合成開口ソナーのための方法及びシステム
合成開口ソナーのための方法及びシステムが、受信アレイが水域の中を動くのに応じて、受信アレイの改善された位置推定値を与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概括的には合成開口ソナーに関し、より詳細には、合成開口ソナーにおいて用いられる、動いているソナーアレイの改善された空間位置を提供する、合成開口ソナーのための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブソナーは水中に信号を送信し、水中の目標物からのエコーを受信する。目標物は、限定はしないが、潜水艦、魚雷、係留機雷、海底機雷、ケーブル、及び海丘、海溝、底面等の水底地形(bottom feature)を含むことができる。
【0003】
アクティブソナーシステムは種々の構成を有する。バイスタティックアクティブソナーシステムは、音響送信機及び音響受信機を別の位置に有する。モノスタティックアクティブソナーシステムは、音響送信機及び音響受信機を同じ場所に有する。
【0004】
アクティブソナーシステムの音響受信機部分は受信素子のアレイを有することができ、それらの素子は直線又は曲線として形成される受信アレイとして配列される。それらの受信素子は、受信アレイ内に規則的に、又は不規則に間隔を置いて配置することができる。この構成によれば、受信素子によって与えられる信号を加算して、受信アレイの長さに反比例するビーム幅を有する受信ビームを与えることができる。受信素子によって与えられる信号に対して、相対的な時間遅延又は相対的な位相シフトを導入して、受信アレイの周囲で受信ビームを指向(ステアリング)させることができる。
【0005】
受信アレイが水平受信アレイである場合、受信ビームの方位角幅は、波長毎にアレイの長さに反比例する。それゆえ、受信アレイを長くすることによって、又は動作周波数を高くすることによって、高い空間分解能を達成することができる。しかしながら、物理的なアレイ長は多くの場合に、受信アレイが取り付けられるプラットフォームのサイズによって制限される。さらに、高い音響周波数は水中で急速に減衰するので、長い距離にわたって音が伝搬するのが妨げられる。結果として、従来のアクティブソナーシステムは、受信アレイ長の制約によって、及び音響周波数の制約によって、その性能が制限される。
【0006】
合成開口ソナー(SAS)は、合成開口レーダ(SAR)に類似の特性を有する。SASは、ピング(音響パルス)間でコヒーレントにデータを合成して、実効的に長くしたアレイを合成することによって、アクティブソナーアレイの空間分解能を改善する。SAS処理の場合、ナイキストサンプリングの制約によって、受信アレイが、連続したピング間で受信アレイの物理長の半分以下だけ進む(その軸に沿って動く)ことが要求される。受信アレイがそれよりも速く動くと、結果として、グレーティングローブが形成されることがわかっている。種々のSASアルゴリズムも知られている。
【0007】
SASは、合成開口全体にわたってコヒーレントに、受信アレイからの信号を正確に加算できるようにするために、受信アレイの空間的な進路(トラックすなわち、位置又は動き推定値)を時間とともに極めて正確に推定する必要がある。空間的な進路は、受信アレイの6つの動きの自由度、すなわち3つの変位及び3つの回転に関連付けられることは理解されよう。SAS処理において受信アレイの進路又は進路の一部を推定するためのいくつかの方法が知られている。
【0008】
たとえば、高品質の慣性測定ユニット(IMU)を、ドップラ速度ソナー及び他の補助装置とともに用いて、進路推定値を与えることができる。しかしながら、IMU及び他の
補助装置はコストがかかり、海中の受信アレイの場合に非常に貴重である空間及び電力を必要とする。
【0009】
さらに、受信アレイの個々の受信素子によって与えられる受信信号間の相関(又は位相差)を用いて、連続したピング間での動きの差を推定することができる。この技法は典型的には、狭い方位角及び距離のセクタを調べて、必要とされる動き推定値の次元数を削減することができる。この技法は、6つ全ての自由度における動きのための正確な進路推定値を求めない。
【0010】
さらに、オートフォーカス技法が、その調整能力に基づいて、進路推定値をさらに調整して、結果として生成されるSAS画像の画質を改善することができる。オートフォーカス技法は、合成開口を使用し続けている間(すなわち、時間及び長さにわたって)、動きの差に生じる誤差が累積するのを補償することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ソナーアレイの水中での動きに応じて、動いているソナーアレイの位置及び向きの推定値を与える能力を改善した、合成開口ソナーのための方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、基準面に作用するように複数の送信信号を送信することを含み、複数の送信信号はそれぞれ、動いているソナーアレイの異なる空間的な位置において送信される。本発明はまた、動いているソナーアレイで、基準面からの複数のリターンエコーを受信し、複数のリターンエコーはそれぞれ、複数の送信信号のそれぞれ1つに関連付けられ、複数のリターンエコーのうちの選択されたリターンエコーをビームフォーミングし、それによって複数のビームフォーム信号(ビームフォーミングされた信号)を与える、ことを含む。本発明はさらにまた、複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連の、動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成すること、及び、複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる相関から、動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位を生成することを含む。
【0013】
別の構成では、本方法は、複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の精度を改善し、それによってそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えること;複数の高精度高度差及び複数の高精度水平変位のスウェイ(左右揺)成分を低減し、それによってそれぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与えること;複数の細密高度差及び細密水平変位、複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに複数のスウェイ低減高度差及び複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定すること;及びソナーアレイの推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチ(縦揺)に起因するヒーブ(上下揺)誤差を解消することのうちの1つ又は複数も含むことができる。
【0014】
これらの特定の構成によれば、本方法は、受信アレイが水中を動くのに応じて、受信アレイの位置及び向きの改善された情報を提供する。
本発明の別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングするためのシステムが、基準面に作用するように複数の送信信号を送信すること、動いているソナーアレイで基準面からの複数のリターンエコーを受信すること、及び複数のリターンエコーのうちの選択されたリターンエコーをビームフォーミングして、複数のビ
ームフォーム信号を与えることを実行するためのビームフォーミングモジュールを備える。本システムは、動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成するための概略高度モジュールと、複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる相関から、動いているソナーアレイの複数の細密高度及び複数の細密水平変位を生成するための細密高度差/水平変位モジュールも備える。
【0015】
別の構成では、本システムは、複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の精度を改善し、且つそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えるための高精度高度差/水平運動モジュール;複数の高精度高度差及び複数の高精度水平変位のスウェイ(左右揺)成分を低減し、それぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与えるためのスウェイ低減モジュール;複数の細密高度差及び細密水平変位、複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに複数のスウェイ低減高度差及び複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定するための位相線形化モジュール;及びソナーアレイの推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチ(縦揺)に起因するヒーブ(上下揺)誤差を解消するためのピッチ起因ヒーブ解消モジュールのうちの1つ又は複数も備えることができる。
【0016】
これらの特定の構成によれば、本システムは、受信アレイが水中を動くのに応じて、受信アレイの位置及び向きの改善された情報を提供する。
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の精度を改善し、それによって動いているソナーアレイのそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えることを含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、動いているソナーアレイの複数の高精度高度差及び複数の高精度水平変位のスウェイ(左右揺)成分を低減し、それによって動いているソナーアレイのそれぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与えることを含む。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、複数の細密高度差及び細密水平変位、複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに複数のスウェイ低減高度差及び複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定することを含む。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、動いているソナーアレイの推定された位置及び向きのピッチ(縦揺)に起因するヒーブ(上下揺)誤差を解消することを含む。
【0020】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、受信された波形内のサイクルアンビギュイティを解消することを含む。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、動いているソナーアレイをビームフォーミングし、それによって複数のビームフォーミングされた信号(ビームフォーム信号)を与えること、ビームフォーム信号に関連の、動いているソナーアレイの動きの初期量子化推定値を生成すること、
及び、動いているソナーアレイの動きの初期量子化推定値に関連付けられる空間的に連続した位置推定値を生成することを含む。
【0022】
これらの特定の構成によれば、本方法は、受信アレイが水中を動くのに応じて、受信アレイの位置の改善された情報を提供する。
本発明の上記の特徴、及び本発明そのものは、図面に関する以下の詳細な説明から、さらに十分に理解することができるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書において意図される合成開口ソナーのための方法及びシステムを説明する前に、いくつかの予備的概念及び用語を説明する。本明細書において用いられるときに、用語「サイドスキャンソナー」は、その上に受信素子を有する受信アレイが配置される曳航体を有するタイプのソナーシステムを指している。サイドスキャンソナーの受信アレイは概ね水平に配置され、曳航体の動きに左右される。サイドスキャンソナーの受信アレイを用いて、「受信ビーム」を生成することができる。またサイドスキャンソナーの曳航体は、受信ビームと同じビーム形状、又は異なるビーム形状を有することができる「送信ビーム」を生成するための送信アレイも備えることができる。受信アレイ及び送信アレイとして、受信モード又は送信モードにおいて用いられる物理的に同じアレイを用いることができる。サイドスキャンソナーは、モノスタティック構成において動作することができる。
【0024】
本明細書において用いられるときに、用語「曳航アレイ」は、船舶、ヘリコプタ等によって、「曳航索」で水中を曳航される受信アレイを記述するために用いられる。曳航アレイの受信アレイは概ね水平に配置され、曳航索の動きによって左右される。曳航アレイの受信アレイを用いて、「受信ビーム」を生成することができる。受信アレイ及び受信素子は、受信ビームと同じビーム形状又は異なるビーム形状を有することができる「送信ビーム」を生成するための送信アレイとして用いることもできる。しかしながら、大部分の従来の曳航アレイは、受信アレイとは別の音響送信機を利用する。曳航アレイは、モノスタティック構成又はバイスタティック構成において動作することができる。
【0025】
本明細書において用いられるときに、用語「船体設置(hull-mounted)アレイ」は、水線下で船舶の船体上に配置されるソナーアレイを記述するために用いられる。船体設置アレイの受信アレイは概ね水平に配置され、船舶の動きに左右される。船体設置アレイの受信アレイを用いて、「受信ビーム」を生成することができる。受信アレイ及び受信素子は、送信アレイとして用いて受信ビームと同じビーム形状又は異なるビーム形状を有することができる「送信ビーム」を生成することもできる。しかしながら、大部分の従来の船体設置アレイは、バイスタティック構成において、受信アレイとは別の音響送信機を利用する。船体設置アレイは、モノスタティック構成又はバイスタティック構成において動作することができる。
【0026】
本明細書において用いられるときに、用語「ナディア」は、受信アレイから水域の底面までの距離を指しており、本明細書において「概略」高度とも呼ばれる。
本明細書において用いられるときに、用語「ピング」は、送信される音響パルスを指しており、そのパルスは連続波(CW)パルス、短いパルス、又はCWFM(或いはそれ以外の方法で符号化された)パルスであってもよい。ピングは、動いている送信アレイ及び受信アレイの物理的な場所及び物理的な位置に関連付けられ、ピング間の場所及び位置の変化は、6つの動き度で記述することができる。ピングに関連付けられるエコーは、受信アレイを用いて受信され、ビームフォーミングされ、ピングと関連付けられる「ビームフォーミングされた信号(ビームフォーム信号)」を与える。
【0027】
本明細書において用いられるときに、用語「ビームアスペクト」は、ラインアレイの軸
に対して概ね垂直な方向を記述するために用いられる。
本明細書において用いられるときに、用語「位置」、「向き」及び「場所」は、6つの自由度に従って6つのパラメータで記述することができる物体、たとえばソナー受信アレイの物理的な特性を記述するためにそれぞれ用いられる。
【0028】
本明細書において用いられるときに、用語「基準面」は、送信される音響エネルギーがそれに作用し、そこからの音響エコーがソナーシステムによって受信される表面を記述するために用いられる。基準面が、受信アレイが水中で動くのに応じて、受信アレイの位置を推定することができる表面として用いられることは、以下の説明から明らかになるであろう。以下に与えられる例では、基準面は、海底であると説明される。しかしながら、他の構成では、限定はしないが、基準面を、海水面及び船体にすることができる。
【0029】
基準面は、必ずしも、画像形成、検出及び/又は位置特定が望まれる音響的な「目標物」でないことは理解されよう。たとえば、基準面は海底にすることができ、目標物は潜水艦にすることができる。
【0030】
図1を参照すると、合成開口ソナーシステム10が、サイドスキャンソナー曳航体12を備えており、サイドスキャンソナー曳航体12は、水中を曳航されるのに応じて、12a〜12dで表される複数の物理的な場所において示される。曳航体12は、左舷(port)受信素子(図示せず)を有する左舷受信アレイ(図示せず)と、右舷(starboard)受信素子(図示せず)を有する右舷受信アレイ(図示せず)とを備える。物理的な各場所12a〜12dにおいて、サイドスキャン曳航体12は音響パルス(図示せず)を生成し、そのパルスは、場所12aにおいて、複数の受信ビーム14aa〜14ajによって受信され、場所12bにおいて、複数の受信ビーム14ba〜14bjによって受信され、場所12cにおいて、複数の受信ビーム14ca〜14cjによって受信され、場所12dにおいて、複数の受信ビーム14da〜14djによって受信される。
【0031】
複数の受信ビーム14aa〜14djは、ビームフォーミングプロセッサ16によって形成され、対応するビームフォーム信号16aを与える。合成開口ソナー(SAS)プロセッサ18が、ビームフォーム信号16a上で作動する。SASプロセッサ18は、位置12a〜12dのそれぞれにおける受信アレイの動きの推定値を与え、またその動き推定値に関連付けられる合成開口ビームフォーミングを実行するようになっている。1つの特定の実施形態では、動き推定値は6つの自由度を有する。ビームフォーミングプロセッサ16及びSASプロセッサ18は、ソナープロセッサ20の一部を構成する。グラフィカルユーザインターフェース22が、合成開口ビームフォーミングに関連付けられる表示を与える。
【0032】
本明細書において用いられるときに、用語「ピング対」は、場所12a〜12dのうちの隣接する2つの場所、たとえば位置12a及び12bに関連付けられる。ピングが各場所12a〜12dにおいて生成され、水域の底面(すなわち、基準面)からのエコーが、関連する受信ビームによって、各場所12a〜12dにおいて受信されることは理解されよう。
【0033】
本明細書において用いられるときに、用語「ビームインデックス」は、場所12a〜12dのうちのいずれか1つにおける、方位角方向にある複数のビームの中からの1つのビームを指している。たとえば、ビーム14aa、14ba、14ca、14daは、ビームインデックス0に対応することができ、ビーム14ab、14bb、14cb、14dbはビームインデックス1に対応することができ、他も同様である。
【0034】
本明細書において用いられるときに、用語「ビーム対」は、場所12a〜12dのうち
の隣接する2つの場所において選択された受信ビーム、たとえば受信ビーム14ac及び14bcを指している。ビーム対は、同じビームインデックスを有するビームから構成される必要はない。それゆえ、たとえば、別のビーム対は、ビーム14ac及び14bbを含むことができる。
【0035】
本明細書において用いられるときに、用語「Nピングブロック」は、ピングが生成され、対応するエコーが受信される、所定の数Nの受信アレイの位置を指している。たとえば、1つの例示的なNピングブロックは、図に示されるように、4つのピング、4つの場所12a〜12d、及び受信ビーム14aa〜14djに対応することができる。しかしながら、Nピングブロックは、5つ以上、又は3つ以下のピングにも対応できることは理解されたい。1つの特定の実施形態では、たとえば、Nピングブロックは、512個のピング、対応する受信アレイ場所、及び対応する受信アレイ受信ビームを含む。
【0036】
サイドスキャンソナー曳航体及び受信ビームが示されるが、上記の用語及び以下の概念は、曳航アレイ、船体設置アレイ、又は無人潜航艇(UUV)のような任意の他のプラットフォーム上に設置されるアレイにも当てはまることは理解されたい。また、4つの場所12a〜12dのそれぞれに10個の受信ビームが示されるが、受信アレイを11個以上、又は9個以下の受信ビームに関連付けることができることを理解すべきである。場所12a〜12dは、比較的広い間隔で配置されるように示されるが、ピング及び受信ビームが生じる場所は、それよりも狭い間隔で配置できることは、以下の図1Aにおいて明らかになるであろう。
【0037】
ここで図1Aを参照すると、サイドスキャン曳航体12が、わずかな距離だけ異なる2つの場所30a、30bにおいて示される。明瞭にするために、複数の受信ビームのうちのいくつかだけが示される。場所30aでは、受信ビーム32aa、32ah、32ai及び32apが示される。場所30bでは、受信ビーム32ba、32bh、32bi及び32bpが示される。場所30a及び受信ビーム32aa、32ah、32ai及び32apは第1のピング=0に関連付けられ、そのピングは、送信ビームパターン34aa、34abに対応する。場所30b及び受信ビーム32ba、32bh、32bi及び32bpは第2のピング=1に関連付けられ、そのピングは、送信ビームパターン34ba、34bbに対応する。
【0038】
送信ビームパターン34aa、34ab、34ba、34bbは、受信ビームパターン32aa、32ah、32ai、32ap、32ba、32bh、32bi、32bpよりもはるかに大きなビーム幅を有することができることは理解されよう。また、1つの特定の実施形態では、図に示されるように、2つの送信ビームパターンだけが存在する。
【0039】
上述のように、任意の数のピングが存在することができる。しかしながら、図1の受信ビーム14aa〜14djとは異なり、第1の場所30aにおける受信ビーム32aa、32ah、32ai及び32apは、第2の場所30bにおける受信ビーム32ba、32bh、32bi及び32bpとそれぞれ重なり合う。この構成は、先に図1において示されたものよりも、低速の曳航速度及び/又は高速のピング速度に対応する。
【0040】
ここで図1Bを参照すると、図1の類似の要素が類似の参照符号を有し、位置30aにある曳航体12の正面図が、2つの送信ビーム34aa及び34abを示す。局所的なx、y、z座標系36、38、40に対して、左舷及び右舷方向が示される。x軸36が位置30aにある曳航体12の向きに合わせられている。局所的な座標系及び左舷及び右舷指示は,以下で数学的な関係において用いられる。
【0041】
曳航体12は、海洋又は他の水域の底面41から上方への高度42において曳航される
。底面41は基準面として用いられる。
図に示されるような送信ビーム34aa、34abは、底面41に対して垂直に(即ち最短経路でまっすぐに)音波を発射するようには見えない。しかしながら、音響ビームパターンが厳密には、図に示されるように制限されないこと、及びそれらのビームパターンは、他の角度においてもエネルギーを放射及び/又は受信し、限定はしないが、底面41に向かって垂直に誘導されることも含まれることは当業者には理解されよう。
【0042】
ここで図1Cを参照すると、図1A及び図1Bの類似の要素は類似の参照符号を有し、位置30aにある曳航体12が、右舷に対する受信ビーム32aa〜32ahと、左舷に対する受信ビーム32ai〜32apとを有する。16個の受信ビームが示されるが、17個以上、又は15個以下の受信ビームが存在することができる。
【0043】
図2〜図4、図4B、図5、図6、図7、図8、図8A、図9及び図10は、以下で熟考される技法に対応する流れ図を示しており、それらは、コンピュータシステム20(図1)において実施されることになることを理解すべきである。長方形の要素(図3の要素102によって代表される)は、本明細書では「処理ブロック」を示しており、コンピュータソフトウエア命令又は命令群を表す。菱形の要素(図3の要素116によって代表される)は、本明細書では「判断ブロック」を示しており、処理ブロックによって表されるコンピュータソフトウエア命令の実行に影響を及ぼすコンピュータソフトウエア命令又は命令群を表す。
【0044】
別法では、処理ブロック及び判断ブロックは、デジタルシグナルプロセッサ回路又は特定用途向け集積回路(ASIC)のような機能的に等価な回路によって実行されるステップを表す。その流れ図は、任意の特定のプログラミング言語の構文(シンタックス)を表さない。むしろ、その流れ図は、回路を製造するために、又はコンピュータプログラムを生成して、特定のシステムから要求される処理を実行するために、当業者が必要とする機能的情報を示す。ループ及び変数の初期化、及び一時的な変数の使用等の数多くのルーチンプログラム要素は図示されないことに留意すべきである。本明細書において他に指示されない限り、記述されるブロックの特定のシーケンスは例示にすぎず、本発明の精神から逸脱することなく変更できることは、当業者には理解されよう。したがって、他に説明されない限り、以下に記述されるブロックは、その順番どおりに実行される必要はなく、可能である場合には、それらのステップは、任意の都合の良い順序、又は望ましい順序で実行できることを意味している。
【0045】
ここで図2を参照すると、たとえば、図1のソナープロセッサ20において、プロセス50を実施することができる。プロセス50は、ブロック50aのビームフォーミンググループにおいて開始し、そのグループでは、物理的なソナーシステムがNピングブロックを送信及び受信し、受信されたエコー信号をビームフォーミングする。
【0046】
一般的な動き推定法では、結果として、連続した空間領域において受信アレイの動きが推定されるであろう。しかしながら、これは、離散時間(すなわち、デジタル形式でサンプリングされた)データを用いて直に達成することはできない。それゆえ、動き推定は、2段階で実行される。最初に、ブロック50bの量子化初期設定ブロックが、受信アレイが水中を進むのに応じて、受信アレイのいくつかのタイプの動きに関する空間的に量子化された推定値を与える。次に、ブロック50cの連続位置推定グループが、「位相線形化」判定基準を用いて受信アレイが水中を動くのに応じて、受信アレイの動き(場所及び/又は位置)の空間的に連続した推定値を生成する。位相線形化判定基準は、図7に関連してさらに後述するが、受信アレイの連続した空間位置における小さな摂動の線形近似を与える。ブロック50bの量子化初期設定グループからの動き推定値は、ブロック50cの連続位置推定グループでの線形化点として用いられる。位相線形化判定基準によって、受
信アレイが水中を進むのに応じて、受信アレイの空間的に連続した動きを正確に推定できるようになる。ブロック50dの後処理グループは、たとえば、座標変換及び画像形成を含む、合成開口処理を与える。
【0047】
ブロック50aのビームフォーミンググループはブロック52において開始し、ブロック52では、ソナーシステム、たとえばサイドスキャンソナーシステムが、送信ビーム及びNピングブロックにおいて1組の送信ピングを送信する。Nピングブロックは、先に説明したように、受信アレイの複数の場所におけるピングを含む。各ピングは、1つ又は複数の送信ビームパターン、たとえば図1Bに示されるように2つの送信ビームパターンを含むことができ、その場合、一方は進行方向の左舷に対するものであり、他方は右舷に対するものである。
【0048】
ブロック54では、水底面(すなわち、基準面)から1組のエコーが受信され、各エコーは送信ピングのうちの1つに対応する。ブロック56では、受信アレイが受信ビームパターンを与え、結果として(ビームフォーミングされた)ビームフォーム信号が生成される。このビームフォーム信号は、たとえば、図1のビームフォーム信号16aに対応することができる。受信ビームパターンは、たとえば、図1の受信ビームパターン14aa〜14djに対応することができる。
【0049】
ブロック50bの量子化初期設定グループはブロック58において開始し、ブロック58では、ビームフォーム信号に関連して、ソナープロセッサが、Nピングブロック内のピングのうちの1つ又は複数と概ね一致する、受信アレイの位置に関連付けられる「概略(粗)」高度を特定する。概略高度の特定は、図3に関連して、さらに十分に説明される。しかしながらここでは、概略高度が、水域の底面から又は底面に向け音波が垂直に伝わるのに関連付けられる時間遅延によって特定されるということを言うにとどめる。
【0050】
ブロック60では、ビームフォーム信号に関連して、ソナープロセッサが、Nピングブロック内のピングのうちの1つ又は複数と概ね一致する、受信アレイの位置に関連付けられる「精細(細密)」高度差及び「細密」水平変位を特定する。細密高度差及び細密水平変位の特定は、図4及び図4Aに関連して、さらに十分に説明する。しかしながらここでは、細密高度差が、各ピングの場所におけるビームフォーム信号と、先行する場所におけるビームフォーム信号との相関によって特定されるということを言うにとどめる。1つの特定の実施形態では、その相関は、たとえば、図11〜図11Cに関連して説明されるように、クリッピングされた相関(clipped correlation)である。
【0051】
ブロック62では、ブロック60において生成された細密高度差及び細密水平変位が、より高い精度及び分解能を与えるために改善され、「高精度」高度差及び「高精度」水平変位が与えられる。高精度高度差及び高精度水平変位の特定は、図5〜図5Eに関連して、さらに十分に説明される。しかしながらここでは、高精度高度差及び高精度水平変位が、ブロック60の相関に基づいて実行される補間プロセスによって特定されるということを言うにとどめる。
【0052】
ブロック64では、ランダムな左右揺(スウェイ、即ちランダムな水平変位)に対する補正が行われ、「左右揺(スウェイ)低減」高度及び「左右揺(スウェイ)低減」水平変位が与えられる。左右揺低減は、図6及び図6Aにおいて、後にさらに十分に説明される。しかしながらここでは、ランダムな水平変位が特定され、高精度高度差及び高精度水平変位から除去されるということを言うにとどめる。
【0053】
ブロック50cの連続位置推定グループはブロック66において開始し、ブロック66では、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位を「位相線形化方程式」に当てはめるこ
とによって、受信アレイの連続した位置が計算される。位相線形化方程式は、図7〜図7Hに関連して、さらに十分に説明される。ここでは、いくつかの自由度において動きを幾何学的に計算するために、位相線形化方程式は、受信アレイ対称性を利用するということを言うにとどめる。1つの特定の実施形態では、位相線形化方程式は、6つの自由度において、受信アレイの動きの推定値を与えることができる。後述するように、結果として生成される上下揺(ヒーブ、即ち垂直方向への動き)位置推定値は、受信アレイのDC縦揺に起因する誤差によって汚染されることがある。ブロック68では、DC縦揺(ピッチ)に起因する上下揺誤差が、図8〜図8Bにさらに詳細に示されるように分離され、低減される。ブロック50dの後処理グループはブロック70において開始し、ブロック70では、上記の計算が、受信アレイに対して局所的な座標系内で行われたなら、その位置推定値が、地球座標、たとえばNED(north-east-down)座標に変換される。ブロック72では、位置推定値を用いて、合成開口ソナービームフォーミング及び画像形成が実行される。
【0054】
ブロック58〜64が、高度及び水平変位に関して、徐々に精度が高くなる推定値を与えることは、上記の説明から明らかであろう。ブロック58において、概略高度及び概略水平変位が与えられ、ブロック60において、細密高度差及び細密水平変位が与えられ、ブロック62において、高精度高度差及び高精度水平変位が与えられ、ブロック64において、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位が与えられる。ブロック66は、6つまでの量子化されない自由度において、さらに正確な位置を与え、ブロック68は、上下揺(高度)計算の縦揺汚染を除去する。
【0055】
ここで、図3を参照すると、図2のブロック58に関連して先に説明された概略高度を与えるプロセス100がブロック102において開始し、ブロック102では、Nピングブロックに関連付けられる複数のビームフォーム信号が選択される。ビームフォーム信号はそれぞれ、アスペクト(側方、即ち進行方向に対して概ね垂直な)ビームに関連付けられる。ブロック104では、底面検出閾値が選択され、ブロック106では、選択されたビームフォーム信号が底面検出閾値と比較される。結果として生成された信号は、ブロック108においてモルフォロジカルエロージョン(形態学的縮退)を用いて、且つブロック110においてモルフォロジカルダイレーション(形態学的膨張)を用いて処理される。
【0056】
形態学的縮退は、背景(水柱)サンプルによって空間的に取り囲まれる、前景(海底)サンプルの小さなセットを除去するために、閾値処理後のデータに適用することができる既知の技法である。これは、水柱内の魚のようなクラッタを除去するだけでなく、ナディアリターンを、より長い距離にシフトする。形態学的膨張は、縮退によって除去されたクラッタを元に戻すことなく、残りのナディアリターンを概ね元の位置に戻すために、縮退後のデータに適用することができる既知の技法である。正味の結果として、ブロック112において、より正確に底面が検出される。
【0057】
ブロック114では、それぞれの2つ以上のピングに関連付けられる底面の2つ以上の検出値をメジアンフィルタにかけることができる。たとえば、ピング毎に、そのピングに関連付けられる底面の検出値と、前後のピング、たとえば、先行する3つのピング及び後続の3つのピングに関連付けられる底面検出値とを用いて、そのピングに関連付けられる中央値の概略高度を与えることができる。
【0058】
ブロック114では、Nピングブロックの全てのピングのための概略高度を求めた後に、判断ブロック116によって示されるように、それが最後のNピングブロックである場合には、そのプロセスは終了する。別のNピングブロックが存在する場合には、そのプロセスは、ブロック118に従って、次のNピングブロックに進み、そのプロセスはステッ
プ102に戻り、別のNピングブロックの場合に、プロセス102〜114が繰り返される。
【0059】
ここで図4を参照すると、図2のブロック60に従って細密高度差及び細密水平変位を生成するために、プロセス150が用いられる。プロセス150は適応的なプロセスであり、以下に説明されるブロック202に関連して、マルチスケール探索を用いて、高度差(変化)が推定される。未知の動きに対して、どのビーム対が空間的に最も良好に重なり合うことになるかが予めわからないので、1組の候補ビーム対が用いられる。1つの特定の実施形態では、マルチスケール探索は最初に、小さな1組の相対的に数の少ない候補高度差のそれぞれ、すなわち共通の物理的な動きに関連付けられる第1の「スケール」を試してみる。第1のスケールによる処理が、条件に合った解を生成し損なう場合には、その処理は、第2のスケール、すなわち、より大きな高度差を含む、より大きな1組の候補高度差で繰り返される。典型的には、第2のスケールにおける処理は、小さなパーセンテージのピング対の場合にのみ必要とされるであろう。
【0060】
プロセス150は判断ブロック152において開始し、ブロック152では、最初のNピングブロックの場合に、プロセスは判断ブロック154に続く。判断ブロック154において、それが最初のNピングブロックである場合には、プロセスはブロック156に続き、ブロック156では、ピング番号インデックスpが1に初期化される。
【0061】
判断ブロック158では、ピング番号インデックスpがN、すなわちNブロック内のピングの数未満である場合には、そのプロセスはブロック160に続き、ブロック160では、各ピングに関連付けられる1組のビーム対が特定される。ビーム対は上述している。1つの特定の実施形態では、各ピングに関連付けられる2つのビーム対が存在する。たとえば、1つのビーム対は、受信アレイの第1の場所におけるビームアスペクト受信ビームと、受信アレイの第2の場所におけるビームアスペクト受信ビームとを含むことができる。この例では、別のビーム対は、受信アレイの第1の場所におけるビームアスペクト受信ビームと、受信アレイの第2の場所における、わずかに後方に指しているビームとを含むことができる。この特定の実施形態によれば、受信アレイは関連するピング間の合間で前方に動いているので、受信アレイの第1及び第2の場所における受信ビームは、それらのビームが異なるビームインデックスを有する場合であっても、水域の底面の同じ領域を指すことができることを認識すべきである。
【0062】
ブロック162では、相関閾値、correlation_thresholdが特定され、それは、後述する相関ベクトルに適用される。ブロック164では、スケールインデックス、scale_indexが1に初期化される。前述のように、数多くのタイプのソナープラットフォームの動きでは通常、その高度はピング間でわずかにしか変化しないが、時折、その動きは大きく変化する。本明細書において用いられるときに、用語「スケール」は、ある高度差範囲に及ぶ1組の候補高度差を指している。高度差範囲が徐々に大きくなる種々のスケールを処理することによって、小さな高度差範囲を有する、見込みがありそうな複数のスケールの迅速な探索を助長することができる。或る特定の実施態様では、1組の候補高度差は、高度を均一に探索するために、等間隔で配置される。しかしながら、他の実施態様では、高度差は不均等な間隔で配置される。スケールインデックス、scale_indexは、特定の1組の候補高度差を指示する。
【0063】
ブロック166では、最大相関ベクトル変数、max_corrが0に初期化される。最大相関ベクトル変数は、以下で相関に関連付けられるコヒーレント相関ベクトル値の包絡線の最大値を保持するために用いられる。max_corrは、受信アレイの細密高度差及び細密水平変位に関連付けられることは、以下の説明から明らかになるであろう。
【0064】
そのプロセスは判断ブロック168に進み、ブロック168では、scale_indexがスケールの数(たとえば2)以下であり、max_corrがcorrelation_threshold未満である(すなわち、条件に合った高度差が見つけられていないが、試されていない候補高度差が残っている)場合には、そのプロセスはブロック170に進み、ブロック170では、ビーム対インデックス、beam_pair_index=bpが1に初期化される。上記のように、ビーム対インデックスは、1つ又は複数のビーム対のうちの1つを特定する番号である。ビーム対の各メンバは、受信アレイの異なる隣接場所、及び対応する異なるピングに関連付けられる。2つの場所のそれぞれにおける複数の受信ビームはいずれも、そのビーム対の中に入ることができる。
【0065】
そのプロセスは判断ブロック172に進み、ブロック172では、bpがビーム対の数以下であり、且つmax_corrが相関閾値未満である場合には、そのプロセスはブロック174に進み、ブロック174では、そのスケールに関連付けられる一群の候補高度差が選択される。
【0066】
ブロック176では、高度インデックス、altitude_index=aiが1に初期化される。高度インデックスは、候補高度差のうちのどれが後続の処理において用いられるかを特定するインデックス番号である。判断ブロック178において、altitude_indexがブロック174において選択された候補高度差の数以下である場合には、ブロック180において、対応する候補高度差の評価が開始される。
【0067】
ブロック180では、ビーム対(たとえば、ピングp及びp+1に関連付けられる)の中の各ビームフォーム信号に対するビームフォーム信号が水平面(すなわち水平距離)に変換される。ピング=pにおけるビーム対の中のビームは、図3において特定される概略高度を用いて変換され、ピング=p+1におけるビーム対の中のビームは、ピング=pの概略高度にaltitude_index=aiによって特定される候補高度差を加えたものに等しい候補高度を用いて変換される。直線距離から水平距離への変換を実行する方法は、当業者には理解されよう。
【0068】
ブロック182では、結果として生成された、水平距離のビームフォーム信号を相関させて、結果として、相関値を有する相関ベクトルが生成される。相関ベクトルの中で、ベクトル値のうちの1つが他のベクトル値よりも高いことがあり、ベクトル値のうちの1つが、altitude_index=aiに関連付けられる選択された候補高度差がピングp及びp+1における受信アレイの高度間の実際の高度差であることを指示することがあるものと予想される。また、高い相関値を達成するために相関において用いられる水平距離シフトが、ピングpとp+1との間の受信アレイの水平変位に関連付けられることがある。しかしながら、別の候補高度の場合の相関ベクトルにおいて、さらに高い相関値が達成されることもある。1つの特定の実施形態では、その相関は、たとえば図11〜図11Cに関連して示されるように、クリッピングされた相関である。
【0069】
ブロック184では、ブロック166において予め0に初期されているmax_corrが、ブロック182において生成されるmax_corr又は相関ベクトルの最大相関ベクトル値のいずれかの最大値に等しくなるように更新される。最大相関ベクトル値は、関連するbeam_pair_index、候補altitude_index=aiに対応する関連する高度差=dalt(ai)及び最大ベクトル値に関連付けられる潜在的な水平変位=dhoriz(ai)とともに保持される。
【0070】
ブロック186では、アンビギュイティ行列が更新される。アンビギュイティ行列は、図4Aに関連する説明から理解されよう。しかしながらここでは、アンビギュイティ行列が、各行がブロック182において計算された相関値を有する相関に対応し、それぞれ異なる行が異なる候補高度差において生成される相関に対応する数値行列であるということ
を言うにとどめる。
【0071】
そのプロセスはブロック204に進み、ブロック204では、候補高度差が、altitude_index=aiをai+1にインクリメントすることによって更新される。そのプロセスは、各候補高度差が評価されるまで、ブロック178〜186及び204の中をループする。ループする度に、関連するbeam_pair_index、関連する高度差=dalt(ai)、及び最大ベクトル値に関連付けられる潜在的な水平変位=dhoriz(ai)とともに、最大相関値、max_corrが保持される。この構成によれば、最大ベクトル値が、関連する情報とともに、複数の相関ベクトルの中から特定される。
【0072】
ブロック186において更新されたアンビギュイティ行列は、そのプロセスがブロック178〜186及び204の中をループするのに応じて繰返し構成される。アンビギュイティ行列は、図4Aに関連してさらに後述する。しかしながら、上記のように、アンビギュイティ行列はベクトル値の行列であり、異なる行がそれぞれ、ブロック204においてインデックスを付された異なる候補高度差において、ブロック182において生成された相関ベクトルに対応する。その行列内のベクトル値のうちの少なくとも1つは、max_corrに等しい最も大きな値である。
【0073】
ブロック198において開始する後続の処理は、適当なmax_corr値がブロック178〜186及び204において得られなかった場合の例外処理である。ブロック198では、beam_pair_indexが1だけインクリメントされ、そのプロセスは再び判断ブロック172に進む。判断ブロック172において、ブロック178〜186及び204の処理が、適当なmax_corr値を与えなかった場合、すなわちmax_corrがブロック162において選択された相関閾値未満である場合、且つ新たなビーム対が最後のビーム対を越えていない場合、すなわちbeam_pair_indexがビーム対の数以下である場合には、新たなビーム対を用いて、ブロック174〜186、198及び204のプロセスが繰り返される。しかしながら、上記の条件が満たされない場合には、そのプロセスはブロック202に進み、ブロック202において、スケールインデックスがインクリメントされる。
【0074】
上記のように、スケールインデックスが大きくなるほど、ブロック180の水平距離変換において用いられる対応する1組の高度差が、一般的には起こりにくい高度差になる。そのプロセスは判断ブロック168に進み、ブロック168において、ブロック178〜186、198及び204の処理が、適当なmax_corr値を与えなかった場合、すなわちmax_corrがブロック162において選択された相関閾値未満である場合、且つ新たなスケールが最後のスケールを越えていない場合には、新たなスケールインデックスにおける候補高度差に対して、ブロック170〜186、198及び204のプロセスが繰り返される。しかしながら、上記の条件が満たされない場合には、最大相関が相関閾値未満であった場合でも、ブロック194において、max_corrに対応する現在の高度差及び水平距離シフトが受け入れられる。その後、プロセスはブロック190に進む。
【0075】
そのプロセスはブロック190に進み、ブロック190では、p=p+1にインクリメントすることによってピング対がインクリメントされ、そのプロセスは判断ブロック158に進む。判断ブロック158では、ピングブロック内の全てのピングが、その処理において用いられていない場合には、新たなピング対を用いて、ブロック160〜186、204及び202のプロセスが繰り返される。しかしながら、判断ブロック158において、ピングブロック内の全てのピングが処理されていた場合には、その処理は判断ブロック152に進む。判断ブロック152において、もはやNピングブロックが存在しない場合には、そのプロセスは終了する。しかしながら、別のNピングブロックが存在する場合には、ブロック188において次のNピングブロックにインクリメントして、そのプロセスが繰り返される。
【0076】
上記の説明から、且つ要約すると、ピング対毎に、ビーム対に関連付けられる、対応するビームフォーム信号が最初に水平距離に変換されることが明らかになるはずである。そのビーム対のビームのうちの第1のビームは、図3のプロセス100によって確認されるように、概略高度を用いて変換される。ビーム対のビームのうちの第2のビームは、種々の候補高度差を用いて変換される。2つ水平距離のビームフォーム信号の相関は、細密高度差を生成するだけでなく、ピング対の中の2つのピングに対応する受信アレイの場所の間の細密水平変位も生成する。
【0077】
ここで図4Aを参照すると、図4にブロック200において生成されるようなアンビギュイティ行列210が、水平変位に等価である時間遅延に関連付けられる列212a〜212pを含む。またアンビギュイティ行列は、altitude_index=aiによってインデックスを付される候補高度差を用いる相関に対応する行214a〜214fも含む。
【0078】
アンビギュイティ行列の各行は、各行に沿った枠によって表される相関値を有する相関として生成される。相関ベクトルとして、図4のブロック182に関連付けられる相関ベクトルを用いることができる。アンビギュイティ行列の相関値が示されており、最も色が濃い枠216aは最も高い相関を有し、数多くの白い枠は概ね0の相関を有し、斜線を付された枠は中間の相関値を有する。斜線を付された枠216b〜216gは、かなり高い相関を有し、雑音がある場合には、ピーク(たとえば、216a)と間違われることもある。本明細書において用いられるときに、楕円状の1組の枠216a〜216gは、「アンビギュイティ表面」と呼ばれる。アンビギュイティ表面のかなり高い相関の枠216a〜216gを通って、「アンビギュイティ長軸」218を生成することができる。
【0079】
ここで図5を参照すると、図2のブロック62に関連付けられるプロセス300がブロック302において開始し、ブロック302では、相関ベクトルの最大ベクトル値を通って、粗いアンビギュイティ長軸が描かれる。粗いアンビギュイティ長軸218は、たとえば図4Aに示される。
【0080】
これまで説明したアンビギュイティ行列、たとえば、図4Aのアンビギュイティ行列210は、水平距離及び高度に関して、或る特定の分解能及び精度を有する。分解能はアンビギュイティ表面のサイズであり、それは主に、送信信号、及び相関において用いられる俯角幅によって制御される。それは、量子化効果とは無関係である。対照的に、アンビギュイティ表面のピークを測定することができる精度は、空間サンプリングレートに直に結び付けられる。高度の精度は、図4のブロック174において選択される候補高度差の細分性によって決定される。水平距離精度は、図4のブロック180において水平距離に変換される際に用いられる空間サンプリングレートによって決定される。最も粗い許容精度は、時間領域の送信信号において与えられるナイキストレート等によって制御され、それはさらに、アンビギュイティ表面分解能に結び付けられる。
【0081】
アンビギュイティ長軸の精度を改善するために、枠の水平方向間隔をさらに細かくして、所与の高度差の場合のピーク相関の水平距離シフトの推定値をさらに正確にすることが望ましいであろう。それゆえ、ブロック304では、ビームフォーム信号が、より高いサンプリングレートに補間され、ブロック306では、そのサンプリングレートを用いて、より高い空間サンプリングレートにおいて、補間されたビームフォーム信号が水平距離に変換される。ブロック308では、それに応じて小さくなった水平方向の枠を用いて、アンビギュイティ行列が生成し直される。
【0082】
1つの特定の実施形態では、より密度が高いアンビギュイティ行列だけが、既知の粗いアンビギュイティ軸付近の場所を占める。なぜなら、粗いアンビギュイティ行列において
特定される高度及び水平変位は、より高密度のアンビギュイティ行列内の最大ベクトル値によって特定される高度及び水平変位に近い可能性が高いためである。アンビギュイティ行列内の各成分は、相関中に、2つのビームフォーム信号のドット積によって生成されることは当業者には理解されよう。それゆえ、アンビギュイティ表面の個々のセルは、ドット積で形成する(計算する)ことができる。ドット積を用いる結果として、粗いアンビギュイティ軸の近くで、アンビギュイティ表面が迅速に形成されるようになる。
【0083】
しかしながら、代替の構成では、さらに細密な時間遅延間隔を用いて、図4に関連して説明された完全相関を生成し直して、より高密度のアンビギュイティ表面全体を形成することができる。完全相関を用いることは、おそらく、既知の粗いアンビギュイティ軸の近くでドット積を計算するだけの場合よりも長い処理時間を要するであろう。
【0084】
いずれの構成でも、高精度アンビギュイティ表面から、中間精度のアンビギュイティ長軸を確立することができる。
中間精度のアンビギュイティ長軸は、アンビギュイティ行列、すなわちアンビギュイティ表面の振幅が高い部分の勾配に対応する。勾配を正確に推定するために、ブロック310は、1組の候補勾配、∂alt/∂horを仮定して、アンビギュイティ表面上の勾配∂alt/∂horの線に沿って、相関の全ての高度にわたる和の全ての水平シフトにわたる最大値をプロットする。その曲線は、図5Dに関連してさらに後述する。
【0085】
ブロック312では、ブロック310において生成された曲線に、放物線関数又は他の数学的な関数が当てはめられる。その数学的な関数も、図5Dに関連してさらに後述する。
【0086】
ブロック314では、放物線関数又は他の数学的な関数のピークが特定される。放物線のピークは、高精度高度差及び高精度水平変位に関連付けられる。
ブロック316では、高精度高度差及び高精度水平変位が、数学的な関数のピークに従って特定される。
【0087】
ブロック318では、高精度アンビギュイティ長軸及び短軸が決定される。高精度アンビギュイティ長軸は、ブロック316において特定された高精度アンビギュイティ表面上の高精度高度差及び高精度水平変位の中を通る。高精度アンビギュイティ短軸は、アンビギュイティ長軸に対して垂直である。
【0088】
最後のNピングブロックが処理されたなら、判断ブロック320において、そのプロセスは終了する。最後のNピングブロックが処理されていない場合には、ブロック322に示されるように、次のNピングブロックが選択され、プロセス302〜320が繰り返される。
【0089】
ここで図5Aを参照すると、最大相関値は、ただ1つの枠352において生じることがあるか、又は複数の枠内で生じることがある。或る特定の実施形態では、最大相関を有する複数の枠のうちの任意の1つの枠がピークとして選択される。最大相関の枠352は、細密水平変位354及び細密高度差356に関連付けられ、それらはそれぞれ、枠352の列及び行によって特定される。
【0090】
ここで図5Bを参照すると、図5Aの類似の要素が類似の参照符号を有するように示されており、粗いアンビギュイティ長軸358が、最大ベクトル値352、及びアンビギュイティ表面350の他の行内の他の最大値の中を通るように推定される。粗いアンビギュイティ長軸は、たとえば、図5のブロック302において推定される。
【0091】
ここで図5Cを参照すると、図5A及び図5Bの類似の要素が類似の参照符号を有するように示されており、高精度アンビギュイティ表面360が、ビームフォーム信号を補間し、その表面の行毎に、より小さな時間遅延増分及び関連する水平変位を与えることによって構成される。しかしながら、図示される完全な高精度アンビギュイティ表面360に反して、図5のブロック308に関連して前述のように、新たなドット積最大値(斜線を付された枠として示される)と、対応する中間精度アンビギュイティ軸364を与えるために、粗いアンビギュイティ軸358の近くにある、ドット積のいくつかだけが計算される。
【0092】
ここで図5Dを参照すると、グラフが、アンビギュイティ表面の長軸の勾配∂alt/∂horに対応する横軸と、候補勾配の最適性を指示する縦軸とを含む。曲線372においてプロットされる最適性の測定基準は、アンビギュイティ表面上の勾配∂alt/∂horを有する線に沿った、相関の全ての高度にわたる和の全ての水平シフトにわたる最大相関ベクトル値である。曲線372に当てはめるために、数学的な関数374が用いられる。1つの特定の実施形態では、その数学的な関数は放物線関数である。しかしながら、他の実施形態では、他の関数、たとえば、多項式関数を用いることができる。ピーク376が特定され、高精度アンビギュイティ長軸及び高精度アンビギュイティ短軸を計算する際に、対応する勾配∂alt/∂horが用いられる。
【0093】
ここで図5Eを参照すると、高精度アンビギュイティ長軸380が、図5Dのピーク376のための勾配に等しい勾配を有するように定義される。高精度アンビギュイティ短軸382は長軸380に対して直交するように定義される。
【0094】
ここで図6を参照すると、プロセス400が、図2のブロック64において示されるような左右揺低減を提供する。そのプロセスはブロック402において開始し、ブロック402では、個々のピング対にそれぞれ関連付けられる、Nピングブロックのための複数のアンビギュイティ軸に沿って、相関ベクトル値の最大値が特定される。
【0095】
ブロック406では、複数のアンビギュイティ軸に関連して、垂直な上下揺軸が特定される。ブロック408では、垂直な上下揺軸に従ってピングブロック内のピングのための高精度高度差及び高精度水平変位を調整することによって、複数のアンビギュイティ軸上の最大値が、アンビギュイティ軸に沿って、垂直な上下揺軸と交差するように調整される。判断ブロック410では、Nピングブロックが最後のNピングブロックである場合には、そのプロセスは終了する。しかしながら、別のNピングブロックが存在する場合には、そのプロセスはブロック412に続き、別のNピングブロックが選択され、そのプロセスが繰り返される。
【0096】
ここで図6Aを参照すると、図6のプロセス400がグラフ形式で示される。たとえば、図5のプロセスに関連して確認されたように、縦軸460は高精度高度差に対応し、横軸462は高精度水平変位に対応する。複数の高精度アンビギュイティ軸452a〜452lが、図4〜図5Eのプロセスに従って求められ、高精度アンビギュイティ軸はそれぞれ、1つのピング対に関連して構成される1つの高精度アンビギュイティ表面に対応する。高精度アンビギュイティ軸は、類似の勾配を有する。各高精度アンビギュイティ軸上に示される白抜きの点は高精度高度差及び高精度水平変位に対応し、それぞれ図5に関連して上述している。
【0097】
曳航体のような、多くのソナープラットフォームの場合に、曳航体の運動学は、概ね安定した左右揺(クラッビング)及び大きく変動する上下揺を有することが予めわかっている。上下揺は多くの場合に概ね正弦曲線を描き、海洋の波によって物理的に引き起こされる。しかしながら、図6Aの白抜きの点は、垂直方向よりも、水平方向において大きく変
位が変動していることが明らかである。これは物理的には妥当ではなく、アンビギュイティ表面のピークが正確に選択されないことに起因して生じる。この問題を緩和するのを助けるために、全ての白抜きの点が同じ水平シフトを有するように、左右揺低減アルゴリズムが、そのアンビギュイティ長軸に沿って各白抜きの点(不正確になっている領域)をシフトする。
【0098】
垂直な上下揺軸454は、たとえば、白抜きの点によって指示される水平変位の中央値に対応する位置において生成することができる。別の実施形態では、垂直な上下揺軸454は、白抜きの点によって指示される水平変位の平均値をとることができる。
【0099】
垂直な上下揺軸454を有するとき、白抜きの点をそれぞれ、その個々のアンビギュイティ長軸452a〜452lに沿って動かして、垂直な上下揺軸454に達することができる。一旦、動かされたなら、白抜きの点は垂直線上の黒塗りの点になり、各点は左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位に対応する。
【0100】
ここで図7を参照すると、プロセス500が図2のブロック66に対応し、そのブロックは、ブロック50cの1組の連続位置推定プロセスの先頭である。合成開口ソナーは、複数のピングにわたって、ビームフォーム信号をコヒーレントに加算する。それは、波長よりもかなり小さな精度までの位置合わせ(位置推定値によって与えられる)を必要とし、サンプリングレートがナイキストレートよりも数桁大きくない限り、図2の初期化ブロック50bでは達成することはできない。位相線形化技法を用いて、波長未満の精度が達成される。相関に対応する位相線形化判定基準が、連続した空間領域に関して表され、その後、それが、図2の初期化ブロック50bによって得られる推定値からの連続した空間領域内の小さな摂動に対して線形化される。いくつかの対称性を用いて、種々の自由度間の位相線形化が近似的に切り離され、それゆえ計算が簡単になる。
【0101】
プロセス500は判断ブロック502において開始し、ブロック502では、最初のNピングブロックの場合に、そのプロセスは判断ブロック504に進み、その後、ブロック506に進む。ブロック506では、ピング番号pが1に初期化される。
【0102】
そのプロセスは判断ブロック508に進み、ブロック508では、ピング番号がNより小さい場合には、そのプロセスはブロック510に進む。ブロック510では、ピングp及びピングp+1を含むように、ピング対が選択される。ブロック512では、ピングpにおける受信アレイの位置に従って局所的な座標が選択される。局所的な座標は、図1B及び図1Cに関連して説明されている。ブロック514では、ピングp及びピングp+1の両方の場合に、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位が特定される。左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位は、図6及び図6Aに関連して上述している。代替の構成では、代わりに、細密高度差及び細密水平変位、又は高精度高度差及び高精度水平変位を用いることができる。
【0103】
ブロック516では、ピングpとp+1との間で、受信アレイの前方への動き及び船首揺(ヨーイング:yaw)が推定される。この目的を達成するために、ブロック518において、ピング対、受信アレイについて対称な左舷及び右舷、ビームアスペクトについて対称な船首及び船尾に関連して、4つのビーム対が選択される。ブロック520では、第1の位相線形化方程式を用いて、前方への動き及び船首揺推定値が計算される。第1の位相線形化方程式は、図7Aに関連して後述する。
【0104】
ブロック522では、ピングpとp+1との間で、受信アレイの横揺(ロール:roll)速度(横揺ではない)及び左右揺(スウェイ)が推定される。この目的を果たすために、ブロック524において、ピング対、1つの左舷及び1つの右舷、及びビームアスペクト
について同じ方位角に関連して、2つのビーム対が選択される。ブロック526では、第2の位相線形化方程式を用いて、横揺速度及び左右揺推定値が計算される。
【0105】
ブロック528では、ピングpとp+1との間で、受信アレイの縦揺の変化が推定される。この目的を果たすために、ブロック530において、ピング対、右舷(又は左舷)のみ、及びビームアスペクトについて対称な船首及び船尾に関連して、2つのビーム対が選択される。ブロック532では、第3の位相線形化方程式を用いて、縦揺の変化の推定値が計算される。
【0106】
ブロック534では、ピングpとp+1との間で、受信アレイの上下揺が推定される。この目的を果たすために、ブロック536において、ピング対に関連して、1つのビーム対が選択される。ビーム対には、任意のビーム対を用いることができる。ブロック538では、第4の位相線形化方程式を用いて、上下揺推定値が計算される。
【0107】
特定の位相線形化方程式において用いられるいくつかの入力パラメータは、先行する位相線形化方程式において推定される項に対応することは理解されよう。左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位も位相線形化方程式において用いられる。具体的な詳細は後に示す。
【0108】
そのプロセスはブロック542に進み、ブロック542では、ピング番号pがインクリメントされる。判断ブロック508において、ピング番号pがN未満である場合には、上記のプロセスは新たなピング対について繰り返される。判断ブロック508において、ピング番号pがN未満でない場合には、そのプロセスは判断ブロック502に進み、ブロック502では、さらにNピングブロックが残っているか否かの判定が行われる。もはやNピングブロックが残っていない場合には、そのプロセスは終了する。さらにNピングブロックが残っている場合には、そのプロセスはブロック540に進み、ブロック540では、Nピングブロックが次のNピングブロックにインクリメントされ、上記の残りのプロセスブロックが繰り返される。
【0109】
ここで図7Aを参照すると、絵図550が、ピングp及びp+1の場所にそれぞれ対応する2つの位置552a、552bのそれぞれにおける曳航体552を示す。受信アレイ(図示せず)は曳航体552上に配置される。
【0110】
第1の線554aは、曳航体552が位置552aにあるときの受信アレイのビームアスペクトに対応する。第2の線554bは、曳航体552が位置552bにあるときの受信アレイのビームアスペクトに対応する。第1の曲線556aは、曳航体552が位置552aにあるときに、受信ビーム最大応答角(MRA)が水域の底面と交差する場所に対応する。第2の曲線556bは、曳航体552が位置552bにあるときに、受信ビームMRAが水域の底面と交差する場所に対応する。破線558は、曲線556aと556bとの間の中線に対応する。曲線556a、556b、558は双曲線である。
【0111】
ビームフォーム信号は、海底の音波が当たる領域内に存在する小さな散乱体の大きなフィールドからの1組のエコーの線形重畳としてモデル化することができる。音波を当てられる領域は、ピング間及びビーム間で変化する。ビームが概ね重なっている場合には、小さな散乱体の音波を当てられるフィールドの交差点は、2本の双曲線556a、556bの平均558に沿って分布する、小さな散乱体の大きなフィールドとして粗く近似することができる。それゆえ、ビーム対を相関させて、最適な高度差及び水平変位が曳航体の動きを指示する。
【0112】
図4のブロック180に関連して説明した直線距離/水平距離変換は、実際の高度を(
ビームアスペクトに対する)MRAの余弦で割った値に等しい「ビーム−高度」、及びビームアスペクト水平変位をMRAの余弦で割った値に対応する「ビーム−水平変位」に基づかなければならない。したがって、以前に得られた高度差及び水平変位は、実際にはビーム−高度及びビーム−水平距離であり、すなわち、それらは面から離れるビーム角に依存する。
【0113】
各ビームの時間応答を各散乱体からのエコーの線形重畳としてモデル化することによって、プラットフォームが動くのに応じて、相関がいかに変化するかを求めるための式が導出される。位置の小さな摂動は、ビームフォーム信号のサンプルの包絡線に影響を及ぼさないように近似される。位相シフトのテイラー級数展開を実行して、以下の位相線形化判定基準が得られる。
【0114】
【数1】
【0115】
ただし、
u=beam_pair_index(ビーム対インデックス);
p=ping_number_index(ピング番号インデックス);
v=水平距離への変換後の水平サンプルインデックス;
w=左舷(port)アレイ及び右舷(starboard)アレイの横方向分離;
λ=搬送波周波数の音響波長;
Lu=ビーム対uのための位相線形化判定基準。通常、それぞれが自らのLuを有する、複数のビーム対が考慮される。;
Lv,u=水平距離サンプルvから生じるLuの部分;
Gp,u(α,β)=高度及び水平距離に概ね対応するダミー変数α、βの場合の、時刻2sqrt(α2+β2)/cにおけるピングp、ビーム対uのためのビームフォーム信号;
G*p+1,u(α,β)=高度及び水平距離に概ね対応するダミー変数α、βの場合の、時刻2sqrt(α2+β2)/cにおけるピングp+1、ビーム対uのためのビー
ムフォーム信号の共役複素数;
c=水中の音の速度;
【0116】
【数2】
【0117】
Δεz,u=εz,p+1,u−εz,p,u=左右揺低減高度差に相当する;
Δεγ,u=εγ,p+1,u−εγ,p,u=左右揺低減水平変位に相当する;
【0118】
【数3】
【0119】
【数4】
【0120】
εγ,p,u=名目的なγv,uからの、ピングp、ビーム対uにおける水平距離サンプルvの線形化点の差。これは、すべての水平距離サンプルの場合に同じであることに留意されたい;
εγ,p+1,u=名目的なγv,uからの、ピングp+1、ビーム対uにおける水平距離サンプルvの線形化点の差。これは、すべての水平距離サンプルの場合に同じであることに留意されたい;
γv,u=ピングp及びp+1の両方の場合の、ビーム対uのための水平距離サンプルuに対する名目的な水平オフセット。オフセットはピング間で異なるので、これは厳密なオフセットでないことに留意されたい;
Ωv,u=実際の位置からの線形化点の摂動によって、及び送信方位角の位相符号化によってLu内に導入される位相;
Δρv,u=サンプルv、ビーム対uの場合のピングp及びp+1のための直線距離シフトの差に概ね対応する中間ダミー変数;
φu=(1/2)(φp+1,u+φp,u);
φp+1,u=ビームアスペクト(すなわち、相対的な曳航体座標であって、固定された地球座標ではない)に対する、ピングp+1の場合のビーム対uに対応するビームのMRA;
φp,u=ビームアスペクト(すなわち、相対的な曳航体座標であって、固定された地球座標ではない)に対する、ピングpの場合のビーム対uに対応するビームのMRA;
Δx=x軸、前方に沿った変位(軸については図1B及び図1Cを参照されたい);
Δy=y軸、右舷に沿った変位;
Δz=z軸、下方に沿った変位;
ψx=x軸を中心にした角度(横揺);
ψy=y軸を中心にした角度(縦揺);
ψz=z軸を中心にした角度(船首揺);
ζ(φ)=ビームアスペクトに対する方位角φのための送信位相;
Δζv,u=サンプルv、ビーム対uにおいて、方位角を送信ビームに位相符号化することから生じる位相差;
ζ’=∂ζ/∂φ、方位角に対する送信位相の偏導関数;
Γ=全ての水平距離サンプルvの集合。
【0121】
上記の判定基準Luは、動き推定値が摂動し、結果として、Luが全てのビーム対の場合に同時にその実数値の最大値に達するときに最適化される。
位相線形化は、時間遅延を位相シフトによって近似することができるという前提に基づく。これは、広い俯角幅を有する狭帯域信号(結果として、包絡線が大きくシフトする前に、位相の弱め合う干渉が生じる)場合のみ適している。これが満たされないとすると、類似の時間線形化が必要とされるであろう。
【0122】
位相線形化方程式は6つの変数からなる関数であり、それらの式は非凸関数である。それゆえ、位相線形化方程式を解くために、大部分の標準的な最適化アルゴリズムを適用するのは難しいであろう。しかしながら、対称性を用いて、位相線形化方程式内の種々の項を消去し、最適化を切り離すことができる。その手順は以下のとおりである。
【0123】
図2のブロック52〜64に関連して、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位が推定される。初期ビーム−高度(図7Aに関連して上述した)が以下のように生成される。
【0124】
【数5】
【0125】
ただし、ap及びap+1は、ピングp及びp+1の場合にナディアリターンから得られる粗い精度の高度推定値である。それらの高度は、精度は低い(時間に関する分解能が粗い)が、正確である(縦揺の存在時の高度差のようにDCバイアスに起因するドリフトがない)ので、ここでは粗い高度を用いることが重要である。Δεz,u差及びΔεγ,u差はそれぞれ、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位に相当する。特定の実施形態では、これらの値からわずかに変動があっても、有益であることもある。相関の包絡線を最大にするεz,p,u、εγ,p,u、εz,p+1,u及びεγ,p+1,uを見つけるために、いくつかの候補高度に場合に水平距離内の2つのビームに相関を適用することができる。これらの項が、任意の特定の物理量には大まかにしか対応しないこと、上記の判定基準を線形化するのに適した点であるにすぎないことを強調しておきたい。
【0126】
次に、2つのビーム対u=αとu=βとの間のLuを合成する内積を次のように定義する。
【0127】
【数6】
【0128】
ただし、
【0129】
【数7】
【0130】
Lα,v=水平距離サンプルvにおける、ビーム対u=αの場合の位相線形化判定基準
Lu;及び
L*β,v=水平距離サンプルvにおける、ビーム対u=βの場合の位相線形化判定基準Luの共役複素数。
【0131】
動きパラメータの特定の近似が利用可能である場合には、その内積項を近似するために、次のように第一近似を行うことができる。
【0132】
【数8】
【0133】
キャロット記号^は、L及びΩ両方の場合の推定値を表すのに対して、非キャロットのΩは対応する真の値である。
第二近似は、真のΩv,uの場合に、角括弧内の量が実数であり、且つ負でないことに基づく。この近似によれば、Gp,uG*p+1,uの振幅だけが無視される。振幅は一般的には均一であるので、それは重要ではないであろう。位相誤差は残る。
【0134】
上記の判定基準は最初に長距離のサンプルだけを考慮する。その場合、直線距離及び水平距離は概ね同じである。4つのビーム対、すなわち左舷、右舷、ビームアスペクトの対称な船首(+)及び船尾(−)(すなわち、φ−=−φ+)が用いられる。その内積の位相は以下のとおりである。
【0135】
【数9】
【0136】
これらの式は、1組の2つのL〜方程式に対する解を表しており、それらのピークは0位相に、すなわち2πの任意の倍数にある(π(m+n)及びπ(m−n)は2πの任意の整数倍であり、巧みに定義されていないのは明らかであるが、以下で都合の良い解を生成する)。残りの変数及び演算子は以下のように定義される。
【0137】
【数10】
【0138】
上記の式は、2つの未知数を有する2つの線形方程式を含む第1の位相線形化方程式を生成し、それは、進路推定値及び船首揺推定値を生成するために解かれる。
【0139】
【数11】
【0140】
特定の実施形態では、真のm値及びn値を選択することが普通である。どのビーム対が相関することができるかを特定するだけであれば、m値及びn値が空間的に重なり合うビーム対を生成するか否かに基づいて、この問題を解けば十分である。
【0141】
次に第2の位相線形化方程式を生成し、解いて、横揺速度及び左右揺推定値が与えられる。それらの値は、内積による等しい方位角におけるビーム対の左舷/右舷対に基づく。
【0142】
【数12】
【0143】
上記の式Gv〜において現われる全てのパラメータはわかっているか、又は推定されているので、それらのパラメータがGv〜に入れられて、まとめられる。具体的には、先に計算された推定値Δx^及びΔφ^zを用いる。φzに関する恒等式は、ピングpの場合にφz=0であるので、ピングp及びp+1にわたる平均値が計算される。上記の式の実数値のピークは、3ステップのプロセスにおいて見いだされる。
【0144】
・Δφxに適当な初期推定値を割り当てる。左舷アレイ及び右舷アレイの横方向分離が0(w=0)である場合には、この項は省かれる。w≠0の場合、特定の実施形態は、低品質のジャイロを用いて、この推定値を求める。そのような低品質のジャイロは、初期データから直に動き推定値を求めるために必要とされることになる極めて高品質の慣性運動ユニット(IMU)よりもはるかに安価であることを強調しておきたい。他の実施形態は、単にΔφx=0のような適当な値を試し、ジャイロを用いるのを避けるであろう。
【0145】
・Δyのライン探索を実施して、包絡線ピークを見つける。
・アンビギュイティ長軸に沿ってコヒーレントライン探索を実施して、最も近い実数値のピークを見つける。そのピークは、最適なΔφx及びΔyとして求められるであろう。
【0146】
縦揺の変化の推定値を与える第3の位相線形化方程式は、ビームアスペクトの船首及び船尾から等距離にある2つの右舷ビーム対に基づく。
【0147】
【数13】
【0148】
上記の式は、以下のようなΔφyにわたる1−Dライン探索によって解くことができる。
・Δφy=0における内積、及び或る|ε|<<1の場合のεの数値を求め、Δφyに対する内積位相の偏導関数を計算する。
【0149】
・その導関数を用いて、位相が0のいくつかの適当なΔφyを計算する。
・これらの値のそれぞれにおいて内積の数値を求め、真のΔφyになるような最大振幅を有する内積を選択する。
【0150】
探索されるラインはアンビギュイティ長軸と位置合わせされないので、複数のサイクルが、振幅が最大値に相当するピークを有する場合でも、大きな問題にはならないであろう。2つの右舷ビーム対の使用は任意である。代替の実施形態では、代わりに2つの左舷ビーム対を用いることができ、当業者であれば、わずかに異なる式を容易に導出することができるであろう。
【0151】
進行している動きの項の全てが利用可能であれば、第4の位相線形化方程式を生成して、単一のビーム対を用いて上下揺が計算される。
【0152】
【数14】
【0153】
第3の位相線形化におけるΔφyのためのライン探索に相当するライン探索によって、ζ^の最適値が計算される。ビームアスペクトの、船首を指している右舷ビームの選択は任意であった。代替の実施形態は異なるビームを用いることができ、当業者であれば、わずかに異なる方程式を容易に導出することができる。
【0154】
上記で計算された上下揺は、縦揺(縦揺れの変化ではない)を含む項によって汚染されることがある。単一のピング対を基にして、上下揺項及び縦揺項をいかにして切り離すかは明らかではない。一実施形態では、長い一連のピングの場合に上記の位相線形化プロセス全体が実行され、その後、上下揺項及び縦揺項が、一連の概略高度(ナディアリターン)に対して、積分された上下揺差内の長期ドリフトに基づいて切り離される。縦揺補償は後に図8〜図8Bにおいて説明される。しかしながら、数学的な導出も以下に与えられる。
【0155】
縦揺差は上記で推定されている。ピングにわたる縦揺差の積分はDCオフセットを与える。その積分は以下のとおりである。
【0156】
【数15】
【0157】
ただし、
ζ^p=縦揺汚染を有する、ピングpとp+1との間の高度差の第4の位相線形化推定値;
zp+1=ピングp+1の場合の真の高度;
zp=ピングpの場合の真の高度;
ψy,p+1=ピングp+1の場合の真の縦揺;
ψy,p=ピングpの場合の真の縦揺;
x^p+1=ピングp+1における推定される前方位置;
x^p=ピングpにおける推定される前方位置;
真の高度をナディアリターンで置き換え、縦揺について解くと、以下の式が得られる。
【0158】
【数16】
【0159】
縦揺は推定された以上、高度差を積分し、それに、図3に関連して上述した概略高度のDC値に等しいDC値を与えることによって、高度が求められる。
【0160】
【数17】
【0161】
次に、一連の動き推定値の座標を局所的な基準座標系から一貫性のある基準座標系、たとえば地球基準座標系、NED(north-east-and down)に変更する。座標変換は、従来の回転行列を用いて実行することができる。
【0162】
上記で与えられた最適化は、位相線形化判定基準を最大にする方法の一例にすぎない。他の技法を用いることもできる。
代替の実施形態では、位相線形化方程式のそれぞれに関連付けられるビームの異なる組み合わせを用いることができる。また、代替の実施形態では、上記の内積において用いられる積の代わりに、複数のビーム対にわたる和を用いることができる。
【0163】
ここで図7Bを参照すると、送信ビームの方位角位相符号化が説明される。第1の曳航体560が、進路に沿った相対的な変位に対応する位置560a、560bに示される。ビーム562a、564aは、第1の曳航体位置560aにおける、それぞれ右舷ビーム及び左舷ビームに対応し、ビーム562b、564bは、第2の曳航体位置560bにおける、それぞれ右舷ビーム及び左舷ビームに対応する。
【0164】
前述の第1の位相線形化方程式及び方法によって、前方変位及び回転(船首揺)を推定できるようになる。この目的を果たすために、概ね二次である位相シフトを有する送信ビームパターンが与えられる。この構成によれば、連続したピング間の相関が、方位角において概ね線形である位相シフトを生成する。その位相シフトは、前方への動きの場合に、左舷と右舷との間で偶対称性を有し、近接フィールドにおける回転(船首揺)変化及び縦揺変化の場合に奇対称性を有する)。1つの物理的なビーム幅による回転(船首揺)の結果として、大きな位相シフトが生じる可能性がある。
【0165】
方位角において二次の位相シフトを有する送信アレイを形成することが可能である。従来の単一ピングビームフォーミング用の特定の送信機が、この特性を有する。個々のトランスデューサは、それほど高くない電力量を水中に送信できるにすぎない。それゆえ、そのような素子のアレイを用いて、送信電力を高めることが有用であろう。それらの素子が直線に配列され、同じ信号を同時に送信するとすると、それらの素子は、コヒーレントに干渉して、望ましくないほど狭帯域の送信ビームが形成されるであろう。送信ビームを方位角方向において広げるための一般的な方法は、そのアレイをわずかに曲げて、凸側が正の距離方向を指すようにし、全ての素子において同じ信号を同時に送信することである。別法では、この効果を擬似的に生成するために、各素子において時間遅延を与えて、直線的なアレイを用いることができる。
【0166】
前方への動きを示すグラフは、曳航体を中心にした方位角を単位とする縦軸566と、受信ビーム564a、564bの位相変化を単位とする横軸568とを有する。音響送信機が方位角において位相シフトを有する結果として、曲線570が、受信ビーム564aにわたる位相に対応し、曲線572が、受信ビーム564bにわたる位相変化に対応する。線576は、曳航体が位置560aから位置560bまで動くときの、ビーム574a、574bに対応する平均位相変化の勾配を表す。
【0167】
別のグラフは、曳航体を中心にした方位角を単位とする縦軸578と、受信ビーム562a、562bの位相変化を単位とする横軸580とを有する。曲線582は、受信ビーム562aにわたる位相に対応し、曲線584は、ビーム562bにわたる位相変化に対応する。線586は、曳航体が位置560aから位置560bまで前方に動くときのビーム562a、562bに対応する平均位相変化の勾配を表す。
【0168】
線576及び586は同じ勾配を有することが図から明らかである。
第2の曳航体590が、相対的な船首回転(船首揺)に対応する位置590a、590bにおいて示される。ビーム592a、594aは、第1の曳航体位置590aにおける、それぞれ右舷ビーム及び左舷ビームに対応し、ビーム592b、594bは、第2の曳航体位置590bにおける、それぞれ右舷ビーム及び左舷ビームに対応する。
【0169】
グラフは、曳航体を中心にした方位角を単位とする縦軸596と、受信ビーム594a、594bの位相変化を単位とする横軸598とを有する。曲線600が、受信ビーム594aにわたる位相に対応し、曲線602が、受信ビーム594bにわたる位相変化に対応する。線604が、曳航体がそれぞれ位置590a、590bにあるときのビーム594aと594bとの間の位相差の方位角方向の変動を表す。
【0170】
別のグラフは、曳航体を中心にした方位角を単位とする縦軸606と、受信ビーム592a、592bの位相変化を単位とする横軸608とを有する。曲線610が、受信ビーム592aにわたる位相に対応し、曲線612が、受信ビーム592bにわたる位相変化に対応する。線614が、曳航体が位置590aから590bまで動くときのビーム592a、592bに対応する平均位相変化の勾配を表す。
【0171】
線604及び614が逆の勾配を有することがわかる。それゆえ、左舷受信ビーム及び右舷受信ビームの逆の位相変化を用いて、進路に沿った前方への動きとは異なる回転(船首揺)を特定することができる。
【0172】
位相変化が異なることは、第1の位相線形化方程式において明らかであり、前方への動きは右舷位相及び左舷位相の和(∠gStbd+∠gPort)に依存し、一方、船首揺は、右舷位相と左舷位相との差(∠gStbd−∠gPort)に依存する。
【0173】
ここで図7C〜図7Eを参照すると、絵図670、677及び689が、上記の第2の位相線形化方程式の特性を例示しており、その方程式は、左舷ビーム対及び右舷ビーム対の水平変位(上記で生成された)の差を用いて、横揺差及び左右揺を推定する。絵図670は、ピングp及びp+1にそれぞれ関連付けられる、曳航体672の第1の位置672a及び第2の位置672bを示す。左舷ビーム対674a、674b及び対称な右舷ビーム対676a、676bは、ピングp及びp+1にそれぞれ関連付けられる。左右揺のみが存在するとすると、左舷ビーム674a、674b及び右舷ビーム676a、676bのための水平変位の差は、左右揺を指示することになるであろう。
【0174】
曳航体678に関連付けられる横揺変化が絵図677に示される。曳航体678は、左舷アレイと右舷アレイ(図示せず)との間に幅w、680の横方向分離を有する。曳航体678の横揺は、ピングpからピングp+1まで変化し、角度変化Δφxに対応する。横揺の変化Δφxと、左舷受信アレイ及び右舷受信アレイの横方向分離wとの積は、左舷アレイと右舷アレイとの間の実効的な高度差686である。一方の側が上方にシフトするとき、他方が下方に動く。これは、左右揺れと同様の、左舷と右舷との間の奇対称である。
【0175】
横揺差及び左右揺の両方がまとめて考慮されるとき、第2の位相線形化方程式が、全ての取り得る横揺差及び左右揺の値の場合に数値計算されるとすると、その方程式は、「アンビギュイティ」表面694として表すことができる。横軸690は左右揺に対応し、縦軸692は、横揺差(×横方向分離の半分)に対応する。アンビギュイティ表面694の長軸696及び短軸698は図5Eにおいて特定された軸に類似である。1つの特定の実施形態では、全ての取り得る横揺差及び位相の値の場合に第2の位相線形化方程式の数値計算を必要とすることなく、一連のライン探索を用いて、アンビギュイティ表面694の実数値のピークを効率的に見つけることができる。特定の実施形態では、横揺差は、初期化として、低品質のジャイロで推定される。しかしながら、他の実施形態では、ライン探索は、ジャイロを用いることなく、音響データだけに基づく。
【0176】
ここで図7F及び図7Gを参照すると、絵図620及びグラフ633が、送信ビームの方位角位相符号化に基づいて、縦揺差推定値が求められる上記の第3の位相線形化方程式
の特性を例示する。右舷サイドスキャンソナーアレイ622が、ピングp及びp+1の場合にそれぞれ位置622a及び622bにおいて示される。簡単にするために、縦揺の変化624、Δφyだけが示される。送信ビームは、ピングp及びp+1の場合にそれぞれ幅626a、626bに照射する。水柱内の船尾受信ビーム対(図示せず)の平均MRA628の側面図が示される。水柱内の船首受信ビーム対(図示せず)の平均MRA630の側面図が示される。平均MRA628、630の両方の場合の海底632上の小さな散乱体が、図7Fのx−z平面に対して概ね直交する双曲線内に存在するが、図示されない。
【0177】
グラフ633が、海底632の進路に沿った位置に対応する横軸636と、送信ビーム位相に対応する縦軸638とを有する。曲線634a及び634bは、それぞれピングp及びp+1の場合の海底632上の進路に沿った位置の関数として、それぞれ送信ビーム626a及び626bの位相を示す。1つの特定の実施形態では、進路に沿った送信位相、すなわち曲線634a、634bは概ね二次であり、ピングpとp+1との間の位相差は、線644によって示されるように、概ね直線である。船尾受信ビーム対及び船首受信ビーム対に対応する位相差はそれぞれ線646及び648によって示されており、それらの線は、線640、642(方向630、632に一致する)が位相差曲線644と交差する場所を通過する。船首位相差646と船尾位相差648との間の位相差649は、縦揺差に関して概ね線形である。これが、縦揺差推定値の根底を成す。
【0178】
ここで図7Hを参照すると、絵図650が、上下揺が推定される、上記の第4の位相線形化方程式の特性を例示する。結果として生成される上下揺推定値は縦揺によって汚染される可能性がある。簡単にするために、θMRAs=0(すなわち、ビームアスペクト)を有する構成が示される。曳航体652が、ピングpの場合に位置652aにおいて、ピングp+1の場合に位置652bにおいて示される。一定の縦揺656ψyが示される。前方変位658、Δx及び垂直変位660、Δzが示される。縦揺で汚染される上下揺推定値662、ζが示される。ビームアスペクトにおけるビームのMRAは曳航体652に直交し、それゆえ、垂直から前方に角度ψyだけ回転する。MRA654aを有する受信ビームがピングpに関連付けられ、MRA654bを有する受信ビームがピングp+1に関連付けられる。垂直基準線664は、海底666に対して垂直である。受信ビーム対(MRA654a、654bを有する)の相関は、2つのMRA654aと654bとの間の中間に位置する小さな散乱体の大きなフィールドからの、すなわち、点668を横切る、図7Hのx−z平面に概ね直交する双曲線からのエコーに基づく。高度がピング間の動きよりもはるかに大きい場合には、ピングp及びp+1の場合の曳航体652から点668までの距離の差は、MRAベクトル654a上への、又は同じくMRA654b上への変位ベクトルの投影によって計算される。
【0179】
【数18】
【0180】
上記の式は、ビームアスペクトにおける第4の位相線形化方程式内のζに等価であり、その場合に、分母のMRAの余弦は1に退化する。
ここで図8を参照すると、プロセス700を用いて、第4の位相線形化方程式において
図7に関連して先に計算された、縦揺の上下揺への影響を低減するか、又はなくすことができる。数学的な導出は先に与えられている。
【0181】
プロセス700はステップ702において開始し、ステップ702では、Nピングブロックの第1のピングにおける縦揺が計算される。このステップの特定の実施形態は、上下揺補正方程式におけるφ^y,l項であり、その方程式は、DC縦揺れの推定値をφ^y,lの計算の中に間接的に吸収する。その計算は、図8A及び図8Bに関連してさらに十分に説明される。
【0182】
ブロック704では、Nピングブロック内の連続したピング毎に、第1のピングにおける縦揺と、図7に関連して説明された第3の位相線形化方程式において求められる縦揺の変化の全ての先行するピングにわたる和とを足し合わせた値に等しくなるように縦揺を推定する。このステップの特定の実施形態は、上下揺補正方程式におけるφ^y,p項である。
【0183】
ブロック706では、汚染された上下揺推定値から、縦揺及び前方への動きの積をMRAの余弦の二乗で割った値を引くことによって、有効な上下揺増分が与えられる。前方への動きは、図7に関連して、第1の位相線形化方程式において先に計算されている。このステップの特定の実施形態は、上下揺補正方程式におけるΔz^p項である。
【0184】
ブロック708では、ブロック706において特定された上下揺増分が、Nピングブロックにわたって積分される。
ブロック710では、ピング1における真の高度を求めることによって、DC高度オフセットが間接的に計算される。これは、1組の概略高度と、積分された高度差推定値に、ピング1における高度を足した和との間の最小二乗誤差を求めることによって果たされる。このステップの特定の実施形態は、上下揺補正方程式におけるz^l項である。
【0185】
ブロック712では、ブロック710において計算された最初のピングの高度を、ブロック706において計算された、全ての先行する補正された高度差の和に加えることによって、最初のピング後の各ピングの高度が計算される。
【0186】
判断ブロック714では、Nピングブロックが最後のNピングブロックである場合には、そのプロセスは終了する。そうでない場合には、ブロック716において、次のNピングブロックが選択され、そのプロセス700は、その新たなNピングブロックの場合に繰り返される。
【0187】
ここで図8Aを参照すると、プロセス750が、ブロック702において図8に関連して先に説明されたようなNピングブロックの最初のピングにおける縦揺を特定する。プロセス750はブロック752において開始し、ブロック752では、図2のブロック58に従って、Nピングブロック内の最初のピング及び最後のピングの概略高度が特定される。
【0188】
ブロック754では、図7及び図7Eの第4の位相線形化において得られた、縦揺で汚染された高度差ζ^pが全てのピングにわたって加算され、Nピングブロック内の最初のピングと最後のピングとの間の、縦揺で汚染された高度差が得られる。
【0189】
判断ラベル756では、2つの細密高度差、高精度高度差又は左右揺低減高度差が関連付けられ、ブロック758では、2つの概略高度が関連付けられる。そのように関連付けることは、図8Bに関連してさらに説明される。
【0190】
ブロック760では、ブロック756及び758において与えられる、細密高度差、高精度高度差又は左右揺低減高度差の関連と、概略高度の関連との間の差が計算される。
ブロック762では、最初のピングにおける縦揺が、ブロック760において生成される高度差を含む関係から特定される。そのプロセス750は図8Bにおいて図解される。
【0191】
ここで図8Bを参照すると、グラフ800が、縦揺で汚染された高度差の累積的な影響を示しており、高度を補正する基本的な方法を示す。データ点802は、最初のピングの縦揺で汚染された高度に割り当てられる任意の初期高度に対応する。データ点804は、データ点802に、図7及び図7Eの第4の位相線形化方程式から得られる、縦揺で汚染された高度差の積分を加えた値に対応する。
【0192】
データ点806は、図2のブロック58に従って求められた、Nピングブロック内の第1のピングの概略高度に対応する。データ点808は、Nピングブロック内の最後のピングの概略高度に対応する。
【0193】
データ点804、808に対するデータ点802、806の発散は、受信アレイの縦揺を示す。それゆえ、データ点804と808との間の高度差に対する(たとえば、その高度差から減算された)、データ点802と806との間の高度差は、受信アレイの縦揺を示す。その縦揺を用いて、第4の位相線形化方程式の上下揺を調整することができる。
【0194】
ここで図9を参照すると、方法850が、別の方法によって高度差が推定されているときの、2次元の水平変位を推定するための方法を提供する。任意のMRAφにおいて、ビーム対を相関させることから見いだされる水平距離変位は、水平変位ベクトルのMRAへの投影に等しい。ゼロ位相解として正確でないサイクルが選択される場合には、水平距離変位は、音響波長の半分と概ね同じ距離の整数倍の付加的な誤差を含む変位を有するであろう。「セロ位相曲率」法は、その曲がりが妥当であるか否かを確認するために、広い方位角セクタにわたって、小さい間隔で配置される一連のビーム上の候補ゼロ位相解の曲がりを調べる。真の解だけが、方位角において正弦曲線を描く水平変位を有するであろう。
【0195】
ゼロ位相曲率法は、相関のゼロ位相ピークの曲がりに基づくので、受信アレイが広い方位角幅の受信ビームを有し、結果として、ゼロ位相ピークの曲がりが大きい場合に最も適している。1つの特定の実施形態では、たとえば、受信アレイは、少なくとも45°の方位角幅を有する受信ビームを形成することができる。多くの従来のサイドスキャンソナーは、比較的狭い方位角幅しか持たないので、ゼロ位相の曲がりが線に退化することが知られている。多くの従来の曳航アレイ、球状アレイ及び円筒形状アレイは比較的広い方位角幅を有することが知られている。それゆえ、方法850は、曳航アレイ、球状アレイ及び円筒形状アレイに最も良く当てはまる。
【0196】
方法850はブロック852において開始し、ブロック852では、広い方位角幅にわたって広がる1組の受信ビームが選択される。ブロック854では、各受信ビームに関連して、受信サイクルが選択される。
【0197】
ブロック856では、前述の高度のいずれかに従って、選択された受信ビームにおいて水平変位が求められる。たとえば、図2のブロック58に関連して説明された概略高度法、ブロック60に関連して説明された細密高度差、ブロック62に関連して説明された高精度高度差、又はブロック64に関連して説明された左右揺低減高度を用いることができる。
【0198】
選択されたビームのいずれかにおける水平変位は実際には、選択されたビームのうちのいずれかの個々のビームMRAに関連付けられる方向における変位であることは明らかで
あろう。それゆえ、複数のビームにわたって計算された水平変位は、正弦曲線に関連付けられるはずである。
【0199】
ブロック858では、ブロック856において計算された水平変位が、余弦関数と比較される。
判断ブロック860では、ブロック856において計算された水平変位が余弦関数と概ね一致する場合には、そのプロセスは終了する。しかしながら、ブロック856において計算された水平変位が余弦関数と概ね一致しない場合には、ブロック862において、新たな受信サイクルが選択され、そのプロセスはブロック856において続けられる。方法850は、図9Aにおいて図解される。
【0200】
ここで図9Aを参照すると、グラフ900が、受信アレイを中心にした、選択された受信ビームに対応する方位角を単位とする横軸の目盛を含む。縦軸の目盛は、前述の高度のいずれかに従って、選択されたビームにおいて求められた水平変位に対応する。たとえば、図2のブロック58に関連して説明された概略高度法、ブロック60に関連して説明された細密高度差、ブロック62に関連して説明された高精度高度差、又はブロック64に関連して説明された左右揺低減高度を用いることができる。
【0201】
一連の曲線902は、種々の受信サイクルを用いて、全360°方位角にわたって計算された水平変位を示す。或る特定の実施形態では、360°方位角のうちの部分901だけが、実際の方位角セクタ内に存在する。点904を有する1つの曲線だけが余弦関数に対応する。他の曲線はそれぞれ、縦軸上の目盛に沿ってオフセットを有する。それゆえ、点904を有する曲線に対応する1つの受信サイクルだけが、正確な受信サイクルであることを特定することができる。水平変位ベクトルは、余弦がそのピークに達する(又は全360°幅が存在した場合にはピークに達することになる)角度及び変位(それぞれ横軸及び縦軸)によって定義される。
【0202】
ゼロ位相曲率アルゴリズムの1つの特別に重要な態様は、空間的に量子化された水平距離相関だけに基づいて、前方及び右舷方向の両方において、波長未満の精度まで水平方向への動きを推定できることである。それは、位相線形化のような近似を全く必要としない。
【0203】
ここで図10を参照すると、別のプロセス250を用いて、サイクルアンビギュイティを解消することができる。一連のピングにわたって動きパラメータが推定され、動きがピング間で円滑に変化しているという通念に基づいて、サイクルアンビギュイティが解消される。一例は、横揺速度及び左右揺を計算するために図7Eにおいてアンビギュイティ表面の長軸に沿って選択されたサイクル内の誤差を解消するであろう。この技法は、任意の特定の座標内のプラットフォーム運動学を細かく知ることに基づかないので、数多くの異なるパラメータに適用できる。
【0204】
プロセス250は、一連のNピングブロックにわたる順次的な動作のための下部構造から開始する。判断ブロック251は、さらにNピングブロックが存在するか否かを判定する。残っていない場合には、そのプロセス250は終了する。そうでない場合には、判断ブロック252が、これが最初のNピングブロックであるか否かを判定する。最初のNピングブロックでない場合には、ブロック253が、次のNピングブロックに更新する。ブロック254は、ピング番号インデックスを、ping_number_index=p=1に初期化する。判断ブロック255が、現在のNピングブロック内にピングが残っているか否かを判定する。
【0205】
図10において用いられるときに、用語「パラメータ値」は、限定はしないが、高度差
値、高度値、又は水平変位値を記述するために用いられる。
ブロック256では、円滑変化判定基準を用いて、隣接するピングにおいてパラメータ値を与えた場合の、ピングp+1における妥当なパラメータ値が予測される。或る特定の実施形態では、円滑変化判定基準は、いくつかの先行するピングにわたる因果的な平均である。別の実施形態は、いくつかの先行するピングからの因果的な線形外挿を用いる。ブロック257では、割り当てられたパラメータ値が、候補受信サイクルに関連付けられるピングp+1に割り当てられ、上記の予測されるパラメータ値に最も近い、割り当てられたパラメータ値を達成する。
【0206】
そのプロセスはブロック258に続き、ブロック258では、ピングが次のピングにインクリメントされ、そのプロセスは判断ブロック255に続く。判断ブロック255では、さらにピングが残っている場合には、ブロック256、257、258、255のプロセスが繰り返される。判断ブロック255において、それ以上のピングが残っていない場合には、そのプロセスはブロック259に進み、ブロック259では、全てのピングのために割り当てられたパラメータ値に、共通のDCオフセット値が加えられる。DCオフセット値は、サイクル数の整数に対応する。DCオフセット値は、相関包絡線の和を最大にするように選択される。ここで、プロセス250は判断ブロック251に戻り、それ以上のNピングブロックが存在しなくなるまで、そのプロセスが繰り返される。
【0207】
ここで図10Aを参照すると、グラフ270が図10の方法を図解する。横軸の目盛はピング番号に対応し、縦軸の目盛は、図4の相関プロセス150に関連付けられる高度差(すなわちパラメータ値)に対応する。黒塗りのデータ点は、計算された高度差を表す。曲線272a〜272dは、被ビームフォーミング波形の異なる受信サイクルを用いて計算されることになる高度差に対応する。曲線272cは、正確な受信サイクルに基づく高度計算に対応する。高度差280が計算されており、異なる受信サイクルに対応する、別の候補高度差278が存在するものと仮定する。先験的な通念として、動きはピング間で滑らかに変化しているであろう。高度差278は、高度差280の場合よりも滑らかな動き推定値を生成するので、高度差280の代わりに高度差278が用いられる。
【0208】
ここで図11を参照すると、ビーム対を相関させる目的は、2つのMRAの平均に沿った最適な変位を見つけることである。これは、シーンが小さな散乱体の大きなフィールドに対応するときに有効である。しかしながら、そのシーンが、背景を超えるエコー振幅を有する点目標物を有する場合には、その点目標物は、標準的な相関を支配することがある。その相関は実効的には、MRAの平均に沿って行う代わりに、点目標物を指している線に沿って行われている。点目標物の向きに関しては、予め何もわかっていないので、この影響は、相関後には容易に補償されない。点以外の目標物が空間的に分布している場合にも、同じような影響が生じる。
【0209】
クリッピングされた相関は、裾が重い分布の雑音が線形相関に及ぼす影響を制限するために用いられる信号処理技法である。クリッピングされた相関は最初に、データ内のピーク値が閾値を超えないようにクリッピングし、その後、クリッピングされたデータに関して線形相関を実行する。数多くのタイプの従来のクリッピング関数が存在する。一例は、データの位相を変更しないままで、データの振幅に逆正接を適用することである。「量子化初期設定及び連続推定」と呼ばれる1つの従来の技法の場合、全ての相関、相関のドット積の同値、及び相関の位相線形化近似が、クリッピングされたデータを使用し、それらがクリッピングされた相関に等価になるようにする。クリッピングされた相関は、「ゼロ位相曲率」と呼ばれる方法においても用いられる。クリッピングされた相関は、或るシーン内で主な対象目標物となり得るものを、単に、低減又は除去されるべき裾が重い分布の雑音であるかのように取り扱う。
【0210】
ここで図11〜11Cを参照すると、グラフ980が、水平距離に対応する横軸982と、振幅に対応する縦軸984とを有する。特徴的な部分(features)988を有する曲線986は、音響データに対応する。特徴的な部分988は、距離d1にあり、強いエコーを有する目標物を指示する。特徴的な部分988を有する曲線986によって表される音響データを、匹敵する特徴的な部分を有する他の音響データと相関させると、2つのデータセット内の特徴的な部分の間の相互作用が相関を支配してしまうことは、当業者には理解されよう。相関の所望の出力は大量の低振幅データに基づいており、そのデータは、数少ない高振幅の特徴的な部分よりも最適な変位差を有することがある。
【0211】
グラフ990は、他の音響データと相関させる際に特徴的な部分988の影響を低減するために、音響データ986に適用することができるクリッピング関数f(η)の振幅を示す曲線991(たとえば、逆正接曲線)を示す。ダミー変数ηは、音響データのサンプルのような、1つの複素数を表す。グラフ992は、音響データ986に適用することができるクリッピング関数f(η)の位相を示す曲線993を示す。それゆえ、クリッピング関数f(η)は、音響データ986の包絡線に逆正接振幅991を適用するが、音響データ986の位相は変更されないままである。グラフ994は、音響データ986に適用されるクリッピング関数f(η)を示す曲線996を示す。結果として生成される、クリッピングされた音響データ曲線996は、特徴的な部分988が大きく減衰していることを除いて、曲線986に類似である。それゆえ、特徴的な部分988はもはや相関を支配しないであろう。
【0212】
1つの特定の実施形態では、上記のクリッピング関数は、図4のブロック182の相関前に、ビームフォーム信号に適用できることは明らかであろう。この構成によれば、ブロック182の相関は、強い音響目標物によって支配されない。
【0213】
ここで図12を参照すると、合成開口ソナー(SAS)プロセッサ950が、受信アレイが水域の中を動くのに応じて、ビームフォーム信号954を受信し、動いている受信アレイに関連付けられる概略高度956aを与えるようになっている概略高度モジュール956を備える。細密高度差及び細密水平変位モジュール958は、受信アレイに関連付けられる細密高度差及び細密水平変位958aを与えるようになっている。高精度高度差及び高精度水平変位モジュール960が、受信アレイに関連付けられる高精度高度差及び高精度水平変位960aを与えるようになっている。左右揺低減モジュール962が、受信アレイに関連付けられる左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位962aを与えるようになっている。位相線形化モジュール964は、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位962aを受信し、2つ以上の自由度において受信アレイの連続(すなわち空間的に量子化されていない)動き推定値964aを与えるようになっている。縦揺起因上下揺解消モジュール966が、位相線形化モジュール964によって計算される自由度のうちの少なくとも1つにおいて縦揺の影響を低減するようになっている。座標変換モジュール968が、補正された2つ以上の自由度を受信し、局所的な座標から地球座標への、動き推定値964aに対する座標変換を生成するようになっている。画像生成モジュールが、合成開口ビームフォーミングにおいて座標変換を有する動き推定値を用いて、グラフィカルユーザインターフェース上に表示される画像972を生成するようになっている。
【0214】
モジュールのうちのいくつかはオプションであることは理解されたい。たとえば、代替の実施形態では、高精度高度差及び水平変位モジュール960はなくすことができる。また、代替の実施形態において、位相線形化モジュール964によって与えられる全ての動き推定値が地球座標において計算される場合には、座標変換モジュール968はなくすことができる。さらに別の実施形態では、高精度高度差及び水平変位モジュール960及び左右揺低減モジュール962が省かれる。さらに別の実施形態では、高精度高度差及び水平変位モジュール960、左右揺低減モジュール962及び位相線形化モジュール964
が省かれる。コンピュータ支援検出/コンピュータ支援分類モジュールに直にSAS画像を送信すること等の、グラフィカルユーザインターフェース以外のものへの出力を伴う実施形態も可能である。根本的に異なる実施形態は、画像生成モジュール及びグラフィカルユーザインターフェースをなくして、ナビゲーションのために動き推定値を用いることであろう。
【0215】
上記のシステム及び方法は、位相線形化が信号間のコヒーレントな干渉に基づくので、波長のわずかな部分に対する高い精度の動き推定値を与える。これは、SAS画像を形成する際に、一連のピングにわたって主要部分の強め合う干渉を得るために波長未満の精度を必要とするという条件に合う。
【0216】
ピング間でソナーが前方へ動くことによって、散乱体からのエコーに小さな時間遅延が生じ、その時間遅延は、MRAからの方位角の差の関数として変化する。小さな散乱体からの大きなフィールドは実際には、位相線形化の導出において用いられる双曲線に沿った簡略化された分布とは対照的に、2次元にわたって分布する。前方への動きが大きすぎる場合には、双曲線の反対側にある散乱体のための時間遅延の差が、散乱体にわたる和において弱め合う干渉を引き起こすほど十分に大きくなる。相関は機能しなくなる。
【0217】
ビームフォーミングが物理的な開口にわたってボックスカーウインドウで行われる場合には、ピング間の前方変位が物理的な受信アレイ長の半分に等しいときに、空間的に重なり合うビーム対の相関は0まで降下する。それゆえ、相関に基づく動き推定は、前進速度が、ピング当たり物理的なアレイ長の半分よりも遅いときにだけ機能する。この結果は、グレーティングローブを避けるために、前進速度がピング当たり物理的なアレイ長よりも遅くなければならないという、SAS画像形成の既知の特性に相当する。類似の結果は、チェビシェフ又はテイラーのような、ボックスカーウインドウ以外のウインドウの場合にも得ることができる。典型的には、動き推定を実行することができる最大前進速度は、SAS画像形成においてグレーティングローブを避けることができる最大前進速度よりもわずかに小さい。
【0218】
合成開口ソナーシステム処理において形成される結果的なソナー画像をさらに改善するために、受信アレイ位置を提供する上記のシステム及び方法を、上記のオートフォーカス技法とともに用いることができることも明らかであろう。
【0219】
本明細書において引用される全ての参考文献は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、ここで、それらの概念が組み込まれた他の実施形態が用いられることがあることは、当業者には明らかになるであろう。それゆえ、これらの実施形態は開示される実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されるべきであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】合成開口ソナー(SAS)システムの平面図である。
【図1A】図1のSASシステムの一部として用いられる受信アレイ及び送信アレイによって形成される受信ビーム及び送信ビームの平面図である。
【図1B】図1のSASシステムの一部として用いられる送信アレイによって形成される送信ビームの正面図である。
【図1C】図1のSASシステムの一部として用いられる受信アレイによって形成される受信ビームの別の平面図である。
【図2】SAS動き予測及び画像形成の方法を示す流れ図である。
【図3】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図4−1】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図4−2】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図4A】図4の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列を示す図である。
【図5】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図5A】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティ軸を示す図である。
【図5B】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティの軸を示す図である。
【図5C】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティ軸を示す図である。
【図5D】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティ軸を示す図である。
【図5E】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティ軸を示す図である。
【図6】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図6A】図6の方法に関連して生成されるアンビギュイティ軸及び上下揺軸を示す図である。
【図7−1】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図7−2】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図7A】図7の方法を説明するために用いられる海底とのビーム交差を示す図である。
【図7B】図7の方法に関連して特定される、受信アレイの前方への動き及び回転(船首揺)を示す図である。
【図7C】同じく、図7の方法に関連して特定される、受信アレイの横揺速度及び水平方向への動き(左右揺)を示す図である。
【図7D】同じく、図7の方法に関連して特定される、受信アレイの横揺速度及び水平方向への動き(左右揺)を示す図である。
【図7E】同じく図7の方法に関連して特定される、受信アレイの横揺速度及び水平方向への動き(左右揺)を示す図である。
【図7F】図7の方法に関連して特定される、受信アレイの縦揺の変化を示す図である。
【図7G】同じく、図7の方法に関連して特定される、受信アレイの縦揺の変化を示す図である。
【図7H】図7の方法に関連して特定される、受信アレイの垂直方向への動き(上下揺)を示す図である。
【図8】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図8A】図8の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図8B】図8Aの方法の一部を構成する高度計算を示す図である。
【図9】サイクルアンビギュイティを解消する方法を示す流れ図である。
【図9A】図9の方法に関連する曲線を示すグラフである。
【図10】サイクルアンビギュイティを解消する別の方法を示す流れ図である。
【図10A】図10の方法に関連する曲線を示すグラフである。
【図11】音響データへのクリッピング関数の適用を示すグラフである。
【図11A】音響データへのクリッピング関数の適用を示すグラフである。
【図11B】音響データへのクリッピング関数の適用を示すグラフである。
【図11C】音響データへのクリッピング関数の適用を示すグラフである。
【図12】図1の合成開口ソナー(SAS)システムの一部を構成する合成開口ソナープロセッサのブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は概括的には合成開口ソナーに関し、より詳細には、合成開口ソナーにおいて用いられる、動いているソナーアレイの改善された空間位置を提供する、合成開口ソナーのための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブソナーは水中に信号を送信し、水中の目標物からのエコーを受信する。目標物は、限定はしないが、潜水艦、魚雷、係留機雷、海底機雷、ケーブル、及び海丘、海溝、底面等の水底地形(bottom feature)を含むことができる。
【0003】
アクティブソナーシステムは種々の構成を有する。バイスタティックアクティブソナーシステムは、音響送信機及び音響受信機を別の位置に有する。モノスタティックアクティブソナーシステムは、音響送信機及び音響受信機を同じ場所に有する。
【0004】
アクティブソナーシステムの音響受信機部分は受信素子のアレイを有することができ、それらの素子は直線又は曲線として形成される受信アレイとして配列される。それらの受信素子は、受信アレイ内に規則的に、又は不規則に間隔を置いて配置することができる。この構成によれば、受信素子によって与えられる信号を加算して、受信アレイの長さに反比例するビーム幅を有する受信ビームを与えることができる。受信素子によって与えられる信号に対して、相対的な時間遅延又は相対的な位相シフトを導入して、受信アレイの周囲で受信ビームを指向(ステアリング)させることができる。
【0005】
受信アレイが水平受信アレイである場合、受信ビームの方位角幅は、波長毎にアレイの長さに反比例する。それゆえ、受信アレイを長くすることによって、又は動作周波数を高くすることによって、高い空間分解能を達成することができる。しかしながら、物理的なアレイ長は多くの場合に、受信アレイが取り付けられるプラットフォームのサイズによって制限される。さらに、高い音響周波数は水中で急速に減衰するので、長い距離にわたって音が伝搬するのが妨げられる。結果として、従来のアクティブソナーシステムは、受信アレイ長の制約によって、及び音響周波数の制約によって、その性能が制限される。
【0006】
合成開口ソナー(SAS)は、合成開口レーダ(SAR)に類似の特性を有する。SASは、ピング(音響パルス)間でコヒーレントにデータを合成して、実効的に長くしたアレイを合成することによって、アクティブソナーアレイの空間分解能を改善する。SAS処理の場合、ナイキストサンプリングの制約によって、受信アレイが、連続したピング間で受信アレイの物理長の半分以下だけ進む(その軸に沿って動く)ことが要求される。受信アレイがそれよりも速く動くと、結果として、グレーティングローブが形成されることがわかっている。種々のSASアルゴリズムも知られている。
【0007】
SASは、合成開口全体にわたってコヒーレントに、受信アレイからの信号を正確に加算できるようにするために、受信アレイの空間的な進路(トラックすなわち、位置又は動き推定値)を時間とともに極めて正確に推定する必要がある。空間的な進路は、受信アレイの6つの動きの自由度、すなわち3つの変位及び3つの回転に関連付けられることは理解されよう。SAS処理において受信アレイの進路又は進路の一部を推定するためのいくつかの方法が知られている。
【0008】
たとえば、高品質の慣性測定ユニット(IMU)を、ドップラ速度ソナー及び他の補助装置とともに用いて、進路推定値を与えることができる。しかしながら、IMU及び他の
補助装置はコストがかかり、海中の受信アレイの場合に非常に貴重である空間及び電力を必要とする。
【0009】
さらに、受信アレイの個々の受信素子によって与えられる受信信号間の相関(又は位相差)を用いて、連続したピング間での動きの差を推定することができる。この技法は典型的には、狭い方位角及び距離のセクタを調べて、必要とされる動き推定値の次元数を削減することができる。この技法は、6つ全ての自由度における動きのための正確な進路推定値を求めない。
【0010】
さらに、オートフォーカス技法が、その調整能力に基づいて、進路推定値をさらに調整して、結果として生成されるSAS画像の画質を改善することができる。オートフォーカス技法は、合成開口を使用し続けている間(すなわち、時間及び長さにわたって)、動きの差に生じる誤差が累積するのを補償することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ソナーアレイの水中での動きに応じて、動いているソナーアレイの位置及び向きの推定値を与える能力を改善した、合成開口ソナーのための方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、基準面に作用するように複数の送信信号を送信することを含み、複数の送信信号はそれぞれ、動いているソナーアレイの異なる空間的な位置において送信される。本発明はまた、動いているソナーアレイで、基準面からの複数のリターンエコーを受信し、複数のリターンエコーはそれぞれ、複数の送信信号のそれぞれ1つに関連付けられ、複数のリターンエコーのうちの選択されたリターンエコーをビームフォーミングし、それによって複数のビームフォーム信号(ビームフォーミングされた信号)を与える、ことを含む。本発明はさらにまた、複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連の、動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成すること、及び、複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる相関から、動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位を生成することを含む。
【0013】
別の構成では、本方法は、複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の精度を改善し、それによってそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えること;複数の高精度高度差及び複数の高精度水平変位のスウェイ(左右揺)成分を低減し、それによってそれぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与えること;複数の細密高度差及び細密水平変位、複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに複数のスウェイ低減高度差及び複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定すること;及びソナーアレイの推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチ(縦揺)に起因するヒーブ(上下揺)誤差を解消することのうちの1つ又は複数も含むことができる。
【0014】
これらの特定の構成によれば、本方法は、受信アレイが水中を動くのに応じて、受信アレイの位置及び向きの改善された情報を提供する。
本発明の別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングするためのシステムが、基準面に作用するように複数の送信信号を送信すること、動いているソナーアレイで基準面からの複数のリターンエコーを受信すること、及び複数のリターンエコーのうちの選択されたリターンエコーをビームフォーミングして、複数のビ
ームフォーム信号を与えることを実行するためのビームフォーミングモジュールを備える。本システムは、動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成するための概略高度モジュールと、複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる相関から、動いているソナーアレイの複数の細密高度及び複数の細密水平変位を生成するための細密高度差/水平変位モジュールも備える。
【0015】
別の構成では、本システムは、複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の精度を改善し、且つそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えるための高精度高度差/水平運動モジュール;複数の高精度高度差及び複数の高精度水平変位のスウェイ(左右揺)成分を低減し、それぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与えるためのスウェイ低減モジュール;複数の細密高度差及び細密水平変位、複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに複数のスウェイ低減高度差及び複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定するための位相線形化モジュール;及びソナーアレイの推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチ(縦揺)に起因するヒーブ(上下揺)誤差を解消するためのピッチ起因ヒーブ解消モジュールのうちの1つ又は複数も備えることができる。
【0016】
これらの特定の構成によれば、本システムは、受信アレイが水中を動くのに応じて、受信アレイの位置及び向きの改善された情報を提供する。
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の精度を改善し、それによって動いているソナーアレイのそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えることを含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、動いているソナーアレイの複数の高精度高度差及び複数の高精度水平変位のスウェイ(左右揺)成分を低減し、それによって動いているソナーアレイのそれぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与えることを含む。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、複数の細密高度差及び細密水平変位、複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに複数のスウェイ低減高度差及び複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定することを含む。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、動いているソナーアレイの推定された位置及び向きのピッチ(縦揺)に起因するヒーブ(上下揺)誤差を解消することを含む。
【0020】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、受信された波形内のサイクルアンビギュイティを解消することを含む。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法は、動いているソナーアレイをビームフォーミングし、それによって複数のビームフォーミングされた信号(ビームフォーム信号)を与えること、ビームフォーム信号に関連の、動いているソナーアレイの動きの初期量子化推定値を生成すること、
及び、動いているソナーアレイの動きの初期量子化推定値に関連付けられる空間的に連続した位置推定値を生成することを含む。
【0022】
これらの特定の構成によれば、本方法は、受信アレイが水中を動くのに応じて、受信アレイの位置の改善された情報を提供する。
本発明の上記の特徴、及び本発明そのものは、図面に関する以下の詳細な説明から、さらに十分に理解することができるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書において意図される合成開口ソナーのための方法及びシステムを説明する前に、いくつかの予備的概念及び用語を説明する。本明細書において用いられるときに、用語「サイドスキャンソナー」は、その上に受信素子を有する受信アレイが配置される曳航体を有するタイプのソナーシステムを指している。サイドスキャンソナーの受信アレイは概ね水平に配置され、曳航体の動きに左右される。サイドスキャンソナーの受信アレイを用いて、「受信ビーム」を生成することができる。またサイドスキャンソナーの曳航体は、受信ビームと同じビーム形状、又は異なるビーム形状を有することができる「送信ビーム」を生成するための送信アレイも備えることができる。受信アレイ及び送信アレイとして、受信モード又は送信モードにおいて用いられる物理的に同じアレイを用いることができる。サイドスキャンソナーは、モノスタティック構成において動作することができる。
【0024】
本明細書において用いられるときに、用語「曳航アレイ」は、船舶、ヘリコプタ等によって、「曳航索」で水中を曳航される受信アレイを記述するために用いられる。曳航アレイの受信アレイは概ね水平に配置され、曳航索の動きによって左右される。曳航アレイの受信アレイを用いて、「受信ビーム」を生成することができる。受信アレイ及び受信素子は、受信ビームと同じビーム形状又は異なるビーム形状を有することができる「送信ビーム」を生成するための送信アレイとして用いることもできる。しかしながら、大部分の従来の曳航アレイは、受信アレイとは別の音響送信機を利用する。曳航アレイは、モノスタティック構成又はバイスタティック構成において動作することができる。
【0025】
本明細書において用いられるときに、用語「船体設置(hull-mounted)アレイ」は、水線下で船舶の船体上に配置されるソナーアレイを記述するために用いられる。船体設置アレイの受信アレイは概ね水平に配置され、船舶の動きに左右される。船体設置アレイの受信アレイを用いて、「受信ビーム」を生成することができる。受信アレイ及び受信素子は、送信アレイとして用いて受信ビームと同じビーム形状又は異なるビーム形状を有することができる「送信ビーム」を生成することもできる。しかしながら、大部分の従来の船体設置アレイは、バイスタティック構成において、受信アレイとは別の音響送信機を利用する。船体設置アレイは、モノスタティック構成又はバイスタティック構成において動作することができる。
【0026】
本明細書において用いられるときに、用語「ナディア」は、受信アレイから水域の底面までの距離を指しており、本明細書において「概略」高度とも呼ばれる。
本明細書において用いられるときに、用語「ピング」は、送信される音響パルスを指しており、そのパルスは連続波(CW)パルス、短いパルス、又はCWFM(或いはそれ以外の方法で符号化された)パルスであってもよい。ピングは、動いている送信アレイ及び受信アレイの物理的な場所及び物理的な位置に関連付けられ、ピング間の場所及び位置の変化は、6つの動き度で記述することができる。ピングに関連付けられるエコーは、受信アレイを用いて受信され、ビームフォーミングされ、ピングと関連付けられる「ビームフォーミングされた信号(ビームフォーム信号)」を与える。
【0027】
本明細書において用いられるときに、用語「ビームアスペクト」は、ラインアレイの軸
に対して概ね垂直な方向を記述するために用いられる。
本明細書において用いられるときに、用語「位置」、「向き」及び「場所」は、6つの自由度に従って6つのパラメータで記述することができる物体、たとえばソナー受信アレイの物理的な特性を記述するためにそれぞれ用いられる。
【0028】
本明細書において用いられるときに、用語「基準面」は、送信される音響エネルギーがそれに作用し、そこからの音響エコーがソナーシステムによって受信される表面を記述するために用いられる。基準面が、受信アレイが水中で動くのに応じて、受信アレイの位置を推定することができる表面として用いられることは、以下の説明から明らかになるであろう。以下に与えられる例では、基準面は、海底であると説明される。しかしながら、他の構成では、限定はしないが、基準面を、海水面及び船体にすることができる。
【0029】
基準面は、必ずしも、画像形成、検出及び/又は位置特定が望まれる音響的な「目標物」でないことは理解されよう。たとえば、基準面は海底にすることができ、目標物は潜水艦にすることができる。
【0030】
図1を参照すると、合成開口ソナーシステム10が、サイドスキャンソナー曳航体12を備えており、サイドスキャンソナー曳航体12は、水中を曳航されるのに応じて、12a〜12dで表される複数の物理的な場所において示される。曳航体12は、左舷(port)受信素子(図示せず)を有する左舷受信アレイ(図示せず)と、右舷(starboard)受信素子(図示せず)を有する右舷受信アレイ(図示せず)とを備える。物理的な各場所12a〜12dにおいて、サイドスキャン曳航体12は音響パルス(図示せず)を生成し、そのパルスは、場所12aにおいて、複数の受信ビーム14aa〜14ajによって受信され、場所12bにおいて、複数の受信ビーム14ba〜14bjによって受信され、場所12cにおいて、複数の受信ビーム14ca〜14cjによって受信され、場所12dにおいて、複数の受信ビーム14da〜14djによって受信される。
【0031】
複数の受信ビーム14aa〜14djは、ビームフォーミングプロセッサ16によって形成され、対応するビームフォーム信号16aを与える。合成開口ソナー(SAS)プロセッサ18が、ビームフォーム信号16a上で作動する。SASプロセッサ18は、位置12a〜12dのそれぞれにおける受信アレイの動きの推定値を与え、またその動き推定値に関連付けられる合成開口ビームフォーミングを実行するようになっている。1つの特定の実施形態では、動き推定値は6つの自由度を有する。ビームフォーミングプロセッサ16及びSASプロセッサ18は、ソナープロセッサ20の一部を構成する。グラフィカルユーザインターフェース22が、合成開口ビームフォーミングに関連付けられる表示を与える。
【0032】
本明細書において用いられるときに、用語「ピング対」は、場所12a〜12dのうちの隣接する2つの場所、たとえば位置12a及び12bに関連付けられる。ピングが各場所12a〜12dにおいて生成され、水域の底面(すなわち、基準面)からのエコーが、関連する受信ビームによって、各場所12a〜12dにおいて受信されることは理解されよう。
【0033】
本明細書において用いられるときに、用語「ビームインデックス」は、場所12a〜12dのうちのいずれか1つにおける、方位角方向にある複数のビームの中からの1つのビームを指している。たとえば、ビーム14aa、14ba、14ca、14daは、ビームインデックス0に対応することができ、ビーム14ab、14bb、14cb、14dbはビームインデックス1に対応することができ、他も同様である。
【0034】
本明細書において用いられるときに、用語「ビーム対」は、場所12a〜12dのうち
の隣接する2つの場所において選択された受信ビーム、たとえば受信ビーム14ac及び14bcを指している。ビーム対は、同じビームインデックスを有するビームから構成される必要はない。それゆえ、たとえば、別のビーム対は、ビーム14ac及び14bbを含むことができる。
【0035】
本明細書において用いられるときに、用語「Nピングブロック」は、ピングが生成され、対応するエコーが受信される、所定の数Nの受信アレイの位置を指している。たとえば、1つの例示的なNピングブロックは、図に示されるように、4つのピング、4つの場所12a〜12d、及び受信ビーム14aa〜14djに対応することができる。しかしながら、Nピングブロックは、5つ以上、又は3つ以下のピングにも対応できることは理解されたい。1つの特定の実施形態では、たとえば、Nピングブロックは、512個のピング、対応する受信アレイ場所、及び対応する受信アレイ受信ビームを含む。
【0036】
サイドスキャンソナー曳航体及び受信ビームが示されるが、上記の用語及び以下の概念は、曳航アレイ、船体設置アレイ、又は無人潜航艇(UUV)のような任意の他のプラットフォーム上に設置されるアレイにも当てはまることは理解されたい。また、4つの場所12a〜12dのそれぞれに10個の受信ビームが示されるが、受信アレイを11個以上、又は9個以下の受信ビームに関連付けることができることを理解すべきである。場所12a〜12dは、比較的広い間隔で配置されるように示されるが、ピング及び受信ビームが生じる場所は、それよりも狭い間隔で配置できることは、以下の図1Aにおいて明らかになるであろう。
【0037】
ここで図1Aを参照すると、サイドスキャン曳航体12が、わずかな距離だけ異なる2つの場所30a、30bにおいて示される。明瞭にするために、複数の受信ビームのうちのいくつかだけが示される。場所30aでは、受信ビーム32aa、32ah、32ai及び32apが示される。場所30bでは、受信ビーム32ba、32bh、32bi及び32bpが示される。場所30a及び受信ビーム32aa、32ah、32ai及び32apは第1のピング=0に関連付けられ、そのピングは、送信ビームパターン34aa、34abに対応する。場所30b及び受信ビーム32ba、32bh、32bi及び32bpは第2のピング=1に関連付けられ、そのピングは、送信ビームパターン34ba、34bbに対応する。
【0038】
送信ビームパターン34aa、34ab、34ba、34bbは、受信ビームパターン32aa、32ah、32ai、32ap、32ba、32bh、32bi、32bpよりもはるかに大きなビーム幅を有することができることは理解されよう。また、1つの特定の実施形態では、図に示されるように、2つの送信ビームパターンだけが存在する。
【0039】
上述のように、任意の数のピングが存在することができる。しかしながら、図1の受信ビーム14aa〜14djとは異なり、第1の場所30aにおける受信ビーム32aa、32ah、32ai及び32apは、第2の場所30bにおける受信ビーム32ba、32bh、32bi及び32bpとそれぞれ重なり合う。この構成は、先に図1において示されたものよりも、低速の曳航速度及び/又は高速のピング速度に対応する。
【0040】
ここで図1Bを参照すると、図1の類似の要素が類似の参照符号を有し、位置30aにある曳航体12の正面図が、2つの送信ビーム34aa及び34abを示す。局所的なx、y、z座標系36、38、40に対して、左舷及び右舷方向が示される。x軸36が位置30aにある曳航体12の向きに合わせられている。局所的な座標系及び左舷及び右舷指示は,以下で数学的な関係において用いられる。
【0041】
曳航体12は、海洋又は他の水域の底面41から上方への高度42において曳航される
。底面41は基準面として用いられる。
図に示されるような送信ビーム34aa、34abは、底面41に対して垂直に(即ち最短経路でまっすぐに)音波を発射するようには見えない。しかしながら、音響ビームパターンが厳密には、図に示されるように制限されないこと、及びそれらのビームパターンは、他の角度においてもエネルギーを放射及び/又は受信し、限定はしないが、底面41に向かって垂直に誘導されることも含まれることは当業者には理解されよう。
【0042】
ここで図1Cを参照すると、図1A及び図1Bの類似の要素は類似の参照符号を有し、位置30aにある曳航体12が、右舷に対する受信ビーム32aa〜32ahと、左舷に対する受信ビーム32ai〜32apとを有する。16個の受信ビームが示されるが、17個以上、又は15個以下の受信ビームが存在することができる。
【0043】
図2〜図4、図4B、図5、図6、図7、図8、図8A、図9及び図10は、以下で熟考される技法に対応する流れ図を示しており、それらは、コンピュータシステム20(図1)において実施されることになることを理解すべきである。長方形の要素(図3の要素102によって代表される)は、本明細書では「処理ブロック」を示しており、コンピュータソフトウエア命令又は命令群を表す。菱形の要素(図3の要素116によって代表される)は、本明細書では「判断ブロック」を示しており、処理ブロックによって表されるコンピュータソフトウエア命令の実行に影響を及ぼすコンピュータソフトウエア命令又は命令群を表す。
【0044】
別法では、処理ブロック及び判断ブロックは、デジタルシグナルプロセッサ回路又は特定用途向け集積回路(ASIC)のような機能的に等価な回路によって実行されるステップを表す。その流れ図は、任意の特定のプログラミング言語の構文(シンタックス)を表さない。むしろ、その流れ図は、回路を製造するために、又はコンピュータプログラムを生成して、特定のシステムから要求される処理を実行するために、当業者が必要とする機能的情報を示す。ループ及び変数の初期化、及び一時的な変数の使用等の数多くのルーチンプログラム要素は図示されないことに留意すべきである。本明細書において他に指示されない限り、記述されるブロックの特定のシーケンスは例示にすぎず、本発明の精神から逸脱することなく変更できることは、当業者には理解されよう。したがって、他に説明されない限り、以下に記述されるブロックは、その順番どおりに実行される必要はなく、可能である場合には、それらのステップは、任意の都合の良い順序、又は望ましい順序で実行できることを意味している。
【0045】
ここで図2を参照すると、たとえば、図1のソナープロセッサ20において、プロセス50を実施することができる。プロセス50は、ブロック50aのビームフォーミンググループにおいて開始し、そのグループでは、物理的なソナーシステムがNピングブロックを送信及び受信し、受信されたエコー信号をビームフォーミングする。
【0046】
一般的な動き推定法では、結果として、連続した空間領域において受信アレイの動きが推定されるであろう。しかしながら、これは、離散時間(すなわち、デジタル形式でサンプリングされた)データを用いて直に達成することはできない。それゆえ、動き推定は、2段階で実行される。最初に、ブロック50bの量子化初期設定ブロックが、受信アレイが水中を進むのに応じて、受信アレイのいくつかのタイプの動きに関する空間的に量子化された推定値を与える。次に、ブロック50cの連続位置推定グループが、「位相線形化」判定基準を用いて受信アレイが水中を動くのに応じて、受信アレイの動き(場所及び/又は位置)の空間的に連続した推定値を生成する。位相線形化判定基準は、図7に関連してさらに後述するが、受信アレイの連続した空間位置における小さな摂動の線形近似を与える。ブロック50bの量子化初期設定グループからの動き推定値は、ブロック50cの連続位置推定グループでの線形化点として用いられる。位相線形化判定基準によって、受
信アレイが水中を進むのに応じて、受信アレイの空間的に連続した動きを正確に推定できるようになる。ブロック50dの後処理グループは、たとえば、座標変換及び画像形成を含む、合成開口処理を与える。
【0047】
ブロック50aのビームフォーミンググループはブロック52において開始し、ブロック52では、ソナーシステム、たとえばサイドスキャンソナーシステムが、送信ビーム及びNピングブロックにおいて1組の送信ピングを送信する。Nピングブロックは、先に説明したように、受信アレイの複数の場所におけるピングを含む。各ピングは、1つ又は複数の送信ビームパターン、たとえば図1Bに示されるように2つの送信ビームパターンを含むことができ、その場合、一方は進行方向の左舷に対するものであり、他方は右舷に対するものである。
【0048】
ブロック54では、水底面(すなわち、基準面)から1組のエコーが受信され、各エコーは送信ピングのうちの1つに対応する。ブロック56では、受信アレイが受信ビームパターンを与え、結果として(ビームフォーミングされた)ビームフォーム信号が生成される。このビームフォーム信号は、たとえば、図1のビームフォーム信号16aに対応することができる。受信ビームパターンは、たとえば、図1の受信ビームパターン14aa〜14djに対応することができる。
【0049】
ブロック50bの量子化初期設定グループはブロック58において開始し、ブロック58では、ビームフォーム信号に関連して、ソナープロセッサが、Nピングブロック内のピングのうちの1つ又は複数と概ね一致する、受信アレイの位置に関連付けられる「概略(粗)」高度を特定する。概略高度の特定は、図3に関連して、さらに十分に説明される。しかしながらここでは、概略高度が、水域の底面から又は底面に向け音波が垂直に伝わるのに関連付けられる時間遅延によって特定されるということを言うにとどめる。
【0050】
ブロック60では、ビームフォーム信号に関連して、ソナープロセッサが、Nピングブロック内のピングのうちの1つ又は複数と概ね一致する、受信アレイの位置に関連付けられる「精細(細密)」高度差及び「細密」水平変位を特定する。細密高度差及び細密水平変位の特定は、図4及び図4Aに関連して、さらに十分に説明する。しかしながらここでは、細密高度差が、各ピングの場所におけるビームフォーム信号と、先行する場所におけるビームフォーム信号との相関によって特定されるということを言うにとどめる。1つの特定の実施形態では、その相関は、たとえば、図11〜図11Cに関連して説明されるように、クリッピングされた相関(clipped correlation)である。
【0051】
ブロック62では、ブロック60において生成された細密高度差及び細密水平変位が、より高い精度及び分解能を与えるために改善され、「高精度」高度差及び「高精度」水平変位が与えられる。高精度高度差及び高精度水平変位の特定は、図5〜図5Eに関連して、さらに十分に説明される。しかしながらここでは、高精度高度差及び高精度水平変位が、ブロック60の相関に基づいて実行される補間プロセスによって特定されるということを言うにとどめる。
【0052】
ブロック64では、ランダムな左右揺(スウェイ、即ちランダムな水平変位)に対する補正が行われ、「左右揺(スウェイ)低減」高度及び「左右揺(スウェイ)低減」水平変位が与えられる。左右揺低減は、図6及び図6Aにおいて、後にさらに十分に説明される。しかしながらここでは、ランダムな水平変位が特定され、高精度高度差及び高精度水平変位から除去されるということを言うにとどめる。
【0053】
ブロック50cの連続位置推定グループはブロック66において開始し、ブロック66では、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位を「位相線形化方程式」に当てはめるこ
とによって、受信アレイの連続した位置が計算される。位相線形化方程式は、図7〜図7Hに関連して、さらに十分に説明される。ここでは、いくつかの自由度において動きを幾何学的に計算するために、位相線形化方程式は、受信アレイ対称性を利用するということを言うにとどめる。1つの特定の実施形態では、位相線形化方程式は、6つの自由度において、受信アレイの動きの推定値を与えることができる。後述するように、結果として生成される上下揺(ヒーブ、即ち垂直方向への動き)位置推定値は、受信アレイのDC縦揺に起因する誤差によって汚染されることがある。ブロック68では、DC縦揺(ピッチ)に起因する上下揺誤差が、図8〜図8Bにさらに詳細に示されるように分離され、低減される。ブロック50dの後処理グループはブロック70において開始し、ブロック70では、上記の計算が、受信アレイに対して局所的な座標系内で行われたなら、その位置推定値が、地球座標、たとえばNED(north-east-down)座標に変換される。ブロック72では、位置推定値を用いて、合成開口ソナービームフォーミング及び画像形成が実行される。
【0054】
ブロック58〜64が、高度及び水平変位に関して、徐々に精度が高くなる推定値を与えることは、上記の説明から明らかであろう。ブロック58において、概略高度及び概略水平変位が与えられ、ブロック60において、細密高度差及び細密水平変位が与えられ、ブロック62において、高精度高度差及び高精度水平変位が与えられ、ブロック64において、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位が与えられる。ブロック66は、6つまでの量子化されない自由度において、さらに正確な位置を与え、ブロック68は、上下揺(高度)計算の縦揺汚染を除去する。
【0055】
ここで、図3を参照すると、図2のブロック58に関連して先に説明された概略高度を与えるプロセス100がブロック102において開始し、ブロック102では、Nピングブロックに関連付けられる複数のビームフォーム信号が選択される。ビームフォーム信号はそれぞれ、アスペクト(側方、即ち進行方向に対して概ね垂直な)ビームに関連付けられる。ブロック104では、底面検出閾値が選択され、ブロック106では、選択されたビームフォーム信号が底面検出閾値と比較される。結果として生成された信号は、ブロック108においてモルフォロジカルエロージョン(形態学的縮退)を用いて、且つブロック110においてモルフォロジカルダイレーション(形態学的膨張)を用いて処理される。
【0056】
形態学的縮退は、背景(水柱)サンプルによって空間的に取り囲まれる、前景(海底)サンプルの小さなセットを除去するために、閾値処理後のデータに適用することができる既知の技法である。これは、水柱内の魚のようなクラッタを除去するだけでなく、ナディアリターンを、より長い距離にシフトする。形態学的膨張は、縮退によって除去されたクラッタを元に戻すことなく、残りのナディアリターンを概ね元の位置に戻すために、縮退後のデータに適用することができる既知の技法である。正味の結果として、ブロック112において、より正確に底面が検出される。
【0057】
ブロック114では、それぞれの2つ以上のピングに関連付けられる底面の2つ以上の検出値をメジアンフィルタにかけることができる。たとえば、ピング毎に、そのピングに関連付けられる底面の検出値と、前後のピング、たとえば、先行する3つのピング及び後続の3つのピングに関連付けられる底面検出値とを用いて、そのピングに関連付けられる中央値の概略高度を与えることができる。
【0058】
ブロック114では、Nピングブロックの全てのピングのための概略高度を求めた後に、判断ブロック116によって示されるように、それが最後のNピングブロックである場合には、そのプロセスは終了する。別のNピングブロックが存在する場合には、そのプロセスは、ブロック118に従って、次のNピングブロックに進み、そのプロセスはステッ
プ102に戻り、別のNピングブロックの場合に、プロセス102〜114が繰り返される。
【0059】
ここで図4を参照すると、図2のブロック60に従って細密高度差及び細密水平変位を生成するために、プロセス150が用いられる。プロセス150は適応的なプロセスであり、以下に説明されるブロック202に関連して、マルチスケール探索を用いて、高度差(変化)が推定される。未知の動きに対して、どのビーム対が空間的に最も良好に重なり合うことになるかが予めわからないので、1組の候補ビーム対が用いられる。1つの特定の実施形態では、マルチスケール探索は最初に、小さな1組の相対的に数の少ない候補高度差のそれぞれ、すなわち共通の物理的な動きに関連付けられる第1の「スケール」を試してみる。第1のスケールによる処理が、条件に合った解を生成し損なう場合には、その処理は、第2のスケール、すなわち、より大きな高度差を含む、より大きな1組の候補高度差で繰り返される。典型的には、第2のスケールにおける処理は、小さなパーセンテージのピング対の場合にのみ必要とされるであろう。
【0060】
プロセス150は判断ブロック152において開始し、ブロック152では、最初のNピングブロックの場合に、プロセスは判断ブロック154に続く。判断ブロック154において、それが最初のNピングブロックである場合には、プロセスはブロック156に続き、ブロック156では、ピング番号インデックスpが1に初期化される。
【0061】
判断ブロック158では、ピング番号インデックスpがN、すなわちNブロック内のピングの数未満である場合には、そのプロセスはブロック160に続き、ブロック160では、各ピングに関連付けられる1組のビーム対が特定される。ビーム対は上述している。1つの特定の実施形態では、各ピングに関連付けられる2つのビーム対が存在する。たとえば、1つのビーム対は、受信アレイの第1の場所におけるビームアスペクト受信ビームと、受信アレイの第2の場所におけるビームアスペクト受信ビームとを含むことができる。この例では、別のビーム対は、受信アレイの第1の場所におけるビームアスペクト受信ビームと、受信アレイの第2の場所における、わずかに後方に指しているビームとを含むことができる。この特定の実施形態によれば、受信アレイは関連するピング間の合間で前方に動いているので、受信アレイの第1及び第2の場所における受信ビームは、それらのビームが異なるビームインデックスを有する場合であっても、水域の底面の同じ領域を指すことができることを認識すべきである。
【0062】
ブロック162では、相関閾値、correlation_thresholdが特定され、それは、後述する相関ベクトルに適用される。ブロック164では、スケールインデックス、scale_indexが1に初期化される。前述のように、数多くのタイプのソナープラットフォームの動きでは通常、その高度はピング間でわずかにしか変化しないが、時折、その動きは大きく変化する。本明細書において用いられるときに、用語「スケール」は、ある高度差範囲に及ぶ1組の候補高度差を指している。高度差範囲が徐々に大きくなる種々のスケールを処理することによって、小さな高度差範囲を有する、見込みがありそうな複数のスケールの迅速な探索を助長することができる。或る特定の実施態様では、1組の候補高度差は、高度を均一に探索するために、等間隔で配置される。しかしながら、他の実施態様では、高度差は不均等な間隔で配置される。スケールインデックス、scale_indexは、特定の1組の候補高度差を指示する。
【0063】
ブロック166では、最大相関ベクトル変数、max_corrが0に初期化される。最大相関ベクトル変数は、以下で相関に関連付けられるコヒーレント相関ベクトル値の包絡線の最大値を保持するために用いられる。max_corrは、受信アレイの細密高度差及び細密水平変位に関連付けられることは、以下の説明から明らかになるであろう。
【0064】
そのプロセスは判断ブロック168に進み、ブロック168では、scale_indexがスケールの数(たとえば2)以下であり、max_corrがcorrelation_threshold未満である(すなわち、条件に合った高度差が見つけられていないが、試されていない候補高度差が残っている)場合には、そのプロセスはブロック170に進み、ブロック170では、ビーム対インデックス、beam_pair_index=bpが1に初期化される。上記のように、ビーム対インデックスは、1つ又は複数のビーム対のうちの1つを特定する番号である。ビーム対の各メンバは、受信アレイの異なる隣接場所、及び対応する異なるピングに関連付けられる。2つの場所のそれぞれにおける複数の受信ビームはいずれも、そのビーム対の中に入ることができる。
【0065】
そのプロセスは判断ブロック172に進み、ブロック172では、bpがビーム対の数以下であり、且つmax_corrが相関閾値未満である場合には、そのプロセスはブロック174に進み、ブロック174では、そのスケールに関連付けられる一群の候補高度差が選択される。
【0066】
ブロック176では、高度インデックス、altitude_index=aiが1に初期化される。高度インデックスは、候補高度差のうちのどれが後続の処理において用いられるかを特定するインデックス番号である。判断ブロック178において、altitude_indexがブロック174において選択された候補高度差の数以下である場合には、ブロック180において、対応する候補高度差の評価が開始される。
【0067】
ブロック180では、ビーム対(たとえば、ピングp及びp+1に関連付けられる)の中の各ビームフォーム信号に対するビームフォーム信号が水平面(すなわち水平距離)に変換される。ピング=pにおけるビーム対の中のビームは、図3において特定される概略高度を用いて変換され、ピング=p+1におけるビーム対の中のビームは、ピング=pの概略高度にaltitude_index=aiによって特定される候補高度差を加えたものに等しい候補高度を用いて変換される。直線距離から水平距離への変換を実行する方法は、当業者には理解されよう。
【0068】
ブロック182では、結果として生成された、水平距離のビームフォーム信号を相関させて、結果として、相関値を有する相関ベクトルが生成される。相関ベクトルの中で、ベクトル値のうちの1つが他のベクトル値よりも高いことがあり、ベクトル値のうちの1つが、altitude_index=aiに関連付けられる選択された候補高度差がピングp及びp+1における受信アレイの高度間の実際の高度差であることを指示することがあるものと予想される。また、高い相関値を達成するために相関において用いられる水平距離シフトが、ピングpとp+1との間の受信アレイの水平変位に関連付けられることがある。しかしながら、別の候補高度の場合の相関ベクトルにおいて、さらに高い相関値が達成されることもある。1つの特定の実施形態では、その相関は、たとえば図11〜図11Cに関連して示されるように、クリッピングされた相関である。
【0069】
ブロック184では、ブロック166において予め0に初期されているmax_corrが、ブロック182において生成されるmax_corr又は相関ベクトルの最大相関ベクトル値のいずれかの最大値に等しくなるように更新される。最大相関ベクトル値は、関連するbeam_pair_index、候補altitude_index=aiに対応する関連する高度差=dalt(ai)及び最大ベクトル値に関連付けられる潜在的な水平変位=dhoriz(ai)とともに保持される。
【0070】
ブロック186では、アンビギュイティ行列が更新される。アンビギュイティ行列は、図4Aに関連する説明から理解されよう。しかしながらここでは、アンビギュイティ行列が、各行がブロック182において計算された相関値を有する相関に対応し、それぞれ異なる行が異なる候補高度差において生成される相関に対応する数値行列であるということ
を言うにとどめる。
【0071】
そのプロセスはブロック204に進み、ブロック204では、候補高度差が、altitude_index=aiをai+1にインクリメントすることによって更新される。そのプロセスは、各候補高度差が評価されるまで、ブロック178〜186及び204の中をループする。ループする度に、関連するbeam_pair_index、関連する高度差=dalt(ai)、及び最大ベクトル値に関連付けられる潜在的な水平変位=dhoriz(ai)とともに、最大相関値、max_corrが保持される。この構成によれば、最大ベクトル値が、関連する情報とともに、複数の相関ベクトルの中から特定される。
【0072】
ブロック186において更新されたアンビギュイティ行列は、そのプロセスがブロック178〜186及び204の中をループするのに応じて繰返し構成される。アンビギュイティ行列は、図4Aに関連してさらに後述する。しかしながら、上記のように、アンビギュイティ行列はベクトル値の行列であり、異なる行がそれぞれ、ブロック204においてインデックスを付された異なる候補高度差において、ブロック182において生成された相関ベクトルに対応する。その行列内のベクトル値のうちの少なくとも1つは、max_corrに等しい最も大きな値である。
【0073】
ブロック198において開始する後続の処理は、適当なmax_corr値がブロック178〜186及び204において得られなかった場合の例外処理である。ブロック198では、beam_pair_indexが1だけインクリメントされ、そのプロセスは再び判断ブロック172に進む。判断ブロック172において、ブロック178〜186及び204の処理が、適当なmax_corr値を与えなかった場合、すなわちmax_corrがブロック162において選択された相関閾値未満である場合、且つ新たなビーム対が最後のビーム対を越えていない場合、すなわちbeam_pair_indexがビーム対の数以下である場合には、新たなビーム対を用いて、ブロック174〜186、198及び204のプロセスが繰り返される。しかしながら、上記の条件が満たされない場合には、そのプロセスはブロック202に進み、ブロック202において、スケールインデックスがインクリメントされる。
【0074】
上記のように、スケールインデックスが大きくなるほど、ブロック180の水平距離変換において用いられる対応する1組の高度差が、一般的には起こりにくい高度差になる。そのプロセスは判断ブロック168に進み、ブロック168において、ブロック178〜186、198及び204の処理が、適当なmax_corr値を与えなかった場合、すなわちmax_corrがブロック162において選択された相関閾値未満である場合、且つ新たなスケールが最後のスケールを越えていない場合には、新たなスケールインデックスにおける候補高度差に対して、ブロック170〜186、198及び204のプロセスが繰り返される。しかしながら、上記の条件が満たされない場合には、最大相関が相関閾値未満であった場合でも、ブロック194において、max_corrに対応する現在の高度差及び水平距離シフトが受け入れられる。その後、プロセスはブロック190に進む。
【0075】
そのプロセスはブロック190に進み、ブロック190では、p=p+1にインクリメントすることによってピング対がインクリメントされ、そのプロセスは判断ブロック158に進む。判断ブロック158では、ピングブロック内の全てのピングが、その処理において用いられていない場合には、新たなピング対を用いて、ブロック160〜186、204及び202のプロセスが繰り返される。しかしながら、判断ブロック158において、ピングブロック内の全てのピングが処理されていた場合には、その処理は判断ブロック152に進む。判断ブロック152において、もはやNピングブロックが存在しない場合には、そのプロセスは終了する。しかしながら、別のNピングブロックが存在する場合には、ブロック188において次のNピングブロックにインクリメントして、そのプロセスが繰り返される。
【0076】
上記の説明から、且つ要約すると、ピング対毎に、ビーム対に関連付けられる、対応するビームフォーム信号が最初に水平距離に変換されることが明らかになるはずである。そのビーム対のビームのうちの第1のビームは、図3のプロセス100によって確認されるように、概略高度を用いて変換される。ビーム対のビームのうちの第2のビームは、種々の候補高度差を用いて変換される。2つ水平距離のビームフォーム信号の相関は、細密高度差を生成するだけでなく、ピング対の中の2つのピングに対応する受信アレイの場所の間の細密水平変位も生成する。
【0077】
ここで図4Aを参照すると、図4にブロック200において生成されるようなアンビギュイティ行列210が、水平変位に等価である時間遅延に関連付けられる列212a〜212pを含む。またアンビギュイティ行列は、altitude_index=aiによってインデックスを付される候補高度差を用いる相関に対応する行214a〜214fも含む。
【0078】
アンビギュイティ行列の各行は、各行に沿った枠によって表される相関値を有する相関として生成される。相関ベクトルとして、図4のブロック182に関連付けられる相関ベクトルを用いることができる。アンビギュイティ行列の相関値が示されており、最も色が濃い枠216aは最も高い相関を有し、数多くの白い枠は概ね0の相関を有し、斜線を付された枠は中間の相関値を有する。斜線を付された枠216b〜216gは、かなり高い相関を有し、雑音がある場合には、ピーク(たとえば、216a)と間違われることもある。本明細書において用いられるときに、楕円状の1組の枠216a〜216gは、「アンビギュイティ表面」と呼ばれる。アンビギュイティ表面のかなり高い相関の枠216a〜216gを通って、「アンビギュイティ長軸」218を生成することができる。
【0079】
ここで図5を参照すると、図2のブロック62に関連付けられるプロセス300がブロック302において開始し、ブロック302では、相関ベクトルの最大ベクトル値を通って、粗いアンビギュイティ長軸が描かれる。粗いアンビギュイティ長軸218は、たとえば図4Aに示される。
【0080】
これまで説明したアンビギュイティ行列、たとえば、図4Aのアンビギュイティ行列210は、水平距離及び高度に関して、或る特定の分解能及び精度を有する。分解能はアンビギュイティ表面のサイズであり、それは主に、送信信号、及び相関において用いられる俯角幅によって制御される。それは、量子化効果とは無関係である。対照的に、アンビギュイティ表面のピークを測定することができる精度は、空間サンプリングレートに直に結び付けられる。高度の精度は、図4のブロック174において選択される候補高度差の細分性によって決定される。水平距離精度は、図4のブロック180において水平距離に変換される際に用いられる空間サンプリングレートによって決定される。最も粗い許容精度は、時間領域の送信信号において与えられるナイキストレート等によって制御され、それはさらに、アンビギュイティ表面分解能に結び付けられる。
【0081】
アンビギュイティ長軸の精度を改善するために、枠の水平方向間隔をさらに細かくして、所与の高度差の場合のピーク相関の水平距離シフトの推定値をさらに正確にすることが望ましいであろう。それゆえ、ブロック304では、ビームフォーム信号が、より高いサンプリングレートに補間され、ブロック306では、そのサンプリングレートを用いて、より高い空間サンプリングレートにおいて、補間されたビームフォーム信号が水平距離に変換される。ブロック308では、それに応じて小さくなった水平方向の枠を用いて、アンビギュイティ行列が生成し直される。
【0082】
1つの特定の実施形態では、より密度が高いアンビギュイティ行列だけが、既知の粗いアンビギュイティ軸付近の場所を占める。なぜなら、粗いアンビギュイティ行列において
特定される高度及び水平変位は、より高密度のアンビギュイティ行列内の最大ベクトル値によって特定される高度及び水平変位に近い可能性が高いためである。アンビギュイティ行列内の各成分は、相関中に、2つのビームフォーム信号のドット積によって生成されることは当業者には理解されよう。それゆえ、アンビギュイティ表面の個々のセルは、ドット積で形成する(計算する)ことができる。ドット積を用いる結果として、粗いアンビギュイティ軸の近くで、アンビギュイティ表面が迅速に形成されるようになる。
【0083】
しかしながら、代替の構成では、さらに細密な時間遅延間隔を用いて、図4に関連して説明された完全相関を生成し直して、より高密度のアンビギュイティ表面全体を形成することができる。完全相関を用いることは、おそらく、既知の粗いアンビギュイティ軸の近くでドット積を計算するだけの場合よりも長い処理時間を要するであろう。
【0084】
いずれの構成でも、高精度アンビギュイティ表面から、中間精度のアンビギュイティ長軸を確立することができる。
中間精度のアンビギュイティ長軸は、アンビギュイティ行列、すなわちアンビギュイティ表面の振幅が高い部分の勾配に対応する。勾配を正確に推定するために、ブロック310は、1組の候補勾配、∂alt/∂horを仮定して、アンビギュイティ表面上の勾配∂alt/∂horの線に沿って、相関の全ての高度にわたる和の全ての水平シフトにわたる最大値をプロットする。その曲線は、図5Dに関連してさらに後述する。
【0085】
ブロック312では、ブロック310において生成された曲線に、放物線関数又は他の数学的な関数が当てはめられる。その数学的な関数も、図5Dに関連してさらに後述する。
【0086】
ブロック314では、放物線関数又は他の数学的な関数のピークが特定される。放物線のピークは、高精度高度差及び高精度水平変位に関連付けられる。
ブロック316では、高精度高度差及び高精度水平変位が、数学的な関数のピークに従って特定される。
【0087】
ブロック318では、高精度アンビギュイティ長軸及び短軸が決定される。高精度アンビギュイティ長軸は、ブロック316において特定された高精度アンビギュイティ表面上の高精度高度差及び高精度水平変位の中を通る。高精度アンビギュイティ短軸は、アンビギュイティ長軸に対して垂直である。
【0088】
最後のNピングブロックが処理されたなら、判断ブロック320において、そのプロセスは終了する。最後のNピングブロックが処理されていない場合には、ブロック322に示されるように、次のNピングブロックが選択され、プロセス302〜320が繰り返される。
【0089】
ここで図5Aを参照すると、最大相関値は、ただ1つの枠352において生じることがあるか、又は複数の枠内で生じることがある。或る特定の実施形態では、最大相関を有する複数の枠のうちの任意の1つの枠がピークとして選択される。最大相関の枠352は、細密水平変位354及び細密高度差356に関連付けられ、それらはそれぞれ、枠352の列及び行によって特定される。
【0090】
ここで図5Bを参照すると、図5Aの類似の要素が類似の参照符号を有するように示されており、粗いアンビギュイティ長軸358が、最大ベクトル値352、及びアンビギュイティ表面350の他の行内の他の最大値の中を通るように推定される。粗いアンビギュイティ長軸は、たとえば、図5のブロック302において推定される。
【0091】
ここで図5Cを参照すると、図5A及び図5Bの類似の要素が類似の参照符号を有するように示されており、高精度アンビギュイティ表面360が、ビームフォーム信号を補間し、その表面の行毎に、より小さな時間遅延増分及び関連する水平変位を与えることによって構成される。しかしながら、図示される完全な高精度アンビギュイティ表面360に反して、図5のブロック308に関連して前述のように、新たなドット積最大値(斜線を付された枠として示される)と、対応する中間精度アンビギュイティ軸364を与えるために、粗いアンビギュイティ軸358の近くにある、ドット積のいくつかだけが計算される。
【0092】
ここで図5Dを参照すると、グラフが、アンビギュイティ表面の長軸の勾配∂alt/∂horに対応する横軸と、候補勾配の最適性を指示する縦軸とを含む。曲線372においてプロットされる最適性の測定基準は、アンビギュイティ表面上の勾配∂alt/∂horを有する線に沿った、相関の全ての高度にわたる和の全ての水平シフトにわたる最大相関ベクトル値である。曲線372に当てはめるために、数学的な関数374が用いられる。1つの特定の実施形態では、その数学的な関数は放物線関数である。しかしながら、他の実施形態では、他の関数、たとえば、多項式関数を用いることができる。ピーク376が特定され、高精度アンビギュイティ長軸及び高精度アンビギュイティ短軸を計算する際に、対応する勾配∂alt/∂horが用いられる。
【0093】
ここで図5Eを参照すると、高精度アンビギュイティ長軸380が、図5Dのピーク376のための勾配に等しい勾配を有するように定義される。高精度アンビギュイティ短軸382は長軸380に対して直交するように定義される。
【0094】
ここで図6を参照すると、プロセス400が、図2のブロック64において示されるような左右揺低減を提供する。そのプロセスはブロック402において開始し、ブロック402では、個々のピング対にそれぞれ関連付けられる、Nピングブロックのための複数のアンビギュイティ軸に沿って、相関ベクトル値の最大値が特定される。
【0095】
ブロック406では、複数のアンビギュイティ軸に関連して、垂直な上下揺軸が特定される。ブロック408では、垂直な上下揺軸に従ってピングブロック内のピングのための高精度高度差及び高精度水平変位を調整することによって、複数のアンビギュイティ軸上の最大値が、アンビギュイティ軸に沿って、垂直な上下揺軸と交差するように調整される。判断ブロック410では、Nピングブロックが最後のNピングブロックである場合には、そのプロセスは終了する。しかしながら、別のNピングブロックが存在する場合には、そのプロセスはブロック412に続き、別のNピングブロックが選択され、そのプロセスが繰り返される。
【0096】
ここで図6Aを参照すると、図6のプロセス400がグラフ形式で示される。たとえば、図5のプロセスに関連して確認されたように、縦軸460は高精度高度差に対応し、横軸462は高精度水平変位に対応する。複数の高精度アンビギュイティ軸452a〜452lが、図4〜図5Eのプロセスに従って求められ、高精度アンビギュイティ軸はそれぞれ、1つのピング対に関連して構成される1つの高精度アンビギュイティ表面に対応する。高精度アンビギュイティ軸は、類似の勾配を有する。各高精度アンビギュイティ軸上に示される白抜きの点は高精度高度差及び高精度水平変位に対応し、それぞれ図5に関連して上述している。
【0097】
曳航体のような、多くのソナープラットフォームの場合に、曳航体の運動学は、概ね安定した左右揺(クラッビング)及び大きく変動する上下揺を有することが予めわかっている。上下揺は多くの場合に概ね正弦曲線を描き、海洋の波によって物理的に引き起こされる。しかしながら、図6Aの白抜きの点は、垂直方向よりも、水平方向において大きく変
位が変動していることが明らかである。これは物理的には妥当ではなく、アンビギュイティ表面のピークが正確に選択されないことに起因して生じる。この問題を緩和するのを助けるために、全ての白抜きの点が同じ水平シフトを有するように、左右揺低減アルゴリズムが、そのアンビギュイティ長軸に沿って各白抜きの点(不正確になっている領域)をシフトする。
【0098】
垂直な上下揺軸454は、たとえば、白抜きの点によって指示される水平変位の中央値に対応する位置において生成することができる。別の実施形態では、垂直な上下揺軸454は、白抜きの点によって指示される水平変位の平均値をとることができる。
【0099】
垂直な上下揺軸454を有するとき、白抜きの点をそれぞれ、その個々のアンビギュイティ長軸452a〜452lに沿って動かして、垂直な上下揺軸454に達することができる。一旦、動かされたなら、白抜きの点は垂直線上の黒塗りの点になり、各点は左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位に対応する。
【0100】
ここで図7を参照すると、プロセス500が図2のブロック66に対応し、そのブロックは、ブロック50cの1組の連続位置推定プロセスの先頭である。合成開口ソナーは、複数のピングにわたって、ビームフォーム信号をコヒーレントに加算する。それは、波長よりもかなり小さな精度までの位置合わせ(位置推定値によって与えられる)を必要とし、サンプリングレートがナイキストレートよりも数桁大きくない限り、図2の初期化ブロック50bでは達成することはできない。位相線形化技法を用いて、波長未満の精度が達成される。相関に対応する位相線形化判定基準が、連続した空間領域に関して表され、その後、それが、図2の初期化ブロック50bによって得られる推定値からの連続した空間領域内の小さな摂動に対して線形化される。いくつかの対称性を用いて、種々の自由度間の位相線形化が近似的に切り離され、それゆえ計算が簡単になる。
【0101】
プロセス500は判断ブロック502において開始し、ブロック502では、最初のNピングブロックの場合に、そのプロセスは判断ブロック504に進み、その後、ブロック506に進む。ブロック506では、ピング番号pが1に初期化される。
【0102】
そのプロセスは判断ブロック508に進み、ブロック508では、ピング番号がNより小さい場合には、そのプロセスはブロック510に進む。ブロック510では、ピングp及びピングp+1を含むように、ピング対が選択される。ブロック512では、ピングpにおける受信アレイの位置に従って局所的な座標が選択される。局所的な座標は、図1B及び図1Cに関連して説明されている。ブロック514では、ピングp及びピングp+1の両方の場合に、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位が特定される。左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位は、図6及び図6Aに関連して上述している。代替の構成では、代わりに、細密高度差及び細密水平変位、又は高精度高度差及び高精度水平変位を用いることができる。
【0103】
ブロック516では、ピングpとp+1との間で、受信アレイの前方への動き及び船首揺(ヨーイング:yaw)が推定される。この目的を達成するために、ブロック518において、ピング対、受信アレイについて対称な左舷及び右舷、ビームアスペクトについて対称な船首及び船尾に関連して、4つのビーム対が選択される。ブロック520では、第1の位相線形化方程式を用いて、前方への動き及び船首揺推定値が計算される。第1の位相線形化方程式は、図7Aに関連して後述する。
【0104】
ブロック522では、ピングpとp+1との間で、受信アレイの横揺(ロール:roll)速度(横揺ではない)及び左右揺(スウェイ)が推定される。この目的を果たすために、ブロック524において、ピング対、1つの左舷及び1つの右舷、及びビームアスペクト
について同じ方位角に関連して、2つのビーム対が選択される。ブロック526では、第2の位相線形化方程式を用いて、横揺速度及び左右揺推定値が計算される。
【0105】
ブロック528では、ピングpとp+1との間で、受信アレイの縦揺の変化が推定される。この目的を果たすために、ブロック530において、ピング対、右舷(又は左舷)のみ、及びビームアスペクトについて対称な船首及び船尾に関連して、2つのビーム対が選択される。ブロック532では、第3の位相線形化方程式を用いて、縦揺の変化の推定値が計算される。
【0106】
ブロック534では、ピングpとp+1との間で、受信アレイの上下揺が推定される。この目的を果たすために、ブロック536において、ピング対に関連して、1つのビーム対が選択される。ビーム対には、任意のビーム対を用いることができる。ブロック538では、第4の位相線形化方程式を用いて、上下揺推定値が計算される。
【0107】
特定の位相線形化方程式において用いられるいくつかの入力パラメータは、先行する位相線形化方程式において推定される項に対応することは理解されよう。左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位も位相線形化方程式において用いられる。具体的な詳細は後に示す。
【0108】
そのプロセスはブロック542に進み、ブロック542では、ピング番号pがインクリメントされる。判断ブロック508において、ピング番号pがN未満である場合には、上記のプロセスは新たなピング対について繰り返される。判断ブロック508において、ピング番号pがN未満でない場合には、そのプロセスは判断ブロック502に進み、ブロック502では、さらにNピングブロックが残っているか否かの判定が行われる。もはやNピングブロックが残っていない場合には、そのプロセスは終了する。さらにNピングブロックが残っている場合には、そのプロセスはブロック540に進み、ブロック540では、Nピングブロックが次のNピングブロックにインクリメントされ、上記の残りのプロセスブロックが繰り返される。
【0109】
ここで図7Aを参照すると、絵図550が、ピングp及びp+1の場所にそれぞれ対応する2つの位置552a、552bのそれぞれにおける曳航体552を示す。受信アレイ(図示せず)は曳航体552上に配置される。
【0110】
第1の線554aは、曳航体552が位置552aにあるときの受信アレイのビームアスペクトに対応する。第2の線554bは、曳航体552が位置552bにあるときの受信アレイのビームアスペクトに対応する。第1の曲線556aは、曳航体552が位置552aにあるときに、受信ビーム最大応答角(MRA)が水域の底面と交差する場所に対応する。第2の曲線556bは、曳航体552が位置552bにあるときに、受信ビームMRAが水域の底面と交差する場所に対応する。破線558は、曲線556aと556bとの間の中線に対応する。曲線556a、556b、558は双曲線である。
【0111】
ビームフォーム信号は、海底の音波が当たる領域内に存在する小さな散乱体の大きなフィールドからの1組のエコーの線形重畳としてモデル化することができる。音波を当てられる領域は、ピング間及びビーム間で変化する。ビームが概ね重なっている場合には、小さな散乱体の音波を当てられるフィールドの交差点は、2本の双曲線556a、556bの平均558に沿って分布する、小さな散乱体の大きなフィールドとして粗く近似することができる。それゆえ、ビーム対を相関させて、最適な高度差及び水平変位が曳航体の動きを指示する。
【0112】
図4のブロック180に関連して説明した直線距離/水平距離変換は、実際の高度を(
ビームアスペクトに対する)MRAの余弦で割った値に等しい「ビーム−高度」、及びビームアスペクト水平変位をMRAの余弦で割った値に対応する「ビーム−水平変位」に基づかなければならない。したがって、以前に得られた高度差及び水平変位は、実際にはビーム−高度及びビーム−水平距離であり、すなわち、それらは面から離れるビーム角に依存する。
【0113】
各ビームの時間応答を各散乱体からのエコーの線形重畳としてモデル化することによって、プラットフォームが動くのに応じて、相関がいかに変化するかを求めるための式が導出される。位置の小さな摂動は、ビームフォーム信号のサンプルの包絡線に影響を及ぼさないように近似される。位相シフトのテイラー級数展開を実行して、以下の位相線形化判定基準が得られる。
【0114】
【数1】
【0115】
ただし、
u=beam_pair_index(ビーム対インデックス);
p=ping_number_index(ピング番号インデックス);
v=水平距離への変換後の水平サンプルインデックス;
w=左舷(port)アレイ及び右舷(starboard)アレイの横方向分離;
λ=搬送波周波数の音響波長;
Lu=ビーム対uのための位相線形化判定基準。通常、それぞれが自らのLuを有する、複数のビーム対が考慮される。;
Lv,u=水平距離サンプルvから生じるLuの部分;
Gp,u(α,β)=高度及び水平距離に概ね対応するダミー変数α、βの場合の、時刻2sqrt(α2+β2)/cにおけるピングp、ビーム対uのためのビームフォーム信号;
G*p+1,u(α,β)=高度及び水平距離に概ね対応するダミー変数α、βの場合の、時刻2sqrt(α2+β2)/cにおけるピングp+1、ビーム対uのためのビー
ムフォーム信号の共役複素数;
c=水中の音の速度;
【0116】
【数2】
【0117】
Δεz,u=εz,p+1,u−εz,p,u=左右揺低減高度差に相当する;
Δεγ,u=εγ,p+1,u−εγ,p,u=左右揺低減水平変位に相当する;
【0118】
【数3】
【0119】
【数4】
【0120】
εγ,p,u=名目的なγv,uからの、ピングp、ビーム対uにおける水平距離サンプルvの線形化点の差。これは、すべての水平距離サンプルの場合に同じであることに留意されたい;
εγ,p+1,u=名目的なγv,uからの、ピングp+1、ビーム対uにおける水平距離サンプルvの線形化点の差。これは、すべての水平距離サンプルの場合に同じであることに留意されたい;
γv,u=ピングp及びp+1の両方の場合の、ビーム対uのための水平距離サンプルuに対する名目的な水平オフセット。オフセットはピング間で異なるので、これは厳密なオフセットでないことに留意されたい;
Ωv,u=実際の位置からの線形化点の摂動によって、及び送信方位角の位相符号化によってLu内に導入される位相;
Δρv,u=サンプルv、ビーム対uの場合のピングp及びp+1のための直線距離シフトの差に概ね対応する中間ダミー変数;
φu=(1/2)(φp+1,u+φp,u);
φp+1,u=ビームアスペクト(すなわち、相対的な曳航体座標であって、固定された地球座標ではない)に対する、ピングp+1の場合のビーム対uに対応するビームのMRA;
φp,u=ビームアスペクト(すなわち、相対的な曳航体座標であって、固定された地球座標ではない)に対する、ピングpの場合のビーム対uに対応するビームのMRA;
Δx=x軸、前方に沿った変位(軸については図1B及び図1Cを参照されたい);
Δy=y軸、右舷に沿った変位;
Δz=z軸、下方に沿った変位;
ψx=x軸を中心にした角度(横揺);
ψy=y軸を中心にした角度(縦揺);
ψz=z軸を中心にした角度(船首揺);
ζ(φ)=ビームアスペクトに対する方位角φのための送信位相;
Δζv,u=サンプルv、ビーム対uにおいて、方位角を送信ビームに位相符号化することから生じる位相差;
ζ’=∂ζ/∂φ、方位角に対する送信位相の偏導関数;
Γ=全ての水平距離サンプルvの集合。
【0121】
上記の判定基準Luは、動き推定値が摂動し、結果として、Luが全てのビーム対の場合に同時にその実数値の最大値に達するときに最適化される。
位相線形化は、時間遅延を位相シフトによって近似することができるという前提に基づく。これは、広い俯角幅を有する狭帯域信号(結果として、包絡線が大きくシフトする前に、位相の弱め合う干渉が生じる)場合のみ適している。これが満たされないとすると、類似の時間線形化が必要とされるであろう。
【0122】
位相線形化方程式は6つの変数からなる関数であり、それらの式は非凸関数である。それゆえ、位相線形化方程式を解くために、大部分の標準的な最適化アルゴリズムを適用するのは難しいであろう。しかしながら、対称性を用いて、位相線形化方程式内の種々の項を消去し、最適化を切り離すことができる。その手順は以下のとおりである。
【0123】
図2のブロック52〜64に関連して、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位が推定される。初期ビーム−高度(図7Aに関連して上述した)が以下のように生成される。
【0124】
【数5】
【0125】
ただし、ap及びap+1は、ピングp及びp+1の場合にナディアリターンから得られる粗い精度の高度推定値である。それらの高度は、精度は低い(時間に関する分解能が粗い)が、正確である(縦揺の存在時の高度差のようにDCバイアスに起因するドリフトがない)ので、ここでは粗い高度を用いることが重要である。Δεz,u差及びΔεγ,u差はそれぞれ、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位に相当する。特定の実施形態では、これらの値からわずかに変動があっても、有益であることもある。相関の包絡線を最大にするεz,p,u、εγ,p,u、εz,p+1,u及びεγ,p+1,uを見つけるために、いくつかの候補高度に場合に水平距離内の2つのビームに相関を適用することができる。これらの項が、任意の特定の物理量には大まかにしか対応しないこと、上記の判定基準を線形化するのに適した点であるにすぎないことを強調しておきたい。
【0126】
次に、2つのビーム対u=αとu=βとの間のLuを合成する内積を次のように定義する。
【0127】
【数6】
【0128】
ただし、
【0129】
【数7】
【0130】
Lα,v=水平距離サンプルvにおける、ビーム対u=αの場合の位相線形化判定基準
Lu;及び
L*β,v=水平距離サンプルvにおける、ビーム対u=βの場合の位相線形化判定基準Luの共役複素数。
【0131】
動きパラメータの特定の近似が利用可能である場合には、その内積項を近似するために、次のように第一近似を行うことができる。
【0132】
【数8】
【0133】
キャロット記号^は、L及びΩ両方の場合の推定値を表すのに対して、非キャロットのΩは対応する真の値である。
第二近似は、真のΩv,uの場合に、角括弧内の量が実数であり、且つ負でないことに基づく。この近似によれば、Gp,uG*p+1,uの振幅だけが無視される。振幅は一般的には均一であるので、それは重要ではないであろう。位相誤差は残る。
【0134】
上記の判定基準は最初に長距離のサンプルだけを考慮する。その場合、直線距離及び水平距離は概ね同じである。4つのビーム対、すなわち左舷、右舷、ビームアスペクトの対称な船首(+)及び船尾(−)(すなわち、φ−=−φ+)が用いられる。その内積の位相は以下のとおりである。
【0135】
【数9】
【0136】
これらの式は、1組の2つのL〜方程式に対する解を表しており、それらのピークは0位相に、すなわち2πの任意の倍数にある(π(m+n)及びπ(m−n)は2πの任意の整数倍であり、巧みに定義されていないのは明らかであるが、以下で都合の良い解を生成する)。残りの変数及び演算子は以下のように定義される。
【0137】
【数10】
【0138】
上記の式は、2つの未知数を有する2つの線形方程式を含む第1の位相線形化方程式を生成し、それは、進路推定値及び船首揺推定値を生成するために解かれる。
【0139】
【数11】
【0140】
特定の実施形態では、真のm値及びn値を選択することが普通である。どのビーム対が相関することができるかを特定するだけであれば、m値及びn値が空間的に重なり合うビーム対を生成するか否かに基づいて、この問題を解けば十分である。
【0141】
次に第2の位相線形化方程式を生成し、解いて、横揺速度及び左右揺推定値が与えられる。それらの値は、内積による等しい方位角におけるビーム対の左舷/右舷対に基づく。
【0142】
【数12】
【0143】
上記の式Gv〜において現われる全てのパラメータはわかっているか、又は推定されているので、それらのパラメータがGv〜に入れられて、まとめられる。具体的には、先に計算された推定値Δx^及びΔφ^zを用いる。φzに関する恒等式は、ピングpの場合にφz=0であるので、ピングp及びp+1にわたる平均値が計算される。上記の式の実数値のピークは、3ステップのプロセスにおいて見いだされる。
【0144】
・Δφxに適当な初期推定値を割り当てる。左舷アレイ及び右舷アレイの横方向分離が0(w=0)である場合には、この項は省かれる。w≠0の場合、特定の実施形態は、低品質のジャイロを用いて、この推定値を求める。そのような低品質のジャイロは、初期データから直に動き推定値を求めるために必要とされることになる極めて高品質の慣性運動ユニット(IMU)よりもはるかに安価であることを強調しておきたい。他の実施形態は、単にΔφx=0のような適当な値を試し、ジャイロを用いるのを避けるであろう。
【0145】
・Δyのライン探索を実施して、包絡線ピークを見つける。
・アンビギュイティ長軸に沿ってコヒーレントライン探索を実施して、最も近い実数値のピークを見つける。そのピークは、最適なΔφx及びΔyとして求められるであろう。
【0146】
縦揺の変化の推定値を与える第3の位相線形化方程式は、ビームアスペクトの船首及び船尾から等距離にある2つの右舷ビーム対に基づく。
【0147】
【数13】
【0148】
上記の式は、以下のようなΔφyにわたる1−Dライン探索によって解くことができる。
・Δφy=0における内積、及び或る|ε|<<1の場合のεの数値を求め、Δφyに対する内積位相の偏導関数を計算する。
【0149】
・その導関数を用いて、位相が0のいくつかの適当なΔφyを計算する。
・これらの値のそれぞれにおいて内積の数値を求め、真のΔφyになるような最大振幅を有する内積を選択する。
【0150】
探索されるラインはアンビギュイティ長軸と位置合わせされないので、複数のサイクルが、振幅が最大値に相当するピークを有する場合でも、大きな問題にはならないであろう。2つの右舷ビーム対の使用は任意である。代替の実施形態では、代わりに2つの左舷ビーム対を用いることができ、当業者であれば、わずかに異なる式を容易に導出することができるであろう。
【0151】
進行している動きの項の全てが利用可能であれば、第4の位相線形化方程式を生成して、単一のビーム対を用いて上下揺が計算される。
【0152】
【数14】
【0153】
第3の位相線形化におけるΔφyのためのライン探索に相当するライン探索によって、ζ^の最適値が計算される。ビームアスペクトの、船首を指している右舷ビームの選択は任意であった。代替の実施形態は異なるビームを用いることができ、当業者であれば、わずかに異なる方程式を容易に導出することができる。
【0154】
上記で計算された上下揺は、縦揺(縦揺れの変化ではない)を含む項によって汚染されることがある。単一のピング対を基にして、上下揺項及び縦揺項をいかにして切り離すかは明らかではない。一実施形態では、長い一連のピングの場合に上記の位相線形化プロセス全体が実行され、その後、上下揺項及び縦揺項が、一連の概略高度(ナディアリターン)に対して、積分された上下揺差内の長期ドリフトに基づいて切り離される。縦揺補償は後に図8〜図8Bにおいて説明される。しかしながら、数学的な導出も以下に与えられる。
【0155】
縦揺差は上記で推定されている。ピングにわたる縦揺差の積分はDCオフセットを与える。その積分は以下のとおりである。
【0156】
【数15】
【0157】
ただし、
ζ^p=縦揺汚染を有する、ピングpとp+1との間の高度差の第4の位相線形化推定値;
zp+1=ピングp+1の場合の真の高度;
zp=ピングpの場合の真の高度;
ψy,p+1=ピングp+1の場合の真の縦揺;
ψy,p=ピングpの場合の真の縦揺;
x^p+1=ピングp+1における推定される前方位置;
x^p=ピングpにおける推定される前方位置;
真の高度をナディアリターンで置き換え、縦揺について解くと、以下の式が得られる。
【0158】
【数16】
【0159】
縦揺は推定された以上、高度差を積分し、それに、図3に関連して上述した概略高度のDC値に等しいDC値を与えることによって、高度が求められる。
【0160】
【数17】
【0161】
次に、一連の動き推定値の座標を局所的な基準座標系から一貫性のある基準座標系、たとえば地球基準座標系、NED(north-east-and down)に変更する。座標変換は、従来の回転行列を用いて実行することができる。
【0162】
上記で与えられた最適化は、位相線形化判定基準を最大にする方法の一例にすぎない。他の技法を用いることもできる。
代替の実施形態では、位相線形化方程式のそれぞれに関連付けられるビームの異なる組み合わせを用いることができる。また、代替の実施形態では、上記の内積において用いられる積の代わりに、複数のビーム対にわたる和を用いることができる。
【0163】
ここで図7Bを参照すると、送信ビームの方位角位相符号化が説明される。第1の曳航体560が、進路に沿った相対的な変位に対応する位置560a、560bに示される。ビーム562a、564aは、第1の曳航体位置560aにおける、それぞれ右舷ビーム及び左舷ビームに対応し、ビーム562b、564bは、第2の曳航体位置560bにおける、それぞれ右舷ビーム及び左舷ビームに対応する。
【0164】
前述の第1の位相線形化方程式及び方法によって、前方変位及び回転(船首揺)を推定できるようになる。この目的を果たすために、概ね二次である位相シフトを有する送信ビームパターンが与えられる。この構成によれば、連続したピング間の相関が、方位角において概ね線形である位相シフトを生成する。その位相シフトは、前方への動きの場合に、左舷と右舷との間で偶対称性を有し、近接フィールドにおける回転(船首揺)変化及び縦揺変化の場合に奇対称性を有する)。1つの物理的なビーム幅による回転(船首揺)の結果として、大きな位相シフトが生じる可能性がある。
【0165】
方位角において二次の位相シフトを有する送信アレイを形成することが可能である。従来の単一ピングビームフォーミング用の特定の送信機が、この特性を有する。個々のトランスデューサは、それほど高くない電力量を水中に送信できるにすぎない。それゆえ、そのような素子のアレイを用いて、送信電力を高めることが有用であろう。それらの素子が直線に配列され、同じ信号を同時に送信するとすると、それらの素子は、コヒーレントに干渉して、望ましくないほど狭帯域の送信ビームが形成されるであろう。送信ビームを方位角方向において広げるための一般的な方法は、そのアレイをわずかに曲げて、凸側が正の距離方向を指すようにし、全ての素子において同じ信号を同時に送信することである。別法では、この効果を擬似的に生成するために、各素子において時間遅延を与えて、直線的なアレイを用いることができる。
【0166】
前方への動きを示すグラフは、曳航体を中心にした方位角を単位とする縦軸566と、受信ビーム564a、564bの位相変化を単位とする横軸568とを有する。音響送信機が方位角において位相シフトを有する結果として、曲線570が、受信ビーム564aにわたる位相に対応し、曲線572が、受信ビーム564bにわたる位相変化に対応する。線576は、曳航体が位置560aから位置560bまで動くときの、ビーム574a、574bに対応する平均位相変化の勾配を表す。
【0167】
別のグラフは、曳航体を中心にした方位角を単位とする縦軸578と、受信ビーム562a、562bの位相変化を単位とする横軸580とを有する。曲線582は、受信ビーム562aにわたる位相に対応し、曲線584は、ビーム562bにわたる位相変化に対応する。線586は、曳航体が位置560aから位置560bまで前方に動くときのビーム562a、562bに対応する平均位相変化の勾配を表す。
【0168】
線576及び586は同じ勾配を有することが図から明らかである。
第2の曳航体590が、相対的な船首回転(船首揺)に対応する位置590a、590bにおいて示される。ビーム592a、594aは、第1の曳航体位置590aにおける、それぞれ右舷ビーム及び左舷ビームに対応し、ビーム592b、594bは、第2の曳航体位置590bにおける、それぞれ右舷ビーム及び左舷ビームに対応する。
【0169】
グラフは、曳航体を中心にした方位角を単位とする縦軸596と、受信ビーム594a、594bの位相変化を単位とする横軸598とを有する。曲線600が、受信ビーム594aにわたる位相に対応し、曲線602が、受信ビーム594bにわたる位相変化に対応する。線604が、曳航体がそれぞれ位置590a、590bにあるときのビーム594aと594bとの間の位相差の方位角方向の変動を表す。
【0170】
別のグラフは、曳航体を中心にした方位角を単位とする縦軸606と、受信ビーム592a、592bの位相変化を単位とする横軸608とを有する。曲線610が、受信ビーム592aにわたる位相に対応し、曲線612が、受信ビーム592bにわたる位相変化に対応する。線614が、曳航体が位置590aから590bまで動くときのビーム592a、592bに対応する平均位相変化の勾配を表す。
【0171】
線604及び614が逆の勾配を有することがわかる。それゆえ、左舷受信ビーム及び右舷受信ビームの逆の位相変化を用いて、進路に沿った前方への動きとは異なる回転(船首揺)を特定することができる。
【0172】
位相変化が異なることは、第1の位相線形化方程式において明らかであり、前方への動きは右舷位相及び左舷位相の和(∠gStbd+∠gPort)に依存し、一方、船首揺は、右舷位相と左舷位相との差(∠gStbd−∠gPort)に依存する。
【0173】
ここで図7C〜図7Eを参照すると、絵図670、677及び689が、上記の第2の位相線形化方程式の特性を例示しており、その方程式は、左舷ビーム対及び右舷ビーム対の水平変位(上記で生成された)の差を用いて、横揺差及び左右揺を推定する。絵図670は、ピングp及びp+1にそれぞれ関連付けられる、曳航体672の第1の位置672a及び第2の位置672bを示す。左舷ビーム対674a、674b及び対称な右舷ビーム対676a、676bは、ピングp及びp+1にそれぞれ関連付けられる。左右揺のみが存在するとすると、左舷ビーム674a、674b及び右舷ビーム676a、676bのための水平変位の差は、左右揺を指示することになるであろう。
【0174】
曳航体678に関連付けられる横揺変化が絵図677に示される。曳航体678は、左舷アレイと右舷アレイ(図示せず)との間に幅w、680の横方向分離を有する。曳航体678の横揺は、ピングpからピングp+1まで変化し、角度変化Δφxに対応する。横揺の変化Δφxと、左舷受信アレイ及び右舷受信アレイの横方向分離wとの積は、左舷アレイと右舷アレイとの間の実効的な高度差686である。一方の側が上方にシフトするとき、他方が下方に動く。これは、左右揺れと同様の、左舷と右舷との間の奇対称である。
【0175】
横揺差及び左右揺の両方がまとめて考慮されるとき、第2の位相線形化方程式が、全ての取り得る横揺差及び左右揺の値の場合に数値計算されるとすると、その方程式は、「アンビギュイティ」表面694として表すことができる。横軸690は左右揺に対応し、縦軸692は、横揺差(×横方向分離の半分)に対応する。アンビギュイティ表面694の長軸696及び短軸698は図5Eにおいて特定された軸に類似である。1つの特定の実施形態では、全ての取り得る横揺差及び位相の値の場合に第2の位相線形化方程式の数値計算を必要とすることなく、一連のライン探索を用いて、アンビギュイティ表面694の実数値のピークを効率的に見つけることができる。特定の実施形態では、横揺差は、初期化として、低品質のジャイロで推定される。しかしながら、他の実施形態では、ライン探索は、ジャイロを用いることなく、音響データだけに基づく。
【0176】
ここで図7F及び図7Gを参照すると、絵図620及びグラフ633が、送信ビームの方位角位相符号化に基づいて、縦揺差推定値が求められる上記の第3の位相線形化方程式
の特性を例示する。右舷サイドスキャンソナーアレイ622が、ピングp及びp+1の場合にそれぞれ位置622a及び622bにおいて示される。簡単にするために、縦揺の変化624、Δφyだけが示される。送信ビームは、ピングp及びp+1の場合にそれぞれ幅626a、626bに照射する。水柱内の船尾受信ビーム対(図示せず)の平均MRA628の側面図が示される。水柱内の船首受信ビーム対(図示せず)の平均MRA630の側面図が示される。平均MRA628、630の両方の場合の海底632上の小さな散乱体が、図7Fのx−z平面に対して概ね直交する双曲線内に存在するが、図示されない。
【0177】
グラフ633が、海底632の進路に沿った位置に対応する横軸636と、送信ビーム位相に対応する縦軸638とを有する。曲線634a及び634bは、それぞれピングp及びp+1の場合の海底632上の進路に沿った位置の関数として、それぞれ送信ビーム626a及び626bの位相を示す。1つの特定の実施形態では、進路に沿った送信位相、すなわち曲線634a、634bは概ね二次であり、ピングpとp+1との間の位相差は、線644によって示されるように、概ね直線である。船尾受信ビーム対及び船首受信ビーム対に対応する位相差はそれぞれ線646及び648によって示されており、それらの線は、線640、642(方向630、632に一致する)が位相差曲線644と交差する場所を通過する。船首位相差646と船尾位相差648との間の位相差649は、縦揺差に関して概ね線形である。これが、縦揺差推定値の根底を成す。
【0178】
ここで図7Hを参照すると、絵図650が、上下揺が推定される、上記の第4の位相線形化方程式の特性を例示する。結果として生成される上下揺推定値は縦揺によって汚染される可能性がある。簡単にするために、θMRAs=0(すなわち、ビームアスペクト)を有する構成が示される。曳航体652が、ピングpの場合に位置652aにおいて、ピングp+1の場合に位置652bにおいて示される。一定の縦揺656ψyが示される。前方変位658、Δx及び垂直変位660、Δzが示される。縦揺で汚染される上下揺推定値662、ζが示される。ビームアスペクトにおけるビームのMRAは曳航体652に直交し、それゆえ、垂直から前方に角度ψyだけ回転する。MRA654aを有する受信ビームがピングpに関連付けられ、MRA654bを有する受信ビームがピングp+1に関連付けられる。垂直基準線664は、海底666に対して垂直である。受信ビーム対(MRA654a、654bを有する)の相関は、2つのMRA654aと654bとの間の中間に位置する小さな散乱体の大きなフィールドからの、すなわち、点668を横切る、図7Hのx−z平面に概ね直交する双曲線からのエコーに基づく。高度がピング間の動きよりもはるかに大きい場合には、ピングp及びp+1の場合の曳航体652から点668までの距離の差は、MRAベクトル654a上への、又は同じくMRA654b上への変位ベクトルの投影によって計算される。
【0179】
【数18】
【0180】
上記の式は、ビームアスペクトにおける第4の位相線形化方程式内のζに等価であり、その場合に、分母のMRAの余弦は1に退化する。
ここで図8を参照すると、プロセス700を用いて、第4の位相線形化方程式において
図7に関連して先に計算された、縦揺の上下揺への影響を低減するか、又はなくすことができる。数学的な導出は先に与えられている。
【0181】
プロセス700はステップ702において開始し、ステップ702では、Nピングブロックの第1のピングにおける縦揺が計算される。このステップの特定の実施形態は、上下揺補正方程式におけるφ^y,l項であり、その方程式は、DC縦揺れの推定値をφ^y,lの計算の中に間接的に吸収する。その計算は、図8A及び図8Bに関連してさらに十分に説明される。
【0182】
ブロック704では、Nピングブロック内の連続したピング毎に、第1のピングにおける縦揺と、図7に関連して説明された第3の位相線形化方程式において求められる縦揺の変化の全ての先行するピングにわたる和とを足し合わせた値に等しくなるように縦揺を推定する。このステップの特定の実施形態は、上下揺補正方程式におけるφ^y,p項である。
【0183】
ブロック706では、汚染された上下揺推定値から、縦揺及び前方への動きの積をMRAの余弦の二乗で割った値を引くことによって、有効な上下揺増分が与えられる。前方への動きは、図7に関連して、第1の位相線形化方程式において先に計算されている。このステップの特定の実施形態は、上下揺補正方程式におけるΔz^p項である。
【0184】
ブロック708では、ブロック706において特定された上下揺増分が、Nピングブロックにわたって積分される。
ブロック710では、ピング1における真の高度を求めることによって、DC高度オフセットが間接的に計算される。これは、1組の概略高度と、積分された高度差推定値に、ピング1における高度を足した和との間の最小二乗誤差を求めることによって果たされる。このステップの特定の実施形態は、上下揺補正方程式におけるz^l項である。
【0185】
ブロック712では、ブロック710において計算された最初のピングの高度を、ブロック706において計算された、全ての先行する補正された高度差の和に加えることによって、最初のピング後の各ピングの高度が計算される。
【0186】
判断ブロック714では、Nピングブロックが最後のNピングブロックである場合には、そのプロセスは終了する。そうでない場合には、ブロック716において、次のNピングブロックが選択され、そのプロセス700は、その新たなNピングブロックの場合に繰り返される。
【0187】
ここで図8Aを参照すると、プロセス750が、ブロック702において図8に関連して先に説明されたようなNピングブロックの最初のピングにおける縦揺を特定する。プロセス750はブロック752において開始し、ブロック752では、図2のブロック58に従って、Nピングブロック内の最初のピング及び最後のピングの概略高度が特定される。
【0188】
ブロック754では、図7及び図7Eの第4の位相線形化において得られた、縦揺で汚染された高度差ζ^pが全てのピングにわたって加算され、Nピングブロック内の最初のピングと最後のピングとの間の、縦揺で汚染された高度差が得られる。
【0189】
判断ラベル756では、2つの細密高度差、高精度高度差又は左右揺低減高度差が関連付けられ、ブロック758では、2つの概略高度が関連付けられる。そのように関連付けることは、図8Bに関連してさらに説明される。
【0190】
ブロック760では、ブロック756及び758において与えられる、細密高度差、高精度高度差又は左右揺低減高度差の関連と、概略高度の関連との間の差が計算される。
ブロック762では、最初のピングにおける縦揺が、ブロック760において生成される高度差を含む関係から特定される。そのプロセス750は図8Bにおいて図解される。
【0191】
ここで図8Bを参照すると、グラフ800が、縦揺で汚染された高度差の累積的な影響を示しており、高度を補正する基本的な方法を示す。データ点802は、最初のピングの縦揺で汚染された高度に割り当てられる任意の初期高度に対応する。データ点804は、データ点802に、図7及び図7Eの第4の位相線形化方程式から得られる、縦揺で汚染された高度差の積分を加えた値に対応する。
【0192】
データ点806は、図2のブロック58に従って求められた、Nピングブロック内の第1のピングの概略高度に対応する。データ点808は、Nピングブロック内の最後のピングの概略高度に対応する。
【0193】
データ点804、808に対するデータ点802、806の発散は、受信アレイの縦揺を示す。それゆえ、データ点804と808との間の高度差に対する(たとえば、その高度差から減算された)、データ点802と806との間の高度差は、受信アレイの縦揺を示す。その縦揺を用いて、第4の位相線形化方程式の上下揺を調整することができる。
【0194】
ここで図9を参照すると、方法850が、別の方法によって高度差が推定されているときの、2次元の水平変位を推定するための方法を提供する。任意のMRAφにおいて、ビーム対を相関させることから見いだされる水平距離変位は、水平変位ベクトルのMRAへの投影に等しい。ゼロ位相解として正確でないサイクルが選択される場合には、水平距離変位は、音響波長の半分と概ね同じ距離の整数倍の付加的な誤差を含む変位を有するであろう。「セロ位相曲率」法は、その曲がりが妥当であるか否かを確認するために、広い方位角セクタにわたって、小さい間隔で配置される一連のビーム上の候補ゼロ位相解の曲がりを調べる。真の解だけが、方位角において正弦曲線を描く水平変位を有するであろう。
【0195】
ゼロ位相曲率法は、相関のゼロ位相ピークの曲がりに基づくので、受信アレイが広い方位角幅の受信ビームを有し、結果として、ゼロ位相ピークの曲がりが大きい場合に最も適している。1つの特定の実施形態では、たとえば、受信アレイは、少なくとも45°の方位角幅を有する受信ビームを形成することができる。多くの従来のサイドスキャンソナーは、比較的狭い方位角幅しか持たないので、ゼロ位相の曲がりが線に退化することが知られている。多くの従来の曳航アレイ、球状アレイ及び円筒形状アレイは比較的広い方位角幅を有することが知られている。それゆえ、方法850は、曳航アレイ、球状アレイ及び円筒形状アレイに最も良く当てはまる。
【0196】
方法850はブロック852において開始し、ブロック852では、広い方位角幅にわたって広がる1組の受信ビームが選択される。ブロック854では、各受信ビームに関連して、受信サイクルが選択される。
【0197】
ブロック856では、前述の高度のいずれかに従って、選択された受信ビームにおいて水平変位が求められる。たとえば、図2のブロック58に関連して説明された概略高度法、ブロック60に関連して説明された細密高度差、ブロック62に関連して説明された高精度高度差、又はブロック64に関連して説明された左右揺低減高度を用いることができる。
【0198】
選択されたビームのいずれかにおける水平変位は実際には、選択されたビームのうちのいずれかの個々のビームMRAに関連付けられる方向における変位であることは明らかで
あろう。それゆえ、複数のビームにわたって計算された水平変位は、正弦曲線に関連付けられるはずである。
【0199】
ブロック858では、ブロック856において計算された水平変位が、余弦関数と比較される。
判断ブロック860では、ブロック856において計算された水平変位が余弦関数と概ね一致する場合には、そのプロセスは終了する。しかしながら、ブロック856において計算された水平変位が余弦関数と概ね一致しない場合には、ブロック862において、新たな受信サイクルが選択され、そのプロセスはブロック856において続けられる。方法850は、図9Aにおいて図解される。
【0200】
ここで図9Aを参照すると、グラフ900が、受信アレイを中心にした、選択された受信ビームに対応する方位角を単位とする横軸の目盛を含む。縦軸の目盛は、前述の高度のいずれかに従って、選択されたビームにおいて求められた水平変位に対応する。たとえば、図2のブロック58に関連して説明された概略高度法、ブロック60に関連して説明された細密高度差、ブロック62に関連して説明された高精度高度差、又はブロック64に関連して説明された左右揺低減高度を用いることができる。
【0201】
一連の曲線902は、種々の受信サイクルを用いて、全360°方位角にわたって計算された水平変位を示す。或る特定の実施形態では、360°方位角のうちの部分901だけが、実際の方位角セクタ内に存在する。点904を有する1つの曲線だけが余弦関数に対応する。他の曲線はそれぞれ、縦軸上の目盛に沿ってオフセットを有する。それゆえ、点904を有する曲線に対応する1つの受信サイクルだけが、正確な受信サイクルであることを特定することができる。水平変位ベクトルは、余弦がそのピークに達する(又は全360°幅が存在した場合にはピークに達することになる)角度及び変位(それぞれ横軸及び縦軸)によって定義される。
【0202】
ゼロ位相曲率アルゴリズムの1つの特別に重要な態様は、空間的に量子化された水平距離相関だけに基づいて、前方及び右舷方向の両方において、波長未満の精度まで水平方向への動きを推定できることである。それは、位相線形化のような近似を全く必要としない。
【0203】
ここで図10を参照すると、別のプロセス250を用いて、サイクルアンビギュイティを解消することができる。一連のピングにわたって動きパラメータが推定され、動きがピング間で円滑に変化しているという通念に基づいて、サイクルアンビギュイティが解消される。一例は、横揺速度及び左右揺を計算するために図7Eにおいてアンビギュイティ表面の長軸に沿って選択されたサイクル内の誤差を解消するであろう。この技法は、任意の特定の座標内のプラットフォーム運動学を細かく知ることに基づかないので、数多くの異なるパラメータに適用できる。
【0204】
プロセス250は、一連のNピングブロックにわたる順次的な動作のための下部構造から開始する。判断ブロック251は、さらにNピングブロックが存在するか否かを判定する。残っていない場合には、そのプロセス250は終了する。そうでない場合には、判断ブロック252が、これが最初のNピングブロックであるか否かを判定する。最初のNピングブロックでない場合には、ブロック253が、次のNピングブロックに更新する。ブロック254は、ピング番号インデックスを、ping_number_index=p=1に初期化する。判断ブロック255が、現在のNピングブロック内にピングが残っているか否かを判定する。
【0205】
図10において用いられるときに、用語「パラメータ値」は、限定はしないが、高度差
値、高度値、又は水平変位値を記述するために用いられる。
ブロック256では、円滑変化判定基準を用いて、隣接するピングにおいてパラメータ値を与えた場合の、ピングp+1における妥当なパラメータ値が予測される。或る特定の実施形態では、円滑変化判定基準は、いくつかの先行するピングにわたる因果的な平均である。別の実施形態は、いくつかの先行するピングからの因果的な線形外挿を用いる。ブロック257では、割り当てられたパラメータ値が、候補受信サイクルに関連付けられるピングp+1に割り当てられ、上記の予測されるパラメータ値に最も近い、割り当てられたパラメータ値を達成する。
【0206】
そのプロセスはブロック258に続き、ブロック258では、ピングが次のピングにインクリメントされ、そのプロセスは判断ブロック255に続く。判断ブロック255では、さらにピングが残っている場合には、ブロック256、257、258、255のプロセスが繰り返される。判断ブロック255において、それ以上のピングが残っていない場合には、そのプロセスはブロック259に進み、ブロック259では、全てのピングのために割り当てられたパラメータ値に、共通のDCオフセット値が加えられる。DCオフセット値は、サイクル数の整数に対応する。DCオフセット値は、相関包絡線の和を最大にするように選択される。ここで、プロセス250は判断ブロック251に戻り、それ以上のNピングブロックが存在しなくなるまで、そのプロセスが繰り返される。
【0207】
ここで図10Aを参照すると、グラフ270が図10の方法を図解する。横軸の目盛はピング番号に対応し、縦軸の目盛は、図4の相関プロセス150に関連付けられる高度差(すなわちパラメータ値)に対応する。黒塗りのデータ点は、計算された高度差を表す。曲線272a〜272dは、被ビームフォーミング波形の異なる受信サイクルを用いて計算されることになる高度差に対応する。曲線272cは、正確な受信サイクルに基づく高度計算に対応する。高度差280が計算されており、異なる受信サイクルに対応する、別の候補高度差278が存在するものと仮定する。先験的な通念として、動きはピング間で滑らかに変化しているであろう。高度差278は、高度差280の場合よりも滑らかな動き推定値を生成するので、高度差280の代わりに高度差278が用いられる。
【0208】
ここで図11を参照すると、ビーム対を相関させる目的は、2つのMRAの平均に沿った最適な変位を見つけることである。これは、シーンが小さな散乱体の大きなフィールドに対応するときに有効である。しかしながら、そのシーンが、背景を超えるエコー振幅を有する点目標物を有する場合には、その点目標物は、標準的な相関を支配することがある。その相関は実効的には、MRAの平均に沿って行う代わりに、点目標物を指している線に沿って行われている。点目標物の向きに関しては、予め何もわかっていないので、この影響は、相関後には容易に補償されない。点以外の目標物が空間的に分布している場合にも、同じような影響が生じる。
【0209】
クリッピングされた相関は、裾が重い分布の雑音が線形相関に及ぼす影響を制限するために用いられる信号処理技法である。クリッピングされた相関は最初に、データ内のピーク値が閾値を超えないようにクリッピングし、その後、クリッピングされたデータに関して線形相関を実行する。数多くのタイプの従来のクリッピング関数が存在する。一例は、データの位相を変更しないままで、データの振幅に逆正接を適用することである。「量子化初期設定及び連続推定」と呼ばれる1つの従来の技法の場合、全ての相関、相関のドット積の同値、及び相関の位相線形化近似が、クリッピングされたデータを使用し、それらがクリッピングされた相関に等価になるようにする。クリッピングされた相関は、「ゼロ位相曲率」と呼ばれる方法においても用いられる。クリッピングされた相関は、或るシーン内で主な対象目標物となり得るものを、単に、低減又は除去されるべき裾が重い分布の雑音であるかのように取り扱う。
【0210】
ここで図11〜11Cを参照すると、グラフ980が、水平距離に対応する横軸982と、振幅に対応する縦軸984とを有する。特徴的な部分(features)988を有する曲線986は、音響データに対応する。特徴的な部分988は、距離d1にあり、強いエコーを有する目標物を指示する。特徴的な部分988を有する曲線986によって表される音響データを、匹敵する特徴的な部分を有する他の音響データと相関させると、2つのデータセット内の特徴的な部分の間の相互作用が相関を支配してしまうことは、当業者には理解されよう。相関の所望の出力は大量の低振幅データに基づいており、そのデータは、数少ない高振幅の特徴的な部分よりも最適な変位差を有することがある。
【0211】
グラフ990は、他の音響データと相関させる際に特徴的な部分988の影響を低減するために、音響データ986に適用することができるクリッピング関数f(η)の振幅を示す曲線991(たとえば、逆正接曲線)を示す。ダミー変数ηは、音響データのサンプルのような、1つの複素数を表す。グラフ992は、音響データ986に適用することができるクリッピング関数f(η)の位相を示す曲線993を示す。それゆえ、クリッピング関数f(η)は、音響データ986の包絡線に逆正接振幅991を適用するが、音響データ986の位相は変更されないままである。グラフ994は、音響データ986に適用されるクリッピング関数f(η)を示す曲線996を示す。結果として生成される、クリッピングされた音響データ曲線996は、特徴的な部分988が大きく減衰していることを除いて、曲線986に類似である。それゆえ、特徴的な部分988はもはや相関を支配しないであろう。
【0212】
1つの特定の実施形態では、上記のクリッピング関数は、図4のブロック182の相関前に、ビームフォーム信号に適用できることは明らかであろう。この構成によれば、ブロック182の相関は、強い音響目標物によって支配されない。
【0213】
ここで図12を参照すると、合成開口ソナー(SAS)プロセッサ950が、受信アレイが水域の中を動くのに応じて、ビームフォーム信号954を受信し、動いている受信アレイに関連付けられる概略高度956aを与えるようになっている概略高度モジュール956を備える。細密高度差及び細密水平変位モジュール958は、受信アレイに関連付けられる細密高度差及び細密水平変位958aを与えるようになっている。高精度高度差及び高精度水平変位モジュール960が、受信アレイに関連付けられる高精度高度差及び高精度水平変位960aを与えるようになっている。左右揺低減モジュール962が、受信アレイに関連付けられる左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位962aを与えるようになっている。位相線形化モジュール964は、左右揺低減高度差及び左右揺低減水平変位962aを受信し、2つ以上の自由度において受信アレイの連続(すなわち空間的に量子化されていない)動き推定値964aを与えるようになっている。縦揺起因上下揺解消モジュール966が、位相線形化モジュール964によって計算される自由度のうちの少なくとも1つにおいて縦揺の影響を低減するようになっている。座標変換モジュール968が、補正された2つ以上の自由度を受信し、局所的な座標から地球座標への、動き推定値964aに対する座標変換を生成するようになっている。画像生成モジュールが、合成開口ビームフォーミングにおいて座標変換を有する動き推定値を用いて、グラフィカルユーザインターフェース上に表示される画像972を生成するようになっている。
【0214】
モジュールのうちのいくつかはオプションであることは理解されたい。たとえば、代替の実施形態では、高精度高度差及び水平変位モジュール960はなくすことができる。また、代替の実施形態において、位相線形化モジュール964によって与えられる全ての動き推定値が地球座標において計算される場合には、座標変換モジュール968はなくすことができる。さらに別の実施形態では、高精度高度差及び水平変位モジュール960及び左右揺低減モジュール962が省かれる。さらに別の実施形態では、高精度高度差及び水平変位モジュール960、左右揺低減モジュール962及び位相線形化モジュール964
が省かれる。コンピュータ支援検出/コンピュータ支援分類モジュールに直にSAS画像を送信すること等の、グラフィカルユーザインターフェース以外のものへの出力を伴う実施形態も可能である。根本的に異なる実施形態は、画像生成モジュール及びグラフィカルユーザインターフェースをなくして、ナビゲーションのために動き推定値を用いることであろう。
【0215】
上記のシステム及び方法は、位相線形化が信号間のコヒーレントな干渉に基づくので、波長のわずかな部分に対する高い精度の動き推定値を与える。これは、SAS画像を形成する際に、一連のピングにわたって主要部分の強め合う干渉を得るために波長未満の精度を必要とするという条件に合う。
【0216】
ピング間でソナーが前方へ動くことによって、散乱体からのエコーに小さな時間遅延が生じ、その時間遅延は、MRAからの方位角の差の関数として変化する。小さな散乱体からの大きなフィールドは実際には、位相線形化の導出において用いられる双曲線に沿った簡略化された分布とは対照的に、2次元にわたって分布する。前方への動きが大きすぎる場合には、双曲線の反対側にある散乱体のための時間遅延の差が、散乱体にわたる和において弱め合う干渉を引き起こすほど十分に大きくなる。相関は機能しなくなる。
【0217】
ビームフォーミングが物理的な開口にわたってボックスカーウインドウで行われる場合には、ピング間の前方変位が物理的な受信アレイ長の半分に等しいときに、空間的に重なり合うビーム対の相関は0まで降下する。それゆえ、相関に基づく動き推定は、前進速度が、ピング当たり物理的なアレイ長の半分よりも遅いときにだけ機能する。この結果は、グレーティングローブを避けるために、前進速度がピング当たり物理的なアレイ長よりも遅くなければならないという、SAS画像形成の既知の特性に相当する。類似の結果は、チェビシェフ又はテイラーのような、ボックスカーウインドウ以外のウインドウの場合にも得ることができる。典型的には、動き推定を実行することができる最大前進速度は、SAS画像形成においてグレーティングローブを避けることができる最大前進速度よりもわずかに小さい。
【0218】
合成開口ソナーシステム処理において形成される結果的なソナー画像をさらに改善するために、受信アレイ位置を提供する上記のシステム及び方法を、上記のオートフォーカス技法とともに用いることができることも明らかであろう。
【0219】
本明細書において引用される全ての参考文献は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、ここで、それらの概念が組み込まれた他の実施形態が用いられることがあることは、当業者には明らかになるであろう。それゆえ、これらの実施形態は開示される実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されるべきであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】合成開口ソナー(SAS)システムの平面図である。
【図1A】図1のSASシステムの一部として用いられる受信アレイ及び送信アレイによって形成される受信ビーム及び送信ビームの平面図である。
【図1B】図1のSASシステムの一部として用いられる送信アレイによって形成される送信ビームの正面図である。
【図1C】図1のSASシステムの一部として用いられる受信アレイによって形成される受信ビームの別の平面図である。
【図2】SAS動き予測及び画像形成の方法を示す流れ図である。
【図3】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図4−1】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図4−2】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図4A】図4の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列を示す図である。
【図5】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図5A】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティ軸を示す図である。
【図5B】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティの軸を示す図である。
【図5C】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティ軸を示す図である。
【図5D】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティ軸を示す図である。
【図5E】図5の方法に関連して生成されるアンビギュイティ行列及びアンビギュイティ軸を示す図である。
【図6】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図6A】図6の方法に関連して生成されるアンビギュイティ軸及び上下揺軸を示す図である。
【図7−1】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図7−2】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図7A】図7の方法を説明するために用いられる海底とのビーム交差を示す図である。
【図7B】図7の方法に関連して特定される、受信アレイの前方への動き及び回転(船首揺)を示す図である。
【図7C】同じく、図7の方法に関連して特定される、受信アレイの横揺速度及び水平方向への動き(左右揺)を示す図である。
【図7D】同じく、図7の方法に関連して特定される、受信アレイの横揺速度及び水平方向への動き(左右揺)を示す図である。
【図7E】同じく図7の方法に関連して特定される、受信アレイの横揺速度及び水平方向への動き(左右揺)を示す図である。
【図7F】図7の方法に関連して特定される、受信アレイの縦揺の変化を示す図である。
【図7G】同じく、図7の方法に関連して特定される、受信アレイの縦揺の変化を示す図である。
【図7H】図7の方法に関連して特定される、受信アレイの垂直方向への動き(上下揺)を示す図である。
【図8】図2の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図8A】図8の方法をさらに詳細に示す流れ図である。
【図8B】図8Aの方法の一部を構成する高度計算を示す図である。
【図9】サイクルアンビギュイティを解消する方法を示す流れ図である。
【図9A】図9の方法に関連する曲線を示すグラフである。
【図10】サイクルアンビギュイティを解消する別の方法を示す流れ図である。
【図10A】図10の方法に関連する曲線を示すグラフである。
【図11】音響データへのクリッピング関数の適用を示すグラフである。
【図11A】音響データへのクリッピング関数の適用を示すグラフである。
【図11B】音響データへのクリッピング関数の適用を示すグラフである。
【図11C】音響データへのクリッピング関数の適用を示すグラフである。
【図12】図1の合成開口ソナー(SAS)システムの一部を構成する合成開口ソナープロセッサのブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
基準面に作用するように複数の送信信号を送信し、該複数の送信信号はそれぞれ、前記動いているソナーアレイの異なる空間的な位置において送信され、
前記動いているソナーアレイで、前記基準面からの複数のリターンエコーを受信し、該複数のリターンエコーはそれぞれ、前記複数の送信信号のそれぞれ1つに関連付けられ、
前記複数のリターンエコーのうちの選択されたリターンエコーをビームフォーミングし、それによって複数のビームフォーム信号を与え、
前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる、前記動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる相関から、前記動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位を生成する、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記複数の送信信号は前記動いているソナーアレイによって送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動いているソナーアレイの複数の概略高度の生成は、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられるナディアリターンの時間を推定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナディアリターンの時間の推定は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つを選択し、
底面検出閾値を選択し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記選択された信号を前記底面閾値に関連付けし、それによってそれぞれの複数の閾値処理されたビームフォーム信号を与え、
前記複数の閾値処理されたビームフォーム信号に形態学的縮退を適用し、
前記縮退された複数の閾値処理されたビームフォーム信号に形態学的膨張を適用し、
前記膨張−縮退された複数の閾値処理されたビームフォーム信号がそれぞれ底面リターンを有する個々の最も浅い深度を特定し、
最も浅い深度をフィルタリングし、それによって前記複数の概略高度を与える、
ことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の生成は、
相関閾値を選択し、
複数の候補高度差を選択し、
前記複数の概略高度を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の細密水平投影を与え、
前記複数の概略水平投影のうちの選択されたものを、前記複数の細密水平投影のうちの選択されたものと相関させ、それによってそれぞれの複数の相関ベクトルを与え、
前記複数の相関ベクトルの中から最大相関ベクトル値を特定し、
前記最大相関ベクトル値に関連付けられる、前記複数の細密高度差のうちの1つ及び前記細密水平変位のうちの1つを特定する、
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位の精度を改善し、それによってそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えることをさらに含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位の精度の改善は、
前記相関に関連付けられる粗いアンビギュイティ軸を推定し、
前記複数のビームフォーム信号を補間し、
前記複数の概略高度を用いて、前記細密水平変位に関連付けられるサンプリングレートよりも高い空間サンプリングレートで、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記高い空間サンプリングレートtにおいて、前記複数の補間されたビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の改善された細密水平投影を与え、
前記複数の改善された細密水平投影及び前記複数の概略水平投影に関連付けられる1つ又は複数のドット積を生成し、それによって前記複数の細密水平投影に関連付けられる中間精度のアンビギュイティ軸を与え、
前記中間精度のアンビギュイティ軸に関連付けられる曲線を生成し、
前記生成された曲線に数学的な関数を当てはめ、
前記数学的な関数のピークを見つけ、それによって高精度高度差及び高精度水平変位を与える、
ことを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位のスウェイ成分を低減することであって、それによってそれぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与える、ことをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記スウェイ成分の低減は、
複数のアンビギュイティ軸に沿った複数の最大値を特定し、
前記複数のアンビギュイティ軸に関連するヒーブ軸を特定し、
前記ヒーブ軸に従って前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位を調整する、
ことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位、前記複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに前記複数のスウェイ低減高度差及び前記複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きの推定は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによ
って前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差の解消は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きを前記第1の座標系から第2の座標系に変換することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
目標物の画像を形成することをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位、並びに前記複数の高精度高度差及び高精度水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きの推定は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共
に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差の解消は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
目標物の画像を形成することをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位に従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位に従って、前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きの推定は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差の解消は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
目標物の画像を形成することをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のビームフォーム信号のうちの少なくとも1つに関連付けられるサイクルアンビギュイティを解消することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
前記動いているソナーアレイをビームフォーミングし、それによって複数のビームフォーム信号を与え、
前記ビームフォーム信号に関連付けられる、前記動いているソナーアレイの動きの初期の量子化された推定値を生成し、
前記動いているソナーアレイの動きの前記初期の量子化された推定値に関連付けられる空間的に連続した位置推定値を生成する、
ことを含む方法。
【請求項31】
前記動いているソナーアレイの前記初期の量子化された動き推定値の生成は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる、前記動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記選択された信号に関連付けられる相関から、前記動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位を生成する、ことを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位の生成は、
相関閾値を選択し、
複数の候補高度差を選択し、
前記複数の概略高度を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の細密水平投影を与え、
前記複数の概略水平投影のうちの選択されたものを、前記複数の細密水平投影のうちの選択されたものと相関させ、それによってそれぞれの複数の相関ベクトルを与え、
前記複数の相関ベクトルの中から最大相関ベクトル値を特定し、
前記最大相関ベクトル値に関連付けられる、前記複数の細密高度差のうちの1つ及び前記細密水平変位のうちの1つを特定する、
ことを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記動いているソナーアレイの動きの前記初期の量子化された推定値に関連付けられる空間的に連続した位置推定値の生成は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定すし、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングするためのシステムであって、
或る表面に作用するように複数の送信信号を送信し、該複数の送信信号はそれぞれ前記動いているソナーアレイの異なる空間的な位置において送信され、前記動いているソナーアレイで前記表面からの複数のリターンエコーを受信し、該複数のリターンエコーはそれぞれ、前記複数の送信信号のうちのそれぞれ1つに関連付けられ、及び前記複数のリターンエコーのうちの選択されたエコーをビームフォーミングして、複数のビームフォーム信号を与えることを実行するためのビームフォーミングモジュールと、
前記動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成するための概略高度モジュールと、
前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる相関から前記動いているソナーアレイの複数の細密高度及び複数の細密水平変位を生成するための細密高度差/水平変位モジュールと、
を備えるシステム。
【請求項35】
前記複数の送信信号は、前記動いているソナーアレイによって送信される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記概略高度モジュールは、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられるナディアリターンの時間を推定するようになっている、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記概略高度モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つを選択し、
底面検出閾値を選択し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記選択された信号を前記底面閾値に関連付け、それによってそれぞれの複数の閾値処理されたビームフォーム信号を与え、
前記複数の閾値処理されたビームフォーム信号に形態学的縮退を適用し、
前記縮退された複数の閾値処理されたビームフォーム信号に形態学的膨張を適用し、
前記膨張−縮退された複数の閾値処理されたビームフォーム信号がそれぞれ底面リターンを有する個々の最も浅い深度を特定し、
前記最も浅い深度をフィルタリングし、それによって前記複数の概略高度を与える、
ことを実行するようになっている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記細密高度差/水平変位モジュールは、
相関閾値を選択し、
複数の候補高度差を選択し、
前記複数の概略高度を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の細密水平投影を与え、
前記複数の概略水平投影のうちの選択されたものを、前記複数の細密水平投影のうちの選択されたものと相関させ、それによってそれぞれの複数の相関ベクトルを与え、
前記複数の相関ベクトルの中から最大相関ベクトル値を特定し、
前記最大相関ベクトル値に関連付けられる、前記複数の細密高度差のうちの1つ及び前記細密水平変位のうちの1つを特定する、
ことを実行するようになっている、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
前記細密高度差/水平変位モジュールはさらに、前記複数のビームフォーム信号のうちの少なくとも1つに関連付けられるサイクルアンビギュイティを解消するようになっている、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位の精度を改善して、それぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えるための高精度高度差/水平変位モジュールをさらに含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項41】
前記高精度高度差/水平変位モジュールは、
前記相関に関連付けられる粗いアンビギュイティ軸を推定し、
前記複数のビームフォーム信号を補間し、
前記複数の概略高度を用いて、前記細密水平変位に関連付けられるサンプリングレートよりも高い空間サンプリングレートで、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記高い空間サンプリングレートtにおいて、前記複数の補間されたビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の改善された細密水平投影を与え、
前記複数の改善された細密水平投影及び前記複数の概略水平投影に関連付けられる1つ又は複数のドット積を生成し、それによって前記複数の細密水平投影に関連付けられる中間精度のアンビギュイティ軸を与え、
前記中間精度のアンビギュイティ軸に関連付けられる曲線を生成し、
前記生成された曲線に数学的な関数を当てはめ、
前記数学的な関数のピークを見つけ、それによって高精度高度差及び高精度水平変位を与える、
ことを実行するようになっている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位のスウェイ成分を低減して、それぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与えるためのスウェイ低減モジュールをさらに含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記スウェイ低減モジュールは、
複数のアンビギュイティ軸に沿った複数の最大値を特定し、
前記複数のアンビギュイティ軸に関連するヒーブ軸を特定し、
前記ヒーブ軸に従って前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位を調整す
る、
ことを実行するようになっている、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位、前記複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに前記複数のスウェイ低減高度差及び前記複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定するための位相線形化モジュールをさらに含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記位相線形化モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを実行するようになっている、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消するためのピッチ起因ヒーブ解消モジュールをさらに含む、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記ピッチ起因ヒーブ解消モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加える、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを実行するようになっている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きを前記第1の座標系から第2の座標系に変換するための座標変換モジュールをさらに含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
目標物の画像を形成するための画像モジュールをさらに含み、該画像は、前記ソナーア
レイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位、前記複数の高精度高度差及び高精度水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定するための位相線形化モジュールをさらに含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項52】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記位相線形化モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを実行するようになっている、請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消するためのピッチ起因ヒーブ解消モジュールをさらに含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記ピッチ起因ヒーブ解消モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを実行するようになっている、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
目標物の画像を形成するための画像モジュールをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位に従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定す
るための位相線形化モジュールをさらに含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項58】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
前記位相線形化モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを実行するようになっている、請求項57に記載のシステム。
【請求項60】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消するためのピッチ起因ヒーブ解消モジュールをさらに含む、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記ピッチ起因ヒーブ解消モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを実行するようになっている、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
目標物の画像を形成するための画像モジュールをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項60に記載のシステム。
【請求項63】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
前記動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の精度を改善し、それによって前記動いているソナーアレイのそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与える、ことを含む方法。
【請求項64】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位の精度の改善は、
前記相関に関連付けられる粗いアンビギュイティ軸を推定し、
前記複数のビームフォーム信号を補間し、
前記複数の概略高度を用いて、前記細密水平変位に関連付けられるサンプリングレートよりも高い空間サンプリングレートで、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記高い空間サンプリングレートtにおいて、前記複数の補間されたビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の改善された細密水平投影を与え、
前記複数の改善された細密水平投影及び前記複数の概略水平投影に関連付けられる1つ又は複数のドット積を生成し、それによって前記複数の細密水平投影に関連付けられる中間精度のアンビギュイティ軸を与え、
前記中間精度のアンビギュイティ軸に関連付けられる曲線を生成し、
前記生成された曲線に数学的な関数を当てはめ、
前記数学的な関数のピークを見つけ、それによって高精度高度差及び高精度水平変位を与える、
ことを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
前記動いているソナーアレイの複数の高精度高度差及び複数の高精度水平変位のスウェイ成分を低減し、それによって前記動いているソナーアレイのそれぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与える、ことを含む方法。
【請求項66】
前記スウェイ成分の低減は、
複数のアンビギュイティ軸に沿った複数の最大値を特定し、
前記複数のアンビギュイティ軸に関連するヒーブ軸を特定し、
前記ヒーブ軸に従って前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位を調整する、
ことを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
複数の細密高度差及び細密水平変位、複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに複数のスウェイ低減高度差及び前記複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定する、ことを含む方法。
【請求項68】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きの推定は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
前記動いているソナーアレイの推定された位置及び向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消する、ことを含む方法。
【請求項71】
前記ソナーアレイの推定された位置及び向きのピッチに起因するヒーブ誤差の解消は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、該動いているソナーアレイは複数のピングを受信し、該方法は、
受信された波形内のサイクルアンビギュイティを解消する、
ことを含む方法。
【請求項73】
前記サイクルアンビギュイティの解消は、
前記複数のピングの各ピングに関連付けられる個々のパラメータ値を、該複数のピングの他のピングに関連付けられるパラメータ値を考慮して、平滑変化判定基準に従って予測し、
前記複数のピングの各ピングに、候補受信サイクルに対応する個々の割り当てられたパラメータ値を割り当て、それによって前記予測されたパラメータ値に最も近い前記割り当てられたパラメータ値を達成し、
前記割り当てられたパラメータ値にそれぞれ共通のDCオフセット値を加え、該DCオフセット値は受信サイクル数の整数に関連付けられ、且つ前記複数のピングの中からの全てのピング対にわたって相関包絡線の和を最大するように選択される、
ことを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項1】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
基準面に作用するように複数の送信信号を送信し、該複数の送信信号はそれぞれ、前記動いているソナーアレイの異なる空間的な位置において送信され、
前記動いているソナーアレイで、前記基準面からの複数のリターンエコーを受信し、該複数のリターンエコーはそれぞれ、前記複数の送信信号のそれぞれ1つに関連付けられ、
前記複数のリターンエコーのうちの選択されたリターンエコーをビームフォーミングし、それによって複数のビームフォーム信号を与え、
前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる、前記動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる相関から、前記動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位を生成する、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記複数の送信信号は前記動いているソナーアレイによって送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動いているソナーアレイの複数の概略高度の生成は、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられるナディアリターンの時間を推定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナディアリターンの時間の推定は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つを選択し、
底面検出閾値を選択し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記選択された信号を前記底面閾値に関連付けし、それによってそれぞれの複数の閾値処理されたビームフォーム信号を与え、
前記複数の閾値処理されたビームフォーム信号に形態学的縮退を適用し、
前記縮退された複数の閾値処理されたビームフォーム信号に形態学的膨張を適用し、
前記膨張−縮退された複数の閾値処理されたビームフォーム信号がそれぞれ底面リターンを有する個々の最も浅い深度を特定し、
最も浅い深度をフィルタリングし、それによって前記複数の概略高度を与える、
ことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の生成は、
相関閾値を選択し、
複数の候補高度差を選択し、
前記複数の概略高度を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の細密水平投影を与え、
前記複数の概略水平投影のうちの選択されたものを、前記複数の細密水平投影のうちの選択されたものと相関させ、それによってそれぞれの複数の相関ベクトルを与え、
前記複数の相関ベクトルの中から最大相関ベクトル値を特定し、
前記最大相関ベクトル値に関連付けられる、前記複数の細密高度差のうちの1つ及び前記細密水平変位のうちの1つを特定する、
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位の精度を改善し、それによってそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えることをさらに含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位の精度の改善は、
前記相関に関連付けられる粗いアンビギュイティ軸を推定し、
前記複数のビームフォーム信号を補間し、
前記複数の概略高度を用いて、前記細密水平変位に関連付けられるサンプリングレートよりも高い空間サンプリングレートで、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記高い空間サンプリングレートtにおいて、前記複数の補間されたビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の改善された細密水平投影を与え、
前記複数の改善された細密水平投影及び前記複数の概略水平投影に関連付けられる1つ又は複数のドット積を生成し、それによって前記複数の細密水平投影に関連付けられる中間精度のアンビギュイティ軸を与え、
前記中間精度のアンビギュイティ軸に関連付けられる曲線を生成し、
前記生成された曲線に数学的な関数を当てはめ、
前記数学的な関数のピークを見つけ、それによって高精度高度差及び高精度水平変位を与える、
ことを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位のスウェイ成分を低減することであって、それによってそれぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与える、ことをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記スウェイ成分の低減は、
複数のアンビギュイティ軸に沿った複数の最大値を特定し、
前記複数のアンビギュイティ軸に関連するヒーブ軸を特定し、
前記ヒーブ軸に従って前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位を調整する、
ことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位、前記複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに前記複数のスウェイ低減高度差及び前記複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きの推定は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによ
って前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差の解消は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きを前記第1の座標系から第2の座標系に変換することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
目標物の画像を形成することをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位、並びに前記複数の高精度高度差及び高精度水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きの推定は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共
に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差の解消は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
目標物の画像を形成することをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位に従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位に従って、前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きの推定は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差の解消は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
目標物の画像を形成することをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のビームフォーム信号のうちの少なくとも1つに関連付けられるサイクルアンビギュイティを解消することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
前記動いているソナーアレイをビームフォーミングし、それによって複数のビームフォーム信号を与え、
前記ビームフォーム信号に関連付けられる、前記動いているソナーアレイの動きの初期の量子化された推定値を生成し、
前記動いているソナーアレイの動きの前記初期の量子化された推定値に関連付けられる空間的に連続した位置推定値を生成する、
ことを含む方法。
【請求項31】
前記動いているソナーアレイの前記初期の量子化された動き推定値の生成は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる、前記動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記選択された信号に関連付けられる相関から、前記動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位を生成する、ことを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位の生成は、
相関閾値を選択し、
複数の候補高度差を選択し、
前記複数の概略高度を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の細密水平投影を与え、
前記複数の概略水平投影のうちの選択されたものを、前記複数の細密水平投影のうちの選択されたものと相関させ、それによってそれぞれの複数の相関ベクトルを与え、
前記複数の相関ベクトルの中から最大相関ベクトル値を特定し、
前記最大相関ベクトル値に関連付けられる、前記複数の細密高度差のうちの1つ及び前記細密水平変位のうちの1つを特定する、
ことを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記動いているソナーアレイの動きの前記初期の量子化された推定値に関連付けられる空間的に連続した位置推定値の生成は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定すし、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングするためのシステムであって、
或る表面に作用するように複数の送信信号を送信し、該複数の送信信号はそれぞれ前記動いているソナーアレイの異なる空間的な位置において送信され、前記動いているソナーアレイで前記表面からの複数のリターンエコーを受信し、該複数のリターンエコーはそれぞれ、前記複数の送信信号のうちのそれぞれ1つに関連付けられ、及び前記複数のリターンエコーのうちの選択されたエコーをビームフォーミングして、複数のビームフォーム信号を与えることを実行するためのビームフォーミングモジュールと、
前記動いているソナーアレイの複数の概略高度を生成するための概略高度モジュールと、
前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられる相関から前記動いているソナーアレイの複数の細密高度及び複数の細密水平変位を生成するための細密高度差/水平変位モジュールと、
を備えるシステム。
【請求項35】
前記複数の送信信号は、前記動いているソナーアレイによって送信される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記概略高度モジュールは、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号に関連付けられるナディアリターンの時間を推定するようになっている、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記概略高度モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つを選択し、
底面検出閾値を選択し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記選択された信号を前記底面閾値に関連付け、それによってそれぞれの複数の閾値処理されたビームフォーム信号を与え、
前記複数の閾値処理されたビームフォーム信号に形態学的縮退を適用し、
前記縮退された複数の閾値処理されたビームフォーム信号に形態学的膨張を適用し、
前記膨張−縮退された複数の閾値処理されたビームフォーム信号がそれぞれ底面リターンを有する個々の最も浅い深度を特定し、
前記最も浅い深度をフィルタリングし、それによって前記複数の概略高度を与える、
ことを実行するようになっている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記細密高度差/水平変位モジュールは、
相関閾値を選択し、
複数の候補高度差を選択し、
前記複数の概略高度を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の細密水平投影を与え、
前記複数の概略水平投影のうちの選択されたものを、前記複数の細密水平投影のうちの選択されたものと相関させ、それによってそれぞれの複数の相関ベクトルを与え、
前記複数の相関ベクトルの中から最大相関ベクトル値を特定し、
前記最大相関ベクトル値に関連付けられる、前記複数の細密高度差のうちの1つ及び前記細密水平変位のうちの1つを特定する、
ことを実行するようになっている、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
前記細密高度差/水平変位モジュールはさらに、前記複数のビームフォーム信号のうちの少なくとも1つに関連付けられるサイクルアンビギュイティを解消するようになっている、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位の精度を改善して、それぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与えるための高精度高度差/水平変位モジュールをさらに含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項41】
前記高精度高度差/水平変位モジュールは、
前記相関に関連付けられる粗いアンビギュイティ軸を推定し、
前記複数のビームフォーム信号を補間し、
前記複数の概略高度を用いて、前記細密水平変位に関連付けられるサンプリングレートよりも高い空間サンプリングレートで、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記高い空間サンプリングレートtにおいて、前記複数の補間されたビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の改善された細密水平投影を与え、
前記複数の改善された細密水平投影及び前記複数の概略水平投影に関連付けられる1つ又は複数のドット積を生成し、それによって前記複数の細密水平投影に関連付けられる中間精度のアンビギュイティ軸を与え、
前記中間精度のアンビギュイティ軸に関連付けられる曲線を生成し、
前記生成された曲線に数学的な関数を当てはめ、
前記数学的な関数のピークを見つけ、それによって高精度高度差及び高精度水平変位を与える、
ことを実行するようになっている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位のスウェイ成分を低減して、それぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与えるためのスウェイ低減モジュールをさらに含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記スウェイ低減モジュールは、
複数のアンビギュイティ軸に沿った複数の最大値を特定し、
前記複数のアンビギュイティ軸に関連するヒーブ軸を特定し、
前記ヒーブ軸に従って前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位を調整す
る、
ことを実行するようになっている、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位、前記複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに前記複数のスウェイ低減高度差及び前記複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定するための位相線形化モジュールをさらに含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記位相線形化モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを実行するようになっている、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消するためのピッチ起因ヒーブ解消モジュールをさらに含む、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記ピッチ起因ヒーブ解消モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加える、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを実行するようになっている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きを前記第1の座標系から第2の座標系に変換するための座標変換モジュールをさらに含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
目標物の画像を形成するための画像モジュールをさらに含み、該画像は、前記ソナーア
レイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
前記複数の細密高度差及び細密水平変位、前記複数の高精度高度差及び高精度水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定するための位相線形化モジュールをさらに含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項52】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記位相線形化モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを実行するようになっている、請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消するためのピッチ起因ヒーブ解消モジュールをさらに含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記ピッチ起因ヒーブ解消モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを実行するようになっている、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
目標物の画像を形成するための画像モジュールをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位に従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定す
るための位相線形化モジュールをさらに含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項58】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
前記位相線形化モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを実行するようになっている、請求項57に記載のシステム。
【請求項60】
前記ソナーアレイの前記推定された空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消するためのピッチ起因ヒーブ解消モジュールをさらに含む、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記ピッチ起因ヒーブ解消モジュールは、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを実行するようになっている、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
目標物の画像を形成するための画像モジュールをさらに含み、該画像は、前記ソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きに関連付けられる、請求項60に記載のシステム。
【請求項63】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
前記動いているソナーアレイの複数の細密高度差及び複数の細密水平変位の精度を改善し、それによって前記動いているソナーアレイのそれぞれの複数の高精度高度差及びそれぞれの複数の高精度水平変位を与える、ことを含む方法。
【請求項64】
前記複数の細密高度差及び前記複数の細密水平変位の精度の改善は、
前記相関に関連付けられる粗いアンビギュイティ軸を推定し、
前記複数のビームフォーム信号を補間し、
前記複数の概略高度を用いて、前記細密水平変位に関連付けられるサンプリングレートよりも高い空間サンプリングレートで、前記複数のビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の概略水平投影を与え、
前記複数の候補高度差を用いて、前記高い空間サンプリングレートtにおいて、前記複数の補間されたビームフォーム信号のうちの選択された信号を水平距離に変換し、それによって複数の改善された細密水平投影を与え、
前記複数の改善された細密水平投影及び前記複数の概略水平投影に関連付けられる1つ又は複数のドット積を生成し、それによって前記複数の細密水平投影に関連付けられる中間精度のアンビギュイティ軸を与え、
前記中間精度のアンビギュイティ軸に関連付けられる曲線を生成し、
前記生成された曲線に数学的な関数を当てはめ、
前記数学的な関数のピークを見つけ、それによって高精度高度差及び高精度水平変位を与える、
ことを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
前記動いているソナーアレイの複数の高精度高度差及び複数の高精度水平変位のスウェイ成分を低減し、それによって前記動いているソナーアレイのそれぞれの複数のスウェイ低減高度差及びそれぞれの複数のスウェイ低減水平変位を与える、ことを含む方法。
【請求項66】
前記スウェイ成分の低減は、
複数のアンビギュイティ軸に沿った複数の最大値を特定し、
前記複数のアンビギュイティ軸に関連するヒーブ軸を特定し、
前記ヒーブ軸に従って前記複数の高精度高度差及び前記複数の高精度水平変位を調整する、
ことを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
複数の細密高度差及び細密水平変位、複数の高精度高度差及び高精度水平変位、並びに複数のスウェイ低減高度差及び前記複数のスウェイ低減水平変位のうちの少なくとも1つに従って、第1の座標系において、前記動いているソナーアレイの空間的に連続した位置及び空間的に連続した向きを推定する、ことを含む方法。
【請求項68】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きは6つの自由度で推定される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記動いているソナーアレイの前記空間的に連続した位置及び前記空間的に連続した向きの推定は、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも4つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも4つのビーム対信号に第1の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイの前方への動き及びヨーイングを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも2つのビーム対信号に第2の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのロール速度及びスウェイを推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から別の少なくとも2つのビーム対信号を選択すると共に、該別の少なくとも2つのビーム対信号に第3の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのピッチの変化を推定し、
前記複数のビームフォーム信号の中から少なくとも1つのビーム対信号を選択すると共に、該少なくとも1つのビーム対信号に第4の数学的な関係を適用し、それによって前記動いているソナーアレイのヒーブを推定する、
ことのうちの少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、
前記動いているソナーアレイの推定された位置及び向きのピッチに起因するヒーブ誤差を解消する、ことを含む方法。
【請求項71】
前記ソナーアレイの推定された位置及び向きのピッチに起因するヒーブ誤差の解消は、
前記複数のビームフォーム信号のうちの1つに関連付けられるピッチを特定し、
前記複数のビームフォーム信号のうちの前記1つに関連付けられる前記ピッチに、該ピッチの変化の推定値を加え、
前記ピッチの変化の推定値及び前記前方への動きの推定値を関連付け、それによって1つ又は複数のヒーブ増分を与え、
前記1つ又は複数のヒーブ増分を積分し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に関連付けられるDCヒーブオフセットを特定し、
前記積分された1つ又は複数のヒーブ増分に前記DCヒーブオフセットを加え、それによって複数の最終的な高度を与える、
ことを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
動いているソナーアレイを用いて合成開口ビームフォーミングする方法であって、該動いているソナーアレイは複数のピングを受信し、該方法は、
受信された波形内のサイクルアンビギュイティを解消する、
ことを含む方法。
【請求項73】
前記サイクルアンビギュイティの解消は、
前記複数のピングの各ピングに関連付けられる個々のパラメータ値を、該複数のピングの他のピングに関連付けられるパラメータ値を考慮して、平滑変化判定基準に従って予測し、
前記複数のピングの各ピングに、候補受信サイクルに対応する個々の割り当てられたパラメータ値を割り当て、それによって前記予測されたパラメータ値に最も近い前記割り当てられたパラメータ値を達成し、
前記割り当てられたパラメータ値にそれぞれ共通のDCオフセット値を加え、該DCオフセット値は受信サイクル数の整数に関連付けられ、且つ前記複数のピングの中からの全てのピング対にわたって相関包絡線の和を最大するように選択される、
ことを含む、請求項72に記載の方法。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4−1】
【図4−2】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図6A】
【図7−1】
【図7−2】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4−1】
【図4−2】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図6A】
【図7−1】
【図7−2】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【公表番号】特表2008−522156(P2008−522156A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543035(P2007−543035)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/035383
【国際公開番号】WO2006/057705
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(390039147)レイセオン・カンパニー (149)
【氏名又は名称原語表記】Raytheon Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/035383
【国際公開番号】WO2006/057705
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(390039147)レイセオン・カンパニー (149)
【氏名又は名称原語表記】Raytheon Company
【Fターム(参考)】
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