説明

固体撮像素子およびその製造方法

【課題】色収差を補償し、高感度で信頼性の高い、固体撮像素子を提供する。
【解決手段】画素を構成する複数の光電変換領域のそれぞれに対向するように配置され、前記光電変換領域に入射する光を画素毎に色分離するためのカラーフィルタを備えた固体撮像素子であって、前記カラーフィルタは、色に応じて集光特性が異なるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子およびその製造方法にかかり、特に色収差の補正機能を備えたカラーフィルタに関する。
【0002】
近年、固体撮像素子においては、高解像度化、高感度化への要求は高まる一方であり、ギガピクセル以上まで撮像画素数の増加が進んでいる。
【0003】
一般に、MOS型やCCD型の固体撮像素子等に用いられているカラーフィルタは、3色もしくは4色の着色されたレジストを使用し、レジストコートプロセス及び現像プロセスによって、平坦面上にパターン形成されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
そのひとつに例えば、図6に一例を示すように光電変換部を構成するフォトダイオード部の直上位置のBPSG膜などの絶縁膜9からなる平坦化層の上層に有機膜からなる平坦化膜(透光性膜:図示せず)、カラーフィルタ50R,50B、50G、平坦化膜61、マイクロレンズ(オンチップレンズ)60とを順次形成した構造が提案されている(電荷転送部、フォトダイオード部などの詳細については実施の形態で後述する)。
【0005】
このような構造の固体撮像素子において、カラーフィルタは次のようにして製造される。まず、平坦面上に例えばB(青色)のカラーフィルタ材料である着色レジストを塗布し、露光及び現像処理を行ってパターニングした後、熱処理又は紫外線照射を行って固着させることで、Bのカラーフィルタを形成する。次に、Bのカラーフィルタ及び平坦面上に、例えばG(緑色)のカラーフィルタ材料である着色レジストを塗布し、露光及び現像処理を行ってパターニングした後、熱処理又は紫外線照射を行って固着させることで、Gのカラーフィルタを形成する。最後に、B,Gのカラーフィルタ及び平坦面上に、例えばR(赤色)のカラーフィルタ材料である着色レジストを塗布し、露光及び現像処理を行ってパターニングした後、熱処理又は紫外線照射を行って固着させることで、Rのカラーフィルタを形成する。
【0006】
【特許文献1】特開平6−273611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような固体撮像素子においては、単位画素カラーフィルタ表面は平坦になるように形成され、また各画素相互の関係も同一平面になるように形成されている。
このため、図6に示すように、フォトダイオードに集光する際、受光する波長に応じて焦点位置が異なる、あるいは、カラーフィルタ層に斜めに光が通過する際に光線の入射角によりカラーフィルタ層で吸収される量が異なるなどの現象が生じることがある。
【0008】
さらにまた、カラーフィルタの上層にレンズ層が形成されるが、このマイクロレンズによる収差もある。
【0009】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、色収差を補償し、高感度で信頼性の高い、固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、画素を構成する複数の光電変換領域のそれぞれに対向するように配置され、前記光電変換領域に入射する光を画素毎に色分離するためのカラーフィルタを備えた固体撮像素子であって、前記カラーフィルタは、色に応じて集光特性が異なるように構成される。
この構成により、色収差を補償し、集光特性に優れた、固体撮像素子を提供することが可能となる。
【0011】
また本発明は、上記固体撮像素子において、前記カラーフィルタが、色毎に表面形状が異なるように構成されたものを含む。
この構成により、表面形状を調整することにより、色収差を補償し、高感度の、固体撮像素子を提供することが可能となる。
【0012】
また本発明は、上記固体撮像素子において、前記カラーフィルタは、色毎に曲率の異なるレンズ面を構成してなるものを含む。
この構成により、色収差を補償し、高感度の、固体撮像素子を提供することが可能となる。
【0013】
また本発明は、上記固体撮像素子において、前記カラーフィルタは、素子の端部に行くに従い、曲率をずらしたレンズ面を構成してなるものを含む。
この構成により、素子の端部に行くにしたがい、入射光が斜めになり易いが、曲率をずらしたレンズ面を用いることにより、収差を補償し、信頼性の高い集光特性を得ることが可能となる。
【0014】
また本発明は、上記固体撮像素子において、前記カラーフィルタは、色毎に、溶融粘度の異なる材料で構成されたものを含む。
この構成により、同時に溶融させてレンズ面を形成することにより、所望の曲率を得ることが可能となる。
【0015】
また本発明は、上記固体撮像素子において、前記カラーフィルタの上層にさらにマイクロレンズを備え、前記カラーフィルタは、前記マイクロレンズを透過した光の収差を補償し、光電変換領域までの光路長が等しくなるように構成されたものを含む。
この構成により、マイクロレンズの収差を補償し、集光特性の向上をはかることが可能となる。
【0016】
また本発明は、画素を構成する複数の光電変換領域を備えた光電変換部と、前記光電変換部で生起せしめられた電荷を転送する電荷転送電極を備えた電荷転送部と、前記電荷転送部に接続される配線層を含む周辺回路部とを形成した基体表面に、色の異なる第1および第2の領域を有し、色に応じて集光特性が異なるように形成されたカラーフィルタを、第1または第2の領域が前記光電変換領域に対応するように位置あわせして、固定する工程を含む。
この構成により、カラーフィルタを形成し、固体撮像素子に貼着するようにしているため、固体撮像素子の素子部に損傷を与えることなく、信頼性の高い固体撮像素子を形成することが可能となる。
【0017】
また本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、基体の表面に、画素を構成する複数の光電変換領域を備えた光電変換部と、前記光電変換部で生起せしめられた電荷を転送する電荷転送電極を備えた電荷転送部と、前記電荷転送部に接続される配線層を含む周辺回路部とを形成する工程と、前記基体上で、前記各光電変換領域に、色の異なる第1および第2の領域が相対向するように配置され、色に応じて集光特性が異なるように、カラーフィルタを形成する工程とを含む。
この構成により、色収差を補償し、集光特性に優れた、固体撮像素子を提供することが可能となる。
【0018】
また本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記カラーフィルタを形成する工程は、色毎に表面形状が異なるようにカラーフィルタ層をパターニングする工程を含む。
【0019】
また本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記カラーフィルタを形成する工程は、色毎に、溶融粘度の異なるレジストからなるカラーフィルタ材料をパターニングする工程と、前記パターニングする工程後、前記カラーフィルタ材料を溶融し所望の曲面形状を得るように加熱する工程とを含む。
この構成により、溶融粘度の異なるレジストを選択するのみで、溶融状態を調整することにより所望の曲面形状を得ることが可能となる。
【0020】
また本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記カラーフィルタを形成する工程は、色毎にパターンピッチを変えて、カラーフィルタ材料を、パターニングする工程と、前記パターニングする工程後、前記カラーフィルタ材料を溶融し所望の曲面形状を得るように加熱する工程とを含む。
この構成により、パターンのピッチを調整することにより、所望の曲面形状を得ることが可能となる。
【0021】
また本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記カラーフィルタを形成する工程は、周辺部と中央部でパターンピッチを変えて、カラーフィルタ材料を、パターニングする工程と、前記パターニングする工程後、前記カラーフィルタ材料を溶融し所望の曲面形状を得るように加熱する工程とを含む。
この構成により、周辺部と中央部で曲率を変えることができ、斜めからの入射光を効率よく集光可能することが可能となる。
【0022】
また本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記カラーフィルタを形成する工程は、あらかじめ、マイクロレンズを透過した光をシミュレーションし、マイクロレンズを透過した光の収差を補償し、光電変換領域までの光路長が等しくなるように、集光特性を算出し、この算出値に基づいて、実施されるものを含む。
この構成により、あらかじめ、マイクロレンズを透過した光をシミュレーションし、マイクロレンズを透過した光の収差を補償するようにしているため、高感度で信頼性の高い、固体撮像素子を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、色収差を補償し、集光特性に優れ、高感度で信頼性の高い、固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のカラーフィルタを搭載した固体撮像素子の断面図である。図1は、図2は図1の模式的説明図である。
本実施の形態では、図1および図2に示すように、カラーフィルタを、この上層に形成されるマイクロレンズの収差を補償するように、色毎に形状が異なるように加工したことを特徴とする。本実施の形態では、赤色のカラーフィルタ層50Rを、凸レンズ形状をなすように形状加工し、他の色については通常の平板状に形成したことを特徴とする。
【0026】
カラーフィルタ層以外の領域については通例の構造をなすものであるが、カラーフィルタの形成方法の説明に先立ち、まず、固体撮像素子について説明する。ここで用いられる固体撮像素子においては、n型のシリコン基板1表面部に光電変換部であるフォトダイオード30が配列形成され、各フォトダイオード30で発生した信号電荷を列方向に転送するための電荷転送部40が、列方向に配設された複数のフォトダイオード30からなる複数のフォトダイオード列の間に形成される。ここではマイクロレンズやカラーフィルタはチップ周辺部にいくに従い若干ずらして形成されている。
【0027】
電荷転送部40は、複数のフォトダイオード列の各々に対応してシリコン基板1表面部の列方向に形成された複数本の電荷転送チャネル33と、電荷転送チャネル33の上層に形成された電荷転送電極3(第1層電極3a、第2層電極3b)と、フォトダイオード30で発生した電荷を電荷転送チャネル33に読み出すための電荷読み出し領域34とを含む。電荷転送電極3は、行方向に配設された複数のフォトダイオード30からなる複数のフォトダイオード行の間を全体として行方向に延在する蛇行形状となっている。ここで電荷転送電極3は第1層電極上に電極間絶縁膜を介して第2層電極を形成しCMPにより平坦化して単層電極構造としたものであるが、単層電極構造に限らず、第1層電極の一部を第2層電極が覆うように形成した二層電極構造であっても良い。
【0028】
図1に示すように、シリコン基板1の表面にはpウェル層1Pが形成され、pウェル層1P内に、pn接合を形成するn領域30bが形成されると共に表面にp領域30aが形成され、フォトダイオード30を構成しており、このフォトダイオード30で発生した信号電荷は、n領域30bに蓄積される。
【0029】
そしてこのフォトダイオード30には、少し離間してn領域からなる電荷転送チャネル33が形成される。n領域30bと電荷転送チャネル33の間のpウェル層1Pに電荷読み出し領域34が形成される。
【0030】
シリコン基板1表面にはゲート酸化膜2が形成され、電荷読み出し領域34と電荷転送チャネル33の上には、ゲート酸化膜2を介して、第1の電極3aと第2の電極3bが形成される。第1の電極3aと第2の電極3bの間は電極間絶縁膜5が形成されている。垂直転送チャネル33に隣接してp領域からなるチャネルストップ32が設けられ、隣接するフォトダイオード30との分離がなされている。
【0031】
電荷転送電極3の上層には酸化シリコン膜などの絶縁膜6、反射防止層(図示せず)が形成され、更にその上に遮光膜8、BPSG(borophospho silicate glass)からなる絶縁膜9、P−SiNからなる絶縁膜(パッシベーション膜)(図示せず)、酸化シリコン膜からなるフィルタ下平坦化膜(図示せず)が形成されている。遮光膜8は、フォトダイオード30の開口部分を除いて設けられる。そしてカラーフィルタ50の上層には、絶縁性の透明樹脂等からなるフィルタ上平坦化膜61とマイクロレンズ60が設けられる。
【0032】
本実施の形態の固体撮像素子は、フォトダイオード30で発生した信号電荷がn領域30bに蓄積され、ここに蓄積された信号電荷が、電荷転送チャネル33によって列方向に転送され、転送された信号電荷が図示しない水平電荷転送路(HCCD)によって行方向に転送され、転送された信号電荷に応じた色信号が図示しないアンプから出力されるように構成されている。すなわちシリコン基板1上に、光電変換部、電荷転送部、HCCD、及びアンプを含む領域である固体撮像素子部と、固体撮像素子の周辺回路(PAD部等)が形成される領域である周辺回路部とが形成されて固体撮像素子を構成している。
【0033】
本実施の形態の固体撮像素子によれば、赤色カラーフィルタをレンズ面を構成するように形成し、集光性を高めるようにしているため、周辺部でも集光効率を高め、周辺部における感度の低下を防止することができる。
【0034】
次に上述した固体撮像素子の製造工程を説明する。
製造に際しては、カラーフィルタ層の製造方法以外は通例の方法が用いられるが、まず、カラーフィルタ形成前までの製造工程について説明する。
n型のシリコン基板1表面に、不純物を導入し、pウェル層1P、電荷転送チャネル33、電荷読み出し領域34、チャネルストップ層32などを形成した後、ゲート酸化膜2を成膜する。続いて、このゲート酸化膜2上に、第1層電極3aを構成する第1導電性膜を成膜し、パターニングを行って第1層電極3a及び周辺回路の配線を形成する。次に、第1層電極3aの周囲に酸化シリコン膜からなる絶縁膜5を成膜し、その上に第2層電極3bを構成する第2導電性膜を成膜する。次に、CMPにより第2導電性膜3bの平坦化を行い、パターニングし、第2層電極3bを形成する。次に、これら電荷転送電極3を覆うように絶縁膜6を成膜した後、フォトダイオード領域のn領域30bおよびp領域30aを形成するとともに、反射防止膜を形成し、さらにフォトダイオード領域の受光領域に開口するようにタングステン膜などにより遮光膜8を形成する。次に、絶縁膜9を成膜し、これを高温リフローにより平坦化を行う。
【0035】
次に、この絶縁膜9の周辺回路上部にコンタクトホールを形成した後、アルミニウムなどの金属膜を成膜し、パターニングしてボンディングパッド(図示せず)を形成する。そして、CVD法により窒化シリコン膜からなるパッシベーション膜10を成膜し、ボンディングパッド上のパッシベーション膜を選択的にエッチング除去して開口を形成し、ボンディングパッドを露出させる。この後、Hを含む不活性ガス雰囲気内でシンタリングを行った後、スピンコート又はスキャンコート法により、膜厚0.5〜2.0μmの平坦化膜11を成膜する。ここでは他の平坦化膜との混同を避けるために、この平坦化膜をフィルタ下平坦化膜11と指称する。ここまでの製造工程は、通例の方法である。このフィルタ下平坦化膜11としては、可視光に対して透明なレジスト材料(例えば、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製Cシリーズ)を用いる。ただし、カラーフィルタ層のフィルタ母材層の成膜工程が高温となる場合は、フィルタ下平坦化膜は有機膜ではなく酸化シリコン膜などの無機膜であってもよい。また、下層の凹凸が少ない場合にはフィルタ下平坦化膜はなくてもよい。
【0036】
次に、カラーフィルタの製造工程について図面を参照して詳細に説明する。
図3において(a)はカラーフィルタの断面図、(b)は平面図であり、(a)は(b)のA−A断面図である。図4は、本実施の形態のカラーフィルタの製造工程を示す図である。又、各図において、赤色のカラーフィルタ50Rには“R”、緑色のカラーフィルタ50Gには“G”、青色のカラーフィルタ50Bには“B”の文字を付した。尚、本実施の形態における“B”は、第1の色に該当し、“R”と“G”は、第2の色および第3の色に該当するものとする。各平面図においてパッシベーション膜10以下の層は省略するものとする。
【0037】
まず、図4(a)に示すように、パッシベーション膜10上に、フィルタ下平坦化膜11を形成した後、図4(b)に示すように、着色レジストを順次塗布およびフォトリソグラフィによるパターニングを経て、赤色カラーフィルタ層50R、青色カラーフィルタ層50B、緑色カラーフィルタ層50Gとなる着色レジスト層を膜厚0.5〜2.0μmとなるように成膜する。このとき、赤色カラーフィルタ層を溶融温度200℃で流動化しうる程度の粘度のを持つ材料で構成し、形成後、熱処理を行うことにより、青色カラーフィルタ層50B、緑色カラーフィルタ層50Gは溶融せず、赤色カラーフィルタ層が溶融して表面張力により、盛り上がるような形状をなすように成形する。
【0038】
このようにして、図4(c)に示すように、赤色カラーフィルタ層50Rのみが凸レンズ形状をなし、他は平板状をなすように構成されたカラーフィルタ50が形成される。
【0039】
この後、このカラーフィルタ50の上に、可視光に対して透明なレジスト材料(例えば富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製Cシリーズ)を0.5〜2.0μmの膜厚となるように塗布し、平坦化膜61を形成する。その後、この平坦化膜61の上に、マイクロレンズ60をエッチング法又はメルト法等によって形成することで、図1に示すような固体撮像素子が形成される。このときカラーフィルタ材料が変形しないようにするために、フィルタの形成材料の溶融温度がマイクロレンズ60の形成材料の溶融温度よりも高く設定する必要がある。
【0040】
このように、本実施の形態のカラーフィルタの製造方法によれば、色収差の影響を低減し、波長により焦点位置が異なることによって撮像素子の特性劣化を招くのを防止し、高感度かつ高精度の固体撮像素子を提供することが可能となる。
また、チップの中央部と周縁部とで光の入射角が異なることに起因する収差が生じることがあるが、これについても、カラーフィルタ50の形状を調整することにより、制御可能である。
また、カラーフィルタ50の上層に形成されるマイクロレンズ60の色収差を補償するようにカラーフィルタ層の形状を調整することも可能である。
【0041】
又、本実施の形態では、複数のフォトダイオード30が正方格子状に配設された構成の固体撮像素子について説明したが、これに限定されることなく、フォトダイオードがハニカム状に配設された構成の固体撮像素子にも本発明を適用可能である。
【0042】
又、本実施の形態では、RGBの原色系のカラーフィルタを例にしたが、シアン、マゼンタ、イエローの補色系のカラーフィルタであっても本発明を適用可能である。
また本実施の形態では、3色のカラーフィルタ層を形成した後、加熱溶融し、カラーフィルタ層の成形加工を行うようにしたが、色毎に成形加工を行うようにしてもよい。
さらに、周縁部と中央部とで、カラーフィルタによって形成されるレンズの焦点を変化させるように形状加工を行うことにより、位置に起因する収差を補正することが可能となる。
【0043】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では赤色カラーフィルタ層50Rのみを凸レンズを構成するようにし、他は平坦な表面形状をなすようにしたが、本実施の形態では、図5に示すように青色カラーフィルタ層50Bを、凹レンズを構成するようにしたことを特徴とする。他は前記実施の形態1と同様に形成される。
【0044】
また、設計段階で、マイクロレンズからの光をシミュレーションし、このマイクロレンズによる収差をカラーフィルタで補償することにより、画素の構造が複雑になっても、波長に依存する要素を少なくし、光学層の設計を一元化することも可能となる。
【0045】
また、前記実施の形態では、半導体基板上に固体撮像素子を形成した後この上層にカラーフィルタ層を形成したが、カラーフィルタ層、あるいはカラーフィルタ層とレンズ層とを別体として形成し、これを固体撮像素子基板上に貼着するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のカラーフィルタは、フィルタによって曲率を調整し、焦点調整を行うようにし、色収差による影響をなくすようにしているため、極めて簡単な構成で色収差の補償がじつげんされることになり、携帯端末などの電子機器における固体撮像素子用のカラーフィルタとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1のカラーフィルタの構造説明図
【図2】図1の模式的説明図
【図3】本実施の形態1のカラーフィルタを示す図
【図4】本実施の形態1のカラーフィルタの製造工程を示す図
【図5】本実施の形態2の固体撮像素子を示す図
【図6】従来例のカラーフィルタを示す図
【符号の説明】
【0048】
1 n型シリコン基板
2 ゲート酸化膜
3a 第1の電極
3b 第2の電極
5 電極間絶縁膜
6 絶縁膜
7 反射防止層
8 遮光膜
9 絶縁(BPSG)膜
10 パッシベーション膜
11 平坦化膜
50B,50R,50G カラーフィルタ
60 マイクロレンズ
61 平坦化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素を構成する複数の光電変換領域のそれぞれに対向するように配置され、前記光電変換領域に入射する光を画素毎に色分離するためのカラーフィルタを備えた、固体撮像素子であって、
前記カラーフィルタは、色に応じて集光特性が異なるように構成された、固体撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像素子であって、
前記カラーフィルタは、色毎に表面形状が異なるように構成された、固体撮像素子。
【請求項3】
請求項1に記載の固体撮像素子であって、
前記カラーフィルタは、色毎に曲率の異なるレンズ面を構成してなる、固体撮像素子。
【請求項4】
請求項1に記載の固体撮像素子であって、
前記カラーフィルタは、素子の端部に行くに従い、曲率をずらしたレンズ面を構成してなる固体撮像素子。
【請求項5】
請求項1に記載の固体撮像素子であって、
前記カラーフィルタは、色毎に、溶融粘度の異なる材料で構成された固体撮像素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の固体撮像素子であって、
前記カラーフィルタの上層にさらにマイクロレンズを備え、前記カラーフィルタは、前記マイクロレンズを透過した光の収差を補償し、光電変換領域までの光路長が等しくなるように構成された固体撮像素子。
【請求項7】
画素を構成する複数の光電変換領域を備えた光電変換部と、前記光電変換部で生起せしめられた電荷を転送する電荷転送電極を備えた電荷転送部と、前記電荷転送部に接続される配線層を含む周辺回路部とを形成した基体表面に、
色の異なる第1および第2の領域を有し、色に応じて集光特性が異なるように形成されたカラーフィルタを、第1または第2の領域が前記光電変換領域に対応するように位置あわせして、固定する工程を含む固体撮像素子の製造方法。
【請求項8】
基体の表面に、画素を構成する複数の光電変換領域を備えた光電変換部と、前記光電変換部で生起せしめられた電荷を転送する電荷転送電極を備えた電荷転送部と、前記電荷転送部に接続される配線層を含む周辺回路部とを形成する工程と、
前記基体上で、前記各光電変換領域に、色の異なる第1および第2の領域が相対向するように配置され、色に応じて集光特性が異なるように、カラーフィルタを形成する工程とを含む固体撮像素子の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の固体撮像素子の製造方法であって、
前記カラーフィルタを形成する工程は、
色毎に表面形状が異なるようにカラーフィルタ層をパターニングする工程を含む固体撮像素子の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の固体撮像素子の製造方法であって、
前記カラーフィルタを形成する工程は、
色毎に、溶融粘度の異なるレジストからなるカラーフィルタ材料をパターニングする工程と、
前記パターニングする工程後、前記カラーフィルタ材料を溶融し所望の曲面形状を得るように加熱する工程とを含む固体撮像素子の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載の固体撮像素子の製造方法であって、
前記カラーフィルタを形成する工程は、
色毎にパターンピッチを変えて、カラーフィルタ材料を、パターニングする工程と、
前記パターニングする工程後、前記カラーフィルタ材料を溶融し所望の曲面形状を得るように加熱する工程とを含む固体撮像素子の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の固体撮像素子の製造方法であって、
前記カラーフィルタを形成する工程は、
周辺部と中央部でパターンピッチを変えて、カラーフィルタ材料を、パターニングする工程と、
前記パターニングする工程後、前記カラーフィルタ材料を溶融し所望の曲面形状を得るように加熱する工程とを含む固体撮像素子の製造方法。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれかに記載の固体撮像素子の製造方法であって、
前記カラーフィルタを形成する工程は、あらかじめ、マイクロレンズを透過した光をシミュレーションし、マイクロレンズを透過した光の収差を補償し、光電変換領域までの光路長が等しくなるように、集光特性を算出し、この算出値に基づいて、実施される固体撮像素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−194500(P2007−194500A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12953(P2006−12953)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】