説明

品質監視システム及び品質監視方法

【課題】反射防止フィルム製造工程の各層を形成する工程で、前工程の欠陥情報を利用して最新工程により検出した欠陥を選別し、最新工程における発生欠陥の監視精度の向上を行い、品質異常の検知速度を向上させ、早期に不良の発生を知ることが可能な品質監視システムを提供する。
【解決手段】製造工程内の各工程に備えられた検査機と、検査機から得られた検査情報を格納し管理する検査情報管理データベースと、製品ロールの各工程における品質情報や実績情報を管理する生産情報管理データベースと、検査情報管理データベースと生産情報管理データベースに基づいて、最新工程と前工程での欠陥検出位置の座標を補正することによって最新工程で発生した欠陥を選別する欠陥選別手段と、欠陥選別手段によって選別された欠陥を異常判定条件に基づいて異常と判断し、異常を通知する欠陥監視手段と、を備えたことを特徴とする品質監視システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止フィルムの製造工程において発生する欠陥を監視するシステムに関するもので、更に詳しくは製造工程における上流の検査情報を利用して現在の工程で発生した欠陥を選別し、欠陥発生時には異常を通知することによって品質管理を行う品質監視システム及び品質監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等の表示デバイスの表示画面の最表面には、表示画面をキズから保護したり、防汚、帯電防止、映り込み防止のために、透明フィルムに反射防止材料をコーティングして製造される反射防止フィルムが貼られている。
【0003】
反射防止フィルムの製造工程では、ローラ状の長尺帯状の透光性のフィルムを巻き出し、塗布、蒸着、ラミネート等のプロセス処理を行い、再びロール状に巻き取る生産方式をとることが多い。図1は反射防止フィルムの一例を断面で示す図である。図1に示される反射防止フィルムはPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやTAC(トリアセチルセルロース)フィルム等のフィルム基材101、ハードコート層102、反射防止層103の各層で構成されている。反射防止層103は例えば、LR(低反射層)103a、AG(防汚層)103b、AR(高屈折率層)103cの各層から成っている。これら各層は形成毎にロールの巻き出しと巻取りが行われ、プロセス処理が行われる。
【0004】
反射防止フィルムの上記プロセス処理が行われる際に発生する欠陥は、塗工された塗膜の膜厚の変動によるムラや色相の変化などによる光学欠陥や異物やキズやコスレなどの欠陥が存在する。また、フィルム自体のキズ、ヘコミ、等の欠陥もある。
【0005】
上記各層を形成する為の工程内においては、形成された膜の表面状態に対する膜形成ミスや異物混入部といった欠陥の監視のために検査機が設置されている。図2は一般的に用いられている反射防止フィルム(以下、フィルム)の検査機の一例を示す概略構成図であって、複数のローラ111〜ローラ114からなる搬送ユニット(ローラの回転による搬送)によりフィルム115を搬送し、LED、蛍光灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、UVランプ等を用いた照明光源116及び117によってフィルムの全幅を照明し、フィルム115を矢印118で示す方向に搬送しながらフィルムの幅方向を全走査できるよう複数のラインCCDカメラ119(または2次元カメラ)によってフィルムを撮像する。照明光源116及び117は、その両方またはいずれか一方が適宜採用される。
【0006】
一方、フィルム115の搬送距離に応じた信号をロータリーエンコーダ121より取得し、前記信号を撮像タイミング信号として、一定の搬送距離毎に前記ラインCCDカメラ119によってフィルム表面を撮像し、撮像した画像を画像処理装置120で画像処理し、欠陥部分の抽出を行い、抽出した欠陥について、記憶機構を含む制御装置122に欠陥データ(欠陥の位置を示す座標、ラインCCDカメラの画素数、濃度値)をファイル及びデータベース(以下、DB)にデータとして保存する機構を有する欠陥検査機である。この場合、ロータリーエンコーダ121の代わりに一定の搬送距離毎に撮像タイミング信号を発生するタイマーを用いることもある。
【0007】
検査機により検出された欠陥情報は欠陥の大きさによってA/B/C/D/E/F等にランク付けされ、欠陥情報を作業員が定期的に確認・判定することにより工程における各層形成の品質状態の監視を行っている。この監視により異常と判定し、不良品と判断されたロールは、異常個所の切除等の処理を行い、切除後の長さが製品規格を満たす場合には
良品として進行し、満たさない場合は不良品として破棄される。
【0008】
また、検査機により検出された欠陥情報は、検査対象のロールと紐付いた形で保管され、検査データを使用した解析作業に使用される。
【0009】
しかしながら、工程内の検査機により検出された欠陥は、該当工程(最新工程)にて発生した欠陥のほか、前工程にて検出された欠陥を再検出する場合があるため、最新工程起因による欠陥に対する監視を行う為には、検出された欠陥を確認し、前工程にて検出されていた欠陥かどうか確認する必要があり、監視対象欠陥を選別する必要がある。従来はこの選別作業を人手で行っているため、しかも個々の欠陥に対して全て行う必要があるため、人手のみによる実現は難しく、工程内における欠陥監視の精度が悪く異常判断の速度が遅くなる場合があり、同じ工程内で同一の欠陥を発生してしまうことが多く、品質ロスの一因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−341104号公報
【特許文献2】特開2003−172707号公報
【特許文献3】特開2006−112828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、反射防止フィルム製造工程の各層を形成する工程で検査機で検出した欠陥情報に対して、前工程の欠陥情報を利用して最新工程により検出した欠陥を選別し、最新工程における発生欠陥の監視精度の向上を行い、品質異常の検知速度を向上させ、早期に不良の発生を知ることが可能な品質監視シシテムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、複数の工程からなるロール状の反射防止フィルムの製造工程において、上流工程と最新工程の間で異常個所の発生によって製品ロールの一部が切除処理された場合であっても、上流工程の検査情報と最新工程の検査情報から最新工程で発生した欠陥を選別することによって品質管理を行う品質監視システムであって、
製造工程内の各工程に備えられた検査機と、
検査機から得られた検査情報を格納し管理する検査情報管理データベースと、
製品ロールの各工程における品質情報や実績情報を管理する生産情報管理データベースと、
検査情報管理データベースと生産情報管理データベースに基づいて、最新工程と前工程での欠陥検出位置の座標を補正することによって最新工程で発生した欠陥を選別する欠陥選別手段と、
欠陥選別手段によって選別された欠陥を異常判定条件に基づいて異常と判断し、異常を通知する欠陥監視手段と、を備えたことを特徴とする品質監視システムである。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、
欠陥選別手段は、ロールが初期工程に投入される際の初期ロール位置を基準として座標補正を行う機能と、
前工程の欠陥座標と最新工程情報に含まれる前工程の欠陥から前工程のロールの欠陥座標を最新工程のロールの座標に補正を行う機能と、
前工程で検出したマーキング位置と、最新工程で検出したマーキング位置から前工程のロールの欠陥座標を最新工程のロールの座標に補正を行う機能と、のいずれかによって座標補正を行い、最新工程において発生した欠陥を選別することを特徴とする請求項1に記
載の品質監視システムである。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、欠陥監視手段は選別された最新工程起因の欠陥から設定された異常条件により異常欠陥を判定し、異常を感知した場合には外部に異常を知らせることを特徴とする請求項1に記載の品質監視システムである。
【0015】
本発明の請求項4に係る発明は、複数の工程からなるロール状の反射防止フィルムの製造工程において、上流工程と最新工程の間で異常個所の発生によって製品ロールの一部が切除処理された場合であっても、上流工程の検査情報と最新工程の検査情報から最新工程で発生した欠陥を選別することによって品質管理を行う品質監視方法であって、
製造工程内の各工程に備えられた検査機から得られた検査情報に基づいて、欠陥情報の登録を行い、
登録された前工程における欠陥情報と最新工程における欠陥情報の欠陥発生座標の補正を行うことによって、最新工程において発生した欠陥を選別し、
選別した欠陥を異常条件と比較し、異常条件を満たした異常欠陥が存在した場合には、外部に異常を通知することを特徴とする品質監視方法である。
【発明の効果】
【0016】
反射防止フィルム製造工程において、当該工程で発生した品質異常を早期に発見することが出来、その結果、不良発生を抑制することが出来、また当該工程で発生した欠陥の検出に要していた人手を省くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】反射防止フィルムの一例を断面で示す図。
【図2】一般的に用いられている反射防止フィルムの欠陥検査機の一例を示す概略構成図。
【図3】本発明の品質監視システムによって品質が監視される反射防止フィルムの一例を断面で示す図。
【図4】本発明の品質監視システムの概略構成を示す図。
【図5】本発明に係る発生欠陥の選別〜欠陥の異常監視のフロー図。
【図6】本発明に係る製造工程内の検査機(1〜N)の概略構成図。
【図7】本発明に係る欠陥の抽出処理を説明するための図。(a−1)は欠陥部が含まれる撮像画像を示す図。(a−2)は撮像画像内に示される線分の画像信号を示す図。(b−1)は(a−1)に示される撮像画像を予め設定した閾値で二値化処理した図。(b−2)は(a−2)に示される画像信号を二値化処理した図。
【図8】本発明に係る抽出された欠陥の位置情報を決定する方法を示す図。
【図9】初期ロールに対して、発生した不良欠陥の発生箇所のフィルムを切除したフィルムを説明するための図。 (a)は初期ロールに欠陥41が発生し更に前工程で欠陥43が発生した場合を示す図。(b)は欠陥41の部分を切除したロールに最新工程で欠陥44が発生した場合を示す図
【図10】本発明に係るマーキング位置を利用した座標補正の方法を示す図。
【図11】本発明に係る補正値決定のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る品質監視システムを実施するための形態を説明する。
【0019】
図3は、本発明に係る品質監視システムによって品質が監視される反射防止フィルムの一例を断面で示す図である。図3に示される反射防止フィルムはフィルム基材1、ハード
コート層2、反射防止層3の各層で構成されている。反射防止層3はLR(低反射層)3a、AG(防汚層)3b、AR(高屈折率層)3cの各層から構成されている。これら各層は形成毎にロールの巻き出しと巻取りが行われ、プロセス処理が行われる。
【0020】
図4は本発明の品質監視システムの概略構成を示す図である。品質監視システムは、製造工程内にインラインで設置され、製品ロールにおける欠陥を検出する工程内検査機1〜Nと、各工程の欠陥検査機の検査情報、及び欠陥の関連情報を格納する検査情報管理データベース(以下、DB)と、製品ロールの各工程における生産実績等の情報を格納する生産情報管理DBと、検査情報管理DBを参照し、最新の検査結果に対する工程内発生欠陥かの選別を行う欠陥選別手段である欠陥選別PCと、工程内発生欠陥の監視を行う欠陥監視手段である欠陥監視PCと、から構成されており、各構成要素間は、Ethernet(登録商標)等により接続されており、互いに通信可能となっている。
【0021】
欠陥情報の最新工程における、発生欠陥の選別〜欠陥の異常監視のフローを図5に示す。
【0022】
製品ロールの欠陥の検出(S1)
各工程内の検査機(検査機1〜N)により、製品ロールの欠陥を検出する。
【0023】
欠陥情報の登録(S2)
次に各工程内検査機によって検出された欠陥情報は、検査情報管理DB内に登録され、リアルタイムで情報の登録が行われる。
【0024】
最新工程における発生欠陥の選別(S3)
検査情報管理DBに格納された欠陥情報は、欠陥選別PCが生産情報管理DB内の生産実績情報と検査情報管理DB内の最新工程欠陥情報と前工程欠陥情報を比較し、最新工程にて新たに発生した欠陥を選別し、選別結果を検査情報管理DB内へ保存を行う。
【0025】
発生欠陥の監視(S4)
検査情報管理DB内に格納された最新工程における発生欠陥情報を欠陥監視PCが監視を行う。
【0026】
欠陥監視PC内に設定された異常条件と合致した場合、現場作業者等へ異常の通知を行い(S5)、現場作業者は異常発生の原因を除去し、不良の再発生を防ぐ。
【0027】
本発明の品質監視システムを構成する要素を説明する。
【0028】
図6に製造工程内の検査機(1〜N)の概略構成図を示す。製造工程内の検査機は、複数のローラ11〜ローラ14からなる搬送ユニット(ローラの回転による搬送)によりフィルム15を搬送し、LED、蛍光灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、UVランプ等を用いた照明光源16及び17によってフィルムの全幅を照明し、フィルム15を矢印18で示す方向に搬送しながらフィルムの幅方向を全走査できるよう複数のラインCCDカメラ19(または2次元カメラ)によってフィルムを撮像する。照明光源16及び17は、その両方またはいずれか一方が適宜採用される。
【0029】
一方、フィルム15の搬送距離に応じた信号をロータリーエンコーダ21より取得し、前記信号を撮像タイミング信号として、一定の搬送距離毎に前記ラインCCDカメラ19によってフィルム表面を撮像し、撮像した画像を画像処理装置20で画像処理し、欠陥部分の抽出を行い、抽出した欠陥について、検査管理情報DB23に欠陥データ(欠陥の位置を示す座標、ラインCCDカメラの画素数、濃度値)を送信する。尚、22は照明光源
16及び17、ラインCCDカメラ19、ロータリーエンコーダ21を制御するための制御装置である。
【0030】
欠陥の抽出処理は上記撮像された画像に対し、予め設定した閾値で二値化処理を行い、欠陥の検出を行う。図7は欠陥の抽出処理を説明するための図で、図7(a−1)は欠陥31aを含む撮像画像31を示し、図7(a−2)は撮像画像の線分32の画像信号33を示す。図7(a−1)に示す撮像画像31を予め設定した閾値で二値化処理し、図7(b−1)に示す二値化画像35を得る。図7(b−2)は、図7(a−2)の画像信号33を予め設定した閾値34で二値化処理した欠陥信号36を示す。このようにして欠陥31aは欠陥信号36として抽出(検出)することが出来る。尚、抽出方法はこれに限定するものではなく、既存の様々な抽出方法から適宜採用することが出来る。
【0031】
また、抽出された欠陥の位置情報は、図8に示すように幅方向Xと流動方向(フィルムの流れ方向)Yの座標情報により決定される。ここで、幅方向Xとはフィルムの幅端を原点とした距離であって、フィルム検査においては、フィルム流動により、フィルムの蛇行等により検出位置情報が変化しない様、リアルタイムで原点補正処理が行われていることとする。また、流動方向Yはフィルムの検査開始位置を原点とした距離を示す。
【0032】
検査情報管理DBについて説明する。検査情報管理DBは、各工程の検査機によって検出された欠陥情報、及び欠陥情報を利用した様々な指標情報を管理する。各情報を管理するに当たり、少なくとも「検出欠陥格納テーブル」(TB1)と「差分欠陥格納テーブル」(TB2)を持つ。
【0033】
「検出欠陥格納テーブル」(TB1)を表1に示す。「検出欠陥格納テーブル」は各工程における欠陥検査機の検査ロールに対する欠陥情報を格納するテーブルであり、テーブルの項目構成として、検査対象の工程識別ID(即ち、HC/LR/AG/AR)を示す工程ID、検査機の識別IDを示す検査機ID、検査実施のロール識別IDを示す検査ロールID、欠陥検出時の検出系(即ち、透過白/黒、反射白/黒、合成(透過と反射の両方による))を示す検出種別、検出欠陥の実サイズ(μmΦ)を示す欠陥サイズ、検出欠陥のサイズランク(即ち、A/B/C/D/E/F)を示す欠陥ランク、検出欠陥の幅方向位置(mm)を示す検出位置X、検出欠陥の流動方向位置(mm)を示す検出位置Y、欠陥の検出日時を示す検出日時を含む情報で構成されている。
【0034】
【表1】

【0035】
「差分欠陥格納テーブル」(TB2)を表2に示す。「差分欠陥格納テーブル」は、各工程の検査機による欠陥検出情報を他の対象検査機の欠陥検出情報と比較し、比較対象の検査機により未検出であった欠陥情報を格納するテーブルであり(言い換えれば、該当工程(最新工程)で新たに検出された欠陥を格納するテーブルである)、テーブルの項目構成として、検査対象の工程識別ID(HC/LR/AG/AR)を示す工程ID、検査機の識別IDを示す検査機ID、検査実施のロール識別IDを示す検査ロールID、欠陥検出時の検出系(透過白/黒、反射白/黒、合成)を示す検出種別、検出欠陥の実サイズ(μmΦ)を示す欠陥サイズ、検出欠陥のサイズランク(A/B/C/D/E/F)を示す欠陥ランク、検出欠陥の幅方向位置(mm)を示す検出位置X、検出欠陥の流動方向位置(mm)を示す検出位置Y、欠陥の検出日時を示す検出日時を含む情報で構成されている。
【0036】
【表2】

【0037】
生産情報管理DBについて説明する。生産情報管理DBは製品ロールに対する品種情報
や実績情報等を管理するテーブルであって、少なくとも「製品ロール情報管理テーブル」(TB3)を持つ。
【0038】
「製品ロール情報管理テーブル」(TB3)を表3に示す。「製品ロール情報管理テーブル」は、製品ロールの関連情報を格納しているテーブルである。「製品ロール情報管理テーブル」の情報は、各ロールが各工程において処理終了(巻取り完了)した際に決定されるロール情報を人手による手動、または他システム等との連携により自動で登録可能とし、テーブルの項目構成として、製品ロールの識別IDを示すロールID、最新ロールの長さを示すロール長、処理実施工程識別ID(HC/LR/AG/AR)を示す処理工程ID、製品ロールの親ロールIDを示す初期ロールID、製品ロールの断裁前ロールIDを示す前ロールID、製品ロール先頭の初期ロールY座標位置(mm)を示す初期ロール位置−開始、製品ロール最終の初期ロールY座標位置(mm)を示す初期ロール位置−最終、最新工程における処理日時を示す処理日時を含む情報で構成されている。
【0039】
【表3】

【0040】
欠陥選別PCについて説明する。欠陥選別PCは、各工程における検査機の欠陥情報から、前工程の欠陥情報を利用して最新工程において発生した欠陥の選別を行うPCである。欠陥の選別手順は、先ず(1)最新工程と前工程の座標比較を行い、その後に(2)最新工程欠陥の選別を行う。
【0041】
(1)最新工程と前工程の座標比較について説明する。最新工程において発生した欠陥を選別する方法として最新工程と前工程で発生した流動方向の座標を知る必要がある。反射防止フィルムの製造においては、工程間において不良箇所の切除等の処理が行われるケースが発生する為、工程間の欠陥選別を行う際は、流動方向の座標を補正して比較する必要がある。例えば、図9に示される工程その1で発生した不良欠陥41が発生した初期ロール40に、工程その2で発生した不良欠陥43が発生し(図9(a))、不良欠陥41の部分(長さL)42を切除したフィルムに次の工程その3で発生した不良欠陥44があった場合に、工程その3(最新工程)で発生した不良欠陥44を選別する場合には、ロール45の最新工程(工程その3)と前工程(工程その2)の座標を補正して、最新工程その3で発生した不良欠陥44を選別する必要がある(図9の場合は工程その2で発生した不良欠陥43の座標Yを新たにY=Y−Lに補正する)。座標補正機能として、次に説明する3種類(補正方法1(1A)、補正補正方法2(1B)、補正方法3(1C))の方法を用意する。
【0042】
補正方法1(1A)について説明する。補正方法1は初期ロール位置を基にした座標補正であって、選別対象ロールと選別対象ロールの前工程ロールの欠陥座標を初期ロールにおける位置に変換するもので、その欠陥座標は、最新ロール情報の取得(1A−1)、選別対象ロールの前工程情報の取得(1A−2)によって補正することが出来る。
【0043】
最新ロール情報(1A−1)の取得について説明する。欠陥選別PCは、選別対象の検査機において、欠陥情報の選別を行うロールを取得する。取得は、検査情報管理DB内の「検出欠陥格納テーブル」より、工程IDと検査機IDをキーとして最新日時の欠陥情報を持つロールIDを取得する。取得したロールIDを元に、生産情報管理DB内の「製品ロール情報管理テーブル」から、ロールID、工程IDが一致する情報を検索し、<最新ロール情報>と<最新ロール欠陥情報>の情報を取得する。
<最新ロール情報>
(a)ロールID
(b)処理工程ID
(c)初期ロール位置(先頭)
(d)初期ロール位置(最終)
の情報を取得する。また、
<最新ロール欠陥情報>
(a)ロールID
(b)処理工程ID
(c)検出種別
(d)欠陥サイズ
(e)欠陥ランク
(f)検出位置X
(g)検出位置Y
の情報を取得する。
これによって、選別対象ロールのロール情報が最新ロール情報として取得される。
【0044】
次に、選別対象ロールの前工程情報(1A−2)の取得を行う。選別対象ロールの前工程情報の取得について説明する。上記最新ロール情報(1A−1)の取得処理で得られた選別対象ロールの前工程ロール情報(1A−2−1)の取得、及び前工程欠陥情報(1A−2−2)の取得を行う。
【0045】
先ず、前工程のロール情報(1A−2−1)は、生産情報管理DB内の「製品ロール情報管理テーブル」から取得する。取得手順は、先ず、「製品ロール情報管理テーブル」内のロールID項目が、選別対象ロールIDと一致するデータを検索する。検索後、一致データ内の初期ロールIDを取得する。次に、取得した初期ロールIDを元に、テーブル内の初期ロールIDが一致するデータを検索する。これにより、選別対象ロールの処理済の工程における情報として、以下の情報を取得する。
<前工程ロール情報の取得>
(a)処理工程ID
(b)ロールID
(c)初期ロール位置(先頭)(即ち、製品ロール先頭の初期ロールにおけるY座標位置)
(d)初期ロール位置(最終)(即ち、製品ロール最終の初期ロールにおけるY座標位置)
の情報を取得する。また、
【0046】
前工程欠陥情報(1A−2−2)は、検査情報管理DB内の「検出欠陥格納テーブル」から取得する。取得手順は、先ず、前工程ロール情報(1A−2−1)として取得した、処理工程IDとロールIDを元に、選別対象のロールにおいて各処理工程で検出された欠陥情報を全て検索する。次に、検索した各処理工程の欠陥検出位置から初期ロールにおける検出位置を補正する。補正は、各処理工程の検出位置Yの情報に、前工程情報として取得した初期ロール位置(先頭)の情報加算し、結果として以下の情報を作成する。例えば、処理工程の検出位置Yが500mで初期ロール位置(先頭)が200mの場合は検出位置Y(初期ロール位置)は700mと補正される。
<前工程欠陥情報>
(a)処理工程ID
(b)ロールID
(c)検出種別
(d)欠陥サイズ
(d)欠陥ランク
(e)検出位置X
(f)検出位置Y
(g)検出位置Y(初期ロール位置)
の情報を取得する。
【0047】
以上の処理により、前工程における欠陥情報の取得と、最新工程における欠陥情報の取得によって、前工程と最新工程における欠陥発生の流動方向の座標を初期ロールにおける位置に補正して変換でき、最新工程において発生した不良欠陥を選別することが出来る。
【0048】
補正方法2(1B)について説明する。補正方法2は前工程情報との直接座標補正方法である。直接座標補正方法とは、選別対象ロールに存在する欠陥の1つを抽出し、その欠陥と一致する欠陥を前工程欠陥から選び出し、抽出した欠陥の座標に基づいて選別対象ロールの前工程情報を、選別対象ロールにおける座標情報へ変更する補正方法である。補正方法2は、最新ロール情報(1B−1)の取得と、選別対象ロールの前工程情報(1B−2)の取得と、選別対象ロールと前工程情報の座標補正値(1B−3)の決定と、選別対象ロールの前工程情報(1B−4)の加工によって補正する方法である。
【0049】
最新ロール情報(1B−1)の取得について説明する。最新ロール情報(1B−1)の取得の際には、欠陥選別PCは、選別対象の検査機において、欠陥情報の選別を行うロールを取得する。取得は、検査情報管理DB内の「検出欠陥格納テーブル」より、工程IDと検査機IDをキーとして最新日時の欠陥情報を持つロールIDを取得する。取得したロールIDを元に、生産情報管理DB内の「製品ロール情報管理テーブル」から、前ロールID、工程IDが一致する情報を検索し、<最新ロール情報>と<最新ロール欠陥情報>の情報を取得する。
<最新ロール情報>
(a)ロールID
(b)処理工程ID
(c)初期ロール位置(先頭)
(d)初期ロール位置(最終)
の情報を取得する。また、
<最新ロール欠陥情報>
(a)ロールID
(b)処理工程ID
(c)検出種別
(d)欠陥サイズ
(e)欠陥ランク
(f)検出位置X
(g)検出位置Y
の情報を取得する。
【0050】
選別対象ロールの前工程情報(1B−2)の取得について説明する。選別対象ロールの前工程情報(1B−2)の取得には、前工程ロール情報(1B−2−1)の取得と、前工程欠陥情報(1B−2−2)の取得と、によって行われる。
【0051】
先ず、前工程ロール情報(1B−2−1)の取得は、上記補正方法1の場合の前工程ロール情報(1A−2−1)取得と同じ方法で行われる。即ち、前工程ロール情報は、生産情報管理DB内の「製品ロール情報管理テーブル」から取得する。取得手順は、先ず、製品ロール情報管理テーブル内のロールID項目が、選別対象ロールIDと一致するデータを検索する。検索後、一致データ内の初期ロールIDを取得する。次に、取得した初期ロールIDを元に、テーブル内の初期ロールIDが一致するデータを検索する。これにより、選別対象ロールの処理済の工程における情報として、以下の情報を取得する。
<前工程ロール情報>
(a)処理工程ID
(b)ロールID
(c)初期ロール位置・・・先頭
(d)初期ロール位置・・・最終
の情報を取得する。
【0052】
前工程ロール欠陥情報(1B−2−2)の取得について説明する。前工程における欠陥情報を、検査情報管理DB内の「検出欠陥格納テーブル」(TB1)から、前工程情報として取得した処理工程IDとロールIDを元に、選別対象のロールにおいて各処理工程で検出された欠陥情報に対して、欠陥ランクが大きい情報(例えばランクE/F)を全て検索し取得する。その結果、
<前工程欠陥情報>
(a)ロールID
(b)処理工程ID
(c)検出種別
(d)欠陥サイズ
(e)欠陥ランク(E/F)
(f)検出位置X
(g)検出位置Y
の情報を取得する。
【0053】
選別対象ロールと前工程情報の座標補正値(1B−3)の決定について説明する。前工程欠陥情報における座標補正用欠陥の検索(1B−3−1)を行う。先ず、最新ロール、及び前工程の欠陥情報を、検出位置X−検出位置Y順にソートを行う。最新ロール情報(1B−1)の取得で抽出を行った、<最新ロールの欠陥情報>から検出位置Y順に座標補正基準欠陥として1点選択し、<前工程欠陥情報>において選択した欠陥情報と検出種別/欠陥ランク/検出位置Xの項目が一致する欠陥情報を全て検索し、以下の情報を取得する。
<前工程取得情報>
(a)検出種別
(b)欠陥ランク
(c)検出位置X
(d)検出位置Y
の情報を取得する。
【0054】
座標補正値の決定(1B−3−2)について説明する。検索により取得した欠陥情報を使用し、Y方向の座標補正値を決定する手順を次に示す。
手順1・・・「座標補正基準欠陥」と一致する前工程情報における欠陥のY方向距離を取得する。ここでいう「座標補正基準欠陥」とは、取得した欠陥情報の中から上記選択した1点の欠陥を指し、選択した1点の欠陥と前工程情報における選択した1点の欠陥と一致する欠陥のY方向距離を求め、これを「基準欠陥間距離」として前工程欠陥の座標を補正する。
手順2・・・前工程欠陥の最新ロールにおける有無調査
次に、前工程欠陥(1B−2−2)で取得した<前工程欠陥情報>から、手順1で抽出した欠陥情報の周囲の欠陥を選択し、以下の情報を取得する。これは、手順1で抽出した欠陥情報が選択対象ロール内の選択した1点の欠陥と同一の欠陥であるかを確認するためのものである。
<有無調査対象欠陥情報>としては
(a)検出種別
(b)欠陥ランク
(c)検出位置X
(d)検出位置Y
(e)検出位置Y+基準欠陥間距離である。
次に上記<有無調査対象欠陥情報>を取得後、最新ロールにおいて、以下項目が有無調査対象欠陥の情報と一致するか照合を行う。
<欠陥有無判定条件>
(a)検出種別:同じであること
(b)欠陥ランク:同一、またはそれ以上であること
(c)検出位置X:同一、もしくは一定の許容範囲内にあること
(d)検出位置Y:検出位置Y+基準欠陥間距離+一定の許容範囲内にあること
を条件として、上記照合をN点(N:整数)に対して行い、最新ロール内にN点中M点(たとえば、3点中2点)の存在が確認できた場合には、ここで使用した「基準欠陥間距離」を、最新ロールと前工程における座標補正値として決定する。即ち、手順1で抽出した欠陥情報が選択対象ロール内の選択した1点の欠陥と同一の欠陥であるかを、周囲の欠陥を比較することによって確認するものである。
【0055】
選別対象ロールの前工程情報(1B−4)の加工について説明する。
【0056】
先ず、前工程における欠陥情報の座標補正(1B−4−1)について説明する。選別対象ロールと前工程情報の座標補正値(1B−3)の決定で求められた座標補正値を使用し、選別対象ロールの前工程欠陥情報を、選別対象ロールにおける座標情報へ変更し、選別用前工程欠陥情報として、以下の情報を取得する。
<前工程欠陥情報>
(a)処理工程ID
(b)ロールID
(c)検出種別
(d)欠陥サイズ
(e)欠陥ランク
(f)検出位置X
(g)検出位置Y
(h)検出位置Y(選別対象ロール位置=検出位置Y−座標補正値)
以上の処理により、前工程における欠陥情報の取得と、取得した欠陥情報を選別対象ロールにおける位置に補正して変換することが出来、工程間の位置情報を比較することが可能となり、その結果、選別対象ロールの最新工程における不良欠陥が選別可能となる。
【0057】
補正方法3(1C)について説明する。補正方法3はマーキング位置を利用した座標補正であって、反射防止フィルム製造工程において、図10に示すように工程初期投入時にフィルム端部等にレーザーや、スタンプによりマーキングがフィルムに施されている場合、このマーキングを検査機により検出することにより、前工程と最新工程における座標補正値を補正することが可能となり、上記補正方法2(1B)同様に前工程情報を選別対象ロールにおける座標に変換できる。即ち、前工程におけるマーキングの位置Yと最新工程におけるマーキングの位置Yを検出し「座標補正値Y」=前工程マーキング検出位置Y−最新工程マーキング検出位置Yとし、
<前工程欠陥情報>
(a)処理工程ID
(b)ロールID
(c)検出種別
(d)欠陥サイズ
(e)欠陥ランク
(f)検出位置X
(g)検出位置Y
(h)検出位置Y(選別対象ロール位置=検出位置Y−座標補正値)
を取得し、(h)検出位置Yが求められる。
【0058】
補正値決定フロー例を図11に示す補正値決定フロー図を用いて説明する。実際の欠陥選別PCによる補正値決定フロー例として以下のフローを記す。
【0059】
マーキング位置を利用した座標補正処理(補正例3)(H1)〜(H4)
最新ロール投入時のマーキング位置の検出を行い(H1)、検出に成功した場合(H1のYES)は補正例3の処理を実行し(H3)、前工程情報の補正を実行し座標補正処理を行う(H4)。
【0060】
前工程情報との直接座標補正処理(補正例2)(H5)〜(H7)
上記初回投入時のマーキング位置の検出を行い検出に失敗した場合(H1のNO)は、補正例2の処理を実行し、前工程情報の補正を実行する(H5)。補正例2の処理で欠陥選別PC内部で保持している設定回数内に補正値が決定した場合は(H6のYES)、補正例2)による補正処理を行なう(H7)。補正例2の処理で欠陥選別PC内部で保持している設定回数内に補正値が決定しない場合は(H6のNO)、補正例2による補正処理は中止し、ステップ(H8)に移行する。
【0061】
初期ロール位置を基にした座標補正処理(補正例1)(H8)〜(H9)
ステップ(H8)では、補正例1の処理を実行し(H8)、前工程情報の補正を実行する(H9)。
【0062】
上記説明では、処理を補正例3、補正例2、補正例1の順序で行うことを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば補正例3、補正例1、補正例2の順や、補正例2、補正例1、補正例3の順でも良い。
【0063】
(2)最新工程欠陥の選別について説明する。上記選別対象ロールの前工程情報の取得終了後、対象ロールに対する最新欠陥情報の選別を行う。選別方法は、先ず、最新欠陥情報を検査情報管理DB内の「検出欠陥格納テーブル」(TB1)から取得する。取得した欠陥情報について、上記補正した同位置に比較対象の工程において欠陥情報が存在するか検索を行う。比較対象欠陥の判定を行う際には、比較を行う欠陥については、予め欠陥選別PC内にて設定された情報に従って検索を行い、比較対象の欠陥を選び出す。
<選別設定項目>
(a)対象検査機ID・・・選別処理を行う検査機の識別ID
(b)対象工程ID・・・選別処理を行う工程の識別ID
(c)比較対象工程ID・・・選別の為の比較を行う工程の識別ID
(d)対象検出系・・・選別処理を行う欠陥検出系
(e)対象色・・・選別処理を行う欠陥の色(白/黒)
(f)対象ランク・・・選別処理対象とする欠陥ランク(A/B/C/D/E/F)
(g)比較許容範囲X・・・同一欠陥とみなせる幅方向の許容範囲(例えば±X10mm)
(h)比較許容範囲Y・・・同一欠陥とみなせる流動方向の許容範囲(例えば±Y10mm)を選別設定項目とし、設定内容に最新する最新の欠陥情報について、前工程情報と比較を行う。
【0064】
前工程情報との比較について説明する。最新の欠陥情報と、前工程における検出欠陥を比較し、上記補正した同一位置の欠陥を比較する。比較項目として、以下の項目の比較を行う。
<欠陥同定判定項目>
(a)検出工程ID・・・比較対象の工程IDであるか。
(b)検出系・・・比較対象の検出系であるか。
(c)検出色・・・比較対象の検出色であるか。
(d)検出欠陥ランク・・・比較対象の欠陥ランクであるか。
(e)検出位置X・・・検出位置Xが比較許容範囲X内にあるか。
(f)検出位置Y・・・検出位置Yが比較許容範囲Y内にあるか。
以上の項目に対して、前工程の欠陥情報が存在する(一致する)場合、比較を行った最新の欠陥情報は前工程情報ありと判断し、一方、欠陥情報が存在しない(一致しない)場合には、比較を行った最新の欠陥情報は前工程情報無し、即ち最新工程における発生欠陥と判断する。
【0065】
欠陥情報の比較終了後、欠陥情報が最新工程における発生欠陥と判断された場合、最新陥の情報を検査情報管理DB内の「差分欠陥格納テーブル」(TB2)へ登録を行う。この最新欠陥情報の選別をロールIDが変更になるまで繰り返し行う。
【0066】
以上の処理により、最新工程における発生欠陥の選別が可能となる。
【0067】
欠陥監視PCについて説明する。欠陥監視PCは、対象工程、対象検査機の検出欠陥をモニタリングし、欠陥監視PC内部で所持している異常判定条件に従い現在の欠陥検出状況を監視し、工程として進行不可となる条件に合致した場合には異常通知を製造現場作業員に行い、工程における処置を促す。
【0068】
ここで言う異常判定条件とは、欠陥監視PCにおいて、異常判定条件として、少なくとも以下の項目が設定可能とする。
<異常判定条件設定項目>
(a)判定対象検査機・・・判定対象とする検査機
(b)判定対象工程・・・判定対象とする工程
(c)判定対象検出系・・・判定対象とする検出系
(d)判定対象色・・・判定対象とする検出色
(e)判定対象欠陥ランク・・・判定対象とする欠陥ランク
(f)判定範囲・・・ロールにおける判定の適用箇所(設定距離毎、またはロール全体)(g)判定方法・・・判定方法(判定範囲における欠陥数の閾値越え、または累積の欠陥数の閾値越え等)
(h)判定距離・・・判定範囲が設定距離毎の場合の設定距離
(i)閾値・・・閾値とする検出数
(j)異常発生時処理・・・異常発生時の処理方法(アラーム発報、または処置内容通知等)の項目を設定する。
【0069】
欠陥監視PCによる工程内発生欠陥の監視例((T1)〜(T4))について説明する。欠陥の監視は、欠陥監視PCで実現でき、且つ対象工程において発生した欠陥のみを監視することが出来る。
【0070】
最新の工程内発生欠陥の取得(T1)
対象検査機、対象工程内にて発生した最新の欠陥情報を、検査情報管理DB内の「差分欠陥格納テーブル」(TB2)から取得する。
【0071】
取得情報の集計(T2)
取得した欠陥情報を、検出系/色/欠陥ランク/(設定範囲)で分類し、最新カテゴリ内の欠陥数をカウントアップする。
【0072】
集計情報の異常判定(T3)と異常発生時の処理(T4)
最新の集計情報に対して、上記異常判定条件に基づいた異常判定を行う。異常判定と判断した場合には、設定内容に沿い異常発生時の処理を行う。
【0073】
このように、本発明による品質監視システム及び品質監視方法によれば、最新工程で発生した欠陥を選別することが出来、発生した欠陥を異常判定条件に沿って異常と判定した場合は、異常通知を行い、その結果、最新工程で発生した欠陥を従来の人手で選別していた方法に比べ、人手を要することがなく、短時間で選別が可能となり異常の発生を抑制することが出来る。
【符号の説明】
【0074】
1・・・フィルム基材
2・・・ハードコート層
3・・・反射防止層
3a・・・LR(低反射層)
3b・・・AG(防汚層)
3c・・・AR(高屈折率層)
11〜14・・・ローラ
15・・・フィルム
16、17・・・照明光源
18・・・フィルムを搬送する方向を示す矢印
19・・・ラインCCDカメラ
20・・・画像処理装置
21・・・ロータリーエンコーダ
22・・・制御装置
23・・・検査管理情報DB
31・・・撮像画像
31a・・・欠陥
32・・・撮像画像の線分
33・・・撮像画像の線分32の画像信号
34・・・閾値
35・・・二値化画像
36・・・欠陥信号
40・・・初期ロール
41・・・不良欠陥
42・・・切除部分
43・・・不良欠陥
44・・・不良欠陥
45・・・ロール
101・・・フィルム基材
102・・・ハードコート層
103・・・反射防止層
103a・・・LR(低反射層)
103b・・・AG(防汚層)
103c・・・AR(高屈折率層)
111〜114・・・ローラ
115・・・フィルム
116、117・・・照明光源
118・・・フィルムの搬送方向を示す矢印
119・・・ラインCCDカメラ
120・・・画像処理装置
121・・・ロータリーエンコーダ
122・・・制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程からなるロール状の反射防止フィルムの製造工程において、上流工程と最新工程の間で異常個所の発生によって製品ロールの一部が切除処理された場合であっても、上流工程の検査情報と最新工程の検査情報から最新工程で発生した欠陥を選別することによって品質管理を行う品質監視システムであって、
製造工程内の各工程に備えられた検査機と、
検査機から得られた検査情報を格納し管理する検査情報管理データベースと、
製品ロールの各工程における品質情報や実績情報を管理する生産情報管理データベースと、
検査情報管理データベースと生産情報管理データベースに基づいて、最新工程と前工程での欠陥検出位置の座標を補正することによって最新工程で発生した欠陥を選別する欠陥選別手段と、
欠陥選別手段によって選別された欠陥を異常判定条件に基づいて異常と判断し、異常を通知する欠陥監視手段と、を備えたことを特徴とする品質監視システム。
【請求項2】
欠陥選別手段は、ロールが初期工程に投入される際の初期ロール位置を基準として座標補正を行う機能と、
前工程の欠陥座標と最新工程情報に含まれる前工程の欠陥から前工程のロールの欠陥座標を最新工程のロールの座標に補正を行う機能と、
前工程で検出したマーキング位置と、最新工程で検出したマーキング位置から前工程のロールの欠陥座標を最新工程のロールの座標に補正を行う機能と、のいずれかによって座標補正を行い、最新工程において発生した欠陥を選別することを特徴とする請求項1に記載の品質監視システム。
【請求項3】
欠陥監視手段は選別された最新工程起因の欠陥から設定された異常条件により異常欠陥を判定し、異常を感知した場合には外部に異常を知らせることを特徴とする請求項1に記載の品質監視システム。
【請求項4】
複数の工程からなるロール状の反射防止フィルムの製造工程において、上流工程と最新工程の間で異常個所の発生によって製品ロールの一部が切除処理された場合であっても、上流工程の検査情報と最新工程の検査情報から最新工程で発生した欠陥を選別することによって品質管理を行う品質監視方法であって、
製造工程内の各工程に備えられた検査機から得られた検査情報に基づいて、欠陥情報の登録を行い、
登録された前工程における欠陥情報と最新工程における欠陥情報の欠陥発生座標の補正を行うことによって、最新工程において発生した欠陥を選別し、
選別した欠陥を異常条件と比較し、異常条件を満たした異常欠陥が存在した場合には、外部に異常を通知することを特徴とする品質監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−88247(P2013−88247A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227938(P2011−227938)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】