説明

合成樹脂製成形品及びその製造方法

【課題】合成樹脂製の成形品の流動樹脂の接合部分に発生するウェルドラインにおける強度を高めることを目的とする。
【解決手段】合成樹脂製の成形品3のウェルドライン41を跨って補強部材5が埋め込まれ、補強部材5は、長尺状の基体51と基体51の長手方向の外側面510に凹部52又は/及び突起部57を備えている合成樹脂製の成形品3。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造時に溶融樹脂の流れが合流する接合部分にウェルドラインが発生する合成樹脂の成形品に関し、特にグリップリングの構成部品のアウターリングやインナーリング等の合成樹脂製の成形品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からICチップの製造工程に於いて、シリコンウエハやICチップを保持するために、粘着性フィルムとグリップリングを用いている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この粘着性フィルムは、エラストマーや合成樹脂製のフィルムで、片面に粘着層を有し、粘着層上にシリコンウエハやICチップを貼着し、保持することが出来るものである。
【0004】
又、グリップリングはアウターリング及びインナーリングで構成される二重リング構造であり、アウターリング及びインナーリングは夫々リング状の部材であり、アウターリングの内径とインナーリングの外径は略等しく、インナーリングの外側面をアウターリングの内側面に対向するように、インナーリングをアウターリングに嵌合させ、インナーリングとアウターリング間に伸縮性のあるフィルム等を挟み込むことにより、フィルム等を張った状態で保持することが出来るものである。
【0005】
このように、グリップリングで粘着性フィルムを張った状態で保持させ、粘着性フィルム上にシリコンウエハやICチップを貼着し、保持させることが出来る。
【0006】
このようなアウターリング及びインナーリングは主に合成樹脂を用いて射出成形等により形成され、合成樹脂製の場合、通常、強度を高めるためにガラス繊維等の充填材を用いて成形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−34435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、合成樹脂製のアウターリング及びインナーリング等の成形品には、製造時に溶融樹脂の流れが合流する接合部分にウェルドラインが発生し、ウェルドライン部の曲げや引張等の強度は他の部分に比べて低くなる。特に充填材を用いて成形された場合のウェルドライン部の強度低下は顕著である。
【0009】
そして、シリコンウエハやICチップを保持したグリップリングは、ICチップの製造工程に於いて、例えば電極のハンダ付け工程において、高温にさらされるため、インナーリング及びインナーリングが加熱により膨張し、又、インナーリングの膨張によりアウターリングに引張力がかかり、アウターリング及びインナーリングのウェルドライン部が破損してしまうことがあった。このようにアウターリング又は/及びインナーリングが破損すると、シリコンウエハやICチップを保持することができなくなる。
【0010】
そこで、本発明は合成樹脂製の成形品の流動樹脂の接合部分(ウェルドライン部)における強度を高めることを目的とする。又、充填材を用いて製造された合成樹脂製の成形品の強度を高めることを目的とする。特に、合成樹脂製のアウターリング及びインナーリング、即ちグリップリングの強度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段としての本発明は、合成樹脂製の成形品のウェルドラインを跨って補強部材が埋め込まれていることを特徴とする合成樹脂製の成形品である。
【0012】
又、上記成形品において、前記補強部材は、長尺状の基体と該基体の長手方向の外側面に設けた凹部を備えることを特徴とする合成樹脂製の成形品である。
【0013】
又、上記成形品において、前記補強部材は、長尺状の基体と該基体の長手方向の外側面に設けた突起部を備えることを特徴とする合成樹脂製の成形品である。
【0014】
又、上記成形品において、前記補強部材は、成形品の本体を形成する合成樹脂と同一の合成樹脂で形成されていることを特徴とする合成樹脂製の成形品である。
【0015】
又、上記成形品において、前記基体に設けた凹部は、前記基体の短手方向に貫通することを特徴とする合成樹脂製の成形品である。
【0016】
又、上記成形品において、前記基体は、長手方向の一端から他端に貫通する長貫通孔を備える筒状であり、前記凹部は前記長貫通孔に連通することを特徴とする合成樹脂製の成形品である。
【0017】
又、上記成形品において、前記筒状の基体の内面から突出した突出体を備えて構成したことを特徴とする合成樹脂製の成形品である。
【0018】
又、上記成形品において、前記合成樹脂製の成形品は、グリップリングのインナーリング又はアウターリングであることを特徴とする合成樹脂製の成形品である。
【0019】
又、成形時に流動樹脂が接合する部分を有する合成樹脂製の成形品の製造方法であって、金型内の流動樹脂が接合する部分に補強部材を設置して溶融した合成樹脂を充填することを特徴とする合成樹脂製の成形品の製造方法である。
【0020】
又、上記合成樹脂製の成形品の製造方法において、前記補強部材は、長尺状の基体と該基体の長手方向の外側面に設けた凹部又は/及び突起部を備えることを特徴とする合成樹脂製の成形品の製造方法である。
【0021】
又、上記合成樹脂製の成形品の製造方法において、金型内の補強部材を設置する箇所の両側部に、キャビティ部に突出する突出部を形成した金型を用いることを特徴とする合成樹脂製の成形品の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
以上のような本発明によれば、合成樹脂製の成形品の流動樹脂の接合部分における強度を高めることが出来た。又、充填材を用いた製造された合成樹脂製の成形品の強度を高めることが出来た。特に、合成樹脂製のアウターリング及びインナーリング、即ちグリップリングの強度を高めることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明アウターリングの一実施例の斜視図
【図2】アウターリングの製造時の一工程一実施例概略図
【図3】アウターリングの製造時の一工程他実施例概略図
【図4】本発明グリップリング使用状態図
【図5】図4のA−A断面図
【図6】補強部材の複数実施例の斜視図
【図7】補強部材の第一実施例平面図(a)、(a)のA−A断面図(b)、底面図(c)
【図8】補強部材の第二実施例平面図(a)、(a)のB−B断面図(b)、側面図(c)、底面図(d)、(b)のC−C断面図(e)
【図9】第二実施例の補強部材を用いたアウターリングの製造時の部分概略図
【図10】補強部材の第三実施例断面図(a)、第三実施例の補強部材を用いたアウターリングの製造時の部分概略図(b)
【図11】アウターリングの製造方法一実施例概略図
【図12】アウターリングの製造方法一実施例概略図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明の実施の形態を図を参照して説明する。本発明は、合成樹脂製の成形品のウェルドラインを跨って補強部材が埋め込まれた合成樹脂製の成形品である。合成樹脂製の成形品としてグリップリング2を構成する合成樹脂製のアウターリング3又はインナーリング4を例に説明する。図1はアウターリング3の斜視図である。アウターリング3の成形時の流動樹脂の接合部分であるウェルドライン部40には、ウェルドライン41を跨って補強部材5が埋め込まれ、成形品、即ちアウターリング3は補強部材5以外の合成樹脂部分の本体30と補強部材5とを備えて構成されている。
【0025】
合成樹脂製のアウターリング3を製造する際、図2に示すように、金型6のライナー61から矢印で示す流れのように、成形品の本体30を形成する溶融樹脂がキャビティ部62に注入、充填される。ライナー61から注入された溶融した流動樹脂は、キャビティ部62を満たしつつライナー部61から略等距離の箇所Xで接合してウェルドラインが発生することになる。このウェルドラインが発生する箇所、ウェルドライン部40に補強部材5が埋め込んである。
【0026】
図2に示す成形ではライナー61が1つであるため、ウェルドライン部40が1箇所であるが、ライナー61が複数ある場合には、ウェルドライン部40も複数となるので、夫々のウェルドライン部40にウェルドライン41を跨って補強部材5を埋め込む構成とすればよく、例えば、図3に示すように、アウターリング3の成形時にライナー61が4つであるため、ウェルドライン部40が4箇所発生する場合には、4個のウェルドライン部40にウェルドラインを跨ぐように夫々補強部材5を埋め込めばよい。
【0027】
アウターリング3及びインナーリング4は合成樹脂製の円環状の成形品であり、図4に示すように、アウターリング3の内径とインナーリング4の外径が略等しく、アウターリング3の内側にインナーリング4を嵌合して一体的に固定されグリップリング2が構成される。グリップリング2は、インナーリング4をアウターリング3に嵌合させ、インナーリング4とアウターリング3間に上面に粘着層を有する伸縮性のあるフィルム91を挟み込むことにより、フィルム91を張った状態で保持し、フィルム91上に粘着層を介して貼着したシリコンウエハ92等を保持するものである。
【0028】
又、図4のA−A断面図である図5に示すように、アウターリング3の内側面31に凸体35を設け、インナーリング4の外側面42には凸体35と係合する凹部45を形成して、アウターリング3とインナーリング4の結合強度を高めることが好ましい。凸体35及び凹部45は夫々アウターリング3の内側面31及びインナーリング4の外側面42の全周に亘って形成してもよいが、一部にのみ形成してもよい。もちろん、アウターリング3の内側面31に凹部を形成し、インナーリング4の外側面42に凸体を設けることとしてもよい。
【0029】
補強部材5は、少なくともウェルドライン41を跨ぐことが出来る長さの長尺状の基体51を備えて構成され、成形品、即ちアウターリング3のウェルドライン部40の円弧状の形状に対応させて、基体51を円弧状の曲線状に形成している。尚、補強部材5は、成形品のウェルドライン部40の形状に対応させた形状に形成し、曲線状の他、直線状や屈曲状等に形成することもできる。
【0030】
補強部材5は、基体51の長手方向に直交する断面形状は特に限定されず、図6に示すように、断面形状が円形の円柱(図6(a))や、三角形の三角柱、四角形の四角柱(図6(b))その他の多角形の多角柱やH形状(図6(c))で構成したり、内部空洞の両端が開口した筒状体や、長手方向の断面形状が異なるものでもよい。尚、ウェルドライン41に沿った折れに対する強度を高めるために、補強部材5の長手方向に直交する断面積は、成形品のウェルドライン部40の断面積の2/3以上が好ましい。
【0031】
補強部材5の具体例として、図7の平面図(a)、(a)のA−A断面図(b)、底面図(c)に示すように、基体51は平面視で円弧状に湾曲した長尺状であり短手方向断面が長方形であり、長手方向の外側面510の下面には、成形時に位置決めピンを挿入するためのピン孔56が穿孔されている。
【0032】
補強部材5は、合成樹脂製の成形品の合成樹脂部分、即ち本体30との固定強度を増すために、基体51に本体30と係合する係合部を備えることが好ましい。このような係合部は、基体51の長手方向の外側面510に設けた半球状の凹部52又は先端が半球状の棒状の突起部57で構成でき、凹部52及び突起部57の両方を備えることとしてもよい。このような構成とすることで、成形時に凹部52に本体30を形成する溶融した合成樹脂が充填され、該溶融樹脂が硬化して本体30と補強部材5が係合し、或いは突起部57の周りの本体30を形成する合成樹脂が突起部57に係合して、補強部材5が単純な柱状の場合に比べ、本体30と補強部材5との固定強度を高めることができ、ウェルドライン41を挟んだ引っ張りに対する強度を高め、より破損し難い構成とすることができる。
【0033】
尚、凹部52は半球状に限定されず、方形状等に形成してもよく、補強部材5の短手方向の周囲に溝状に形成してもよい他、図8に示す短貫通孔512のように、基体51の短手方向に貫通させて形成してもよい。又、突起部57としては、棒状体に限定されず、板体、ブロック体等で形成することができ、又、基体51の短手方向の外周に亘って壁状に設けることとしてもよい。
【0034】
基体51の長手方向の外側面510に設けた突起部57は、アウターリング3の成形時に、キャビティ部62内での基体51と金型6との間隔を保つためのスペーサーともなり、溶融樹脂を基体51と金型6との間に流入させ、補強部材5を本体30、即ちアウターリング3の表面に露出させることなく、本体30内に確実に埋設させる作用を有するものである。
【0035】
更に、補強部材5の材質は特に限定されないが、合成樹脂であることが好ましく、更には成形品の合成樹脂、即ち本体30に用いられる合成樹脂と同一の合成樹脂とすることが好ましい。このような構成とすることで、成形時に補強部材5の合成樹脂の表面が溶けて、本体30を形成する合成樹脂と補強部材5の合成樹脂の界面同士が溶着し、補強部材5と成形品の本体30との固定強度を増すことが出来、特に同一の合成樹脂を用いることで、強固に一体化させることが出来、より補強部材5と成形品の本体30との固定強度を増すことが出来る。
【0036】
又、補強部材5が単純な柱状では、成形時に流動樹脂の流れの方向を変化させることはできず、ウェルドライン41は、アウターリング3の縦断面上に直線状に形成される。そして、直線状のウェルドライン41は、強度的に弱く、破損しやすいので、ウェルドラインの強度を高めるために、ウェルドラインを直線状ではなく、曲線状にし、ウェルドラインを長くすることが好ましい。
【0037】
そこで、補強部材5は、長尺状の基体51と基体51に設けた、アウターリング3の製造時の金型6のキャビティ部62内における流動樹脂の流れの方向を変える変流機構を備えて構成することが好ましい。このような構成とすることで、成形時にウェルドライン部40の流動樹脂の流れの方向を変化させることができ、ウェルドラインを曲線状にし、長くすることができ、補強部材5による補強と相俟って、ウェルドライン部40の強度をより高めることが可能となる。
【0038】
このような変流機構を備えた補強部材5の具体例として、図8に示すように、基体51は長手方向の一端から他端に貫通する長貫通孔53を備える断面が四角形の四角柱筒状体が挙げられる。変流機構は基体51の短手方向に貫通する短貫通孔512と突出体たる突出板55とを備えて構成されている。具体的には、基体51の長手方向の対向する外側面間に貫通し、長貫通孔53に連通する短貫通孔512と、基体51の内面から長貫通孔53内に突出した複数の突出板55とで構成している。複数の短貫通孔512は、長貫通孔53を介して連通している。又、突出板55は基体51の内面の対向する壁面、ここでは短貫通孔512が貫通する面の内側から互い違いに対向する壁面方向に側面視(図8(c))で重なり合わないで突出して形成されている。尚、基体51は平面視で円弧状に湾曲した長尺状であり短手方向断面が長方形であり、長手方向の外側面510の下面には、成形時に位置決めピンを挿入するためのピン孔56が穿孔されている。
【0039】
このような構成とすることで、図9に示す矢印のように、金型6のキャビティ部62内での流動樹脂の流れが一定ではなく、様々な方向に変化するので、ウェルドラインを曲線状にし、長くすることができ、ウェルドライン部40の強度を高めることが可能となる。
【0040】
変流機構を構成する突出体は、このように板状の突出板55で構成する他、棒状、ブロック状で形成してもよい。又、突出板55は、短貫通孔512が開口した面に形成してもよいが、開口していない面に形成してもよい。又、短貫通孔512は、基体51の対向する面に開口させる構成に限定されず、4側面、或いは3側面に開口させることとしてもよい。即ち、短貫通孔512は補強部材の断面形状、長さに従って、適宜の面に開口させ、所定数を形成すればよく、又、枝分かれさせてもよく、直線状のほか、曲線状、屈曲状に形成してもよい。
【0041】
変流機構は、突出板55に替えて、或いは突出板55に加えて外側面510から突出した複数の突起部57で構成してもよい。突起部57は側壁の適宜の面から突出させてもよく、又、棒状のほか、板状、ブロック状等で形成してもよいが、基体51の下面に形成することで、補強部材5を金型6から離間させ、流動樹脂を補強部材5の下方にも流れやすくするので好ましい。又、変流機構は突出板55等の突出部や突起部57を設けずに、短貫通孔512のみで構成することとしてもよい。
【0042】
尚、上述のような変流機構を構成するとして説明した突起部57、短貫通孔512等は、基体51と本体30と係合する係合部としても作用し、係合部として説明した凹部52や突起部57は変流機構としても作用することが出来る。更に、突起部57は、係合部及び変流機構としても作用すると共に、基体51と金型6との間隔を保つためのスペーサーとしても作用する。
【0043】
又、補強部材5は、基体51が筒状体でない場合でも、短貫通孔512の構成は同様であり、短貫通孔512同士を連通させてもよいが、させないでもよい。長貫通孔を設けないで、短貫通孔512同士を連通させない場合、図10(a)に示すように、基体519には、長手方向の一端から他端に貫通する長貫通孔を設けずに、上板571、下板572及び上板571と下板572を連結する複数の突出板59で補強部材5を構成してもよい。
【0044】
このような構成とすることで、図10(b)に示す矢印のように、金型6のキャビティ部62内での流動樹脂の流れが一定ではなく、様々な方向に変化するので、ウェルドラインを曲線状にし、長くすることができ、ウェルドライン部40の強度を高めることが可能となり、又、短貫通孔512内に本体30を形成する合成樹脂が充填され、補強部材5と本体30が強固に固定される。
【0045】
又、補強部材5はウェルドライン41を跨いで設置するので、少なくとも流動樹脂の接合部分、即ちウェルドライン部に埋め込めばよいが、成形品と同形状として、成形品の全体にわたって埋め込むこととしてもよい。例えば、図示はしないが、環状のアウターリング3の全周に亘って環状の補強部材を埋め込むこととしてもよい。
【0046】
アウターリング3の製造方法としては、射出成形やトランスファ成形等の溶融させた樹脂を流動させて成形品を成形する方法を用いればよい。又、補強部材5の埋め込み方法は、補強部材5をキャビティ部のウェルドライン部に相当する場所に設置し、樹脂の流れに任せることで、両側から流れてくる溶融した流動樹脂に押されて、ウェルドライン41を跨いだ位置に固定されるようにしてもよいが、ウェルドライン41を跨いだ位置に正確に固定されるよう、図11に示すように、金型6内の補強部材5を設置する箇所の両側部に、キャビティ部62に突出する突出部66を形成した金型6を用いてもよい。この場合、アウターリング3に孔39が形成される。又、図12に示すように、金型6内にバネ69付台座82上に立設させた上下動可能な位置決めピン81を設け、補強部材5のピン孔56にピン81を挿入してキャビティ62内で補強部材5を位置決めし、流動樹脂を注入する方法としてもよく、この場合、ピン81は最後に溶融した流動樹脂に押されて金型6内に収納され、ピン孔56内にも溶融した流動樹脂が充填される。
【0047】
上記実施の形態において、合成樹脂製の成形品としてグリップリング2を構成するアウターリング3又はインナーリング4を例に説明したが、合成樹脂製の成形品はアウターリング3又はインナーリング4に限定されず、成形時に流動樹脂の接合部分を有し、ウェルドラインが発生する他の合成樹脂製の成形品を含むものである。
【符号の説明】
【0048】
2 グリップリング
3 アウターリング
30 本体
4 インナーリング
40 ウェルドライン部
41 ウェルドライン
5 補強部材
51 基体
510 基体の長手方向の外側面
512 短貫通孔
52 凹部
53 長貫通孔
55 突出板
56 ピン孔
57 突起部
6 金型
61 ライナー
62 キャビティ部
66 突出部
81 位置決めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の成形品のウェルドラインを跨って補強部材が埋め込まれていることを特徴とする合成樹脂製の成形品。
【請求項2】
前記補強部材は、長尺状の基体と該基体の長手方向の外側面に設けた凹部を備えることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製の成形品。
【請求項3】
前記補強部材は、長尺状の基体と該基体の長手方向の外側面に設けた突起部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製の成形品。
【請求項4】
前記補強部材は、成形品の本体を形成する合成樹脂と同一の合成樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の合成樹脂製の成形品。
【請求項5】
前記基体に設けた凹部は、前記基体の短手方向に貫通することを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項に記載の合成樹脂製の成形品。
【請求項6】
前記基体は、長手方向の一端から他端に貫通する長貫通孔を備える筒状であり、前記凹部は前記長貫通孔に連通することを特徴とする請求項2から5のうちいずれか1項に記載の合成樹脂製の成形品。
【請求項7】
前記筒状の基体の内面から突出した突出体を備えて構成したことを特徴とする請求項6に記載の合成樹脂製の成形品。
【請求項8】
前記合成樹脂製の成形品は、グリップリングのインナーリング又はアウターリングであることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の合成樹脂製の成形品。
【請求項9】
成形時に流動樹脂が接合する部分を有する合成樹脂製の成形品の製造方法であって、金型内の流動樹脂が接合する部分に補強部材を設置して溶融した合成樹脂を充填することを特徴とする合成樹脂製の成形品の製造方法。
【請求項10】
前記補強部材は、長尺状の基体と該基体の長手方向の外側面に設けた凹部又は/及び突起部を備えることを特徴とする請求項9に記載の合成樹脂製の成形品の製造方法。
【請求項11】
金型内の補強部材を設置する箇所の両側部に、キャビティ部に突出する突出部を形成した金型を用いることを特徴とする請求項9又は10に記載の合成樹脂製の成形品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−51201(P2012−51201A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194762(P2010−194762)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000222749)東洋樹脂株式会社 (6)
【Fターム(参考)】