説明

回転指示装置および回転指示装置を備える制御装置

【課題】 実質的に摩耗することなく、異なる動作位置を指示することができ、かつ場所を取らず、簡単な構成で、安価に製造および組立てが可能な、回転指示装置および制御装置を提供する。
【解決手段】 回転手動制御部材2用の回転指示装置であって、2つの指示手段31、32を備え、その一方は、制御部材と一体となり回転するロータ32であり、他方は、ロータに対して固定的に保持されているステータ31であり、ロータおよびステータは、同軸上に装着され、複数のくさび形ブロック317、318、327、328を備え、そのうち少なくともいくつかは、制御部材の安定位置および不安定位置を定めるように帯磁されており、ロータおよびステータは、円錐または先細りの形状を有し、これにより、半径方向に場所を取らず、磁石間の相互作用に必要な有効表面が広げられていることを特徴とする回転指示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転指示装置、および回転指示装置を備える制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御装置と共に使用される回転指示装置は、広く自動車業界で使用されており、これがなければ、様々な動作が制限されてしまう。
【0003】
これらは、自動車のダッシュボード上で、ライト、バックミラー、ワイパー、ラジオ他のオーディオ装置等の動作を制御するために使用される。
【0004】
公知で最新の制御装置は、一般に手動制御部材を備えている。この制御部材をユーザーが操作することにより、制御部材の位置に応じて、電気部を作動させるか、あるいは機械部を移動させることができる。
【0005】
その作動が適切におこなわれたことがユーザーに分かるように、例えばユーザーが制御部材を操作すると、確かな感触を得られというような、感知できる効果を与えることが重要である。この効果のことを、制御部材の位置を「インデキシングする」と呼ぶ。
【0006】
公知で最新の制御装置は、刻み付き斜面にインデキシングされた箇所に位置する、ばねを備えるマイクロスイッチや押ボタン等である。しかし、これらの装置では、一般的に、金属部品間の摩擦によって不要な力が発生し、摩耗が早くなるという問題がある。
【0007】
下記の特許文献1に開示されている装置は、磁気による切り替えによって、自動車の電気的機能を制御するものである。
【0008】
この装置は、ハウジングと、回転手動制御装置と、この制御装置の位置を指示する回転指示手段とを備えている。
【0009】
回転指示手段は、回転制御装置と一体化され、外周に複数の永久磁石が設けられた円筒状の内輪と、ハウジングと一体化され、内側面に複数の磁石が設けられた円筒状の外輪とを備えている。内輪および外輪は、同軸上に設けられ、内輪の磁石は、外輪の磁石と対向させて設けられている。
【特許文献1】フランス国特許公開2804240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このような装置には、2つの輪を同軸上に設けるのが難しい場合があり、また、これらの輪が少しでもずれると、装置の誤動作または妨害となるおそれがある。
【0011】
また、構成の異なる2つの帯磁部品を製造することも必要である。
【0012】
さらに、ユーザーが感知できるような十分な効果を与えるために、半径方向に広い場所を取る必要がある。
【0013】
上記の問題を鑑み、本発明は、実質的に摩耗することなく、繰返し一定の感知できる作用を発揮することができ、かつ異なる動作位置を指示する手段を備える制御装置を提供することを目的としている。
【0014】
さらに、本発明は、場所を取らず、簡単な構成で、安価に製造および組立てが可能な、回転指示装置および制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明に係る手動制御部材用の回転指示装置は、2つの回転指示部を備え、その一方は、制御部材と一体となり回転するロータであり、同じく他方は、ロータに対して固定的に維持されるステータであり、ロータおよびステータは、同軸上に装着され、くさび形ブロックを複数備え、そのうち少なくともいくつかは、制御部材の安定位置、および不安定位置を画定するように帯磁されており、ロータおよびステータは、円錐または先細りの形状を有し、これにより、半径方向に場所を取らず、磁石間の相互作用に必要な、いわゆる「有効表面」を大としうるようになっていることを特徴としている。
【0016】
本発明に係るインデキシング装置は、次に挙げる特徴のいくつかを備えていてもよい。
・ ロータおよびステータは、それぞれ交互に逆の磁極を持つ、くさび形ブロックを備えている。
・ ロータまたはステータは、2つのうち1つは同一の磁極で帯磁されたくさび形ブロックを備えている。
・ ロータおよびステータの帯磁されたくさび形ブロックは、同一の磁極を持ち、帯磁されていないくさび形ブロックを、帯磁されたくさび形ブロックよりも小さくすることにより、安定位置をより精密に定める。
・ ステータの帯磁されたくさび形ブロックは、同一の磁極を持ち、ロータのくさび形ブロックは、ステータの極性とは反対の磁極である同一の磁極を有し、帯磁されていないくさび形ブロックを、帯磁されたくさび形ブロックよりも大きくすることにより、安定位置をより精密に画定する。
・ ロータまたはステータのいずれか一方は、1つの帯磁されたくさび形ブロックを備え、ロータまたはステータのいずれか他方は、交互に反対の磁極を持つくさび形ブロック、あるいは2つのうち1つは同一の磁極で帯磁されたくさび形ブロックを備えている。
・ パルス制御部材に適用される回転指示装置であって、ローラおよびステータのくさび形ブロックの帯磁により、安定静止位置、および1つまたは2つの隣接する不安定位置が画定され、ロータの回転は、不安定位置の準位に機械的に限定されるようになっている。
・ ロータおよびステータは、空隙eをもって互いに離して設けられている。
・ 空隙eは、指示部のいずれか、あるいは両方の上の、特に非粘着性の覆いを外側被覆することによって形成されている。
【0017】
さらに、本発明に係る制御装置は、特に電気回路または機械部材である要素の制御装置であり、固定支持部と、回転手動制御部材と、制御部材の位置を指示する手段と、制御部材の位置に応じて要素に作用して、要素を作動させる手段とを備え、指示手段は、上記のいずれかの指示装置を備え、ステータは、支持部と一体化されており、ロータは、回転手動制御部材と一体化して回転するようになっていることを特徴としている。
【0018】
本発明に係る制御装置は、次に挙げる特徴の1つ以上を備えていることもある。
・ ロータは、制御部材に対して軸方向に、その回転軸X−X’に沿って、ロータの有効表面がステータの有効表面から離れるように、弾性的に変形可能な手段の戻り力を打ち消すように滑動してもよい。
・ 弾性的に変形可能な手段は、制御部材の回転軸X−X’を中心に設けられ、その一端は、制御部材に一体化され、その他端は、可動指示部と一体化されたらせん状のばねであり、このばねは、ロータをステータに近付けるよう常に付勢されている。
・ 制御部材は、ロータを受ける内部回転シャフトを有する制御レバーの回転刻み付きホイール、回転制御ノブ、または回転端として形成されている。
・ ステータは、制御部材のベアリングとして機能する円筒状の要素に固定されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のその他の特徴および効果については、以下に図面を参照して説明するが、これらは、本発明の実施形態の可能な態様を示すものであり、本発明を限定するものではない。
【0020】
図1を参照すると、制御手段は、2つの部品からなる支持部1と、回転手動制御部材2と、この回転手動制御部材2の位置の指示手段3と、要素5を作動させる手段4とを備えている。
【0021】
この実施形態では、制御される要素5は電気回路であり、これを作動させる手段4は、複数のひれを備える可動電気接触部、あるいは滑動接触部からなっている。
【0022】
次に、この実施形態の制御装置の構成について説明する。
【0023】
支持部1は、主部11と、カバー状の補助部12とを備えている。
【0024】
主部11は、例えば自動車のダッシュボード上に固定されるようになっている。そのため、制御のための固定基準点を有している。
【0025】
図示しない変形例では、この主部11を、ベアリング上の自動車のハンドル上(例えばハンドルのスポーク上)、あるいはハンドル周りの制御部の上(例えば遠隔無線制御装置上)に固定される。
【0026】
主部11には、孔112、113が開けられている、2つの平行なフランジ110、111を備えている。これらの孔112、113は、長手軸X−X’に沿って設けられている。
【0027】
2つのフランジ110、111は、スペーサをなす2つの長手方向のバー114、115によって接続されている。これらのバー114、115は、2つのフランジ110、111の面と直交しており、軸X−X’と平行をなしている。
【0028】
さらに、フランジ110は、孔112の半径方向の外側に位置する2つの孔117、117’を貫通して横断している。これらの孔の機能については後述する。
【0029】
電気回路5は、フランジ111の内面119に、すなわちフランジ110に対向する面上に設けられている。
【0030】
長手方向のバー115は、電気回路5の導電片50の端を包含する接続ブラケット116を備えている。この接続ブラケット116については、図3を参照されたい。これは、要素5である電気回路を、一方ではその電源に接続し、他方ではライト、ラジオ、ワイパー等の作動させる装置に接続するために使用される。
【0031】
次に、図1および図2を参照し、補助部12について説明する。
【0032】
補助部12は、基底部122によって封鎖された円筒部121からなる凹状ソケット120を備えている。
【0033】
図において、円筒部121と基底部122とが交わる面取りされた領域を、符号123で示してある。
【0034】
補助部12は、凹状ソケット120の内部に、基底部122と直交して延在する中心ロッド124をさらに備えている。
【0035】
基底部122からは、中心ピン126が外側に向かって突出している。このピンは、ロッド124の延長軸線上に設けられている。
【0036】
円筒部121は、複数の戻り止め具127(本実施例では4つ)を備えている。これらの戻り止め具127は、凹状ソケット120の縁部から、基底部122とは反対の方向に、ロッド124と平行に延在している。
【0037】
補助部12は、戻り止め具127が柔軟性を持つように、プラスチック等の柔軟な材料によって形成することが好ましい。
【0038】
基底部122からは、さらに2つの突出部125、125’が外側に向かって突出している。これらの突出部は、中心ピン126の半径方向の外側に位置している。
【0039】
主部11の内側に補助部12を取り付けると、中心ピン126は、フランジ110の孔112に収容され、2つの突出部125、125’は、それぞれ2つの孔117、117’に収容される。
【0040】
図3に示すように、組み立てた状態では、突出部125、125’およびピン126は、フランジ110の外面118よりも外側に突出している。
【0041】
この状態で、補助部12は固定された主部11と一体化されており、ロッド124は長手軸X−X’に沿って延在している。
【0042】
本実施形態の回転手動制御部材2は、刻み付きホイール状である。これにつき、図1、図2、図4を参照して、詳細に説明する。
【0043】
制御部材2は、環状基底部22によって端部の一方を封鎖された円筒状の外筒20を備えている。外筒20の長手軸は、制御手段のすべての構成要素が組み立てられた状態で、主部11の軸X−X’と同軸上にある。
【0044】
制御部材2は、外筒20と同軸上にあり、基底部22から外筒の内部へと延在している円筒状の内筒21を、さらに備えている。この内筒21は、外筒20よりも短い。
【0045】
基底部22からは、スピンドル23が外側に向かって突出している。このスピンドルは、軸X−X’に沿って延在している。組立て状態では、スピンドル23はフランジ111の孔113に収容される。
【0046】
外筒20の外面は、ユーザーが握りやすいように刻み付けされていることが好ましい。
【0047】
さらに、内筒21の外面には、軸X−X’に平行に延在する(本実施形態では3つの)長手方向のリブ210が設けられている。これらのリブ210については、図4を参照されたい。
【0048】
図2に示すように、補助部12の寸法と制御部材2の寸法とは、ソケット12の円筒部121の外径が、外筒20の内径よりもわずかに小さく設定され、これにより、ベアリングとして機能できるように構成されている。さらに、ロッド124の直径は、内筒21の内径にわずかの遊びをもって実質的に対応するように設定されている。
【0049】
このように、補助部12と制御部材2とを組み立てると、ロッド124は、内筒21の内部に部分的に貫通し、これにより、補助部12に対して制御部材2が回転を誘導できる。
【0050】
ユーザーは、補助部12に対して制御部材2を、その回転軸をなす軸X−X’を中心に回転させることができる。
【0051】
制御手段2の位置の指示手段3は、2つの指示部である、ロータ32とステータ31とを備えている。これらの2つの指示部は、同様の構造を備えていて、その磁極のみが異なっていてもよい。
【0052】
この実施形態の第1の例における、指示部であるステータ31のみを、図1、図2、図5を参照して詳述する。ステータ31と同様の構成を備えるロータ32の各部は、「32」で始まる対応する符号で示してある。
【0053】
ステータ31は、実質的に先細りの形状を有し、特定の厚さを有している。これにより、ステータには、環状の大径開口部311と、円筒状の小径開口部310とが形成されている。
【0054】
図5に示すように、小径開口部310には、ステータの円筒状の内壁上に、先細り部の回転軸X−X’と平行な3つの長手方向の溝312が形成されている。
【0055】
図において、ステータ31の先細りする内面を符号313で示してある。
【0056】
先細りするステータ31の外面は、円筒部314と先細り部315とを備えている。
【0057】
図1および図5に示すように、4つの長手方向の溝316が、ステータ31の大径部の厚さの範囲で設けられる。これらの溝は、円筒部314と、それに隣接する先細り部315の一部に面しており、ステータ31の回転軸X−X’と平行である。
【0058】
ステータ31の先細りする内面313は、帯磁されている。本明細書において、これを「中空有効表面」と呼ぶ。
【0059】
図5に示すように、この表面には、交互に逆の極性を持つ複数の帯磁されたくさび形ブロック317、318が設けられている。詳細に述べると、N極性を持つ帯磁されたくさび形ブロック317が、S極性を持つ2つの帯磁されたくさび形ブロック318の間に挿入されている。各部の極性を示す符号「N」(N極性)および「S」(S極性)が、各くさび形ブロックに割り当てられている。
【0060】
これに対し、指示手段(ロータ)32の先細りする外面325は、「突出有効表面」と呼ばれ、やはり交互に逆の極性「N」または「S」を持つ複数の帯磁されたくさび形ブロック327、328を備えている。
【0061】
帯磁されたくさび形ブロックは、個片化されていてもよいし、ステータ31およびロータ32に貼り付けられていてもよいし、これらと外側被覆等によって一体化されていてもよい。これらも、焼結工程によって処理される部分を備える磁性部品であってもよい。
【0062】
ステータ31およびロータ32は、同様の寸法で形成されているため、ステータ31の中空有効表面313は、ロータ32の突出有効表面325と相補的な形状を有している。この有効表面は、半径方向に配列した場合に得られるであろう寸法よりも、大きく形成される。
【0063】
ステータおよびロータは、図2に示すようにして組み立てられる。
【0064】
ステータ31は、戻り止め具によって、支持部1の補助部12と一体的に固定される。補助部12の内部では、戻り止め具127が溝316に挿入されている。
【0065】
小径開口部310の内径は、明らかにロッド124の外径よりも大きく、これにより、ロッドがステータ31の内部を貫通できる。
【0066】
さらに、ロータ32が制御部材2の内筒21を囲むように装着され、これにより、ロータ32の溝322が、内筒21の長手方向のリブ210と噛み合う構成となる。
【0067】
この構成により、ロータ32は、制御部材2と確実に連動して回転しつつ、内筒21に対して特定の距離にわたって、軸方向に自由に移動することができる。
【0068】
組み立てられている状態で、ステータ31およびロータ32の回転軸は、制御部材2の回転軸X−X’と同軸上にある。
【0069】
さらに、らせん状のばね6が、内筒21を中心に設けられる。このばねの一端は、制御部材2の基底部22に当接し、他端はロータ32の先細りする内面323上に置かれている。
【0070】
このばね6は、ロータ32をステータ31の方向に移動させるように、常に付勢されている。
【0071】
滑動接触部(作動させる手段)4は、手動制御部材2と一体化して回転する。この接触部はスピンドル23を中心に固定され、基底部22から外側に突出しており、電気回路5の導電片をこする構成となっている。
【0072】
次に、装置の動作について説明する。
【0073】
図2に示す、初期、安定、静止位置において、帯磁された有効表面313、325は、空隙eをもって互いに離して設けられている。ステータ31の磁石のN極と、ロータ32の磁石のS極とは、逆の磁極である。
【0074】
滑動接触部4は、電気回路5片に対して所与の位置に設けられており、電気回路5片によって送信される信号は第1の状態に対応している。一例として、この装置を自動車のライト制御用に使用すると仮定すると、例えばそのライトが消灯された状態である。
【0075】
回路5を作動させようとする場合、ユーザーは、制御部材2を作動させる。ロータ32のN極は、ステータ31のN極の反対側に位置するように暫定的に移動する。磁場は反発し合い、この位置は不安定である。
【0076】
この位置では、ロータ32がわずかに反動し、内筒21に沿って滑動し、ばね6をわずかに押し込む。
【0077】
ステータ31およびロータ32の同一の極性を持つくさび形ブロックが、互いに反対に位置して反発し合う場合、ユーザーは、抵抗感と確かな感触を得ることができる。
【0078】
ユーザーが制御部材2の回転動作を続けさせる場合、ロータ32は、そのN極性を持つ帯磁されたくさび形ブロックがステータ31のS極性を持つくさび形ブロックと反対に配置される次の安定位置へ移動する。磁石は引き付け合い、ロータ32は、らせん状のばね6の戻り力に補助されながら、ステータ31に向かって軸X−X’に沿って滑動する。
【0079】
ユーザーは、確かな感触を得て、制御部材2の移動が適切におこなわれたことが分かる。
【0080】
さらに、滑動接触部4は、電気回路5導電片に対して変位し、電気回路5片によって送信される信号は、第1の状態とは別の第2の状態に対応している。先の例では、自動車のライトを点灯した状態である。
【0081】
帯磁されたくさび形ブロックの数は、制御部材2を使用して選択できる位置の数に対応している。
【0082】
図示しない変形例によると、帯磁したくさび形ブロックは、先細りする有効表面313,325の1箇所のみに設けられていてもよく、この場合、制御部材2を配置できる場所は限定される。
【0083】
ステータ31とロータ32との間の空隙eの幅を設定することにより、磁石の引力を調節することができ、これによりユーザーが制御部材2を作動させるために必要な力の量を調整することができる。
【0084】
空隙eは、ステータ31またはロータ32上の成形に余分な厚みを持たせることにより設けられる。
【0085】
本発明の上記以外の変形実施例も可能である。
【0086】
ステータ31およびロータ32を、先細りではなく、円錐状とすることもできる。
【0087】
図6は、インデキシング部の磁力を弱めたインデキシング装置の変形例を示している。
【0088】
詳細には、ステータ31については、くさび形ブロック318のみを例えばN極性に帯磁し、くさび形ブロック317は「磁気的に」中性な状態のままとし、同様にロータ32については、くさび形ブロック327のみを例えばN極性に帯磁する。この変形例では、有効表面をなすくさび形ブロックの半分のみを帯磁させるため、コスト面で有効である。
【0089】
この変形例では、N極が帯磁されていないくさび形ブロックに対面しているときが、安定位置であると定義される。
【0090】
もちろん、くさび形ブロック327を例えばS極性に帯磁し、S極がN極に対面しているときが、安定位置であり、ステータ31およびロータ32の中性なくさび形ブロックが互いに対面しているときが、不安定位置に対応すると定義することもできる。
【0091】
図7に示す変形例では、ステータ31については、くさび形ブロック318のみを例えばN極性に帯磁し、くさび形ブロック317は「磁気的に」中性な状態のままとし、ロータ32については、1つのくさび形ブロック327aのみを例えばS極性に帯磁する。
【0092】
これにより、ロータ32は、全体をプラスチックで製造し、1つの帯磁されたくさび形ブロックのみを、例えば接着によって貼り付けることができる。
【0093】
図8は、パルス制御をおこなうステータ31およびロータ32の変形例を示している。これらは、例えば半自動変速機のギアのシフトアップまたはシフトダウン、無線衛星の無線局、あるいは走行制御システムのスピード設定値の増減のために使用される。
【0094】
この例では、ステータ31は、N極性に帯磁されたくさび形ブロック318aを2つと、磁気的に中性または静止位置に対応するS極性に帯磁されたくさび形ブロック317aを1つ備えている。その他のくさび形ブロック317、318は、帯磁されていない。
【0095】
ロータ32は、帯磁されたくさび形ブロック327aを備え、ステータ31に対するその回転は、例えば簡略的に示した止め329によって機械的に限定される。これにより、N極性を持つくさび形ブロック327aは、くさび形ブロック318aおよび317aの上方までしか移動できない。
【0096】
このようにして、好ましくは制御モジュールのパラメータを増減させるいわゆる「パルス」信号を生成する滑動接触部4が電気的接触をする位置に対応する2つの不安定制御位置と、好ましくは滑動接触部4が電気的な接触をしない位置に対応する中間の静止状態の安定位置または安定中間位置とを有する指示装置が提供される。
【0097】
この構成によると、刻み付きホイールは、パルスが生成された後に中性位置に自動的に戻る。この仕組みは、好適な処理装置に適宜利用できる。
【0098】
図9の変形例は、図8の変形例とは、くさび形ブロック327aがN極性ではなく、S極性に帯磁されているという点のみが異なる。
【0099】
上述のように、くさび形ブロック327aのS極が、くさび形ブロック318aのN極のうち1つの上部にある、2つの位置のみが安定位置であるため、双安定のインデキシング装置が提供される。
【0100】
この双安定のインデキシング装置は、例えば走行制御の始動または停止の指示を出すために好適に使用される。
【0101】
さらに、安定位置および不安定位置をよりよく定義するために、特に複数のくさび形ブロックのうち一部のみを帯磁する場合、その残りは中性に保たれているため、くさび形ブロックは、異なる角範囲を有する構成となる。
【0102】
このようにして、例えば帯磁されたくさび形ブロックの半分の幅を有する狭い「中性」くさび形ブロックを設けることにより、安定位置をより精密に定義することができる。
【0103】
また、ステータ31を、支持部1の補助部12と一体的に形成することもできる。
【0104】
電気回路5は、例えば機械部材に、滑動接触部4は、その回転によって機械部材を移動させる制御ピンに、それぞれ置き換えることも可能である。
【0105】
さらに、支持部1、特にその主部11を、別の形状としてもよい。スピンドル23およびフランジ111を含めない構成としてもよく、滑動接触部4および回路5を別の場所に配置し、ユーザーが制御部材2の基底部2に触れられるようにしてもよい。これにより制御部材2は、自動車内のラジオを制御するために使用される刻み付き制御ホイールの形状となる。
【0106】
上述した制御装置は、従来の装置と比べて、有利な点を多く有する。
【0107】
例えば、ステータ31およびロータ32の先細り形状により、これらは、帯磁された表面積が増加するよう自動位置合わせをし、これによってステータ31およびロータ32の直径を広げることなく、回転運動トルクを増加させることができる。
【0108】
さらに、ロータ32は軸方向に移動できるため、反動による移動を帯磁された有効表面313、325間に限定し、これにより、反動力と移動との相関関係を調整することができる。
【0109】
本発明は、支持部11を備える構成に限定されるものではない。上述した2つの先細り帯磁部を備える指示装置の構成により、場所を取らず、自動車のライトまたはワイパー等の制御レバーに、簡単な構成で容易に一体化させることができる。
【0110】
本明細書では、刻み付き制御ホイール用の回転指示を行わせる構成に関して、本発明を説明した。
【0111】
もちろん、本発明は、自動車の多機能、およびナビゲーションに関する指示を出す等の機能を果たす回転制御ノブにも適用可能である。この場合も、半径方向に場所を取らない2つの先細りした構成要素を備える本発明に係る指示機構により、2つの先細りした構成要素のうち一方を、ノブ支持部に保持し、他方を容易にノブに収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る制御装置の実施形態を示す分解図である。
【図2】図3のA−A’線に沿う制御装置の一部を示す軸方向断面図である。
【図3】図1の制御装置がその構成要素を組み立てた状態で、さらに明示するために制御部材を一部透視して示す斜視図である。
【図4】制御部材の内部を示す斜視図である。
【図5】制御装置の2つの指示部のうち1つの内部を示す斜視図である。
【図6】制御装置の2つの指示部のうち1つの内部の変形例を示す斜視図である。
【図7】制御装置の2つの指示部の内部の別の変形例を示す斜視図である。
【図8】制御装置の2つの指示部の内部の、別のいわゆる「パルス」変形例を示す斜視図である。
【図9】制御装置の2つの指示部の内部の、別のいわゆる「双安定」変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0113】
1 支持部
2 回転手動制御部材
3 指示手段
4 要素を作動させる手段
5 要素(電気回路)
6 弾性的に変形可能な手段(ばね)
11 主部
12 補助部
31 ステータ
32 ロータ
110、111 フランジ
112、113 孔
114、115 バー
117 孔
119 内面
121 円筒状の要素
313 内面
313 ロータの外面
314 円筒部
315 先細り部
316 溝
317、318 くさび形ブロック
325 ロータの外面
327 くさび形ブロック
327a 帯磁されたくさび形ブロック
328 くさび形ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動制御部材用の回転指示装置であって、
2つの指示部材(31、32)を備え、その一方は、その一方は、制御部材と一体となって回転するロータであり、他方は、ロータに対して固定的に保持されているステータであり、
ロータおよびステータは、同軸上に設けられ、かつ複数のくさび形ブロック(317、318、327、328)を備え、そのうち少なくともいくつかは、制御部材の安定位置および不安定位置を定めるように帯磁されており、
ロータおよびステータは、円錐または先細りの形状を有し、これにより、半径方向の場所を取らず、磁石間の相互作用に必要ないわゆる「有効表面」が広げられていることを特徴とする、回転指示装置。
【請求項2】
ロータおよびステータは、それぞれ交互に逆の磁極を有するくさび形ブロックを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の回転指示装置。
【請求項3】
ロータまたはステータは、2つのうち1つが同一の磁極で帯磁されたくさび形ブロックを備えることを特徴とする、請求項1に記載の回転指示装置。
【請求項4】
ロータおよびステータの帯磁されたくさび形ブロック(317、318、327、328)は同一の磁極を有し、帯磁されていないくさび形ブロックを、帯磁されているくさび形ブロックよりも小さくすることにより、安定位置をより精密に画定するようになっていることを特徴とする、請求項3に記載の回転指示。
【請求項5】
ステータにおける帯磁されたくさび形ブロックは、同一の磁極を有し、ロータにおけるくさび形ブロックは、ステータの極性とは反対の磁極である同一の磁極を有し、帯磁されていないくさび形ブロックを、帯磁されたくさび形ブロックよりも大きくすることにより、安定位置をより精密に画定しうるようにしたことを特徴とする、請求項3に記載の回転指示装置。
【請求項6】
ロータまたはステータのいずれか一方は、1つの帯磁されたくさび形ブロック(327a)を備え、ロータまたはステータのいずれか他方は、交互に反対の磁極を持つくさび形ブロック(317、318)、あるいは2つのうち1つは、同一の磁極帯磁されたくさび形ブロックを備えていることを特徴とする、請求項1記載の回転指示装置。
【請求項7】
パルス制御部材に適用され、ロータおよびステータのくさび形ブロック帯磁により、安定静止位置および1つまたは2つの隣接する不安定位置が画定され、ロータの回転は、不安定位置の準位に機械的に限定されるようになっていることを特徴とする、請求項1記載の回転指示装置。
【請求項8】
ロータおよびステータは、空隙eをもって互いに離して設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の回転指示装置。
【請求項9】
空隙eは、インデキシング部のいずれか、あるいは両方の上の、特に非粘着性の覆いを外側被覆することによって形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の回転指示装置。
【請求項10】
電気回路または機械部材である要素(5)の制御装置であって、
固定支持部(1、11、12)と、
回転手動制御部材(2)と、
制御部材(2)の位置の指示手段(3、31、32)と、
制御部材(2)の位置に応じて要素に作用して、要素(5)を作動させる手段(4)とを備え、
前記指示手段は、請求項1〜7のいずれかに記載の回転指示装置を備え、ステータは、支持部と一体化されており、ロータは、回転手動制御部材と一体化して回転するようになっていることを特徴とする、制御装置。
【請求項11】
ロータ(32)は、制御部材(2)に対して軸方向に、その回転軸X−X’に沿って、ロータの有効表面(313、325)がステータ(31)の有効表面(325、313)から離れるように、弾性的に変形可能な手段(6)の戻り力を打ち消すように滑動するようになっていることを特徴とする、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
弾性的に変形可能な手段(6)は、制御部材(2)の回転軸X−X’を中心に設けられ、その一端は、制御部材(2)と一体化され、その他端は、可動指示手段(31、32)に一体化されたらせん状のばねであり、このばね(6)は、ロータをステータに近付けるよう常に付勢されていることを特徴とする、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
制御部材は、ロータを受ける内部回転シャフトを有する制御レバーの回転刻み付きホイール、回転制御ノブ、または回転端として形成されていることを特徴とする、請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
ステータは、制御部材のベアリングとして機能する円筒状の要素(121)に固定されていることを特徴とする、請求項13に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−501988(P2009−501988A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522001(P2008−522001)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001632
【国際公開番号】WO2007/010109
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(505194941)
【Fターム(参考)】