説明

回動連結装置並びに回動連結装置を用いた電子機器

【課題】本発明は、回動連結装置並びに回動連結装置を用いた電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】第一部材1と第二部材2とを回動自在に連結する回動連結装置であって、前記第一部材1に連結する第一連結体3と、この第一連結体3に相対回動自在に重合状態で連結し前記第二部材2に連結する第二連結体4とを有し、前記第一連結体3と前記第二連結体4とが重合面方向へ相対回動する際に生じる進み回動力を緩衝する緩衝機構を具備するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば第一部材に重合した第二部材を重合面に沿って回動自在に連結する回動連結装置並びに回動連結装置を用いた携帯電話・モバイル・パソコン用モニター装置などの電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話・モバイル・パソコン用モニター装置などの電子機器を構成する第一部材に対して第二部材を重合面方向に例えば90度回動位置まで回動自在に連結する為の回動連結装置が提案され、例えば、ディスプレイ部を横長ディスプレイ状態から90度回動した縦長ディスプレイ状態に自在に切り替えできる回動連結装置として提案されている。
【0003】
具体的には、パソコン用モニター装置における、載置部を設けた第一部材(第一筐体)にディスプレイ部を設けた方形板状の第二部材(第二筐体)を前記回動連結装置を介して重合連結し、第一筐体に対して重合する状態で、ディスプレイ部を設けた第二筐体を90度回動自在に設け、通常の横長ディスプレイ状態から、縦長ディスプレイ状態にして使用することができる。
【0004】
ところで、この横長ディスプレイ状態と縦長ディスプレイ状態とを実現する回動連結装置として、特開2006−211576号に開示される回動連結装置(以下、従来例という。)が提案されている。
【0005】
この従来例は、第一筐体に設けられ左右方向に延びかつ中凸状に湾曲した曲線状の左右方向ガイド溝と、第一筐体に設けられ上下方向に延びる直線状の上下方向ガイド溝と、液晶表示部の背面に設けられ上記左右方向ガイド溝にスライド自在に係合する第一ガイドピンと、液晶表示部の背面に設けられ上記上下方向ガイド溝にスライド自在に係合する第二ガイドピンとを備えており、縦長ディスプレイ状態から横長ディスプレイ状態への切り替えに際して、第一筐体の下端側コーナー部が干渉するのを防止しながら切り替えを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−211576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来例は、その構造上、回動させる第一筐体の重量が重くなる程、切り替え操作に際して自重により回動が加速し、この進み回動力により回動停止時に強い衝撃力が加わり、これが各部位の破損の原因となってしまう場合がある(筐体内の電子部品に影響が出る場合もある。)。この問題は、例えばバネやカムなどを用いた進み回動付勢構造を具備する場合には尚更である。
【0008】
本発明は、前述した問題点を解決する、従来にない作用効果を発揮する画期的な回動連結装置並びに回動連結装置を用いた電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
第一部材1と第二部材2とを回動自在に連結する回動連結装置であって、前記第一部材1に連結する第一連結体3と、この第一連結体3に相対回動自在に重合状態で連結し前記第二部材2に連結する第二連結体4とを有し、前記第一連結体3と前記第二連結体4とが重合面方向へ相対回動する際に生じる進み回動力を緩衝する緩衝機構を具備することを特徴とする回動連結装置に係るものである。
【0011】
また、前記第一連結体3と前記第二連結体4とが、相対回動範囲における回動途中位置から一側の回動端位置まで重合面方向へ相対回動する際、及び、相対回動範囲における回動途中位置から他側の回動端位置まで重合面方向へ相対回動する際のいずれの際にも生じる進み回動力を緩衝するように前記緩衝機構を構成したことを特徴とする請求項1記載の回動連結装置に係るものである。
【0012】
また、前記第一連結体3と前記第二連結体4との間に弾性体9を設けて、前記第一連結体3と前記第二連結体4とが重合面方向へ相対回動する際に生じる進み回動力を緩衝する前記緩衝機構として構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の回動連結装置に係るものである。
【0013】
また、前記第一連結体3と前記第二連結体4とは軸部5を介して相対回動自在に重合状態で連結されており、前記第二連結体4若しくは前記第一連結体3に設けた前記軸部5の一方向への往復移動を許容する形状の軸受部6を前記第一連結体3若しくは前記第二連結体4に設けると共に、前記第一連結体3と前記第二連結体4との重合面方向への相対回動に伴い、前記第二連結体4若しくは前記第一連結体3に設けたスライド部7をガイドすることで、前記軸部5が前記軸受部6に対して一方向に往復移動するように誘導する形状のガイド部8を前記第一連結体3若しくは前記第二連結体4に設けて、前記第一連結体3と前記第二連結体4とが互いに重合面方向へ相対回動することに伴い一方向へ相対往復移動するように構成し、前記第一連結体3と前記第二連結体4とが重合面方向へ相対回動することに伴い一方向へ相対復移動する際に生じる進み回動力を緩衝するように前記緩衝機構を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回動連結装置に係るものである。
【0014】
また、前記第一連結体3と前記第二連結体4とが重合面方向へ相対回動する際に生じる進み回動力は、前記第一連結体3若しくは前記第二連結体4が連結する前記第一部材1若しくは前記第二部材2の自重によって生じる回動力であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回動連結装置に係るものである。
【0015】
また、前記軸部5若しくは前記第二連結体4と前記第一連結体3若しくは前記第二連結体4との間にして前記軸受部6の左右夫々の位置に引っ張りバネ9を架設して前記緩衝機構を構成したことを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の回動連結装置に係るものである。
【0016】
また、載置部11を設けた第一筐体1と、ディスプレイ部12を設けた第二筐体2とを重合した一の状態から、前記ディスプレイ部12を重合面方向に相対回動して他の状態となるように、前記第一筐体1と前記第二筐体部2とを重合面方向に相対回動自在に連結する回動連結装置Sを有し、この回動連結装置Sは、前記第一筐体1を前記第一部材若しくは前記第二部材とし、前記第二筐体2を前記第二部材若しくは前記第一部材とした前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の回動連結装置を採用したことを特徴とする回動連結装置を用いた電子機器に係るものである。
【0017】
また、前記第二筐体2は、重合面方向に正逆夫々90度回動切り替え自在に構成して、横長ディスプレイ状態から正逆いずれかに90度回動して縦長ディスプレイ状態に切り替え自在に構成したことを特徴とする請求項7記載の回動連結装置を用いた電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように構成したから、例えばパソコン用モニター装置を構成する載置部を設けた第一部材と長方形状のディスプレイ部を設けた第二部材との重合連結に適用した場合、例えば第一部材と第二部材を相対回動させた際に自重により加速する進み回動力を緩衝して、回動停止時の衝撃を可及的に低減することができ、よって、第一部材と第二部材との相対回動時に生じていた進み回動力が原因しての破損を可及的に防止し得ることになるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な回動連結装置となる。
【0019】
また、請求項2記載の発明においては、正逆いずれの相対回動の際にも進み回動力を緩衝する緩衝機能を確実に発揮することになるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な回動連結装置となる。
【0020】
また、請求項3記載の発明においては、簡易構造で確実な緩衝機能を発揮するなど従来にない作用効果を発揮する画期的な回動連結装置となる。
【0021】
また、請求項4記載の発明においては、例えばパソコン用モニター装置を構成する載置部を設けた第一部材と長方形状のディスプレイ部を設けた第二部材との重合連結に適用した場合、横長ディスプレイ状態から縦長ディスプレイ状態への切り替えに際して、回動する部材が干渉するのを防止しながら切り替えを良好に行うことができ、しかも、例えば第一部材と第二部材を相対回動させた際に自重により加速する進み回動力を緩衝して、回動停止時の衝撃を可及的に低減することができ、よって、第一部材と第二部材との相対回動時に生じていた進み回動力が原因しての破損を可及的に防止し得ることになるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な回動連結装置となる。
【0022】
また、請求項5,6記載の発明においては、具体的な構造から、第一部材と第二部材との良好な相対回動を確実に達成し得るなど従来にない作用効果を発揮する画期的な回動連結装置となる。
【0023】
また、請求項7,8記載の発明においては、第一部材としての第一筐体と第二部材としての第二筐体との相対回動に際して、確実に回動する部材が干渉するのを防止しながら回動させることができるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な回動連結装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施例の使用状態説明図である。
【図2】本実施例を示す分解斜視図である。
【図3】本実施例を示す斜視図である。
【図4】本実施例に係る要部を示す断面図である。
【図5】本実施例に係る要部の動作説明図である。
【図6】本実施例に係る要部の動作説明図である。
【図7】本実施例に係る要部の動作説明図である。
【図8】本実施例に係る要部の動作説明図である。
【図9】本実施例に係る要部の動作説明図である。
【図10】本実施例に係る要部の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0026】
第一連結体3と第二連結体4とを重合面方向へ相対回動させると、この際に生じる進み回動力は緩衝機構により緩衝される。
【0027】
具体的には、本発明に係る回動連結装置を、例えばパソコン用モニター装置を構成する第一部材1と第二部材2との重合連結に適用した場合、即ち、例えば第二部材2(ディスプレイ部を具備した第二筐体)を、第一部材1(載置部を具備した第一筐体)に対して、重合面方向に正逆夫々90度回動切り替え自在に構成して、横長ディスプレイ状態から正逆いずれかに90度回動して縦長ディスプレイ状態に切り替え自在となるように構成した場合、例えば第一部材1と第二部材2を相対回動させた際に例えば該第二部材2の自重により加速する進み回動力を緩衝するように設定することで、回動停止時の衝撃を可及的に低減することができ、よって、相対回動させる部材の自重により回動が加速することで生じていた破損を可及的に防止し得ることになる。
【0028】
また、請求項4記載の発明においては、第一連結体3と第二連結体4とを重合面方向へ相対回動させると、これに伴い、第二連結体4若しくは第一連結体3に設けたスライド部7は第一連結体3若しくは第二連結体4に設けたガイド部8をスライドすることで、軸部5が軸受部6に対して一方向に往復移動し、よって、第一連結体3と第二連結体4とは互いに重合面方向へ相対回動することに伴い一方向へ相対往復移動する。
【0029】
この回動連結装置を、例えばパソコン用モニター装置を構成する第一部材1と第二部材2との重合連結に適用した場合、即ち、例えば第二部材2(ディスプレイ部を具備した第二筐体)を、第一部材1(載置部を具備した第一筐体)に対して、重合面方向に正逆夫々90度回動切り替え自在に構成して、横長ディスプレイ状態から正逆いずれかに90度回動して縦長ディスプレイ状態に切り替え自在となるように構成した場合、この横長ディスプレイ状態から縦長ディスプレイ状態への切り替えに際して、第一部材1に対して第二部材2は重合面方向へ回動しながら一方向に往復移動することになり、よって、この一方向への往復移動を、第二部材2の下側の部位(コーナー部)が干渉するのを防止すべく機能するように設定することで、確実に第二部材2が干渉するのを防止しながら切り替えが良好に行える状態が得られることになる。
【0030】
また、この第一連結体3と前記第二連結体4とが重合面方向へ相対回動することに伴い一方向へ相対復移動する際、この一方向への相対復移動の際に生じる進み回動力は緩衝機構により緩衝される。
【0031】
従って、例えば第一部材1と第二部材2を相対回動させた際に例えば該第二部材2の自重により加速する進み回動力を緩衝するように設定することで、回動停止時の衝撃を可及的に低減することができ、よって、相対回動させる部材の自重により回動が加速することで生じていた破損を可及的に防止し得ることになる。
【実施例】
【0032】
本発明の具体的な一実施例について図面に基づいて説明する。
【0033】
本実施例は、第一部材1と第二部材2とを回動自在に連結する回動連結装置Sであり、長方形状のディスプレイ部12が、横長ディスプレイ状態から90度回動して縦長ディスプレイ状態にその中央を支点に切り替え回動自在に設けた自立式のパソコン用モニター装置(液晶モニター)に適用したものである。尚、本実施例の適用はパソコン用モニター装置に限らず、テレビモニターや携帯電話・モバイルでも良いなど、本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用し得るものである。
【0034】
即ち、本実施例は、図1に図示したように載置部11を設けた第一部材1(合成樹脂製の第一筐体)と、ディスプレイ部12を設けた第二部材2(合成樹脂製の第二筐体)夫々の重合連結部1A,2A同士を重合した一の状態から、ディスプレイ部12を重合面方向に相対回動して他の状態となるように、第一部材1と第二部材2とを重合面方向に相対回動自在に連結する回動連結装置Sである。
【0035】
従って、長方形状のディスプレイ部12を設けた第二部材2は、載置部11を設けた第一部材1に対して重合面方向に正逆夫々90度回動切り替え自在に構成して、横長ディスプレイ状態から正逆いずれかに90度回動して縦長ディスプレイ状態に切り替え自在に構成している。
【0036】
このように、本実施例ではこの載置部11を設ける第一部材1と、ディスプレイ部12を設ける第二部材2とを正逆双方に90度切り替え回動自在に回動連結装置Sによって連結するが、以下、本実施例に係る回動連結装置Sについて説明する。尚、請求項及び明細書で言う部材同士の重合状態とは、部材同士が当接した状態は勿論、間隔を介して当接しない状態も含むものである。
【0037】
具体的には、第一部材1に連結する第一連結体3と、この第一連結体3に軸部5を介して相対回動自在に重合状態で連結し第二部材2に連結する第二連結体4とを有し、第二連結体4(若しくは第一連結体3)に設けた軸部5の一方向への往復移動を許容する長窓形状の軸受部6を第一連結体3(若しくは第二連結体4)に設けると共に、第一連結体3と第二連結体4との重合面方向への相対回動に伴い、第二連結体4若しくは第一連結体3に設けたスライド部7をガイドすることで、軸部5が軸受部6に対して一方向に往復移動するように誘導する長窓形状のガイド部8を第一連結体3(若しくは第二連結体4)の左右方向に設けて、第一連結体3と第二連結体4とが互いに重合面方向へ相対回動することに伴い一方向に相対往復移動するように構成したものである。
【0038】
第一部材1に取り付ける金属板状の第一連結体3に、上下方向に長さを有する直線状にして長窓状の軸受部6を設け、第二部材2に取り付ける金属板状の第二連結体4には、この軸受部6を回動自在にして相対スライド自在に係合する軸部5を設けている。符号3bは第一連結体3を第一部材1にビスを介して連結する為の連結孔、4aは第二連結体4を第二部材2にビスを介して連結する為の連結孔である。
【0039】
この軸部5には後述する弾性体8の端部を連結する連結部材13が設けられている。
【0040】
また、第一部材1に取り付ける金属板状の第一連結体3に、左右方向に長さを有する長窓状のガイド部8を設け、第二部材2に取り付ける金属板状の第二連結体4には、このガイド部8を相対スライド自在に係合する、第一連結体3へ向けて凸状となる軸部材から成るスライド部7を設けている。
【0041】
ガイド部8は、軸受部6の下方位置に設けられており、この軸受部6の下端部の近傍に位置する部位を頂部8aとして左右に下り傾斜部8bを有する山形状(凸湾曲形状)に形成されている。
【0042】
即ち、第一連結体3と第二連結体4とを、90度の相対回動範囲における一側の回動端位置から回動途中位置まで重合面方向へ相対回動させる際、及び、相対回動範囲における他側の回動端位置から回動途中位置まで重合面方向へ相対回動させる際のいずれの際においても、第二連結体4(若しくは第一連結体3)に設けたスライド部7をガイドすることで、軸部5が軸受部6に対して一方向に往移動(上方向に移動)するように誘導する山形状のガイド部8を第一連結体3(若しくは前記第二連結体4)に設けて、第一連結体3と第二連結体4とを、相対回動範囲における一側の回動端位置から回動途中位置まで重合面方向へ相対回動させる際、及び、相対回動範囲における他側の回動端位置から回動途中位置まで重合面方向へ相対回動させる際のいずれにおいても、軸部5が軸受部6に対して一方向に往移動(上方向に移動)すると共にスライド部7がガイド部8の頂部8aを上ることで第一連結体3と第二連結体4とが互いに一方向へ相対往復移動(上下方向へ相対移動)するように構成するとともに、第一連結体3と第二連結体4とを、相対回動範囲における回動途中位置から一側の回動端位置まで重合面方向へ相対回動させる際、及び、相対回動範囲における回動途中位置から他側の回動端位置まで重合面方向へ相対回動させる際のいずれにおいても、軸部5が前記軸受部6に対して一方向に復移動(下方向に移動)すると共にスライド部7が前記ガイド部8の頂部8aから下り傾斜部8bを下ることで第一連結体3と前記第二連結体4とが互いに一方向へ相対往復移動(上下方向へ相対移動)するように構成している。
【0043】
以上のように、第一連結体3と第二連結体4とが互いに重合面方向へ相対回動することに伴い上下方向へ相対移動(一方向に相対往復移動)するように構成されている。
【0044】
即ち、第一連結体3と第二連結体4とを、相対回動範囲における一側の回動端位置から回動途中位置を通過して他側の回動端位置まで重合面方向へ相対回動させる際、スライド部7はガイド部8の一側の下り傾斜部8bを上って頂部8aに達し(この際、軸部5は軸受部6の上方位置まで移動する。)、その後、スライド部7は他側の下り傾斜部8bを下る(この際、軸部5は軸受部6の下方位置まで移動する。)。逆方向に相対回動させた際にも同様の作動が行われる。
【0045】
従って、この第一連結体3及び第二連結体4夫々に連結される第一部材1及び第二部材2は、第一部材1に対して第二部材2を重合面方向へ相対回動させることに伴い上下方向へ相対移動(一方向に相対往復移動)することになる。
【0046】
また、本実施例は、第一連結体3と第二連結体4とが重合面方向へ相対回動する際に生じる進み回動力を緩衝する緩衝機構を具備する。
【0047】
この第一連結体3と第二連結体4とが重合面方向へ相対回動する際に生じる進み回動力は、第一連結体3(若しくは第二連結体4)が連結する第一部材1(若しくは第二部材2)の自重によって生じる回動力であり、本実施例では、第一連結体3と第二連結体4とが、90度の相対回動範囲における回動途中位置(45度位置)から一側の回動端位置(0度位置)まで重合面方向へ相対回動する際、及び、90度の相対回動範囲における回動途中位置(45度位置)から他側の回動端位置(90度位置)まで重合面方向へ相対回動する際のいずれの際にも生じる進み回動力を緩衝するように緩衝機構を構成している。尚、この進み回動力は、第一連結体3と第二連結体4との間に設けられた付勢体(バネ)やカムなどを用いた進み回動付勢構造によって生じるものでも良い。
【0048】
この緩衝機構は、軸部5と第一連結体3(若しくは第二連結体4)との間に弾性体9を設けて、第一連結体3と第二連結体4との重合面方向への相対回動に伴う下方向への相対移動を緩衝する緩衝機構として構成しており、具体的には、軸部5と第一連結体3(若しくは前記第二連結体4)との間にして軸受部6の左右夫々の位置に複数(二本)の引っ張りバネ9(コイルバネ)を架設して緩衝機構は構成されており、第一連結体3と第二連結体4とにおける、回動途中位置から一側の回動端位置及び他側の回動端位置夫々までの重合面方向への相対回動に伴ういずれの下方向への相対移動においても緩衝するように緩衝機構は構成されている。
【0049】
図3に図示したように引っ張りバネ9の一端部を軸部5に設けた連結部材13に連結し、他端部を第一連結体3に設けた連結部3aに連結している。
【0050】
また、本実施例に係る緩衝機構(弾性体9)の緩衝力(弾性力)は第二部材2の重量を考慮して設定されている。
【0051】
また、本実施例は、回動連結装置Sで生じる緩衝作用は、この第一連結体3と第二連結体4とが、重合面方向へ相対回動することに伴い上方向へ相対移動する際には付勢力となり、即ち、第一連結体3と第二連結体4とにおける、一側の回動端位置及び他側の回動端位置夫々から回動途中位置までの重合面方向への相対回動に伴ういずれの上方向への相対移動において付勢力となり、よって、第一部材1に対する第二部材2の回動が軽い力で行えることになる。
【0052】
本実施例は上述のように構成したから、第一連結体3と第二連結体4とを重合面方向へ相対回動させると、これに伴い、第二連結体4に設けたスライド部7は第一連結体3に設けたガイド部8をスライドすることで、軸部5が軸受部6に対して上下移動し、よって、第一連結体3と第二連結体4とは互いに重合面方向へ相対回動することに伴い上下方向へ相対移動する。
【0053】
本実施例のように、例えばデスクトップ型パソコンのモニター装置を構成する第一部材1と第二部材2との重合連結に適用した場合、即ち、例えば第二部材2(ディスプレイ部を具備した第二筐体)を、第一部材1(載置部を具備した第一筐体)に対して、重合面方向に正逆夫々90度回動切り替え自在に構成して、横長ディスプレイ状態から正逆いずれかに90度回動して縦長ディスプレイ状態に切り替え自在となるように構成した場合、横長ディスプレイ状態から縦長ディスプレイ状態への切り替えに際して、第一部材1に対して第二部材2は重合面方向へ回動しながら上下方向に移動することになり、よって、この上下方向への移動を、第二部材2の下側の部位(コーナー部)が干渉する(載置部11を載置した机などに衝突する)のを防止すべく機能するように設定することで、確実に第二部材2が干渉するのを防止しながら切り替えが良好に行える状態が得られることになる(図5〜10参照)。
【0054】
また、この第一連結体3と第二連結体4とが、前述したように重合面方向へ相対回動することに伴い下方向へ相対移動する際、この下方向への相対移動は緩衝機構に係る弾性体9の弾性により緩衝される。
【0055】
従って、例えば第一部材1と第二部材2を相対回動させた際に該第二部材2の自重により加速する回動を緩衝して、回動停止時の衝撃を可及的に低減することができ、よって、相対回動させる部材の自重により回動が加速することで生じていた破損を可及的に防止し得ることになる。
【0056】
また、本実施例は、軸部5と第一連結体3(若しくは前記第二連結体4)との間にして軸受部6の左右夫々の位置に引っ張りバネ9を架設して緩衝機構を構成したから、回動途中位置から一側の回動端位置及び他側の回動端位置夫々までの重合面方向への相対回動に伴ういずれの下方向への相対移動においても確実且つ安定的に機能することになる。
【0057】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0058】
S 回動連結装置
1 第一部材
2 第二部材
3 第一連結体
4 第二連結体
5 軸部
6 軸受部
7 スライド部
8 ガイド部
9 弾性体・引っ張りバネ
12 ディスプレイ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と第二部材とを回動自在に連結する回動連結装置であって、前記第一部材に連結する第一連結体と、この第一連結体に相対回動自在に重合状態で連結し前記第二部材に連結する第二連結体とを有し、前記第一連結体と前記第二連結体とが重合面方向へ相対回動する際に生じる進み回動力を緩衝する緩衝機構を具備することを特徴とする回動連結装置。
【請求項2】
前記第一連結体と前記第二連結体とが、相対回動範囲における回動途中位置から一側の回動端位置まで重合面方向へ相対回動する際、及び、相対回動範囲における回動途中位置から他側の回動端位置まで重合面方向へ相対回動する際のいずれの際にも生じる進み回動力を緩衝するように前記緩衝機構を構成したことを特徴とする請求項1記載の回動連結装置。
【請求項3】
前記第一連結体と前記第二連結体との間に弾性体を設けて、前記第一連結体と前記第二連結体とが重合面方向へ相対回動する際に生じる進み回動力を緩衝する前記緩衝機構として構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の回動連結装置。
【請求項4】
前記第一連結体と前記第二連結体とは軸部を介して相対回動自在に重合状態で連結されており、前記第二連結体若しくは前記第一連結体に設けた前記軸部の一方向への往復移動を許容する形状の軸受部を前記第一連結体若しくは前記第二連結体に設けると共に、前記第一連結体と前記第二連結体との重合面方向への相対回動に伴い、前記第二連結体若しくは前記第一連結体に設けたスライド部をガイドすることで、前記軸部が前記軸受部に対して一方向に往復移動するように誘導する形状のガイド部を前記第一連結体若しくは前記第二連結体に設けて、前記第一連結体と前記第二連結体とが互いに重合面方向へ相対回動することに伴い一方向へ相対往復移動するように構成し、前記第一連結体と前記第二連結体とが重合面方向へ相対回動することに伴い一方向へ相対復移動する際に生じる進み回動力を緩衝するように前記緩衝機構を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回動連結装置。
【請求項5】
前記第一連結体と前記第二連結体とが重合面方向へ相対回動する際に生じる進み回動力は、前記第一連結体若しくは前記第二連結体が連結する前記第一部材若しくは前記第二部材の自重によって生じる回動力であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回動連結装置。
【請求項6】
前記軸部若しくは前記第二連結体と前記第一連結体若しくは前記第二連結体との間にして前記軸受部の左右夫々の位置に引っ張りバネを架設して前記緩衝機構を構成したことを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の回動連結装置。
【請求項7】
載置部を設けた第一筐体と、ディスプレイ部を設けた第二筐体とを重合した一の状態から、前記ディスプレイ部を重合面方向に相対回動して他の状態となるように、前記第一筐体と前記第二筐体部とを重合面方向に相対回動自在に連結する回動連結装置を有し、この回動連結装置は、前記第一筐体を前記第一部材若しくは前記第二部材とし、前記第二筐体を前記第二部材若しくは前記第一部材とした前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の回動連結装置を採用したことを特徴とする回動連結装置を用いた電子機器。
【請求項8】
前記第二筐体は、重合面方向に正逆夫々90度回動切り替え自在に構成して、横長ディスプレイ状態から正逆いずれかに90度回動して縦長ディスプレイ状態に切り替え自在に構成したことを特徴とする請求項7記載の回動連結装置を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−77861(P2011−77861A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227708(P2009−227708)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(396019022)株式会社ストロベリーコーポレーション (88)
【Fターム(参考)】