説明

固定具

【課題】本発明は、湾曲した狭い部分にたとえば、ハーネスのような被固定物を抱持することが容易にできる固定具に関するものである。
【解決手段】本発明の固定具は、一対のほぼ長方形からなる樹脂製部材の間に被固定物を挟持して取付部材に固定するものである。また、前記固定具は、被固定物に沿った湾曲部を備えた湾曲板と、同じく被固定物に沿った反対側にある平板とから少なくとも構成されている。前記湾曲板は、一端に前記平板と係合する係合手段が設けられている。前記平板は、一端に前記係合手段と係合する係合部を設け、長さ方向に対して直角に折り曲げることが可能な第1ヒンジおよび前記湾曲板に連結する第2ヒンジを備えている。前記湾曲板は、前記平板とともに被固定物を抱持するとともに、前記係合部および係合手段により、互いに係合されて固定する。前記平板は、第1ヒンジおよび第2ヒンジが設けられているため、前記湾曲板とともに、最小限の収納スペースとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲した狭い部分に被固定物を固定する固定具に関するものである。本発明は、前記被固定物、たとえば、ハーネスのようなものの周囲に沿って抱持することが容易にできる固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2001−241408号公報におけるフラットハーネス用クランプ61は、上板612と下板611の間にフラットハーネス62を挟持し、一方に設けられた軸部613を他方の係止部614に嵌合させるとともに、前記係止部614を被取付部材63の孔631に嵌合させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−241408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例として挙げたフラットハーネス用クランプ61は、上下方向が平坦なフラットハーネス62のような被固定物を想定したものであり、一方が平坦で、他方が湾曲したものに適さないという問題があった。特に、前記フラットハーネス用クランプ61は、上下方向が平坦であるため、管状物体、あるいは湾曲部を有する物体を取り付けることができない。前記フラットハーネス用クランプ61は、形状が湾曲した被取付部材に最小限のスペースで取り付けることができない。
【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明は、限られた形状をした部位で、しかも、最小限の収納スペースとすることができる固定具を提供することを目的とする。また、本発明は、一方が湾曲した形状の部分であっても、決められた位置に固定できる固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明の固定具は、一対の樹脂製部材の間に被固定物を挟持して固定するものであり、一端に係合手段を設け、前記被固定物に沿った湾曲部を備えた湾曲板と、一端に前記係合手段に係合する係合部と、前記係合部を折り曲げることができる第1ヒンジと、前記湾曲板に連結するとともに、長さ方向に対して折り曲げることが可能な第2ヒンジとを備えた平板とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明の固定具において、前記湾曲板および第1ヒンジの端部に向かう近傍は、互いに固定する際に、水平な面となるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明の固定具において、前記平板と湾曲板との取り付けは、前記平板の端部近傍に突設された係止部を有する軸部と、前記平板と湾曲板とを係止する際に、前記平板の軸部と前記湾曲板の対応する位置に設けられた前記軸部挿入孔と、前記軸部挿入孔の周縁に突出して、前記軸部の係止部と係止する脚部とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明の固定具において、前記平板および湾曲板に挟持されている被固定物の反対側で、互いに異なる位置に突設けられた当接部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、湾曲板と第1ヒンジおよび第2ヒンジを有する平板とによって、被固定物を抱持しているため、決められた位置に、最小限の収納スペースで収納することができる。
【0011】
本発明によれば、取付部材が湾曲した形状であっても、固定具の一方を前記取付部材の形状に合わせた湾曲板とすることで、狭いスペースにフィットして取り付けることができる。
【0012】
本発明によれば、固定具の抱持面と反対側に互い違いに突出した当接部を設けることにより、前記固定具の取り付け後の位置決め固定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例であり、固定具の斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明の固定具の側面図である。
【図3】本発明の固定具の平面図である。
【図4】本発明の固定具の挟持状態を説明するための図である。
【図5】本発明の固定具を取付部材に取り付けた状態を説明するための図である。
【図6】従来例の固定具を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1発明)
第1発明の固定具は、たとえば、一対のほぼ長方形からなる樹脂製部材の間に被固定物を挟持して取付部材に固定するものである。また、前記固定具は、被固定物に沿った湾曲部を備えた湾曲板と、同じく被固定物に沿った反対側に設けらた平板とから少なくとも構成されている。前記湾曲板は、一端に前記平板と係合する係合手段が設けられている。前記平板は、一端に前記係合手段と係合する係合部を設け、前記係合手段に対して折り曲げることが可能な第1ヒンジおよび前記湾曲板に連結し、二つ折りに折り曲げられる第2ヒンジを備えている。前記湾曲板は、前記平板とともに被固定物を抱持し、前記係合部および係合手段により、互いに係合されて固定する。前記平板は、第1ヒンジおよび第2ヒンジが設けられているため、前記湾曲板とともに、被固定物を固定するための最小限の収納スペースとすることができる。
【0015】
(第2発明)
第2発明の固定具は、前記湾曲板の端部、および第1ヒンジの端部近傍が互いに固定する際に、重なる面が水平となるように形成される。前記平板は、第1ヒンジにより角度が変えられる(水平にできる)。しかし、前記湾曲板は、被固定物を抱持する部分が湾曲になっているため、取り付ける際に、隙間を無くすように、互いに水平となるような形状になっている。
【0016】
(第3発明)
第3発明の固定具は、前記平板と湾曲板とを取り付ける機構にかかるものである。前記平板は、端部近傍に突設された係止部を有する軸部が設けられている。前記湾曲板は、前記平板の軸部を挿入する軸部挿入孔が設けられている。前記軸部と軸部挿入孔の位置は、互いに対応して挿入できるようになっている。また、前記軸部挿入孔の周縁は、突出した脚部が設けられ、前記軸部の係止部と係止する。
【0017】
(第4発明)
第4発明の固定具は、取付部材の間に挟持されるとともに、係合手段が孔に係合されて固定される。前記固定具の平板および湾曲板は、被固定物が挟持されている側と反対側で、互いに異なる位置に突出された当接部が備えられている。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例であり、固定具の斜視図である。図2は本発明の固定具の側面図である。図3は本発明の固定具の平面図である。図1から図3において、本発明の固定具11は、一対のほぼ長方形からなる樹脂製部材の間に被固定物(図5に示す符号51)を挟持して取付部材(図5に示す符号52、53)に固定するものである。前記固定具11は、金型(図示されていない)等により樹脂を成形して作製するものである。
【0019】
前記固定具11は、被固定物に沿った湾曲部を備えた湾曲板12と、同じく被固定物に沿った反対側にある平板13とが第2ヒンジ135によって連結されている。前記湾曲板12は、一端に前記平板13と係合する係合手段122が設けられている。前記平板13は、一端に前記係合手段122と係合する係合部132を設け、長さ方向に対して折り曲げることが可能な第1ヒンジ134および前記湾曲板12に連結する第2ヒンジ135を備えている。前記湾曲板12は、前記平板13とともに被固定物を抱持するとともに、前記係合部132と係合手段122の係合により、互いに係合されて固定する。
【0020】
前記係合部132は、第1ヒンジ134を介して可動自在に設けられた第2水平部133に突出して成形された係合軸131の先端部に設けられている。前記係合軸131および係合部132は、従来の固定手段に用いられるものと同じである。また、前記係合手段122は、内部に前記係合軸131および係合部132を挿入する係合孔121を有し、前記係合軸131等が挿入される際に広がるような構成になっており、前記係合部132の突出部に係合することにより固定される。前記係合手段122と係合部132の形状は、従来の固定手段と同様な構成になっている。
【0021】
前記平板13は、第1ヒンジ134および第2ヒンジ135が折り曲げ自在になるよう成形されているため、前記湾曲板12とともに、被固定物を抱持する最小限の収納スペースとすることができる。
【0022】
図4は本発明の固定具の挟持状態を説明するための図である。図4において、固定具11は、図5に示されている被固定物51を抱持し、係合手段122に係合軸131および係合部132を係合する過程が順次示されている。最初、平板13は、第2ヒンジ135により折り曲げられ、係合軸131および係合部132が係合手段122に入る直前の状態が示されている。
【0023】
次に、係合軸131は、第2ヒンジ135により折り曲げられて、斜めの状態から垂直に入るようになる。さらに、前記湾曲板12の第1水平部123と前記平板13の第2水平部133は、第2ヒンジ135の部分で折り曲げられた際に、互いに重なるように成形されている。また、前記係合軸131および係合部132は、前記係合手段122の係合孔121に完全に嵌入された場合、第1水平部123と第2水平部133とが重なった状態となる。
【0024】
図5は本発明の固定具を取付部材に取り付けた状態を説明するための図である。図5において、湾曲板12と平板13との間には、たとえば、管状の被固定物51が抱持されている。また、前記固定具11は、取付部材52、53の間に挟持されているとともに、前記取付部材52、53の孔531に前記係合手段122が固定される。また、前記固定具11は、前記湾曲板12の端部に突設された当接部136と、平板14の端部に突設された当接部137と、前記係合手段122とによって前記取付部材52、53に固定されている。また、前記当接部135、136は、互いに違いとなるような位置に設けられている。
【0025】
本発明の固定具11は、湾曲した取付部材52、53の間の狭い空間に隙間のない状態で、被固定物51を取り付けることができる。しかし、前記湾曲板12は、被固定物51を抱持する部分が湾曲にしているため、取り付ける際に、隙間を無くすように、平板13の端部近傍が互いに水平となるような形状になっている。
【0026】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の湾曲板、平板、係合手段、係合部は、図における位置関係を逆にすることができる。
【符号の説明】
【0027】
11・・・固定具
12・・・湾曲板
121・・・係合孔
122・・・係合手段
123・・・第1水平部
13・・・平板
131・・・係合軸
132・・・係合部
133・・・第2水平部
134・・・第1ヒンジ
135・・・第2ヒンジ
136・・・第1当接部
137・・・第2当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の樹脂製部材の間に被固定物を挟持して固定する固定具において、
一端に係合手段を設け、前記被固定物に沿った湾曲部を備えた湾曲板と、
一端に前記係合手段に係合する係合部と、前記係合部を折り曲げることができる第1ヒンジと、前記湾曲板に連結するとともに、長さ方向に対して折り曲げることが可能な第2ヒンジとを備えた平板と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする固定具。
【請求項2】
前記湾曲板および第1ヒンジの端部に向かう近傍は、互いに固定する際に、水平な面となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載された固定具。
【請求項3】
前記平板と湾曲板との取り付けは、
前記平板の端部近傍に突設された係止部を有する軸部と、
前記平板と湾曲板とを係止する際に、前記平板の軸部と前記湾曲板の対応する位置に設けられた前記軸部挿入孔と、
前記軸部挿入孔の周縁に突出して、前記軸部の係止部と係止する脚部と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された固定具。
【請求項4】
前記平板および湾曲板に挟持されている被固定物の反対側で、互いに異なる位置に突設けられた当接部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−202763(P2011−202763A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72143(P2010−72143)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】