説明

合成樹脂組成物及び自動車内外装材

【課題】これまでになく優れた耐候性を有する合成樹脂組成物及びこれを用いた自動車内外装材を提供する。
【解決手段】合成樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)、


の部分構造を有するヒンダードアミン化合物(A)0.01〜20質量部と、特定の構造を有するベンゾエート化合物(B)0.01〜20質量部と、を(A)/(B)成分の質量比率1/1〜1/5で配合してなる合成樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂組成物及び自動車内外装材に関し、詳しくは、特定のヒンダードアミン化合物と特定のベンゾエート化合物を組み合わせることで高度に耐候性の改善された合成樹脂組成物、およびこの合成樹脂組成物からなる自動車内外装材に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂は、光により劣化して長期の使用に耐えないため、ヒンダードアミン化合物や紫外線吸収剤を添加することにより安定化して用いることが一般に行われている。
【0003】
かかるヒンダードアミン化合物としては、例えば、下記特許文献1〜5に記載されているものの他、種々の化合物が提案されている。
【0004】
また、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤など多種の紫外線吸収剤が知られている。例えば、特許文献6では、ベンゾエート系紫外線吸収剤として、フェニルベンゾエートおよびアルキルベンゾエートが提案されている。
【0005】
さらに、添加剤を併用することで高度な安定化樹脂組成物が得られることも広く知られている。例えば、下記特許文献7〜11では、特定のヒンダードアミン化合物とベンゾエート系紫外線吸収剤との併用が提案されている。
【特許文献1】特公昭46−42618号公報
【特許文献2】特開昭48−65180号公報
【特許文献3】特開昭59−62651号公報
【特許文献4】特開平1−113368号公報
【特許文献5】特開平2−166138号公報
【特許文献6】特公昭41−565号公報
【特許文献7】特開平11−310667号公報
【特許文献8】特開平11−106577号公報
【特許文献9】特開2000−136271号公報
【特許文献10】特開2000−159945号公報
【特許文献11】特開2004−210987号公報
【特許文献11】特開2005−054105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、自動車内外装材等において、今日、より高度の耐候性が要求されるようになってきており、これまでのヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤若しくはこれらの併用のいずれにおいても充分に満足のいくものではなくなってきた。
【0007】
そこで本発明の目的は、これまでになく優れた耐候性を有する合成樹脂組成物及びこれを用いた自動車内外装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のヒンダードアミン化合物と特定のベンゾエート系紫外線吸収剤の組み合わせにより、これまでになく優れた耐候性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)、

(式中、R、R、R及びRは各々独立に炭素原子数1〜4の低級アルキル基、Rは水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル基、または炭素原子数5〜8のシクロアルキル基を示す)で表される部分構造を有するヒンダードアミン化合物(A)0.01〜20質量部と、
下記一般式(2)、

(式中R及びRは各々独立に炭素原子数1〜8のアルキル基を、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアルキルアリール基、または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を示す)で表されるベンゾエート化合物(B)0.01〜20質量部と、
を(A)/(B)成分の質量比率1/1〜1/5で配合してなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の合成樹脂組成物において、上記ヒンダードアミン化合物(A)と上記ベンゾエート化合物(B)の{(A)/(B)}成分の質量比率は、好ましくは1/2〜1/4である。また、上記ヒンダードアミン化合物として、下記一般式(3)、

(式中、Rは上記Rと同じものを示す)で表される化合物を好適に挙げることができる。さらに、上記一般式(2)におけるRが炭素原子数1〜30のアルキル基であることが好ましい。さらにまた、上記合成樹脂としてはポリオレフィン系樹脂を好適に挙げることができ、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはエチレン―プロピレン共重合樹脂が好ましい。
【0011】
本発明の自動車内外装材は、上記合成樹脂組成物からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、これまでになく優れた耐候性を有する合成樹脂組成物およびこれを用いた自動車内外装材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる合成樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンおよびこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂、及びこれらの混合物、又は、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等のエラストマーであってもよい。上記合成樹脂のうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン―プロピレン共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂を本発明の合成樹脂組成物とすることが好ましい。
【0014】
上記合成樹脂は、比重、平均分子量、溶融粘度、モノマー組成、溶媒への不溶分比率、立体規則性の有無や種類、重合終了時点での形状や大きさ、重合に用いた触媒の種類、触媒残渣の失活処理・除去処理の有無や方法、触媒由来の樹脂中に残存する金属種や酸成分の有無・種類・濃度などによらず、用いることができる。
【0015】
本発明に用いられる上記一般式(1)で表される部分構造を有するヒンダードアミン化合物(A)におけるR、R、RおよびRで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二ブチル、第三ブチルなどが挙げられる。
【0016】
上記一般式(1)におけるRで表される炭素原子数1〜18のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどが挙げられる。ヒドロキシル基で置換されたアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルなど、上記アルキル基に対応する基に水酸基が置換された基が挙げられる。
【0017】
上記一般式(1)におけるRで表される炭素原子数5〜8のシクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
【0018】
上記一般式(1)で表される部分構造を有するヒンダードアミン化合物としては、より具体的には、以下のNo.1〜6の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0019】

【0020】

【0021】

【0022】

【0023】

【0024】

【0025】
上記具体的に示した化合物の中で、化合物No.1は、特に耐候性の付与効果が大きいので好ましい。
【0026】
本発明に用いられるベンゾエート化合物(B)は、前記一般式(2)で表され、式中、RおよびRは各々独立に炭素原子数1〜8のアルキル基を、また、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、素原子数7〜30のアルキルアリール基または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表す。特に、Rがアルキル基である化合物は、本発明の硬化性樹脂組成物の耐候性改良効果に優れるので好ましい。
【0027】
前記一般式(2)におけるRおよびRの炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、第三ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルなどが挙げられる。
【0028】
前記一般式(2)におけるRの炭素原子数1〜30のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
【0029】
前記一般式(2)におけるRのアリール基としてはフェニルが、アルキルアリール基としては、メチルフェニル、ブチルフェニル、2,4−ジ第三ブチルフェニル、2,4−ジ第三アミルフェニル、2,4−ジクミルフェニル、2,4−ジ第三ブチル−5−メチルフェニル等が挙げられる。アリールアルキル基としては、フェニルメチルが挙げられる。
【0030】
前記一般式(2)で表されるベンゾエート化合物としては、より具体的には、以下の化合物No.7〜15などが挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0031】

【0032】

【0033】

【0034】

【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

【0039】

【0040】
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂100質量部に対して、ヒンダードアミン化合物(A)0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部と、ベンゾエート化合物(B)0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部とを上記(A)成分と上記(B)成分の質量比1/1〜1/5、好ましくは1/2〜1/4の質量比率で配合するものである。上記ヒンダードアミン化合物(A)が0.01質量部より少ないと所期の安定化効果が十分ではなく、一方、20質量部より多く用いるとブルームにより樹脂組成物の美観を損ない、また安定化効果もほとんど向上しない。また、上記ベンゾエート化合物(B)が0.01質量部より少ないと安定化効果がなく、一方、20質量部より多く用いると樹脂物性が低下したり、ブルームにより樹脂組成物の美観を損なうなどの問題が出てくるおそれがある。
【0041】
本発明の合成樹脂組成物は、必要に応じてフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、他の紫外線吸収剤、他のヒンダードアミン化合物、造核剤、難燃剤、難燃助剤、エチレンビスステアリン酸アミドやエルカ酸アミドなどの加工性改良剤、顔料、充填剤、可塑剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤などの添加剤を併用することができる。
【0042】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、トコフェノール等が挙げられる。
【0043】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4−[3−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0044】
上記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0045】
上記他の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
【0046】
上記他のヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
【0047】
上記造核剤としては、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムなどの芳香族カルボン酸金属塩;ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸リチウム、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等の酸性リン酸エステル金属塩;ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトールなどの多価アルコール誘導体などが挙げられる。
【0048】
上記難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤;赤燐、リン酸メラミンなどの無機リン化合物、リン酸トリフェニル、レゾルシノール・フェノール・リン酸縮合物、ビスフェノールA・2,6−キシレノール・リン酸縮合物などのリン酸エステル化合物からなるリン系難燃剤;水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの無機難燃剤;メラミンシアヌレートなどの含窒素化合物などが挙げられ、酸化アンチモンなどの難燃助剤やフッ素樹脂、シリコン樹脂などのドリップ防止剤などと併用することが好ましい。
【0049】
上記顔料としては、有機、無機いずれでもよく、酸化チタン、硫化亜鉛などの白色顔料;カーボンブラック等の黒色顔料;酸化クロム、クロムグリーン、ジンクグリーン、塩化銅フタロシアニングリーン、フタロシアニングリーン、ナフトールグリーン、マラカイトグリーンレーキなどの緑色顔料;群青、紺青、銅フタロシアニンブルー、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、フォストスカイブルー、インダンスレンブルー等の青色顔料;鉛丹、ベンガラ、塩基性クロム酸亜鉛、クロムバーミリオン朱、カドミウム赤、バラレッド、ブリリアントカーミン、ブリリアントスカーレット、キナクリドン赤、リソールレッド、バーミリオン、チオインジゴレッド、ミンガミヤレッドなどの赤色顔料;黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ハンサイエロー、オーラミンレーキ、ベンジジンイエロー、インダンスレンイエローなどの黄色顔料が挙げられる。
【0050】
上記充填剤としては、ガラス繊維、タルク、シリカ、炭酸カルシウムなどが用いられる。充填剤は樹脂との親和性を改善するためにチタン系、シラン系等の表面処理剤で表面処理されたものが好ましい。
【0051】
上記金属石鹸としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などの金属と、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの飽和もしくは不飽和脂肪酸の塩が用いられる。含水率、融点、粒径、脂肪酸の組成、製造方法がアルカリ金属の脂肪酸塩と金属(水)酸化物の反応による複分解法であるか脂肪酸と金属(水)酸化物の溶媒存在下もしくは不存在下に中和反応する直接法であるかによらず、また、脂肪酸か金属のいずれかが過剰であっても用いられる。
【0052】
上記ハイドロタルサイト類としては、天然物でも合成品でもよく、リチウムなどのアルカリ金属で変性されたものでもよい。特に、下記一般式(4)、
ZnxMgyAl(OH)(x+y+2) CO・nHO (4)
(式中、xは0〜3、yは1〜6、また、x+yは4〜6を示す。nは0〜10を示す)で表される組成のものが好ましく、結晶水の有無や表面処理の有無によらず用いることができる。また、粒径はとくに限定されるものではないが、ハイドロタルサイトとしての特性を失わない範囲で小さいことが望ましい。粒径が大きいと分散性が低下して安定化効果が小さくなり、さらに、得られる樹脂組成物の機械的強度や透明性などの物性を低下させることになる。
【0053】
上記の各種配合物は、樹脂の種類や加工条件、用途に応じて配合量、品質などは適宜選択される。また、樹脂への添加方法としては、各配合物を各々別個に樹脂へ添加してヘンシェルミキサーなどで混合してから加工機へ供給する方法、樹脂以外の配合物の任意の組み合わせを予め混合物として粉体や顆粒状としたものを樹脂へ添加する方法、樹脂中へ高濃度で配合してマスターペレットとしたものを樹脂へ添加する方法、複数の供給口を有する押出機で樹脂とは別の供給口から樹脂へ添加する方法など公知の添加方法が用いられる。
【0054】
本発明の合成樹脂組成物の加工方法は、特に制限されず、用いられる樹脂、充填剤の有無などにより公知の加工方法が適宜用いられる。具体的には、本発明の合成樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形、積層成形等公知の各手段で成形される。
【0055】
本発明の合成樹脂組成物は、後述する耐候性の評価において、曇りが認められないもので、グロスが30以上、好ましくは35以上のものである。グロスの低下は、表面にクラックが生じていることを示し、美観の低下の他、機械的強度の低下をも意味する。
【0056】
本発明の合成樹脂組成物の用途は特に制限されないが、一般の内外装材、好ましくは輸送機械の内外装材、特に好ましくは、過酷な環境にさらされる自動車の内外装材などの屋外光に暴露される用途などに好適に用いられる。自動車の内外装材としては、バンパー、スポイラー、サイドバイザ、カウルベントグリル、ラジエータグリル、サイドモールディング、エンドパネルガーニッシュなどの外装材や、インスツルーメントパネル、天井、ドアー、座席、トランク室などの内装材が挙げられる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0058】
〔実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1−2〕
エチレン−ポリプロピレン共重合樹脂(MFR=30、密度=0.90g/cm、曲げ弾性率1700MPa)85質量部、タルク15質量部、グレー顔料3.0質量部、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)オキシメチル]メタン0.1質量部、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、カルシウムステアレート0.1質量部および下記表1記載の光安定剤(ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤:表1における配合量の単位は質量部である)を230℃で押出し加工してペレットとし、得られたペレットを230℃で射出成形して厚さ2mmの試験片を得た。
【0059】
試験片の耐候性を、キセノンテスト(条件:UV照射強度0.55W/m、波長340nm、ブラックパネル温度89℃、石英フィルター使用)により、クラック発生時間(hr)、グロス残存率(%)及び色差(ΔE)により評価した。
【0060】
グロスについては、東京電色(株)製グロスメータ、モデルTC−108Dにより測定した(単位はなし)。得られた結果を下記の表1に示す。
【0061】
【表1】

*1:化合物 No.1:

*2:化合物 No.7:

【0062】
〔実施例2−1〕
下記の表2記載の配合に基づき、ベンゾエート成分(B)を化合物No.13に代えた以外は、上記実施例と同様の方法により試験片作成及び耐候性評価を行った。結果を表2に合わせて示す。
【0063】
〔比較例2−1〜2−6〕
表2記載の配合に基づき、ヒンダードアミン化合物及びベンゾエート化合物を配合した以外は、上記実施例と同様の条件により試験片作成及び各評価を行った。得られた結果を下記の表2に合わせて示す。
【0064】
【表2】

*3:化合物No.13:

*4:比較化合物1:

*5:比較化合物2:

*6:比較化合物3:

【0065】
表1示す結果より、本発明の特定のヒンダードアミン化合物及び特定のベンゾエート化合物を本発明で規定する特定比率にて配合することにより、耐候性能、特にクラック発生時間が良好で顕著な効果を示していることが分かる。また、表2に示す結果より、本発明の特定のヒンダードアミン化合物及び特定のベンゾエート化合物の組み合わせによってのみ、顕著な効果を示すことが分かる。
【0066】
従って、本発明により優れた耐候性を有する合成樹脂組成物及びそれを用いた自動車内外装材を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)、

(式中、R、R、R及びRは各々独立に炭素原子数1〜4の低級アルキル基、Rは水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル基、または炭素原子数5〜8のシクロアルキル基を示す)で表される部分構造を有するヒンダードアミン化合物(A)0.01〜20質量部と、
下記一般式(2)、

(式中R及びRは各々独立に炭素原子数1〜8のアルキル基を、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30の、アルキル、ジアルキル若しくはトリアルキルアリール基、または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を示す)で表されるベンゾエート化合物(B)0.01〜20質量部と、
を(A)/(B)成分の質量比率1/1〜1/5で配合してなることを特徴とする合成樹脂組成物。
【請求項2】
上記ヒンダードアミン化合物(A)と上記ベンゾエート化合物(B)の{(A)/(B)}成分の質量比率が1/2〜1/4である請求項1記載の合成樹脂組成物。
【請求項3】
上記ヒンダードアミン化合物が、下記一般式(3)、

(式中、Rは上記Rと同じものを示す)で表される化合物である請求項1または2に記載の合成樹脂組成物。
【請求項4】
上記一般式(2)におけるRが炭素原子数1〜30のアルキル基である請求項1〜3のいずれかに記載の合成樹脂組成物。
【請求項5】
上記合成樹脂がポリオレフィン系樹脂である請求項1〜4のいずれか一項記載の合成樹脂組成物。
【請求項6】
上記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはエチレン―プロピレン共重合樹脂である請求項5記載の合成樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項記載の合成樹脂組成物からなることを特徴とする自動車内外装材。

【公開番号】特開2009−102556(P2009−102556A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277139(P2007−277139)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】