説明

回転制御装置

【課題】回転制御装置に関し、モジュールとして異なる形式の駆動源に容易に追加することができる回転制御装置を提供する。
【解決手段】入力12と、出力28と、摩擦フェーシング82と、摩擦フェーシング82を係合位置と非係合位置との間で移動させる手段94,100とを備え、入力12が、軸に対し第一の非平行な角度を持って延出するインタフェース面26を含み、出力28が、軸に対し第二の非平行な角度を持って延出する摩擦面70を有し、フェーシング82が、インタフェース面26に接するための第一の面88と、摩擦面70に接するための第二の面86とを含み、係合位置で、第一の面88とインタフェース面26とが係合し、且つ、第二の面86と摩擦面70とが係合して入力12、出力28及び摩擦フェーシング82を関連づけて回転可能とし、非係合位置で、入力12及び出力28が独立して回転可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して出力に対する入力の回転を制御するための装置に係り、とりわけサーボモータに使用する回転制御装置に関し、特にサーボモータブレーキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーボモータは、機械部品の動作を制御する駆動源として徐々に使用が増大されている。パーキング又は緊急停止を含み且つそれらに限定されない状況下、またサーボモータへの動力遮断という状況下で、駆動されている機械部品の動作を停止させるのに望ましいサーボモータの出願が存在する。典型的に、サーボモータは、一体化されたブレーキ装置と一緒に或いはそれ無しに、製造業者から購入される。しかし、サーボモータに付加される分離モジュール化されたブレーキの要請が高まっている。特に、これはサーボモータのユーザに、全ての使用のための標準的サーボモータを購入し(おそらく量的割引による安い単価で)、ブレーキが必要になるか或いは望まれたときのみブレーキモジュールをサーボモータに追加する、ということを許容するであろう。好ましい態様において、このような追加的サーボモータブレーキは、一体的サーボモータ及びブレーキの動作特徴(performance characteristics)を越え、全体のサイズを最小化するものであるのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような要求を満足するのに大きな障害は、サーボモータの製品が標準化された構成を採用されてないということである。特に、サーボモータのドライブシャフトは径のサイズが異なる。また、典型的に出力面にパイロットを含むが、パイロット面のサイズや形もサーボモータの製造業者の間で異なる。さらに、典型的に出力面はねじが切られた四つの穴を含み、これら穴はパイロットより大きい四角のコーナーに位置され、駆動される装置部品から延出するスクリュ(ねじ)を受け入れるが、これら穴は径が異なると共に、ドライブシャフトから異なる径方向離間距離に位置される。在庫の要求を減らし大量生産の利益を受けるため、サーボモータに取り付けられるためモジュール化されるブレーキは、如何なる製造業者の全てのサーボモータに使用できる普遍性を有し、ブレーキを取り付けることを望む特定のサーボモータに対応して容易に且つ予め改変できるものであるのが望ましい。
【0004】
本発明の目的は、モジュールとして異なる形式の駆動源に容易に追加することができるそのような新規な回転制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、回転制御の分野における上記の要求及び他の問題を解決するものである。好適な形態において、ハウジング部の環状ディスクの外面から径方向内側に延出する複数の穴が設けられ、それぞれの穴はサーボモータ等の駆動源への取り付けのためのスクリュを受け入れるために用いられる。また、環状ディスクの面に形成され軸方向に延出する凹部が設けられ、凹部はサーボモータのパイロットを受け入れる。本発明の最も好適な形態において、サーボモータのハウジング部への整列は、サーボモータのドライブシャフトを回転制御装置の入力の軸方向ボア(穴)に受け入れることにより達成される。最も好適な形態において伸長可能なカップリングが用いられ、これは軸方向ボアが標準的サイズとなり、しかしながら異なるサイズ及び形のドライブシャフトに接続されるのを許容する。
【0006】
本発明の他の形態において、くさび(ウェッジ)状の環状摩擦フェーシングが係合位置と非係合位置との間で移動される。入力と出力とは、非係合位置においては独立して回転可能であり、環状摩擦フェーシングの第一面及び第二面が、入力のインタフェース面と出力の摩擦面とに接触したとき、互いに関連づけて回転可能である。インタフェース面及び摩擦面は、それぞれ入力の回転軸に対し反対方向の非平行な角度を持って延出する。
【0007】
全ての図面は本発明の基本的教示の説明を簡単にするためにのみ描かれている。好適実施形態をなす部品の数、位置、関係及び寸法に関し、図の拡張は、後述の説明が読まれ、理解された後には説明され、当業者の理解の範疇であろう。また、特定の力、重量、強度及び類似の要求に適合させるための正確な寸法や寸法比も同様に、後述の説明が読まれ、理解された後には当業者の理解の範疇であろう。図面には様々な符号が用いられているが、同一の符号は同一或いは類似の部品を表している。また、「第一」、「第二」、「内側」、「外側」、「外の」、「内の」、「端」、「側」、「軸方向」、「径方向」、及び類似の語句がここで用いられているとき、これらの語句は、図面を見ている者にとって明らかとなるよう図面に示された構造にのみ言及しており、図示された実施形態の説明を容易にするためにのみ用いられていると理解すべきである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モジュールとして異なる形式の駆動源に容易に追加することができるそのような新規な回転制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】サーボモータに対する特別の用途を有したブレーキの最も好適な形態において、回転制御装置の終端側を示している。
【図2】図1の回転制御装置の2−2線に沿った断面を示し、それによって駆動されるサーボモータと装置部品要素とが部分的に且つ仮想的に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適実施形態に従う回転制御装置が、スプリングで係合され流体で解放されるブレーキとして、且つ全体として符号10で図面に示されている。ブレーキ10はその最も好適な形態において入力12の回転制御のためのものである。入力12は概して第一軸部14と第二軸部16とを含む。部分14は、概して円形断面の外面18と、内部の軸方向に延出するボア20とを有する。ボア20は、動力源96のシャフト21を回転不可の方法で受け入れるためのものである。最も好適な形態において、ブレーキ10は電気サーボモータ96に用いられ、シャフト21はサーボモータ96の一部である。部分16はシャフトの形態をとっており、このシャフトは、サーボモータ96によって制御される機械、ロボット、或いは他の装置部品23に関連づけられるためのものである。その最も好適な形態において、入力12はさらに径方向に延出するインタフェース24を含み、インタフェース24は概して部分14及び16の連結部に位置する。インタフェース24は、環状インタフェース面26で終止し、環状インタフェース面26は入力12の軸に対し非平行の角度を持って延出すると共に、入力12の軸に対し径方向に延出し、特に図2を左から右に見たとき軸に対し径方向外側に延出する。最も好適な形態において、面26は入力12の軸に対し20°から25°程度の角度で延出する。面26は入力12の軸から比較的短い径方向の離間位置にあり、最も好適な形態において、入力12の軸から面18までの径方向離間距離の2倍より少ない位置にある。最も好適な形態において、入力12の部分14、16及びインタフェース24は、単一材料として一体に形成される。
【0011】
ブレーキ10はさらに、最も好適な形態においてハウジング28として示される出力を含み、入力12は、最も好適な形態においてはハウジング28内で、ハウジング28に対しその軸回りに回転可能である。ハウジング28は、サーボモータ取付ハウジング部30及びエアチャンバハウジング部32を含む。ハウジング部30は概して、径方向に向けられた環状ディスク34と、概して軸方向に延出し、ディスク34の第一面37から延出する筒状部材36とを含む。本発明の教示に従うディスク34は、ディスク34の第一面37からその第二の、反対側の面39に延出する軸方向の開口38を含む。開口38は、サーボモータ96のシャフト21より大きいサイズを有し、最も好適な形態において、入力12の面18より大きい径方向サイズを有する。ディスク34はさらに、ディスク34の第二面39から第一面37に向かって延出し、しかしながら第一面37から離間される筒状の凹部40を含む。凹部40は概して開口38に同軸で、開口38より大きい径方向サイズを有し、市場で入手できるサーボモータ96の最大のパイロット98に少なくとも等しいか或いは好ましくは僅かに大きい径方向サイズを有する。
【0012】
ディスク34の外面42は概して四角形状である。穴44が、筒状部材36及び筒状凹部40より外側の径方向位置にて、ディスク34の第一面37及び第二面39の間を貫通する。穴44は、最も好適な形態において、第二面39から第一面37に向かってしかしながら第一面37から離間された位置まで穴ぐりされる。図示される形態において、四つの穴44が、ディスク34の外面42の四角形状のコーナーに近接されて、しかしながら等しく周方向にオフセットされて、設けられる。本発明の好適な教示に従うディスク34はさらに複数の溝46を含み、溝46は穴44から周方向に離間されると共に、ディスク34の外面42の四角形状のそれぞれのコーナーから径方向内側に延出する。図示される形態において、これら溝46は、筒状部材36の外面に概して等しくしかしながらその外面より僅かに大きい内径側の領域を規定する。径方向のツール溝45が、外面42の四角形状の一側から垂直に延出し、軸方向開口38に径方向から交差する。溝45はディスク34の面39から、面37に向かってしかしながら面37から離間された位置まで延出する。
【0013】
筒状部材36の内面及び外面は、最も好適な形態において断面円形であり、入力12及び軸方向開口38の軸に同軸である。ハウジング部30の筒状部材36は、その軸方向の自由端及びその外面から内方に延出する環状肩部(shoulder)47を含む。
【0014】
ハウジング部32は概して、径方向に向けられた環状カラー48と、カラー48の第一面52から概して軸方向に延出する一体リング50とを含む。本発明の教示に従うカラー48は開口54を含み、開口54は、第一面52とその反対側の第二面56とを貫通すると共に、軸部16より大きいサイズ及び最も好適な形態において軸部14の表面18に概して等しい径方向サイズを有する。ショルダ58が開口54内に延出し、ショルダ58は面56と概して面一であると共に、開口54の軸方向長さより著しく短い軸方向長さを有する。
【0015】
入力12はベアリング60によりハウジング部32に回転可能に取り付けられる。特に、ベアリング60はインナレースを含み、インナレースは軸部16上に受け止められると共に、軸部14とインタフェース24とに概して隣接するインナエンドを有する。ベアリング60はさらにアウタレースを含み、アウタレースは開口54内に受け止められると共に、ショルダ58に隣接するアウタエンドを有する。カラー48の外面はリング50の外面と同一の広がりを有し(coextensive)、最も好適な形態において、ハウジング部30の外面42にほぼ対応したサイズの略四角形状である。カラー48は環状ピストンチャンバ62を含み、環状ピストンチャンバ62は、開口54より大きい径方向サイズの軸方向に延出する内面64を有し、面64より大きい径方向サイズの軸方向に延出する外面66を有する。
【0016】
リング50は軸方向に延出する第一の内面68を有し、これは面66と同一の径方向サイズであり、面66と同一の広がりを有する。面部68の軸方向内側にあり、これと同一の広がりを有するのは、第二の、中間の、内側の、摩擦面部70である。摩擦面部70は、入力12の軸に対し非平行の角度を持って延出し、最も好適な形態において、入力12の軸に対し10°程度の角度を持つ。最も好適な形態において、面部70は、図2を左から右にみたとき、入力12の軸に対する径方向内側に延出する。面部70の軸方向内側にあり、これと同一の広がりを有するのは、第三の、軸方向に延出する内面部72である。内面部72は、面部68より大きい径方向サイズを有し、ハウジング部30のショルダ47と略等しい径方向サイズを有し、ショルダ47に受け入れられるためのものである。ねじ穴76は、ハウジング部32のリング50とカラー48とを軸方向に貫通し、ハウジング部30の穴44に対応して互いに径方向に離間して位置される。ハウジング部30及び32はねじ78によって固定され、スクリュ78は穴44に挿通され、穴76に螺合される。ハウジング部30及び32は、ハウジング部30の筒状部材36のショルダ47に、ハウジング部32のリング50の自由端及び面部70を受け入れることによって、軸方向の相対位置が保持される。ハウジング部32のピストンチャンバ62に加圧流体を導入するため、適当な装置がハウジング部32に設けられる。
【0017】
本発明の好適な教示によれば、ブレーキ10は更に、ほぼくさび状の環状摩擦フェーシング82を備えている。特に、摩擦フェーシング82は、面26と面部70との間に収容されるように、面26と面部70との間よりも若干小さい半径方向サイズを有する第一半径方向延出面84を備えている。更に、摩擦フェーシング82は、面部70と摩擦係合して連結できるような半径方向サイズおよび形状を有し、面84から延びる外面86を備えている。摩擦フェーシング82はまた、面26と摩擦係合できるような半径方向サイズおよび形状を有し、面84から延びる第一の面部88を有する内面を備えている。摩擦フェーシング82の内面はまた、第一の面部88から軸方向内側に延びる第二の面部90を有している。摩擦フェーシング82は更に、面86と面部90の内側端部間を延びる第二半径方向延出面92を備えている。従って、面86と面部88とは、面84から離れるにつれて半径方向の間隔が大きくなり、また面92から離れるにつれて半径方向の間隔が小さくなる。
【0018】
本発明の好適な教示におけるブレーキ10は、摩擦フェーシング82を係合位置と非係合位置との間を移動させるための適切な装置を備えている。最も好ましい形態では、摩擦フェーシング82は、圧縮スプリング94により付勢されて係合位置へと移動される。圧縮スプリング94は、筒状部材36の内側面付近に配置され、摩擦フェーシング82の面92とハウジング部30の面37との間を軸方向に延びる。
【0019】
最も好ましい形態では、摩擦フェーシング82は、ピストンチャンバ62内にスライド可能に収容された環状ピストン100によって非係合位置へ移動される。最も好ましい形態では、ピストン100はL字状の半径断面を有している。ピストン100の半径断面は、面64と66との間にスライド可能に収容できるように形成された内面と外面とを有するピストン本体102を備えている。図示したOリング等の適切なシール手段が、ピストン102とチャンバ62との間に設けられる。ピストン100は更に、本体102から軸方向に延出した環状フランジ104を備えている。環状フランジ104は本体102の外面と同一の広がりを有し、面部68内にスライド可能に収容できるように、ほぼ等しい最大半径方向サイズを有する外側面を有している。フランジ104は、本体102よりも小さい半径方向サイズ(厚さ)を有し、かつ、面26と面部70との間に収容できるようにその間よりも小さい半径方向サイズを有している。フランジ104は摩擦フェーシング82の半径方向延出面84と接触する自由端まで延びている。フランジ104によって、本体102はピストンチャンバ62内でより大きな断面を持つことができる。これによって、面26と面部70との半径方向の間隔、及び面84及び摩擦フェーシング82の半径方向の広がり(大きさ)を最小限にしても流体の圧力による力を得ることができる。チャンバ62内に流体が導入されると、ピストン100は流体圧力によって、ハウジング部32に対して軸方向にスライドする。これによって、ピストン100はスプリング94による付勢に対向して摩擦フェーシング82を係合位置から非係合位置へと移動させる。ピストン100による摩擦フェーシング82の軸方向への移動は、面92がハウジング部30の筒状部材36の自由端と接触するまで行われる。
【0020】
これまで、本発明の好適な教示によるブレーキ10の基本的構造を説明した。ここでブレーキ10の好適な応用例やいくつかの利点を説明する。具体的には、サーボモータ96のシャフト21は軸方向に延出してボア20内に固定される。最も好ましい形態では、シャフト21は様々なサイズおよび形状のものを使用でき、ボア20は、入力12の製造を容易にするために標準(統一)サイズに形成される。そして、シャフト21をボア20内に固定するために伸張可能なカップリング106が用いられる。詳しくは、カップリング106は、互いに軸方向に相対移動可能な第一および第二要素を備えている。例えば、互いに嵌入連結され、ボア20内にスライド不可に収容される外側軸面と、あらゆるサイズ・形状の入力シャフト21をスライド不可に収容する内側軸面を備えたものである。シャフト21はカップリング106内に挿入され、次にカップリング106がボア20内に挿入される。このときカップリング106は伸張不可の状態となる。サーボモータ96及びブレーキ10は、パイロット98が凹部40内に収容された状態で互いに相対的に移動される。この移動はハウジング部30の面39がパイロット98よりも径方向外側に位置するサーボモータ96の表面と接触するまで行われる。その状態で、レンチあるいは同様な工具がツール溝45を通して挿入され、伸張可能なカップリング106を伸張状態にしてシャフト21を軸方向に延出するボア20内に固定する。
【0021】
シャフト21(最も好ましくは、シャフト21及びカップリング106)をボア20内に収容することによってブレーキ10とサーボモータ96とを整列させることができることが利点である。特に、整列させる目的で、凹部40とパイロット98とをきっちりと(僅かな隙間で )スライド可能に収容させる必要がない。事実、最も好ましい形態では、凹部40は、サーボモータ96が有するあらゆるサイズ・形状のパイロット98よりも大きい。従って、本発明の好適な教示における凹部40は、特定のサーボモータ96のパイロット98が有するサイズ・形状に合わせるために機械加工や変形を施す必要がない。しかしながら凹部40は、ハウジング部30が、ブレーキ10が取り付けられる特定のサーボモータ96に関わらず標準設計に統一できるようにすることが良い。
【0022】
シャフト21がボア20内に整列された後、ボルト108が溝穴46内に挿入されサーボモータ96の面のねじ穴にねじ込まれる。あるいは、ねじ切りされていない穴に挿入されてナットにより固定される。レンチあるいは同様の工具が、ディスク34の面とリング50の自由端との間に挿入され、ボルト108が締められる。この点に関して、ボルト108は、溝穴46内において、サーボモータ96の穴の半径方向の位置に対応する位置に配置させることができる。特に、サーボモータ96の穴のシャフト21からの径方向離間距離はサーボモータ96の製品によって異なる。従って、本発明の好適な教示における溝穴46あるいはディスク34は特定のサーボモータ96の穴の位置に合わせるために機械加工や変形を施す必要がない。しかしながら溝穴46は、ハウジング部30が、ブレーキ10を取り付ける特定のサーボモータ96に関わらず、標準設計に統一できるようにすることが良い。
【0023】
本発明の最も好ましい形態において、ハウジング部32の面56は、部品要素23を受け入れるためのパイロット110と、部品要素23を本発明の教示におけるブレーキ10のハウジング28に固定するボルトを受け入れるための穴112とを有している。インプット12及びハウジング部32を全ての応用例において統一することが有効であるが、機械面56のパイロット110及びねじ穴112は、ブレーキ10を取り付ける特定のサーボモータ96のパイロット98及び穴に対応するようにすることが好ましい。同様に、ベアリング60の軸方向外側に延びる機械軸部分16は、ブレーキ10を取り付ける特定のサーボモータ96のシャフト21のサイズおよび形状に対応するサイズおよび形状とすることが好ましい。従って、軸部分16と面56とは、本発明の教示によるブレーキ10を用いない場合における、部品要素23とサーボモータ96との連結部と同様の形状となる。
【0024】
本発明の好適な教示によれば、摩擦フェーシング82は入力12とハウジング28との間でくさびの働きをするインタフェースを提供する。このくさび作用は、スプリング94の付勢力によって、入力12、ハウジング28及び面82を通って伝わるトルクの量を増加させるのに有効である。特に、このようなくさび作用は、従来の平板あるいは円錐タイプの制御装置における直線状面の単純接触と比較してより大きな力を伝達することができる。
【0025】
また、くさび状の摩擦フェーシング82により生じるくさび作用はいくつかの利点を提供する。一つは、最も好ましい形態においてサーボモータ96を失速させるのに必要なトルク伝達を十分確保しつつスプリング94の力を最小限にできる。また、本発明の教示によるブレーキ10の軸方向の長さを最小限にできる。しかし、更に重要なことは、ブレーキ10の半径方向の大きさを最小限にできる、最も好ましくはサーボモータ96の半径方向の大きさとほぼ等しくできることである。また、面26を半径方向内側に位置させてインタフェース24の半径方向の大きさを最小限にできる。このように入力12の質量の回転軸からの距離を最小限にすること、即ち、サーボモータ96の慣性力を最小限にすることは非常に重要である。更に、本発明の最も好ましい形態による入力12の全体構成は、サーボモータ96により回転されるものの総質量を最小限にし、それによってサーボモータ96に発生する慣性力を最小限にするという重要な事実に影響を与えている。なぜならば、慣性力は回転体の質量と、回転軸から質量までの距離によるからである。本発明の好適な教示によるブレーキ10は、サーボモータ96の通常の動作における始動および停止に重要な影響を与える慣性力を最小限にできる。慣性力が減ることに加えて、入力12を複数の部品から組み立てる場合と比較して、入力12の全体構造をシンプル、安価且つ堅固にできる。
【0026】
本発明の好適な教示における摩擦フェーシング82によるくさび作用の代償として、通常動作において摩擦フェーシング82がかなり磨耗することを認識するべきである。従って本発明の好適な教示によれば、サーボモータ96の通常の動作時にはチャンバ62内に導入される流体の圧力によってブレーキ10は非係合位置に固定される。そして、移動要素の停止時又は緊急時等の静的な状態のときにだけブレーキ10は係合位置に移動される。これによって摩擦フェーシング82の磨耗は最小限となる。
【0027】
これまで本発明の基本的な教示を説明してきたが、当業者によればいくつかの拡張や変形が明らかであろう。例えば、本発明の最も好ましい形態におけるブレーキ10は、いくつかの独特な機構と組み合わされる。そして、そのような組み合わせは、相互作用を生み出す。しかしながらそのような機構は、本発明の教示により従って、他の様々な組み合わせで使用したり、別々に使用することも可能であることを認識するべきである。例えば、ハウジングが固定されるサーボモータ96に関わらない標準設計の通常のディスク34を備えたハウジング28は、本発明の好適な教示によれば、他のタイプの回転制御装置に使用することが出来る。例えば、限定されるものではないが、直線面接合(インタフェース)タイプ等である。
【0028】
同様に、最も好ましい形態において、ブレーキ10は流体によって非係合位置に移動されるように示されているが、本発明の教示によればブレーキ10は他の方法によって駆動されるようにすることも出来る。例えば、限定はされないが電気的に駆動することも出来る。この点において、本発明の好適な形態では、くさび作用の結果として、所望する伝達力を生み出すために必要とされるスプリング94の力が最小限で良いため、ブレーキ10に他の駆動手段を適用することが容易である。即ち、駆動手段の駆動力が小さくても適用することが出来る。
【0029】
更に、最も好ましい形態において入力12の回転を停止するとして示したが、本発明の教示によれば回転を制御するために他の形態の装置10を設計することも出来る。
【0030】
更に、摩擦フェーシング82の位置を表示するための電気信号を発生する装置を備えることが好ましい。例えば、特に停止時や緊急時において、本発明の教示によるブレーキ10の状態を視覚的に表示するために表示ランプを点灯させる、および/または聴覚的に表示するためにホーンを鳴らす電気信号等である。
【0031】
このように、ここで説明された発明が、その思想や特徴から外れることなく他の特定の形態で具体化されることができるので、その形態の幾つかは示され、ここで説明された実施形態は全ての点において説明的で限定的ではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明よりむしろ特許請求の範囲によって示されるべきであり、特許請求の範囲の意義及び均等の範囲に含まれる全ての変形が、ここに包含されるものとする。
【符号の説明】
【0032】
12 入力
26 環状インタフェース面
28 ハウジング(出力)
70 摩擦面部(環状摩擦面)
82 環状摩擦フェーシング
86 外面(第二の面)
88 第一の面部(第一の面)
94 圧縮スプリング(移動手段)
100 環状ピストン(移動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力と、出力と、くさび状の環状摩擦フェーシングと、該摩擦フェーシングを係合位置と非係合位置との間で移動させるための手段とを備え、
上記入力が上記出力に対し軸回りに回転可能であり、上記入力が、上記軸に対し第一の非平行な角度を持って延出し上記軸に向けて内側に延出する環状インタフェース面を含み、上記出力が、上記軸に対し第二の非平行な角度を持って延出し上記軸から外側に延出する環状摩擦面を有し、
上記入力及び上記出力が、上記軸に対し軸方向に移動不可能であり、
上記摩擦フェーシングが、上記インタフェース面に接するための第一の面と、上記摩擦面に接するための第二の面とを含み、
上記係合位置において、上記摩擦フェーシングの上記第一の面と上記インタフェース面とが係合し、且つ、上記摩擦フェーシングの上記第二の面と上記摩擦面とが係合して上記入力、上記出力及び上記摩擦フェーシングを関連づけて回転可能とし、上記非係合位置において、上記入力及び上記出力が独立して回転可能であると共に、上記摩擦フェーシングが上記入力及び上記出力から離間される
回転制御装置。
【請求項2】
上記移動手段が、上記摩擦フェーシングを上記非係合位置から上記係合位置に付勢するための手段からなる
請求項1記載の回転制御装置。
【請求項3】
上記移動手段が、さらに、流体圧力下で上記出力に対しスライド可能なピストンとの組み合わせからなり、該ピストンが、上記付勢手段に抗じて上記摩擦フェーシングを上記係合位置から上記非係合位置に移動させる
請求項2記載の回転制御装置。
【請求項4】
上記摩擦フェーシングがさらに第三の面と第四の面とを含み、これら第三及び第四の面が径方向に向けられ、上記第一及び第二の面が、上記第三の面から徐々に離間するにつれ間隔を増大し、上記第四の面から徐々に離間するにつれ間隔を減少し、上記ピストンが上記第三の面に抗じて隣接し、上記付勢手段が上記第四の面に抗じて隣接する
請求項3記載の回転制御装置。
【請求項5】
上記ピストンが軸方向に延出するフランジを含み、該フランジが、上記摩擦フェーシングの上記第三の面に抗じて隣接する自由端を有する
請求項4記載の回転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−220529(P2011−220529A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149987(P2011−149987)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【分割の表示】特願2000−581380(P2000−581380)の分割
【原出願日】平成11年11月5日(1999.11.5)
【出願人】(500146093)ネクセン・グループ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Nexen Group, Inc.
【Fターム(参考)】