説明

回路基板の製造方法

【課題】回路基板と電子部品との接続位置精度を向上させる。
【解決手段】フレキシブル基板20に形成された電極2の表面を凹凸加工ツール4で加圧し、前記電極2の表面に凹凸部2aを形成すると同時に、穴あけ加工ツール5により位置決め穴6を形成する。電子部品9の電極8上に絶縁性接着剤7を塗布し、前記位置決め穴6を利用して前記フレキシブル回路基板20の前記電極2と前記電子部品9の前記電極8を位置合わせし、接続加工ツール10で加圧して前記電極2面上の凸部と前記電極8を接触させ、前記絶縁性接着剤7を硬化させることにより電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、端子に凹凸を有する回路基板製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また端子を凹凸加工すると同時に回路基板の外形切断を行う製造方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−184788号公報
【特許文献2】特許第03135435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の回路基板製造方法では、回路基板に他の電子部品を、例えば、0.5mm以下程度の狭接続幅で接続する場合、狭接続幅よりさらに狭い幅の範囲に形成された回路基板の接続端子の凹凸部を狭接続幅の範囲内に収まるよう精度よく接続し十分な信頼性を確保するには、凹凸部を狭接続幅に位置決めするための高精度な基準がなく、次工程での接続位置精度が不十分である。つまり、従来の回路基板製造方法では、高接続位置精度および接続信頼性の向上が困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる回路基板の製造方法は、基板に形成された電極の表面を加圧して前記電極の表面に凹凸部を形成するとともに、位置決め穴を形成することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、凹凸部の形成と位置決め穴の形成とが同時期に行われるため、凹凸部と位置決め穴との位置精度が向上する。この結果、回路基板と他の電子部品とを接続する際の接続信頼性を向上させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる回路基板の製造方法は、回路基板の両端部に前記位置決め穴を形成することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、回路基板外形の両端に位置決め穴が設定される。これにより、全端子の位置を精度よく合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】回路基板の製造方法を示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
回路基板の製造方法について説明する。回路基板の製造方法は、回路基板の電極の表面を加圧し電極の表面に凹凸部を形成するとともに、位置決め穴を形成するものである。さらに、回路基板の両端部に位置決め穴を形成するものである。以下、具体的に説明する。
【0012】
図1は、回路基板の製造方法を示す工程図である。まず、基板(回路基板)について説明する。図1(a)は、回路基板としてのフレキシブル基板の断面図を示す。図1(a)に示すように、フレキシブル基板20は、レジスト1と電極2とベースフィルム3とが順に積層された構成を有している。
【0013】
ベースフィルム3は、例えば、ポリイミドやポリエステルなどである。電極2は、主に銅を中心にした金属であり、用途に応じてその表面はAu、Sn、半田などでメッキされている。また、電極2のピッチは30〜500um程度である。電極2にはキャスティング法などによりベースフィルム3が固着している。レジスト1の厚みは5〜50um、ベースフィルム3の厚みは25〜50um、電極2の厚みは5〜25um程度である。
【0014】
次に、図1(b)に示すように、レジスト1で覆われていないフレキシブル基板20の電極2表面に、加圧面に高さ〜数um、周期〜数十umを有する凹凸を持つ凹凸加工ツール4を位置合わせして加圧する。それと同時期に後工程で他の電子部品の電極と接続する際に使用する位置決め穴を穴あけ加工ツール5で形成する。ここで、フレキシブル基板20の両端部に位置決め穴を形成する。この加圧解除後、図1(c)に示すように、フレキシブル基板20の電極2には、凹凸加工ツール4底面と同様の高さと周期を有する凹凸部2aが、フレキシブル基板20の電極2の塑性変形より形成される。また、図1(d)に示すように、フレキシブル基板20の電極2が形成された配列方向の両端部のそれぞれに位置決め穴6が形成される。
【0015】
次に、図1(e)に示すようにLCD、プリント基板、LSIなどの電子部品9の電極8上に熱硬化性、または光硬化性の絶縁接着剤7を塗布する。
【0016】
次に、図1(f)に示すように、凹凸部2aが形成されたフレキシブル基板20の電極2の面と電子部品9の電極8の面とを位置合わせし、接続加工ツール10を用いて加圧する。このとき、電子部品9の電極8の表面と、電極2の凹凸部2aの表面凸部との間の絶縁接着剤7は周囲に排出され電気的に接触する。次に、絶縁性接着剤7が熱硬化型の場合は加圧した状態で接続加工ツール10を加熱し絶縁性接着剤7を硬化させることにより接続が完了する。なお、凹凸部2aが形成されたフレキシブル基板20の電極2と電子部品9の電極8との位置合わせは、フレキシブル基板20の位置決め穴6の2箇所および電子部品9に設けられた認識マーク(図示せず)の画像認識により行われる。
【0017】
このとき、フレキシブル基板20の電極2の凹凸部2aと電子部品9の電極8との接触は、絶縁性接着剤7の硬化時の収縮力によって維持されている。また、電子部品9の電極8と、フレキシブル基板20の電極2との間にある絶縁性接着剤7の硬化は、光硬化型の場合は接続加工ツール10にて加圧と同時に紫外線を照射して絶縁性接着剤7を硬化する。また、接続部の長さは500um以下の非常に短い場合でも、電極2の表面には安定した数量の凸部を有しているため、安定した低導通抵抗を得ることができる。
【0018】
以上、上記実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0019】
フレキシブル基板20に対して、凹凸部2aの形成と位置決め穴6の形成とが同時期に行われる。このため、凹凸部2aと位置決め穴6との位置精度が向上する。この結果、フレキシブル基板20と電子部品9との位置合わせ精度が高まり、接続信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0020】
1…レジスト、2…電極、2a…凹凸部、3…ベースフィルム、4…凹凸加工ツール、5…穴あけ加工ツール、6…位置決め穴、7…絶縁性接着剤、8…電極、9…電子部品、10…接続加工ツール、20…回路基板としてのフレキシブル基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された電極の表面を加圧して前記電極の表面に凹凸部を形成するとともに、位置決め穴を形成することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板の製造方法において、
前記基板の両端部に前記位置決め穴を形成することを特徴とする回路基板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−64621(P2012−64621A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205232(P2010−205232)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】