説明

固体撮像素子及びその製造方法

【課題】反射率を低減し、感度を向上させることの可能な、狭ギャップの転写レンズを有する固体撮像素子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 二次元的に配置された光電変換素子と、該光電変換素子のそれぞれに対応して配設されたカラーフィルターと、カラーフィルター上に直接あるいは間接的に積層された転写レンズを具備する固体撮像素子において、該転写レンズは、間に平坦な界面を有する、屈折率の異なる2層以上の透明樹脂層を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C−MOSやCCD等の受光素子に代表される固体撮像素子及びその製造方法に係り、特に、固体撮像素子に形成されるマイクロレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
CCDなどの受光素子の光電変換に寄与する領域(開口部)は、素子サイズや画素数にも依存するが、その全面積に対し、20〜40%程度に限られてしまう。開口部が小さいことは、そのまま感度低下につながるため、これを補うために、受光素子上に集光のためのマイクロレンズを形成することが一般的である。
【0003】
しかしながら、近年、300万画素を超える高精細CCD撮像素子への要求が大きくなり、これら高精細CCDにおいて付随するマイクロレンズの開口率の低下(すなわち感度低下)およびフレア、スミアなどのノイズ増加による画質の低下が、大きな問題となってきている。
【0004】
C−MOSやCCDなどの撮像素子は、ほぼ十分な画素数に近づきつつあり、それらデバイスメーカーでの競争は、画素数から画質の競争に変化しつつある。
【0005】
マイクロレンズ形成技術については、例えば、特許文献1に比較的詳細に示されている。特許文献1には、レンズを丸く半球状に形成する技術として、熱フローによる樹脂の熱流動性(熱フロー)を用いた技術、また、幾つかのエッチング技術によりレンズを加工する技術が詳細に開示されている。加えて、レンズ表面にPGMAなどの有機膜やSiO系の無機膜を形成することも開示されている。
【0006】
マイクロレンズをドライエッチング技術により転写、加工する技術は、上記の技術以外に、特許文献2に詳細な記載がある。以下に、このドライエッチング技術によるマイクロレンズを転写レンズと呼び、また、この加工方法を転写方式と略称する。
【0007】
転写レンズは、光電変換素子上のカラーフィルターや平坦化膜を含む構成を薄くすることが出来ると共に、熱フローレンズよりもレンズの開口率を上げることが出来るため、撮像素子特性を向上させることが出来るという特長を有する。
【0008】
また、レンズの透過率を向上させるために、フッ素樹脂、フッ素含有樹脂などの低屈折率材料を用いて、屈折率の異なる複数層よりなるレンズを形成する技術が、特許文献3〜5に記載されている。
【0009】
更に、特許文献6には、第1のレンズ上にその曲面に沿って、SiOの無機膜からなる第2のレンズを均一な膜として形成することが記載されているが、CVDやスパッタなどの真空装置を用いる必要があるため、コスト高となる。また、固体撮像素子の電極の取りだしの際に、ドライエッチングによりSiOを除去する際に、有機膜やアルミニウムとの間で十分な選択比を取ることが出来ず、実用性に乏しいなどの問題がある。
【特許文献1】特開昭60−53073号公報
【特許文献2】特開平1−10666号公報
【特許文献3】特開平4−226073号公報
【特許文献4】特開平6−112459号公報
【特許文献5】特開2001−85651号公報
【特許文献6】特開平5−48057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ドライエッチングによりレンズ母型の形状を透明樹脂層に転写するマイクロレンズの形成方法は、露光、現像、熱フローの手順でレンズ母型を形成した後、このレンズ母型のパターンをドライエッチングにより下地の透明樹脂層に転写し、転写レンズを形成するのが一般的である。
【0011】
従来の固体撮像素子に採用されているマイクロレンズ用の透明樹脂には、フォトリソグラフィでの加工性や熱フロー性のために、フェノール樹脂やスチレン樹脂が使用されている。これらの樹脂は、屈折率が1.6前後と高く、従って、これらの樹脂によりマイクロレンズを形成した固体撮像素子の可視光の表面反射率は5.5〜6%と高いものであった。
【0012】
一方、公知の技術として、レンズ母型の上に屈折率の異なる第2のレンズを形成して、第2のレンズによってレンズ母型のギャップを埋める技術がある。しかし、この方式では、第2のレンズはレンズ母型の凹凸のため均一に塗布することが出来ず(塗布液が谷間にたまり、レンズ形状を悪化させる)、レンズ高さやレンズ間ギャップにバラツキが生じるという問題がある。
【0013】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、反射率を低減し、感度を向上させることの可能な、狭ギャップの転写レンズを有する固体撮像素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、二次元的に配置された光電変換素子と、該光電変換素子のそれぞれに対応して配設されたカラーフィルターと、カラーフィルター上に直接あるいは間接的に積層された複数の転写レンズを具備する固体撮像素子の製造方法において、1)前記光電変換素子を備える半導体基板上に、複数のカラーレジストを用いた複数回のフォトリソグラフィプロセスによりカラーフィルターを形成する工程、2)該カラーフィルター上に複数層の屈折率の異なる透明樹脂層を積層する工程、3)該透明樹脂層上に、アルカリ可溶性及び感光性を有する熱フロー樹脂材料を用いて、レンズ母型を形成する工程、及び5)ドライエッチングにより、レンズ母型のパターンを複数の透明樹脂層に転写し、多層の転写レンズを形成する工程を具備することを特徴とする固体撮像素子の製造方法を提供する。
【0015】
このような固体撮像素子の製造方法において、複数層の透明樹脂層は、カラーフィルターに近いほど高い屈折率を有するものとすることが出来る。
【0016】
また、透明樹脂層上に、レンズ母型の下地として、レンズ母型を構成する樹脂のエッチングレートより遅いエッチングレートを有するエッチング制御層を形成することができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、二次元的に配置された光電変換素子と、該光電変換素子のそれぞれに対応して配設されたカラーフィルターと、カラーフィルター上に直接あるいは間接的に積層された転写レンズを具備する固体撮像素子において、該転写レンズは、間に平坦な界面を有する、屈折率の異なる2層以上の透明樹脂層を有することを特徴とする固体撮像素子を提供する。
【0018】
このような固体撮像素子において、転写レンズは、カラーフィルターの上部と、該カラーフィルターの上部表面に形成された第1の透明樹脂層と、該第1の透明樹脂層上に形成された第2の透明樹脂層とからなり、第1の透明樹脂層の屈折率はカラーフィルターの屈折率より低く、第2の透明樹脂層の屈折率は第1の透明樹脂層の屈折率より低いものとすることが出来る。
【0019】
この場合、第1の透明樹脂層はアクリル樹脂からなり、第2の透明樹脂はフッ素樹脂叉はフッ素含有アクリル樹脂からなるものとすることが出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の屈折率の異なる透明樹脂による多層の転写レンズを形成しているため、反射率を低減し、感度を向上させることが可能であり、それにより安定した形状の狭ギャップの転写レンズを備える固体撮像素子を得ることが出来る。
【0021】
また、複数の屈折率の異なる透明樹脂による多層の転写レンズにより、各層間での界面反射率を減らすことができ、マイクロレンズ(転写レンズ)の透過率を向上させ、即ち、固体撮像素子の感度を向上させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の部分断面図である。図2及び図3は、図1に示す固体撮像素子の製造方法を工程順に説明する部分断面図である。図4は、図1の固体撮像素子の平面図である。
【0024】
本発明の一実施形態に係る固体撮像素子は、図1に示すように、二次元的に配置された光電変換素子11を備えた半導体基板10上に、表面の凹凸を埋める平坦化層12、入射光を色分解するカラーフィルター13、及び複数層の転写レンズ(マイクロレンズ)14を形成することにより構成されている。なお、転写レンズは、カラーフィルター13の上部もその一部に含むように構成されている。
【0025】
このような固体撮像素子は、図2及び図3に示す方法によって製造することができる。まず、図2(a)に示す、二次元的に配置された光電変換素子21を備える半導体基板20上に、図2(b)に示すように、表面の凹凸を埋める平坦化層22を形成する。
【0026】
次いで、複数のカラーレジスト(感光性着色樹脂組成物)を用い、複数回のフォトリソグラフィプロセスでカラーフィルター23を形成する。その後、カラーフィルター23上に、例えば、屈折率の異なる複数の透明樹脂層、例えば、第1の透明樹脂層及びこれより低い屈折率の第2の透明樹脂層24,25を形成し、更にその上にエッチング制御層26を形成し、続いて、エッチング制御層26上に、アルカリ可溶性及び熱フロー性を有する感光性樹脂材料層27を形成して、図2(c)に示す構成を得る。
【0027】
ここで、本実施形態に用いる第1及び第2の透明樹脂層24,25は、相互に屈折率が異なり、これらの層は、カラーフィルターに近いほど高い屈折率となっている。
【0028】
第1の透明樹脂としてアクリル樹脂などを、第2の透明樹脂としてフッ素樹脂、フッ素含有アクリル樹脂などの低屈折率材料を用いることが出来る。カラーフィルターの屈折率をn1、第1の透明樹脂層の屈折率をn2、第2の透明樹脂層の屈折率をn3とする場合、n3<n2<n1の関係を満たしている。
【0029】
第1及び第2の透明樹脂層24,25を構成する透明樹脂としては、可視光(光の波長400nm〜700nmの範囲)で高透過率、かつ、高耐熱性を有することが望ましい。
【0030】
転写レンズの屈折率を上げてしまうため、必ずしも好ましくないが、第1及び第2の透明樹脂層24,25を構成する透明樹脂には、必要に応じ、赤外線吸収剤や紫外線吸収剤を添加しても良い。
【0031】
エッチング制御層26に採用可能な透明樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの共重合物などが使用可能である。しかし、これらの樹脂の中では、ドライエッチングレートの遅いスチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
【0032】
本実施形態に用いる感光性樹脂材料層27は、アクリル樹脂やフェノール樹脂、ポリスチレン樹脂などのアルカリ可溶性及び熱フロー性のある樹脂により構成することが出来る。
【0033】
次に、感光性樹脂材料層27に対し、フォトマスクを介した露光を行い、アルカリ性の現像液を用いた現像を行って、光電変換素子に対応した矩形のパターンを形成した後、加熱処理することにより、図3(a)に示すように、レンズ母型28を形成する。
【0034】
最後に、ドライエッチングにより、レンズ母型のパターンを第1及び第2の透明樹脂層24,25へ転写し、多層の転写レンズ29a,29bを形成して、図3(b)に示すように、固体撮像素子が完成する。
【0035】
本実施形態に用いるドライエッチングには、ECR、平行平板マグネトロン、DRM、ICP、あるいは2周波タイプのRIEなどのドライエッチングの手法・装置を使用することが出来る。ドライエッチングに用いるガスは、酸化性あるいはエッチング性のあるガスであれば、特に制限する必要はない。フッ素、塩素、臭素などのハロゲン元素をその分子構造に有するガス、同様に酸素や硫黄の元素をその分子構造に有するガスなどを用いることが出来るが、それらに限定されない。
【0036】
しかし、可燃性がなく、人体への影響の観点から毒性の低い、フロン系のガスの使用が、実用的には好ましい。フロン系のガスは、CFよりもC、CなどのFの原子比率に対してCの原子比率が高いガスの方が、転写レンズのゲイン(レンズ間ギャップを小さくする効果)を得やすい。しかし、ゲインを大きくするエッチング条件では、レンズ表面がより大きく荒れる傾向にある。Oをフロン系ガスと併用することは、ゲインを低下する方向のため、好ましくない。
【0037】
複数種のガスを混合、併用しても良い。ドライエッチング時に、分布や転写レンズ形状改善のために、対象の半導体基板を加温したり、あるいは冷却しても良い。ドライエッチングは、装置依存性が強く、それぞれの装置に合わせてガス圧、パワー、ガス流量などを適宜調整することが必要である。
【0038】
なお、転写レンズは、第1及び第2の転写レンズ29a,29bのみにより構成してもよいが、図3(b)に示すように、第1及び第2の透明樹脂層29a,29bとカラーフィルター23の上部により形成した方が、レンズ下距離を短くし、撮像素子の光の取り込み角を広げることが出来るので好ましい。
【0039】
なお、従来の固体撮像素子で採用されているマイクロレンズ用透明樹脂の屈折率を、例えば1.61とした場合、固体撮像素子の可視光の表面反射率は5.5%である。これに対し、本実施形態に係る固体撮像素子では、例えば、カラーフィルター(ブルーレジスト)の屈折率を1.64、第1の透明樹脂層の屈折率を1.54、第2の透明樹脂層の屈折率を1.45とした場合、固体撮像素子の可視光の表面反射率は3.4%であり、第1の転写レンズ29aと第2の転写レンズ29bの界面反射率は0.09%であり、第1の転写レンズ29aとカラーフィルター(ブルーレジスト)23の界面反射率は0.1%である。これにより、本実施形態に係る固体撮像素子によれば、従来の固体撮像素子よりも約2%の透過率のアップを期待することが出来る。
【0040】
以下、本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。
【0041】
実施例
図2を参照して、本実施例に係る固体撮像素子の製造方法について説明する。
【0042】
まず、図2(a)に示すように、受光素子21や遮光膜、パッシベーションを形成した半導体基板20上に、図2(b)に示すように、熱硬化タイプのポリスチレン樹脂塗布液をスピンコートして、平坦化膜22を形成した。このポリスチレン樹脂の硬膜後の屈折率は1.6であった。
【0043】
次いで、図2(c)に示すように、3回のフォトリソグラフィの手法により、カラーフィルター23をグリーン、ブルー、レッドの3色にてそれぞれ形成した。画素のピッチは2.5μmとした。
【0044】
グリーンレジストは、色材としてC.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6を色材として、さらにシクロヘキサノン、PGMAなどの有機溶剤、ポリマーワニス、モノマー、開始剤を添加した構成のカラーレジストを用いた。グリーンのカラーフィルターの屈折率は、波長550nmの光で1.57であった。
【0045】
ブルーレジストは、色材としてC.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23を用いた。他の組成は、グリーンレジストと同様とした。ブルーのカラーフィルターの屈折率は波長450nmの光で1.64であった。
【0046】
レッドレジストの色材は、C.I.ピグメントレッド117、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントイエロー139とした。他の組成は、グリーンレジストと同様とした。レッドのカラーフィルターの屈折率は波長620nmの光で1.69であった。
【0047】
次に、図3(a)に示すように、カラーフィルター23上に、アクリル樹脂布液を塗布し、200℃で6分間加熱して硬膜化処理することにより、0.3μmの膜厚の第1の透明樹脂層24を形成し、次いで、含フッ素アクリル樹脂塗布液を塗布し、200℃で6分間加熱して硬膜化処理することにより、0.3μmの膜厚の第2の透明樹脂層25を形成した。
【0048】
その後、第2の透明樹脂層25上にフェノール樹脂を塗布して、1.0μmの膜厚のエッチング制御層26を形成した。このフェノール樹脂は、熱フロー制御機能をも有するものである。更に、エッチング制御層26上にアルカリ可溶性・感光性・熱フロー性を有するアクリル樹脂(レンズ母型材料)を塗布して、感光性樹脂層27を形成した。
【0049】
次に、図3(b)に示すように、感光性樹脂層27(レンズ母型材料層)を公知のフォトリソグラフィのプロセスにて加工して、矩形のパターンとし、200℃の熱処理でフローさせて丸く半球状とし、レンズ母型28を形成した。なお、レンズ母型28は、高さ0.45μm、片側0.15μmのほぼ適正なフロー量であり、レンズ母型間のギャップ0.35μmのスムースな半球状であった。
【0050】
最後に、ドライエッチング装置にて、フロン系ガスのC及びCの混合ガスを用い、レンズ母型28をマスクとして用いてエッチング処理し、図3(b)に示すような、2層構造の転写レンズ29a,29bを形成した。
【0051】
形成された転写レンズ29a,29b間のギャップは、0.035μmと狭ギャップであった。2層の転写レンズのそれぞれの厚みは0.3μmであり、レンズの高さ(厚み)は0.6μmであった。第1の転写レンズを構成するアクリル樹脂の屈折率は1.54であり、第2の転写レンズを構成する含フッ素アクリル樹脂の屈折率は1.45であった。また、得られた固体撮像素子の反射率は3.6%に抑えることが出来た。
【0052】
なお、本実施例において、第2の転写レンズを形成するための第2の透明樹脂層に用いた含フッ素アクリル樹脂のエッチングレートは、レンズ母型を構成する樹脂のエッチングレートの1.5倍と速いエッチングレートを示した。
【0053】
また、レンズ母型28の下地にエッチング制御層26が存在することにより、転写レンズの表面荒れを少なくし、転写レンズを狭ギャップに加工し、転写レンズの開口率を向上することが出来た。
【0054】
レンズ母型28を構成する樹脂のエッチングレートと、エッチング制御層及び透明樹脂層のエッチングレートを同一とすると、転写レンズの形状は、レンズ母型とほぼ同じ大きさ、形状に加工することが出来る。また、用いるフロン系ガスについては、カーボンリッチなガスを用いることで、この傾向(ギャップを狭く加工する)を若干、増長させることが出来る。
【0055】
図3(b)に示すように、本実施例に係る固体撮像素子は、光電変換素子21が形成された半導体基板20上に平坦化層22、カラーフィルター23、第1及び第2の転写レンズ29a,29bを形成してなるものである。カラーフィルター23の上部は、第1及び第2の転写レンズ29a,29bの形状を延長する形の曲面を有し、全体として転写レンズとされた。転写レンズのレンズ間ギャップ寸法は、CD−SEM(測長SEM)による測定値で0.035μmであり、厚み(レンズ高さ)は、0.6μmと安定した値を示した。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子を示す断面図である。
【図2】図1に示す固体撮像素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3】図1に示す固体撮像素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】図1に示す固体撮像素子の平面図である。
【符号の説明】
【0057】
10,20…半導体基板、11,21…受光素子、12,22…平坦化層、13,23…カラーフィルター、14…転写レンズ、24,25…透明樹脂層、26…エッチング制御層、27…感光性樹脂層、28…熱フローレンズ、29a…第1の転写レンズ、29b…第2の転写レンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元的に配置された光電変換素子と、該光電変換素子のそれぞれに対応して配設されたカラーフィルターと、カラーフィルター上に直接あるいは間接的に積層された複数の転写レンズを具備する固体撮像素子の製造方法において、
1)前記光電変換素子を備える半導体基板上に、複数のカラーレジストを用いた複数回のフォトリソグラフィプロセスによりカラーフィルターを形成する工程、
2)該カラーフィルター上に複数層の屈折率の異なる透明樹脂層を積層する工程、
3)該透明樹脂層上に、アルカリ可溶性及び感光性を有する熱フロー樹脂材料を用いて、レンズ母型を形成する工程、及び
4)ドライエッチングにより、該レンズ母型のパターンを前記複数の透明樹脂層に転写し、多層の転写レンズを形成する工程
を具備することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項2】
前記複数層の透明樹脂層は、前記カラーフィルターに近いほど高い屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項3】
前記透明樹脂層上に、前記レンズ母型の下地として、前記レンズ母型を構成する樹脂のエッチングレートより遅いエッチングレートを有するエッチング制御層を形成する工程を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項4】
二次元的に配置された光電変換素子と、該光電変換素子のそれぞれに対応して配設されたカラーフィルターと、カラーフィルター上に直接あるいは間接的に積層された転写レンズを具備する固体撮像素子において、
該転写レンズは、間に平坦な界面を有する、屈折率の異なる2層以上の透明樹脂層を有することを特徴とする固体撮像素子。
【請求項5】
前記転写レンズは、前記カラーフィルターの上部と、該カラーフィルターの上部表面に形成された第1の透明樹脂層と、該第1の透明樹脂層上に形成された第2の透明樹脂層とからなり、前記第1の透明樹脂層の屈折率は前記カラーフィルターの屈折率より低く、前記第2の透明樹脂層の屈折率は前記第1の透明樹脂層の屈折率より低いことを特徴とする請求項4に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記第1の透明樹脂層はアクリル樹脂からなり、前記第2の透明樹脂はフッ素樹脂叉はフッ素含有アクリル樹脂からなることを特徴とする請求項5に記載の固体撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−190905(P2006−190905A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2952(P2005−2952)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】