説明

含フッ素ポリマー組成物及び硬化体

【課題】
得られる硬化体の特性を改善することができる含フッ素ポリマー組成物を提供する。
【解決手段】
メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)及びヒドロシリル化反応触媒(B)、及び、ヒドロシリル化性化合物(C)を含有する含フッ素ポリマー組成物であって、
前記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、主鎖の両末端がSi−H基であるビニリデンフルオライド共重合体であり、前記ヒドロシリル化反応触媒(B)の存在下にヒドロシリル化反応をするものであり、
前記ヒドロシリル化性化合物(C)は、分子中に少なくとも2個の炭素−炭素二重結合を有する二重結合含有化合物(C2)である
ことを特徴とする含フッ素ポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素ポリマー組成物及び硬化体に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素ゴムは、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性等に優れた特性を示すことから、過酷な環境下で用い得るシール材等として幅広い用途がある。
従来、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中にパーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状フルオロポリエーテル化合物を含有する硬化性フルオロポリエーテルゴム組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この組成物におけるポリマーは、主鎖がパーフルオロ構造であり、パーフルオロ化合物以外の素材や化合物との相溶性に乏しく、他材との接着や配合剤の混合が難しいという問題があった。また、ポリマーの合成において高価なジカルボン酸化合物が必要であるという問題があった。
【0003】
また、数平均分子量が1000〜10000であって主鎖両末端に不飽和基含有フッ素オリゴマーと(メタ)アクリルモノマーと光重合開始剤あるいはラジカル発生剤とからなる硬化用組成物が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この光重合開始剤を用いる硬化用組成物の硬化にはUV照射装置を必要とし、ラジカル発生剤を用いる硬化用組成物の硬化反応においては発泡の原因となる副生成物が発生するという問題があった。
【0004】
そこで、フッ素ゴムとして、イソシアヌル酸トリアリル等の少量の少なくとも2つのオレフィン二重結合を有するモノマーを重合させた側方二重結合を有するフルオロエラストマーと、Si−H基を有するシリコーンエラストマー等と特定の触媒とからなるヒドロシリル化反応により加硫するための混合物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
しかしながら、この混合物から得られる硬化体は、機械的強度等の特性に問題が生じていた。また、このフルオロエラストマーは、オレフィン二重結合を鎖末端に有することに関し、効果等の開示も示唆もない。
【特許文献1】特開2001−354764号公報
【特許文献2】特開2001−81131号公報
【特許文献3】特開平6−192524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、得られる硬化体の特性を改善することができる含フッ素ポリマー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)及びヒドロシリル化反応触媒(B)、及び、ヒドロシリル化性化合物(C)を含有する含フッ素ポリマー組成物であって、前記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、主鎖の両末端がSi−H基であるビニリデンフルオライド共重合体であり、前記ヒドロシリル化反応触媒(B)の存在下にヒドロシリル化反応をするものであり、前記ヒドロシリル化性化合物(C)は、分子中に少なくとも2個の炭素−炭素二重結合を有する二重結合含有化合物(C2)であることを特徴とする含フッ素ポリマー組成物である。
【0008】
本発明は、ビニリデンフルオライド共重合体(I)であって、
主鎖の両末端がSi−H基であり、数平均分子量が500〜500000であることを特徴とするメチレン基含有含フッ素ポリマーである。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)及びヒドロシリル化反応触媒(B)からなるものである。
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、上記ヒドロシリル化反応触媒(B)の存在下にヒドロシリル化反応をするものである。
本明細書において、上記ヒドロシリル化反応は、炭素−炭素二重結合にSi−H基が付加する反応である。本明細書において、上記「Si−H基」とは、4価のケイ素原子と、このケイ素原子に結合している水素原子1個とからなる基を意味する。
【0010】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、上記ヒドロシリル化反応により硬化可能なものである。上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、硬化可能なものであるので、例えばゴム、硬化型塗料等として好適に用いることができる。上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、硬化性部位を有することにより硬化可能となる。
【0011】
本明細書において、上記「硬化性部位」とは、硬化性反応で化学的に変化し得る官能基又は結合を意味する。本明細書において、上記「硬化性反応」とは、橋かけ結合を形成する反応、及び、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の分子鎖同士が結合する反応であって橋かけ結合を形成しないものを意味する。本明細書において、上記「橋かけ結合を形成する反応」を「架橋」ということがあり、分子中の上記橋かけ結合を形成している箇所を「架橋点」ということがある。本明細書において、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)に上記硬化性反応を行わせることにより硬化したものを「硬化体」という。
【0012】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、メチレン基を有する繰り返し単位(以下、「メチレン基含有繰り返し単位」という。)を主鎖中に有するものである。
上記メチレン基は、−CH−で表される化学構造である。
上記メチレン基含有繰り返し単位は、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の分子構造上の繰り返し単位のうち−CH−で表される化学構造を含む繰り返し単位である。
上記メチレン基含有繰り返し単位としては−CH−で表される化学構造を含むものであれば特に限定されず、例えば、−CH−CF−、−CH−CH(CH)−、−CH−CH−等が挙げられ、これらは、例えば、ビニリデンフルオライド〔VdF〕、プロピレン〔Pr〕、エチレン〔Et〕等を重合させることにより導入することができる。
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)が上記メチレン基含有繰り返し単位を主鎖中に有することにより、本発明の含フッ素ポリマー組成物における添加剤の混合が容易になり、本発明の硬化体と他材との接着性を向上することができる。上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、上記メチレン基含有繰り返し単位以外の繰り返し単位を主鎖中に有していてもよい。
【0013】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)としては特に限定されず、例えば、ビニリデンフルオライド〔VdF〕からなる共重合体(I)、テトラフルオロエチレン〔TFE〕とプロピレン〔Pr〕とからなる共重合体(II)、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕とエチレン〔Et〕とからなる共重合体(III)等が挙げられ、それぞれ単独で、又は、本発明の硬化体の物性を損なわない範囲で2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、VdFからなる共重合体(I)であることが、硬化体の耐熱性と耐油性に優れることから好ましい。
上記共重合体(I)は、VdFの単独重合体であってもよいが、VdFとその他の共単量体とを重合することにより得られる共重合体であってもよい。
【0015】
上記共重合体(I)におけるその他の共単量体としてはVdFと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、TFE、HFP、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、フッ化ビニル等のフッ素含有単量体;Et、プロピレン、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体等が挙げられ、これらのフッ素含有単量体並びにフッ素非含有単量体のなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
上記共重合体(I)におけるその他の単量体は、TFE、HFP、及び/又は、PAVEであることが好ましい。上記PAVEは、下記一般式
CF=CFO(CFCFYO)−(CFCFCFO)−Rf
(式中Yは、F又はCFを表し、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。pは、0〜5の整数を表し、qは、0〜5の整数を表す。)で表されるものである。
【0017】
上記共重合体(I)としては、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/Pr共重合体、又は、VdF/Et/HFP共重合体が好ましい。
上記共重合体(I)は、ビニリデンフルオライド繰り返し単位が、ビニリデンフルオライド繰り返し単位と上記共重合体(I)におけるその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数の40モル%以上、85モル%以下であるものであることが好ましい。より好ましい下限は45モル%、更に好ましい下限は50モル%であり、より好ましい上限は80モル%である。
【0018】
上記VdF繰り返し単位は、上記共重合体(I)の分子構造上の一部分であって、VdFに由来する部分であり、−CH−CF−で表される。
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、TFEとPrとからなる共重合体(II)であることが、硬化体の耐熱性と耐塩基性に優れることから好ましい。
【0019】
上記共重合体(II)は、テトラフルオロエチレン繰り返し単位が、テトラフルオロエチレン繰り返し単位とプロピレン繰り返し単位との合計モル数の45モル%以上、70モル%以下であるものであることが好ましい。より好ましい下限は、50モル%であり、より好ましい上限は、65モル%である。
【0020】
上記テトラフルオロエチレン繰り返し単位は、上記共重合体(II)の分子構造上の一部分であって、TFEに由来する部分である。
上記プロピレン繰り返し単位は、上記共重合体(II)の分子構造上の一部分であって、Prに由来する部分であり、−CH−CH(CH)−で表される。
【0021】
上記共重合体(II)は、TFE及びPrのみからなる共重合体であってもよいが、TFE及びPrと上記共重合体(II)におけるその他の共単量体とを重合することにより得られる共重合体であってもよい。上記その他の共単量体としては、TFE以外の上述のフッ素含有単量体、Pr以外の上述のフッ素非含有単量体等が挙げられる。上記共重合体(II)としては、TFE/Pr/VdF共重合体が好ましい。
【0022】
上記共重合体(II)は、TFE及びPrと上記その他の共単量体とを重合することにより得られる共重合体である場合、上記その他の共単量体に由来する「その他の共単量体繰り返し単位」は、TFE繰り返し単位とPr繰り返し単位と「上記その他の共単量体繰り返し単位」との合計モル数の0モル%以上、40モル%未満であるものであることが好ましい。より好ましい下限は5モル%、更に好ましい下限は10モル%であり、より好ましい上限は30モル%である。
【0023】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、HFPとEtとからなる共重合体(III)であることが、硬化体の耐熱性と耐塩基性に優れることから好ましい。
上記共重合体(III)は、ヘキサフルオロプロピレン繰り返し単位が、ヘキサフルオロプロピレン繰り返し単位とエチレン繰り返し単位との合計モル数の15モル%以上、50モル%以下であるものであることが好ましい。より好ましい下限は、20モル%であり、より好ましい上限は、45モル%である。
上記ヘキサフルオロプロピレン繰り返し単位は、上記共重合体(III)の分子構造上の一部分であって、HFPに由来する部分であり、−CF−CF(CF)−で表される。
上記エチレン繰り返し単位は、上記共重合体(III)の分子構造上の一部分であって、Etに由来する部分であり、−CH−CH−で表される。
【0024】
上記共重合体(III)は、HFP及びEtのみからなる共重合体であってもよいが、HFP及びEtとその他の共単量体を重合することにより得られる共重合体であってもよい。上記共重合体(III)におけるその他の共単量体としては、HFP以外の上述のフッ素含有単量体、Et以外の上述のフッ素非含有単量体等が挙げられる。上記共重合体(III)としては、Et/HFP/VdF共重合体、又は、Et/HFP/TFE共重合体が好ましい。
【0025】
上記共重合体(III)は、Etとその他の共単量体とを重合することにより得られる共重合体である場合、上記その他の共単量体に由来する「その他の共単量体繰り返し単位」は、Et繰り返し単位と上記「その他の共単量体繰り返し単位」との合計モル数の0モル%以上、40モル%未満であるものであることが好ましい。より好ましい下限は、10モル%、更に好ましい下限は15モル%であり、より好ましい上限は、30モル%である。
【0026】
上記メチレン基含有フッ素ポリマー(A)は、実質的に「鎖の一端」と「鎖の他端」とに、炭素−炭素二重結合又はSi−H基を有するものであればよい。本明細書において、上記『上記メチレン基含有フッ素ポリマー(A)は、実質的に「鎖の一端」と「鎖の他端」とに、炭素−炭素二重結合又はSi−H基を有する』とは、上記メチレン基含有フッ素ポリマー(A)は、大部分の分子が「鎖の一端」と「鎖の他端」とに、炭素−炭素二重結合又はSi−H基を有するものであるが、硬化性反応に影響を与えない範囲内で、一部の分子が「鎖の他端」には、炭素−炭素二重結合又はSi−H基を有していなくてもよいし、ごく一部の分子が「鎖の一端」と「鎖の他端」とに炭素−炭素二重結合又はSi−H基を有していなくてもよいことを意味する。本明細書において、「鎖の一端」と「鎖の他端」とに、炭素−炭素二重結合又はSi−H基を有するものは、特に別の記載をしない限り、上記『実質的に「鎖の一端」と「鎖の他端」とに、炭素−炭素二重結合又はSi−H基を有する』をも含む概念である。
【0027】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、鎖の一端が炭素−炭素二重結合又はSi−H基であり、鎖の他端がSi−H基又は炭素−炭素二重結合であるものである。
本明細書において、上記「鎖の一端」及び上記「鎖の他端」における「鎖」は、主鎖及び側鎖の両方を含む概念である。従って、(i)「鎖の一端」及び「鎖の他端」がともに主鎖末端である場合、(ii)「鎖の一端」が主鎖末端であり、「鎖の他端」が側鎖末端である場合、(iii)「鎖の一端」及び「鎖の他端」がともに側鎖末端である場合等が考えられるが、特に硬化性部位を主鎖末端に有さずに主鎖途中に有するものである場合、この主鎖途中の架橋点から主鎖末端にかけての主鎖部分が架橋に直接寄与しないばかりでなく、可塑剤のように作用し硬化体の機械的強度が低下しやすいことから、本発明の含フッ素ポリマー組成物においては、(i)又は(ii)であることが好ましく、(iii)であることがより好ましい。
【0028】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、主鎖途中にも硬化性部位を有するものであってもよい。
本明細書において、上記「主鎖途中にも硬化性部位を有する」は、主鎖を構成している炭素原子のうち主鎖の両末端にある炭素原子以外の炭素原子に直接結合している場合と、側鎖に存在している場合の両方を含む概念である。上記主鎖途中に硬化性部位を有する場合としては、硬化性反応に関与しやすい点から、側鎖に存在している場合が好ましい。
【0029】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、上記鎖の一端及び上記鎖の他端がともに主鎖末端である場合、上記主鎖末端の化学構造の違いにより、主鎖の両末端が炭素−炭素二重結合であるポリマー(1)、主鎖の一端が炭素−炭素二重結合であり、かつ、主鎖の他端がSi−H基であるポリマー(2)、及び、主鎖の両末端がSi−H基であるポリマー(3)の3つに分類できるが、合成が比較的容易である点、架橋方法の選択が容易である点、及び、得られる硬化体が均一である点で、ポリマー(1)、又は、ポリマー(3)が好ましい。
【0030】
本発明の含フッ素ポリマー組成物において、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)がポリマー(1)とポリマー(3)とからなるものである場合、ポリマー(2)を含むか含まないかによらず、本発明の含フッ素ポリマー組成物は、後述のヒドロシリル化性化合物(C)を含まなくともヒドロシリル化反応触媒(B)を添加することにより、ヒドロシリル化反応を行うことができる。
【0031】
本発明の含フッ素ポリマー組成物において、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)がポリマー(2)からなるものである場合、ポリマー(1)又はポリマー(3)を含むか含まないかによらず、ヒドロシリル化反応触媒(B)を添加することにより、硬化性反応を行うことができる。
【0032】
また、含フッ素ポリマー組成物において、ヒドロシリル化性化合物(C)を含まない場合は、メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の主鎖途中にも炭素−炭素二重結合又はSi−H基を有するものであるものが好ましい。また、含フッ素ポリマー組成物において、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)が、主鎖途中に炭素−炭素二重結合又はSi−H基を有しない場合、後述のヒドロシリル化性化合物(C)は、1分子中3個以上の官能基を有するものであることが好ましい。
【0033】
上記ポリマー(1)、ポリマー(2)及びポリマー(3)としてはそれぞれ、主鎖のメチレン基含有繰り返し単位として種類の異なるものを1種又は2種以上用いることができる。
【0034】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、含フッ素エラストマーが好ましい。
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、また、常温で流動性を有するものであることが好ましい。
本明細書において、上記「常温」とは、0〜50℃を意味する。上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、このように常温で流動性を有するものであるので、複雑な形状の成形品を容易に得ることができ、また、現場施工型の成形が可能となる。
【0035】
次に、常温で流動性を有するメチレン基含有フッ素ポリマー(A)について、粘度、数平均分子量の観点から具体的に説明する。
【0036】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、上記常温における粘度が0.1Pa・s以上、2000Pa・s以下であることが好ましい。0.1Pa・s未満であると、ポリマー鎖が短すぎて架橋しにくい場合があり、2000Pa・sを超えると、常温で流動性を有しない場合がある。より好ましい下限は、1Pa・sであり、より好ましい上限は、1000Pa・sである。本明細書において、上記粘度は、E型粘度計にて測定して得られる値である。粘度が0.1Pa・s未満である重合体は、鎖延長剤を用いて上記範囲内の粘度を有するものとすることができ、本発明同様の効果を発現することができる。
【0037】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、常温におけるムーニー粘度が5以上、100以下であるものが好ましい。5未満であると、ポリマー鎖が短すぎて架橋しにくい場合があり、100を超えると、常温で流動性を有しない場合がある。より好ましい上限は、75であり、更に好ましい上限は、50である。
本明細書において、上記ムーニー粘度は、JIS K 6300(1994年)に準拠して、ムーニー粘度計(商品名:MV2000、モンサント社製)を用いて測定して得られる値である。
【0038】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、数平均分子量が500以上、20000以下であるものであることが好ましい。上記数平均分子量が500未満であると、架橋による三次元網目構造の形成が困難となる場合があり、20000を超えると、常温で流動性を示さない場合がある。より好ましい下限は、900であり、好ましい上限は、15000であり、より好ましい上限は、10000であり、更に好ましい上限は、5000である。上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、上記範囲内の数平均分子量を有するので、常温で成形加工や硬化性反応を行うことが容易である。
本明細書において、上記数平均分子量は、末端基濃度を定量して求めた値である。上記末端基濃度は、核磁気共鳴法〔NMR〕又は赤外線分光分析法[IR]により定量することができる。
【0039】
上述のポリマー(3)のうち、ビニリデンフルオライドからなる共重合体(I)、テトラフルオロエチレン[TFE]とプロピレン[Pr]とからなる共重合体(II)、及び、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕とエチレン〔Et〕とからなる共重合体(III)よりなる群から選ばれるメチレン基含有含フッ素ポリマーであって、主鎖の両末端がSi−H基であり、数平均分子量が500以上、500000以下であるもの(以下、「メチレン基含有含フッ素ポリマー(A1)」という。)もまた、本発明の一つである。
上記ビニリデンフルオライドからなる共重合体(I)、上記TFEとPrとからなる共重合体(II)、上記HFPとEtとからなる共重合体(III)は、それぞれ先述と同様のものが好ましい具体例として挙げられる。
【0040】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A1)の数平均分子量について、好ましい下限は900、より好ましい下限は1000、更に好ましい下限は2000であり、好ましい上限は200000、より好ましい上限は100000、更に好ましい上限は20000、特に好ましい上限は15000であり、最も好ましい上限は、5000である。
本明細書において、以下、特に別の記載をしない限り、「メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)」は上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A1)を含む概念である。
【0041】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の重合方法としては、重合時又は重合後の末端変性反応により、鎖の末端に炭素−炭素二重結合及び/又はSi−H基を導入することが可能な方法であれば特に限定されず、例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合等の従来公知の重合法により重合することができる。
【0042】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の重合は、5〜120℃において行うものであることが好ましい。5℃未満であると、反応が遅すぎて工業的でない場合があり、120℃を超えても大きなメリットはない。
【0043】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の主鎖末端として炭素−炭素二重結合を導入する方法としては特に限定されず、例えば、アルコキシカルボニル基から変換することにより導入することもできる。この変換の方法としては、例えば、アルコキシカルボニル基に炭素−炭素二重結合を含有するアミンを反応させてアミド化する方法等を用いることができる。上記炭素−炭素二重結合を含有するアミンとしては特に限定されず、例えばアリル基等の不飽和基を有するアミンが挙げられ、例えば、特開2001−81131号公報に記載の不飽和基含有アミン、特開平8−198926号公報に記載の化合物(5)等を用いることができる。上記炭素−炭素二重結合は、また、主鎖両末端にヒドロキシル基を持つポリマーにアリルイソシアナートを反応させる方法等によっても得ることができる。主鎖両末端にヒドロキシル基を持つポリマーは、特公昭63−44744号公報に開示された方法によっても合成できる。
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の主鎖末端に炭素−炭素二重結合が導入されたことは、核磁気共鳴法〔NMR〕、赤外分光分析法〔IR〕等によって知ることができる。
【0044】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の主鎖末端としてSi−H基を導入する方法としては特に限定されず、例えば、主鎖末端の炭素−炭素二重結合にSi−H基を2つ持つ化合物を反応させる方法等によって得ることができる。
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の主鎖途中として炭素−炭素二重結合又はSi−H基を導入する方法としては、他の種類の硬化性部位から変換する上述の方法が挙げられる。
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の主鎖末端にSi−H基が導入されたことは、NMR、IR等によって知ることができる。
【0045】
上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、ヒドロシリル化反応触媒(B)の存在下にヒドロシリル化反応をするものである。
上記ヒドロシリル化反応触媒(B)は、ヒドロシリル化反応を促進するために用いられるものである。
上記ヒドロシリル化反応により、鎖の末端にSi−H基を有するメチレン基含有含フッ素ポリマー(A)と、鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するメチレン基含有含フッ素ポリマー(A)との間で硬化性反応が進行し、硬化体を得ることができる。また、本発明の含フッ素ポリマー組成物が後述のヒドロシリル化性化合物(C)を含むものである場合、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)とヒドロシリル化性化合物(C)との間で架橋が進行し硬化体を得ることができる。
【0046】
上記ヒドロシリル化反応触媒(B)としては、ヒドロシリル化反応を促進し得るものであれば特に限定されず、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒、イリジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応触媒(短周期型周期律表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物等の8族金属系触媒)を挙げることができ、なかでも、比較的入手しやすい点で、白金系触媒が好ましい。
【0047】
上記白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、例えば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号明細書及び米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書及び米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物等が挙げられる。より具体的には、白金の単体(白金黒);塩化白金酸;塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体;塩化白金酸とアルコール又はビニルシロキサンとの錯体;シリカ、アルミナ、カーボン等の担体上に担持された白金等が挙げられる。
【0048】
上記パラジウム系触媒としては、パラジウム、パラジウム化合物、塩化パラジウム酸等からなるもの、例えば、Pd(PPh(Phは、フェニル基を表す。)等が挙げられる。
上記ロジウム系触媒としては、ロジウム、ロジウム化合物、塩化ロジウム酸等からなるもの、例えば、RhCl(PPh、RhCl(CO)(PPh、RhCl(C(Phは、フェニル基を表す。)等が挙げられる。
上記ルテニウム系触媒としては、例えばRu(CO)12等が挙げられ、上記イリジウム系触媒としては、例えばIrCl(CO)(PPh(Phは、フェニル基を表す。)等が挙げられる。
【0049】
上記ヒドロシリル化反応触媒(B)としては、また、ルイス酸、コバルトカルボニル等であってもよい。
上記ヒドロシリル化反応触媒(B)は、用いるヒドロシリル化反応触媒(B)の公知の触媒量で使用することができるが、白金族元素よりなる付加反応触媒である場合、上記付加反応触媒に含まれる白金族元素の質量が、上述のメチレン基含有含フッ素ポリマー(A)と、所望により添加する後述のヒドロシリル化性化合物(C)との合計質量の0.1ppm以上、1%以下となる量で添加することが好ましく、0.1ppm以上、1000ppm以下となる量で添加することがより好ましい。
【0050】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、上述のメチレン基含有含フッ素ポリマー(A)、上記ヒドロシリル化反応触媒(B)、及び、ヒドロシリル化性化合物(C)からなるものであることが好ましい。
【0051】
上記ヒドロシリル化性化合物(C)は、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)とヒドロシリル化反応をする化合物である。
上記ヒドロシリル化性化合物(C)は、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)における主鎖の両末端が炭素−炭素二重結合であるときには、分子中に少なくとも2個のSi−H基を有するSi−H基含有化合物(C1)であることが好ましい。
【0052】
上記Si−H基含有化合物(C1)としては、通常、一般式RSiO(4−b−c)/2で表わされる化合物を使用することができる。上記一般式において、Rは、炭素数1〜10、特に1〜8の置換又は非置換の1価炭化水素基(但し、脂肪族不飽和結合を除く)を表し、このような1価炭化水素基としては、例えば、トリフルオロプロピル基等のハロゲンで置換されたアルキル基、アルキル基、フェニル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
【0053】
上記一般式において、bは、0≦b<3、好ましくは0.6<b<2.2、特に好ましくは1.5≦b≦2であり、cは、0<c≦3、好ましくは0.002≦c<2、特に好ましくは0.01≦c≦1であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
【0054】
上記Si−H基含有化合物(C1)は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2〜1000個、特に好ましくは2〜300個、最も好ましくは4〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8−ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R(H)SiO1/2 単位とSiO4/2 単位とからなり、任意にRSiO1/2 単位、RSiO2/2 単位(Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10、特に1〜8の置換若しくは非置換の1価炭化水素基を表す。)、R(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2又はRSiO3/2単位を含み得るシリコーンレジン等を挙げることができる。
【0055】
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
(CHSiO−(SiH(CH)−O)−Si(CH
(式中、dは、2以上の整数を表す。)
【0056】
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
(CHSiO−(Si(CH−O)−(SiH(CH)−O)−Si(CH
(式中、eは、1以上の整数を表し、fは、2以上の整数を表す。)
【0057】
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
HOSi(CHO−(SiH(CH)−O)−Si(CHOH
【0058】
分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
HOSi(CHO−(Si(CH−O)−(SiH(CH)−O)−Si(CHOH
(式中、eは、1以上の整数を表し、fは、2以上の整数を表す。)
【0059】
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
HSi(CHO−(Si(CH−O)−Si(CH
(式中、eは、1以上の整数を表す。)
【0060】
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合等が挙げられる。
HSi(CHO−(SiH(CH)−O)−Si(CH
(式中、eは、1以上の整数を表す。)
【0061】
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、例えば下記一般式で表される化合物、下記一般式においてメチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換した化合物等が挙げられる。
HSi(CHO−(Si(CH−O)−(SiH(CH)−O)−Si(CH
(式中、e及びhは、それぞれ、1以上の整数を表す。)
【0062】
このような化合物は、公知の方法により製造することができ、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン及び/若しくはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るトリオルガノシリル基又はジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下、−10〜40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。上記トリオルガノシリル基を含む化合物としては、例えばヘキサメチルジシロキサン等が挙げられ、上記ジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物としては、例えば1,3−ジハイドロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
【0063】
上記Si−H基含有化合物(C1)としては、1分子中に1個以上の1価のパーフルオロオキシアルキル基、1価のパーフルオロアルキル基、2価のパーフルオロオキシアルキレン基及び/又は2価のパーフルオロアルキレン基を有し、かつ、2個以上、好ましくは3個以上のSi−H基を有するものが挙げられる。このパーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基、及び、パーフルオロアルキレン基としては、特に下記一般式で表されるものを挙げることができる。
【0064】
<1価のパーフルオロアルキル基>C2k+1−(式中、kは、1〜20、好ましくは2〜10の整数を表す。)
<2価のパーフルオロアルキレン基>−C2k−(式中、kは1〜20、好ましくは2〜10の整数を表す。)
<1価のパーフルオロオキシアルキル基>
【0065】
【化1】

【0066】
(式中、nは、1〜5の整数を表す。)
<2価のパーフルオロオキシアルキレン基>
【0067】
【化2】

【0068】
(式中、mは、1〜50の整数を表し、nは、1〜50の整数を表し、m+nは、2〜100を満足する。)
【0069】
−(CFO)−(CFCFO)−CF
(式中、m及びnは、それぞれ、1〜50の整数を表す。)
【0070】
上記パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基とケイ素原子とをつなぐ2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基、これらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合等を介在させた基等であってよく、例えば、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHOCH−、−CHCHCH−NH−CO−、−CHCHCH−N(Ph)−CO−(式中、Phは、フェニル基を表す。)、−CHCHCH−N(CH)−CO−、−CHCHCH−O−CO−等の炭素数2〜12のものが挙げられる。
【0071】
また、上記Si−H基含有化合物(C1)における1価又は2価の含フッ素置換基、即ち、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基を含有する1価の有機基以外のケイ素原子に結合した1価の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の少なくとも一部が塩素原子、シアノ基等で置換された、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等の炭素数1〜20の非置換又は置換の炭化水素基が挙げられる。
【0072】
上記Si−H基含有化合物(C1)としては、環状、鎖状、三次元網状又はそれらの組み合わせの何れでもよい。上記Si−H基含有化合物(C1)のケイ素原子数は、特に制限されるものではないが、通常、2〜60、好ましくは3〜30程度である。
上記Si−H基含有化合物(C1)としては、例えば下記の化合物が挙げられる。下記式でMeはメチル基、Phはフェニル基を表す。なお、これらの化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0073】
【化3】

【0074】
(式中、mは、1〜20、平均10の整数を表し、nは、1〜10、平均6の整数を表す。)
【0075】
【化4】

【0076】
【化5】

【0077】
【化6】

【0078】
(式中、Zは、
【0079】
【化7】

【0080】
を表し、nは、1〜30の整数を表し、mは、1〜30の整数を表し、かつ、n+mは、2〜60、平均2〜50を表す。)
【0081】
【化8】

【0082】
(式中、Zは、
【0083】
【化9】

【0084】
を表し、nは、1〜30の整数を表し、mは、1〜30の整数を表し、かつ、n+mは、2〜60、平均2〜50を満足する。)
【0085】
【化10】

【0086】
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
【0087】
【化11】

【0088】
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
【0089】
【化12】

【0090】
(式中、nは、2〜60、平均3〜50の整数を表す。)
【0091】
上記ヒドロシリル化性化合物(C)は、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)における主鎖の両末端がSi−H基であるときには、分子中に少なくとも2個の炭素−炭素二重結合を有する二重結合含有化合物(C2)であることが好ましい。
【0092】
上記二重結合含有化合物(C2)としては特に限定されず、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
【0093】
上記ヒドロシリル化性化合物(C)は、ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)からなるものであってもよい。
【0094】
上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)は、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)とヒドロシリル化反応をする化合物のうち、ポリマーであるものである。上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)は、ポリマーと通常認識されるものであればよいが、数平均分子量が500〜2000000であるものが好ましい。
【0095】
上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)は、炭素−炭素二重結合及び/又はSi−H基を主鎖末端及び/又は主鎖途中に有する。上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)は、分子中に少なくとも2個のSi−H基を有するものである場合、上記Si−H基含有化合物(C1)に含まれる概念であり、分子中に少なくとも2個の炭素−炭素二重結合を有するものである場合、上記二重結合含有化合物(C2)に含まれる概念である。
【0096】
上記ヒドロシリル化性化合物(C)は、本発明の含フッ素ポリマー組成物中に炭素−炭素二重結合とSi−H基とが共存することとなるように、炭素−炭素二重結合を有するものか、Si−H基を有するものかを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。
【0097】
本発明の含フッ素ポリマー組成物において、上記ヒドロシリル化性化合物(C)として、上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)と、上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)とは異なる上記Si−H基含有化合物(C1)とを用いてもよいし、上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)と、上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)とは異なる上記二重結合含有化合物(C2)とを用いてもよい。
【0098】
上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)としては特に限定されず、例えば、不飽和基を持つα−オレフィン/共役ジエン共重合体ゴム;不飽和基を持つEt/Prゴム;シリコーンオリゴマー、シリコーンゴム、又は、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。フルオロシリコーンゴムは、Si−H基を有するものが好ましい。
上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)は、シリコーンゴム及び/又はフルオロシリコーンゴムであることが好ましい。
【0099】
上記シリコーンゴム及び/又はフルオロシリコーンゴムは、常温で液状のものであることが好ましい。上記常温は、上述の通り0℃〜50℃である。
【0100】
上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)として、シリコーンオリゴマー、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等を用いることが好ましいが、上述のように本発明の含フッ素ポリマー組成物中に炭素−炭素二重結合とSi−H基とが共存することとなるのであれば、上記ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)は、必ずしも用いなければならないものではない。
【0101】
本発明の含フッ素ポリマー組成物におけるメチレン基含有含フッ素ポリマー(A)及び所望により用いるヒドロシリル化性化合物(C)は、上記含フッ素ポリマー組成物に含まれる炭素−炭素二重結合1個に対するSi−H基の個数が0.5〜10となる添加量で用いることが好ましい。上記含フッ素ポリマー組成物に含まれる炭素−炭素二重結合1個に対するSi−H基の個数のより好ましい下限は、1であり、より好ましい上限は、7である。炭素−炭素二重結合1個に対するSi−H基の個数が少なくなりすぎる添加量では、架橋度合いが不充分になる場合があり、多すぎると過剰のSi−H基が残存して経時変化の原因となる。
【0102】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、添加剤類を加えたものであってもよい。
上記添加剤類は、本発明の効果を損なわない範囲内で公知の量で使用することができ、特に限定されないが、合計で本発明の含フッ素ポリマー組成物の0.5〜50質量%の量で添加することが好ましい。
【0103】
上記添加剤類としては特に限定されず、例えば、充填剤、加工助剤、酸化防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、オゾン劣化剤、紫外線吸収剤、ヒドロシリル化反応の反応抑制剤等が挙げられる。
【0104】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、含フッ素ポリマー組成物の粘度を調整したり、含フッ素ポリマー組成物を用いて得られる硬化体のガラス転移点を低下させるために、オイル等を加えたものであってよい。
【0105】
上記オイルは、得られる硬化体の機械的特性を向上し得る点で、上記含フッ素ポリマー組成物を硬化させる反応において硬化性部位を有するオイルが好ましい。上記オイルは、また、含フッ素ポリマー組成物の粘度を低下し得る点で、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の粘度より低い粘度を有するオイルが好ましい。上記オイルは、得られる硬化体のガラス転移点を低下し得る点で、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)のガラス転移点より低いガラス転移点を有するオイルが好ましい。
【0106】
上記反応抑制剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール;アクリロニトリル;N,N−ジアリルアセトアミド、N,N−ジアリルベンズアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−o−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−m−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−p−フタル酸ジアミド等のアミド化合物;イオウ;アミン化合物;イオウ化合物;リン化合物;スズ化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン;ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。
【0107】
上記反応抑制剤としては、また、例えば、1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、2−エチニルイソプロパノール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール等のアセチレンアルコール、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、米国特許第3,445,420号明細書において配合物(4)として例示される化合物、特公昭54−3774号公報において成分(ニ)として例示される化合物等のアセチレン化合物等であってもよい。
【0108】
本発明の含フッ素ポリマー組成物を調製し硬化する方法としては特に限定されず、例えば、既知の一般的な方法で混合すればよいが、メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)が低分子量である場合、プラネタリーミキサーや卓上のミキサーで混合すればよい。
【0109】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、1液型、2液型の何れであってもよいが、常温で架橋が進行し得る場合、2液型が好ましい。2液型の場合、例えば、第1液として上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)及びヒドロシリル化反応触媒(B)を、第2液には上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)及び上記ヒドロシリル化性化合物(C)を、それぞれ混合し用いることができる。
【0110】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、ホットメルトガンやディスペンサー等の押出ガンを用いる方法;LIMS(Liquid Injection Molding System)成形機を用いる方法(LIM成形法);2液を成形直前に混合し成形する方法;常温〜200℃で型に流し込んで成形する方法;FIPG(Formed In Place Gasket)法等によって成形することができる。
【0111】
上記FIPG法とは、自由成形ガスケット又は現場成形ガスケットと云われるもの等を成形加工する方法で、塗布ロボット、輸送ポンプ及びディスペンサーを組み合わせて成形することよりなる方法である。上記FIPG法としては、例えば、含フッ素ポリマー組成物を輸送ポンプに供給し、ディスペンサーから吐出させると共に、塗布ロボットにより、予め記憶させたパターンに従い塗布してガスケット等を形成させる方法等が挙げられる。上記方法によれば、ロボット機構を用いて予め記憶されたパターンで塗布が行われるので、含フッ素ポリマー組成物を用いて成形してなるガスケット等のパッキン類を所定の位置に正確に設置することができ、特に現場施工時に成形する際に好適である。
【0112】
特に、上記含フッ素ポリマー組成物は、常温で流動性を有する含フッ素ポリマー(A)からなるときには、良好な流動性を有し、上記に例示した方法で容易に成形することができ、好適である。
【0113】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、ヒドロシリル化反応による硬化性反応を利用したものであるが、上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)の鎖の両末端が炭素−炭素二重結合かSi−H基であるものであるので、得られる硬化体の機械的強度等を向上することができる。なお、本発明の含フッ素ポリマー組成物において、上記メチレン基含有フッ素ポリマー(A)の分子量が低分子量(例えば、数平均分子量が50000以下、好ましくは20000以下)であるほど、特開平6−192524号公報に開示されている混合物等を用いた場合に比べて、得られる硬化体の機械的強度等の向上が顕著である。
【0114】
本発明の含フッ素ポリマー組成物が上述のような効果を奏する機構としては明確ではないが、以下のように考えられる。即ち、従来のフルオロエラストマーは、二重結合を鎖の途中に有し、鎖の末端には有さないものであったので、架橋点から鎖の末端にかけての鎖部分は、可塑剤のように作用することとなり、硬化物の機械的強度が低下する問題を生じていた。その一方、本発明の含フッ素ポリマー組成物は、鎖の末端に架橋点を有することとなるので、このような従来の問題がなく、機械的強度、ゴム弾性等が向上した硬化体を得ることができるものと考えられる。
【0115】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、また、硬化性反応において発泡の原因となったり毒性を有していたりする副生成物を生じないという特性がある。この特性から上記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)として低粘度ポリマーを用いた場合、無加圧成形又は低加圧成形を行うことができ、例えば現場施工を可能にするものである。
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、必要に応じて水性媒体に分散させたものであってもよいし、有機溶剤に溶解したものであってもよい。上記水性媒体は、水と有機溶剤との混合物であってもよい。
【0116】
上記含フッ素ポリマー組成物から得られることを特徴とする硬化体もまた、本発明の一つである。本発明の硬化体は、上述のように向上した機械的強度等の特性を有することができる。
本発明の硬化体は、例えば、本発明の含フッ素ポリマー組成物について上述した方法により硬化したものであってよい。
本発明の含フッ素ポリマー組成物を硬化する方法としては、上記FIPG法、LIM法等が好ましい。
【0117】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、水性媒体に分散させるか、又は、有機溶剤に溶解させることにより、コーティング剤として使用することが可能である。本発明の含フッ素ポリマー組成物からなることを特徴とするコーティング剤もまた、本発明の一つである。
【0118】
基材と、上記基材上に上記コーティング剤をコーティングして得られるコーティング層とからなる複層品もまた、本発明の一つである。上記基材としては特に限定されず、例えば、金属、セラミック等の無機材料からなるもの;合成樹脂等の有機材料からなるもの等が挙げられる。上記コーティングの方法としては、従来公知の塗布法等が挙げられる。
【0119】
本発明の含フッ素ポリマー組成物を用いて基材上に成形されてなる基材一体型成形体もまた、本発明の一つである。
上記基材としては特に限定されず、例えば、アルミニウム等の金属、セラミック等の無機材料からなるもの、合成樹脂等の有機材料からなるもの等が挙げられる。上記基材一体型成形体は、公知の塗布法や射出法により成形したものであってもよいが、FIPG法又はLIM成形法により成形したものが好ましい。上記基材一体型成形体は、また、FIPG法、LIM成形法、公知の塗布法、射出成形法等により基材上に含フッ素ポリマー組成物を用いて成形後、必要に応じて加熱することにより、上記基材と含フッ素ポリマー組成物から成形される成形体との一体成形を行ったものであってもよい。
【0120】
上記基材一体型成形体は、例えば、パッキン類であることが成形性などの点から好ましく、FIPG法又はLIM成形法により基材上に成形されてなるパッキン類がより好ましく、ガスケットであることが更に好ましい。上記パッキン類及びガスケットは、より詳細な具体例としては後で説明するもの等が挙げられる。
【0121】
上記パッキン類の成形方法としては、例えば、常温で流動性を有するメチレン基含有含フッ素ポリマー(A)からなる本発明の含フッ素ポリマー組成物を用いてFIPG法又はLIM成形法により成形することよりなる方法が好ましい。
【0122】
本発明の硬化体、複層品及び基材一体型成形体は、例えば、半導体関連分野、自動車分野、航空機分野、ロケット分野、船舶分野、化学品分野、薬品分野、写真分野、印刷分野、塗装分野、分析・理化学機器分野、食品プラント分野、原子力プラント分野、鉄鋼分野、一般工業分野、電気分野、燃料電池分野、電子部品分野等において使用する各種成形品として有用である。
【0123】
上記半導体関連分野では、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル製造装置、有機ELパネル製造装置、フィールドエミッションディスブレイパネル製造装置、太陽電池基板製造装置等におけるO(角)リング、パッキン、シール材、チューブ、ロール、コーティング、ライニング、ガスケット、ダイアフラム、ホース等が挙げられ、これらはCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置、薬液配管、ガス配管に用いることができる。具体的には、ゲートバルブのOリング、シール材として、クォーツウィンドウのOリング、シール材として、チャンバーのOリング、シール材として、ゲートのOリング、シール材として、ベルジャーのOリング、シール材として、カップリングのOリング、シール材として、ポンプのOリング、シール材、ダイアフラムとして、半導体用ガス制御装置のOリング、シール材として、レジスト現像液、剥離液用のOリング、シール材として、ウェハー洗浄液用のホース、チューブとして、ウェハー搬送用のロールとして、レジスト現像液槽、剥離液槽等のライニング又はコーティングとして、ウェハー洗浄液槽のライニング又はコーティングとして、ウェットエッチング槽のライニング又はコーティングとして用いることができる。
【0124】
更に、封止材・シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、絶縁、防振、防水、防湿を目的とした電子部品、回路基盤のポッティング、コーティング、接着シール、磁気記憶装置用ガスケット、エポキシ等の封止材料の変性材、クリーンルーム・クリーン設備用シーラント等のクリーン設備用シール材として用いられる。
【0125】
自動車分野では、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、シール材、ホース、エンジン、周辺装置等に用いることができ、ホース、シール材はAT装置に用いることができ、O(角)リング、チューブ、パッキン、バルブ芯材、ホース、シール材及びダイアフラムは、燃料系統並びに周辺装置に用いることができる。具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、オイルホース、酸素センサー用シール、ATFホース、インジェクターOリング、インジェクターパッキン、燃料ポンプOリング、ダイアフラム、燃料ホース、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のO−リング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、EGRチューブ、ツインキャブチューブ、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部等)、再燃焼装置用ホース、酸素センサーブッシュとして用いることができる。
【0126】
航空機分野、ロケット分野及び船舶分野では、ダイアフラム、O(角)リング、バルブ、チューブ、パッキン、ホース、シール材が挙げられ、これらは燃料系統に用いることができる。具体的には、航空機分野では、ジェットエンジンバルブステルシール、燃料供給用ホース、ガスケット及びO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シールに用いられ、船舶分野では、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライ弁の軸シールに用いられる。
【0127】
プラント等の化学品分野では、ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、耐薬品用コーティングが挙げられ、これらは医薬、農薬、塗料、樹脂等化学品製造工程に用いることができる。具体的には、化学薬品用ポンプ、流動計、配管のシール、熱交換器のシール、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキン、農薬散布機、農薬移送ポンプのシール、ガス配管のシール、メッキ液用シール、高温真空乾燥機のパッキン、製紙用ベルトのコロシール、燃料電池のシール、風洞のジョイントシール、耐トリクレン用ロール(繊維染色用)耐酸ホース(濃硫酸用)、ガスクロマトグラフィー、pHメーターのチューブ結合部のパッキン、塩素ガス移送ホース、ベンゼン、トルエン貯槽の雨水ドレンホース、分析機器や理化学機器のシール、チューブ、ダイアフラム、弁部品として用いることができる。
【0128】
医薬品等の薬品分野では、薬栓として用いることができる。
【0129】
現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野及び塗装設備等の塗装分野では、ロールが挙げられ、それぞれフィルム現像機・X線フィルム現像機、印刷ロール及び塗装ロールに用いることができる。具体的には、フィルム現像機・X線フィルム現像機の現像ロールとして、印刷ロールのグラビアロール、ガイドロールとして、塗装ロールの磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、各種コーティングロールとして用いることができる。更に、乾式複写機のシール、印刷設備の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、塗布、塗装設備の塗布ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト、乾式複写機のベルト、ロール、印刷機のロール、ベルトとして用いることができる。
またチューブを分析・理化学機器分野に用いることができる。
【0130】
食品プラント機器分野では、ライニング、バルブ、パッキン、ロール、ホース、ダイアフラム、O(角)リング、チューブ、シール材、ベルトが挙げられ、食品製造工程に用いることができる。具体的には、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シールとして用いることができる。
【0131】
原子力プラント機器分野では、パッキン、Oリング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブが挙げられる。
【0132】
鉄板加工設備等の鉄鋼分野では、ロールが挙げられ、鉄板加工ロールに用いることができる。
【0133】
一般工業分野では、パッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイアフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウェザーストリップ、PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト等が挙げられる。具体的には、油圧、潤滑機械のシール、ベアリングシール、ドライクリーニング機器の窓、その他のシール、六フッ化ウランの濃縮装置のシール、サイクロトロンのシール(真空)バルブ、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガス、塩素ガス分析用ポンプのダイアフラム(公害測定器)、印刷機のロール、ベルト、酸洗い用絞りロールに用いられる。
【0134】
電気分野では、具体的には、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、油井ケーブルのジャケットとして用いられる。
【0135】
燃料電池分野では、具体的には、電極、セパレーター間のシール材や水素・酸素・生成水配管のシールとして用いられる。
【0136】
電子部品分野では、具体的には、放熱材原料、電磁波シールド材原料、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピューターのハードディスクドライブのガスケットに用いられる。
【0137】
現場施工型の成形に用いることが可能なものとしては特に限定されず、例えば、自動車エンジン用メタルガスケットのコーティング剤、エンジンのオイルパンのガスケット、複写機・プリンター用のロール、建築用シーリング剤、磁気記録装置用のガスケット、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、プリント基盤のコーティング剤、電気・電子部品の固定剤、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理、電気炉等のオーブンのシール、シーズヒーターの末端処理、電子レンジの窓枠シール、CRTウェッジ及びネックの接着、自動車電装部品の接着、厨房、浴室、洗面所等の目地シール等が挙げられる。
【0138】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)のクリーン性を活かし、磁気記録装置(ハードディスクドライブ)用のガスケット、半導体製造装置やウェハー等のデバイス保管庫等のシーリング材、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤等のクリーン設備用シール材に特に好適に用いられる。
【0139】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、耐薬品性、ガス低透過性、難燃性等の特性を活かし、燃料電池セル電極間やその周辺配管等に用いられるパッキン等の燃料電池用のシール材等にも特に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0140】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、上述の構成よりなるので、得られる硬化体の機械的強度の特性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0141】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0142】
製造例 硬化体の製造
工程1.〔(CHCOCHCFCOO〕の合成
100mlの3口フラスコに、20質量%NaCl水溶液を50g入れ、−15℃に冷却した。Naを1.05g加えると−10℃まで温度が上昇した。再び−15℃に冷却し、(CHC−OCHCFCOClを4.91g滴下した。滴下完了後、−15℃に冷却しながら30分撹拌した。−15℃に冷却した1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンを5.0ml加えて、更に30分撹拌した。静置するとすぐに2層に分離するので、下層の白色懸濁液を採取すると、6.0mlの溶液が得られた。
ヨウ素滴定法により標記パーオキサイドの濃度を求めたところ、134mg/mlの濃度であった。
【0143】
工程2.メチレン基含有含フッ素ポリマーの合成
100mlのステンレス製反応容器を−50℃に冷却し、工程1.で得られたパーオキサイドの1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン溶液4.6mlを加え、窒素ガスで置換した後、ヘキサフルオロプロピレン10.9g、ビニリデンフルオライド6.5gを仕込んだ。上記ステンレス製反応容器を20℃で2.5時間振盪させて、重合を行った。上記ステンレス製反応容器の内圧は1.28MPa・Gから1.17MPa・Gまで低下した。重合終了後、未反応モノマーと1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンを蒸発させると、液状ポリマー(a)4.2gが得られた。
核磁気共鳴法〔NMR〕による分析で、ビニリデンフルオライド繰り返し単位とヘキサフルオロプロピレン繰り返し単位とのモル比は、76.5:23.5であった。
【0144】
得られた液状ポリマー(a)に対して、同質量のトリフルオロ酢酸を加えて、70℃で2時間加熱した。反応後水洗し、ついで乾燥を行い、液状ポリマー(b)3.5gを得た。NMR及び赤外吸光分析法〔IR〕を用いた分析の結果、液状ポリマー(a)末端のt−ブトキシ基が、液状ポリマー(b)においてヒドロキシル基に変換されていることがわかった。
【0145】
得られた液状ポリマー(b)3.5gにアリルイソシアナートHC=CHCHNCO 1.0gを混合し、常温で24時間反応させた後、100℃に加熱し、反応を完結させた。更に減圧下100℃に加熱し、過剰のアリルイソシアナートを揮発させて除き、液状ポリマー(c)を得た。
【0146】
NMR及びIRを用いて分析した結果、上記液状ポリマー(c)の主鎖両末端は、ヒドロキシル基からアリル基に変換されたことがわかった。
上記液状ポリマー(c)は、常温で流動性を有するものであった。
上記液状ポリマー(c)の数平均分子量は、5400であった。
【0147】
上記数平均分子量は、上記液状ポリマー(c)を溶媒に溶解し、定量標準物質を添加してH−NMRによりアリル基の濃度(mol/g)を測定し、下記式を用いて数平均分子量Mnを算出した。
Mn=(1/(液状ポリマー(c)中のアリル基の濃度))×2
上記液状ポリマー(c)のIRスペクトルは、1736cm−1(C=O);1650cm−1(HC=CH−)であった。
また、上記液状ポリマー(c)のH−NMR(溶媒:アセトン−dTMS標準)は、5.7〜5.8ppm(1H)、4.9〜5.1ppm(2H)、3.6〜3.7ppm(4H)であった。
【0148】
工程3.硬化反応による硬化体の形成
得られた液状ポリマー(c)3.5gに、トリメチルシリル基で処理された比表面積140m/gのヒュームドシリカ(商品名:RX200、日本アエロジル社製)0.53gを加えて25℃で20分間混合した後、塩化白金酸をCH=CH−Si(CH−O−Si(CH−CH=CHで変性して得られたヒドロシリル化反応触媒のトルエン溶液(白金濃度0.1重量%)0.0027g、2−エチニルイソプロパノールの10%トルエン溶液0.0027g、及び、メチルヒドロシクロシロキサン(商品名:SIM6510.0、アヅマックス社製)0.121gを加え、25℃で20分間混合した。これを減圧下で脱泡し、長方形の締め枠に置き、再び空気抜きし、12MPa、150℃で60分間プレス硬化した。プレス硬化により、粘着性がなくゴム弾性のある硬化体が得られた。
【0149】
実施例1
180℃で7時間加熱処理した上記液状ポリマー(c)0.1gにメチルハイドロシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体(商品名:HMS−301、GELEST,INC.製、分子量1900〜2000、メチルハイドロシロキサンは共重合体の25〜30質量%)0.0157gと0.06%白金触媒のトルエン溶液0.0080g[商品名:PT−VTSC−12.0VTS(オーエムジープレシャスメタルズ・ジャパン社製)をトルエンで200倍に希釈して調製]を添加して、50℃にて2時間混合し、液状ポリマー組成物(i)を得た。この液状ポリマー組成物(i)は、粘着性があった。
上記液状ポリマー組成物(i)を2枚のフッ素樹脂フィルムに挟み、シート状にした後、150℃で1時間加熱した。加熱により、粘着性のない硬化体が得られた。得られた硬化体をアセトンに浸漬したが、溶解することはなく、シート形状を保つことが確認された。尚、この硬化体をIR測定したところ、硬化前の上記液状ポリマー(c)で観察される1650cm−1のIR吸収は、ほとんど検出されず、上記液状ポリマー(c)の末端アリル基がヒドロシリル化反応により、硬化体の生成に寄与したことが分かった。
【0150】
実施例2
180℃で7時間加熱処理した上記液状ポリマー(c)0.1gとメチルハイドロシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体[商品名:HMS−301、GELEST,INC.製、分子量1900〜2000、メチルハイドロシロキサンは、共重合体の25〜30質量%]0.0157gと0.06%白金触媒のトルエン溶液0.0080g[商品名:PT−VTSC−12.0VTS(オーエムジープレシャスメタルズ・ジャパン社製)をトルエンで200倍に希釈して調製]をアセトン1.0gに溶解させ、液状ポリマー組成物(i)のアセトン溶液(「コーティング剤」ともいう)を調製した。
上記液状ポリマー組成物(i)のアセトン溶液をガラス製シャーレに移し、150℃にて1時間加熱することにより、シート状の硬化体を得た。溶媒のアセトン及びトルエンは、上記加熱により揮発した。得られた硬化体は、弾性を有していたが、上記液状ポリマー(c)に見られる粘着性はなかった。得られた硬化体のIRスペクトルには、1650cm−1の吸収がなく、上記液状ポリマー(c)の主鎖末端の不飽和基が上記メチルハイドロシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体と反応したことが確認された。
【0151】
実施例3
実施例2で得られた液状ポリマー組成物(i)のアセトン溶液(コーティング剤)を、表面をブラスト処理したアルミニウム板に塗布し、大気圧下、50℃にて5時間加熱し、溶液の溶媒を蒸発させた後、続いて100℃にて3分間加熱し、更に150℃で3時間加熱することにより、表面に含フッ素共重合体のコーティング層を持つ複層品を得た。
【0152】
実施例4
180℃にて7時間加熱処理した上記液状ポリマー(c)0.1g、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン2.0g、及び、0.06%白金触媒のトルエン溶液0.0080g[商品名:PT−VTSC−12.0VTS(オーエムジープレシャスメタルズ・ジャパン社製)をトルエンで200倍に希釈して調製]をアセトン1.0gに溶解させ、液状ポリマー組成物(ii)のアセトン溶液とした。
上記液状ポリマー組成物(ii)のアセトン溶液をガラス製シャーレに移し、150℃にて1時間加熱することにより、液状ポリマー(d)を0.1g得た。溶媒のアセトン及びトルエン、並びに、過剰量の1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンは、上記加熱により揮発した。得られた液状ポリマー(d)は、常温で流動するが、IRスペクトルには、1650cm−1の吸収がなく、液状ポリマー(d)は主鎖両末端がSi−H基に変換されていることが確認された。
【0153】
実施例5
液状ポリマー(d)0.1g、トリアリルイソシアヌレート0.004g及び0.06%白金触媒のトルエン溶液0.0080g、アセトン1.0gを混合して、液状ポリマー組成物(iii)のアセトン溶液を調製した。
上記液状ポリマー組成物(iii)のアセトン溶液をガラス製シャーレに移し、150℃にて1時間加熱することにより、シート状の硬化体を得た。溶媒のアセトン及びトルエンは、上記加熱により揮発した。得られた硬化体は、弾性を有していたが、液状ポリマー(d)に見られる粘着性はなかった。
【0154】
実施例6
実施例1で得られた液状ポリマー組成物(i)をディスペンサー(商品名:デジタルコントロールドディスペンサー ML−606GX、武蔵エンジニアリング社製)の10mlシリンジに充填した。このシリンジを50℃に加熱し、上記ディスペンサーを用いてFIPG法によりパソコン用ハードディスクドライブ用の金属性の基板に液状ポリマー組成物(i)をコーティングした。
コーティングされた液状ポリマー組成物(i)は、150℃にて1時間加熱することにより硬化し、金属基板に含フッ素ポリマー硬化物のシール層を持つハードディスクドライブ用の金属基材と一体となったガスケットを得た。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、上述の構成よりなるので、得られる硬化体の機械的強度の特性を改善することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)及びヒドロシリル化反応触媒(B)、及び、ヒドロシリル化性化合物(C)を含有する含フッ素ポリマー組成物であって、
前記メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、主鎖の両末端がSi−H基であるビニリデンフルオライド共重合体であり、前記ヒドロシリル化反応触媒(B)の存在下にヒドロシリル化反応をするものであり、
前記ヒドロシリル化性化合物(C)は、分子中に少なくとも2個の炭素−炭素二重結合を有する二重結合含有化合物(C2)である
ことを特徴とする含フッ素ポリマー組成物。
【請求項2】
メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、常温で流動性を有するものである請求の範囲第1項記載の含フッ素ポリマー組成物。
【請求項3】
メチレン基含有含フッ素ポリマー(A)は、数平均分子量が500以上、20000以下であるものである請求の範囲第1又は2項記載の含フッ素ポリマー組成物。
【請求項4】
ヒドロシリル化性化合物(C)は、ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)からなるものである請求の範囲第1、2又は3項記載の含フッ素ポリマー組成物。
【請求項5】
ヒドロシリル化性ポリマー(Cp)は、シリコーンゴム及び/又はフルオロシリコーンゴムである請求の範囲第4項記載の含フッ素ポリマー組成物。
【請求項6】
シリコーンゴム及び/又はフルオロシリコーンゴムは、常温で液状のものである請求の範囲第5項記載の含フッ素ポリマー組成物。
【請求項7】
請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の含フッ素ポリマー組成物から得られる
ことを特徴とする硬化体。
【請求項8】
請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の含フッ素ポリマー組成物を含有する
ことを特徴とするコーティング剤。
【請求項9】
基材と、前記基材上に請求の範囲第8項記載のコーティング剤をコーティングして得られるコーティング層とからなる
ことを特徴とする複層品。
【請求項10】
請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の含フッ素ポリマー組成物を用いてFIPG法又はLIM成形法により基材上に成形してなる基材一体型成形体であって、
前記基材一体型成形体は、パッキン類である
ことを特徴とする基材一体型成形体。
【請求項11】
請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の含フッ素ポリマー組成物を用いてなる
ことを特徴とする磁気記録装置(ハードディスクドライブ)用のガスケット。
【請求項12】
請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の含フッ素ポリマー組成物を用いてなる
ことを特徴とする燃料電池用のシール材。
【請求項13】
請求の範囲第1、2、3、4、5又は6項記載の含フッ素ポリマー組成物を用いてなる
ことを特徴とするクリーン設備用シール材。
【請求項14】
請求の範囲第2項記載の含フッ素ポリマー組成物を用いてFIPG法又はLIM成形法によりパッキン類を成形する
ことを特徴とするパッキン類の成型方法。
【請求項15】
ビニリデンフルオライド共重合体(I)であって、
主鎖の両末端がSi−H基であり、
数平均分子量が500〜500000である
ことを特徴とするメチレン基含有含フッ素ポリマー。

【公開番号】特開2007−100099(P2007−100099A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300404(P2006−300404)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【分割の表示】特願2004−556905(P2004−556905)の分割
【原出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】