説明

回転機

【課題】隙間無く高密度に巻回されているコイルを効率的に冷却することができる回転機を提供する。
【解決手段】回転軸の周りで回転可能なロータと、ロータの周りに配置されるステータ30とを備える回転機であって、ステータ30は、ロータの回転方向に沿って配列形成された複数のティース31bを有するステータコア31と、ティース31bに巻回されるコイル32とを備えており、ティース31bは、断面形状がコイル32との間の隙間C1と隣接するティースに巻回されるコイル32の間の隙間との少なくとも一方が設けられる形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機や発電機等の回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、電動機や発電機等の回転機は、ステータ(固定子)とロータ(回転子)とを備えており、ロータの回転運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、或いは電気エネルギーをロータの回転運動エネルギーに変換する機器である。ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)や電気自動車(EV:Electric Vehicle)等の車両に設けられる電動機は、車両を走行させる動力を発生する動力発生源として用いられるばかりでなく、エネルギーを有効利用するために、車両の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する発電機(回生ブレーキ)としても用いられる。
【0003】
上述したハイブリッド車や電気自動車等の車両に設けられる回転機は、車載スペースを低減するために小型化であり、また、走行性能を向上させるために高出力であることが要求される。このように出力密度が高まると回転機の発熱量が多くなるため、回転機を効率良く冷却する冷却技術が重要になる。以下の特許文献1,2には、回転機のステータに設けられているコイルの冷却効率を高める技術が開示されている。
【0004】
具体的に、以下の特許文献1には、固定子コアに設けられるティース部の角部に段差を形成して絶縁性樹脂をモールドすることにより、角部以外のティース部の表面に絶縁性樹脂を薄肉にすることで冷却効率を高める技術が開示されている。また、以下の特許文献2には、円環状ステータコアのティースとコイルとがモータの回転軸線方向において隙間無く接するよう、回転軸線方向に沿うティースの側面を回転軸線方向において中高となる凸面にすることで冷却効率を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−268586号公報
【特許文献2】特開2007−244065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1,2に開示された技術は、基本的にステータコアのティースとコイルとの間の熱抵抗を低減し、コイルからティースへの熱伝導量を増加させることにより冷却効率を高めるものである。このため、特許文献1,2に開示された技術では、ステータのティースの周囲にコイルが隙間無く高密度に巻回される。かかる技術によって、コイルを十分に冷却できる場合には特に問題は生じない。
【0007】
しかしながら、小型化されて出力密度が高められた電動機は、モータの発熱量が飛躍的に増大する。このため、上述した特許文献1,2に開示された技術のように、ティースの周囲にコイルが隙間無く高密度に巻回されている場合には、コイルを十分に冷却できない場合が考えられる。すると、コイルの温度が上昇し易くなり、損失(発熱)が大きくなる虞があるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、隙間無く高密度に巻回されているコイルを効率的に冷却することができる回転機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の回転機は、回転軸(10)の周りで回転可能なロータ(20)と、該ロータの周りに配置されるステータ(30)とを備える回転機(1)において、前記ステータは、前記ロータの回転方向に沿って配列形成された複数のティース(31b)を有するステータコア(31)と、該ティースに巻回されるコイル(32)とを備えており、前記ティースは、断面形状が前記コイルとの間及び隣接するティースに巻回されるコイルの間の少なくとも一方に隙間(C1、C2)が設けられる形状であることを特徴としている。
また、本発明の回転機は、前記ティースの少なくとも1つの側面には、前記コイルとの間に隙間を設けるための凹部(R1〜R3)が形成されていることを特徴としている。
ここで、本発明の回転機は、前記ティースに形成される前記凹部が、断面形状が三角形状、円弧形状、及び矩形形状の何れかであることを特徴としている。
或いは、本発明の回転機において、前記ティースは、断面形状が円形又は楕円形状であることを特徴としている。
また、本発明の回転機は、外部からの冷媒(OL)を、前記ティースと前記コイルとの間に設けられる隙間及び前記隣接するティースに巻回されるコイル間に設けられる隙間の少なくとも一方に供給する冷媒供給部(S2)を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステータコアが有するティースの断面形状を、コイルとの間及び隣接するティースに巻回されるコイルの間の少なくとも一方に隙間が設けられる形状にしているため、ティースの周囲に隙間無く高密度に巻回されているコイルを効率的に冷却することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態による回転機としてのモータの構成を示す側断面図である。
【図2】図1中のA−A線に沿うステータの断面矢視図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるステータの拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるティースの変形例を示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態におけるステータの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による回転機について詳細に説明する。尚、以下の実施形態では、回転機が、外部から供給される電流(例えば、三相交流電流)により回転駆動されるモータ(電動機)である場合を例に挙げて説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による回転機としてのモータの構成を示す側断面図である。図1に示す通り、モータ1は、回転軸10、ロータ20(回転子)、ステータ30(固定子)、及びハウジング40を備えており、外部から供給される電流によってロータ20とステータ30との間に磁力が作用してロータ20が回転することにより回転軸10が回転駆動される。尚、以下では、回転軸10が延びている図1中の左右方向を「軸方向」という。
【0014】
回転軸10は、ロータ20の回転駆動力を外部に伝達するための軸部材である。この回転軸10は、ロータ20に挿通されて固定されており、ハウジング40に設置された軸受B1,B2によって回転自在に支持されている。このため、回転軸10及びロータ20は、回転軸10の回転軸線の周りで一体的に回転する。尚、軸受B1,B2としては、例えばアンギュラ玉軸受等の転がり軸受を用いることができる。
【0015】
ロータ20は、回転軸10に取り付けられて回転軸10の周りで回転可能に構成されている。具体的に、ロータ20は、ロータコア21、永久磁石22、及びエンドプレート23を備える。ロータコア21は、磁性体からなる板材としての電磁鋼板を複数積層して構成され、上述した回転軸10が挿通される円環形状の部材である。
【0016】
永久磁石22は、例えば軸方向に延びる直方体形状の磁石であり、ロータコア21のステータ30側に、ロータコア21の外周に沿って一定の間隔をもって複数埋設されている。これにより、ロータコア21の外周に沿って交番磁界が形成される。エンドプレート23は、ロータコア21の軸方向(電磁鋼板の積層方向)両側端部に設けられ、ロータコア21を軸方向に挟持する円盤形状の部材である。
【0017】
ステータ30は、ステータコア31及びコイル32を備えており、回転軸10の回転方向に沿ってロータ20の周囲を取り囲むようにハウジング40の一部をなす胴体部材41の内周面に固定されて、外部からコイル32に供給される電流に応じてロータ20の外周方向に沿う回転磁界を形成する。ステータ30に設けられるステータコア31は、上述したロータ20のロータコア21と同様に、磁性体からなる板材としての電磁鋼板を複数積層して構成される円環形状の部材であり、その内周側にはロータ20が配設される。このステータコア31は、その内周面とロータ20の外周面との間に予め設定された大きさの環状の間隙(エアギャップG)が形成されるように、その内径が設定されている。
【0018】
図2は、図1中のA−A線に沿うステータの断面矢視図である。図2に示す通り、ステータコア31は、円環形状のヨーク31aと、ヨーク31aの周方向D1に沿って配列形成された複数のティース31bとを有する。隣接するティース31bの間の隙間は、コイル32が介挿されるスロット31cとされる。尚、図2においては、複雑化を避けるため、ティース31b及びスロット31cが8個ずつ設けられたステータコア31を図示しているが、これらの数は任意に設定することができる。また、図2では、隣接するティース31bに巻回されるコイル32を離間させて図示しているが、これらコイル32はスロット31c内で接触していても良い。
【0019】
ステータコア31に設けられるティース31bは、スロット31cに介挿されたコイル32に三相交流が供給されることによって磁極として機能するものであり、ヨーク31aの中心に向かって突出するように形成されている。このティース31bの先端部は、スロット31cの開口部の一部を覆うようにヨーク31aの周方向D1に延びる形状である。つまり、ティースの先端部には、周方向D1の一方向D11に延びるように形成された突出部Q1と、周方向D1の他方向D12に延びるように形成された突出部Q2とが形成されている。ティース31bの先端部をかかる形状にするのは、ロータ20とステータ30との間の磁気的な結合を高めてモータ1の性能を向上させるとともに、スロット31cに収容されるコイルの飛び出しを防止するためである。
【0020】
図3は、本発明の第1実施形態におけるステータの拡大図であって、(a)は斜視透視図であり、(b)はステータに設けられるティースの断面図である。尚、図3(a)では、隣接するティース31bに巻回されるコイル32を離間させて図示しているが、これらコイル32は、図3(b)に示す通り、接触していても良い。図3に示す通り、ティース31bの根本部(突出部Q1,Q2が形成された先端部を除く部分)は、4つの側面からなる略四角柱状である。この4つの側面のうち、ヨーク31aの周方向D1に交差する2つの側面には、断面形状が三角形状である凹部R1が形成されている。
【0021】
このように凹部R1をティース31bの根本部に形成するのは、ティース31bの周囲にコイル32が隙間無く高密度に巻回されていても、コイル32を効率的に冷却するためである。つまり、ティース31の根本部に凹部R1が形成されていると、ティース31の根本部の周囲にコイル32を巻回したときにティース31bとコイル32との間に隙間C1が設けられる。この隙間C1に冷却用のオイルOLを供給すれば、コイル32を直接冷却することができるため、コイル32を効率的に冷却することができる。
【0022】
図4は、本発明の第1実施形態におけるティースの変形例を示す断面図である。図4(a)に示す通り、ティース31bは、断面形状が円弧形状である凹部R2がヨーク31aの周方向D1に交差する2つの側面に形成されているものであっても良い。また、図4(b),(c)に示す通り、ティース31bは、断面形状が三角形状である凹部R1、或いは断面形状が円弧形状である凹部R2が、ヨーク31aの周方向D1に沿う2つの側面に形成されているものであっても良い。
【0023】
また、図4(d)に示す通り、ティース31bは、断面形状が三角形状である凹部R1が根本部の全ての側面(ヨーク31aの周方向D1に交差する2つの側面及びヨーク31aの周方向D1に沿う2つの側面)に形成されているものであっても良い。これは、断面形状が円弧形状である凹部R2が形成される場合についても同様である。更には、図4(e)に示す通り、断面形状が矩形形状である凹部R3が根本部の全ての側面に形成されているものであってもよく、同様の凹部R3がヨーク31aの周方向D1に交差する2つの側面のみに形成され、或いはヨーク31aの周方向D1に沿う2つの側面のみに形成されているものであっても良い。
【0024】
ティース31bに形成される凹部の形状は、以上説明した断面形状が三角形状である凹部R1、断面形状が円弧形状である凹部R2、及び断面形状が矩形形状である凹部R3に制限されることはなく任意の形状にすることができる。このティース31bに形成される凹部の形状は、例えば必要となる冷却性能、ティースの大きさや形状、ティースの強度等に応じて適宜決定される。
【0025】
コイル32は、ティース31bの各々の周囲に巻回された状態でステータコア31に形成されたスロット31cに介挿されており、外部から供給される電流に応じた磁極を形成する。ここで、コイル32は、三相交流のうち、U相の電流が供給される第1コイル、V相の電流が供給される第2コイル、及びW相の電流が供給される第3コイルからなり、これら第1〜第3コイルが、ステータコア31の周方向に順次配列されている。このため、コイル32に三相交流が供給されると、ステータコア31の内周面に沿って回転磁界が形成される。
【0026】
コイル32は、ステータコア31に対してコイルエンド部32aがステータコア31の両端部から突出する状態に取り付けられる。つまり、図1に示す通り、ステータコア31の軸方向左側における端部からコイルエンド部32aが左方向に突出するとともに、ステータコア31の軸方向右側における端部からコイルエンド部32aが突出した状態に取り付けられる。
【0027】
また、ステータコア31の両端部には、回転軸10と同心にされた円環状の仕切部材33a,33bがそれぞれ設けられている。これら仕切部材33a,33bは、ロータ20が配設される空間S1とコイルエンド部32aが配設される空間S2(冷媒供給部)とを分離するために設けられる。仕切部材33a,33bによって、空間S1,S2が分離されることにより、オイル供給口P1から供給される冷却用のオイルOLがエアギャップGに侵入することを防止しつつ、ステータコア31のティース31bとコイル32との間に設けられた隙間C1にオイルOLを供給することができる。尚、図示は省略しているが、ティース31bの先端部に形成された突出部Q1,Q2の間はモールド等されており、突出部Q1,Q2の間からオイルOLがエアギャップGに侵入するのを防止する対策が講じられている。
【0028】
ハウジング40は、胴体部材41、左側壁部材42、及び右側壁部材43からなり、その内部に回転軸10の一部、ロータ20、及びステータ30を収容するとともに、モータ1の外形を成す。胴体部材41は、鉄合金等によって形成されており、軸方向両端が開口している円筒形状の部材である。この胴体部材41の内周面には、上述したステータ30が固定されている。
【0029】
また、胴体部材41の鉛直方向上部には、外部から供給される冷却用のオイルOL(冷媒)をハウジング40内の空間S2に導くオイル供給口P1が設けられており、胴体部材41の鉛直方向下には、ハウジング40内の空間S2を介したオイルOLをハウジング40外に排出するオイル排出口P2が設けられている。尚、オイル供給口P1及びオイル排出口P2は、冷却効率を高めるため複数箇所に設けられていても良い。
【0030】
左側壁部材42及び右側壁部材43は、鉄合金等によって形成された略円板形状の部材であって、その外径が胴体部材41の外径と同程度に設定されており、胴体部材41の左開口部位及び右開口部位を閉塞するようにそれぞれ取り付けられている。これら左側壁部材42及び右側壁部材43の中心部には、回転軸10を支持する軸受B1,B2が介挿される円形形状の穴部がそれぞれ形成されている。
【0031】
次に、上記構成におけるモータ1の動作について簡単に説明する。外部からの三相交流がモータ1に供給されると、三相交流の各相の電流がステータ30に設けられたコイル32(第1〜第3コイル)に流れ、供給される電流に応じてロータ20の回転方向に沿って回転磁界が形成される。すると、外周に沿って交番磁界が形成されたロータコアがこの回転磁界と相互作用し、吸引力及び反発力が生ずることによりロータ20が回転し、これにより回転軸10がロータ20と一体に回転して回転軸10の回転駆動力が外部に伝達される。
【0032】
また、モータ1の駆動時には、不図示のポンプ等によって冷却用のオイルOLがオイル供給口P1に供給されて空間S2内に導かれる。空間S2に導かれたオイルOLは、コイルエンド部32aに滴下されてコイルエンド部32aを伝って下方に移動し、或いはステータコア31のティース31bとコイル32との間に設けられた隙間C1に供給される。これにより、コイル32のコイルエンド部32aがオイルOLによって直接冷却されるとともに、ティース31bに巻回されているコイル32の内周部がオイルOLによって直接冷却されるため、コイル32の全体を効率的に冷却することができる。
【0033】
ここで、ハウジング40の内部は、仕切部材33a,33bによって、ロータ20が配設される空間S1とコイルエンド部32aが配設される空間S2とに分離されているため、オイル供給口P1から空間S2内にオイルOLが供給されても、オイルOLがエアギャップGに侵入するのを防止することができる。尚、コイルエンド部32aを伝って下方に移動したオイルOL及び隙間C1を介して下方に移動したオイルOLは、オイル排出口P2を介して外部に排出される。
【0034】
以上の通り、本実施形態では、断面形状が三角形状、円弧形状、又は矩形形状の凹部R1〜R3をステータコア31のティース31bに形成することで、ティース31bとコイル32との間に隙間C1を設けている。これにより、ティース31bとコイル32との間の隙間C1にオイルOLを供給することが可能になり、コイル32を効率的に冷却することができる。
【0035】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態による回転機としてのモータについて説明する。本実施形態のモータは、全体構成が第1実施形態のモータ1とほぼ同様であるが、ステータコア31に設けられるティースの断面形状が第1実施形態のモータ1とは異なる。図5は、本発明の第2実施形態におけるステータの拡大図であって、(a)は斜視透視図であり、(b)はステータに設けられるティースの断面図である。尚、図5においては、図3に示す部材に相当する部材については、同一の符号を付してある。また、図5(a),(b)では、隣接するティース31bに巻回されるコイル32を離間させて図示しているが、これらコイル32は、図3(b)と同様に、接触していても良い。
【0036】
図5に示す通り、本実施形態において、ティース31bの根本部は円柱状である。従って、ティース31bの断面形状は円形である。このようにティース31bの断面形状を円形形状にするのは、第1実施形態と同様に、ティース31bの周囲にコイル32が隙間無く高密度に巻回されていても、コイル32を効率的に冷却するためである。つまり、ティース31bの根本部の断面形状を円形にすると、ティース31bの根本部の周囲にはコイル32が円環状に巻回されるため、隣接するティース31bに巻回されるコイル32の間に隙間C2が設けられる。この隙間C2に冷却用のオイルOLを供給すれば、コイル32を直接冷却することができるため、コイル32を効率的に冷却することができる。
【0037】
ここで、図3(b)に示す通り、ティース31bの断面形状が略四角柱状である場合には、ティース31bに巻回されるコイル32の形状が四角環形状になる。このため、隣接するティース31bに巻回されるコイル32が接触していると(或いは、接触するほど近接していると)、コイル32の間にオイルOLを供給することが困難になり、コイル32の冷却効率を高めることはできない。これに対し、本実施形態のように、ティース31bの断面形状を円形にすると、ティース31bに巻回されるコイル32の形状は円環形状になる。すると、仮に隣接するティース31bに巻回されるコイル32が接触していたとしても、コイル32の間に隙間C2が設けられてコイル32の間にオイルOLを供給することが容易になるため、コイル32の冷却効率を高めることができる。
【0038】
以上の通り、本実施形態では、ステータコア31のティース31bの断面形状を円形にすることで、隣接するティース31bに巻回されるコイル32の間に隙間C2を設けている。これにより、隣接するティース31bに巻回されるコイル32の間に隙間C2にオイルOLを供給することが可能になり、コイル32を効率的に冷却することができる。尚、ティース31bの断面形状は、円形状以外に楕円形状であっても良い。
【0039】
以上、本発明の実施形態による回転機について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ステータコア31が磁性体からなる板材としての電磁鋼板を複数積層して形成されるものである場合を例に挙げて説明したが、粉状の磁性材料を加圧成型することによって形成されるものであっても良い。
【0040】
また、上記第1実施形態ではティース31bとコイル32との間に隙間C1を設け、上記第2実施形態では隣接するティース31bに巻回されるコイル32の間に隙間C2を設ける例について説明したが、これら第1,第2実施形態を組み合わせてもよい。例えば、ティース31bの根本部の断面形状を円形にするとともに根本部の側面に凹部を形成して、ティース31bとコイル32との間の隙間C1と隣接するティース31bに巻回されるコイル32の間の隙間C2とを設けても良い。隙間C1,C2の双方を設けることで、コイル32の冷却効率を更に高めることが可能である。
【0041】
更に、上記実施形態では、電動機の一種であるモータを例に挙げて説明したが、発電機にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 モータ
10 回転軸
20 ロータ
30 ステータ
31 ステータコア
31b ティース
32 コイル
C1,C2 隙間
OL オイル
R1〜R3 凹部
S2 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周りで回転可能なロータと、該ロータの周りに配置されるステータとを備える回転機において、
前記ステータは、前記ロータの回転方向に沿って配列形成された複数のティースを有するステータコアと、該ティースに巻回されるコイルとを備えており、
前記ティースは、断面形状が前記コイルとの間及び隣接するティースに巻回されるコイルの間の少なくとも一方に隙間が設けられる形状である
ことを特徴とする回転機。
【請求項2】
前記ティースの少なくとも1つの側面には、前記コイルとの間に隙間を設けるための凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の回転機。
【請求項3】
前記ティースに形成される前記凹部は、断面形状が三角形状、円弧形状、及び矩形形状の何れかであることを特徴とする請求項2記載の回転機。
【請求項4】
前記ティースは、断面形状が円形又は楕円形状であることを特徴とする請求項1記載の回転機。
【請求項5】
外部からの冷媒を、前記ティースと前記コイルとの間に設けられる隙間及び前記隣接するティースに巻回されるコイル間に設けられる隙間の少なくとも一方に供給する冷媒供給部を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の回転機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−21759(P2013−21759A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150999(P2011−150999)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】