説明

回転部品の動作を監視する際に使用するためのシステムおよび方法

【課題】ロータアセンブリの動作を監視する際に使用するためのシステムを提供する。
【解決手段】ロックワイヤタブ220の表面242、252間の距離を測定するように構成された少なくとも第1の隙間センサ240、250を含む複数の隙間センサと、複数の隙間センサに接続された監視ユニットとを含み、監視ユニットは、複数の隙間センサ240、250からの測定値を受信し、受信された測定値に基づいてロータアセンブリに亀裂が存在するかどうかを判定するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、一般に、監視システムに関し、より具体的には、ロータアセンブリの動作を監視する際に使用するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンなどの知られている機械は、ロータアセンブリを含む。ロータアセンブリは、動作中に振動または他の挙動を示すことがある。センサは、そのような挙動を監視して1つまたは複数の部品の動作状態を判定するために使用可能である。例えば、センサは、モータ駆動軸において誘導された振動の量、モータ駆動軸の回転位置もしくは変位、および/または機械もしくはモータの他の動作特性を測定することができる。しばしば、センサは、複数のモニタおよび少なくとも1つのプロセッサを含む監視システムに接続される。監視システムは、センサから検知された測定値を表す信号を受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0089166号明細書
【発明の概要】
【0004】
少なくともいくつかの知られている監視システムは、振動センサを使用して、監視されている部品における亀裂の存在を判定する。しかし、振動センサは、亀裂の存在を検出することしかできない場合や、亀裂の位置を正確に示すことができない場合があるので、少なくともいくつかの知られている監視システムは、亀裂の位置を正確に判定することができない。さらに、少なくともいくつかの知られている監視システムは、亀裂の位置を判定しようとして隙間センサを使用するが、センサの温度制限および監視されている機械の中の空間制限のために、そのような監視システムのうちの少なくともいくつかは、ガスタービンエンジンにおける動作中(すなわち、オンライン)のロータアセンブリを監視することができない。
【0005】
一態様では、ロータアセンブリの動作を監視する際に使用するためのシステムが提供される。このシステムは、ロックワイヤタブの表面との間の距離を測定するように構成された少なくとも第1の隙間センサを含む複数の隙間センサと、複数の隙間センサに接続された監視ユニットとを含み、監視ユニットは、複数の隙間センサから測定値を受信し、受信された測定値に基づいてロータアセンブリに亀裂が存在するかどうかを判定するように構成されている。
【0006】
他の態様では、ロータアセンブリの動作を監視する際に使用するための監視ユニットが提供される。この監視ユニットは、ロックワイヤタブの表面との間の距離を測定するように構成された少なくとも第1のセンサを含む複数の隙間センサから受信された測定値を記憶するように構成されたメモリデバイスと、メモリデバイスに接続され、記憶されている測定値に基づいてロータアセンブリに亀裂が存在するかどうかを判定するように構成された処理デバイスとを含む。
【0007】
さらに他の態様では、ロータアセンブリの動作を監視するための方法が提供される。本方法は、少なくとも1つの隙間センサから、少なくとも1つの隙間センサとロータアセンブリの部品との間の距離を示す測定値を取得するステップであって、少なくとも1つの隙間センサは、ロックワイヤタブの表面との間の距離を測定するように構成された第1のセンサを含む、ステップと、取得された測定値を監視ユニットに送信するステップと、監視ユニットを使用して、受信された測定値に基づいてロータアセンブリに亀裂が存在するかどうかを判定するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的タービンエンジンの概略横断面図である。
【図2】図1に示されているタービンエンジンと共に使用され得る例示的ロータアセンブリの概略横断面図である。
【図3】図2に示されているロータアセンブリの一部分の拡大図である。
【図4】図2に示されているロータアセンブリと共に使用され得る例示的監視ユニットのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、ガスタービンのロータアセンブリにおける亀裂を正確に識別することを可能にする。複数の隙間センサが、ロータアセンブリの部品までの距離を周期的に測定する。より具体的には、少なくとも1つのセンサが、ロックワイヤタブの表面との間の距離を測定する。複数の隙間センサによって測定された測定値は、測定値を使用して亀裂が存在するかどうかを判定する監視ユニットに送信される。監視ユニットはまた、少なくとも2つの隙間センサからの測定値を比較して、部品上の亀裂の位置を判定することができる。
【0010】
本明細書に記載の方法およびシステムの技術的効果は、(a)少なくとも1つの隙間センサから、少なくとも1つのセンサとロータアセンブリの部品との間の距離を示す測定値を取得することであって、少なくとも1つの隙間センサは、ロックワイヤタブの表面との間の距離を測定するように構成された第1のセンサを含む、こと、(b)取得された測定値を監視ユニットに送信すること、および(c)受信された測定値に基づいてロータアセンブリに亀裂が存在するかどうかを判定することのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
図1は例示的タービンエンジン100の概略横断面図である。より具体的には、例示的実施形態では、タービンエンジン100はガスタービンエンジンである。例示的実施形態は、ガスタービンエンジンを対象とするが、本発明は、いかなる1つの特定のエンジンにも限定されず、本発明は、他のタービンエンジンおよび/またはロータアセンブリ以外の回転構造体と一緒に使用されてよいことを当業者は理解するであろう。
【0012】
例示的実施形態では、タービンエンジン100は、取入れ部112、取入れ部112の下流にあるコンプレッサ部114、コンプレッサ部114の下流にある燃焼器部116、燃焼器部116の下流にあるタービン部118、および排気部120を含む。例示的実施形態では、タービン部118は、ロータ軸122によってコンプレッサ部114に接続される。代替として、タービンエンジン100は、タービン部118をコンプレッサ部114に接続するロータ軸122を含まない。例示的実施形態では、燃焼器部116は、複数の燃焼器124を含む。燃焼器部116は、各燃焼器124がコンプレッサ部114と流れ連通するようにコンプレッサ部114に接続される。燃料噴射アセンブリ126は、各燃焼器124の中で接続される。タービン部118は、コンプレッサ部114に、ならびに発電機および/または機械駆動アプリケーションなどのしかしそれらに限定されない負荷128に、接続される。例示的実施形態では、各コンプレッサ部114およびタービン部118は、ロータアセンブリ132を形成するためにロータ軸122に接続された少なくとも1つのロータディスクアセンブリ130を含む。
【0013】
図2は、タービンエンジン100(図1に示されている)と共に使用され得るロータアセンブリ132の概略横断面図である。図3は、(図2に示されている)エリア3に沿ったロータアセンブリ132の一部分の拡大図である。例示的実施形態では、ロータアセンブリ132は、ロータアセンブリ132を通って軸方向に延在する長手方向軸204に外接するロータホイール202を含む。
【0014】
複数のバケット206は、ロータホイール202に接続され、それぞれ、長手方向軸204に対して直角を成す半径方向にロータホイール202からアウターケーシング208に向かって外側へ放射状に延在する。さらに、各バケット206は、基底210から先端212まで放射状に延在し、前縁214から後縁216まで軸方向に延在する。基底210におけるロックワイヤタブ220は、ロータホイール202に対してバケット206の軸位置を固定する。図2にはバケット206は1つしか例示されていないが、ロータアセンブリ132は、ロータホイール202に接続され、ロータホイール202から外側へ半径方向に延在する複数のバケット206を含む。したがって、動作中に、ロータホイール202およびバケット206は、長手方向軸204を中心にして同時に回転する。
【0015】
ロータアセンブリ132はまた、以下でさらに詳細に説明されるように、ロックワイヤタブ220および/またはバケット206のいずれかが何らかの亀裂を発生させたかどうかを判定することを可能にするために、それぞれがロックワイヤタブ220および/またはバケット206の相対位置を監視する1つまたは複数の隙間センサ230を含む。
【0016】
例示的実施形態では、隙間センサ230は、比較的高い温度許容度を有する容量プローブである。したがって、隙間センサ230はそれぞれ、検出された容量に基づいて部品の表面までの距離を測定する。代替として、隙間センサ230は、ロータアセンブリ132が本明細書で説明されているように機能することができるようにする任意の他のタイプのセンサでもよい。例示的実施形態では、隙間センサ230は、ロックワイヤタブ220および/またはバケット206の位置および変位を測定するが、隙間センサ230は、ロータアセンブリ132が本明細書で説明されているように機能することができるようにするロータアセンブリ132における任意の部品の任意の表面および/または特徴の位置および変位を測定することができる。例えば、隙間センサ230は、ロックワイヤタブ220以外の基底210に近接した特徴の位置および変位を測定することができる。
【0017】
隙間センサ230の第1のセンサ240は、ロックワイヤタブ220の半径方向の位置および変位を測定するように配置される。具体的には、第1のセンサ240は、第1のセンサ240とロックワイヤタブ220の第1の表面242との間の半径方向の距離D1を測定する。第1の表面242は、長手方向軸204に実質的に平行であり、第1のセンサ240は、第1のケーブル246によって監視ユニット244に接続される。監視ユニット244は、以下でさらに詳細に説明されるように、隙間センサ230から受信されたデータを処理する。第1のセンサ240からの測定値は、第1のケーブル246を介して監視ユニット244に送信される。第1のケーブル246はまた、第1のセンサ240に電力を提供することができる。例示的実施形態では、第1のセンサ240は、ダイヤフラムシール248に接続され、第1のケーブル246は、ダイヤフラムシール248、静翼、およびアウターケーシング208を通過して、監視ユニット244に達する。代替として、第1のセンサ240および第1のケーブル246は、ロータアセンブリ132が本明細書で説明されているように機能することができるようにする任意の相対位置および/または配向を有する。
【0018】
隙間センサ230の第2のセンサ250は、ロックワイヤタブ220の軸方向の位置および変位を測定する。具体的には、第2のセンサ250は、第2のセンサ250とロックワイヤタブ220の第2の表面252との間の軸方向の距離D2を測定する。第2のセンサ250は、第2のケーブル256によって監視ユニット244に接続される。第2のセンサ250からの測定値は、第2のケーブル256を介して監視ユニット244に送信される。第2のケーブル256はまた、第2のセンサ250に電力を提供することができる。例示的実施形態では、第2のセンサ250は、ダイヤフラムシール248に接続され、第2のケーブル256は、ダイヤフラムシール248、静翼、およびアウターケーシング208を通過して監視ユニット244に達する。代替として、第2のセンサ250および第2のケーブル256は、ロータアセンブリ132が本明細書で説明されているように機能することができるようにする任意の相対位置および/または配向を有する。
【0019】
第3のセンサ260は、前縁214に隣接する先端212の半径方向の位置および変位を測定する。具体的には、第3のセンサ260は、第3のセンサ260と先端212との間に画定された半径方向の距離D3を測定する。第3のセンサ260は、第3のケーブル266によって監視ユニット244に接続される。第3のセンサ260からの測定値は、第3のケーブル266を介して監視ユニット244に送信される。第3のケーブル266はまた、第3のセンサ260に電力を提供することができる。例示的実施形態では、第3のセンサ260は、アウターケーシング208に接続され、第3のケーブル266は、アウターケーシング208を通過する。代替として、第3のセンサ260および第3のケーブル266は、ロータアセンブリ132が本明細書で説明されているように機能することができるようにする任意の相対位置および/または配向を有する。
【0020】
第4のセンサ270は、後縁216に隣接する先端212の半径方向の位置および変位を測定する。具体的には、第4のセンサ270は、第4のセンサ270と先端212との間の半径方向の距離D4を測定する。第4のセンサ270は、第4のケーブル276によって監視ユニット244に接続される。第4のセンサ270からの測定値は、第4のケーブル276を介して監視ユニット244に送信される。第4のケーブルはまた、第4のセンサ270に電力を提供することができる。例示的実施形態では、第4のセンサ270は、アウターケーシング208に接続され、第4のケーブル276は、アウターケーシング208を通過する。代替として、第4のセンサ270および第4のケーブル276は、ロータアセンブリ132が本明細書で説明されているように機能することができるようにする任意の相対位置および/または配向を有する。
【0021】
例示的実施形態では、第1の表面242および第2の表面252は、ロータアセンブリ132が回転するときに実質的に連続しているので、第1のセンサ240および第2のセンサ250は、振幅変調容量プローブである。振幅変調容量プローブでは、容量プローブの出力電圧は隙間が増大するにつれて増大する。一方、隣接するバケット206間の空間のために、先端212の表面は、ロータアセンブリ132が回転している間、第3のセンサ260および第4のセンサ270によって測定されるときに連続していない。したがって、例示的実施形態では、第3のセンサ260および第4のセンサ270は、周波数変調容量プローブである。周波数変調容量プローブでは、容量プローブの出力電圧は隙間が増大するにつれて減少する。振幅変調容量プローブおよび周波数変調容量プローブは、隙間センサ230が本明細書で説明されているように機能することができるようにする任意の方法を使用して較正されてよい。
【0022】
例示的実施形態は4つの隙間センサ230を含むが、ロータアセンブリ132は、ロータアセンブリ132が本明細書で説明されているように機能することができるようにする任意の数の隙間センサ230を含んでよい。例示的実施形態では、隙間センサ230は、バケット206の位置および変位を周期的に測定する。代替として、隙間センサ230は、バケット206の位置および変位を連続して測定してもよい。さらに、例示的実施形態では、隙間センサ230は、ケーブル246、256、266、および276を介して測定値を監視ユニット244に中継するが、代替として、隙間センサ230は、測定値を監視ユニットに無線で送信することができる。
【0023】
図4は、亀裂がないかロータアセンブリ132(図2に示されている)を監視するために使用され得る監視ユニット244(図2に示されている)などの例示的監視ユニット400のブロック図である。監視ユニット400は、少なくとも1つのメモリデバイス410、および命令を実行するためにメモリデバイス410に接続されたプロセッサ415を含む。いくつかの実施形態では、実行可能な命令は、メモリデバイス410に記憶されている。監視ユニット400は、プログラミングプロセッサ415によって本明細書に記載の1つまたは複数の動作を実行する。例えば、プロセッサ415は、動作をメモリデバイス410内の1つまたは複数の実行可能な命令としてエンコードすることによって、およびこの実行可能な命令を実行することによって、プログラムされてよい。プロセッサ415は、1つまたは複数の処理ユニットを(例えば、マルチコア構成で)含んでよい。
【0024】
メモリデバイス410は、実行可能な命令および/または他のデータなどの情報を記憶し取り出すことができるようにする1つまたは複数のデバイスである。メモリデバイス410は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ソリッドステートディスク、および/またはハードディスクなどのしかしそれらに限定されない1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含んでよい。メモリデバイス410は、限定なしに、アプリケーションソースコード、アプリケーションオブジェクトコード、対象のソースコード部分、対象のオブジェクトコード部分、構成データ、実行イベントおよび/または任意の他のタイプのデータを記憶するように構成されていてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、監視ユニット400は、プロセッサ415に接続された提示インターフェース420を含む。提示インターフェース420は、ユーザ425にアプリケーションソースコードおよび/または実行イベントなどの情報を提示する。例えば、提示インターフェース420は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機LED(OLED)ディスプレイ、および/または「電子インク」ディスプレイなどのディスプレイデバイスに接続可能なディスプレイアダプタ(図示せず)を含んでよい。いくつかの実施形態では、提示インターフェース420は、1つまたは複数のディスプレイデバイスを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、監視ユニット400は、ユーザ入力インターフェース435などの入力インターフェース430を含む。例示的実施形態では、ユーザ入力インターフェース435は、プロセッサ415に接続され、ユーザ425からの入力を受信する。ユーザ入力インターフェース435は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、タッチセンシティブパネル(例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、および/またはオーディオユーザ入力インターフェースを含んでよい。タッチスクリーンなどの単一の部品は、提示インターフェース420のディスプレイデバイスとしてもユーザ入力インターフェース435としても機能することができる。
【0027】
例示的実施形態では、監視ユニット400は、プロセッサ415に接続された通信インターフェース440を含む。通信インターフェース440は、1つまたは複数のリモートデバイスと通信する。例示的実施形態では、通信インターフェース440は、隙間センサ230と通信する。リモートデバイスと通信するために、通信インターフェース440は、例えば、有線ネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、および/または移動通信アダプタを含んでよい。
【0028】
隙間センサ230からの測定値は、監視ユニット244によって受信され、メモリデバイス410に記憶される。バケット206に亀裂が存在するかどうかを判定するために、プロセッサ415は、メモリデバイス410に記憶されている測定値を分析し処理する。例示的実施形態では、プロセッサ415は、時間の経過につれて隙間センサ230ごとの測定値を分析する。代替として、プロセッサ415は、バケット206における亀裂を検出するのを容易にする任意のやり方で測定値を分析する。
【0029】
例示的実施形態では、プロセッサ415は、隙間センサ230ごとの測定値を個別に監視する。例えば、プロセッサ415は、第1のセンサ240によって測定されたとき、時間の経過に伴う距離D1を監視することができる。プロセッサ415が、距離D1が時間の経過につれて増大していると判定した場合は、そのような傾向は、ロックワイヤタブの第1の表面242が第1のセンサ240から離れていっており、したがって、ロックワイヤタブ220において亀裂が発生しつつあるおよび/または発生した可能性があることを示す可能性がある。同様に、プロセッサ415が、距離D1が時間の経過につれて減少しつつあると判定した場合は、ロックワイヤタブ220において亀裂が発生しつつあるおよび/または発生した可能性がある。したがって、単一の隙間センサ230からの測定値が、亀裂の存在および/または位置を判定するために使用され得る。
【0030】
例示的実施形態では、プロセッサ415はまた、複数のセンサ230から受信された測定値を比較して、潜在的な亀裂を判定する。具体的には、受信された測定値に基づいて、プロセッサ415は、亀裂の軸方向の位置(すなわち、亀裂が前縁214の近くにあるか、または後縁216の近くにあるか)、ならびに亀裂の半径方向の位置(すなわち、亀裂がロックワイヤタブ220にあるか、またはバケット206にあるか)を判定することができる。例えば、プロセッサは、第3のセンサ260によって測定されたデータを第4のセンサ270によって測定されたデータと比較することができる。例えば、距離D3が時間の経過につれて増大し、一方、距離D4が時間の経過につれて減少した場合は、そのようなデータは、バケット206が前縁214の方へ移動または傾斜しつつあることを示す可能性があり、亀裂がバケット後縁216に沿って発生した可能性があり得る。同様に、距離D3が時間の経過につれて減少し、一方、距離D4が時間の経過につれて増大した場合は、亀裂がバケット前縁214に沿って発生した可能性があり得る。さらに他の例では、距離D3およびD4が時間の経過につれて変わったが、距離D1およびD2は不変のままである場合は、バケット206に亀裂が発生したが、ロックワイヤタブ220には発生していない可能性があり得る。
【0031】
したがって、隙間センサ230からの測定値を分析することによって、プロセッサ415は、バケット206および/またはロックワイヤタブ220における亀裂の存在、ならびに亀裂のおよその位置を判定することができる。すなわち、プロセッサ415は、任意の数の隙間センサ230の測定値を監視および/または比較して、亀裂の存在および/または位置を判定することができる。例えば、プロセッサ415は、第1のセンサ240の測定値と第2のセンサ250の測定値を比較して、ロックワイヤタブ220の中の亀裂の位置を判定することができる。さらに、さらなる分析のために、圧力、温度、および/または振動データなどのロータアセンブリ132に関する他のデータを隙間センサ230からの測定値と組み合わせることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、隙間センサ230ごとの基準隙間がメモリデバイス410に記憶されている。さらに、各隙間センサ230は、複数の動作状況のそれぞれごとに別個の基準隙間を有してよい。動作状況は、例えば、生成された動力、燃料ストローク比率、タービン速度、吸入ガイド静翼角、および推定点火温度などの動作パラメータによって特徴付けられてよい。そのような動作パラメータは、適用可能な動作状況を判定するために監視および記憶されてよい。所与の隙間センサ230からの測定値が関連する基準測定値から逸脱した場合は、プロセッサ415は、対応する脅威レベルを設定することができる。例えば、一実施形態では、プロセッサ415は、測定値が3つ以上の標準偏差だけ基準から逸脱した場合は、小さい「注視」脅威レベルを、測定値が4つ半以上の標準偏差だけ逸脱した場合は、中くらいの「警告」脅威レベルを、および測定値が6つ以上の標準偏差だけ逸脱した場合は、大きな「アラート」脅威レベルを生成することができる。脅威レベルの閾値はまた、ロータアセンブリ132の有限要素モデリングおよび/または観察によって決められてよい。適切なアラートは、脅威レベルに基づいてプロセッサ415によって生成されることが可能である。さらに、複数のセンサ230からのアラートを組み合わせて、ロータアセンブリ132のための複合アラートを生成することが可能である。
【0033】
例示的実施形態では、プロセッサ415が本明細書に記載の方法の1つまたは複数を使用して隙間センサ230からの測定値を分析することによってバケット206における亀裂を検出した場合は、プロセッサ415は、オペレータに亀裂の可能性を通知するためにアラートを生成する。アラートは、ユーザ425に亀裂の存在および/または位置を通知する任意のオーディオおよび/またはビジュアル指示を含んでよい。例えば、アラートは、提示インターフェース420によって生成された音、ならびに/または提示インターフェース420上に表示されたアイコン、記号、および/もしくはメッセージのうちの少なくとも1つを含んでよい。アラートはまた、モバイルデバイスに送信される電子アラート(例えば、テキストメッセージ)でもよい。
【0034】
プロセッサ415はまた、隙間センサ230からの測定値を分析することによってロータアセンブリ132における亀裂以外の異常を検出するために使用可能である。例えば、第1のセンサ240および/または第2のセンサ250からの測定値を分析することによって、プロセッサ415は、ロックワイヤタブ220が故障していること、および/またはロックワイヤタブ220のロックワイヤがスリップしたことを判定することができる。上記と同様に、プロセッサ415がロックワイヤタブ220の1つまたは複数の部品の故障を検出した場合は、プロセッサ415は対応するアラートを生成することができる。アラートを受信したオペレータは、ロータアセンブリ132に対する損傷を防止するために適切なアクションを取ることができる。
【0035】
本明細書に記載の諸実施形態は、ガスタービンのロータアセンブリにおける亀裂を正確に識別することができるようにする。複数の隙間センサは、ロータアセンブリの部品までの距離を周期的に測定する。より具体的には、少なくとも1つのセンサが、センサとロックワイヤタブの表面との間の距離を測定する。複数の隙間センサによって測定された測定値は、その測定値を使用して、何らかの亀裂が存在するかどうかを判定する監視ユニットに送信される。監視ユニットはまた、少なくとも2つの隙間センサからの測定値を比較して、部品における亀裂の位置を判定することができる。
【0036】
少なくともいくつかの知られている監視システムと比較すると、本明細書に記載の監視システムは、ロータアセンブリが動作中に(すなわち、オンライン中に)ロータアセンブリにおける亀裂を識別することができるようにする。さらに、少なくともいくつかの知られている監視システムは、亀裂の存在を判定することはできるが、亀裂の位置を判定することはできない。それとは対照的に、本明細書に記載の諸実施形態は、亀裂の存在および位置の判定を可能にする。さらに、ブレード隙間のみを測定する少なくともいくつかの知られている監視システムとは異なり、本明細書に記載の監視システムはまた、ロックワイヤタブの隙間を正確に測定する。
【0037】
本明細書に記載の方法およびシステムは、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。例えば、各システムの部品および/または各方法のステップは、本明細書に記載の他の部品および/またはステップから独立しておよび別々に使用および/または実行されてよい。さらに、各部品および/またはステップはまた、他のシステム、装置、および方法を用いて使用および/または実行されてよい。
【0038】
本明細書は、ベストモードを含めて、本発明を開示するために、さらに、当業者なら誰でも任意のデバイスまたはシステムを作成し使用すること、および任意の組み込まれた方法を実施することを含めて本発明を実施することができるようにするために、例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって定義され、当業者に思いつかれる他の例を含んでよい。そのような他の例は、請求項の文字言語と異ならない構造要素を有する場合、または請求項の文字言語と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合は、請求項の範囲内にあるものとする。
【0039】
本発明は様々な特定の実施形態の点から説明されてきたが、本発明は、請求項の趣旨および範囲内の変更形態を用いて実施されてよいことを当業者は理解するであろう。
【符号の説明】
【0040】
100 タービンエンジン
112 取入れ部
114 コンプレッサ部
116 燃焼器部
118 タービン部
120 排気部
122 ロータ軸
124 燃焼器
126 燃料噴射アセンブリ
128 負荷
130 ロータディスクアセンブリ
132 ロータアセンブリ
202 ロータホイール
204 長手方向軸
206 バケット
208 アウターケーシング
210 基底
212 先端
214 前縁
216 後縁
220 ロックワイヤタブ
230 隙間センサ
240 第1のセンサ
242 第1の表面
244 監視ユニット
246 第1のケーブル
248 ダイヤフラムシール
250 第2のセンサ
252 第2の表面
256 第2のケーブル
260 第3のセンサ
266 第3のケーブル
270 第4のセンサ
276 第4のケーブル
400 監視ユニット
410 メモリデバイス
415 プロセッサ
420 提示インターフェース
425 ユーザ
430 入力インターフェース
435 ユーザ入力インターフェース
440 通信インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータアセンブリ(132)の動作を監視する際に使用するためのシステムであって、
ロックワイヤタブ(220)の表面(242、252)との間の距離を測定するように構成された少なくとも第1の隙間センサ(240、250)を備えた複数の隙間センサ(230)と、
前記複数の隙間センサに接続された監視ユニット(244)と
を備え、前記監視ユニットは、
前記複数の隙間センサから測定値を受信し、
前記受信された測定値に基づいて前記ロータアセンブリに亀裂が存在するかどうかを判定するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記第1のセンサ(240)は、前記第1のセンサと前記ロータアセンブリ(132)の長手方向軸(204)に実質的に平行な前記ロックワイヤタブ(220)の表面(242)との間の距離を測定するように配置されたセンサを備える、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のセンサ(250)は、前記センサと前記ロータアセンブリの長手方向軸(204)に対して実質的に直角を成す前記ロックワイヤタブ(220)の表面(252)との間の距離を測定するように配置されたセンサを備える、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の隙間センサ(230)は、前記ロータアセンブリ(132)に接続されたバケット(206)の表面(212)との間の距離を測定するように配置された少なくとも第2のセンサ(260、270)をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のセンサ(260)は、前記第2のセンサと前記バケット(206)の前縁(214)に隣接する前記バケット(206)の先端(212)との間の距離を測定するように配置されたセンサを備える、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記第2のセンサ(270)は、前記第2のセンサと前記バケット(206)の後縁(216)に隣接する前記バケット(206)の先端(212)との間の距離を測定するように配置されたセンサを備える、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記監視ユニット(244)は、前記複数の隙間センサ(230)のうちの少なくとも2つからの測定値を比較して、前記ロータアセンブリ(132)における亀裂の位置を判定するようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記監視ユニット(244)は、亀裂が検出されるとアラートを生成するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
ロータアセンブリ(132)の動作を監視する際に使用するための監視ユニット(400)であって、
ロックワイヤタブ(220)の表面(242、252)との間の距離を測定するように構成された少なくとも第1のセンサ(240、250)を含む複数の隙間センサ(230)から受信された測定値を記憶するように構成されたメモリデバイス(410)と、
前記メモリデバイスに接続され、前記記憶されている測定値に基づいて前記ロータアセンブリに亀裂が存在するかどうかを判定するように構成された処理デバイス(415)と
を備える監視ユニット(400)。
【請求項10】
前記メモリデバイス(410)は、第1のセンサ(240)と、前記ロータアセンブリ(132)の長手方向軸(204)に実質的に平行である前記ロックワイヤタブ(220)の表面(242)との間の距離を測定するように配置された前記第1のセンサからの測定値を記憶するように構成されている、請求項9記載の監視ユニット(400)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−96989(P2013−96989A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234248(P2012−234248)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】