説明

含フッ素樹脂組成物、成形体およびその製造方法

【課題】フッ素樹脂と強化繊維とからなり、強度に優れ、表面平滑性が高く、パーティクルが発生し難い成形体、ならびにこのような成形体の原料に適した含フッ素樹脂組成物、このような成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなるフッ素樹脂繊維(A)および強化繊維(B)を重量比で(A):(B)=70〜90:10〜30の割合(但し、両者の合計は100である。)で含んでなる含フッ素樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素樹脂組成物、成形体およびその製造方法に関し、詳しくは、複雑な立体形状の成形体の製造に適した含フッ素樹脂組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂の機械的特性の改善を目的とした、フッ素樹脂に強化繊維が配合されてなる複合材料が従来知られている。
このような複合材料に関する従来技術として、たとえば特開昭54−114559号(特許文献1)には、テトラフルオロエチレン系樹脂粒子、グラファイト繊維、水および有機分散媒を含む混合物を調製し、この混合物から配合物(テトラフルオロエチレン樹脂粒子およびグラファイト繊維)を分離し、乾燥させた後、圧縮成形する技術が開示されている。
【0003】
また、特表平7−503983号公報(特許文献2)には、フレーク状のフッ素樹脂とグラファイト繊維との混合物を加熱加圧成形する、シート状の複合体の製造方法が開示されている。
【0004】
これらの製造方法によれば板材のような平面的な形状の成形体を得ることができるが、立体的な形状、たとえばお椀型のような形状の成形体を製造する場合には、まず上記の板材等の成形体を積層してブロックを形成し、このブロックを所望の形状(たとえば、お椀型)となるように切削していた。
【0005】
しかしながら、この製造方法では、製造しようとする成形体の形状によってはブロックのほとんどが切削ロスになってしまうという問題があった。さらに、得られた成形体の切削面は、図5に示すように強化繊維の切断面が突出するために平滑性が悪く、また成形体からパーティクルが発生し易いため、この成形体を、たとえば半導体用途(たとえば、半導体製造プロセスに使用される貯蔵容器、処理容器、洗浄容器等)に適用することは困難であった。
【0006】
また、上記の板材等の成形体を塑性変形(深絞り/くせ付け)することにより立体的な形状の成形体を得ることも可能であるが、加工の際の制約などが多いため、塑性変形法は、簡単な形状の成形体にしか適用できなかった。
【0007】
一方、特開平5−287700号公報(特許文献3)には、PTFE繊維等のフッ素繊維を主成分とした抄紙原料を立体抄き型を用いて湿式抄造法により成形原体を作製し、得られた該成形原体をフッ素繊維の融点以上の温度で熱処理して予備成形体としたのち、さらに、該予備成形体を製品寸法に対応した雌雄の型に嵌入して熱処理を行って多孔質成形体を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭54−114559号公報
【特許文献2】特表平7−503983号公報
【特許文献3】特開平5−287700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、フッ素樹脂と強化繊維とからなり、強度に優れ、表面平滑性が高く、パーティクルが発生し難い成形体、ならびにこのような成形体の原料に適した含フッ素樹脂組成物、このような成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は、フッ素樹脂と強化繊維とからなり、強度等に優れた成形体を容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の含フッ素樹脂組成物は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなるフッ素樹脂繊維(A)および強化繊維(B)を重量比で(A):(B)=70〜90:10〜30の割合(但し、両者の合計は100である。)で含有することを特徴としている。
【0012】
上記強化繊維(B)としては、炭素繊維が好ましい。
本発明の成形体の製造方法は、
テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなるフッ素樹脂繊維(A)および強化繊維(B)(但し、両者の割合は、重量比で(A):(B)=70〜90:10〜30(但し、両者の合計は100である。)である。)を含有する堆積体を形成する工程(I)、および
上記堆積体を加熱加圧成形して成形体を得る工程(II)
を有することを特徴としている。
【0013】
上記工程(I)の好ましい態様としては、
上記フッ素樹脂繊維(A)および上記強化繊維(B)を金型に吹き付けて上記堆積体を形成する工程(Ia)、ならびに
上記フッ素樹脂繊維(A)および上記強化繊維(B)を抄紙して上記堆積体を形成する工程(Ib)
が挙げられる。
【0014】
上記金型としては、上記成形体に対応する形状の網状の金型が好ましい。
本発明の成形体は、上記の製造方法によって製造されたことを特徴としている。
本発明の成形体は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体と、強化繊維(B)とからなる、椀形状の成形体であって、該強化繊維(B)の長軸が椀の面内方向に配向していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フッ素樹脂と強化繊維とからなり、強度に優れ、表面平滑性が高く、パーティクルが発生し難い成形体が提供される。
また本発明によれば、フッ素樹脂と強化繊維とからなり、強度等に優れた成形体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の堆積体の製造方法を模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の堆積体から成形体を製造する方法の概略断面図である。
【図3】図3は、実施例1で製造された成形体の側面の写真である。
【図4】図4は、実施例1で製造された成形体の底面の写真である。
【図5】図5は、従来の方法で製造された成形体の表面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について具体的に説明する。
〔含フッ素樹脂組成物〕
本発明の含フッ素樹脂組成物は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下「PFA」ともいう。)からなるフッ素樹脂繊維(A)(以下「PFA繊維(A)」ともいう。)および強化繊維(B)を重量比で(A):(B)=70〜90:10〜30の割合(但し、両者の合計は100である。)で含有することを特徴としている。
【0018】
<PFA繊維(A)>
上記PFAは、テトラフルオロエチレンと式:CF2=CF−O−Rf(式中、Rfはフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜10のフルオロアルキル基を表す。)で示されるパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体である。パーフルオロアルキルビニルエーテルは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0019】
上記PFAは、好ましくはテトラフルオロエチレン由来の構成単位を99.5〜92質量%およびパーフルオロアルキルビニルエーテル由来の構成単位を0.5〜8質量%含む(但し、PFAの量を100質量%とする。)。
【0020】
上記PFA繊維(A)の平均繊維長は、好ましくは1〜50mm、さらに好ましくは5〜20mmである。また、上記PFA繊維(A)の繊維径は、好ましくは10〜40μmである。繊維長および繊維径が上記範囲にあると、PFA繊維(A)は、後述する強化繊維(B)と混合した際に該強化繊維(B)と、特に良く絡み合うため、後述する成形体の製造方法において堆積体の形状をより安定に保持することができる。
【0021】
上記PFA繊維(A)は、上記所望の繊維長以上の繊維長を有するPFA繊維を上記所望の長さに切ったものであってもよい。
市販のPFA繊維としては、例えば、東洋ポリマー製の「HASTEX」(繊維径20μm程度)を挙げることができる。
【0022】
<強化繊維(B)>
上記強化繊維(B)としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミニウム繊維、炭化珪素繊維などが挙げられ、その態様としては短繊維、長繊維、ウィスカーなどが挙げられる。
【0023】
これらの中でも、耐薬品性に優れていることから、炭素繊維が好ましい。炭素繊維としては、PAN(ポリアクリルニトリル)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維のいずれも用いることができ、より強度の高い成形体を製造する観点からはPAN系炭素繊維が好ましい。
【0024】
上記強化繊維(B)の繊維長は、好ましくは1〜30mm、さらに好ましくは5〜20mmである。また、上記強化繊維(B)の繊維径は、好ましくは1〜15μmである。繊維長および繊維径が上記範囲にあると、上記フッ素樹脂(A)を補強する効果が十分に発揮される。
【0025】
上記強化繊維(B)は、上記所望の繊維長以上の繊維長を有する強化繊維を上記所望の長さに切ったものであってもよい。
市販の炭素繊維としては、たとえば、東邦テナックス製「STS40 F13」(サイズ剤を除去したもの、繊維径:7μm)を挙げることができる。
【0026】
<含フッ素樹脂組成物>
本発明の含フッ素樹脂組成物は、上記PFA繊維(A)および上記強化繊維(B)を含んでおり、各成分を常法で混合することにより調製できる。
【0027】
上記PFA繊維(A)と上記強化繊維(B)との重量比((A):(B))は、70〜90:10〜30である(但し、両者の合計は100である。)。上記PFA繊維(A)と上記強化繊維(B)との重量比が上記範囲にある本発明の含フッ素樹脂組成物を用いると、強度が高い成形体を製造することができる。
【0028】
〔成形体の製造方法〕
本発明の成形体の製造方法は、
上記PFA繊維(A)および上記強化繊維(B)(但し、両者の割合は、重量比で(A):(B)=70〜90:10〜30(但し、両者の合計は100である。)である。)を含有する堆積体を形成する工程(I)、および
上記堆積体を加熱加圧成形して成形体を形成する工程(II)
を有することを特徴としている。
【0029】
堆積体の原料としてフッ素樹脂の粉体やフレークを用いると、堆積体からフッ素樹脂が剥落してしまうため、堆積体の形状を保持できない、成形体の組成が不均一になる、成形体に穴が開く、などの不都合が生じる。一方、本発明の成形体の製造方法においては、原料であるフッ素樹脂としてPFA繊維(A)が用いられるため、PFA繊維(A)と強化繊維(B)とが絡み合い、フッ素樹脂(PFA繊維(A))が剥落することなく堆積体の形状を保持することができる。そして、このような堆積体を加熱加圧成形することにより、全体として均質な組成を有し、強度が高い成形体を製造することができる。
【0030】
したがって、本発明の成形体の製造方法によれば、立体的な形状を有する強度の高い含フッ素樹脂成形体を容易に製造することができる。
<工程(I)>
上記工程(I)は、上記PFA繊維(A)および上記強化繊維(B)を含有する堆積体を形成する工程である。
【0031】
上記PFA繊維(A)と上記強化繊維(B)との割合は、重量比で(A):(B)=70〜90:10〜30(但し、両者の合計は100である。)である。
工程(I)の態様としては、以下の工程(Ia)および工程(Ib)が好ましい。
【0032】
工程(Ia):上記フッ素樹脂繊維(A)および上記強化繊維(B)を金型に吹き付けて上記堆積体を形成する工程。
工程(Ib):上記フッ素樹脂繊維(A)および上記強化繊維(B)を抄紙して上記堆積体を形成する工程(Ib)
工程(Ia)または工程(Ib)によれば、PFA繊維(A)と強化繊維(B)とを確実に絡み合わせて安定な堆積体を形成することができる。
【0033】
これらの中でも、複雑な立体形状の堆積体であっても容易に形成できる点で、工程(Ia)が特に好ましい。
また、工程(Ia)により堆積体を形成すれば、上記強化繊維(B)は、その長軸が金型表面の面内方向に向くように配向するため、得られた堆積体を加熱加圧成形して製造される成形体においては、図3および4に示すように、上記強化繊維(B)は、その長軸が該成形体表面の面内方向に向くように配向する。そのため、得られる成形体は、強度(引っ張り強度)に優れ、その表面からの上記強化繊維(B)の突出が少ないため表面平滑性に優れ、その表面からパーティクルを発生させ難い。
【0034】
同様に、工程(Ib)により堆積体を形成しても、上記強化繊維(B)は、その長軸が堆積体表面(主面)の面内方向に向くように配向するため、上記のような優れた成形体が得られる。
【0035】
工程(Ia)においては、従来公知のスプレーアップ工法を適用することができる。すなわち、噴射流体に上記フッ素樹脂繊維(A)および上記強化繊維(B)を供給し、これらを金型に吹き付けて堆積体を形成することができる。
【0036】
噴射流体に上記フッ素樹脂繊維(A)および上記強化繊維(B)を別々に供給してもよく、予め上記フッ素樹脂繊維(A)および上記強化繊維(B)を含む混合物を調製し、この混合物を噴射流体に供給してもよい。予め混合物を調製することにより、より均一な組成の成形体を製造することができる。
【0037】
この混合物として、上記の割合の上記PFA繊維(A)および上記強化繊維(B)ならびに分散媒を含む分散液を調製してもよい。
工程(Ib)においては、上記の割合の上記PFA繊維(A)および上記強化繊維(B)ならびに分散媒を含む分散液を調製し、この分散液から上記PFA繊維(A)および上記強化繊維(B)を抄紙して堆積体を形成することができる。
【0038】
上記噴射流体としては、水、空気などが挙げられる。上記分散媒としては、水が挙げられ、この分散液には界面活性剤やポリビニルアルコールのように分散性を高める分散剤を混合しても良い。
【0039】
なお、上記のように分散剤を使用する場合は、得られる堆積体から分散剤を水洗等により除去することが好ましい。
上記金型の形状は、製造しようとする成形体の形状に対応するように適宜選択すればよい。
【0040】
上記金型としては、噴射流体および/または分散液が効率よく透過可能な金型であればよく、網状の金型が挙げられる。網状の金型を用いると、上記の吹き付けの際に、噴射流体または分散媒の大部分を網目から通過させつつ上記PFA繊維(A)および上記強化繊維(B)を堆積できるため、効率的に堆積体を形成することができる。
【0041】
上記網状の金型の目開きおよび線径は、上記PFA繊維(A)および上記強化繊維(B)の繊維長や、噴射流体または分散媒の通過などを考慮して適宜設定すれば良く、たとえば目開きが0.5〜10mm、線径が0.25〜1mmであってもよい。
【0042】
<工程(II)>
上記工程(II)は、工程(I)で得られた堆積体を加熱加圧成形して成形体を得る工程である。
【0043】
上記加熱加圧成形時の温度等の条件は、上記PFAが溶融するように設定すれば良く、たとえば、温度を300〜350℃、圧力を5〜25Mpa、時間を1〜120分とすることができる。
【0044】
工程(II)では、上記堆積体を、通常は、製造しようとする成形体の形状に対応する形状の金型に入れるなどして加熱加圧する。
上記堆積体の嵩密度が低く、上記堆積体を直接加熱加圧成形することが困難である場合には、加熱加圧成形に先立って、堆積体の全体または一部の嵩密度を高めておくことが好ましい。
【0045】
その方法としては、
上記堆積体を部分的に加熱加圧(温度:約290〜350℃、圧力:約0.05〜1MPa)してその部分の嵩密度を高める;
上記堆積体を全体的に加圧(室温、圧力:約0.05〜1MPa)して嵩密度を高める;
などの方法が挙げられる。
【0046】
[成形体]
本発明の成形体は、PFAおよび上記強化繊維からなり、高い強度を有し、高い表面平滑性を有し、パーティクルを発生させ難い。
【0047】
本発明の成形体の形状は、特に限定されないが、たとえば一方面が開口した円柱・角柱状体、椀体、球状体、半球状体、板状体等の形状、さらに、複雑な形状であってもよい。成形体の形状は、上記の工程(I)において、所望の形状に対応する金型を選択することにより調節できる。
【0048】
本発明の成形体においては、好ましくは、該強化繊維(B)の長軸が成形体表面の面内方向に配向している。
上述のように、本発明の製造方法によれば、強度(引っ張り強度)に優れ、表面平滑性に優れ、表面からパーティクルを発生させ難い成形体を得ることができ、このような本発明の成形体は、半導体製造プロセスや医療等に使用される貯蔵容器、処理容器、洗浄容器等の容器として好適に使用することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
炭素繊維(「STS40 F13」(東邦テナックス製))を、サイズ剤を除去するためにアセトンで充分洗浄し、次いで80℃で2時間乾燥した後、12mmの長さに切断した。
【0050】
また、PFA繊維(「HASTEX」(東洋ポリマー製))を、12mmの長さに切断した。
上記のように調製したPFA繊維4gおよび炭素繊維1gを10Lの水に投入し、攪拌し、均一な分散液を調製した。
【0051】
お椀状(最大径60mm×深さ25mm)の金網(目開き:1.40mm、線径:0.717mm(JIS Z 8801))に向けてスプレーガンから水を3L/毎分で噴射し、この水流に上記分散液を少量ずつ滴下することにより、PFA繊維および炭素繊維を金網の外面に吹き付け、全量を堆積させ、堆積体を形成した。
【0052】
そして、この堆積体を24時間放置し乾燥させた。
次に、上記の堆積体を、雌雄の金型に嵌入して330℃まで加熱し、次いで10MPaに加圧して10分間保持し、加圧したまま室温まで冷却し、成形体を得た。得られた含フッ素樹脂成形体は深さ25mm、口径76φ、厚み0.2mmのお碗型の成形体であった。この成形体の側面の写真を図3に、底面の写真を図4に示す。
なお、図3、4および5はデジタルマイクロスコープ(VHX−200、(株)キーエンス製)を用いて撮影した写真である。
【0053】
[比較例1]
実施例1で用いた分散液に替えて、PFAディスパージョン(「AD−2CRE」、ダイキン工業製)を水で洗浄後、乾燥させて得られた粉末4gを、2Lのエタノール水(エタノール20%wt)に入れて分散させ、さらにこのエタノール水中に実施例1と同様に調製した炭素繊維1gおよび界面活性剤を加えて、分散液を調製した。
【0054】
この分散液を用いた以外は実施例1と同様に堆積体の形成をした。しかし、得られた堆積体は、形状を保持できずボロボロであった。
【符号の説明】
【0055】
1:PFA繊維と強化繊維とを含む分散液
2:噴射流体
3:スプレーガン
4:金網
5:吹き付けられたPFA繊維および強化繊維
6:堆積体
7:金型
8:成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなるフッ素樹脂繊維(A)および強化繊維(B)を重量比で(A):(B)=70〜90:10〜30の割合(但し、両者の合計は100である。)で含有する含フッ素樹脂組成物。
【請求項2】
上記強化繊維(B)が炭素繊維であることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素樹脂組成物。
【請求項3】
工程(I):テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなるフッ素樹脂繊維(A)および強化繊維(B)(但し、両者の割合は、重量比で(A):(B)=70〜90:10〜30(但し、両者の合計は100である。)である。)を含有する堆積体を形成する工程、および
工程(II):上記堆積体を加熱加圧成形して成形体を得る工程
を有することを特徴とする成形体の製造方法。
【請求項4】
上記工程(I)が、上記フッ素樹脂繊維(A)および上記強化繊維(B)を金型に吹き付けて堆積体を形成する工程(Ia)であることを特徴とする請求項3に記載の成形体の製造方法。
【請求項5】
上記工程(I)が、上記フッ素樹脂繊維(A)および上記強化繊維(B)を抄紙して上記堆積体を形成する工程(Ib)であることを特徴とする請求項3に記載の成形体の製造方法。
【請求項6】
上記金型が上記成形体に対応する形状の網状の金型であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の成形体の製造方法。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれかに記載の製造方法によって製造された成形体。
【請求項8】
テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体と、強化繊維(B)とからなる、椀形状の成形体であって、該強化繊維(B)の長軸が椀の面内方向に配向していることを特徴とする成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−260922(P2010−260922A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111470(P2009−111470)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000229564)日本バルカー工業株式会社 (145)
【Fターム(参考)】