説明

回転角センサ

【課題】使用する永久磁石の構造の単純化や小型化によって、コスト軽減と、軽量化を図ることのできる回転角センサを提供すること。
【解決手段】回転軸23上に固定装備されるヨーク7の一対の円板部7a,7bに永久磁石27を装備して、一対の円板部7a,7bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成し、一対の円板部7a,7bの外周囲のセンサ設置位置に設けたホール素子14の出力信号によって回転軸23の回転角を検出する回転角センサ21において、永久磁石27を円板部7a,7bよりも小径のリング状にして一対の円板部7a,7bの中止から偏心した位置に取り付けることで、使用する永久磁石27の小型化や構造の単純化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸と一体に回転するヨークの円板部の周方向に徐々に強さが変化する磁界をホール素子によって検出して、前記回転軸の回転角を検出する回転角センサに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、回転軸と一体に回転するヨークの円板部の周方向に徐々に強さが変化する磁界をホール素子によって検出して、前記回転軸の回転角を検出する回転角センサが記載されている。
【0003】
図7及び図8は、下記特許文献1に記載の回転角センサと同様な仕組みで回転軸の回転を検出する回転角センサの構成を示したものである。
図7及び図8に示した回転角センサ1は、センサケース3に回転自在に支持された回転軸5に、高透磁材料製のヨーク7と、該ヨーク7に固定された永久磁石9と、印加される磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子(ホールIC)11とを備えた構成である。
【0004】
回転軸5は、中心に不図示の駆動軸が嵌合する軸係合孔5aが貫通形成されていて、軸係合孔5aに嵌合した駆動軸と一体に回転する。
【0005】
ヨーク7は、図7及び図10に示すように、回転軸5の軸方向に離間した回転軸5上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部7a,7bと、これらの一対の円板部7a,7bを磁気的に結合する連結部7cとを、高透磁材料の金属板のプレス成形で一体形成したものである。
【0006】
一対の円板部7a,7bは、いずれも、回転軸5の軸線方向に直交するように、回転軸5に取り付けられる。円板部7a,7bには、軸係合孔5aと同心に、軸係合孔8が貫通形成されている。
【0007】
永久磁石9は、図9に示すように、一対の円板部7a,7bのそれぞれの対向面に積層状態に設けられた一対の磁石板9a,9bから構成されている。
一対の磁石板9a,9bは、平面視の形状は円板部7a,7bと略同一で、図9及び図11に示すように、中心部には、軸係合孔5aに同心に、軸係合孔10が貫通形成されている。
【0008】
一対の磁石板9a,9bは、側面視の形状では、図11(a)に示すように、周方向に徐々に板厚が変化するテーパ構造になっている。これは、一対の円板部7a,7bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成するためである。
【0009】
回転軸5は樹脂製である。一対の円板部7a,7b及び磁石板9a,9bは、インサート成形により回転軸5に一体化され、図9に示す軸組立体15として、センサケース3に組み付けられる。
【0010】
ホール素子11は、一対の円板部7a,7bの外周側で、対向する一対の永久磁石9,9間の隙間の中間に磁界検出部11aが位置するように、センサケース3に固定される。ホール素子11の出力端子は、センサケース3に設けられた外部接続端子17に接続されている。
【0011】
図7及び図8に示した回転角センサ1では、前述のように磁石板9a,9bが一対の円板部7a,7bの周方向に徐々に厚さが変化する構造となっているため、軸組立体15が図8の矢印E方向に回転駆動されると、磁界検出部11aと磁石板9a,9bとの間の隙間(ギャップ)が円板部7a,7bの周方向に徐々に変化し、これにより、磁界検出部11aを横切る磁束密度が変化するため、ホール素子11の出力が軸組立体15の回転角に応じて変化し、回転軸5の回転角が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−028312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、一対の円板部7a,7bの外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成するために、円板部7a,7bに固定する磁石板9a,9bを、図11(a)に示したように板厚が徐々に変化する構造とした従来の回転角センサ1では、磁石板9a,9bの板厚が嵩んで重量化を招くと共に、テーパ面を持つ磁石板9a,9bの加工に手間がかかり、低コスト化が難しいという問題も生じた。
【0014】
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、磁界形成のために使用する永久磁石の形状を単純にして加工を容易にすると共に小型化して、コスト軽減と、軽量化を図ることのできる回転角センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)回転軸の軸方向に離間した前記回転軸上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部とこれらの一対の円板部を磁気的に結合する連結部とを一体形成した高透磁材料製のヨークと、
前記一対の円板部の対向端面間に装備されて前記一対の円板部の外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成する永久磁石と、
前記一対の円板部の外周囲に固定設定されたセンサ設置位置に固定配置されて前記回転軸の回転時に前記センサ設置位置を通過する前記円板部外周における磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子と、
を備えた回転角センサであって、
前記センサ設置位置は、前記一対の円板部の外周から径方向に適宜距離だけ離れた位置であり、
前記永久磁石は、前記円板部よりも小径で板厚が一定のリング状に形成され、中心を前記回転軸の中心から偏心させて一対の円板部間に固定されたことを特徴とする回転角センサ。
【0016】
(2)車両のATシフトポジションセンサに用いられることを特徴とする上記(1)に記載の回転角センサ。
【0017】
(3)車両のスロットル位置センサに用いられることを特徴とする上記(1)に記載の回転角センサ。
【0018】
(4)車両の燃料残量センサに用いられることを特徴とする上記(1)に記載の回転角センサ。
【0019】
上記(1)の構成によれば、ホール素子を横切る磁束密度に関与する永久磁石とホール素子との間の隙間は、回転軸の径方向における隙間で、永久磁石を回転軸の中心から偏心させて円板部上に固定したことで、回転時には、ホール素子と永久磁石との間の隙間が円板部の周方向に徐々に変化する形態が得られる。
【0020】
従って、回転軸と一体に円板部が回転駆動されると、回転に伴ってホール素子を横切る磁束密度が変化するため、ホール素子の出力が回転軸の回転角に応じて変化し、回転軸の回転角を検出することができる。
【0021】
そして、永久磁石は、円板部よりも小径で板厚が一定のリング状としたことで、円板部と略同じ形状で板厚が徐々に変化する従来の磁石板と比較すると、構造の単純化と小型化により、コスト軽減と、軽量化を図ることができる。
【0022】
上記(2)、(3)、(4)の構成によれば、回転角センサが、車両のATシフトポジションセンサ、スロットル位置センサ、燃料残量センサ等に用いられることにより、車両の小型化、軽量化、コスト軽減に貢献できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による回転角センサによれば、ヨークの円板部に固定する永久磁石は円板部よりも小径で板厚が一定のリング状にでき、永久磁石の構造の単純化や薄肉化による小型化によって、コスト軽減と、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る回転角センサの一実施形態の縦断面図である。
【図2】図1のF−F断面図である。
【図3】図2に示した回転角センサにおける軸組立体のG−G断面図である。
【図4】図1に示した永久磁石の平面図である。
【図5】図1に示した永久磁石の側面図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるホール素子と永久磁石との間の隙間の説明図である。
【図7】従来の回転角センサの縦断面図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】図8に示した回転角センサにおける軸組立体のB−B断面図である。
【図10】(a)は図7に示した回転角センサで使用しているヨークの側面図、(b)は(a)のC矢視図である。
【図11】(a)は図7に示した回転角センサで使用している一対の永久磁石の側面図、(b)は(a)D矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る回転角センサの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態の回転角センサ21は、センサケース3に回転自在に支持された回転軸23に、高透磁材料製のヨーク7と、該ヨーク7に固定された永久磁石27と、印加される磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子(ホールIC)14とを備えた構成である。
【0027】
回転軸23は、中心に不図示の駆動軸が嵌合する軸係合孔23cが貫通形成されていて、軸係合孔23cに嵌合した駆動軸と一体に回転する。
【0028】
ヨーク7は、図10に示した構成のもので、回転軸23の軸方向に離間した回転軸23上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部7a,7bと、これらの一対の円板部7a,7bを磁気的に結合する連結部7cとを、高透磁材料の金属板のプレス成形で一体形成したものである。
【0029】
一対の円板部7a,7bは、いずれも、回転軸23の軸線方向に直交するように、回転軸23に取り付けられる。円板部7a,7bには、軸係合孔23cと同心に、軸係合孔8が貫通形成されている。
【0030】
ホール素子14は、回転軸23に固定された一対の円板部7a,7bの外周囲に固定設定されたセンサ設置位置(図1及び図2のホール素子14の位置)に位置するように、センサケース3に固定されている。ホール素子14の出力端子は、センサケース3に設けられた外部接続端子17に接続されている。
【0031】
センサ設置位置は、一対の円板部7a,7bの外周から円板部7a,7bの径方向に適宜距離だけ離れた位置で、ホール素子14は、磁力線を受ける面14aを円板部7a,7bの回転中心に向けて配置されている。
【0032】
本実施形態の場合、永久磁石27は、図4及び図5に示すように、円板部7a,7bよりも小径で板厚が一定のリング状に形成されている。そして、図6に示すように、永久磁石27は、リングの中心O2を回転軸23や円板部7a,7bの中心O1から距離sだけ偏心させて一対の円板部7a,7b間に固定している。
【0033】
回転軸23は樹脂製である。ヨーク7及びヨーク25は、インサート成形により回転軸23に一体化され、図3に示す軸組立体33として、センサケース3に組み付けられる。
なお、図3に示したように、インサート成形の際に、回転軸23を構成する樹脂材の一部は、一対の円板部7a,7bの外表面に積層されて、円板部7a,7bを保護する保護壁23a,23bとなる。
【0034】
以上に説明した一実施形態の回転角センサ21では、ホール素子14を横切る磁束密度に関与する永久磁石27とホール素子14との間の隙間は、回転軸23の径方向における隙間で、図2及び図6示すように、永久磁石27を回転軸23の中心01から偏心させて円板部7a,7b上に固定したことで、円板部7a,7bの回転時には、ホール素子14と永久磁石27の外周面との間の隙間が円板部7a,7bの周方向に徐々に変化する形態が得られる。
【0035】
従って、回転軸23と一体に円板部7a,7bが回転駆動されると、回転に伴ってホール素子14を横切る磁束密度が変化するため、ホール素子14の出力が回転軸23の回転角に応じて変化し、回転軸23の回転角を検出することができる。
【0036】
そして、永久磁石27は、円板部7a,7bよりも小径で板厚が一定のリング状としたことで、円板部と略同じ形状で板厚が徐々に変化する従来の磁石板と比較すると、構造の単純化と小型化により、コスト軽減と、軽量化を図ることができる。
また、上記回転角センサは、車両のATシフトポジションセンサ、スロットル位置センサ、燃料残量センサ等に用いられることにより、車両の小型化、軽量化、コスト軽減に貢献できる。
【0037】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0038】
3 センサケース
7 ヨーク
7a,7b 円板部
7c 連結部
21 回転角センサ
23 回転軸
23c 軸係合孔
27 永久磁石
33 軸組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の軸方向に離間した前記回転軸上の2箇所に鍔状に固定装備される一対の円板部とこれらの一対の円板部を磁気的に結合する連結部とを一体形成した高透磁材料製のヨークと、
前記一対の円板部の対向端面間に装備されて前記一対の円板部の外周部に沿って周方向に徐々に強さが変化する磁界を形成する永久磁石と、
前記一対の円板部の外周囲に固定設定されたセンサ設置位置に固定配置されて前記回転軸の回転時に前記センサ設置位置を通過する前記円板部外周における磁界の強さに応じた出力信号を発生するホール素子と、
を備えた回転角センサであって、
前記センサ設置位置は、前記一対の円板部の外周から径方向に適宜距離だけ離れた位置であり、
前記永久磁石は、前記円板部よりも小径で板厚が一定のリング状に形成され、中心を前記回転軸の中心から偏心させて一対の円板部間に固定されたことを特徴とする回転角センサ。
【請求項2】
車両のATシフトポジションセンサに用いられることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項3】
車両のスロットル位置センサに用いられることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。
【請求項4】
車両の燃料残量センサに用いられることを特徴とする請求項1に記載の回転角センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−249671(P2010−249671A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99648(P2009−99648)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】