説明

回路基板積層用キャリア付き合金箔、及び回路基板積層用キャリア付き複合箔、金属張板、プリント配線板及びプリント配線積層板

【課題】線膨張係数を任意に変化させることを可能としたキャリア付き極薄銅/合金複合箔または極薄合金箔を使用することで、金属張板、プリント配線板または積層板において生じる反りや、銅箔を実装するパッケージとの接続箇所における半田クラック等の問題を抑制すること。
【解決手段】回路基板と積層するキャリア付きFe−Ni合金箔、またはキャリア付き銅箔とFe−Ni合金箔の複合箔であって、前記Fe−Ni合金箔の線膨張係数をFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板積層用キャリア付き合金箔、及び回路基板積層用キャリア付き複合箔及びこれら箔を用いた金属張板、プリント配線板、プリント配線積層板に関するものであり、特に、該合金箔、複合箔の線膨張係数を、該箔と貼り合わせる基板の線膨張係数と合わせた配線基板積層用キャリア付き合金箔、及び配線基板積層用キャリア付き複合箔に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリア付銅箔を使用したプリント配線板は、次のようにして製造されている。
一つ目は、ガラス・エポキシ樹脂やポリイミド樹脂など様々な樹脂基材から成る電気絶縁性基板表面に、回路形成用のキャリア付き銅箔またはキャリア付き銅合金箔を置き、加熱・加圧した後キャリア箔を引き剥がすことにより、銅箔張板を製造する方法である。
【0003】
二つ目は、液晶ポリマーやポリアミック酸などの溶融樹脂をキャリア付き銅箔またはキャリア付き銅合金箔に塗布し、乾燥、硬化等させた後キャリア箔を引き剥がすことにより、銅箔張板を製造する方法である。
【0004】
このようにして製造された銅箔張板は、次いでスルーホールの穿設、スルーホールめっきなどを行った後、銅箔張板表面のエッチング処理を行って所望の線幅と所望の線間ピッチを備えた配線パターンを形成しプリント配線板とする。また、得られたプリント配線板を積層することで銅張積層板を製造する。
しかしながら、これらの手法はほんの一例であり、現在多種多様な製造方法が存在する。
【0005】
上記従来の銅箔張板の製造方法には、現在共通に抱える問題点としては以下の2点が挙げられる。
まず1点目として、プリント配線板または積層板において、使用する銅箔と樹脂の線膨張係数の違いにより内部応力が発生し、反りなどが起こる。これは、プリント配線板または積層板中の銅の線膨張係数(17ppm/℃)に対して使用される樹脂の線膨張係数が異なるため、熱により銅箔と樹脂とを接着した場合、熱がかかった際の銅箔と樹脂との線膨張係数の差により、貼り合せた銅箔と樹脂とが冷えるにしたがって両者の間に引張応力または圧縮応力が生じ、プリント配線板または積層板に反りが発生する。
現在この問題の解消目的として、樹脂側にフィラーを入れるなどして線膨張係数を銅箔に近づけることが試みられているが、フィラーを添加することで起こる樹脂の特性低下を懸念してあまり実施できていないのが現状である。
【0006】
2点目として、プリント配線板または積層板において、使用する銅箔と実装したパッケージとの線膨張係数の違いにより接続した半田にクラックが生じることがある。これは、プリント配線板または積層板中の銅の線膨張係数(17ppm/℃)に対して実装されるパッケージの線膨張数が異なるため、熱が掛かった際の銅箔に対するパッケージの線膨張係数の違いにより両者間に引張応力または圧縮応力が生じ、プリント配線板または積層板とパッケージを接続する半田部分に負荷が掛かり、クラックが発生すると考えられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、プリント配線板または積層板中において、銅箔と接着される樹脂基板や実装するパッケージとの線膨張係数の違いによる反りや半田クラック等の問題を抑えることである。
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、線膨張係数を任意に変化させることを可能としたキャリア付き合金箔、及びキャリア付き複合箔を提供し、該箔を使用することで、合金箔または銅複合箔と接着される樹脂や実装するパッケージの線膨張係数に合わせることができ、プリント配線板または積層板に今までのような内部応力の発生に因る反りがなく、また実装したパッケージとの半田クラックが起こらないキャリア付き合金箔及びキャリア付き複合箔を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一は、キャリア箔上に剥離層を介して設けたFe−Ni合金箔からなる回路基板と積層するキャリア付きFe−Ni合金箔であって、該Fe−Ni合金箔の線膨張係数をFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付きFe−Ni合金箔である。
【0010】
本発明の第二は、キャリア箔上に、剥離層、銅または銅合金層、Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、前記複合箔の線膨張係数を、前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔である。
【0011】
好適には前記Fe−Ni合金層を形成のFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板と複合箔の線膨張係数をあわせる。
好適には、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させて所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させて所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させるとともにその厚さを任意に変化させ、あわせて、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
【0012】
本発明の第三は、キャリア箔上に、剥離層、Fe−Ni合金層、銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、前記複合箔の線膨張係数を前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔である。
【0013】
好適には前記Fe−Ni合金層を形成のFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板と複合箔の線膨張係数をあわせる。
好適には、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させ、所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させ、所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させるとともにその厚さを任意に変化させ、あわせて、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
【0014】
本発明の第四は、キャリア箔上に、剥離層、第一Fe−Ni合金層、銅または銅合金層、第二Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、前記複合箔の線膨張係数を前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔である。
【0015】
好適には、前記第一または/及び第二Fe−Ni合金層を形成するFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板と複合箔の線膨張係数をあわせる。
好適には、前記第一Fe−Ni合金層の厚さをまたは/及び第二Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させ、所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させ、所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記第一または/及び第二Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記第一または/及び第二Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させるとともにその厚さを任意に変化させ、あわせて、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
【0016】
本発明の第五は、キャリア箔上に、剥離層、第一銅または銅合金層、Fe−Ni合金層、第二銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、前記複合箔の線膨張係数を前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔である。
【0017】
好適には、前記Fe−Ni合金層を形成のFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板と複合箔の線膨張係数をあわせる。
好適には、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させ、所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記第一または/及び第二銅銅または銅合金層の厚さを任意に変化させ、所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させ、前記第一または/及び第二銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
また好適には、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させるとともにその厚さを任意に変化させ、あわせて、前記第一または/及び第二銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることにより所望の線膨張係数とする。
【0018】
なお、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面をCu、Ni、Fe−Ni合金のいずれかの粒子にて粗化処理することが望ましい。
または、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面にNi層または/及びNi合金層からなる表面処理層を設けることが望ましい。
または、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面にZn層または/及びZn合金層からなる表面処理層を設けることが望ましい。
あるいは、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面にクロメート層、Cr層または/及びCr合金層を設けることが望ましい。
また好ましくは、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面にZn層または/及びZn合金層と、該Zn層または/及びZn合金層の上にクロメート層からなる表面処理層を形成するとよい。
また好ましくは、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面にZn層または/及びZn合金層と、該Zn層または/及びZn合金層の上にCr層または/及びCr合金層からなる表面処理層を形成するとよい。
また望ましくは、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面に前記表面処理層を形成し、該表面処理層表面にシランカップリング剤処理を施することが好ましい。
【0019】
本発明は、前記キャリア付き合金箔または/及び複合箔を用いて金属張板を製造することができる。
【0020】
本発明は、前記キャリア付き合金箔または/及び複合箔を用いて作製した金属張板を用いてプリント配線板を製造することができる。
【0021】
本発明は、前記キャリア付き合金箔または/及び複合箔を用いて作製した金属張板でプリント配線板を作成し、該プリント配線板を積層してプリント配線積層板を製造することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、線膨張係数を任意に変化させることを可能としたキャリア付き合金箔、及びキャリア付き複合箔を提供し、該箔を使用することで、合金箔または銅複合箔と接着される樹脂や実装するパッケージの線膨張係数に合わせることができ、プリント配線板または積層板での内部応力の発生に因る反りを抑制し、また実装したパッケージとの間で半田クラックが起こらないキャリア付き合金箔及びキャリア付き複合箔を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のキャリア箔は、圧延箔もしくは電解箔が使用可能であり、銅・銅合金・アルミ・アルミ合金またはステンレスなどの箔が適しているが、性能やコストの関係上電解銅箔が好ましい。またその厚みは7μm以上70μm以下である。
キャリア箔の厚みが7μm以下では、キャリアとして支持体としての役割を果たさないため不適であり、70μm以上では生産性等を考えると好ましくないためである。
また、キャリア箔の表面粗さはRz=0.1μm〜3μmが好ましい。粗さがRz=0.1μm以下では現実的に量産することが困難であり、またRz=3μm以上では、キャリア箔の粗さがその上に設ける合金箔あるいは複合箔に転写されるので、かかる合金箔や複合箔をファインパターン化するときに適さなくなるからである。
キャリア箔として電解銅箔を採用する際には、表面粗さが低く、結晶組織は柱状晶よりも粒状晶の方が好ましく、キャリア銅箔製造用めっき浴としては、硫酸銅浴、ほうふっ化銅浴、ピロリン酸銅浴、シアン化銅浴によってめっきを行う。また光沢めっきを行う場合は市販の光沢剤を使用しても良いし、または、メルカプト基を有する化合物、塩化物イオン、並びに分子量10,000以下の低分子量膠または/及び高分子多糖類を添加した銅めっき液で製箔しても良い。
【0024】
キャリア箔上に成膜する合金箔は、鉄−ニッケル合金めっき浴を使用しためっきにより鉄とニッケルの組成比を変化させた鉄−ニッケル合金箔を作製する。この合金箔の組成(配合比)の変化により線膨張係数を変化させることができる。
【0025】
キャリア箔上に成膜する銅箔は、キャリア銅箔と同様にファインパターン化のために表面粗さを0.1μm〜3μmの範囲にすることが好ましく、結晶組織は柱状晶よりも粒状晶の方が好ましい。成膜用銅めっき浴としては、硫酸銅浴、ほうふっ化銅浴、ピロリン酸銅浴、シアン化銅浴によってめっきを行う。また光沢めっきを行う場合は市販の光沢剤を使用しても良いし、または、メルカプト基を有する化合物、塩化物イオン、並びに分子量10,000以下の低分子量膠または/及び高分子多糖類を添加した銅めっき液で製箔しても良い。
【0026】
本発明のキャリア箔、剥離層、銅または銅合金箔(以下これらを区別する必要がないときは銅箔と記す)、Fe−Ni合金箔からなるキャリア付き複合箔においては、銅箔の厚さ、Fe−Ni合金箔の厚さ、配合(組成)比を任意に組み合わせることで、所望する線膨張係数の複合箔とすることができる。
【0027】
本発明のキャリア箔、剥離層、銅または銅合金箔(以下これらを区別する必要がないときは銅箔と記す)、Fe−Ni合金箔からなるキャリア付き複合箔においては、銅箔の厚さ、Fe−Ni合金箔の厚さ、配合(組成)比を任意に組み合わせることで、所望する線膨張係数の複合箔とすることができる。
【0028】
本発明のキャリア箔、剥離層、第一Fe−Ni合金箔、銅箔、第二Fe−Ni合金箔からなるキャリア付き複合箔においては、第一または/あるいは第二Fe−Ni合金箔の厚さ、配合(組成)比と銅箔の厚さを任意に組み合わせることで、所望する線膨張係数の複合箔とすることができる。
【0029】
本発明のキャリア箔、剥離層、第一銅箔、Fe−Ni合金箔、第二銅箔からなるキャリア付き複合箔においては、第一または/あるいは第二銅箔の厚さと、Fe−Ni合金箔の配合(組成)比と厚さを任意に組み合わせることで、所望する線膨張係数の複合箔とすることができる。
〔実施形態〕
【0030】
次に、本発明を実施形態(実施例)に基づき詳細に説明する。
この実施例は、本発明の一般的な説明をする目的で記載するものであり、何ら限定的意味を持つものではない。
【0031】
(1)本実施例における銅箔の作成条件は下記のとおりである。
銅箔作製条件
硫酸銅めっき(その1)
めっき浴: CuSO・5HO 100〜450g/l
SO 10〜180g/l
電流密度: 10〜50A/dm
浴温: 30〜60℃
【0032】
硫酸銅めっき(その2)
めっき浴: CuSO・5HO 100〜450g/l
SO 10〜180g/l
光沢剤 適量
電流密度: 10〜50A/dm
浴温: 30〜60℃
【0033】
ピロ燐酸銅めっき
めっき浴: Cu・3HO 20〜120g/l
200〜500g/l
NH 1〜10ml/l
電流密度: 10〜70A/dm
浴温: 30〜60℃
【0034】
ほうふっ化銅めっき
めっき浴: Cu(BF 200〜500g/l
HBF 10〜50g/l
電流密度: 10〜50A/dm
浴温: 25〜50℃
【0035】
シアン化銅めっき
めっき浴: CuCN 10〜120g/l
NaCN 30〜150g/l
NaOH 10〜50g/l
Na(Co) 10〜140g/l
電流密度: 1〜7A/dm
浴温: 20〜80℃
【0036】
(2)本実施例における合金箔の作成条件は下記のとおりである。
鉄−ニッケル合金めっき
めっき浴: NiSO・6HO 80〜350g/l
NiCl・6HO 40〜80g/l
FeSO・7HO 5〜20g/l
BO 40〜50g/l
陰極電流密度: 1〜10A/dm
浴温: 55〜65℃
【0037】
(3)比較例におけるニッケル箔の作成条件は下記のとおりである。
ニッケルめっき
めっき浴: NiSO・6HO 200〜380g/l
NiCl・6HO 30〜60g/l
BO 30〜50g/l
陰極電流密度: 1〜8A/dm
浴温: 40〜70℃
【0038】
〔実施例1〜3〕
キャリア銅箔の上に剥離層を設け、該剥離層上に鉄−ニッケル合金めっき浴を使用し、配合比の異なる3種類の合金箔を厚さ5μmとなるように作製した。その際のFeとNiの配合(組成)比(mass%)は、
実施例1:Fe:Ni=64:36
実施例2:Fe:Ni=58:42
実施例3:Fe:Ni=50:50
比較例として合金箔に変えてニッケルめっき浴によりニッケルのみを剥離層上に成膜した。
比較例1:Fe:Ni=0:100
実施例1〜3と比較例1の線膨張係数を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1に示すように鉄とニッケルとの配合比により、合金箔の線膨張係数は変化する。このように、鉄とニッケルの組成比を任意に変化させることにより所望の線膨張係数の合金箔を製造することができる。
【0041】
〔実施例4〜15〕
キャリア箔の上に剥離層を設け、該剥離層上に薄銅箔層、鉄−ニッケル合金めっき層をこの順に積層し、銅箔の厚さを変え(1または5μm)、また鉄−ニッケル合金めっき箔の厚さ(1又は5μm)、組成比(Fe:Ni=64:36、58:42、50:50〔mass%〕)を組み合わせて変えた合金箔を作製した。薄銅箔層は前記硫酸銅めっき(その1)で、鉄−ニッケル合金層は前記鉄−ニッケル合金めっき浴で成膜した。銅層の厚さ、鉄−ニッケル合金めっき層の厚さと配合比を表2に示す。
また、各実施例の線膨張係数を表2に併記する。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示すように、実施例4と5、6と7等から明らかなように銅箔の厚さを変えることで複合箔の線膨張係数は変化する。
また、実施例4と6、5と7等から明らかなように銅箔の厚さ、合金箔の組成を変えずに合金箔の厚さを変えることで複合箔の線膨張係数は変化する。
また、実施例4と8、5と9等から明らかなように各々の厚さを変えずに合金の配合比を買えることで複合箔の線膨張係数は変化する。
この実施例から明らかなように、鉄とニッケルとの配合比、厚さ、銅箔の厚さをそれぞれ変えて組み合わせることで、複合箔の線膨張係数は変化する。このように、鉄とニッケルの配合比と厚さ、銅箔の厚さを任意に変化させ、組み合わせることにより所望の線膨張係数の合金箔を製造することができる。
【0044】
〔実施例16〜27〕
キャリア銅箔の上に剥離層を設け、該剥離層上に鉄−ニッケル合金めっき浴を使用して鉄−ニッケル合金層を、該合金層上に硫酸銅めっき(その1)浴により銅層を設け、鉄−ニッケル合金めっき層の厚さを変え(1又は5μm)、また組成比(Fe:Ni=64:36、58:42、50:50〔mass%〕)を変え、銅層の厚さ(1または5μm)を変えて、種々の組み合わせによる合金箔を作製した。鉄−ニッケル合金めっき層の配合比と厚さ、銅箔の厚さを表3に示す。
また、各実施例の線膨張係数を表3に併記する。
【0045】
【表3】

【0046】
表3に示すように、実施例16と17、18と19等から明らかなように銅層の厚さを変えることで複合箔の線膨張係数は変化する。
また、実施例16と18、17と19等から明らかなように銅層の厚さ、合金層の配合比を変えずに合金層の厚さを変えることで複合箔の線膨張係数は変化する。
また、実施例16と20、17と21等から明らかなように銅層、合金層の厚さを変えずに合金層の配合比を変えることで複合箔の線膨張係数は変化する。
この実施例から明らかなように、鉄とニッケルとの配合比、厚さ、銅箔の厚さをそれぞれ変えて組み合わせることで、複合箔の線膨張係数は変化する。このように、合金層の厚さと配合比、銅層の厚さを任意に変化させ、組み合わせることにより所望の線膨張係数の合金箔を製造することができる。
【0047】
〔実施例28〜43〕
キャリア銅箔の上に剥離層を設け、該剥離層上に第一鉄−ニッケル合金めっき層、薄銅箔層、第二鉄−ニッケル合金めっき層をこの順に積層した。第一鉄−ニッケル合金めっき層、第二鉄−ニッケル合金めっき層は前記鉄−ニッケルめっき浴により、薄銅箔層は前記ピロ燐酸銅めっき浴で成膜した。
薄銅箔層の厚さを変化させ(1又は5μm)、合金層の配合比を変化させ(Fe:Ni=64:36、58:42、50:50〔mass%〕)、それらを種々組み合わせ、合金箔を作製した。第一鉄−ニッケル合金めっき層の配合比と厚さ、銅箔の厚さ、第二鉄−ニッケル合金の配合比を表4に示す。
また、各実施例の線膨張係数を表4に併記する。
【0048】
【表4】

【0049】
表4に示すように、銅層を挟んで鉄−ニッケル合金層を設けた複合箔は、実施例28、29、30等から明らかなように、第一鉄−ニッケル合金層の配合比を変えることで線膨張係数は変化する。また、実施例31と32等から明らかなように第二鉄−ニッケル合金層の配合比を変えることで複合箔の線膨張係数は変化する。
また、実施例28と33から明らかなように、第一鉄−ニッケル合金層の厚さ、第二鉄−ニッケル合金層の厚さを変えることで線膨張係数は変化する。
また、実施例28と34等から明らかなように銅層の厚さを変えることで複合箔の線膨張係数は変化する。
この実施例から明らかなように、第一、第二鉄−ニッケル合金層の鉄とニッケルとの配合比、厚さ、銅箔層の厚さをそれぞれ変えて組み合わせることで、複合箔の線膨張係数は変化する。このように、合金層の鉄とニッケルの配合比と厚さ、銅箔層の厚さを任意に変化させ、組み合わせることにより所望の線膨張係数の合金箔を製造することができる。
【0050】
〔実施例44〜55〕
キャリア銅箔の上に剥離層を設け、該剥離層上に第一銅箔層、鉄−ニッケル合金めっき層、第二銅箔層をこの順に積層し、第一銅層厚さ(1または5μm)、鉄−ニッケル合金めっき層厚さ(1又は5μm)、組成比(Fe:Ni=64:36、58:42、50:50〔mass%〕) 、第二銅層厚さ(1または5μm)を組み合わせた合金箔を作製した。
第一銅箔層は前記ほうふっ化銅めっき浴で、第二銅箔層はシアン化銅めっき浴で成膜した。
また、鉄−ニッケル合金層は前記鉄−ニッケル合金めっき浴で成膜した。
第一、第二銅箔層の厚さを変化させ(1又は5μm)、また合金層の厚さと配合比を変化させ(Fe:Ni=64:36、58:42、50:50〔mass%〕)、それらを種々組み合わせ、合金箔を作製した。
第一銅箔層の厚さ、鉄−ニッケル合金の配合比と厚さ、第二銅箔層の厚さを表5に示す。
また、各実施例の線膨張係数を表5に併記する。
【0051】
【表5】

【0052】
表5に示すように、鉄−ニッケル合金層を挟んで銅箔層を設けた複合箔は、実施例44、45、46等から明らかなように、鉄−ニッケル合金層の配合比を変えることで線膨張係数は変化する。また、実施例44と47等から明らかなように鉄−ニッケル合金層の厚さを変えることで複合箔の線膨張係数は変化する。
また、実施例44と48等から明らかなように、第一銅箔層、第二銅箔層の厚さを変えることで線膨張係数は変化する。
この実施例から明らかなように、第一、第二銅箔層の厚さ、鉄−ニッケル合金層の鉄とニッケルとの配合比、厚さをそれぞれ変えて組み合わせることで、複合箔の線膨張係数は変化する。このように、合金層の鉄とニッケルの配合比と厚さ、銅箔層の厚さを任意に変化させ、組み合わせることにより所望の線膨張係数の合金箔を製造することができる。
【0053】
本発明において線膨張係数の測定は熱機械分析装置(TMA:セイコー電子製SS6000)を使用した。試験方法は、作製したキャリア付き合金箔及びキャリア付き複合箔の薄箔を剥離し、幅10mmにカットして試験片とした。これを熱機械分析装置内のチャックに取り付け、窒素雰囲気下で室温から220℃まで5℃/minで昇温後、同速度で20℃まで降下させた。次に同速度で昇温を行い、40〜200℃までの平均線膨張係数を測定した(n=3)。
【0054】
実施例1〜3と比較例1の結果を示した表1より、比較例1の純ニッケル箔では線膨張係数12.9ppm/℃であるのに対し、鉄の比率を増加させるに従いFe:Ni=64:36〔mass%〕で線膨張係数1.2ppm/℃まで低下した。
【0055】
実施例4〜55と比較例2の結果を示した表2〜5より、比較例2の銅箔では線膨張係数16.8ppm/℃であるのに対し、鉄−ニッケル合金箔を銅箔と複合させて線膨張係数1.8〜15.5ppm/℃の範囲で制御することが可能であった。
【0056】
以上の実施例及び比較例より、本発明のキャリア付き複合箔及びキャリア付き合金箔は、任意の線膨張係数を持たせることが可能である。
【0057】
キャリア付き複合箔及びキャリア付き合金箔上に各種樹脂との接着性を向上させる目的で樹脂基板との接着面に表面処理層を設ける。表面処理層としては、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面をCu、NiまたはFe−Ni合金のいずれかの粒子にて粗化処理することが望ましい。
または、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面にNi層または/及びNi合金層からなる表面処理層を設けることが望ましい。
または、Zn層または/及びZn合金層からなる表面処理層、クロメート層、Cr層または/及びCr合金層からなる表面処理層、Zn層または/及びZn合金層と該Zn層または/及びZn合金層の上にクロメート層からなる表面処理層を形成するとよい。
また好ましくは、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面にZn層または/及びZn合金層と、該Zn層または/及びZn合金層の上にCr層または/及びCr合金層からなる表面処理層を形成する。
また、前記合金箔または前記複合箔の樹脂層と接触する表面に前記表面処理層を形成し、該表面処理層表面にシランカップリング剤処理を施すことが好ましい。
【0058】
上記表面処理の一例を以下に示す。
(1)粗化処理条件
めっき浴:Cu 20〜35g/l
H2SO4 110〜160g/l
電流密度: 10〜50A/dm
浴温: 15〜35℃
【0059】
(2)Niめっき処理条件
めっき浴:NiSO/7H 220〜360g/l
H3BO 20〜50g/l
電流密度: 1〜5A/dm
浴温: 15〜35℃
【0060】
(3)Znめっき処理条件
めっき浴:ZnO 5〜30g/l
NaOH 80〜180g/l
電流密度: 1〜10A/dm
浴温: 15〜35℃
【0061】
(4)クロメート処理条件
処理浴:CrO 0.5〜3g/l
電流密度: 1〜4A/dm
浴温: 15〜30℃
【0062】
(5)シランカップリング剤処理
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 0.1〜0.5%溶液を塗布
【0063】
上記の条件で表面処理を施された実施例を以下に示す。
銅粗化処理後粗さ Rz=1.5μm
表面処理後Ni付着量 0.10mg/dm
表面処理後Zn付着量 0.09mg/dm
表面処理後Cr付着量 0.05mg/dm
表面処理後Si付着量 0.02mg/dm
【0064】
本発明の前記キャリア付き合金箔または/及びキャリア付き複合箔を用いて金属張板を作製することができる。即ち、本発明前記キャリア付き合金箔または/及びキャリア付き複合箔を樹脂基板に貼り付けることで箔と樹脂基板との線膨張係数が一致した金属張板を提供することができる。
また、本発明のキャリア付き合金箔または/及びキャリア付き複合箔を用いてプリント配線板を作製することができる。即ち、前記キャリア付き合金箔または/及びキャリア付き複合箔を用いて作製した金属張板にエッチング等により回路を構成することにより、回路を構成した金属箔と樹脂基板との線膨張係数が一致したプリント配線板を提供することができる。
【0065】
上記のように作製したプリント配線板を複数枚積層することにより、プリント配線積層板を製造することができる。このプリント配線積層板は、配線金属と樹脂基板との線膨張係数が一致したものとなる。
【0066】
本発明のキャリア付き合金箔または/及びキャリア付き複合箔を用いて作成された金属張板、プリント配線板、プリント配線積層板は、キャリア付き合金箔、キャリア付き複合箔の線膨張係数を該箔と貼り合わせる各種樹脂の線膨張係数に極力近づけることにより内部応力を発生しづらくさせたことを特徴とするものである。
本発明は上述したように、線膨張係数を任意に変化させることを可能としたキャリア付き合金箔、及びキャリア付き複合箔を提供し、合金箔または複合箔と接着する樹脂や実装するパッケージの線膨張係数に合う線膨張係数の箔を選択することで、プリント配線板または積層板に内部応力の発生に因る反りを抑制し、また実装したパッケージとの間で半田クラックを起さない金属張板、プリント配線板、プリント配線積層板を提供することができる、優れた効果を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア箔上に剥離層を介して設けたFe−Ni合金箔からなる回路基板と積層するキャリア付きFe−Ni合金箔であって、
該Fe−Ni合金箔の線膨張係数をFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせる
ことを特徴とする回路基板積層用キャリア付きFe−Ni合金箔。
【請求項2】
キャリア箔上に、剥離層、銅または銅合金層、Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層を形成のFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項3】
キャリア箔上に、剥離層、銅または銅合金層、Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項4】
キャリア箔上に、剥離層、銅または銅合金層、Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項5】
キャリア箔上に、剥離層、銅または銅合金層、Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項6】
キャリア箔上に、剥離層、銅または銅合金層、Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項7】
キャリア箔上に、剥離層、銅または銅合金層、Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させるとともにその厚さを任意に変化させ、あわせて、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項8】
キャリア箔上に、剥離層、Fe−Ni合金層、銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層を形成のFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項9】
キャリア箔上に、剥離層、Fe−Ni合金層、銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項10】
キャリア箔上に、剥離層、Fe−Ni合金層、銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項11】
キャリア箔上に、剥離層、Fe−Ni合金層、銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項12】
キャリア箔上に、剥離層、Fe−Ni合金層、銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項13】
キャリア箔上に、剥離層、Fe−Ni合金層、銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させるとともにその厚さを任意に変化させ、あわせて、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項14】
キャリア箔上に、剥離層、第一Fe−Ni合金層、銅または銅合金層、第二Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記第一Fe−Ni合金層を形成のFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項15】
キャリア箔上に、剥離層、第一Fe−Ni合金層、銅または銅合金層、第二Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記第二Fe−Ni合金層を形成のFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項16】
キャリア箔上に、剥離層、第一Fe−Ni合金層、銅または銅合金層、第二Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記第一Fe−Ni合金層の厚さをまたは/及び第二Fe−Ni合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項17】
キャリア箔上に、剥離層、第一Fe−Ni合金層、銅または銅合金層、第二Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項18】
キャリア箔上に、剥離層、第一Fe−Ni合金層、銅または銅合金層、第二Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記第一または/及び第二Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させ、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項19】
キャリア箔上に、剥離層、第一Fe−Ni合金層、銅または銅合金層、第二Fe−Ni合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記第一または/及び第二Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させるとともにその厚さを任意に変化させ、あわせて、前記銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項20】
キャリア箔上に、剥離層、第一銅または銅合金層、Fe−Ni合金層、第二銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層を形成のFe成分とNi成分との配合比を変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項21】
キャリア箔上に、剥離層、第一銅または銅合金層、Fe−Ni合金層、第二銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層の厚さを任意に変えることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項22】
キャリア箔上に、剥離層、第一銅または銅合金層、Fe−Ni合金層、第二銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記第一または/及び第二銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項23】
キャリア箔上に、剥離層、第一銅または銅合金層、Fe−Ni合金層、第二銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させ、前記第一または/及び第二銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項24】
キャリア箔上に、剥離層、第一銅または銅合金層、Fe−Ni合金層、第二銅または銅合金層をこの順に設けた回路基板と積層するキャリア付き複合箔であって、
前記複合箔の線膨張係数を、前記Fe−Ni合金層のFe及びNiの合金組成比を任意に変化させるとともにその厚さを任意に変化させ、あわせて、前記第一または/及び第二銅または銅合金層の厚さを任意に変化させることで前記回路基板の線膨張係数にあわせることを特徴とする回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項25】
前記合金箔の樹脂層と接触する表面をCu、Ni、Fe−Ni合金のいずれかの粒子にて粗化処理したことを特徴とする請求項1に記載の回路基板積層用キャリア付きFe−Ni合金箔。
【請求項26】
前記複合箔の樹脂層と接触する表面をCu、Ni、Fe−Ni合金のいずれかの粒子にて粗化処理したことを特徴とする請求項2〜24のいずれかに記載の回路基板積層用キャリア付き複合箔。
【請求項27】
請求項1から25のいずれかに記載のキャリア付き合金箔または/及び複合箔を用いて作製した金属張板。
【請求項28】
請求項27に記載の金属張板を用いて作製したプリント配線板。
【請求項29】
請求項28に記載のプリント配線板を用いて作製したプリント配線積層板。

【公開番号】特開2009−246120(P2009−246120A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90556(P2008−90556)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】