとすると、基準の中間電圧2.5Vからの変化分の信号電圧は12.5μVとなる。これに対して、各画素でのトランジスタスイッチで生じる雑音電圧は30〜40μVと考えられており、読み出し限界レベルであるS/N=1〜2のレベルには到達しない。このように、極めて小さい容量値の変化を熱ノイズの影響を抑えながら十分に高いS/N比で読み出すことは困難であった。
【0011】
また、図9は、一般的な容量素子の容量値と温度との関係を示す図である。同図に示すように、温度によって容量値が変化するセンサ容量の中には、少なからずバイアス依存性が存在する材料で構成された容量絶縁膜を有するものもある。図9に示す例では、センサ容量への印加電圧を上げていけば、温度に対する容量値の変化率が下がるような材料で容量絶縁膜が構成されている。この場合、互いに直列に接続された両容量への印加電圧を上げることにより差分信号電圧を増加させようとしても、高いバイアス電圧を印加する際に容量値の温度に対する感度が低下してしまい、信号電圧を増加させることができない。
【0012】
上記不具合に鑑み、本発明では、容量素子から読み出される信号について、S/N比の向上が図られ、感度の向上が図られた可変容量値検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の可変容量値検出回路は、第1の電極と第2の電極とを有し、物理現象に伴って容量値が変化する可変容量と、第1の基準電圧を前記第1の電極に印加するための第1のスイッチと、前記第1のスイッチと同時にオン状態にならず、前記第1の基準電圧とは異なる第2の基準電圧を前記第1の電極に印加するための第2のスイッチと、前記第2のスイッチと同期して動作し、前記第1の基準電圧を前記第2の電極に印加するための第3のスイッチと、前記第1のスイッチと同期して動作し、前記第2の電極に接続された第4のスイッチと、前記第1のスイッチおよび前記第3のスイッチに接続され、前記第1の基準電圧が入力される第1の入力端子と、前記第4のスイッチに接続された第2の入力端子とを有し、前記第1の入力端子と前記第2の入力端子との間の電位差を増幅する演算増幅器と、前記演算増幅器の出力部と前記第2の入力端子との間に介設された積分容量とを有し、入力された電荷信号を積分する積分回路とを備えている。
【0014】
この構成により、第1〜第4のスイッチを用いて可変容量を充電する第1のステップと、可変容量に充電された電荷信号を積分容量に転送する第2のステップとを別々に行うことが可能になる。そのため、当該第1のステップと第2のステップとを繰り返すことにより、可変容量に蓄積される電荷信号を一度で積分容量に読み出す場合に比べてノイズを低減させることができる。このため、本発明の可変容量値検出回路によれば、高感度で物理現象を検出することが可能となる。また、可変容量に充電された電荷信号を積分容量に複数回転送することで、可変容量に印加する電圧を低くしても積分回路の出力電圧を十分に高くすることができる。このため、可変容量の容量値の変化率を落とすことなく物理現象を検出することが可能となる。なお、物理現象の例としては、温度や可変容量に加わる圧力などが挙げられる。
【0015】
また、可変容量は行列状に配置されていてもよく、その場合、本発明の可変容量値検出回路は、例えば赤外線イメージセンサなどを構成することもできる。
【0016】
本発明の可変容量値検出回路の駆動方法は、第1の電極および第2の電極を有し、物理現象に伴って容量値が変化する可変容量と、第1の基準電圧が入力される第1の入力端子と、第2の入力端子とを有し、前記第1の入力端子と前記第2の入力端子との間の電位差を増幅する演算増幅器と、前記演算増幅器の出力部と前記第2の入力端子との間に介設された積分容量とを有し、入力された電荷信号を積分する積分回路とを備えた可変容量値検出回路の駆動方法である。具体的には、前記可変容量を充電するステップ(a)と、前記第1の電極を前記第1の入力端子に接続させ、前記第2の電極を前記第2の入力端子および前記積分容量に接続させることにより、前記ステップ(a)で前記可変容量に蓄積された前記電荷信号を前記積分容量に転送するステップ(b)と、前記積分回路の出力電圧を用いて前記物理現象を検知するステップ(c)とを備え、前記ステップ(a)と、前記ステップ(b)とを交互に複数サイクル行った後に前記ステップ(c)を行う。
【0017】
このように、可変容量に蓄積するステップ(a)と電荷信号を積分容量に転送するステップ(b)を複数サイクル繰り返すことにより、スイッチ等で発生するノイズを低減することができる。また、可変容量の容量値の変化率を低下させることなく可変容量値検出回路を駆動させることができるので、物理現象の検出感度の低下を防ぐことができる。
【0018】
また、前記可変容量に印加される電圧の絶対値は、電源電圧よりも低く、且つ前記電源電圧を前記ステップ(a)および前記ステップ(b)のサイクル数で除算した値以上であることが好ましい。
【0019】
前記積分回路は、前記積分容量の両端を電気的に短絡させるためのリセット用スイッチをさらに有しており、前記ステップ(c)の後に、前記リセット用スイッチをオンすることにより、前記積分回路の動作をリセットするステップ(d)をさらに備えていることにより、経時的に物理現象を検出したり、複数の可変容量に対して1つの積分回路が設けられている際などに異なる可変容量からの電荷信号の読み出しを行ったりすることが可能となる。
【0020】
また、前記可変容量は行列状に配置されていてもよく、この際には1行ずつ同時に可変容量から電荷信号を読み出すことが好ましい。
【0021】
また、前記可変容量値検出回路は第3の電極および第4の電極を有する参照容量をさらに備えており、前記ステップ(b)と同時に、前記演算増幅器から見て逆極性の電荷を前記参照容量に蓄積させるステップ(e)と、前記ステップ(a)と同時に、前記第3の電極を前記第1の入力端子に接続させ、前記第4の電極を前記第2の入力端子および前記積分容量に接続させることにより、前記参照容量に蓄積された電荷を前記積分容量に転送するステップ(f)とをさらに備えていてもよい。参照容量を設けることで、物理現象に対して電荷信号が変化する分のみを積分容量に保持させることができる。
【0022】
また、前記積分回路は、前記第2の入力端子に接続された第5の電極と、第6の電極とを有するオフセットキャンセル容量をさらに有しており、前記ステップ(b)および前記ステップ(f)を除く期間中に、前記第5の電極を前記演算増幅器の出力部に接続させるとともに、前記第6の電極を前記積分容量に接続させるステップ(g)と、前記ステップ(b)および前記ステップ(f)を除く期間中であって前記ステップ(g)の後に、前記第6の電極を前記第1の入力端子に接続するとともに、前記第6の電極に前記第1の基準電圧を印加するステップ(h)とをさらに備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の可変容量値検出回路によれば、可変容量に電荷を蓄積するステップと可変容量に蓄積された電荷信号を積分容量に転送するステップとを複数サイクル行って物理現象の検出を行うことができるので、ノイズを低減するとともに、可変容量の容量値の変化率の低減を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る可変容量値検出回路について、図面を用いて説明する。
【0025】
−回路構成−
図1は、本発明の第1の実施形態に係る可変容量値検出回路の構成例を示す回路図である。
【0026】
同図に示すように、本実施形態の可変容量値検出回路は、物理現象に伴って容量値が変化するセンサキャパシタ(Cs;可変容量)101と、センサキャパシタ101から転送される電荷信号の積分値を出力部108から出力する積分回路109とを備えている。ここで、「物理現象」の例としては、温度やセンサキャパシタ101に加わる圧力などが挙げられる。例えば、物体から放射される赤外線をセンサキャパシタ101が受けて温度変化を起こす場合、当該物体の温度を検知することもできる。センサキャパシタ101の容量値が装置外部の温度によって変化する場合、可変容量値検出回路は温度センサとして機能する。センサキャパシタ101の容量値が圧力により変化する場合、可変容量値検出回路は加速度センサとして機能させることができる。
【0027】
センサキャパシタ101は、第1の電極および第2の電極と第1の電極と第2の電極とに挟まれた容量絶縁膜とを有している。容量絶縁膜は高誘電体または強誘電体により構成される。
【0028】
積分回路109は、(+)側入力端子(第1の入力端子)と(−)側入力端子(第2の入力端子)との間の電位差を増幅する演算増幅器103と、演算増幅器103の出力部と(−)側入力端子との間に介設された積分容量(Cint)102と、積分容量102の両端を短絡するためのリセット用スイッチ113とを有している。このリセット用スイッチ113は後述するリセット動作を行うために設けられているが、センサとしての動作はリセット用スイッチ113がなくても行うことができる。また、積分回路109において、演算増幅器103の(+)側入力端子には動作期間中を通して電圧V1が印加されている。このとき、積分回路109の特性から、演算増幅器103の(−)側入力端子(ノードX1)はいわゆる仮想接地され、その電圧は理想的にはV1になる。ただしこの場合、V1は必ずしも接地電圧でなくてもよく、例えば安定供給される直流電圧であってもよい。なお、図示しないが、演算増幅器103には電源電圧と接地電圧とが供給されている。
【0029】
また、可変容量値検出回路は、バイアス固定電圧V1が入力される第1の電圧入力端子(X2)106と、電圧V1とは異なる駆動電圧V2が入力される第2の電圧入力端子(X3)107と、第1の電圧入力端子106とセンサキャパシタ101の第1の電極との間に介設された第1のスイッチ(SW1)105と、第2の電圧入力端子107とセンサキャパシタ101の第1の電極との間に介設された第2のスイッチ(SW2)104と、第1の電圧入力端子106とセンサキャパシタ101の第2の電極との間に介設された第3のスイッチ(SW3)110と、センサキャパシタ101の第2の電極と演算増幅器103の(−)側入力端子との間に介設された第4のスイッチ(SW4)111とを備えている。
【0030】
上述のスイッチのうち、第2のスイッチ104と第3のスイッチ110は同相の制御信号によって導通状態が制御されており、両スイッチは互いに同期してオンまたはオフする。また、第1のスイッチ105と第4のスイッチ111は別の同相の制御信号によって導通状態が制御されており、両スイッチは互いに同期してオンまたはオフする。また、第2のスイッチ104および第3のスイッチ110と、第1のスイッチ105および第4のスイッチ111とは同時にオンしないように制御されている。
【0031】
−可変容量値検出回路の動作−
図2は、本実施形態の可変容量値検出回路の各部における信号波形を示すチャート図である。同図では、第1のスイッチ105および第2のスイッチ104の制御信号と、バイアス固定電圧V1、駆動電圧V2と、センサキャパシタ(Cs)101に蓄積される電荷量と、積分容量(Cint)102に蓄積される電荷量と、可変容量値検出回路の出力部108からの出力電圧とをそれぞれ示す。なお、本実施形態の例では、第1のスイッチ105および第2のスイッチ104は、それぞれの制御信号がハイレベルの期間にオン状態となり、それぞれの制御信号がローレベルの期間にオフ状態となる。
【0032】
まず、演算増幅器103の(+)側入力端子と(−)側入力端子の電位が等しく、積分容量102に電荷が蓄積されていない状態を初期状態とすると、出力部の電圧Voutは、
Vout=V1
となっている。
【0033】
次に、第2のスイッチ(SW2)104および第3のスイッチ(SW3)110をオン状態にする。すると、ノードX1(演算増幅器103の(−)側入力端子)の電圧V1と電圧V2の電圧差がセンサキャパシタ101に印加され、センサキャパシタ101に蓄積される電荷量Qsは次の式で表される。ここで、V2とV1との電圧差は、電源電圧よりも小さいことが好ましい。
【0034】
Qs=Cs(V2−V1)
次に、第2のスイッチ104および第3のスイッチ110をオフ状態にする。この時、電荷Qsはセンサキャパシタ101に蓄積された状態となっている。
【0035】
次に、第1のスイッチ105および第4のスイッチ111をオン状態にする。その時、センサキャパシタ101の両電極が同電位になり、センサキャパシタ101に蓄積された電荷は積分容量102へ移動し、ここに蓄積される。この時、積分容量102のノードX1(演算増幅器103の(−)側入力端子に接続された電極側)に蓄積される電荷に対応する正負逆の電荷が演算増幅器から供給され、積分容量102に電荷Qsがたまる。この時、出力部108から出力される電圧Voutは下式で表される。
【0036】
Vout=Qs/Cint+V1
ここで、Cintは積分容量102の電気容量である。
【0037】
次に、第1のスイッチ105および第4のスイッチ111をオフ状態にする。
【0038】
本実施形態の駆動方法では、以上のように、センサキャパシタ101に電荷を蓄積するステップと、センサキャパシタ101に蓄積された電荷を積分容量102に転送するステップとを合計Nサイクル(Nは2以上の整数)繰り返す。なお、リセット用スイッチ113が設けられている場合には、以上で説明した物理現象の検知動作中を通してリセット用スイッチ113をオフ状態にしておく。そして、検知の終了後、リセット用スイッチ113をオン状態にする。すると、積分容量102の両端の電圧が等しくなり、積分回路109の出力電圧VoutはV1にリセットされる。
【0039】
このように、両ステップの繰り返し回数がN回の場合、積分容量102にはQint(N)の電荷が蓄積され、
Qint(N)=N×Qs
となる。この時、出力電圧Vout(N)は、図2に示すように、
Vout(N)=N×Qs/Cint+V1
となる。
【0040】
なお、N回の電荷転送が完了した後、2入力比較器の入力端子の一方に積分回路108からの出力電圧を入力し、もう一方の入力端子に参照電圧(基準電位)を入力し、積分回路108からの出力電圧と基準電圧とを比較する。この後、2入力比較器の出力をディジタル信号として使用する。ここで、基準電位とは、アナログ信号をディジタル信号に変換する際に基準となる電位のことである。
基準状態における出力電圧と比較するなどして物理現象を検知することができる。
【0041】
−可変容量値検出回路の効果−
以上で説明した本実施形態の可変容量値検出回路およびその駆動方法によれば、いわゆるスイッチドキャパシタ(センサキャパシタ101)に蓄積された電荷を複数回にわたって積分回路109内の積分容量102に転送する。このため、センサキャパシタ101と積分回路109との間に設けられたスイッチで生じる熱雑音の影響を小さくすることができる。スイッチとして用いられるMOSトランジスタで生じる熱雑音は、正負がランダムにばらついている。従って、センサキャパシタ101から積分容量102への電荷の転送を1回のみ行う場合の熱雑音をVnとすると、当該電荷の転送をN回繰り返した場合の熱雑音は、(1/√N)×Vnとなり、電荷の転送回数を増やせば増やす程、熱雑音の影響を低減でき、S/N比(信号とノイズの比)を向上させることができる。
【0042】
さらに、本実施形態の可変容量値検出回路では、センサキャパシタ101から積分容量102への電荷の転送を一度のみ行う回路に比べてセンサキャパシタ101の両端に印加する電圧を低くすることができる。また、センサキャパシタ101に印加する電圧を低くしながらも、出力電圧を十分に高くすることができる。そのため、センサキャパシタ101の容量絶縁膜の温度特性が大きく変化しない範囲で物理現象(例えば温度)の検知を行うことが可能となり、より正確に物理現象の検知を行うことが可能となる。また、高バイアス印加時に容量値の温度特性が大きく変化するような容量絶縁膜を有するキャパシタであってもセンサキャパシタとして使用することができるようになるので、容量絶縁膜の材料を選択する際の自由度を大きくすることができる。ただし、上述の理由から、V2とV1との電圧差は、電源電圧よりも小さいことが好ましく、且つ電源電圧をセンサキャパシタ101から積分容量102への電荷の転送回数で割った値以上であることが好ましい。
【0043】
なお、本実施形態の駆動方法において、センサキャパシタ101から積分容量102への電荷の転送回数は用途、設計等に応じて適宜調節すればよい。熱雑音の影響を低減することを重視する場合には電荷の転送回数を増やせばよいし、測定速度を重視する場合には転送回数を少なくすればよい。電荷の転送回数を多くする場合には、積分容量102の電気容量Cintをセンサキャパシタ101の電気容量Csに比べて大きくすることが好ましい。
【0044】
なお、図2に示すように、第1の電圧入力端子106に印加される電圧V1が第2の電圧入力端子107に印加される電圧V2より低い場合、可変容量値検出回路の出力は正電圧となってより好ましいが、V1>V2であってもよい。この場合、センサキャパシタ101に蓄積される電荷の正負はV1<V2の場合と逆になり、可変容量値検出回路の出力は負電圧となる。
【0045】
(第2の実施形態)
−回路構成−
図3は、本発明の第2の実施形態に係る可変容量値検出回路を示す回路図である。同図において、第1の実施形態の可変容量値検出回路と同じ部分には図1と同じ符号を付している。また、第1の実施形態の可変容量値検出回路と機能および構成が同じ部分についての説明は省略あるいは簡略化する。
【0046】
本実施形態の可変容量値検出回路は、センサキャパシタ101、積分回路109、第1のスイッチ105、第2のスイッチ104、第3のスイッチ110および第4のスイッチ111を備えた第1の実施形態に係る可変容量値検出回路に加え、第1の電極、容量絶縁膜および第2の電極を有する参照容量(Cr)312と、共に参照容量312の第2の電極に接続された第5のスイッチ(SW4R)および第6のスイッチ(SW3R)313とを備えている。図3に示す例では、参照容量312が第1の電圧入力端子106と演算増幅器103の(−)側入力端子との間に介設されており、第5のスイッチ314は参照容量312の第2の電極と演算増幅器103の(−)側入力端子との間に設けられている。第6のスイッチ313は、第2の電圧入力端子107と参照容量312の第2の電極および第5のスイッチ314との間に設けられている。第5のスイッチ314および第6のスイッチ313は参照容量312の接続先を変更するためのスイッチであり、第2のスイッチ104、第3のスイッチ110および第5のスイッチ314は互いに同相の第1の制御信号によって動作が制御されている。また、第1のスイッチ105、第4のスイッチ111および第6のスイッチ313は互いに同相の第2の制御信号によって動作が制御されている。第2のスイッチ104、第3のスイッチ110および第5のスイッチ314のスイッチ群と、第1のスイッチ105、第4のスイッチ111および第6のスイッチ313のスイッチ群とは同時にオン状態になることがないように制御されている。なお、センサ容量Csは参照容量312の電気容量Crより大きくなっている。
【0047】
−可変容量値検出回路の動作−
図4は、本実施形態の可変容量値検出回路の各部における信号波形を示すチャート図である。以下では、本実施形態の可変容量値検出回路の動作が第1の実施形態の可変容量検出回路の動作と異なる点を重点的に説明する。
【0048】
まず、初期状態では演算増幅器103の出力部(出力ノード)outの電圧VoutはV1となっている。
【0049】
次に、第2のスイッチ(SW2)104、第3のスイッチ(SW3)110および第5のスイッチ(SW4R)314をオン状態にする。すると、電圧V1と電圧V2の電圧差がセンサキャパシタ101に印加される。一方で、参照容量312の両電極には電圧V1が印加されるため、参照容量312には電荷が蓄積されない。本期間中にセンサキャパシタ101に蓄積される電荷をQsとする。また、Qsからセンサキャパシタ101に電圧が印加されない場合にセンサキャパシタ101に生じる電荷(理想的にはゼロとなる)を引いた値をΔQsとする。
【0050】
次に、第2のスイッチ(SW2)104、第3のスイッチ(SW3)110および第5のスイッチ(SW4R)314をオフ状態にした後、第1のスイッチ105、第4のスイッチ111および第6のスイッチ313をオン状態にする。センサキャパシタ101の両電極が同電位になり、センサキャパシタ101に蓄積された電荷は積分容量102へと移動する。この期間中には、参照容量312の第1の電極には電圧V1が、第2の電極には電圧V2が印加されるので、センサキャパシタ101から転送される電荷と極性が反対の電荷ΔQrが参照容量312に蓄積される。ここで、参照容量312に蓄積された電荷は、次のサイクルにおいてセンサキャパシタ101の充電中に積分容量102に転送される。これにより、一回のサイクルで積分容量102に蓄積される電荷ΔQintは、
ΔQint=ΔQs−ΔQr
となる。積分をN回繰り返すと積分容量102には、下式で求められるQint(N)の電荷が蓄積される。
【0051】
Qint(N)=N×(ΔQs−ΔQr)
なお、Cs>Crであるので、Qint(N)は必ず正の値になる。
【0052】
−可変容量値検出回路の効果−
本実施形態の回路構成および駆動方法を用いることにより、センサ容量Csが変化する際に、主としてCsの変化に起因する電荷のみを積分容量102に蓄積できるようになる。従って、例えば本実施形態の可変容量値検出回路を赤外線検知センサとして用いる場合、背景温度に対する対象物の差分温度を強調して検知することができる。すなわち、ある対象物を検知する時の信号電圧Vsは背景温度による信号電圧Vbgと対象物の背景温度に対する差分電圧Vobjの和で表現でき、
Vs=Vbg+Vobj
となる。この時様々な外乱に起因する雑音電圧をVnとすると、信号と雑音の比Vs/Vnは、
Vs/Vn=(Vbg+Vobj)/Vn
となる。この時Vbgが大きければ対象物に起因するVobjはVbgに埋もれてしまい、S/N比はかなり低い値になってしまう。
【0053】
これに対し、本実施形態の可変容量値検出回路を用いれば、Vbgに相当する電圧を参照容量を用いて差分することで理想的には、
Vs/Vn=Vobj/Vn
とすることができ、S/N比を大きくすることができる。また、積分容量102にCsの変化に起因する電荷のみを蓄積することができるので、積分容量102がすぐに飽和するのを防ぎ、センサキャパシタ101から積分容量102への電荷の転送を複数回行いやすくすることができる。このため、積分容量102を特段大きくすることなく、ノイズの低減を図ることができるようになり、装置面積の低減と検出精度の向上とを同時に図ることができるようになる。
【0054】
(第3の実施形態)
−回路構成−
図5は、本発明の第3の実施形態に係る可変容量値検出回路を示す回路図である。同図において、第1および第2の実施形態の可変容量値検出回路と同じ部分には図1および図3と同じ符号を付している。また、第1および第2の実施形態の可変容量値検出回路と機能および構成が同じ部分についての説明は省略あるいは簡略化する。
【0055】
本実施形態の可変容量値検出回路では、積分回路509の構成が第2の実施形態の可変容量値検出回路と異なっている。すなわち、積分回路509は、第1および第2の実施形態の可変容量値検出回路における積分回路109に加え、演算増幅器103の出力部と(−)側入力端子との間に介設された第1のオフセットキャンセルスイッチ(SWOS1)515と、積分容量102と演算増幅器103の(−)側入力端子との間に介設された第2のオフセットキャンセルスイッチ(SWOS2)516と、第4のスイッチ111、第5のスイッチ314および第2のオフセットキャンセルスイッチ516と演算増幅器103の(−)側入力端子との間に介設されたオフセットキャンセル容量(Cos)518と、オフセットキャンセル容量518を第1の電圧入力端子106および演算増幅器103の(−)側入力端子に接続するための第3のオフセットキャンセルスイッチ(SWOS3)517とを有している。
【0056】
センサキャパシタ101または参照容量312から電荷が転送されない期間中、まず、第1のオフセットキャンセルスイッチ515および第2のオフセットキャンセルスイッチ516は少なくともオン状態となり、第3のオフセットキャンセルスイッチ517はオフ状態となる。その後、第3のオフセットキャンセルスイッチ517はオン状態となり、第1のオフセットキャンセルスイッチ515および第2のオフセットキャンセルスイッチ516はオフ状態となる。
【0057】
−可変容量値検出回路の動作−
図6(a)、(b)は、本実施形態の可変容量値検出回路における、センサキャパシタ(Cs)101、参照容量312および積分容量102に蓄積される電荷を示すチャート図である。 図6(a)に示す波形は、演算増幅器103の入力に入力オフセットずれが存在する場合の波形例を示している。
【0058】
図5では、この入力オフセット電圧を「Vos」とモデル化して表現している。演算増幅器103の両入力端子は理想的には同電位になるが、入力端子の電圧は実際にはオフセット電圧分ずれることがある。この場合、センサキャパシタ101から転送されるべき本来の電荷ΔQsに対し、オフセット電圧に起因するΔQoss分転送が行われない現象が生じてしまう。ここで、ΔQossは次式のようになる。
【0059】
ΔQoss=Cs・Vos
また、参照容量312に蓄積された電荷ΔQrが転送される際、入力オフセット電圧に起因して参照容量312から積分容量102への転送量は逆にΔQosrだけ増える。
【0060】
ΔQosr=Cr・Vos
従って、オフセットキャンセル手段が設けられない場合、積分容量102に実際に蓄積される電荷は、本来積分容量102に蓄積されるべき電荷から電荷ΔQoss+ΔQosrだけずれてしまう。このことを防ぐために、本実施形態では演算増幅器103に発生するオフセット電圧の影響をキャンセルするための仕組みを設けている。
【0061】
本実施形態の可変容量値検出回路では、センサキャパシタ101もしくは参照容量312から電荷が転送されていない期間に第1のオフセットキャンセルスイッチ515、第2のオフセットキャンセルスイッチ516をオンし、第3のオフセットキャンセルスイッチ517をオフする。すると、図6(b)に示すように、オフセットキャンセル容量518のノードX1(第4のスイッチ111および第5のスイッチ314に接続されたノード)側の電位はV(X2)となり、かつ、出力部outからは入力オフセットVosを演算増幅器103のゲイン倍した出力電圧が出力される。この時、演算増幅器103のゲインを1倍に設定しておくと、オフセットキャンセル容量518とオフセット電圧源Vosとの間のノードにはV(x2)+Vosの電圧が印加される。これにより、結果的にオフセットキャンセル容量518にはVosの電圧が印加されることになる。
【0062】
その後、第1のオフセットキャンセルスイッチ515、第2のオフセットキャンセルスイッチ516をオフし、第3のオフセットキャンセルスイッチ517をオンすることでノードX1の電圧がV(x2)で仮想接地されている状態になる。その後、センサキャパシタ101、または参照容量312に蓄積された電荷が転送されると本来転送されるべきΔQs、またはΔQrが積分容量に蓄積される。
【0063】
−可変容量値検出回路の効果−
本実施形態の可変容量値検出回路によれば、結果的に演算増幅器103に個別の入力オフセット電圧が存在し両入力端子の電圧が互いに等しくならない場合であっても、オフセットキャンセル容量518を用いて演算増幅器103の入力電圧のずれを補正することができる。特に、後の実施形態で示すように、センサキャパシタをアレー状に配置した場合でも、列ごとに出力電圧がばらつくのを防ぐことができる。
【0064】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係る可変容量値検出回路を示す回路図である。本実施形態では、センサキャパシタがアレー状(行列状)に配置された可変容量値検出回路の例について説明する。ここでは、M行×N列のセンサキャパシタが配置された例を示している。センサキャパシタ101は、第1のスイッチ105、第2のスイッチ104、第3のスイッチ110、第4のスイッチ111と共に、アレー状に配置される。
【0065】
図7に示すように、本実施形態の可変容量値検出回路では、各列の複数個のセンサキャパシタ101がそれぞれ列につき1つ設けられた演算増幅器103に接続される。また、参照容量312もセンサキャパシタ101の行数M、列数Nはそれぞれ任意に設計可能である。また、N列をP個に分割し、演算増幅器103の数をP倍に増やすような構成を採ることもできる。
【0066】
また、それぞれの演算増幅器103の出力71O〜7MOの後段にはソースフォロワ回路や差動増幅器のようにアナログ信号を増幅する構成を配置することも可能であるし、電圧比較器のようにデジタル信号を出力する回路を設けることも可能である。
【0067】
また、本実施形態の駆動方法では、1つの列のM個の演算増幅器103において、各演算増幅器103に接続されるセンサキャパシタ101から転送される電荷を規定回数積分して信号を出力した後、残りのセンサキャパシタ101から転送される電荷を同様にして列ごとに順次規定回数積分する。なお、1つの列のセンサキャパシタ101からの信号の読み出しが終わると、次の列のセンサキャパシタ101からの読み出しを開始する前に各積分回路のリセット用スイッチ113をオンして積分回路の動作をリセットする。
【0068】
本実施形態の可変容量値検出回路によれば、M行分のセンサキャパシタ101から転送される電荷の積分をM個の演算増幅器103で同時にできるため、動作速度を向上させることができる。この複数のセンサキャパシタ101と参照容量312、演算増幅器103のセットを同一チップ上に複数個セットにして配置することで、センサキャパシタ101をアレー状に配置することができる。本実施形態の可変容量値検出回路をレンズなどの光学系、赤外吸収膜などを各センサ容量に適用することで赤外線イメージセンサを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明にかかる可変容量値検出回路は、例えば誘電ボロメータを応用した赤外線センサの検出回路として有用である。また容量型圧電センサなどの検出回路としても応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る可変容量値検出回路の構成例を示す回路図である。
【図2】第1の実施形態に係る可変容量値検出回路の各部における信号波形を示すチャート図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る可変容量値検出回路を示す回路図である。
【図4】第2の実施形態の可変容量値検出回路の各部における信号波形を示すチャート図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る可変容量値検出回路を示す回路図である。
【図6】(a)、(b)は、第3の実施形態に係る可変容量値検出回路における、センサキャパシタ、参照容量および積分容量に蓄積される電荷を示すチャート図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る可変容量値検出回路を示す回路図である。
【図8】従来のセンサの構成と、当該センサで発生するノイズとを示す図である。
【図9】一般的な容量素子の容量値と温度との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
101 センサキャパシタ
102 積分容量
103 演算増幅器
104 第2のスイッチ
105 第1のスイッチ
106 第1の電圧入力端子
107 第2の電圧入力端子
108 出力部
109、509 積分回路
110 第3のスイッチ
111 第4のスイッチ
312 参照容量
313 第6のスイッチ
314 第5のスイッチ
515 第1のオフセットキャンセルスイッチ
516 第2のオフセットキャンセルスイッチ
517 第3のオフセットキャンセルスイッチ
518 オフセットキャンセル容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と第2の電極とを有し、物理現象に伴って容量値が変化する可変容量と、
第1の基準電圧を前記第1の電極に印加するための第1のスイッチと、
前記第1のスイッチと同時にオン状態にならず、前記第1の基準電圧とは異なる第2の基準電圧を前記第1の電極に印加するための第2のスイッチと、
前記第2のスイッチと同期して動作し、前記第1の基準電圧を前記第2の電極に印加するための第3のスイッチと、
前記第1のスイッチと同期して動作し、前記第2の電極に接続された第4のスイッチと、
前記第1のスイッチおよび前記第3のスイッチに接続され、前記第1の基準電圧が入力される第1の入力端子と、前記第4のスイッチに接続された第2の入力端子とを有し、前記第1の入力端子と前記第2の入力端子との間の電位差を増幅する演算増幅器と、前記演算増幅器の出力部と前記第2の入力端子との間に介設された積分容量とを有し、入力された電荷信号を積分する積分回路と
を備えている可変容量値検出回路。
【請求項2】
前記演算増幅器には電源電圧および接地電圧が供給されており、
前記第1の基準電圧と前記第2の基準電圧との差分電圧の絶対値が前記電源電圧より低いことを特徴とする請求項1に記載の可変容量値検出回路。
【請求項3】
前記可変容量の容量値は温度に応じて変化することを特徴とする請求項1または2に記載の可変容量値検出回路。
【請求項4】
前記積分回路は、前記積分容量の両端を電気的に短絡させるためのリセット用スイッチをさらに有していることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の可変容量値検出回路。
【請求項5】
前記積分回路は複数個設けられるとともに列状に配置されており、
前記可変容量、前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチで構成される回路は行列状に配置されるとともに、1つの列に属する前記回路は、複数の前記積分回路の各々から見て並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の可変容量値検出回路。
【請求項6】
前記演算増幅器の第1の入力端子に接続され、前記第1の基準電圧が印加される第3の電極と、第4の電極とを有する参照容量と、
前記演算増幅器の前記第2の入力端子および前記積分容量と前記第4の電極との間に介設され、前記第2のスイッチと同期して動作する第5のスイッチと、
前記第1のスイッチと同期して動作し、前記第4の電極に前記第2の基準電圧を印加するための第6のスイッチと
をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の可変容量値検出回路。
【請求項7】
前記参照容量の容量値は前記可変容量の容量値よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の可変容量値検出回路。
【請求項8】
前記積分回路は、
前記演算増幅器の前記第2の入力端子に接続された第5の電極と、前記第4のスイッチに接続された第6の電極とを有するオフセットキャンセル容量と、
前記演算増幅器の出力部と前記第2の入力端子および前記第5の電極との間に介設された第1のオフセットキャンセルスイッチと、
前記積分容量と前記第6の電極との間に介設され、前記第1のオフセットキャンセルスイッチと同期して動作する第2のオフセットキャンセルスイッチと、
前記第6の電極と前記演算増幅器の前記第1の入力端子との間に介設され、前記第1のオフセットキャンセルスイッチおよび前記第2のオフセットキャンセルスイッチと同時にオン状態にならず、前記第6の電極に前記第1の基準電圧を印加するための第3のオフセットキャンセルスイッチと
をさらに有していることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の可変容量値検出回路。
【請求項9】
第1の電極および第2の電極を有し、物理現象に伴って容量値が変化する可変容量と、第1の基準電圧が入力される第1の入力端子と、第2の入力端子とを有し、前記第1の入力端子と前記第2の入力端子との間の電位差を増幅する演算増幅器と、前記演算増幅器の出力部と前記第2の入力端子との間に介設された積分容量とを有し、入力された電荷信号を積分する積分回路とを備えた可変容量値検出回路の駆動方法であって、
前記可変容量を充電するステップ(a)と、
前記第1の電極を前記第1の入力端子に接続させ、前記第2の電極を前記第2の入力端子および前記積分容量に接続させることにより、前記ステップ(a)で前記可変容量に蓄積された前記電荷信号を前記積分容量に転送するステップ(b)と、
前記積分回路の出力電圧を用いて前記物理現象を検知するステップ(c)とを備え、
前記ステップ(a)と、前記ステップ(b)とを交互に複数サイクル行った後に前記ステップ(c)を行うことを特徴とする可変容量値検出回路の駆動方法。
【請求項10】
前記演算増幅器には電源電圧および接地電圧が供給されており、
前記可変容量に印加される電圧の絶対値は、前記電源電圧よりも低く、且つ前記電源電圧を前記ステップ(a)および前記ステップ(b)のサイクル数で除算した値以上であることを特徴とする請求項9に記載の可変容量値検出回路の駆動方法。
【請求項11】
前記積分回路は、前記積分容量の両端を電気的に短絡させるためのリセット用スイッチをさらに有しており、
前記ステップ(c)の後に、前記リセット用スイッチをオンすることにより、前記積分回路の動作をリセットするステップ(d)をさらに備えていることを特徴とする請求項9または10に記載の可変容量値検出回路の駆動方法。
【請求項12】
前記積分回路は複数個設けられるとともに列状に配置されており、
前記可変容量は行列状に配置されるとともに、1つの列に属する前記可変容量は、複数の前記積分回路の各々から見て並列に接続されており、
前記ステップ(a)と、前記ステップ(b)とを交互に複数回行って1つの列に属する前記可変容量から各行に配置された前記積分容量への前記電荷信号の転送を同時に行ない、
前記ステップ(d)を挟んで順次次の列に属する前記可変容量から各行に配置された前記積分容量への前記電荷信号の転送を行うことを特徴とする請求項11に記載の可変容量値検出回路の駆動方法。
【請求項13】
前記可変容量値検出回路は第3の電極および第4の電極を有する参照容量をさらに備えており、
前記ステップ(b)と同時に、前記演算増幅器から見て逆極性の電荷を前記参照容量に蓄積させるステップ(e)と、
前記ステップ(a)と同時に、前記第3の電極を前記第1の入力端子に接続させ、前記第4の電極を前記第2の入力端子および前記積分容量に接続させることにより、前記参照容量に蓄積された電荷を前記積分容量に転送するステップ(f)とをさらに備えていることを特徴とする請求項9〜12のうちいずれか1つに記載の可変容量値検出回路の駆動方法。
【請求項14】
前記参照容量の容量値は前記可変容量の容量値よりも小さいことを特徴とする請求項13に記載の可変容量値検出回路の駆動方法。
【請求項15】
前記積分回路は、前記第2の入力端子に接続された第5の電極と、第6の電極とを有するオフセットキャンセル容量をさらに有しており、
前記ステップ(b)および前記ステップ(f)を除く期間中に、前記第5の電極を前記演算増幅器の出力部に接続させるとともに、前記第6の電極を前記積分容量に接続させるステップ(g)と、
前記ステップ(b)および前記ステップ(f)を除く期間中であって前記ステップ(g)の後に、前記第6の電極を前記第1の入力端子に接続するとともに、前記第6の電極に前記第1の基準電圧を印加するステップ(h)と
をさらに備えていることを特徴とする請求項13または14に記載の可変容量値検出回路の駆動方法。
【請求項16】
前記演算増幅器のゲインが1に設定されていることを特徴とする請求項15に記載の可変容量値検出回路の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−26249(P2008−26249A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201704(P2006−201704)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】