説明

固液分離装置

【課題】固液分離部に配置されたスクリューを回転駆動して、該固液分離部に入り込んだ処理対象物を固液分離部の出口へ向けて移動させながら、その処理対象物から分離された濾液を、固液分離部の濾液排出部を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を出口から固液分離部外に排出させる固液分離装置であって、固液分離部の出口に対向して配置されていると共に、該出口に対して接近又は離隔可能に支持されている規制部材と、該規制部材を固液分離部の出口に向けて加圧する付勢手段とを有する固液分離装置において、出口から排出される処理対象物の含液率を自動的にほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保てるようにする。
【解決手段】固液分離部3の出口3Bから排出される処理対象物の含液率が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値となるように、スクリュー21の回転数を制御するスクリュー制御手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固液分離部に配置された少なくとも1つのスクリューを回転駆動して、該固液分離部に入り込んだ処理対象物を固液分離部の出口へ向けて移動させながら、その処理対象物から分離された濾液を、前記固液分離部の濾液排出部を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を前記出口から固液分離部外に排出させる固液分離装置であって、前記固液分離部の出口に対向して配置されていると共に、該出口に対して接近又は離隔可能に支持されている規制部材と、該規制部材を前記固液分離部の出口に向けて加圧する付勢手段とを有する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を含む処理対象物、例えば、廃豆腐、食品加工排水、下水処理物或いは養豚場から排出される廃水などの有機系汚泥、その有機系汚泥を微生物によって分解処理した汚泥、メッキ廃液、インク廃液、顔料廃液、塗料廃液などの無機系汚泥、或いは野菜屑や果実の皮、食品残渣、おからなどの処理対象物から液体を分離するために、上記形式の固液分離装置を用いることは従来より周知である(例えば、特許文献1参照)。この形式の固液分離装置によれば、固液分離部の出口に対向して規制部材が配置されているので、その出口から排出される処理対象物の量を規制して、固液分離部内の圧力を高めることができ、これにより、処理対象物に対する脱液効率を高めることができる。
【0003】
従来の固液分離装置によって脱液処理された処理対象物の含液率(重量%)は、固液分離部に送り込まれる処理対象物の含液率によって大きく変動する。含液率の高い処理対象物を脱液処理すれば、その処理後の処理対象物の含液率は高くなるし、含液率の低い処理対象物を脱液処理すれば、その処理後の処理対象物の含液率は低くなる。
【0004】
ところが、脱液処理されて固液分離部の出口から排出される処理対象物の含液率をほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保たなければならぬことがある。例えば、固液分離装置によって脱液処理された処理対象物を圧送ポンプによって焼却炉に送り、その処理対象物を焼却する場合、処理対象物の含液率が高すぎると、焼却炉における処理対象物の焼却効率が低下する。逆に、固液分離装置によって脱液処理された処理対象物の含液率が低すぎると、処理対象物を圧送ポンプによって送り難くなり、その輸送が不可能となることもある。固液分離装置によって脱液処理された処理対象物の含液率が、その処理対象物を圧送ポンプにより効率よく搬送でき、しかも焼却炉における処理対象物の焼却効率が大きく低下しない値に保たれていれば、このような不具合は発生しない。
【0005】
また、固液分離装置によって脱液処理された処理対象物を圧送ポンプによって乾燥装置に送り、その処理対象物を乾燥するような場合も、処理対象物の含液率が高すぎると、乾燥装置での乾燥効率が低下し、逆にその含液率が低すぎると、処理対象物を圧送ポンプによって送り難くなり、その輸送が不可能となることがある。従って、この場合も、脱液処理後の処理対象物の含液率が、その処理対象物を圧送ポンプによって効率よく搬送でき、しかも乾燥装置における処理対象物の乾燥効率が大きく低下しない値に保たれることが好ましい。
【0006】
【特許文献1】特許第3917646号公報
【特許文献2】特開昭60−19011号公報
【特許文献3】特開平5−228695号公報
【特許文献4】特開2003−265908号公報
【特許文献5】特許第3565841号公報
【特許文献6】特許第3573742号公報
【特許文献7】特許第3638597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した認識に基づきなされたものであって、その目的とするところは、固液分離部の出口から排出される脱液処理後の処理対象物の含液率を、自動的にほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保つことのできる固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、固液分離部に配置された少なくとも1つのスクリューを回転駆動して、該固液分離部に入り込んだ処理対象物を固液分離部の出口へ向けて移動させながら、その処理対象物から分離された濾液を、前記固液分離部の濾液排出部を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を前記出口から固液分離部外に排出させる固液分離装置であって、前記固液分離部の出口に対向して配置されていると共に、該出口に対して接近又は離隔可能に支持されている規制部材と、該規制部材を前記固液分離部の出口に向けて加圧する付勢手段とを有する固液分離装置において、前記固液分離部の出口から排出された処理対象物の含液率が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値となるように、前記スクリューの回転数を制御するスクリュー制御手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
その際、上記固液分離装置において、前記固液分離部の出口と規制部材との間の間隔を検知する間隔検知装置を有し、前記スクリュー制御手段は、前記間隔検知装置による検知結果に基づいて、前記間隔が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、前記スクリューの回転数を制御するように構成することができる。
【0010】
また、上記固液分離装置において、前記固液分離部内の出口近傍領域に存する処理対象物の圧力を検知する圧力検知装置を有し、前記スクリュー制御手段は、前記圧力検知装置による検知結果に基づいて、前記圧力が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、前記スクリューの回転数を制御するように構成することもできる。
【0011】
さらに、上記固液分離装置において、前記規制部材が前記固液分離部の出口から排出される処理対象物によって受ける荷重を検知する荷重検知装置を有し、前記スクリュー制御手段は、前記荷重検知装置による検知結果に基づいて、前記荷重が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、前記スクリューの回転数を制御するように構成することもできる。
【0012】
また、上記固液分離装置において、前記固液分離部の出口から排出された処理対象物の含液率を検知する含液率検知装置を有し、前記スクリュー制御手段は、前記含液率検知装置による検知結果に基づいて、前記固液分離部の出口から排出された処理対象物の含液率が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、前記スクリューの回転数を制御するように構成することもできる。
【0013】
さらに、上記固液分離装置において、前記固液分離部に送られる前の処理対象物が流入する容器と、該容器に処理対象物を圧送する処理対象物ポンプと、前記容器内の処理対象物の液面レベルを検知するレベル検知装置と、該レベル検知装置による検知結果に基づいて、前記液面レベルが一定となるように、前記処理対象物ポンプを制御する処理対象物ポンプ用の制御手段とを有していると有利である。
【0014】
また、上記固液分離装置において、前記容器は、固液分離部に送られる前の処理対象物が流入する濃度検知槽と、該濃度検知槽に連通していて、当該濃度検知槽からの処理対象物と凝集剤とが送り込まれる混和槽とを具備していて、該混和槽に送り込まれた処理対象物と凝集剤とを撹拌する撹拌装置と、前記混和槽に凝集剤を圧送する凝集剤ポンプと、前記濃度検知槽内の処理対象物の固形分濃度を検知する濃度検知装置と、該濃度検知装置による検知結果と、前記レベル検知装置による検知結果に基づいて得られた、混和槽に送り込まれる処理対象物の適正な流量の値とに基づいて、処理対象物に対する凝集剤の添加率が適正な範囲となるように、前記凝集剤ポンプを制御する凝集剤ポンプ用の制御手段とを有していると有利である。
【0015】
さらに、上記固液分離装置において、前記容器は処理対象物と凝集剤とが送り込まれる混和槽を具備していて、該混和槽に送り込まれた処理対象物と凝集剤とを撹拌する撹拌装置と、前記混和槽に凝集剤を圧送する凝集剤ポンプと、前記混和槽に送られる処理対象物の固形分濃度を検知する濃度検知装置と、該濃度検知装置による検知結果と、前記レベル検知装置による検知結果に基づいて得られた、混和槽に送り込まれる処理対象物の適正な流量の値とに基づいて、処理対象物に対する凝集剤の添加率が適正な範囲となるように、前記凝集剤ポンプを制御する凝集剤ポンプ用の制御手段とを有していると有利である。
【0016】
また、上記固液分離装置において、前記付勢手段は、前記規制部材を加圧する流体圧シリンダを具備していると有利である。
【0017】
さらに、前記流体圧シリンダは、内部が中空なシリンダ本体と、該シリンダ本体内にその軸線方向に摺動可能に配置されたピストンと、ピストンに固定されたピストンロッドとを有し、前記スクリューの軸は、前記シリンダ本体とピストンロッドとピストンに対して回転可能であると共に、該シリンダ本体とピストンロッドとピストンを貫通して延びていて、前記シリンダ本体内に供給された作動流体によりピストンが加圧され、これにより規制部材が固液分離部の出口に向けて付勢されるように構成されていると有利である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固液分離部の出口から排出された脱液処理後の処理対象物の含液率を、自動的に所望するほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0020】
図1は、固液分離装置の全体を示す部分断面説明図であり、ここに示した固液分離装置は、その主要部を構成する装置本体100を有していて、図2はその装置本体100を示す部分断面正面図である。図1においては、装置本体100を簡略化して示してある(図11においても同じ)。固液分離装置によって、液体を含む各種の処理対象物を固液分離することが可能であるが、ここでは、多量の水分を含んだ汚泥を脱水処理する場合について説明する。
【0021】
図2に示した固液分離装置の装置本体100は、入口部材1と、出口部材2と、これらの間に配置された後述する複数の固定板28と複数の可動板29とを有し、入口部材1は、上部が開口した矩形の箱状に形成され、その上部開口によって、汚泥が流入する流入口4が構成されている。符号7は入口部材1の底壁を示す。また固定板28と可動板29を向いた側の入口部材1の側壁5には開口6が形成され、さらに入口部材1の側壁5に対向したもう一つの側壁8には、横断面が矩形状に形成されたモータ支持部材9の一方の側壁10がボルトとナットによって固定され、モータ支持部材9の他方の側壁11に、減速機付きのモータ12が固定支持されている。
【0022】
入口部材1の両側壁5,8は下方に延び、その下端部が図示していないボルトとナットによって支持フレームのステー13,14にそれぞれ着脱可能に固定され、モータ支持部材9の両側壁10,11も下方に延び、その下端部が図示していないボルトとナットによって支持フレームのステー14に着脱可能に固定されている。
【0023】
出口部材2は、その上部と下部が開口し、水平断面が矩形状に形成されていて、固定板28と可動板29を向いた側の出口部材2の側壁19と、これに対向する出口部材2の側壁20には、開口22,23がそれぞれ形成されている。側壁19,20は、下方に延び、その下端部が支持フレームのステー15,16に図示していないボルトとナットによって着脱可能に固定されている。また、側壁20に形成された開口23には、軸受部材18が配置され、その軸受部材18は、ボルトとナットによって側壁20に着脱可能に固定されている。出口部材2の下部開口は、脱水処理された汚泥が排出される排出口26を構成している。
【0024】
上述したように、入口部材1と出口部材2との間には多数の固定板28と多数の可動板29とが配置されていて、隣り合う固定板28は、小リング状の複数のスペーサ38によって、軸線方向に互いに間隔をあけて配置され、軸線方向に隣り合う固定板28の間に1つの可動板29がそれぞれ配置されている。図3は隣り合う2つの固定板28と、これらの固定板28の間に配置された1つの可動板29と、スペーサ38の外観を示す分解斜視図であり、複数の固定板28は、図2乃至図4に示すように同心状に配列され、軸線方向に隣り合う固定板28の間に4つのスペーサ38がそれぞれ配置されている。軸線方向に同心状に配置された固定板28と、可動板29とが交互に配列されているのである。本例の固液分離装置の固定板28と可動板29は、共にリングにより構成されている。
【0025】
図3及び図4に示すように、各固定板28には、その半径方向に突出し、かつその周方向に配列された4つの耳部39が形成され、その各耳部39に取付孔32がそれぞれ形成されている。各耳部39に形成された各取付孔32と、軸線方向に隣り合う固定板28の間に配置された各スペーサ38の中心孔には、ステーボルト34がそれぞれ貫通して延び、さらにその各ステーボルト34は、図2に示すように、入口部材1の側壁5と、出口部材2の側壁19を貫通し、各ステーボルト34の各端部に形成された雄ねじにナット36,36Aがそれぞれ螺着されて締め付けられている。なお、図2においては、図を判りやすくするため、一部のステーボルトとスペーサなどの図示を省略してある(図7乃至図10、図13及び図14においても同じ)。
【0026】
上述のようにして、複数の固定板28は、複数のステーボルト34と、ナット36,36Aとによって一体的に固定連結され、入口部材1と出口部材2に対して固定されている。各ステーボルト34は、複数の固定板28を貫通して延びていて、その複数の固定板28を連結する用をなす。スペーサによって互いに間隙をあけて配置された各固定板をわずかに遊動できるように組み付けることもできる。
【0027】
図4に示すように、各固定板28の間にそれぞれ配置された各可動板29の厚さTは、各固定板間の間隙幅Gより小さく設定され、各固定板28の端面と、これに対向する可動板29の端面の間には、例えば0.1mm乃至1mm程の微小なギャップgが形成される。かかる微小ギャップgは、後述するように汚泥から分離された水分、すなわち濾液を通過させる濾液排出部を構成するものである。可動板29の厚さTは、例えば、1.0mm乃至2mm程に設定され、間隙幅Gは、例えば2mm乃至3mm程に設定される。また、固定板28の厚さtは、例えば1.5mm乃至3mm程に設定される。ギャップg、厚さT,t及び間隙幅Gの大きさは、処理対象物の種類などを考慮して適宜設定されるものである。
【0028】
図5は、固定板28と、可動板29と、隣り合う固定板28の間に配置されたスペーサ38と、ステーボルト34の配置状態を示す説明図であり、この図では、図を判りやすくするため、可動板29を破線で示してある。ここで、固定板28の周方向に隣り合う2つのスペーサ38の間の間隔をLとしたとき、この間隔Lの方が、可動板29の外径Dよりも小さくなっている(L<D)。このため、可動板29が隣り合う固定板28の間から抜け出ることが阻止される。
【0029】
また、図3及び図5に示すように、複数のスペーサ38の固定板中心側の部分に接する円CCを考えたとき、各可動板29の外径Dは、円CCの直径Dよりも小さく、しかも各固定板28の内径Dよりも大きく設定されている(D>D,D>D)。これにより、各可動板29は、各固定板28の中心孔から抜け出ることなく、該可動板29の半径方向に可動で、かつ隣り合う固定板28の間に回転可能に保持される。
【0030】
また、本例の固液分離装置においては、図5に示すように、固定板28の外径Dが前述の円CCの直径Dよりも小さく設定されている(D>D)。図5においては、隣り合う固定板28と可動板29を、その軸線方向に見たときに、これらの板28,29が互いに重なり合う部分にハッチングを付してある。本例の固定板28は、複数の耳部39を有しているが、かかる固定板28の外径Dは、これらの耳部39以外の円環状の部分の外径である。
【0031】
本例の固液分離装置においては、スペーサ38により、軸線方向に間隔をあけて配置され、かつステーボルト34によって互いに固定された複数の固定板28と、隣り合う固定板28の間に配置された可動板29と、入口部材1の側壁5と、出口部材2の側壁19とによって、処理対象物(この例では汚泥)から液体を分離する固液分離部3が構成されている。この固液分離部3は内部が中空に形成され、入口部材1の側壁5の開口6によって、固液分離部3の入口3Aが構成され、出口部材2の側壁19の開口22によって、固液分離部3の出口3Bが構成されている。図4は、かかる固液分離部3の部分縦断面図である。また、図2に示すように、固液分離部3は、その出口3Bの側が高くなるように傾斜して配置されている。
【0032】
固液分離部3の内部には、その固液分離部3の軸線方向に延びるスクリュー21が配置され、このスクリュー21は、軸41と、この軸41と一体のらせん状に延びる羽根42を有している。かかるスクリュー21は、図2に示すように、複数の固定板28と、可動板29の内部を貫通して延びると共に、入口部材1の側壁5と、出口部材2の側壁19,20に形成された開口6,22,23を貫通して延びていて、このスクリュー21の軸41の一方の端部が、軸受部材18に回転自在に支持されている。なお、図5にはスクリュー21の図示は省略してある。
【0033】
図示した例では、固液分離部3内に1本のスクリュー21が配置されているが、固液分離部3内に複数のスクリューを配置することもできる。固液分離部3に少なくとも1つのスクリューを配置することができるのである。
【0034】
図2に示したモータ12の出力軸45は、モータ支持部材9の側壁11,10と、入口部材1の側壁8を貫通して延び、側壁10に軸受を介して回転自在に支持されている。かかる出力軸45の先端部は、図6に示すように、内部が中空に形成され、その中空部49の中央部に係合片50が固定配置されている。また、スクリュー21の軸41の他方の端部には、係合溝51が形成され、軸41の端部が図1に示すように出力軸45の中空部49に挿入され、軸41に形成された係合溝51が出力軸45に設けられた係合片50に係合している。モータ12が作動して出力軸45が回転すると、その回転が、互いに係合した係合片50と係合溝51を介してスクリュー21に伝えられ、該スクリュー21がその中心軸線のまわりに回転する。
【0035】
一方、本例の固液分離装置は、図1に断面で示したように、装置本体100の固液分離部3に送られる前の汚泥が流入する容器52を有している。この容器52は、仕切壁53によって、濃度検知槽54と混和槽55とに分割され、その濃度検知槽54と混和槽55は、仕切壁53の下方の開口56を介して互いに連通している。図示していないサービスタンクに収容された汚泥は、処理対象物ポンプ57によって濃度検知槽54に圧送され、引き続き開口56を通して混和槽55に送り込まれる。濃度検知槽54内の汚泥の液面レベルと、混和槽55内の汚泥の液面レベルは実質的に同一である。
【0036】
混和槽55には、図示していない凝集剤タンクから、凝集剤ポンプ58によって、液状の凝集剤が送り込まれる。このようにして混和槽55に送り込まれた汚泥と、凝集剤は、撹拌装置59によって撹拌される。図1に示した撹拌装置59は、混和槽55内の汚泥中に位置する撹拌羽根60と、その撹拌羽根60が固定されている回転軸61と、その回転軸61を回転駆動するモータ62とから構成され、そのモータ62によって撹拌羽根60が回転駆動される。これにより、混和槽55内の汚泥と凝集剤が撹拌混合され、汚泥がフロック化される。フロック化された汚泥は、導管63を通して、装置本体100に送られる。濃度検知槽54と、これに関連する構成については後に詳しく説明する。
【0037】
導管63内を送られたフロック化された汚泥は、図1及び図2に矢印Aで示すように、装置本体100の入口部材1内に流入する。かかる汚泥の含水率は、例えば95乃至99重量%程度である。このとき、スクリュー21はモータ12によって回転駆動されているので、入口部材1に流入した汚泥は、図2に矢印Bで示すように、入口部材1の側壁5に形成された開口6を通って、固定板28と可動板29の内部空間に流入する。このように、汚泥は、固液分離部3の内部空間に、その軸線方向一端側の入口3Aから流入する。なお、図2、図4、図5、図7乃至図10、図13及び図14においては、汚泥の図示を省略してある。
【0038】
上述のようにして固液分離部3の内部に流入した汚泥は、モータ12により回転駆動されたスクリュー21によって、図2に破線矢印Cで示したように、固液分離部3の軸線方向他端側の出口3Bへ向けて搬送される。このとき、汚泥から分離された水分、すなわち濾液が、各固定板28と可動板29との間の微小ギャップg(図4)より成る濾液排出部を通して固液分離部外に排出される。排出された濾液は、ステー13,15に固定された濾液受け部材40に受け止められ、次いで濾液排出管46を通って流下する。この濾液には未だ多少の固形分が含まれているので、当該濾液は他の汚泥と共に再度、水処理された後、再び固液分離装置に供給されて脱水処理される。
【0039】
ここで、図4に示す如く、スクリュー21の外径Dは、その回転が阻害されないように、固定板28の内径Dよりもわずかに小なる大きさに設定されている(D>D)が、このスクリュー21の外径Dは、可動板29の内径Dよりも大きく設定されている。可動板29の内径Dがスクリュー21の外径Dよりも小さく設定されているのである(D>D)。このため、スクリュー21の回転によって、各可動板29は、スクリュー21から外力を受けて半径方向に押し動かされ、固定板28に対して積極的に運動する。このようにして、可動板29を駆動する専用の駆動手段を設けることなく、微小ギャップgに入り込んだ固形物を積極的に排出させることができ、そのギャップgに対するクリーニング効率を高めることができる。
【0040】
上述のように固液分離部3内の汚泥の含水率が下げられ、含水量の減少したケーキ状の汚泥が、図2に矢印Dで示すように、固液分離部3の軸線方向他端側の出口3Bから排出される。固液分離部3から排出された汚泥は、出口部材2の下部の排出口26を通して下方に落下する。
【0041】
上述のように、固液分離装置は、固液分離部に配置された少なくとも1つのスクリューを回転駆動して、該固液分離部に入り込んだ処理対象物を固液分離部の出口へ向けて移動させながら、その処理対象物から分離された濾液を、固液分離部の濾液排出部を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を固液分離部の出口から固液分離部外に排出させるように構成されている。
【0042】
ここで、図2及び図7に示すように、固液分離部3の出口3Bに対向して規制部材64が配置されている。ここに例示した規制部材64は円板状に形成され、その規制部材64の中央部の孔をスクリュー21の軸41が貫通して延びている。複数の部片から規制部材64を構成することもでき、また規制部材を円板以外の形態に形成することもできる。
【0043】
円板状に形成された規制部材64には、スクリュー21の軸41に対して、その軸線方向に摺動可能に嵌合したスライダ65が固定されている。後述するように、スライダ65は、軸41に対して相対回転することはない。かかる構成により、規制部材64は、スライダ65を介して、固液分離部3の出口3Bに対して接近又は離隔可能に、軸41に支持される。規制部材64を直に軸41に支持することもできる。
【0044】
また、図7に示すように、スクリュー21の軸41には、ばね受け66がねじ68によって着脱可能に固定され、このばね受け66とスライダ65との間に、軸41に巻回された圧縮コイルばねより成る加圧ばね69が圧装され、これにより、規制部材64は固液分離部3の出口3Bに向けて付勢される。加圧ばね69は、規制部材を固液分離部の出口に向けて加圧する付勢手段の一例を構成している。付勢手段によって、規制部材64を直に加圧するように構成することもできる。
【0045】
スクリュー21が回転すると、ばね受け66と、スライダ65と、規制部材64と、加圧ばね67は、そのスクリュー21と共に一体となって回転する。
【0046】
前述のように含水率の下げられた汚泥は、固液分離部3の出口3Bから排出されるが、このとき出口3Bには、規制部材64が対向して配置されているので、出口3Bから排出される汚泥がその規制部材64に当り、これによって出口3Bから排出される単位時間当りの汚泥の量が規制される。出口3Bから排出される汚泥が規制部材64を加圧するので、加圧ばね69により出口3Bに向けて付勢された規制部材64は、図7に示すように出口3Bから離間し、その出口3Bと規制部材64との間に間隔DSが形成される。汚泥は、ここを通して、図2に矢印Dで示したように固液分離部外へ排出される。固液分離部3の内部に汚泥が存在しない状態で、固液分離装置が作動を停止している時には、規制部材64は加圧ばね69に加圧されて出口部材2の側壁19に圧接して、出口3Bを塞ぐ。
【0047】
なお、図7に示したスライダ65は、軸41に対して、その軸線方向に摺動可能であって、しかもその軸41に対して相対的に回転できるように軸41に嵌合しているが、このスライダ65は、加圧ばね69によって加圧されているので、スライダ65が軸41に対して回転することはなく、スライダ65と規制部材64は軸41と共に回転する。スライダ65を、軸41の軸線方向には摺動可能であるが、相対回転は不能であるように、軸41に組み付けることもできる。
【0048】
上述のように、規制部材64によって、出口3Bから排出される単位時間当りの汚泥の量が規制されるので、出口3Bの近傍の固液分離部3内の圧力が高められ、固液分離部3内における汚泥の脱水効率が高められる。このように、規制部材は、固液分離部の出口に対向して位置していて、その出口から排出される単位時間当りの処理対象物の量を規制することにより、固液分離部内の圧力を高め、固液分離部内での処理対象物の脱液効率を高める用をなすのである。
【0049】
ここで、図2に示した固液分離部3の出口3Bの近傍の固液分離部内の領域EAを出口近傍領域と称することにすると、規制部材64は、固液分離部3の出口3Bに対して接近又は離隔可能に支持され、しかも加圧ばね69によってその出口3Bに向けて加圧されているので、固液分離部3の出口近傍領域EA内の汚泥の含水率が大きく低下して、その領域EA内の汚泥の圧力が高まったとすると、出口3Bと規制部材64との間隔DSが大きくなり、出口3Bから排出される汚泥の量が増大する。逆に、出口近傍領域EA内の汚泥の含水率が上昇して、その汚泥の圧力が低下したとすると、間隔DSは小さくなるので、出口3Bから排出される汚泥の量が減少する。
【0050】
以上説明した固液分離装置の装置本体100の構成は、従来の固液分離装置の装置本体と実質的に変わりはない。
【0051】
ここで、先に説明したように、固液分離部3の出口3Bから排出された汚泥の含水率をほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保たなければならぬことがある。例えば、出口3Bから排出されるケーキ状の汚泥の含水率をほぼ78重量%に保ち、又は70重量%乃至80重量%の範囲内の値に保ち、その汚泥を圧送ポンプによって効率よく焼却炉に搬送できるようにすると共に、その焼却炉で当該汚泥を効率よく焼却できるようにするのである。
【0052】
ところが、固液分離部に供給される汚泥の含水率は変動するので、従来の固液分離装置によっては、固液分離部の出口から排出される脱水後の汚泥の含水率をほぼ一定の値、又はほぼ一定の範囲内の値に保つことは困難であった。
【0053】
そこで、本例の固液分離装置においては、次に示す考えを基にして、出口3Bから排出される汚泥の含水率を、自動的にほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができるように構成されている。
【0054】
先にも説明したように、固液分離部3の出口近傍領域EA内に存する汚泥の圧力は、その汚泥の含水率によって決まり、当該含水率が低いときは、その含水率が高いときよりも、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力は高くなる。しかも、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力が高くなると、その圧力が低いときよりも、出口3Bと規制部材64との間の間隔DSは大きくなる。
【0055】
ここで、本明細書及び特許請求の範囲においては、スクリュー21の単位時間当たりの回転数を単に回転数ということにする。かかるスクリュー21の回転数が増大すると、固液分離部内を搬送される汚泥の速さが速くなり、その汚泥が短時間で固液分離部3内を通過することになるので、当該汚泥が出口3Bに達するまでに濾液排出部を通して排出される濾液の量は少なくなる。このため、出口3Bから排出される汚泥の含水率は上昇し、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力は低下する。逆にスクリュー21の回転数が減少すると、固液分離部3内を搬送される汚泥の速さは遅くなり、その汚泥が長い時間をかけて固液分離部3内を通過することになるので、当該汚泥が出口3Bに達するまでに濾液排出部を通して排出される濾液の量は増大する。このため、出口3Bから排出される汚泥の含水率は低下し、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力は上昇する。
【0056】
上述した事実から次に示す結論を導くことができる。
(1)固液分離部3の出口3Bと規制部材64との間の間隔DSと、出口3Bから排出される汚泥の含水率と、スクリュー21の回転数には、一定の関係があり、間隔DSが一定の値、又は一定の範囲内の値に保たれるように、スクリュー21の回転数を制御すれば、固液分離部3に流入してくる汚泥の含水率がいかに変動しようとも、固液分離部3の出口3Bから排出される汚泥の含水率をほぼ一定の値、又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができる。
(2)同様に、固液分離部3の出口近傍領域EAに存する汚泥の圧力が一定の値、又は一定の範囲内の値に保たれるように、スクリュー21の回転数を制御すれば、固液分離部3に流入してくる汚泥の含水率がいかに変動しようとも、固液分離部3の出口3Bから排出される汚泥の含水率をほぼ一定の値、又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができる。
(3)同じく、規制部材64が固液分離部の出口3Bから排出される汚泥によって受ける荷重が一定の値、又は一定の範囲内の値に保たれるように、スクリュー21の回転数を制御すれば、固液分離部3に流入してくる汚泥の含水率がいかに変動しようとも、固液分離部3の出口3Bから排出される汚泥の含水率をほぼ一定の値、又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができる。
(4)さらに、固液分離部3の出口3Bから排出された汚泥の含水率が一定の値、又は一定の範囲内の値に保たれるように、スクリューの回転数を制御すれば、固液分離部3に流入してくる汚泥の含水率がいかに変動しようとも、固液分離部3の出口3Bから排出される汚泥の含水率をほぼ一定の値、又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができる。
【0057】
上述した知見に基づき、本例の固液分離装置は以下のように構成されている。
【0058】
先ず、図1、図2及び図7に示した固液分離装置は、固液分離部3の出口3Bと規制部材64との間の間隔DSを検知する間隔検知装置70を有している。ここに示した間隔検知装置70は、出口部材2の側壁20に一体に形成されたブラケット71に固定支持されている超音波センサ72と、前述のスライダ65にベアリング73を介して嵌合した環状の取付部材74に固定された反射板75を有している。反射板75は、細長い板材より成り、しかも回転不能であって、軸41の軸線方向には移動できるように、図示していない連結部材を介して出口部材2に保持されている。
【0059】
この間隔検知装置70は、超音波センサ72から発せられた超音波を反射板75にて反射させることにより、その間隔検知センサ70から反射板75までの距離S1を検知する。超音波センサ72から固液分離部3の出口3Bまでの距離S2は予め判っており、しかも反射板75と取付部材74と規制部材64の全体の厚さS3も判っているので、超音波センサ72から反射板75までの距離S1を検知することにより、後述するコントローラ76(図1)において、規制部材64と出口3Bとの間の間隔DSを知ることができる(DS=S2−S1−S3)。このようにして、間隔検知装置70によって、固液分離部3の出口3Bと規制部材64との間の間隔DSを検知することができる。
【0060】
上述した超音波センサ72にて生ぜしめられた間隔検知信号は、図1に示したコントローラ76に取り込まれ、そのコントローラ76からの指令によって、第1のインバータ77Aは、間隔DSが予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値となるように、スクリュー21用のモータ12を制御して、スクリュー21の回転数を規制する。
【0061】
具体的には、固液分離部3に含水率の高い汚泥が送り込まれると、出口近傍領域EA内の汚泥の含水率が高まるので、その汚泥の圧力が低下して、加圧ばね69により加圧された規制部材64は出口3Bに近づき、間隔検知装置70によって検知された間隔DSが小さくなる。従って、この場合には、第1のインバータ77Aは、モータ12の単位時間当りの回転数を下げ、スクリュー21の回転数を減少させる。これにより、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力が高まり、規制部材64は出口3Bから離間する。逆に、固液分離部3に含水率の低い汚泥が送り込まれ、出口近傍領域EA内の汚泥の含水率が低下すると、その汚泥の圧力が上昇して、規制部材64は出口3Bから離間し、間隔検知装置70によって検知された間隔DSが大きくなるので、このときは第1のインバータ77Aは、モータ12の単位時間当りの回転数を上げ、スクリュー21の回転数を増大させる。これにより、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力が下がり、規制部材64は出口3Bに接近する。
【0062】
より具体的に示すと、出口3Bから排出される汚泥の含水率を例えばほぼ78重量%に保つ必要のあるときは、間隔検知装置70により検知される間隔DSが例えば5mmに保たれるように、スクリュー21の回転数を制御する。すなわち、間隔検知装置70によって検知された間隔DSの値が5mmよりも大きくなったときは、スクリュー21の回転数を増大させ、間隔DSが5mmよりも小さくなったときは、スクリュー21の回転数を減少させるようにモータ12を制御するのである。
【0063】
或いは、出口3Bから排出される汚泥の含水率を、例えばほぼ70重量%乃至80重量%の範囲内の値に保つべきときは、間隔検知装置70により検知される間隔DSが、例えば3mm乃至8mmの範囲内の値となるようにスクリュー21の回転数を制御する。すなわち、間隔検知装置70により検知された間隔DSの値が3mmよりも小さくなったとき、スクリュー21の回転数を下げ、間隔検知装置70により検知された間隔DSの値が8mmよりも大きくなったときにスクリュー21の回転数を増大させるのである。
【0064】
出口3Bから排出される汚泥の含水率を78重量%、或いは70重量%乃至80重量%の範囲の値以外の値に保つべきときは、その値に対応する間隔DSの大きさが維持されるように、スクリュー21の回転数を規制する。
【0065】
以下の説明では、モータ12の単位時間当りの回転数も、単にモータ12の回転数と称することにする。
【0066】
上述のようにして、固液分離部3にいかなる濃度の汚泥が流入したときも、出口3Bと規制部材64との間の間隔DSが大きく変動することはなく、当該間隔DSは常にほぼ一定の値、又はほぼ一定の範囲内の値に保たれる。これにより、出口3Bから排出される汚泥の含水率を常にほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができる。
【0067】
上述したコントローラ76と第1のインバータ77Aは、間隔検知装置70による検知結果に基づいて、固液分離部3の出口3Bと規制部材64との間の間隔DSが予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、スクリュー21の回転数を制御するスクリュー制御手段の一例を構成している。
【0068】
一方、図8に示した固液分離装置の装置本体100は、その固液分離部3内の出口近傍領域EAが、可動板と固定板ではなく、出口部材2に固定された筒状体78によって区画され、その筒状体78から分岐した分岐管79の先端に、固液分離部3内の出口近傍領域EAに存する処理対象物(この例では汚泥)の圧力を検知する圧力検知装置80が設けられている。この圧力検知装置80としては、例えば隔膜式圧力計を採用することができる。図8に示した固液分離装置には、図1、図2及び図7に示した間隔検知装置70を構成するブラケット71、超音波センサ72、ベアリング73、取付部材74及び反射板75は設けられていない。
【0069】
上述した圧力検知装置80にて生ぜしめられた圧力検知信号は、先の具体例と同じく、図1に示したコントローラ76に取り込まれ、そのコントローラ76からの指令によって、第1のインバータ77Aは、固液分離部3の出口近傍領域EA内の汚泥の圧力が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値となるように、スクリュー21用のモータ12を制御して、該スクリュー21の回転数を規制する。
【0070】
具体的には、固液分離部3に含水率の高い汚泥が送り込まれると、出口近傍領域EA内の汚泥の含水率が高まり、圧力検知装置80によって検知された汚泥の圧力が低下するので、このときは第1のインバータ77Aは、モータ12の回転数を下げ、スクリュー21の回転数を減少させる。これにより、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力が高められる。逆に、固液分離部3に含水率の低い汚泥が送り込まれ、出口近傍領域EA内の汚泥の含水率が低下すると、圧力検知装置80によって検知された汚泥の圧力が上昇するので、このときは第1のインバータ77Aは、モータ12の回転数を上げ、スクリュー21の回転数を増大させて、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力を下げる。
【0071】
より具体的に示すと、出口3Bから排出される汚泥の含水率を、例えばほぼ78重量%に保つべきときは、圧力検知装置80により検知された汚泥の圧力が、その汚泥の目標の含水率である78重量%に対応する値よりも低くなったときは、スクリュー21の回転数を減少させ、逆に圧力検知装置80により検知された汚泥の圧力が、その汚泥の目標の含水率である78重量%に対応する値よりも高くなったときは、スクリュー21の回転数を増大させる。このようにして出口3Bから排出される汚泥の含水率がほぼ78重量%となるようにスクリュー21の回転数を制御するのである。
【0072】
同様に、出口3Bから排出される汚泥の含水率を、例えばほぼ70重量%乃至80重量%の範囲内の値に保つべきときは、圧力検知装置80により検知された汚泥の圧力が、その汚泥の含水率の下限値である70重量%に対応する値よりも高くなったときは、スクリュー21の回転数を増大させ、圧力検知装置80により検知された汚泥の圧力が、その汚泥の含水率の上限値である80重量%に対応する値よりも低くなったときは、スクリュー21の回転数を減少させる。このようにして、出口3Bから排出される汚泥の含水率がほぼ70重量%乃至80重量%に保たれるようにスクリューの回転数を制御することができる。
【0073】
上述のようにして、固液分離部3にいかなる濃度の汚泥が流入したときも、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力が大きく変化することはなく、当該圧力は常にほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保たれる。これにより、出口3Bから排出される汚泥の含水率を常にほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができるのである。
【0074】
上述したコントローラ76と第1のインバータ77Aは、圧力検知装置80による検知結果に基づいて、出口近傍領域EA内の処理対象物、すなわち汚泥の圧力が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、スクリュー21の回転数を制御するスクリュー制御手段の一例を構成している。
【0075】
図8に示した固液分離装置の他の構成は、図1乃至図7に示した固液分離装置と変わりはない。
【0076】
図9に示した固液分離装置においては、規制部材64が固定されたスライダ65と加圧ばね69との間に、それ自体周知な荷重検知装置81が配置され、その荷重検知装置81は、スクリュー21の軸41に対してその軸線方向に摺動自在に当該軸41に嵌合している。しかも、荷重検知装置81と加圧ばね69との間にベアリング103が配置され、かつ荷重検知装置81とスライダ65との間にもベアリング104が配置されている。これにより、荷重検知装置81は、スクリュー21の軸41と共に回転しない状態で軸41に支持される。かかる荷重検知装置81は、規制部材64が固液分離部3の出口3Bから排出される処理対象物(この例では汚泥)によって受ける荷重を検知する用をなす。図9に示した固液分離装置には、図1、図2及び図7に示した間隔検知装置70を構成するブラケット71、超音波センサ72、ベアリング73、取付部材74及び反射板75は設けられていない。
【0077】
上述した荷重検知装置81にて生ぜしめられた荷重検知信号は、先に説明した各具体例と同じく、図1に示したコントローラ76に取り込まれ、そのコントローラ76からの指令によって、第1のインバータ77Aは、出口3Bから排出される汚泥によって規制部材64が受ける荷重が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値となるように、スクリュー21用のモータ12を制御して、スクリュー21の回転数を規制する。
【0078】
具体的には、固液分離部3に含水率の高い汚泥が送り込まれると、出口近傍領域EA内の汚泥の含水率が高まるので、その汚泥の圧力が低下して、規制部材64が汚泥から受ける荷重は小さくなり、荷重検知装置81によって検知された荷重は小さくなる。このときは第1のインバータ77Aは、モータ12の回転数を下げ、スクリュー21の回転数を減少させる。これにより、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力が高まり、汚泥が規制部材64に加える荷重が大きくなる。逆に、固液分離部3に含水率の低い汚泥が送り込まれ、出口近傍領域EA内の汚泥の含水率が低下すると、その汚泥の圧力が上昇して、規制部材64は汚泥から大きな荷重を受け、荷重検知装置81によって検知された荷重は大きくなる。このときは第1のインバータ77Aは、モータ12の回転数を上げ、スクリュー21の回転数を増大させる。これにより、出口近傍領域EA内の汚泥の圧力が下がり、規制部材64が汚泥から受ける荷重は小さくなる。
【0079】
より具体的に示すと、出口3Bから排出される汚泥の含水率を、例えばほぼ78重量%に保つべきときは、荷重検知装置81により検知された荷重が、その汚泥の目標の含水率である78重量%に対応する値よりも低くなったときは、スクリュー21の回転数を減少させ、逆に荷重検知装置81により検知され荷重が、その汚泥の目標の含水率である78重量%に対応する値よりも高くなったときは、スクリュー21の回転数を増大させる。このようにして、出口3Bから排出される汚泥の含水率がほぼ78重量%となるようにスクリュー21の回転数を制御するのである。
【0080】
同様に、出口3Bから排出される汚泥の含水率を、例えばほぼ70重量%乃至80重量%の範囲内の値に保つべきときは、荷重検知装置81により検知された荷重が、その汚泥の含水率の下限値である70重量%に対応する値よりも大きくなったときは、スクリュー21の回転数を増大させ、荷重検知装置81により検知された荷重が、その汚泥の含水率の上限値である80重量%に対応する値よりも小さくなったときは、スクリュー21の回転数を減少させる。このようにして出口3Bから排出される汚泥の含水率がほぼ70重量%乃至80重量%に保たれるようにスクリューの回転数を制御することができる。
【0081】
上述のようにして、固液分離部3にいかなる濃度の汚泥が流入したときも、規制部材64が汚泥から受ける荷重が大きく変動することはなく、当該荷重は常にほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保たれる。これにより、出口3Bから排出される汚泥の含水率を常にほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができる。
【0082】
上述したコントローラ76と第1のインバータ77Aは、荷重検知装置81による検知結果に基づいて、規制部材64が汚泥から受ける荷重が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、スクリュー21の回転数を制御するスクリュー制御手段の一例を構成している。
【0083】
図9に示した固液分離装置の他の構成は、図1乃至図7に示した固液分離装置と変わりはない。
【0084】
図10に示した固液分離装置においては、出口部材2の側壁19に支持ブラケット101の基端部が固着され、その支持ブラケット101の上端側には、固液分離部3の出口3Bから排出された処理対象物(この例では汚泥)の含液率を検知する含液率検知装置の一例である含水率計102が固定支持されている。図10には、固液分離部3の出口から排出された汚泥CAを二点鎖線で簡略化して示してある。含水率計102は、それ自体周知のように、出口3Bから排出された汚泥CAに近赤外線を当てて、その汚泥CAの含水率を測定するように構成されている。図10に示した固液分離装置には、図1、図2及び図7に示した間隔検知装置を構成するブラケット71、超音波センサ72、ベアリング73、取付部材74及び反射板75は設けられていない。
【0085】
上述した含水率計102にて生ぜしめられた含水率検知信号は、先に示した各具体例と同様に、図1に示したいコントローラ76に取り込まれ、そのコントローラ76からの指令によって、第1のインバータ77Aは、固液分離部3の出口3Bから排出された汚泥CAの含水率が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるようにスクリュー21のモータ12を制御して、スクリュー21の回転数を規制する。
【0086】
具体的には、固液分離部3に含水率の高い汚泥が送り込まれると、その固液分離部3の出口3Bから排出されたケーキ状の汚泥CAの含水率が高まるので、含水率計102により検知された汚泥の含水率は上昇する。従って、このときは第1のインバータ77Aは、モータ12の回転数を下げ、スクリュー21の回転数を減少させる。これにより、出口3Bから排出される汚泥CAの含水率が減少する。逆に、固液分離部3に含水率の低い汚泥が送り込まれると、出口3Bから排出される汚泥CAの含水率は低下し、含水率計102により検知された含水率が低くなる。このときは、第1のインバータ77Aは、モータ12の回転数を上げ、スクリュー21の回転数を増大させる。これにより出口3Bから排出される汚泥CAの含水率は高まる。
【0087】
より具体的に示すと、出口3Bから排出される汚泥の含水率を、例えばほぼ78重量%に保つべきときは、含水率計102により検知された汚泥CAの含水率が、その汚泥の目標の含水率である78重量%よりも高くなったときは、スクリュー21の回転数を減少させ、逆に含水率計102により検知された汚泥CAの含水率が、その汚泥CAの目標の含水率である78重量%よりも低くなったときは、スクリュー21の回転数を増大させる。このようにして出口3Bから排出される汚泥の含水率がほぼ78重量%となるようにスクリュー21の回転数を制御するのである。
【0088】
同様に、出口3Bから排出される汚泥の含水率を、例えばほぼ70重量%乃至80重量%の範囲内の値に保つべきときは、含水率計102により検知された汚泥CAの含水率が、その汚泥の含水率の上限値である80重量%よりも高くなったときは、スクリュー21の回転数を減少させ、含水率計102により検知された汚泥CAの含水率が、その汚泥の含水率の下限値である70重量%よりも低くなったときは、スクリュー21の回転数を増大させる。このようにして、出口3Bから排出される汚泥の含水率がほぼ70重量%乃至80重量%に保たれるようにスクリューの回転数を制御することができる。
【0089】
上述のようにして、固液分離部3にいかなる濃度の汚泥が流入したときも、その固液分離部3の出口3Bから排出された汚泥CAの含水率が大きく変動することはなく、これによって出口3Bから排出される汚泥CAの含水率をほぼ一定の値、又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができる。
【0090】
上述したコントローラ76と第1のインバータ77Aは、含液率検知装置の一例である含水率計102による検知結果に基づいて、固液分離部3の出口3Bから排出された処理対象物の含液率が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、スクリュー21の回転数を制御する制御手段の一例を構成している。
【0091】
図10に示した固液分離装置の他の構成は、図1乃至図7に示した固液分離装置と変わりはない。
【0092】
図7乃至図10に関連して説明したいずれの具体例の固液分離装置も、固液分離部3の出口3Bから排出された処理対象物の含液率が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値となるように、スクリュー21の回転数を制御するスクリュー制御手段を有しており、これによって、出口3Bから排出された処理対象物の含液率を、自動的にほぼ所望する一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保つことができる。
【0093】
ところで、上述したいずれの具体例においても、固液分離部3の出口3Bから排出された汚泥の含水率は常にほぼ一定の値又はほぼ一定の範囲内の値に保たれるように、スクリュー21の回転数が制御される。従ってスクリュー21の回転数の変化に応じて、固液分離部3に供給する汚泥の量を変える必要がある。スクリュー21の回転数が増大したときは、固液分離部3に送り込まれる汚泥の量を増やし、逆にスクリューの回転数が減少したときは、固液分離部3に送り込まれる汚泥の量を減らすのである。
【0094】
そこで、本例の固液分離装置においては、前述のように、固液分離部3に送られる前の処理対象物が流入する容器52と、その容器52に処理対象物を圧送する処理対象物ポンプ57が設けられていて、図1に示した例では、処理対象物ポンプ57が容器52の濃度検知槽54に汚泥を送り込むように構成されている。さらに、図1に示した固液分離装置には、容器52内の処理対象物の液面レベルを検知するレベル検知装置82が設けられていて、本例のレベル検知装置82は、混和槽55内の汚泥の液面に超音波を当てて、その液面レベルを検知するそれ自体周知な超音波センサにより構成されている。濃度検知槽54内の汚泥の液面レベルを検知するように、レベル検知装置を配置することもできる。
【0095】
容器52の混和槽55内の汚泥の液面レベルは、スクリュー21の回転数の変動に伴って変化する。その液面レベルがレベル検知装置82によって検知され、そのレベル検知信号は、図1に示したコントローラ76に取り込まれる。その際、コントローラ76において、スクリュー21の回転数が変動しても、容器52内の汚泥の液面レベルが常にほぼ一定となるように、容器52の濃度検知槽54に供給される汚泥の流量が算出される。しかも、その算出値に基づくコントローラ76からの指令によって、第2のインバータ77Bは、上述の如く算出された流量の汚泥が容器52の濃度検知槽54に供給されるように、処理対象物ポンプ57を駆動する図示していないモータを制御する。
【0096】
具体的には、容器52内の汚泥の液面レベルが基準値よりも低下したことが検知されたときは、処理対象物ポンプ57が、より多量の汚泥を容器52に送り込めるように、そのポンプ57のモータを制御し、容器52内の汚泥の液面レベルが基準値よりも上昇したときは、容器52に送り込まれる汚泥の流量が減少するように、処理対象物ポンプ57のモータを制御する。これにより、スクリュー21の回転数がいかなるときも、容器52内の液面レベルはほぼ一定に保たれ、スクリュー21の回転数に対応した流量の汚泥が固液分離部3に送り込まれ、固液分離部3内の汚泥の量が過多となったり、過少となったりする不具合を阻止することができる。
【0097】
上述したコントローラ76と第2のインバータ77Bは、レベル検知装置82による検知結果に基づいて、容器52内の処理対象物の液面レベルが一定となるように、処理対象物ポンプ57を制御する処理対象物ポンプ用の制御手段の一例を構成している。
【0098】
ところで、本例の固液分離装置においては、混和槽55において、汚泥と凝集剤が撹拌されて汚泥がフロック化されるのであるが、その際、その汚泥の固形分の量に対して、適正な割合の凝集剤を添加する必要がある。汚泥の固形分に対する凝集剤の添加率が低すぎると、汚泥をフロック化させ難くなり、逆にその添加率が高すぎると、図4に示した固定板28と可動板29との間の微小ギャップgから濾液が排出され難くなり、脱水効率が低下する。
【0099】
そこで、本例の固液分離装置には、図1に示したように、濃度検知槽54内の処理対象物の固形分濃度を検知する濃度検知装置83が設けられている。図1に一例として示した濃度検知装置83は、濃度検知槽54内の汚泥中に位置する羽根25を回転駆動し、このとき羽根25に作用する抵抗の大きさから、濃度検知槽54内の汚泥の濃度を検知するパルプ濃度計により構成されている。かかる濃度検知装置83にて生ぜしめられた濃度検知信号は、図1に示したコントローラ76に入力され、該コントローラ76において、その濃度検知信号と、前述のようにして算出された濃度検知槽54に供給される汚泥の適正な流量の値から、混和槽55に供給すべき凝集剤の適正な流量が算出される。その算出値に基づくコントローラ76からの指令によって、第3のインバータ77Cは、適正流量の凝集剤が混和槽55に供給されるように、凝集剤ポンプ58を駆動する図示していないモータの単位時間当りの回転数を制御する。このようにして、混和槽55に送り込まれる汚泥の流量が変化し、或いは、その汚泥の固形分濃度が変化しても、その汚泥流量と固形分濃度に対応した適正な流量の凝集剤を混和槽55に送り込むことができる。これにより、その汚泥を効率よくフロック化することができると共に、微小ギャップgから濾液が排出され難くなる不具合を阻止できる。
【0100】
コントローラ76と第3のインバータ77Cは、濃度検知装置83による検知結果と、混和槽55に送り込まれる処理対象物の適正な流量の値とに基づいて、処理対象物に対する凝集剤の添加率が適正な範囲となるように、凝集剤ポンプ58を制御する凝集剤ポンプ用の制御手段の一例を構成している。混和槽55に送り込まれる処理対象物の適正な流量は、上述のように、レベル検知装置82による検知結果に基づいて得られた値である。
【0101】
以上説明した固液分離装置においては、容器52が、固液分離部3に送られる前の処理対象物が流入する濃度検知槽54と、その濃度検知槽54に連通していて、当該濃度検知槽54からの処理対象物と凝集剤とが送り込まれる混和槽55とを具備し、しかもその固液分離装置が、混和槽55に送り込まれた処理対象物と凝集剤とを撹拌する撹拌装置59と、混和槽55に凝集剤を圧送する凝集剤ポンプ58とを有している。
【0102】
これに対し、図11に示した固液分離装置においては、容器52が図1に示した濃度検知槽54を有しておらず、当該容器52は、混和槽55のみを有している。その混和槽55に、処理対象物ポンプ57によって汚泥が送り込まれると共に、凝集剤ポンプ58によって凝集剤が送り込まれ、その汚泥と凝集剤が撹拌装置59によって撹拌されて汚泥がフロック化される。このように、図11に示した容器52は、処理対象物と凝集剤とが送り込まれる混和槽55を具備していて、固液分離装置が、混和槽55に送り込まれた処理対象物と凝集剤とを撹拌する撹拌装置59と、混和槽55に凝集剤を圧送する凝集剤ポンプ58とを有しているのである。図11に示した撹拌装置59は、図1に示した撹拌装置と変わりはない。
【0103】
また、図11に示した固液分離装置には、図1に示したパルプ濃度計より成る濃度検知装置83は設けられておらず、その代わりに、混和槽55に送られる汚泥が流通する移送管97から分岐した分岐管98の先端に、汚泥の固形分濃度を検知する濃度検知装置183が設けられている。この濃度検知装置183は、例えば、超音波式、放射線式、光線式などのオンライン濃度計により構成され、かかる濃度検知装置183によって、混和槽55に送られる処理対象物の固形分濃度が検知される。
【0104】
また図11に示した固液分離装置においても、レベル検知装置82による検知結果に基づいて、混和槽55内の汚泥の液面レベルが一定となるように、処理対象物ポンプ57が制御される。他の構成は図1乃至図7に示した固液分離装置と実質的に変わりはない。すなわち、この場合も、濃度検知装置183にて生ぜしめられた濃度検知信号が、図11に示したコントローラ76に入力され、該コントローラ76において、その濃度検知信号と、前述の如くして算出された混和槽55に供給される汚泥の適正な流量の値から、混和槽55に供給すべき凝集剤の適正な流量が算出され、その算出値に基づくコントローラ76からの指令によって、第3のインバータ77Cが、適正流量の凝集剤が混和槽55に供給されるように、凝集剤ポンプ58を駆動する図示していないモータの単位時間当りの回転数を制御する。このようにして、図11に示した固液分離装置によっても、混和槽55に送り込まれる汚泥の流量が変化し、或いは、その汚泥の固形分濃度が変化しても、その汚泥流量と固形分濃度に対応した適正な流量の凝集剤を混和槽55に送り込むことができる。これにより、その汚泥を効率よくフロック化することができると共に、微小ギャップgから濾液が排出され難くなる不具合を阻止できる。
【0105】
また、図11に示したコントローラ76と第3のインバータ77Cは、濃度検知装置183による検知結果と、レベル検知装置82による検知結果に基づいて得られた、混和槽55に送り込まれる処理対象物の適正な流量の値とに基づいて、処理対象物に対する凝集剤の添加率が適正な範囲となるように、凝集剤ポンプ58を制御する凝集剤ポンプ用の制御手段の一例を構成している。
【0106】
図11に示した固液分離装置にも、図8乃至図10に示した各構成を採用することができる。
【0107】
ところで、処理対象物によっては、これに凝集剤を添加せずに、その処理対象物を固液分離部3に送り込んで脱液処理することもある。専ら、このような処理対象物を脱液処理するために用いられる固液分離装置の場合には、上述した混和槽55、撹拌装置59、凝集剤ポンプ58及び濃度検知装置83,183を設ける必要はない。この場合には、例えば、図12の(a)に断面で示すように、1つの槽から成る容器52を用い、その容器内の処理対象物の液面レベルをレベル検知装置82によって検知して、先に説明したように、固液分離部に適正量の処理対象物を送り込むように構成することができる。
【0108】
また、図1に示した容器52の混和槽55と濃度検知槽54は、隣り合せた状態に配置されているが、図12の(b)に断面で示すように、混和槽55と濃度検知槽54を大きく離間させ、両槽54,55を連通管84によって連結し、その混和槽55と、連通管84と、濃度検知槽54とによって容器52を構成することもできる。
【0109】
また、図7乃至図10に示した付勢手段は加圧ばね69により構成されているが、例えば特許第3917646号公報に記載されるような各種形式の付勢手段を採用することもできる。
【0110】
さらに、図13に示した固液分離装置においては、図7乃至図10に示した加圧ばね69の代わりに流体圧シリンダ85により構成された付勢手段が用いられている。この流体圧シリンダ85は、内部が中空なシリンダ本体86と、そのシリンダ本体86内にその軸線方向に摺動可能に配置されたピストン87と、一端がそのピストン87に一体に固定されたピストンロッド88とを有している。また、スクリュー21の軸41は、シリンダ本体86とピストンロッド88とピストン87に対して回転可能に、そのシリンダ本体86とピストンロッド88とピストン87を貫通して延びている。軸41が、ベアリング89を介してシリンダ本体86に相対回転自在に嵌合していると共に、シリンダ本体86は、軸41に固定されたストッパ96に、スラストベアリング199を介して当接し、当該シリンダ本体86が、図13に示した位置よりも固液分離部3の出口3Bからはなれる向きに移動することが禁止されている。これにより、シリンダ本体86が回転することはない。また、軸41は、ベアリング189を介してピストンロッド88に嵌合していると共に、そのピストンロッド88の他端は、スラストベアリング99を介して、規制部材64に固定されたスライダ65に当接しており、これによってピストンロッド88とピストン87が回転することはない。さらに、シリンダ本体86には、作動流体(この例ではオイル)が供給される供給口92が形成され、ここに導管93が接続されている。
【0111】
また、図13に示したスライダ65も、軸41に対して、その軸線方向に摺動可能であると共に、スクリュー21が回転したとき、スライダ65と規制部材64は、そのスクリュー21と共に回転する。
【0112】
図13に示したポンプ94の作動によって、導管93を通して、加圧されたオイルがシリンダ本体86内に供給され、これによってピストン87とピストンロッド88が矢印Eで示すように加圧される。これにより、固液分離部3の出口3Bから排出される汚泥によって加圧された規制部材64が、その出口3Bに向けて付勢される。シリンダ本体86内に供給された作動流体(この例ではオイル)によりピストン87が加圧され、これにより規制部材64が固液分離部3の出口3Bに向けて付勢されるのである。加圧されたオイルが供給されるシリンダ本体内の圧力が異常なほど上昇したときは、安全弁95が作動して、導管93内のオイルがその安全弁95を通して排出される。これにより、いかなるときも、装置本体100の安全性が確保される。
【0113】
固液分離部3の内部に汚泥が入ったままの状態で、固液分離装置を長時間停止させると、その汚泥が固まってしまい、次に固液分離装置を作動させたとき、固まった汚泥が固液分離部3から出てこなくなるおそれがある。そこで、固液分離装置を長時間停止させるときは、図13に示したもう一方の供給口192から、矢印E1で示すように、シリンダ本体86内にオイルを供給して、ピストンロッド88と、ピストン87を、固液分離部3の出口3Bから離間する方向に摺動させる。これにより、規制部材64を出口3Bから離し、出口3Bと規制部材64との間の間隔DSを拡げることができるので、ここから固液分離部3内の汚泥を掻き出すことができる。このようにすれば、固液分離装置を長時間停止させた後に、その固液分離装置を作動させたときも、固液分離部3から汚泥が排出されなくなるおそれをなくすことができる。
【0114】
図14に示した固液分離装置も、付勢手段が流体圧シリンダ85により構成されている。ここに示した流体圧シリンダ85も、内部が中空なシリンダ本体86と、そのシリンダ本体86内に、その軸線方向に摺動可能に配置されたピストン87と、ピストンロッド88を有している。このピストンロッド88は、ピストン87を貫通して延びていると共に、そのピストン87に一体に固定連結されている。さらに、ピストンロッド88の長手方向各端部は、シリンダ本体86の外部に突出し、スクリュー21の軸41がベアリング189,289を介して、ピストンロッド88に回転自在に嵌合している。ピストンロッド88の出口3Bの側の端部が、スラストベアリング99を介して、スライダ65に当接していることは、図13に示した流体圧シリンダ85と変わりはない。このようにして、図14に示したピストンロッド88とピストン87も、軸41に対して、その軸線方向に摺動自在ではあるが、回転することがないように、軸41に嵌合している。スクリュー21の軸41は、シリンダ本体86とピストンロッド88とピストン87に対して回転可能であると共に、そのシリンダ本体86とピストンロッド88とピストン87を貫通して延びているのである。図14における符号105,106は、シリンダ本体86とピストンロッド88との間をシールするシール部材を示している。
【0115】
また、図14に示した流体圧シリンダ85のシリンダ本体86は、取付部材107と、軸受部材18を介して、出口部材2に不動に固定されている。これにより、シリンダ本体86は回転することはなく、しかも軸41の軸線方向に移動することもない。
【0116】
図14に示した流体圧シリンダ85の他の構成は、図13に示した流体圧シリンダと変わりなく、その作用も同様である。すなわち導管93を通して加圧されたオイルが矢印Eで示したようにシリンダ本体86に供給され、これによってピストン87が加圧され、固液分離部3の出口3Bから排出される汚泥によって加圧された規制部材64が、出口3Bに向けて付勢される。シリンダ本体86内に供給された作動流体によりピストン87が加圧され、これにより規制部材64が固液分離部3の出口3Bに向けて付勢されるのである。
【0117】
固液分離装置を長時間停止させるときは、もう一方の供給口192からシリンダ本体86内にオイルを供給し、出口3Bと規制部材64の間の間隔DSを拡げ、ここから固液分離部3内の汚泥を外部に排出させることができることも、図13に示した流体圧シリンダと変わりはない。
【0118】
上述のように、固液分離部3の出口3Bに向けて規制部材64を加圧する付勢手段が流体圧シリンダを具備している固液分離装置にも、図1乃至図11に示した各構成が採用される。
【0119】
以上、多数の固定板28と多数の可動板29とを有し、スクリュー21の回転により可動板29を作動させる固液分離部3を備えた固液分離装置を説明したが、本発明は、他の適宜な形式の固液分離部を備えた固液分離装置にも広く適用できるものである。例えば、可動板をスクリューによってではなく、独立した駆動装置により駆動する形式の固液分離装置、隣り合う固定板の間に複数の可動板を設けた固液分離装置、多数の可動板を有してはいるが、固定板は有していない固液分離装置、円筒体の周壁に濾液排出部としての多数の濾液排出孔が形成された固液分離装置などにも本発明を支障なく適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】固液分離装置の全体的な構成を示す部分断面説明図である。
【図2】装置本体の部分断面正面図である。
【図3】隣り合う固定板と、その両固定板の間に配置された可動板などを示す装置本体の分解斜視図である。
【図4】固液分離部の縦断面図である。
【図5】固定板と、可動板と、スペーサと、ステーボルトの配置状態を示す説明図である。
【図6】出力軸とスクリューの軸の連結に関する構成を示す斜視図である。
【図7】図2に示した規制部材と、加圧ばねと、これに関連する構成の拡大断面図である。
【図8】圧力検知装置を有する固液分離装置の一部を示す部分断面図である。
【図9】荷重検知装置を有する固液分離装置の一部を示す部分断面図である。
【図10】含水率計を有する固液分離装置の一部を示す部分断面図である。
【図11】固液分離装置の他の例を示す部分断面説明図である。
【図12】容器の他の例を示す断面図である。
【図13】流体圧シリンダを具備する付勢手段を備えた固液分離装置の一部を示す断面図である。
【図14】他の形態の流体圧シリンダを具備する付勢手段を備えた固液分離装置の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0121】
3 固液分離部
3A 出口
12 モータ
21 スクリュー
41 軸
52 容器
54 濃度検知槽
55 混和槽
57 処理対象物ポンプ
58 凝集剤ポンプ
59 撹拌装置
64 規制部材
70 間隔検知装置
80 圧力検知装置
81 荷重検知装置
83,183 濃度検知装置
85 流体圧シリンダ
86 シリンダ本体
87 ピストン
88 ピストンロッド
EA 出口近傍領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固液分離部に配置された少なくとも1つのスクリューを回転駆動して、該固液分離部に入り込んだ処理対象物を固液分離部の出口へ向けて移動させながら、その処理対象物から分離された濾液を、前記固液分離部の濾液排出部を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を前記出口から固液分離部外に排出させる固液分離装置であって、前記固液分離部の出口に対向して配置されていると共に、該出口に対して接近又は離隔可能に支持されている規制部材と、該規制部材を前記固液分離部の出口に向けて加圧する付勢手段とを有する固液分離装置において、
前記固液分離部の出口から排出された処理対象物の含液率が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値となるように、前記スクリューの回転数を制御するスクリュー制御手段を設けたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
前記固液分離部の出口と規制部材との間の間隔を検知する間隔検知装置を有し、前記スクリュー制御手段は、前記間隔検知装置による検知結果に基づいて、前記間隔が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、前記スクリューの回転数を制御する請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
前記固液分離部内の出口近傍領域に存する処理対象物の圧力を検知する圧力検知装置を有し、前記スクリュー制御手段は、前記圧力検知装置による検知結果に基づいて、前記圧力が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、前記スクリューの回転数を制御する請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項4】
前記規制部材が前記固液分離部の出口から排出される処理対象物によって受ける荷重を検知する荷重検知装置を有し、前記スクリュー制御手段は、前記荷重検知装置による検知結果に基づいて、前記荷重が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、前記スクリューの回転数を制御する請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記固液分離部の出口から排出された処理対象物の含液率を検知する含液率検知装置を有し、前記スクリュー制御手段は、前記含液率検知装置による検知結果に基づいて、前記固液分離部の出口から排出された処理対象物の含液率が予め決められた一定の値又は一定の範囲内の値に維持されるように、前記スクリューの回転数を制御する請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項6】
前記固液分離部に送られる前の処理対象物が流入する容器と、該容器に処理対象物を圧送する処理対象物ポンプと、前記容器内の処理対象物の液面レベルを検知するレベル検知装置と、該レベル検知装置による検知結果に基づいて、前記液面レベルが一定となるように、前記処理対象物ポンプを制御する処理対象物ポンプ用の制御手段とを有する請求項1乃至5のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項7】
前記容器は、固液分離部に送られる前の処理対象物が流入する濃度検知槽と、該濃度検知槽に連通していて、当該濃度検知槽からの処理対象物と凝集剤とが送り込まれる混和槽とを具備していて、該混和槽に送り込まれた処理対象物と凝集剤とを撹拌する撹拌装置と、前記混和槽に凝集剤を圧送する凝集剤ポンプと、前記濃度検知槽内の処理対象物の固形分濃度を検知する濃度検知装置と、該濃度検知装置による検知結果と、前記レベル検知装置による検知結果に基づいて得られた、混和槽に送り込まれる処理対象物の適正な流量の値とに基づいて、処理対象物に対する凝集剤の添加率が適正な範囲となるように、前記凝集剤ポンプを制御する凝集剤ポンプ用の制御手段とを有している請求項6に記載の固液分離装置。
【請求項8】
前記容器は、処理対象物と凝集剤とが送り込まれる混和槽を具備していて、該混和槽に送り込まれた処理対象物と凝集剤とを撹拌する撹拌装置と、前記混和槽に凝集剤を圧送する凝集剤ポンプと、前記混和槽に送られる処理対象物の固形分濃度を検知する濃度検知装置と、該濃度検知装置による検知結果と、前記レベル検知装置による検知結果に基づいて得られた、混和槽に送り込まれる処理対象物の適正な流量の値とに基づいて、処理対象物に対する凝集剤の添加率が適正な範囲となるように、前記凝集剤ポンプを制御する凝集剤ポンプ用の制御手段とを有している請求項6に記載の固液分離装置。
【請求項9】
前記付勢手段は、前記規制部材を加圧する流体圧シリンダを具備している請求項1乃至8のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項10】
前記流体圧シリンダは、内部が中空なシリンダ本体と、該シリンダ本体内にその軸線方向に摺動可能に配置されたピストンと、ピストンに固定されたピストンロッドとを有し、前記スクリューの軸は、前記シリンダ本体とピストンロッドとピストンに対して回転可能であると共に、該シリンダ本体とピストンロッドとピストンを貫通して延びていて、前記シリンダ本体内に供給された作動流体によりピストンが加圧され、これにより規制部材が固液分離部の出口に向けて付勢される請求項9に記載の固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−297704(P2009−297704A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305117(P2008−305117)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【特許番号】特許第4321876号(P4321876)
【特許公報発行日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(591007022)アムコン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】