説明

同報通信システム

【課題】通報中であったり、統括制御が働いていても、災害情報の有効利用が可能になるようにした同報通信システムを提供すること。
【解決手段】親局1と、親局操作卓10に接続された複数の遠隔制御装置4(41、42、……4n)とを備え、親局操作卓10と遠隔制御装置4から外部子局2と戸別受信機3からなる複数の子局に通報を行ない、親局操作卓10には統括制御機能を果たす制御部10aが備えられているデジタル無線方式の同報通信システムにおいて、親局操作卓10に比較部10bと優先度テーブル10cを設け、通報種別や統制制御機能について優先順位を設定し、上位の優先順位を持った通報開始要求に対しては優先的に通報を開始するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共用のデジタル通信システムに係り、特に、市町村単位で防災用に使用される場合に好適なデジタル同報通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自然災害の発生が予測された場合、市役所や町役場、村役場などの行政中心部局では、そのことを住民にいち早く周知させる必要があり、このため、従来から市町村単位で機能する同報通信システムが用いられ、防災に寄与しているが、このとき、近年は、デジタル無線通信による同報通信システムの適用が一般的であり、これにより多彩な情報伝達が可能にされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、従来から知られている同報通信システムの一例について、図6により説明する。
このシステムの場合、行政の中心になる部署、例えば町役場に無線装置を配備して親局1とし、当該行政区域内の所要の場所の戸外や集会所などには、子局装置として外部子局2(21、22、……2n)を配備し、各家庭には、同じく子局装置として戸別受信機3(31、32、……2n)を配備している。
そして、まず、親局1には制御部10aを備えた親局操作卓10とデジタル無線機を備えた基地局11が設けられていて、親局操作卓10から基地局11を制御することにより、音声やデータによる各種の情報が基地局11から送信され、当該情報が外部子局2と戸別受信機3に伝送されるようになっている。
【0004】
このとき、外部子局2と戸別受信機3もデジタル無線機で構成され、これにはスピーカや表示装置が設けてある。
従って、基地局11から送信された電波を受信し、親局1から伝送された情報を音声として再生し、文字や画像として映出させ、これにより必要な情報が地域住民に通報されることになる。
そこで、例えば、災害の発生が予測されるため避難が必要になったなど、緊急事態に際して、担当者は、親局1にある親局操作卓10を操作し、これから必要な情報を送信させ、全ての子局に同じ情報が通報されるという、いわゆる同報通信(Multicast)に対応できることになる。
【0005】
更に、このシステムはデジタル通信方式で構成されているので、送信相手となる子局を指定して伝送することも可能であり、従って、この場合には、同報通信のほかにも特定の子局にだけ通報することもできる。
また、送信機能を持たせることも容易なので、緊急事態に際して、例えば外部子局2から親局1に情報を送ることも可能で、このときFAXを接続しておけば、書類データの伝送も可能になる。
【0006】
そして、このシステムには、親局1にある親局操作卓10と略同等の機能を備えた複数の遠隔制御装置4(41、42、……4n)があり、これらは、例えば消防署や河川の監視所、支所など複数の任意の場所に設置され、夫々が親局1にある親局操作卓10と同じく各種の通報を行なうことができるように構成されている。
そして、これらの遠隔制御装置4は、図示の通り、親局操作卓10に接続され、遠隔制御装置4からの通報は親局1の親局操作卓10を経由して基地局11に供給され、ここから各子局に送信されることになり、従って、これら遠隔制御装置4は、子局に対して親局1と略同等に機能し、親局1と同様に同報通信を行うことができる。
【0007】
このときの通報動作は、先着順に処理される。すなわち、複数の遠隔制御装置4の各々からの通報開始要求に際して、親局操作卓10からの通報開始要求も含め、そのとき一番最初に要求された通報だけが有効にされ、それが基地局11に供給されると共に残りの通報開始要求は全て無視され、更に後からの通報開始要求は、最初の通報が継続している間は全て拒否される。
そして、このために必要な処理機能は、予め親局操作卓10の制御部10aに付与されている。
【0008】
ところで、このとき対象となる通報には、緊急を要する通報、すなわち緊急通報と、それ以外の通常の通報、すなわち通常通報の2種がある。
このとき、緊急通報は、言うまでもなく通常通報に優先させなければならない。
そこで、上記した親局操作卓10の制御部10aには、遠隔制御装置4の各々による通報開始要求に親局操作卓10による通報開始要求も含め、全ての通報開始要求に際して、当該通報開始が通常通報と緊急通報の何れであるのかを識別し、それが緊急通報であった場合、その通報開始要求が優先されるように動作を制御する。
【0009】
そこで、親局1にある親局操作卓10には、このための統制制御部10aが設けてあり、これにより複数の遠隔制御装置4の各々からの通報開始要求に際して、親局操作卓10からの通報開始要求も含め、それが緊急通報と通常通報の何れであるかを識別し、緊急通報の場合、それを優先する。なお、このような識別処理は、デジタル方式の無線システムの場合、容易なことである。
しかも、ここで現在通報動作中の通報があったとすると、それは排他的に処理され、強制的に中断させてしまう。
【0010】
これにより、例えば災害の発生が予測され、住民に避難が必要になったときなどの緊急事態における通報開始要求については、そのときの通報状況がどのようになっていたかに関係無く、常に優先的に受け付け処理され、従って、迅速な緊急通報の伝達が常に確実に得られることになる。
しかし、このとき、遠隔制御装置4の何れかにより緊急通報がなされていたとすると、この場合、他の遠隔制御装置4は勿論、親局操作卓10からは、それが親局1にあるにもかかわらず、いかなる通報もできない状態になってしまう。
【0011】
ここで親局1が配備されているのは、市役所や町役場、村役場などの行政中心部局であり、通常は、台風の接近や河川の増水などの災害に備えて災害対策本部が置かれる場所であり、従って、ここから通報ができない場合があるのは望ましくない。
そこで、このとき、後述する統制制御が働くように、制御部10aが構成してある。そして、この制御部10aによる統制制御の発動は、親局操作卓10から任意に操作できるようになっていて、必要に応じて統制制御が発動されていない通常の通報制御モードと統制制御が働くようにされている統制制御モードの何れかに切換えることができる。
【0012】
この統括制御とは、緊急時、親局1において、親局−子局間通信の統制を行う制御のことで、統括制御を働かせた状態にすると、子局の発呼動作や遠隔制御装置4からの通報要求は全て拒否される。
また、現在、行われている通報があった場合には、それも全て中断され、終了させられてしまう。
この結果、親局操作卓10からの通報開始要求は、統括制御が働いている限り常に受け付けられ、従って、親局1からの緊急通報は常に確実に子局に伝達させることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−60270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記従来技術は、遠隔制御装置が親局と同等の機能を備えているにも係わらず、遠隔制御装置からの緊急通報について配慮がされているとはいえず、災害情報の有効利用による確実な緊急通報の伝達に問題がある。
このようなシステムの場合、遠隔制御装置は、通常、複数あり、それらは、例えば消防署や監視所、支所などに配備されている。
そして、災害情報については、親局が配備されている庁舎だけではなく、遠隔制御装置が配備されている場所でも収集が可能な場合があり、しかも状況によっては親局が配備されている庁舎で取得される災害情報よりも的確な情報が得られる場合もある。
【0015】
しかるに従来技術では、親局で統括制御が働く状態にされていた場合、遠隔制御装置からの通報開始要求は一切、受け付けられなくなってしまうので、たとえ遠隔制御装置の何れかで災害について有用且つ的確な情報が得られたとしても、その有効利用が図れず、この結果、確実な緊急通報の伝達に問題が生じてしまうのである。
本発明の目的は、統括制御が働いていても、災害情報の有効利用が可能になるようにした同報通信システムを提供することにある。
【0016】
また、同報通信システムでは、扱い者が通常の通報と同様の操作を行うことで、あたかも通報要求があったかのように、通報起動から終話までの操作の流れを習得することができる試験機能を有している。このような場合、扱い者の操作習得のために、本来通報すべきものが通報されない場合があった。特に、親局で統括制御に係る試験機能が働く状態にされていた場合、遠隔制御装置からの通報開始要求は一切、受け付けられなくなってしまうので、たとえ遠隔制御装置の何れかで災害について有用且つ的確な情報が得られたとしても、その有効利用が図れず、この結果、確実な緊急通報の伝達に問題が生じてしまうのである。
本発明の目的は、試験機能実行中でも、災害情報の有効利用が可能になるようにした同報通信システムを提供することにある。
【0017】
また、同報通信システムでは、特定の時間に、予め親局などに記憶された通報内容を自動的に通報する自動通報の機能を有している。しかし、緊急通報や他の通報などを優先した場合に、自動通報を必要としている者がいるにもかかわらず、本来定期的に行われる通報が欠落してしまう場合があった。
本発明の目的は、自動通報が働いていても、災害情報の有効利用が可能になるようにし、かつ自動通報も確実に行なう同報通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的は、親局と、親局の操作卓に接続された遠隔制御装置とを備え、複数の子局に前記操作卓と前記遠隔制御装置から通報を行ない、前記操作卓には統括制御機能が備えられているデジタル無線方式の同報通信システムにおいて、前記操作卓及び前記遠隔制御装置からの通報種類である通常通報及び緊急通報と統括制御機能のそれぞれについて通報優先順位が設定され、通報開始要求があった場合には、通報中であるか否かを判断し、通報中でなかった場合には前記通報開始要求のあった通報を行い、通報中であった場合には設定された前記通報優先順位に対応して、前記通報中及び前記通報開始要求の通報優先順位を比較し、前記通報開始要求の通報優先順位が前記通報中の通報優先順位より低い場合には、前記通報開始要求を拒否して前記通報中の通報を続け、前記通報開始要求の通報優先順位が前記通報中の通報優先順位より高い場合には、前記通報中の通報を切断して前記通報開始要求のあった通報を行なうことで達成される。
【0019】
また、上記目的は、親局と、親局の操作卓に接続された遠隔制御装置とを備え、複数の子局に前記操作卓と前記遠隔制御装置から通報を行ない、前記操作卓には統括制御機能が備えられているデジタル無線方式の同報通信システムにおいて、同報通信システムにおけるシステム上の試験を実行する通報試験機能を備え、前記通報試験機能実行時に通報開始要求があった場合には、前記通報試験機能を停止して前記通報開始要求のあった通報を優先的に行うことで達成される。
【0020】
また、上記目的は、親局と、親局の操作卓に接続された遠隔制御装置とを備え、複数の子局に前記操作卓と前記遠隔制御装置から通報を行ない、前記操作卓には統括制御機能が備えられているデジタル無線方式の同報通信システムにおいて、特定の時間に、予め親局に記憶された通報内容を自動的に通報する自動通報の機能を備え、通常通報または緊急通報または統括制御機能による通報開始要求があった場合には、前記自動通報に対して前記通報開始要求による通報を優先的に行い、前記通報により自動通報が欠落した場合には、前記通報後に欠落が生じた自動通報を始めから開始することで達成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、親局の操作卓が統制制御モードにされていたときでも、遠隔制御装置が設置してある部署(消防署や支所など)からの緊急通報が可能になり、この結果、市町村庁舎など親局が設置されている場所以外の部署で緊急状態が認識された場合、必要とあれば緊急通報が行えることになり、従って、重要な通報の迅速な伝達が可能で、災害被害の防止に大きく寄与することができる。
【0022】
これに対して、以前は、親局の操作卓において統括制御モードが解除されるまでは、遠隔制御装置からは緊急通報が行えなかった。
従って、以前は、緊急事態の発生を検知した場合でも、統括制御モードが解除されるまでは通報することができず、例えば役所に電話連絡するなどして統括制御モードを解除してもらい、その後で緊急通報を行うなどの必要があったので、迅速な対応が難しかった。
【0023】
また、本発明によれば、試験機能実行中であっても、緊急通報などが可能になり、この結果、市町村庁舎など親局が設置されている場所やそれ以外の部署で緊急状態が認識された場合、必要とあれば緊急通報が行えることになり、従って、重要な通報の迅速な伝達が可能で、災害被害の防止に大きく寄与することができる。
【0024】
また、本発明によれば、自動通報中に通報要求があった場合でも、緊急通報などの災害情報の有効利用が可能になるようにし、かつ自動通報も確実に行なうが可能になり、この結果、重要な通報の迅速な伝達が可能で、災害被害の防止に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る同報通信システムの一実施の形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の実施形態における優先度テーブルの一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態における優先度テーブルを利用した処理フローの一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態における自動通報の再送処理時のタイムチャートの一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態における自動通報の再送処理時の処理フローの一例を示す説明図である。
【図6】従来技術による同報通信システムの一例を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る同報通信システムについて、図示の実施形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態で、図において、10bは比較部、10cは優先度テーブルであり、その他のブロックは、図6で説明した従来技術による同報通信システムと同じである。
【実施例1】
【0027】
そして、まず、比較部10bは、遠隔制御装置4(41、42、……4n)、親局操作卓10、また図示しないが外部子局に設置される接点起動通報なども含み、何れかにより通報開始要求があった場合、通報中の通報と通報開始要求の優先度を取り込み、それを優先度テーブル10cから読み出して優先度を比較するなど、通報中や通報開始要求の優先度を比較する働きをする。
次に、優先度テーブル10cは、通報種類である通常通報及び緊急通報と統括制御機能のそれぞれの通報優先順位について、各々予め設定した優先度を格納してテーブル化したものである。
【0028】
ここで、図2中の(a)は、優先度テーブルの一例を示す説明図で、このとき1から7の数字で示しているが、数字が小さい方が優先順位が高いものとしている。
そして、この優先度については、親局操作卓1から、必要に応じて随時、設定できるようにしてあり、このため、制御部10aには、この優先度の設定に必要な機能が備えられている。ここで、図2中の(b)は、優先度を設定する設定画面の一例であり、親局操作卓1に表示部を有し、テキストボックスなどで数値入力可能で、設定ボタンを押下することで表示値を親局操作卓1に登録可能となっている。
【0029】
次に、この実施形態の動作について説明する。
まず、この実施形態においても、同報通信システムとしての基本的な動作、すなわち、通報に際して、担当者は、親局操作卓10と各遠隔制御装置4(41、42、……4n)などの何れかから必要な情報を送信させ、同報通信に対応できる点は、図6で説明した従来技術による同報通信システムの場合と同じであるが、本実施形態においては、通報開始要求があった場合、親局操作卓10によって統括制御が働く状態にされていた場合でも、それが直ちに制御部10aに無視されてしまうことは無い。
すなわち、この場合、通報開始要求があった場合、親局操作卓10の制御部10aは、まず、通報動作の状態の識別を行うのである。
【0030】
そして、この後、比較部10bにより、制御部10aによる識別結果から優先度テーブル10cが検索され、当該通報開始要求元の優先度と、このとき通報されている通報に設定されている優先度とを取り込み、何れの優先度が高いかを判別し、優先度が高いものを優先的に通報する。なお、制御部10aや比較部10bは、親局操作卓10の中に備えられたり、親局操作卓10に接続されてもよく、本発明を実施できればどのような形態であってもかまわない。
【0031】
次に、図3を用いて優先度テーブルを利用した処理フローの一例について説明する。
まず、親局操作卓10では、通報開始要求があると現在通報中であるか否かを判断する(S301)。通報中でなかった場合には、要求された通報の接続処理を行う(S308)。通報中であった場合には、現在通報中の優先順位を取得し(S302)、次に通報開始要求された通報の優先順位を取得する(S303)。なお、現在通報中の優先順位の取得と、通報開始要求された通報の優先順位の取得は、次の優先順位を比較する際に使用できれば、どのタイミング、どの順番で取得してもよい。そして、取得した現在通報中の優先順位と、通報開始要求された通報の優先順位を比較し(S304)、優先順位が同一レベルの場合には通報開始要求された通報を拒否し(S305)、現在通報中の優先順位が大きい場合には通報開始要求された通報を拒否(S306)する。そして、通報開始要求された通報の優先順位大きい場合には現在通報中の通報を切断処理し(S307)、通報開始要求された通報の接続処理を行ない(S308)、通報を行なう。
【実施例2】
【0032】
次に、同報通信システムでは、扱い者が通常の通報と同様の操作を行うことで、あたかも通報要求があったかのように、通報起動から終話までの操作の流れを習得することができる通報試験機能を有している。このような場合、扱い者の操作習得のために、本来通報すべきものが通報されない場合がある。
このように通報試験機能を実行中に他の通報が入った場合には、通報試験機能と比較して他の通報を全て優先したり、また、緊急通報のみを優先したりして、確実に必要な通報若しくは緊急通報の伝達を行なうようにしてもよい。
また、図2中に(a)に示すような優先順位テーブルに、予め試験通報の優先順位も追加しておけば、図3に示すような優先順位を比較した通報処理が可能となる。
【実施例3】
【0033】
次に、同報通信システムでは、特定の時間に、予め親局などに記憶された通報内容を自動的に通報する自動通報の機能を有している。しかし、緊急通報や他の通報などを優先した場合に、自動通報を必要としている者がいるにもかかわらず、本来定期的に行われる通報が欠落してしまう場合がる。このような場合、他の通報が終了した後に、自動通報を自動再通報し、災害情報の有効利用が可能になるようにし、かつ自動通報も確実に行なうようにしたものである。
具体的には、図4に示す自動通報の再送処理時のタイムチャートの一例の場合である。
図4中の(a)に示すように、自動通報が開始される時に緊急通報などの他の通報が行なわれている場合、他の通報が終了した後に自動通報を自動再通報するものである。また、図4中の(b)に示すように、自動通報が行なわれている時に緊急通報などの他の通報があり、自動通報が切断されて他の通報が通報された後に、自動通報を自動再通報するものである。
また、本実施においては、図2中の(a)に示すような優先順位テーブルに、予め自動通報の優先順位も追加しておけば、図3に示すような優先順位を比較した通報処理を応用した処理が可能となる。
【0034】
次に、図5を用いて自動通報の優先順位が予め一番低いものと決められた状態として、自動通報の再送処理時の処理と優先度テーブルを利用した処理フローを合わせた一例について説明する。
まず、親局操作卓10では、通報開始要求があると現在通報中であるか否かを判断する(S501)。通報中でなかった場合には、要求された通報の接続処理を行う(S509)。通報中であった場合には、現在通報中の通報が自動通報であるのか否かを判断する(S502)。自動通報中であった場合には、現在の通報を切断処理し(S508)、通報開始要求された通報の接続処理を行ない(S509)、通報を行なう。現在通報中の通報が自動通報でなかった場合には、現在通報中の優先順位を取得し(S503)、次に通報開始要求された通報の優先順位を取得する(S504)。なお、現在通報中の優先順位の取得と、通報開始要求された通報の優先順位の取得は、次の優先順位を比較する際に使用できれば、どのタイミング、どの順番で取得してもよい。そして、取得した現在通報中の優先順位と、通報開始要求された通報の優先順位を比較し(S505)、優先順位が同一レベルの場合には通報開始要求された通報を拒否し(S506)、現在通報中の優先順位が大きい場合には通報開始要求された通報を拒否(S507)する。そして、通報開始要求された通報の優先順位が大きい場合には現在通報中の通報を切断処理し(S508)、通報開始要求された通報の接続処理を行ない(S509)、通報を行なう。そして、通報開始要求を拒否または切断処理された自動通報の有無を判断する(S510)。通報開始要求を拒否または切断処理された自動通報が無い場合には処理を終了し、通報開始要求を拒否または切断処理された自動通報があった場合には、自動通報を再送するための処理を実行し(S511)、再度通報中であるか否かを判断する(S501)。
【符号の説明】
【0035】
1:親局(町役場など行政区画の中心になる部署に配備されるデジタル無線設備)
2:外部子局(集会場などの公共場所や屋外に配備されるデジタル無線機を備えた子局設備)
3:戸別受信機(個人の家などに配備されるデジタル無線機を備えた子局設備)
4:遠隔制御装置(消防署や河川の監視所、支所など複数の任意の場所に設置され、親局にある親局操作卓と同等の機能をもつ装置)
10:親局操作卓(親局にあるデジタル無線設備の操作卓)
10a:制御部(統制機能を備えた制御部)
10b:比較部(優先度の検索と比較を行う比較部)
10c:優先度テーブル(優先度が格納されたテーブル)
11:基地局(デジタル無線機を備えた基地局)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局と、親局の操作卓に接続された遠隔制御装置とを備え、複数の子局に前記操作卓と前記遠隔制御装置から通報を行ない、前記操作卓には統括制御機能が備えられているデジタル無線方式の同報通信システムにおいて、
前記操作卓及び前記遠隔制御装置からの通報種類である通常通報及び緊急通報と統括制御機能のそれぞれについて通報優先順位が設定され、
通報開始要求があった場合には、通報中であるか否かを判断し、
通報中でなかった場合には前記通報開始要求のあった通報を行い、通報中であった場合には設定された前記通報優先順位に対応して、前記通報中及び前記通報開始要求の通報優先順位を比較し、
前記通報開始要求の通報優先順位が前記通報中の通報優先順位より低い場合には、前記通報開始要求を拒否して前記通報中の通報を続け、前記通報開始要求の通報優先順位が前記通報中の通報優先順位より高い場合には、前記通報中の通報を切断して前記通報開始要求のあった通報を行なうことを特徴とする同報通信システム。
【請求項2】
親局と、親局の操作卓に接続された遠隔制御装置とを備え、複数の子局に前記操作卓と前記遠隔制御装置から通報を行ない、前記操作卓には統括制御機能が備えられているデジタル無線方式の同報通信システムにおいて、
同報通信システムにおけるシステム上の試験を実行する通報試験機能を備え、
前記通報試験機能実行時に通報開始要求があった場合には、前記通報試験機能を停止して前記通報開始要求のあった通報を優先的に行うことを特徴とする同報通信システム。
【請求項3】
親局と、親局の操作卓に接続された遠隔制御装置とを備え、複数の子局に前記操作卓と前記遠隔制御装置から通報を行ない、前記操作卓には統括制御機能が備えられているデジタル無線方式の同報通信システムにおいて、
特定の時間に、予め親局に記憶された通報内容を自動的に通報する自動通報の機能を備え、
通常通報または緊急通報または統括制御機能による通報開始要求があった場合には、前記自動通報に対して前記通報開始要求による通報を優先的に行い、
前記通報により自動通報が欠落した場合には、前記通報後に欠落が生じた自動通報を始めから開始することを特徴とする同報通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−166470(P2011−166470A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27307(P2010−27307)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】