圧力センサおよびデータ入力装置
【課題】 容量変化を利用する圧力センサとしても圧力が印加された位置の検出を容易に行う。
【解決手段】 円形の可動電極11と円形のプリント基板14の一面に形成された第1分割電極15a〜第4分割電極15dとの間に、スペーサとなる両面テープ13を介在させてわずかなギャップで対向させる。スティック100でパッド10を叩いた際に、可動電極11と叩いた位置における第1分割電極15a〜第4分割電極15dとのギャップが変化して、その間の容量が変化して叩いた位置における第1分割電極15a〜第4分割電極15dから信号が出力される。第1分割電極15a〜第4分割電極15dから出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された分割電極の位置情報が、可動電極11における打撃位置の位置情報となる。
【解決手段】 円形の可動電極11と円形のプリント基板14の一面に形成された第1分割電極15a〜第4分割電極15dとの間に、スペーサとなる両面テープ13を介在させてわずかなギャップで対向させる。スティック100でパッド10を叩いた際に、可動電極11と叩いた位置における第1分割電極15a〜第4分割電極15dとのギャップが変化して、その間の容量が変化して叩いた位置における第1分割電極15a〜第4分割電極15dから信号が出力される。第1分割電極15a〜第4分割電極15dから出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された分割電極の位置情報が、可動電極11における打撃位置の位置情報となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作情報を入力可能な圧力センサおよびデータ入力装置に関し、演奏情報を入力する演奏情報入力装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子打楽器に用いられている圧力センサの一例の構成を示す断面図を図20に示す。図20に示す圧力センサ200は、最下層にフィルム等によって円形に形成した絶縁体210を有し、その上面にカーボン等からなる円形の抵抗面211が張り合わされている。この抵抗面211の円周部には環状の電極213が設けられている。また、この抵抗面211の中心にも電極212が設けられている。この抵抗面211と間隔を隔てて上方に円形の感圧抵抗素子215が設けられている。この間隔を隔てるために、抵抗面211と感圧抵抗素子215との間に環状のスペーサ214が設けられている。感圧抵抗素子215の上面には、円形の電極216が張り合わされている。この電極216の上面には、可撓性のあるフィルムからなる円形の打面217が張り合わされている。このように構成された圧力センサ200の打面217をスティックで打撃すると、打撃位置に対応する打面217、電極216及び感圧抵抗素子215が撓み、感圧抵抗素子215が抵抗面211に接触する。
【0003】
電極212,電極213および電極316の間の等価回路を図21に示すが、等価回路において抵抗値R1は感圧抵抗素子215の抵抗値である。また、抵抗値R2と抵抗値R3は抵抗面211の抵抗値であり、抵抗値R2と抵抗値R3の接点dが感圧抵抗素子215が撓み接触する打撃位置となる。すなわち、スティックの打撃強度に応じて感圧抵抗素子215の抵抗値R1が変化し、打撃位置によって電極212、213間に構成される抵抗値R2と抵抗値R3の比率が変化する。そこで、このような抵抗値R1、R2、R3の変化を検出するために、電極212、213、216は強さ位置分離回路220に接続されている。強さ位置分離回路220においては、電極212と電極213に固定値の抵抗がそれぞれ接続されてブリッジ回路が構成され、このブリッジ回路と電極216間に定電流源が接続される。そして、電極213における電圧を測定することにより打撃位置を検出し、ブリッジ回路と電極216間における電圧を測定することにより打撃強度を検出するようにしている。
そして、検出された打撃位置と打撃強度の情報に基づいて図示しない音源を制御して、打撃強度及び打撃位置に応じた楽音を発生させる。この楽音は増幅されてスピーカより拡声される。
【特許文献1】特許第2944042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、抵抗値変化で演奏情報を入力する従来の圧力センサにおいては、導電率の均一な抵抗面211をつくるのが容易でないため、打撃位置の検出精度を高めることができない。また、複数の電極の電圧値から演奏情報とされる打撃強度と打撃位置の情報を検出する処理に時間がかかるようになることから反応速度が遅くなり、このため、高速でスティックが打面217を繰り返し叩いた際に追従できないおそれが生じる。さらに、広い面積を持つ高価な感圧抵抗素子215が必要であるため、材料費が高価になってしまう。さらにまた、同時に打面217の2箇所以上に打撃力が加えられた場合に対応することができない。
ところで、抵抗値変化に替えて容量の変化を利用した圧力センサが考えられる。容量変化を利用する圧力センサにおいては、抵抗面や感圧抵抗素子を不要とすることができる。また、打撃強度と打撃位置の情報を検出する方法が抵抗値変化で演奏情報を入力する場合と原理的に異なることから、上記した抵抗値変化で演奏情報を入力する従来の圧力センサの問題点を解消することができる。なお、容量変化を利用する圧力センサにおける利用する容量は、電極を対向させることにより生じた容量とされ、演奏情報を入力した際に電極間のギャップが変化することにより容量が変化するようになる。しかしながら、このような容量変化を利用する圧力センサでは、容量変化は打撃位置によらず同様となることから打撃位置の検出が困難になるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、容量変化を利用して操作情報や演奏情報を入力する圧力センサとしても、圧力が印加された位置の検出を容易に行うことができる圧力センサおよびデータ入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の圧力センサおよびデータ入力装置は、面状の可動電極と、該可動電極と所定の間隔を隔てて対向するよう配設され、複数の分割電極を有している面状の固定電極とを備え、可動電極に圧力が印加された際に、複数の分割電極から出力される信号が合算されて出力信号として出力されると共に、複数の分割電極から出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された分割電極の位置情報が、可動電極における加力された位置情報として出力されることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、面状の可動電極と、該可動電極と所定の間隔を隔てて対向するよう配設され、複数の分割電極を有している面状の固定電極とを備えていることから、可動電極に圧力が印加された際に、複数の分割電極から出力される信号を合算することにより出力信号を得ることができると共に、複数の分割電極から出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された分割電極を検出することにより、可動電極における加力された位置を検出することができるようになる。また、分割電極に隣接する分割電極からもそれぞれ信号が出力される場合は、2つの分割電極から出力される2つの信号のレベルに応じて2つの分割電極間の境界における位置を算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明にかかる圧力センサは、ゲーム機やゲーム機に接続されるコントローラ等の操作情報を入力する本発明にかかる入力装置に適用することができると共に、電子ドラム等の電子打楽器の演奏情報入力装置に適用することができる。本発明にかかる圧力センサを適用した入力装置および演奏情報入力装置は、本発明にかかるデータ入力装置であり、演奏情報入力装置に適用できる本発明にかかる圧力センサを以下に説明する。本発明の第1実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図を図1に、圧力センサの構成を示す斜視図を図2に、圧力センサの構成を示す分解組立図を図3に示す。
これらの図に示す第1実施例の圧力センサ1は、電子ドラム等の電子打楽器に適用して好適な演奏情報入力装置である。第1実施例の圧力センサ1は上面にスティック100等で叩かれる打面を形成する円板状のパッド10が配置されている。パッド10を独立気泡が含まれる発泡性樹脂により形成することによりアコースティックなドラムを叩いたときと同じ様な感触を得ることができる。パッド10の下面には、可動電極11が上面に形成された薄い円形とされた面状の樹脂フィルム12が貼着されている。絶縁性の樹脂フィルム12の材質は、例えばPET(Polyethylene Terephthalate)とされ、可動電極11が樹脂フィルム12の上面の全面に蒸着等により形成されている。
【0009】
樹脂フィルム12と固定電極15が形成されている円形とされた面状のプリント基板14とは、円形の薄い両面テープ13により貼着されている。この場合、図4に示すように円形の両面テープ13には、矩形とされた矩形状切欠13aが縦横に整列して所定のピッチで設けられている。また、矩形状切欠13aを同心円状に整列して所定のピッチで設けるようにしても良い。この両面テープ13の上面は樹脂フィルム12の下面に貼着されており、両面テープ13の下面はプリント基板14の固定電極15が形成されている上面に貼着されている。プリント基板14はガラスエポキシ基板等の絶縁性の基板とされ、図3および後述する図5に示すように第1分割電極15a、第2分割電極15b、第3分割電極15c、第4分割電極15dの4つのリング状に分割されている電極が固定電極15としてプリントあるいはエッチングにより一面に同心円状に形成されている。プリント基板14には、第1分割電極15a〜第4分割電極15dからそれぞれ信号を出力する端子部14aが設けられている。なお、プリント基板14に設けられるリング状の固定電極15の分割数は4分割に限るものではなく、5以上に分割して設けるようにしても良い。
【0010】
そして、プリント基板14の裏面に例えば金属製とされた導電性のシールド電極16が貼着されている。これにより、固定電極15は、シールド電極16と可動電極11とに挟まれる構造とされていると共にシールド電極16および可動電極11がアースされていることから、この両電極により固定電極15はシールドされることになる。これにより、圧力センサ1に手等を近づけても第1分割電極15a〜第4分割電極15dからなる固定電極15から信号が出力されることはなく、外乱に強い圧力センサ1とすることができる。また、両面テープ13は、可動電極11と固定電極15とをわずかなギャップを介して対向させるためのギャップを形成するスペーサとして機能している。さらに、可動電極11と第1分割電極15a〜第4分割電極15dのそれぞれの固定電極15との間には静電容量が生じている。寸法の一例を挙げると、圧力センサ1の外径は約240mmとされ、樹脂フィルム12の厚さは約10μmとされ、両面テープ13の厚さは約170μmとされる。また、両面テープ13には約8mm角の矩形状切欠13aが、隣接する矩形状切欠13aの中心の間隔が約10mmのピッチで設けられている。すなわち、両面テープ13は矩形状切欠13aの周囲に約2mmの幅のラインだけが残された構成とされている。なお、各図に示す圧力センサ1のスケールは理解しやすいように厚さ(高さ)方向が実寸より誇張されたスケールで示されている。
【0011】
このように構成された第1実施例の圧力センサ1において、パッド10をスティック100により叩くと打撃を受けた部位のパッド10が下方に撓むよう変位し、パッド10が撓むことにより柔軟な樹脂フィルム12上に形成されている可動電極11も下方へ変位して撓むようになる。撓んだ可動電極11の部位は両面テープ13に開けられている矩形状切欠13a内に進入し、撓んだ可動電極11の部位と固定電極15の内の対応する第1分割電極15a〜第4分割電極15dとのギャップが狭くなる。この場合の最小ギャップは、樹脂フィルム12の厚さである約10μmと極めて狭くなり、可動電極11と固定電極15とのギャップが約10μmとなっても樹脂フィルム12が両電極間に介在しているため両電極間の絶縁状態は維持されるようになる。このように、撓んだ可動電極11と第1分割電極15a〜第4分割電極15dの内のいずれかの固定電極15とのギャップが狭くなることにより、可動電極11とのギャップが狭くなった第1分割電極15a〜第4分割電極15dとの間の静電容量が変化して、変化した静電容量に応じた出力が端子部14aにおける対応する第1分割電極15a〜第4分割電極15dの端子から出力されるようになる。
【0012】
この場合の可動電極11の撓みの大きさは、スティック100によりパッド10を叩いた打撃強度にほぼ比例し、撓みの大きさに応じて可動電極11と第1分割電極15a〜第4分割電極15dとのギャップが狭くなる。このことから、第1分割電極15a〜第4分割電極15dからの出力は、スティック100によりパッド10を叩いた打撃強度に対応するレベルの出力となる。そして、可動電極11と第1分割電極15a〜第4分割電極15dとの最小ギャップは極めて狭い約10μmまで狭くすることができると共に、固定電極15はシールドされて外乱の影響と受けにくいことからダイナミックレンジを大きくすることができる。また、スティック100によりパッド10を叩いた打撃位置に対応する第1分割電極15a〜第4分割電極15dからだけ打撃強度に応じた信号が出力されることから、信号が出力される第1分割電極15a〜第4分割電極15dを検出することにより、打撃位置も検出することができるようになる。
【0013】
このように構成された第1実施例の圧力センサ1を電子打楽器に適用した際の構成を示すブロック図を図5に示す。
図5に示す電子打楽器2においては、圧力センサ1についてはプリント基板14のみを示している。プリント基板14の一面にリング状に形成されている固定電極15を構成する第1分割電極15a〜第4分割電極15dのそれぞれからラインが端子部14aまで延伸されている。端子部14aにおいて第1分割電極15aから延伸されたラインは抵抗R1を介して電源+Vに接続されると共に第1アンプA1に接続され、第2分割電極15bから延伸されたラインは抵抗R2を介して電源+Vに接続されると共に第2アンプA2に接続され、第3分割電極15cから延伸されたラインは抵抗R3を介して電源+Vに接続されると共に第3アンプA3に接続され、第4分割電極15dから延伸されたラインは抵抗R4を介して電源+Vに接続されると共に第4アンプA4に接続されている。このように、第1分割電極15a〜第4分割電極15dは抵抗R1ないし抵抗R4により電源+Vにプルアップされていることから、第1分割電極15a〜第4分割電極15dと可動電極11との間の静電容量が変化した際に、変化した容量に応じた電気信号が固定電極15から出力されるようになる。
【0014】
第1アンプA1ないし第4アンプA4により増幅された第1分割電極15a〜第4分割電極15dからそれぞれ出力された信号は、アナログ/ディジタル変換器(A/D)20によりそれぞれディジタル信号に変換される。CPU(Central Processing Unit)21は、A/D20から出力されるディジタル信号を処理することにより、圧力センサ1をスティック100で叩いた際の打撃強度と打撃位置とを検出している。第1分割電極15a〜第4分割電極15dにおける各リング状の分割電極の面積は等しく形成することが好適であるが、等しく形成することができない場合はこれを補正する補正テーブル21aをCPU21は備えている。これは、第1分割電極15a〜第4分割電極15dにおける分割電極の面積が等しくないと、同じ打撃力が加えられても小さい面積の分割電極では容量の変化率が大きくなり、大きい面積の分割電極では容量の変化率が小さくなって、出力される信号のレベルが異なるようになる。そこで、補正テーブル21aにより分割電極の面積の異なりを補正して同じ打撃力が加えられた際には分割電極の面積が異なっていても同じ打撃強度として検出されるようにしている。また、CPU21は第1分割電極15a〜第4分割電極15dから出力される信号のうちの最大レベルの信号を出力する分割電極を検出することにより、打撃位置を検出している。
【0015】
そして、CPU21は検出された打撃位置と打撃強度の情報を音源22に与えて、音源22は打撃位置に応じた音色の楽音波形データをメモリ22aから読み出して、打撃強度に応じたエンベロープを付与することにより楽音を発生させる。音源22には、音の種類別や音程別の楽音波形データがメモリ22aに記憶されている。なお、打撃位置と打撃強度の情報を音の種類、音の大きさ、音程、音質等のパラメータに自由に割り当てて楽音を発生させるようにしてもよい。これにより、アコースティックなドラムを叩いたときと同様の楽音が得られるようになる。この楽音はアンプ23により増幅されてスピーカ(SP)24から放音される。
【0016】
図5に示す電子打楽器2における回路部の等価回路を図6に示す。図6において、破線で囲った部位はプリント基板14の等価回路とされ、容量C1は可動電極11と第1分割電極15aとの間の容量であり、容量C2は可動電極11と第2分割電極15bとの間の容量であり、容量C3は可動電極11と第3分割電極15cとの間の容量であり、容量C4は可動電極11と第4分割電極15dとの間の容量である。定常状態においては、容量C1ないし容量C4にはそれぞれ直列に接続されている抵抗R1ないし抵抗R4により電源+Vから充電された状態とされている。ここで、スティック100によりパッド10が叩かれて、例えば容量C1の容量値が大きくなるよう変化したとする。すると、抵抗R1と容量C1との接続点の電位が下がり容量C1は抵抗R1を介して充電されていくようになる。この時の抵抗R1と容量C1との接続点の電位変化が信号として第1増幅器A1により増幅されてA/D20に供給されるようになる。この信号のレベルは容量C1の変化率にほぼ比例し、スティック100で強く叩くほど大きなレベルの信号が出力されるようになる。
【0017】
次に、電子打楽器2の構造の一例を示す断面図を図7に示す。
図7に示す電子打楽器2は電子ドラムの例であり、木製や金属製とされた円筒状の胴30の上部に圧力センサ1が配置されており、胴30の下部には円形の底板31が固着されている。胴30における内周面の上部にはいくつかのL型金具33が内向きに固着されており、L型金具33における内側に突出した部分がゴム等のリング状の緩衝材32に設けられた溝に嵌挿されて取り付けられている。この場合、リング状の緩衝材32の外側面のほぼ半ばに溝が形成されており、この溝内にL型金具33の突出した部分が嵌挿されている。また、圧力センサ1の最下層を構成しているシールド電極16は数mmの厚さの金属板とすることができ、このシールド電極16の下面にいくつかのZ型金具34がL型金具33に対応して固着されている。Z型金具34の外側を向いた下片により緩衝材32の下面が支持されて、この結果緩衝材32はL型金具33とZ型金具34とにより挟持されるようになる。胴30の上縁と圧力センサ1の下面とは若干の間隙を持って対向するよう支持されており、圧力センサ1をスティック100により叩いた際でも、圧力センサ1と胴30とは緩衝材32の作用により接触しないようにされている。逆に、胴30に与えられた何らかの衝撃も緩衝材32の作用により圧力センサ1に与えられることはない。なお、底板31は3脚等のドラムを支持する支持脚に取り付けることができる。
【0018】
次に、CPU21が検出する打撃位置と打撃強度の検出方法について図8を参照して説明する。
図8は圧力センサ1の一部を拡大して示す図であり、第1分割電極15aと第2分割電極15bとの境界の部分がスティック100により叩かれた態様が示されている。圧力センサ1のパッド10をスティック100によりA,B,C,D,Eの位置で叩いたとする。位置A,B,C,D,Eは第2分割電極15bから隣接する第1分割電極15aに至るまでの位置とされる。この時の叩かれて変形する可動電極11の第1分割電極15aおよび第2分割電極15b上の部位がa,b,c,d,eの範囲で示されている。変形する部位a,b,c,d,eは、頭が丸いスティック100で叩かれることからほぼ円形に拡がる範囲となる。ここで、位置Aおよび位置Bで叩いた場合は可動電極11が変形する部位a、bが第2分割電極15b上に限られることから、第2分割電極15bのみから信号が出力される。出力される信号のレベルは打撃強度に比例する。
【0019】
また、位置Cで叩かれて可動電極11が変形する部位cが第1分割電極15aと第2分割電極15bとのほぼ中央とされる場合は、第1分割電極15aおよび第2分割電極15bから信号が出力される。出力される信号のレベルは、変形する部位cにおける面積のほぼ半分ずつが第1分割電極15aおよび第2分割電極15bに対応することから打撃強度に比例する出力のほぼ半分ずつが出力される。さらに、位置Dおよび位置Eで叩いた場合は可動電極11が変形する部位d、eが第1分割電極15a上に限られることから、第1分割電極15aのみから信号が出力される。出力される信号のレベルは打撃強度に比例する。このことから、打撃位置を横軸に出力レベルを縦軸とすると図8の下段に示すグラフのように打撃位置に応じて第1分割電極15aおよび第2分割電極15bから出力される信号のレベルが変化するようになる。ただし、打撃位置が変化しても打撃強度は一定としている。
【0020】
このグラフに示されているように、位置Bから位置Dまでの間の位置で叩いた場合は、位置に応じたレベルの信号が第1分割電極15aおよび第2分割電極15bからそれぞれ出力されるようになる。すなわち、第1分割電極15aおよび第2分割電極15bから出力される信号のレベルを検出することで第1分割電極15aおよび第2分割電極15bのどの位置が叩かれたのかを精度良く検出することができるようになる。この時に、第1分割電極15aおよび第2分割電極15bの出力を合算することで打撃強度に応じたレベルの信号を得ることができる。これにより、第1分割電極15aと第2分割電極15bとの間に間隙があっても、間隙による不感帯が生じないようになる。
【0021】
以上説明した本発明の第1実施例の圧力センサ1においては、信号を出力する第1分割電極15aないし第4分割電極15dからなる固定電極15の上下が、アースされている可動電極11およびシールド電極16により挟まれているため、外乱を受けることを防止することができる。これにより、圧力センサ1の感度が高くなってダイナミックレンジが拡がることから演奏表現力を向上することができる。また、パッド10の上面に加えられた打撃力の強さと、それに応じてパッド10における底面の変形する量との関係はパッド10のどの場所であっても一定となることから、打撃力がパッド上面のどの場所に加えられた場合であってもその打撃力の強さと静電容量の変化量との関係はパッド10の場所によらず一定になる。さらに、第1分割電極15aないし第4分割電極15dから出力される信号のうちの最大レベルの信号を出力する分割電極を検出することにより、打撃位置を検出することができると共に、第1分割電極15aないし第4分割電極15dから出力される信号を合算することにより打撃強度を得ることができることから、打撃位置および打撃強度を得る処理を簡易化することができる。従って、圧力センサ1では反応速度が速くなり高速でパッド10が繰り返し叩かれてもその入力に追従した出力を得ることができる。さらに、パッド10の異なる位置が同時に叩かれても、叩かれた位置に対応する第1分割電極15aないし第4分割電極15dから出力をそれぞれ得ることができる。なお、固定電極15において分割電極の数を増やすことにより打撃位置の精度を向上することができる。
【0022】
次に、本発明の第2実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図を図9に、第2実施例の圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す平面図を図10に、第2実施例の圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す下面図を図11に示す。
これらの図に示す第2実施例の圧力センサ3は、電子ドラム等の電子打楽器に適用して好適な演奏情報入力装置である。第2実施例の圧力センサ3は上面にスティック100等で叩かれる打面を形成する円板状のパッド40が配置されている。パッド40を独立気泡が含まれる発泡性樹脂により形成することによりアコースティックなドラムを叩いたときと同じ様な感触を得ることができる。パッド40の下面には、第1可動電極41が上面の全面に形成された薄い円形とされた面状の樹脂フィルム42が貼着されている。絶縁性の樹脂フィルム42の材質は、例えばPETとされ、第1可動電極41が樹脂フィルム42の上面の全面に蒸着等により形成されている。
【0023】
この樹脂フィルム42と、第2可動電極47が表面に形成され、第3可動電極48が裏面に形成されている略円形とされた面状のプリントフィルム44とは、円形の薄い第1両面テープ43により貼着されている。この場合、第1両面テープ43には第1実施例における両面テープ13と同様に、矩形とされた矩形状切欠が縦横に整列して所定のピッチで設けられている。この矩形状切欠を、同心円状に整列して所定のピッチで設けるようにしても良い。この第1両面テープ43の上面は樹脂フィルム42の下面に貼着されており、第1両面テープ43の下面はプリントフィルム44の第2可動電極47が形成されている上面に貼着されている。プリントフィルム44は金属を蒸着することのできる絶縁性のフィルム基板49から構成される。図10に示すように、プリントフィルム44を構成するフィルム基板49の表面(上面)には図10に示すように第2可動電極47が蒸着やプリントにより形成されており、フィルム基板49の裏面(下面)には図11に示すように第3可動電極48が蒸着やプリントにより形成されている。第2可動電極47は、矩形パッチを繋げた中心から約90°ずつ4つに分割された分割電極47−1,47−2,47−3,47−4からなり、第3可動電極48は矩形パッチを繋げた中心から約90°ずつ4つに分割された分割電極48−1,48−2,48−3,48−4により構成されている。
【0024】
第2可動電極47を構成している分割電極47−1,47−2,47−3,47−4は、それぞれ矩形パッチを繋げて構成されている。また、第3可動電極48を構成している分割電極48−1,48−2,48−3,48−4も、それぞれ矩形パッチを繋げて構成されている。第2可動電極47を構成している矩形パッチと、第3可動電極48を構成している矩形パッチとは、大きさおよび配置されるピッチが異なっており、第3可動電極48を構成している矩形パッチの方が大きくされていると共にピッチも大きくなっている。分割電極47−1〜47−4からそれぞれ信号を出力する端子と、分割電極48−1〜48−4からそれぞれ信号を出力する端子が端子部44aの表面と裏面とに設けられている。第2可動電極47と第3可動電極48とにおいて、対応する位置の分割電極同士が電気的に接続されている。すなわち、分割電極47−1と分割電極48−1とが、分割電極47−2と分割電極48−2とが、分割電極47−3と分割電極48−3とが、分割電極47−4と分割電極48−4とが電気的に接続されている。この接続は、端子部44aにおいて対応する端子同士を接続したり、フィルム基板49にスルーホールを設けて接続すればよい。このようなプリントフィルム44の裏面と円板状に形成されたシールド電極46とは、円形の薄い第2両面テープ45により貼着されている。この場合、第2両面テープ45には第1実施例における両面テープ13と同様に、矩形とされた矩形状切欠が縦横に整列して設けられている。この矩形状切欠は、第1両面テープ43に設けられている矩形状切欠より小さいと共により小さなピッチで設けられている。この矩形状切欠を、同心円状に整列して所定のピッチで設けるようにしても良い。なお、シールド電極46の上面には第3可動電極48との短絡を防止するための絶縁層46aが設けられている。絶縁層46aは絶縁被膜や絶縁塗装等により形成される。
【0025】
このように、表面に第2可動電極47が形成され、裏面に第3可動電極48が形成されているプリントフィルム44は、シールド電極46と第1可動電極41とに挟まれる構造とされていると共に、シールド電極46および第1可動電極41がアースされていることから、この両電極により第2可動電極47および第3可動電極48はシールドされることになる。これにより、圧力センサ3に手等を近づけても第2可動電極47および第3可動電極48から信号が出力されることはなく、外乱に強い圧力センサ3とすることができる。また、第1両面テープ43は、第1可動電極41と第2可動電極47との間にギャップを形成するスペーサとして機能して第1容量手段が構成されており、第1可動電極41と第2可動電極47における分割電極47−1〜47−4のそれぞれの間には静電容量が生じている。さらに、第2両面テープ45は、第3可動電極48とシールド電極46との間にギャップを形成するスペーサとして機能して第2容量手段が構成されており、第3可動電極48における分割電極48−1〜48−4とシールド電極46のそれぞれの間には静電容量が生じている。
【0026】
この場合、例えば第1両面テープ43および第2両面テープ45の厚さは約170μmとされ、第1両面テープ43の矩形状切欠は第2両面テープ45の矩形状切欠より大きくされている。また、例えば第2可動電極47を構成している矩形パッチは約8mm角の矩形パッチが、隣接する矩形パッチの中心の間隔が約10mmのピッチで設けられ、第3可動電極48を構成している矩形パッチは約18mm角の矩形パッチが、隣接する矩形パッチの中心の間隔が約20mmのピッチで設けられている。このように、第1容量手段における第1両面テープ43の矩形状切欠が大きくされると共に第2可動電極47の矩形パッチが小さくされて、第1容量手段における印加された圧力に対する剛性が小さくされている。また、第2容量手段における第2両面テープ45の矩形状切欠が小さくされると共に第3可動電極48の矩形パッチが大きくされて、第2容量手段における印加された圧力に対する剛性が大きくされている。第1容量手段の剛性を第2容量手段の剛性より小さくしたことによる作用については後述する。なお、第2実施例の圧力センサ3の構成を示す図においては理解しやすいように厚さ(高さ)方向のスケールが実寸より誇張されたスケールで示されている。
【0027】
第2実施例の圧力センサ3におけるプリントフィルム44の他の構成例を図13ないし図15に示す。なお、図13は他の構成例のプリントフィルム54の表面の構成を示す平面図であり、図14は他の構成例のプリントフィルム54の裏面の構成を示す下面図であり、図15は他の構成例のプリントフィルム54の構成を示す側面図である。
これらの図に示すように、プリントフィルム54を構成しているフィルム基板59の表面にはリング状に分割された4つの分割電極57−1,57−2,57−3,57−4からなる第2可動電極57が形成されており、フィルム基板51の裏面にはリング状に分割された4つの分割電極58−1,58−2,58−3,58−4からなる第3可動電極58が蒸着またはプリントにより形成されている。分割電極57−1〜57−4と分割電極58−1〜58−4における対応するリング状の分割電極の形状は同形状とされており、図13のA部拡大図で示すように正方形の矩形パッチを繋いで形成されている。リング状の分割電極57−1〜57−4からそれぞれ信号を出力する端子と、リング状の分割電極58−1〜58−4からそれぞれ信号を出力する端子が端子部54aの表面と裏面とに設けられている。第2可動電極57と第3可動電極58とにおいて、対応する位置のリング状の分割電極同士が電気的に接続されている。すなわち、分割電極57−1と分割電極58−1とが、分割電極57−2と分割電極58−2とが、分割電極57−3と分割電極58−3とが、分割電極57−4と分割電極58−4とが電気的に接続されている。この接続は、端子部54aにおいて対応する端子同士を接続したり、フィルム基板59にスルーホールを設けて接続すればよい。分割電極57−1〜57−4および分割電極58−1〜58−4における各リング状の分割電極の面積は等しく形成することが好適とされているが、等しく形成することができない場合はこれを補正する上記した補正テーブルを処理部に備えるようにする。
【0028】
次に、本発明の第3実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図を図16に示す。
図16に示す第3実施例の圧力センサ4の外形の形状は円形や矩形とされ、上面にアースされた第1可動電極61が配置され、第1可動電極61は第1スペーサ62の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。第1スペーサ62の下面には出力電極とされる第2可動電極63が配置され、第2可動電極63は第2スペーサ64の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。第2スペーサ64の下面には例えば金属製とされた導電性のシールド電極65が貼着されている。シールド電極65は、第1可動電極61と同様にアースされている。なお、第1可動電極61が形成されている第1スペーサ62の下面は、第2可動電極63の上面と貼着されている。また、第1スペーサ62および第2スペーサ64は可撓性のエラストマーや多孔質の柔軟なスポンジ等から構成され、第1スペーサ62と第2スペーサ64との硬さを変えることができる。第3実施例の圧力センサ4においては、第1スペーサ62は軟質スペーサとされ、第2スペーサ64は第1スペーサ62より堅い硬質スペーサとされている。第3実施例の圧力センサ4においては、第1スペーサ62を介して対向する第1可動電極61と第2可動電極63とにより第1容量手段が構成され、第2スペーサ64を介して対向する第2可動電極63とシールド電極65とにより第2容量手段が構成されるようになる。そして、軟質スペーサとされた第1容量手段の剛性は小さくなり、硬質スペーサとされた第2容量手段の剛性は大きくなっている。
【0029】
このように構成された第3実施例の圧力センサ4において、図17に示すように圧力センサ4の上面にきわめて弱い圧力(音楽記号pppに相当する圧力)を印加した場合は、圧力が印加された第1可動電極61の部位がわずかに下方に撓み、これに伴い軟質スペーサとされた第1スペーサ62も下方へ撓むようになる。これにより、撓んだ第1可動電極61の部位と第2可動電極63とのギャップが狭くなる。このように、第1可動電極61と第2可動電極63との間隔が狭くなることにより、第1可動電極61と第2可動電極63との間の第1容量手段の静電容量が変化して、第1容量手段における静電容量の変化率に応じたレベルの出力が第2可動電極63から出力されるようになる。この場合、第2容量手段の静電容量は未だ変化しておらず、その出力もされていない。
【0030】
また、図18に示すように圧力センサ4の上面に弱い圧力(音楽記号pに相当する圧力)を印加した場合は、圧力が印加された第1可動電極61の部位がさらに下方に撓み、これに伴い第1スペーサ62も下方へ撓むようになる。この場合、撓んだ第1可動電極61の部位と第2可動電極63とのギャップは最小となる。このように、第1可動電極61と第2可動電極63との間隔が最小の間隔となることにより、第1容量手段における静電容量の変化率が最大となり、第1容量手段による最大レベルの出力が第2可動電極63から出力される。この出力は第1容量手段による出力であり、第1容量手段からの出力は飽和する。しかし、第2容量手段の静電容量は未だ変化しておらず、その出力もされていない。
【0031】
さらに、図19に示すように圧力センサ4の上面に強い圧力(音楽記号fに相当する圧力)を印加した場合は、圧力が印加された第1可動電極61の部位がさらに深く下方に撓み、これに伴い第1スペーサ62も下方へ撓むようになる。この場合、第1可動電極61の部位と第2可動電極63とのギャップが最小となっても、さらに撓むことから、第2可動電極63の部位も下方に撓み、これに伴い硬質スペーサとされた第2スペーサ64も下方へ撓むようになる。これにより、第1容量手段による最大レベルの出力が第2可動電極63から出力されるが、撓んだ第2可動電極63の部位とシールド電極65とのギャップが狭くなったことにより変化した第2容量手段の静電容量の変化率に応じたレベルの出力が加算されて第2可動電極63から出力されるようになる。
【0032】
さらにまた、図20に示すように圧力センサ4の上面にきわめて強い圧力(音楽記号fffに相当する圧力)を印加した場合は、圧力が印加された第1可動電極61の部位がさらにより深く下方に撓み、これに伴い第1スペーサ62もより深く下方へ撓むようになる。この場合、第1可動電極61の部位と第2可動電極63とのギャップが最小となっても、さらに深く撓むことから、第2可動電極63の部位も深く下方に撓み、これに伴い硬質スペーサとされた第2スペーサ64も下方へ深く撓むようになる。この場合、撓んだ第2可動電極63の部位とシールド電極65とのギャップも最小となる。このように、第2可動電極63とシールド電極65との間隔が最小の間隔となることにより、第2容量手段における静電容量の変化率が最大となり、第2容量手段による最大レベルの出力が第2可動電極63から出力される。すなわち、第2容量手段からの出力も飽和するようになる。この場合、第1容量手段からの出力も飽和していることから、第1容量手段による最大レベルの出力に、第2容量手段による最大レベルの出力が加算されて第2可動電極63から出力されるようになる。
【0033】
ここで、第3実施例の圧力センサ4における印加された圧力に対する出力特性を図21に示す。図21において、破線で示す出力特性は第1容量手段の出力特性であり、第1スペーサ62が軟質スペーサとされて剛性が小さくされていることから、きわめて弱い圧力が印加されても大きな出力が得られ感度が高くなる。しかし、弱い圧力が印加されても出力が飽和してしまうようになる。また、一点鎖線で示す出力特性は第2容量手段の出力特性であり、第2スペーサ64が硬質スペーサとされて剛性が大きくされていることから、きわめて弱い圧力からきわめて強い圧力まで印加されても、印加された圧力に対してほぼリニアな出力が得られる。しかし、感度は低くなる。そして、実線で示す出力特性は第1容量手段および第2容量手段を備える第3実施例の圧力センサ4の出力特性であり、第1容量手段の出力と第2容量手段の出力特性を合わせ持つ出力特性とされる。すなわち、圧力センサ4では、きわめて弱い圧力が印加されても大きな出力が得られ感度が高いにもかかわらず、きわめて弱い圧力からきわめて強い圧力まで印加されても、出力は飽和せずに印加された圧力に応じた出力を得ることができるようになる。すなわち、ダイナミックレンジをさらに大きくした高感度の圧力センサとすることができる。しかも、出力電極である第2可動電極63は、アースされた第1可動電極61とシールド電極65とに挟まれているため、感度を高くしても外乱を受けることを防止することができる。
【0034】
なお、前述したように第2実施例の圧力センサ3においても第1容量手段の剛性を第2容量手段の剛性より小さくしており、第3実施例の圧力センサ4と同様の圧力−出力特性を得ることができる。すなわち、圧力センサ3でも、圧力センサ4と同様にきわめて弱い圧力が印加されても大きな出力が得られ感度が高いにもかかわらず、きわめて弱い圧力からきわめて強い圧力まで印加されても、出力は飽和せずに印加された圧力に応じた出力を得ることができるようになる。このように、圧力センサ3でも、ダイナミックレンジをさらに大きくした高感度の圧力センサとすることができる。しかも、出力電極である第2可動電極47および第3可動電極48は、アースされた第1可動電極41とシールド電極46とに挟まれているため、感度を高くしても外乱を受けることを防止することができる。
なお、第2実施例の圧力センサ3あるいは第3実施例の圧力センサ4を電子ドラム等の電子打楽器の演奏情報入力装置に適用した場合は、打撃強度に応じた第1容量手段および第2容量手段の変化を利用していることから、出力信号のダイナミックレンジをより大きくすることができ、より演奏表現力を向上することができる。
【0035】
また、第2実施例の圧力センサ3を電子打楽器に適用した際の構成は、前記図5に示す構成とほぼ同様になる。また、圧力センサ3においては端子部44aには表面に4つ裏面に4つの出力端子が設けられているが、第2可動電極47および第3可動電極48においては対応する位置の分割電極同士が並列接続されているので、4つのアンプと4つのプルアップ抵抗だけでよいことになる。また、A/D変換器は4つの入力信号をディジタル信号に変換して並列接続されている分割電極47−1〜47−4および分割電極48−1〜48−4から出力される信号のうちの最大レベルの出力を検出することにより、打撃位置を検出する。この場合、打撃位置が2つの電極の境界部分にかかる場合でも、前述した図8に示すとおり精度良く検出することができる。また、第2可動電極47および第3可動電極48の全ての分割電極から出力される信号を加算することにより打撃強度に応じたレベルの信号を得ることができる。
第2実施例の圧力センサ3を電子打楽器に適用した際の構造は、圧力センサ1が圧力センサ3に置き換わるだけで図7に示す構造とほぼ同様となる。また、第2可動電極47および第3可動電極48における分割電極毎に異なる楽器を割り当てて、圧力センサ3により、複数の楽器の演奏情報を入力するようにしても良い。
【0036】
次に、第3実施例の圧力センサ4は、第2実施例の圧力センサ3と同様に2つの出力電極を備えるようにしてもよい。2つの出力電極を備える変形例である圧力センサ5の構成を断面図で示す正面図を図22に示す。
図22に示す圧力センサ5は、上面にアースされた第1可動電極61が配置され、第1可動電極61は第1スペーサ62の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。第1スペーサ62の下面には出力電極とされる第2可動電極63が配置され、第2可動電極63はプリントフィルム66の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。プリントフィルム66は、例えばPET等の樹脂フィルムとされており、下面の全面に貼着あるいは蒸着等により第3可動電極67が形成されている。第3可動電極67の下面には、第2スペーサ64の上面が貼着されており、第2スペーサ64の下面には例えば金属製とされた導電性のシールド電極65が貼着されている。シールド電極65は、第1可動電極61と同様にアースされている。
【0037】
また、第1スペーサ62および第2スペーサ64は可撓性のエラストマーや多孔質の柔軟なスポンジ等から構成され、第1スペーサ62と第2スペーサ64との硬さを変えることができる。第3実施例の変形例の圧力センサ5においても、第1スペーサ62は軟質スペーサとされ、第2スペーサ64は第1スペーサ62より堅い硬質スペーサとされている。第3実施例の変形例の圧力センサ5においては、第1スペーサ62を介して対向する第1可動電極61と第2可動電極63とにより第1容量手段が構成され、第2スペーサ64を介して対向する第3可動電極67とシールド電極65とにより第2容量手段が構成されるようになる。そして、軟質スペーサとされた第1容量手段の剛性は小さくなり、硬質スペーサとされた第2容量手段の剛性は大きくなっている。
このように構成された第3実施例の変形例の圧力センサ5においても、第3実施例の圧力センサ4と同様の図21の実線で示す圧力−出力特性を得ることができる。従って、圧力センサ5でも、ダイナミックレンジをさらに大きくした高感度の圧力センサとすることができる。しかも、出力電極である第2可動電極63および第3可動電極67は、アースされた第1可動電極61とシールド電極65とに挟まれているため、感度を高くしても外乱を受けることを防止することができる。
【0038】
次に、第3実施例の圧力センサ4とほぼ同様の構成を備え、圧力を印加した位置を検出することのできる第4実施例の圧力センサ6の構成を断面図で示す正面図を図23に、第4実施例の圧力センサ6にかかる第2スペーサ74の構成を示す平面図を図24に示す。
これらの図に示す第4実施例の圧力センサ6は、上面にアースされた第1可動電極71が配置され、第1可動電極71は第1スペーサ72の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。第1スペーサ72の下面には出力電極とされる第2可動電極73が配置されている。この第2可動電極73は、第2スペーサ74の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されているマトリクス状に配置されたパッチ電極とされている。例えば、第2可動電極73は4×4の16個のパッチ電極m11,m12,m13,・・・,m44から構成されており、それぞれのパッチ電極m11〜m44からの端子が8本ずつ第2スペーサ74の左側と右側から引き出されている。すなわち、図24に示すように第2スペーサ74の左側に端子c11,c12,c21,・・・,c42が設けられ、第2スペーサ74の右側に端子c14,c13,c24,・・・,c43が設けられている。
【0039】
第2スペーサ74の下面には例えば金属製とされた導電性のシールド電極75が貼着されている。シールド電極75は、第1可動電極71と同様にアースされている。なお、第1可動電極71が形成されている第1スペーサ72の下面は、第2可動電極73の上面と貼着されている。また、第1スペーサ72および第2スペーサ74は可撓性のエラストマーや多孔質の柔軟なスポンジ等から構成され、第1スペーサ72と第2スペーサ74との硬さを変えることができる。第4実施例の圧力センサ6においても、第1スペーサ72は軟質スペーサとされ、第2スペーサ74は第1スペーサ72より堅い硬質スペーサとされている。第4実施例の圧力センサ6においては、第1スペーサ72を介して対向する第1可動電極71と第2可動電極73とにより第1容量手段が構成され、第2スペーサ74を介して対向する第2可動電極73とシールド電極75とにより第2容量手段が構成されるようになる。そして、軟質スペーサとされた第1容量手段の剛性は小さくなり、硬質スペーサとされた第2容量手段の剛性は大きくなる。
【0040】
このように構成された第4実施例の圧力センサ6が操作されて所定の位置に圧力が印加された際には、パッチ電極m11〜m44からの信号がそれぞれ出力される端子c11〜c44のうちから最大のレベルが出力される端子を検出する。この場合、圧力が印加された位置に対応して配置されているパッチ電極からは、他のパッチ電極より大きな出力が出力されることから、検出された端子が接続されているパッチ電極上の位置が操作された位置を検出することができる。また、全ての端子c11〜c44の出力を加算して出力することにより、印加された圧力に対応するレベルの出力を得ることができる。なお、パッチ電極間の位置に圧力が印加された際には、図8を参照して説明した手法を用いることによりパッチ電極間のどの位置に圧力が印加されたかを検出することができる。また、第4実施例の圧力センサ6においても、第3実施例の圧力センサ4と同様の図21の実線で示す圧力−出力特性を得ることができる。従って、第4実施例の圧力センサ6でも、ダイナミックレンジをさらに大きくした高感度の圧力センサとすることができる。しかも、出力電極である第2可動電極73は、アースされた第1可動電極71とシールド電極75とに挟まれているため、感度を高くしても外乱を受けることを防止することができる。なお、第4実施例の圧力センサ6を電子ドラム等の電子打楽器の演奏情報入力装置に適用した場合においては、打撃された位置を検出することができると共に打撃力に対応する出力を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明した本発明にかかる圧力センサは、上述したように容量手段を1つあるいは2つ備えているが、可動電極を増やすことにより3つ以上の容量手段を備える圧力センサとしてもよい。また、容量手段は印加された圧力に応じて撓む可動電極を備えていることから、本発明にかかる圧力センサを用いる本発明にかかるデータ入力装置がゲーム機やゲーム機に接続されるコントローラの入力装置に適用された場合は、可動電極が指等で押された際の押圧力に応じた操作出力を得ることができる。さらに、本発明にかかる圧力センサを用いるデータ入力装置が電子ドラム等の電子打楽器の演奏情報入力装置に適用された場合は、可動電極が叩かれた際の打撃力に応じた演奏操作出力を得ることができる。なお、圧力センサの上面を保護するカバーやパッドを圧力センサの上面に設けるようにしてもよい。
さらにまた、分割電極をリング状の形状で分割する場合は、その分割数は任意の数とすることができ、分割数を増やすことにより打撃位置の精度を向上することができる。そして、中心点から所定の角度範囲で分割する場合も、任意の角度範囲で任意の分割数に分割することができる。
さらにまた、本発明にかかる圧力センサおよびデータ入力装置においては、分割されている分割電極毎に異なる楽器を割り当てるようにしても良い。これにより、マルチパッドを実現することができる。
さらにまた、本発明にかかる圧力センサおよびデータ入力装置の形状は、円形に限るものではなく矩形としてもよいものである。圧力センサの形状を矩形とすることによりゲーム機やゲーム機のコントローラ、および、マルチパッド等のデータ入力装置に適用しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図である。
【図2】本発明の第1実施例にかかる圧力センサの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す分解組立図である。
【図4】本発明の第1実施例にかかる圧力センサにおける両面テープの構成を示す平面図である。
【図5】本発明にかかる第1実施例の圧力センサを電子打楽器に適用した際の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明にかかる第1実施例の圧力センサを適用した電子打楽器における回路部の等価回路を示す図である。
【図7】本発明にかかる第1実施例の圧力センサを適用した電子打楽器の構造の一例を示す断面図である。
【図8】本発明の第1実施例にかかる圧力センサにおける打撃位置と打撃強度の検出方法を示す図である。
【図9】本発明の第2実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図である。
【図10】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す平面図である。
【図11】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す下面図である。
【図12】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す側面図である。
【図13】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおける他の構成のプリントフィルムの構成を示す平面図である。
【図14】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおける他の構成のプリントフィルムの構成を示す下面図である。
【図15】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおける他の構成のプリントフィルムの構成を示す側面図である。
【図16】本発明の第3実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図である。
【図17】本発明の第3実施例にかかる圧力センサにおいてきわめて弱い圧力が印加された際の態様を示す図である。
【図18】本発明の第3実施例にかかる圧力センサにおいて弱い圧力が印加された際の態様を示す図である。
【図19】本発明の第3実施例にかかる圧力センサにおいて強い圧力が印加された際の態様を示す図である。
【図20】本発明の第3実施例にかかる圧力センサにおいてきわめて強い圧力が印加された際の態様を示す図である。
【図21】本発明の第3実施例の圧力センサにおける印加された圧力に対する出力特性を示す図である。
【図22】本発明の第3実施例にかかる圧力センサの変形例の構成を断面図で示す正面図である。
【図23】本発明の第4実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図である。
【図24】本発明の第4実施例にかかる圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す平面図である。
【図25】従来の電子打楽器に用いられている圧力センサの一例の構成を示す断面図である。
【図26】従来の電子打楽器に用いられている圧力センサの等価回路を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 圧力センサ、2 電子打楽器、3 圧力センサ、4 圧力センサ、5 圧力センサ、6 圧力センサ、10 パッド、11 可動電極、12 樹脂フィルム、13 両面テープ、13a 矩形状切欠、14 プリント基板、14a 端子部、15 固定電極、15a 第1分割電極、15b 第2分割電極、15c 第3分割電極、15d 第4分割電極、16 シールド電極、20 A/D、21 CPU、21a 補正テーブル、22 音源、22a メモリ、23 アンプ、24 SP、30 胴、31 底板、32 緩衝材、33 L型金具、34 Z型金具、40 パッド、41 第1可動電極、42 樹脂フィルム、43 第1両面テープ、44 プリントフィルム、44a 端子部、45 第2両面テープ、46 シールド電極、46a 絶縁層、47 第2可動電極、47−1〜47−4 分割電極、48 第3可動電極、48−1〜48−4 分割電極、49 フィルム基板、51 フィルム基板、54 プリントフィルム、54a 端子部、57 第2可動電極、57−1〜57−4 分割電極、58 第3可動電極、58−1〜58−4 分割電極、59 フィルム基板、61 第1可動電極、62 第1スペーサ、63 第2可動電極、64 第2スペーサ、65 シールド電極、66 プリントフィルム、67 第3可動電極、71 第1可動電極、72 第1スペーサ、73 第2可動電極、74 第2スペーサ、75 シールド電極、100 スティック、200 圧力センサ、210 絶縁体、211 抵抗面、212 電極、213 電極、214 スペーサ、215 感圧抵抗素子、216 電極、217 打面、220 強さ位置分離回路
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作情報を入力可能な圧力センサおよびデータ入力装置に関し、演奏情報を入力する演奏情報入力装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子打楽器に用いられている圧力センサの一例の構成を示す断面図を図20に示す。図20に示す圧力センサ200は、最下層にフィルム等によって円形に形成した絶縁体210を有し、その上面にカーボン等からなる円形の抵抗面211が張り合わされている。この抵抗面211の円周部には環状の電極213が設けられている。また、この抵抗面211の中心にも電極212が設けられている。この抵抗面211と間隔を隔てて上方に円形の感圧抵抗素子215が設けられている。この間隔を隔てるために、抵抗面211と感圧抵抗素子215との間に環状のスペーサ214が設けられている。感圧抵抗素子215の上面には、円形の電極216が張り合わされている。この電極216の上面には、可撓性のあるフィルムからなる円形の打面217が張り合わされている。このように構成された圧力センサ200の打面217をスティックで打撃すると、打撃位置に対応する打面217、電極216及び感圧抵抗素子215が撓み、感圧抵抗素子215が抵抗面211に接触する。
【0003】
電極212,電極213および電極316の間の等価回路を図21に示すが、等価回路において抵抗値R1は感圧抵抗素子215の抵抗値である。また、抵抗値R2と抵抗値R3は抵抗面211の抵抗値であり、抵抗値R2と抵抗値R3の接点dが感圧抵抗素子215が撓み接触する打撃位置となる。すなわち、スティックの打撃強度に応じて感圧抵抗素子215の抵抗値R1が変化し、打撃位置によって電極212、213間に構成される抵抗値R2と抵抗値R3の比率が変化する。そこで、このような抵抗値R1、R2、R3の変化を検出するために、電極212、213、216は強さ位置分離回路220に接続されている。強さ位置分離回路220においては、電極212と電極213に固定値の抵抗がそれぞれ接続されてブリッジ回路が構成され、このブリッジ回路と電極216間に定電流源が接続される。そして、電極213における電圧を測定することにより打撃位置を検出し、ブリッジ回路と電極216間における電圧を測定することにより打撃強度を検出するようにしている。
そして、検出された打撃位置と打撃強度の情報に基づいて図示しない音源を制御して、打撃強度及び打撃位置に応じた楽音を発生させる。この楽音は増幅されてスピーカより拡声される。
【特許文献1】特許第2944042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、抵抗値変化で演奏情報を入力する従来の圧力センサにおいては、導電率の均一な抵抗面211をつくるのが容易でないため、打撃位置の検出精度を高めることができない。また、複数の電極の電圧値から演奏情報とされる打撃強度と打撃位置の情報を検出する処理に時間がかかるようになることから反応速度が遅くなり、このため、高速でスティックが打面217を繰り返し叩いた際に追従できないおそれが生じる。さらに、広い面積を持つ高価な感圧抵抗素子215が必要であるため、材料費が高価になってしまう。さらにまた、同時に打面217の2箇所以上に打撃力が加えられた場合に対応することができない。
ところで、抵抗値変化に替えて容量の変化を利用した圧力センサが考えられる。容量変化を利用する圧力センサにおいては、抵抗面や感圧抵抗素子を不要とすることができる。また、打撃強度と打撃位置の情報を検出する方法が抵抗値変化で演奏情報を入力する場合と原理的に異なることから、上記した抵抗値変化で演奏情報を入力する従来の圧力センサの問題点を解消することができる。なお、容量変化を利用する圧力センサにおける利用する容量は、電極を対向させることにより生じた容量とされ、演奏情報を入力した際に電極間のギャップが変化することにより容量が変化するようになる。しかしながら、このような容量変化を利用する圧力センサでは、容量変化は打撃位置によらず同様となることから打撃位置の検出が困難になるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、容量変化を利用して操作情報や演奏情報を入力する圧力センサとしても、圧力が印加された位置の検出を容易に行うことができる圧力センサおよびデータ入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の圧力センサおよびデータ入力装置は、面状の可動電極と、該可動電極と所定の間隔を隔てて対向するよう配設され、複数の分割電極を有している面状の固定電極とを備え、可動電極に圧力が印加された際に、複数の分割電極から出力される信号が合算されて出力信号として出力されると共に、複数の分割電極から出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された分割電極の位置情報が、可動電極における加力された位置情報として出力されることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、面状の可動電極と、該可動電極と所定の間隔を隔てて対向するよう配設され、複数の分割電極を有している面状の固定電極とを備えていることから、可動電極に圧力が印加された際に、複数の分割電極から出力される信号を合算することにより出力信号を得ることができると共に、複数の分割電極から出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された分割電極を検出することにより、可動電極における加力された位置を検出することができるようになる。また、分割電極に隣接する分割電極からもそれぞれ信号が出力される場合は、2つの分割電極から出力される2つの信号のレベルに応じて2つの分割電極間の境界における位置を算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明にかかる圧力センサは、ゲーム機やゲーム機に接続されるコントローラ等の操作情報を入力する本発明にかかる入力装置に適用することができると共に、電子ドラム等の電子打楽器の演奏情報入力装置に適用することができる。本発明にかかる圧力センサを適用した入力装置および演奏情報入力装置は、本発明にかかるデータ入力装置であり、演奏情報入力装置に適用できる本発明にかかる圧力センサを以下に説明する。本発明の第1実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図を図1に、圧力センサの構成を示す斜視図を図2に、圧力センサの構成を示す分解組立図を図3に示す。
これらの図に示す第1実施例の圧力センサ1は、電子ドラム等の電子打楽器に適用して好適な演奏情報入力装置である。第1実施例の圧力センサ1は上面にスティック100等で叩かれる打面を形成する円板状のパッド10が配置されている。パッド10を独立気泡が含まれる発泡性樹脂により形成することによりアコースティックなドラムを叩いたときと同じ様な感触を得ることができる。パッド10の下面には、可動電極11が上面に形成された薄い円形とされた面状の樹脂フィルム12が貼着されている。絶縁性の樹脂フィルム12の材質は、例えばPET(Polyethylene Terephthalate)とされ、可動電極11が樹脂フィルム12の上面の全面に蒸着等により形成されている。
【0009】
樹脂フィルム12と固定電極15が形成されている円形とされた面状のプリント基板14とは、円形の薄い両面テープ13により貼着されている。この場合、図4に示すように円形の両面テープ13には、矩形とされた矩形状切欠13aが縦横に整列して所定のピッチで設けられている。また、矩形状切欠13aを同心円状に整列して所定のピッチで設けるようにしても良い。この両面テープ13の上面は樹脂フィルム12の下面に貼着されており、両面テープ13の下面はプリント基板14の固定電極15が形成されている上面に貼着されている。プリント基板14はガラスエポキシ基板等の絶縁性の基板とされ、図3および後述する図5に示すように第1分割電極15a、第2分割電極15b、第3分割電極15c、第4分割電極15dの4つのリング状に分割されている電極が固定電極15としてプリントあるいはエッチングにより一面に同心円状に形成されている。プリント基板14には、第1分割電極15a〜第4分割電極15dからそれぞれ信号を出力する端子部14aが設けられている。なお、プリント基板14に設けられるリング状の固定電極15の分割数は4分割に限るものではなく、5以上に分割して設けるようにしても良い。
【0010】
そして、プリント基板14の裏面に例えば金属製とされた導電性のシールド電極16が貼着されている。これにより、固定電極15は、シールド電極16と可動電極11とに挟まれる構造とされていると共にシールド電極16および可動電極11がアースされていることから、この両電極により固定電極15はシールドされることになる。これにより、圧力センサ1に手等を近づけても第1分割電極15a〜第4分割電極15dからなる固定電極15から信号が出力されることはなく、外乱に強い圧力センサ1とすることができる。また、両面テープ13は、可動電極11と固定電極15とをわずかなギャップを介して対向させるためのギャップを形成するスペーサとして機能している。さらに、可動電極11と第1分割電極15a〜第4分割電極15dのそれぞれの固定電極15との間には静電容量が生じている。寸法の一例を挙げると、圧力センサ1の外径は約240mmとされ、樹脂フィルム12の厚さは約10μmとされ、両面テープ13の厚さは約170μmとされる。また、両面テープ13には約8mm角の矩形状切欠13aが、隣接する矩形状切欠13aの中心の間隔が約10mmのピッチで設けられている。すなわち、両面テープ13は矩形状切欠13aの周囲に約2mmの幅のラインだけが残された構成とされている。なお、各図に示す圧力センサ1のスケールは理解しやすいように厚さ(高さ)方向が実寸より誇張されたスケールで示されている。
【0011】
このように構成された第1実施例の圧力センサ1において、パッド10をスティック100により叩くと打撃を受けた部位のパッド10が下方に撓むよう変位し、パッド10が撓むことにより柔軟な樹脂フィルム12上に形成されている可動電極11も下方へ変位して撓むようになる。撓んだ可動電極11の部位は両面テープ13に開けられている矩形状切欠13a内に進入し、撓んだ可動電極11の部位と固定電極15の内の対応する第1分割電極15a〜第4分割電極15dとのギャップが狭くなる。この場合の最小ギャップは、樹脂フィルム12の厚さである約10μmと極めて狭くなり、可動電極11と固定電極15とのギャップが約10μmとなっても樹脂フィルム12が両電極間に介在しているため両電極間の絶縁状態は維持されるようになる。このように、撓んだ可動電極11と第1分割電極15a〜第4分割電極15dの内のいずれかの固定電極15とのギャップが狭くなることにより、可動電極11とのギャップが狭くなった第1分割電極15a〜第4分割電極15dとの間の静電容量が変化して、変化した静電容量に応じた出力が端子部14aにおける対応する第1分割電極15a〜第4分割電極15dの端子から出力されるようになる。
【0012】
この場合の可動電極11の撓みの大きさは、スティック100によりパッド10を叩いた打撃強度にほぼ比例し、撓みの大きさに応じて可動電極11と第1分割電極15a〜第4分割電極15dとのギャップが狭くなる。このことから、第1分割電極15a〜第4分割電極15dからの出力は、スティック100によりパッド10を叩いた打撃強度に対応するレベルの出力となる。そして、可動電極11と第1分割電極15a〜第4分割電極15dとの最小ギャップは極めて狭い約10μmまで狭くすることができると共に、固定電極15はシールドされて外乱の影響と受けにくいことからダイナミックレンジを大きくすることができる。また、スティック100によりパッド10を叩いた打撃位置に対応する第1分割電極15a〜第4分割電極15dからだけ打撃強度に応じた信号が出力されることから、信号が出力される第1分割電極15a〜第4分割電極15dを検出することにより、打撃位置も検出することができるようになる。
【0013】
このように構成された第1実施例の圧力センサ1を電子打楽器に適用した際の構成を示すブロック図を図5に示す。
図5に示す電子打楽器2においては、圧力センサ1についてはプリント基板14のみを示している。プリント基板14の一面にリング状に形成されている固定電極15を構成する第1分割電極15a〜第4分割電極15dのそれぞれからラインが端子部14aまで延伸されている。端子部14aにおいて第1分割電極15aから延伸されたラインは抵抗R1を介して電源+Vに接続されると共に第1アンプA1に接続され、第2分割電極15bから延伸されたラインは抵抗R2を介して電源+Vに接続されると共に第2アンプA2に接続され、第3分割電極15cから延伸されたラインは抵抗R3を介して電源+Vに接続されると共に第3アンプA3に接続され、第4分割電極15dから延伸されたラインは抵抗R4を介して電源+Vに接続されると共に第4アンプA4に接続されている。このように、第1分割電極15a〜第4分割電極15dは抵抗R1ないし抵抗R4により電源+Vにプルアップされていることから、第1分割電極15a〜第4分割電極15dと可動電極11との間の静電容量が変化した際に、変化した容量に応じた電気信号が固定電極15から出力されるようになる。
【0014】
第1アンプA1ないし第4アンプA4により増幅された第1分割電極15a〜第4分割電極15dからそれぞれ出力された信号は、アナログ/ディジタル変換器(A/D)20によりそれぞれディジタル信号に変換される。CPU(Central Processing Unit)21は、A/D20から出力されるディジタル信号を処理することにより、圧力センサ1をスティック100で叩いた際の打撃強度と打撃位置とを検出している。第1分割電極15a〜第4分割電極15dにおける各リング状の分割電極の面積は等しく形成することが好適であるが、等しく形成することができない場合はこれを補正する補正テーブル21aをCPU21は備えている。これは、第1分割電極15a〜第4分割電極15dにおける分割電極の面積が等しくないと、同じ打撃力が加えられても小さい面積の分割電極では容量の変化率が大きくなり、大きい面積の分割電極では容量の変化率が小さくなって、出力される信号のレベルが異なるようになる。そこで、補正テーブル21aにより分割電極の面積の異なりを補正して同じ打撃力が加えられた際には分割電極の面積が異なっていても同じ打撃強度として検出されるようにしている。また、CPU21は第1分割電極15a〜第4分割電極15dから出力される信号のうちの最大レベルの信号を出力する分割電極を検出することにより、打撃位置を検出している。
【0015】
そして、CPU21は検出された打撃位置と打撃強度の情報を音源22に与えて、音源22は打撃位置に応じた音色の楽音波形データをメモリ22aから読み出して、打撃強度に応じたエンベロープを付与することにより楽音を発生させる。音源22には、音の種類別や音程別の楽音波形データがメモリ22aに記憶されている。なお、打撃位置と打撃強度の情報を音の種類、音の大きさ、音程、音質等のパラメータに自由に割り当てて楽音を発生させるようにしてもよい。これにより、アコースティックなドラムを叩いたときと同様の楽音が得られるようになる。この楽音はアンプ23により増幅されてスピーカ(SP)24から放音される。
【0016】
図5に示す電子打楽器2における回路部の等価回路を図6に示す。図6において、破線で囲った部位はプリント基板14の等価回路とされ、容量C1は可動電極11と第1分割電極15aとの間の容量であり、容量C2は可動電極11と第2分割電極15bとの間の容量であり、容量C3は可動電極11と第3分割電極15cとの間の容量であり、容量C4は可動電極11と第4分割電極15dとの間の容量である。定常状態においては、容量C1ないし容量C4にはそれぞれ直列に接続されている抵抗R1ないし抵抗R4により電源+Vから充電された状態とされている。ここで、スティック100によりパッド10が叩かれて、例えば容量C1の容量値が大きくなるよう変化したとする。すると、抵抗R1と容量C1との接続点の電位が下がり容量C1は抵抗R1を介して充電されていくようになる。この時の抵抗R1と容量C1との接続点の電位変化が信号として第1増幅器A1により増幅されてA/D20に供給されるようになる。この信号のレベルは容量C1の変化率にほぼ比例し、スティック100で強く叩くほど大きなレベルの信号が出力されるようになる。
【0017】
次に、電子打楽器2の構造の一例を示す断面図を図7に示す。
図7に示す電子打楽器2は電子ドラムの例であり、木製や金属製とされた円筒状の胴30の上部に圧力センサ1が配置されており、胴30の下部には円形の底板31が固着されている。胴30における内周面の上部にはいくつかのL型金具33が内向きに固着されており、L型金具33における内側に突出した部分がゴム等のリング状の緩衝材32に設けられた溝に嵌挿されて取り付けられている。この場合、リング状の緩衝材32の外側面のほぼ半ばに溝が形成されており、この溝内にL型金具33の突出した部分が嵌挿されている。また、圧力センサ1の最下層を構成しているシールド電極16は数mmの厚さの金属板とすることができ、このシールド電極16の下面にいくつかのZ型金具34がL型金具33に対応して固着されている。Z型金具34の外側を向いた下片により緩衝材32の下面が支持されて、この結果緩衝材32はL型金具33とZ型金具34とにより挟持されるようになる。胴30の上縁と圧力センサ1の下面とは若干の間隙を持って対向するよう支持されており、圧力センサ1をスティック100により叩いた際でも、圧力センサ1と胴30とは緩衝材32の作用により接触しないようにされている。逆に、胴30に与えられた何らかの衝撃も緩衝材32の作用により圧力センサ1に与えられることはない。なお、底板31は3脚等のドラムを支持する支持脚に取り付けることができる。
【0018】
次に、CPU21が検出する打撃位置と打撃強度の検出方法について図8を参照して説明する。
図8は圧力センサ1の一部を拡大して示す図であり、第1分割電極15aと第2分割電極15bとの境界の部分がスティック100により叩かれた態様が示されている。圧力センサ1のパッド10をスティック100によりA,B,C,D,Eの位置で叩いたとする。位置A,B,C,D,Eは第2分割電極15bから隣接する第1分割電極15aに至るまでの位置とされる。この時の叩かれて変形する可動電極11の第1分割電極15aおよび第2分割電極15b上の部位がa,b,c,d,eの範囲で示されている。変形する部位a,b,c,d,eは、頭が丸いスティック100で叩かれることからほぼ円形に拡がる範囲となる。ここで、位置Aおよび位置Bで叩いた場合は可動電極11が変形する部位a、bが第2分割電極15b上に限られることから、第2分割電極15bのみから信号が出力される。出力される信号のレベルは打撃強度に比例する。
【0019】
また、位置Cで叩かれて可動電極11が変形する部位cが第1分割電極15aと第2分割電極15bとのほぼ中央とされる場合は、第1分割電極15aおよび第2分割電極15bから信号が出力される。出力される信号のレベルは、変形する部位cにおける面積のほぼ半分ずつが第1分割電極15aおよび第2分割電極15bに対応することから打撃強度に比例する出力のほぼ半分ずつが出力される。さらに、位置Dおよび位置Eで叩いた場合は可動電極11が変形する部位d、eが第1分割電極15a上に限られることから、第1分割電極15aのみから信号が出力される。出力される信号のレベルは打撃強度に比例する。このことから、打撃位置を横軸に出力レベルを縦軸とすると図8の下段に示すグラフのように打撃位置に応じて第1分割電極15aおよび第2分割電極15bから出力される信号のレベルが変化するようになる。ただし、打撃位置が変化しても打撃強度は一定としている。
【0020】
このグラフに示されているように、位置Bから位置Dまでの間の位置で叩いた場合は、位置に応じたレベルの信号が第1分割電極15aおよび第2分割電極15bからそれぞれ出力されるようになる。すなわち、第1分割電極15aおよび第2分割電極15bから出力される信号のレベルを検出することで第1分割電極15aおよび第2分割電極15bのどの位置が叩かれたのかを精度良く検出することができるようになる。この時に、第1分割電極15aおよび第2分割電極15bの出力を合算することで打撃強度に応じたレベルの信号を得ることができる。これにより、第1分割電極15aと第2分割電極15bとの間に間隙があっても、間隙による不感帯が生じないようになる。
【0021】
以上説明した本発明の第1実施例の圧力センサ1においては、信号を出力する第1分割電極15aないし第4分割電極15dからなる固定電極15の上下が、アースされている可動電極11およびシールド電極16により挟まれているため、外乱を受けることを防止することができる。これにより、圧力センサ1の感度が高くなってダイナミックレンジが拡がることから演奏表現力を向上することができる。また、パッド10の上面に加えられた打撃力の強さと、それに応じてパッド10における底面の変形する量との関係はパッド10のどの場所であっても一定となることから、打撃力がパッド上面のどの場所に加えられた場合であってもその打撃力の強さと静電容量の変化量との関係はパッド10の場所によらず一定になる。さらに、第1分割電極15aないし第4分割電極15dから出力される信号のうちの最大レベルの信号を出力する分割電極を検出することにより、打撃位置を検出することができると共に、第1分割電極15aないし第4分割電極15dから出力される信号を合算することにより打撃強度を得ることができることから、打撃位置および打撃強度を得る処理を簡易化することができる。従って、圧力センサ1では反応速度が速くなり高速でパッド10が繰り返し叩かれてもその入力に追従した出力を得ることができる。さらに、パッド10の異なる位置が同時に叩かれても、叩かれた位置に対応する第1分割電極15aないし第4分割電極15dから出力をそれぞれ得ることができる。なお、固定電極15において分割電極の数を増やすことにより打撃位置の精度を向上することができる。
【0022】
次に、本発明の第2実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図を図9に、第2実施例の圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す平面図を図10に、第2実施例の圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す下面図を図11に示す。
これらの図に示す第2実施例の圧力センサ3は、電子ドラム等の電子打楽器に適用して好適な演奏情報入力装置である。第2実施例の圧力センサ3は上面にスティック100等で叩かれる打面を形成する円板状のパッド40が配置されている。パッド40を独立気泡が含まれる発泡性樹脂により形成することによりアコースティックなドラムを叩いたときと同じ様な感触を得ることができる。パッド40の下面には、第1可動電極41が上面の全面に形成された薄い円形とされた面状の樹脂フィルム42が貼着されている。絶縁性の樹脂フィルム42の材質は、例えばPETとされ、第1可動電極41が樹脂フィルム42の上面の全面に蒸着等により形成されている。
【0023】
この樹脂フィルム42と、第2可動電極47が表面に形成され、第3可動電極48が裏面に形成されている略円形とされた面状のプリントフィルム44とは、円形の薄い第1両面テープ43により貼着されている。この場合、第1両面テープ43には第1実施例における両面テープ13と同様に、矩形とされた矩形状切欠が縦横に整列して所定のピッチで設けられている。この矩形状切欠を、同心円状に整列して所定のピッチで設けるようにしても良い。この第1両面テープ43の上面は樹脂フィルム42の下面に貼着されており、第1両面テープ43の下面はプリントフィルム44の第2可動電極47が形成されている上面に貼着されている。プリントフィルム44は金属を蒸着することのできる絶縁性のフィルム基板49から構成される。図10に示すように、プリントフィルム44を構成するフィルム基板49の表面(上面)には図10に示すように第2可動電極47が蒸着やプリントにより形成されており、フィルム基板49の裏面(下面)には図11に示すように第3可動電極48が蒸着やプリントにより形成されている。第2可動電極47は、矩形パッチを繋げた中心から約90°ずつ4つに分割された分割電極47−1,47−2,47−3,47−4からなり、第3可動電極48は矩形パッチを繋げた中心から約90°ずつ4つに分割された分割電極48−1,48−2,48−3,48−4により構成されている。
【0024】
第2可動電極47を構成している分割電極47−1,47−2,47−3,47−4は、それぞれ矩形パッチを繋げて構成されている。また、第3可動電極48を構成している分割電極48−1,48−2,48−3,48−4も、それぞれ矩形パッチを繋げて構成されている。第2可動電極47を構成している矩形パッチと、第3可動電極48を構成している矩形パッチとは、大きさおよび配置されるピッチが異なっており、第3可動電極48を構成している矩形パッチの方が大きくされていると共にピッチも大きくなっている。分割電極47−1〜47−4からそれぞれ信号を出力する端子と、分割電極48−1〜48−4からそれぞれ信号を出力する端子が端子部44aの表面と裏面とに設けられている。第2可動電極47と第3可動電極48とにおいて、対応する位置の分割電極同士が電気的に接続されている。すなわち、分割電極47−1と分割電極48−1とが、分割電極47−2と分割電極48−2とが、分割電極47−3と分割電極48−3とが、分割電極47−4と分割電極48−4とが電気的に接続されている。この接続は、端子部44aにおいて対応する端子同士を接続したり、フィルム基板49にスルーホールを設けて接続すればよい。このようなプリントフィルム44の裏面と円板状に形成されたシールド電極46とは、円形の薄い第2両面テープ45により貼着されている。この場合、第2両面テープ45には第1実施例における両面テープ13と同様に、矩形とされた矩形状切欠が縦横に整列して設けられている。この矩形状切欠は、第1両面テープ43に設けられている矩形状切欠より小さいと共により小さなピッチで設けられている。この矩形状切欠を、同心円状に整列して所定のピッチで設けるようにしても良い。なお、シールド電極46の上面には第3可動電極48との短絡を防止するための絶縁層46aが設けられている。絶縁層46aは絶縁被膜や絶縁塗装等により形成される。
【0025】
このように、表面に第2可動電極47が形成され、裏面に第3可動電極48が形成されているプリントフィルム44は、シールド電極46と第1可動電極41とに挟まれる構造とされていると共に、シールド電極46および第1可動電極41がアースされていることから、この両電極により第2可動電極47および第3可動電極48はシールドされることになる。これにより、圧力センサ3に手等を近づけても第2可動電極47および第3可動電極48から信号が出力されることはなく、外乱に強い圧力センサ3とすることができる。また、第1両面テープ43は、第1可動電極41と第2可動電極47との間にギャップを形成するスペーサとして機能して第1容量手段が構成されており、第1可動電極41と第2可動電極47における分割電極47−1〜47−4のそれぞれの間には静電容量が生じている。さらに、第2両面テープ45は、第3可動電極48とシールド電極46との間にギャップを形成するスペーサとして機能して第2容量手段が構成されており、第3可動電極48における分割電極48−1〜48−4とシールド電極46のそれぞれの間には静電容量が生じている。
【0026】
この場合、例えば第1両面テープ43および第2両面テープ45の厚さは約170μmとされ、第1両面テープ43の矩形状切欠は第2両面テープ45の矩形状切欠より大きくされている。また、例えば第2可動電極47を構成している矩形パッチは約8mm角の矩形パッチが、隣接する矩形パッチの中心の間隔が約10mmのピッチで設けられ、第3可動電極48を構成している矩形パッチは約18mm角の矩形パッチが、隣接する矩形パッチの中心の間隔が約20mmのピッチで設けられている。このように、第1容量手段における第1両面テープ43の矩形状切欠が大きくされると共に第2可動電極47の矩形パッチが小さくされて、第1容量手段における印加された圧力に対する剛性が小さくされている。また、第2容量手段における第2両面テープ45の矩形状切欠が小さくされると共に第3可動電極48の矩形パッチが大きくされて、第2容量手段における印加された圧力に対する剛性が大きくされている。第1容量手段の剛性を第2容量手段の剛性より小さくしたことによる作用については後述する。なお、第2実施例の圧力センサ3の構成を示す図においては理解しやすいように厚さ(高さ)方向のスケールが実寸より誇張されたスケールで示されている。
【0027】
第2実施例の圧力センサ3におけるプリントフィルム44の他の構成例を図13ないし図15に示す。なお、図13は他の構成例のプリントフィルム54の表面の構成を示す平面図であり、図14は他の構成例のプリントフィルム54の裏面の構成を示す下面図であり、図15は他の構成例のプリントフィルム54の構成を示す側面図である。
これらの図に示すように、プリントフィルム54を構成しているフィルム基板59の表面にはリング状に分割された4つの分割電極57−1,57−2,57−3,57−4からなる第2可動電極57が形成されており、フィルム基板51の裏面にはリング状に分割された4つの分割電極58−1,58−2,58−3,58−4からなる第3可動電極58が蒸着またはプリントにより形成されている。分割電極57−1〜57−4と分割電極58−1〜58−4における対応するリング状の分割電極の形状は同形状とされており、図13のA部拡大図で示すように正方形の矩形パッチを繋いで形成されている。リング状の分割電極57−1〜57−4からそれぞれ信号を出力する端子と、リング状の分割電極58−1〜58−4からそれぞれ信号を出力する端子が端子部54aの表面と裏面とに設けられている。第2可動電極57と第3可動電極58とにおいて、対応する位置のリング状の分割電極同士が電気的に接続されている。すなわち、分割電極57−1と分割電極58−1とが、分割電極57−2と分割電極58−2とが、分割電極57−3と分割電極58−3とが、分割電極57−4と分割電極58−4とが電気的に接続されている。この接続は、端子部54aにおいて対応する端子同士を接続したり、フィルム基板59にスルーホールを設けて接続すればよい。分割電極57−1〜57−4および分割電極58−1〜58−4における各リング状の分割電極の面積は等しく形成することが好適とされているが、等しく形成することができない場合はこれを補正する上記した補正テーブルを処理部に備えるようにする。
【0028】
次に、本発明の第3実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図を図16に示す。
図16に示す第3実施例の圧力センサ4の外形の形状は円形や矩形とされ、上面にアースされた第1可動電極61が配置され、第1可動電極61は第1スペーサ62の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。第1スペーサ62の下面には出力電極とされる第2可動電極63が配置され、第2可動電極63は第2スペーサ64の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。第2スペーサ64の下面には例えば金属製とされた導電性のシールド電極65が貼着されている。シールド電極65は、第1可動電極61と同様にアースされている。なお、第1可動電極61が形成されている第1スペーサ62の下面は、第2可動電極63の上面と貼着されている。また、第1スペーサ62および第2スペーサ64は可撓性のエラストマーや多孔質の柔軟なスポンジ等から構成され、第1スペーサ62と第2スペーサ64との硬さを変えることができる。第3実施例の圧力センサ4においては、第1スペーサ62は軟質スペーサとされ、第2スペーサ64は第1スペーサ62より堅い硬質スペーサとされている。第3実施例の圧力センサ4においては、第1スペーサ62を介して対向する第1可動電極61と第2可動電極63とにより第1容量手段が構成され、第2スペーサ64を介して対向する第2可動電極63とシールド電極65とにより第2容量手段が構成されるようになる。そして、軟質スペーサとされた第1容量手段の剛性は小さくなり、硬質スペーサとされた第2容量手段の剛性は大きくなっている。
【0029】
このように構成された第3実施例の圧力センサ4において、図17に示すように圧力センサ4の上面にきわめて弱い圧力(音楽記号pppに相当する圧力)を印加した場合は、圧力が印加された第1可動電極61の部位がわずかに下方に撓み、これに伴い軟質スペーサとされた第1スペーサ62も下方へ撓むようになる。これにより、撓んだ第1可動電極61の部位と第2可動電極63とのギャップが狭くなる。このように、第1可動電極61と第2可動電極63との間隔が狭くなることにより、第1可動電極61と第2可動電極63との間の第1容量手段の静電容量が変化して、第1容量手段における静電容量の変化率に応じたレベルの出力が第2可動電極63から出力されるようになる。この場合、第2容量手段の静電容量は未だ変化しておらず、その出力もされていない。
【0030】
また、図18に示すように圧力センサ4の上面に弱い圧力(音楽記号pに相当する圧力)を印加した場合は、圧力が印加された第1可動電極61の部位がさらに下方に撓み、これに伴い第1スペーサ62も下方へ撓むようになる。この場合、撓んだ第1可動電極61の部位と第2可動電極63とのギャップは最小となる。このように、第1可動電極61と第2可動電極63との間隔が最小の間隔となることにより、第1容量手段における静電容量の変化率が最大となり、第1容量手段による最大レベルの出力が第2可動電極63から出力される。この出力は第1容量手段による出力であり、第1容量手段からの出力は飽和する。しかし、第2容量手段の静電容量は未だ変化しておらず、その出力もされていない。
【0031】
さらに、図19に示すように圧力センサ4の上面に強い圧力(音楽記号fに相当する圧力)を印加した場合は、圧力が印加された第1可動電極61の部位がさらに深く下方に撓み、これに伴い第1スペーサ62も下方へ撓むようになる。この場合、第1可動電極61の部位と第2可動電極63とのギャップが最小となっても、さらに撓むことから、第2可動電極63の部位も下方に撓み、これに伴い硬質スペーサとされた第2スペーサ64も下方へ撓むようになる。これにより、第1容量手段による最大レベルの出力が第2可動電極63から出力されるが、撓んだ第2可動電極63の部位とシールド電極65とのギャップが狭くなったことにより変化した第2容量手段の静電容量の変化率に応じたレベルの出力が加算されて第2可動電極63から出力されるようになる。
【0032】
さらにまた、図20に示すように圧力センサ4の上面にきわめて強い圧力(音楽記号fffに相当する圧力)を印加した場合は、圧力が印加された第1可動電極61の部位がさらにより深く下方に撓み、これに伴い第1スペーサ62もより深く下方へ撓むようになる。この場合、第1可動電極61の部位と第2可動電極63とのギャップが最小となっても、さらに深く撓むことから、第2可動電極63の部位も深く下方に撓み、これに伴い硬質スペーサとされた第2スペーサ64も下方へ深く撓むようになる。この場合、撓んだ第2可動電極63の部位とシールド電極65とのギャップも最小となる。このように、第2可動電極63とシールド電極65との間隔が最小の間隔となることにより、第2容量手段における静電容量の変化率が最大となり、第2容量手段による最大レベルの出力が第2可動電極63から出力される。すなわち、第2容量手段からの出力も飽和するようになる。この場合、第1容量手段からの出力も飽和していることから、第1容量手段による最大レベルの出力に、第2容量手段による最大レベルの出力が加算されて第2可動電極63から出力されるようになる。
【0033】
ここで、第3実施例の圧力センサ4における印加された圧力に対する出力特性を図21に示す。図21において、破線で示す出力特性は第1容量手段の出力特性であり、第1スペーサ62が軟質スペーサとされて剛性が小さくされていることから、きわめて弱い圧力が印加されても大きな出力が得られ感度が高くなる。しかし、弱い圧力が印加されても出力が飽和してしまうようになる。また、一点鎖線で示す出力特性は第2容量手段の出力特性であり、第2スペーサ64が硬質スペーサとされて剛性が大きくされていることから、きわめて弱い圧力からきわめて強い圧力まで印加されても、印加された圧力に対してほぼリニアな出力が得られる。しかし、感度は低くなる。そして、実線で示す出力特性は第1容量手段および第2容量手段を備える第3実施例の圧力センサ4の出力特性であり、第1容量手段の出力と第2容量手段の出力特性を合わせ持つ出力特性とされる。すなわち、圧力センサ4では、きわめて弱い圧力が印加されても大きな出力が得られ感度が高いにもかかわらず、きわめて弱い圧力からきわめて強い圧力まで印加されても、出力は飽和せずに印加された圧力に応じた出力を得ることができるようになる。すなわち、ダイナミックレンジをさらに大きくした高感度の圧力センサとすることができる。しかも、出力電極である第2可動電極63は、アースされた第1可動電極61とシールド電極65とに挟まれているため、感度を高くしても外乱を受けることを防止することができる。
【0034】
なお、前述したように第2実施例の圧力センサ3においても第1容量手段の剛性を第2容量手段の剛性より小さくしており、第3実施例の圧力センサ4と同様の圧力−出力特性を得ることができる。すなわち、圧力センサ3でも、圧力センサ4と同様にきわめて弱い圧力が印加されても大きな出力が得られ感度が高いにもかかわらず、きわめて弱い圧力からきわめて強い圧力まで印加されても、出力は飽和せずに印加された圧力に応じた出力を得ることができるようになる。このように、圧力センサ3でも、ダイナミックレンジをさらに大きくした高感度の圧力センサとすることができる。しかも、出力電極である第2可動電極47および第3可動電極48は、アースされた第1可動電極41とシールド電極46とに挟まれているため、感度を高くしても外乱を受けることを防止することができる。
なお、第2実施例の圧力センサ3あるいは第3実施例の圧力センサ4を電子ドラム等の電子打楽器の演奏情報入力装置に適用した場合は、打撃強度に応じた第1容量手段および第2容量手段の変化を利用していることから、出力信号のダイナミックレンジをより大きくすることができ、より演奏表現力を向上することができる。
【0035】
また、第2実施例の圧力センサ3を電子打楽器に適用した際の構成は、前記図5に示す構成とほぼ同様になる。また、圧力センサ3においては端子部44aには表面に4つ裏面に4つの出力端子が設けられているが、第2可動電極47および第3可動電極48においては対応する位置の分割電極同士が並列接続されているので、4つのアンプと4つのプルアップ抵抗だけでよいことになる。また、A/D変換器は4つの入力信号をディジタル信号に変換して並列接続されている分割電極47−1〜47−4および分割電極48−1〜48−4から出力される信号のうちの最大レベルの出力を検出することにより、打撃位置を検出する。この場合、打撃位置が2つの電極の境界部分にかかる場合でも、前述した図8に示すとおり精度良く検出することができる。また、第2可動電極47および第3可動電極48の全ての分割電極から出力される信号を加算することにより打撃強度に応じたレベルの信号を得ることができる。
第2実施例の圧力センサ3を電子打楽器に適用した際の構造は、圧力センサ1が圧力センサ3に置き換わるだけで図7に示す構造とほぼ同様となる。また、第2可動電極47および第3可動電極48における分割電極毎に異なる楽器を割り当てて、圧力センサ3により、複数の楽器の演奏情報を入力するようにしても良い。
【0036】
次に、第3実施例の圧力センサ4は、第2実施例の圧力センサ3と同様に2つの出力電極を備えるようにしてもよい。2つの出力電極を備える変形例である圧力センサ5の構成を断面図で示す正面図を図22に示す。
図22に示す圧力センサ5は、上面にアースされた第1可動電極61が配置され、第1可動電極61は第1スペーサ62の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。第1スペーサ62の下面には出力電極とされる第2可動電極63が配置され、第2可動電極63はプリントフィルム66の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。プリントフィルム66は、例えばPET等の樹脂フィルムとされており、下面の全面に貼着あるいは蒸着等により第3可動電極67が形成されている。第3可動電極67の下面には、第2スペーサ64の上面が貼着されており、第2スペーサ64の下面には例えば金属製とされた導電性のシールド電極65が貼着されている。シールド電極65は、第1可動電極61と同様にアースされている。
【0037】
また、第1スペーサ62および第2スペーサ64は可撓性のエラストマーや多孔質の柔軟なスポンジ等から構成され、第1スペーサ62と第2スペーサ64との硬さを変えることができる。第3実施例の変形例の圧力センサ5においても、第1スペーサ62は軟質スペーサとされ、第2スペーサ64は第1スペーサ62より堅い硬質スペーサとされている。第3実施例の変形例の圧力センサ5においては、第1スペーサ62を介して対向する第1可動電極61と第2可動電極63とにより第1容量手段が構成され、第2スペーサ64を介して対向する第3可動電極67とシールド電極65とにより第2容量手段が構成されるようになる。そして、軟質スペーサとされた第1容量手段の剛性は小さくなり、硬質スペーサとされた第2容量手段の剛性は大きくなっている。
このように構成された第3実施例の変形例の圧力センサ5においても、第3実施例の圧力センサ4と同様の図21の実線で示す圧力−出力特性を得ることができる。従って、圧力センサ5でも、ダイナミックレンジをさらに大きくした高感度の圧力センサとすることができる。しかも、出力電極である第2可動電極63および第3可動電極67は、アースされた第1可動電極61とシールド電極65とに挟まれているため、感度を高くしても外乱を受けることを防止することができる。
【0038】
次に、第3実施例の圧力センサ4とほぼ同様の構成を備え、圧力を印加した位置を検出することのできる第4実施例の圧力センサ6の構成を断面図で示す正面図を図23に、第4実施例の圧力センサ6にかかる第2スペーサ74の構成を示す平面図を図24に示す。
これらの図に示す第4実施例の圧力センサ6は、上面にアースされた第1可動電極71が配置され、第1可動電極71は第1スペーサ72の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されている。第1スペーサ72の下面には出力電極とされる第2可動電極73が配置されている。この第2可動電極73は、第2スペーサ74の上面の全面に貼着あるいは蒸着等により形成されているマトリクス状に配置されたパッチ電極とされている。例えば、第2可動電極73は4×4の16個のパッチ電極m11,m12,m13,・・・,m44から構成されており、それぞれのパッチ電極m11〜m44からの端子が8本ずつ第2スペーサ74の左側と右側から引き出されている。すなわち、図24に示すように第2スペーサ74の左側に端子c11,c12,c21,・・・,c42が設けられ、第2スペーサ74の右側に端子c14,c13,c24,・・・,c43が設けられている。
【0039】
第2スペーサ74の下面には例えば金属製とされた導電性のシールド電極75が貼着されている。シールド電極75は、第1可動電極71と同様にアースされている。なお、第1可動電極71が形成されている第1スペーサ72の下面は、第2可動電極73の上面と貼着されている。また、第1スペーサ72および第2スペーサ74は可撓性のエラストマーや多孔質の柔軟なスポンジ等から構成され、第1スペーサ72と第2スペーサ74との硬さを変えることができる。第4実施例の圧力センサ6においても、第1スペーサ72は軟質スペーサとされ、第2スペーサ74は第1スペーサ72より堅い硬質スペーサとされている。第4実施例の圧力センサ6においては、第1スペーサ72を介して対向する第1可動電極71と第2可動電極73とにより第1容量手段が構成され、第2スペーサ74を介して対向する第2可動電極73とシールド電極75とにより第2容量手段が構成されるようになる。そして、軟質スペーサとされた第1容量手段の剛性は小さくなり、硬質スペーサとされた第2容量手段の剛性は大きくなる。
【0040】
このように構成された第4実施例の圧力センサ6が操作されて所定の位置に圧力が印加された際には、パッチ電極m11〜m44からの信号がそれぞれ出力される端子c11〜c44のうちから最大のレベルが出力される端子を検出する。この場合、圧力が印加された位置に対応して配置されているパッチ電極からは、他のパッチ電極より大きな出力が出力されることから、検出された端子が接続されているパッチ電極上の位置が操作された位置を検出することができる。また、全ての端子c11〜c44の出力を加算して出力することにより、印加された圧力に対応するレベルの出力を得ることができる。なお、パッチ電極間の位置に圧力が印加された際には、図8を参照して説明した手法を用いることによりパッチ電極間のどの位置に圧力が印加されたかを検出することができる。また、第4実施例の圧力センサ6においても、第3実施例の圧力センサ4と同様の図21の実線で示す圧力−出力特性を得ることができる。従って、第4実施例の圧力センサ6でも、ダイナミックレンジをさらに大きくした高感度の圧力センサとすることができる。しかも、出力電極である第2可動電極73は、アースされた第1可動電極71とシールド電極75とに挟まれているため、感度を高くしても外乱を受けることを防止することができる。なお、第4実施例の圧力センサ6を電子ドラム等の電子打楽器の演奏情報入力装置に適用した場合においては、打撃された位置を検出することができると共に打撃力に対応する出力を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明した本発明にかかる圧力センサは、上述したように容量手段を1つあるいは2つ備えているが、可動電極を増やすことにより3つ以上の容量手段を備える圧力センサとしてもよい。また、容量手段は印加された圧力に応じて撓む可動電極を備えていることから、本発明にかかる圧力センサを用いる本発明にかかるデータ入力装置がゲーム機やゲーム機に接続されるコントローラの入力装置に適用された場合は、可動電極が指等で押された際の押圧力に応じた操作出力を得ることができる。さらに、本発明にかかる圧力センサを用いるデータ入力装置が電子ドラム等の電子打楽器の演奏情報入力装置に適用された場合は、可動電極が叩かれた際の打撃力に応じた演奏操作出力を得ることができる。なお、圧力センサの上面を保護するカバーやパッドを圧力センサの上面に設けるようにしてもよい。
さらにまた、分割電極をリング状の形状で分割する場合は、その分割数は任意の数とすることができ、分割数を増やすことにより打撃位置の精度を向上することができる。そして、中心点から所定の角度範囲で分割する場合も、任意の角度範囲で任意の分割数に分割することができる。
さらにまた、本発明にかかる圧力センサおよびデータ入力装置においては、分割されている分割電極毎に異なる楽器を割り当てるようにしても良い。これにより、マルチパッドを実現することができる。
さらにまた、本発明にかかる圧力センサおよびデータ入力装置の形状は、円形に限るものではなく矩形としてもよいものである。圧力センサの形状を矩形とすることによりゲーム機やゲーム機のコントローラ、および、マルチパッド等のデータ入力装置に適用しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図である。
【図2】本発明の第1実施例にかかる圧力センサの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す分解組立図である。
【図4】本発明の第1実施例にかかる圧力センサにおける両面テープの構成を示す平面図である。
【図5】本発明にかかる第1実施例の圧力センサを電子打楽器に適用した際の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明にかかる第1実施例の圧力センサを適用した電子打楽器における回路部の等価回路を示す図である。
【図7】本発明にかかる第1実施例の圧力センサを適用した電子打楽器の構造の一例を示す断面図である。
【図8】本発明の第1実施例にかかる圧力センサにおける打撃位置と打撃強度の検出方法を示す図である。
【図9】本発明の第2実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図である。
【図10】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す平面図である。
【図11】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す下面図である。
【図12】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す側面図である。
【図13】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおける他の構成のプリントフィルムの構成を示す平面図である。
【図14】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおける他の構成のプリントフィルムの構成を示す下面図である。
【図15】本発明の第2実施例にかかる圧力センサにおける他の構成のプリントフィルムの構成を示す側面図である。
【図16】本発明の第3実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図である。
【図17】本発明の第3実施例にかかる圧力センサにおいてきわめて弱い圧力が印加された際の態様を示す図である。
【図18】本発明の第3実施例にかかる圧力センサにおいて弱い圧力が印加された際の態様を示す図である。
【図19】本発明の第3実施例にかかる圧力センサにおいて強い圧力が印加された際の態様を示す図である。
【図20】本発明の第3実施例にかかる圧力センサにおいてきわめて強い圧力が印加された際の態様を示す図である。
【図21】本発明の第3実施例の圧力センサにおける印加された圧力に対する出力特性を示す図である。
【図22】本発明の第3実施例にかかる圧力センサの変形例の構成を断面図で示す正面図である。
【図23】本発明の第4実施例にかかる圧力センサの構成を断面図で示す正面図である。
【図24】本発明の第4実施例にかかる圧力センサにおけるプリントフィルムの構成を示す平面図である。
【図25】従来の電子打楽器に用いられている圧力センサの一例の構成を示す断面図である。
【図26】従来の電子打楽器に用いられている圧力センサの等価回路を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 圧力センサ、2 電子打楽器、3 圧力センサ、4 圧力センサ、5 圧力センサ、6 圧力センサ、10 パッド、11 可動電極、12 樹脂フィルム、13 両面テープ、13a 矩形状切欠、14 プリント基板、14a 端子部、15 固定電極、15a 第1分割電極、15b 第2分割電極、15c 第3分割電極、15d 第4分割電極、16 シールド電極、20 A/D、21 CPU、21a 補正テーブル、22 音源、22a メモリ、23 アンプ、24 SP、30 胴、31 底板、32 緩衝材、33 L型金具、34 Z型金具、40 パッド、41 第1可動電極、42 樹脂フィルム、43 第1両面テープ、44 プリントフィルム、44a 端子部、45 第2両面テープ、46 シールド電極、46a 絶縁層、47 第2可動電極、47−1〜47−4 分割電極、48 第3可動電極、48−1〜48−4 分割電極、49 フィルム基板、51 フィルム基板、54 プリントフィルム、54a 端子部、57 第2可動電極、57−1〜57−4 分割電極、58 第3可動電極、58−1〜58−4 分割電極、59 フィルム基板、61 第1可動電極、62 第1スペーサ、63 第2可動電極、64 第2スペーサ、65 シールド電極、66 プリントフィルム、67 第3可動電極、71 第1可動電極、72 第1スペーサ、73 第2可動電極、74 第2スペーサ、75 シールド電極、100 スティック、200 圧力センサ、210 絶縁体、211 抵抗面、212 電極、213 電極、214 スペーサ、215 感圧抵抗素子、216 電極、217 打面、220 強さ位置分離回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状の可動電極と、
該可動電極と所定の間隔を隔てて対向するよう配設され、複数の分割電極を有している面状の固定電極とを備え、
前記可動電極と前記固定電極とにより容量手段が構成され、前記可動電極に圧力が印加されて変位した際の前記容量手段における容量の変化情報に基づいて、複数の前記分割電極から出力される信号が合算されて出力信号として出力されると共に、複数の前記分割電極から出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された前記分割電極の位置情報が、前記可動電極における圧力が印加された位置情報として出力されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記分割電極の1つと、該分割電極に隣接する前記分割電極からそれぞれ信号が出力される場合は、2つの前記分割電極から出力される2つの信号のレベルに応じた2つの前記分割電極間の境界における位置情報が算出され、算出された境界における位置情報が前記可動電極に圧力を印加した位置情報として出力されることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記出力信号および前記位置情報に応じた楽音が音源手段において生成される場合に、複数の前記分割電極の位置情報に対応してそれぞれ異なる楽器の楽音が前記音源手段において生成されるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の圧力センサ。
【請求項4】
面状の第1可動電極と、
該第1可動電極と可撓性の第1スペーサを隔てて一面が対向するよう配設され、複数のパッチ電極からなる面状の第2可動電極と、
該第2可動電極の他面と可撓性の第2スペーサを隔てて対向するよう配設され、前記第1可動電極と接続されている導体とを備え、
前記第1可動電極と前記第1スペーサと前記第2可動電極とにより第1容量手段が構成されると共に、前記第2可動電極と前記第2スペーサと前記導体とにより第2容量手段が構成され、前記第1可動電極に印加された圧力に応じて前記第1容量手段のみが変位、あるいは、前記第1容量手段および前記第2容量手段が変位し、前記第1容量手段における容量の変化情報、および、前記第2容量手段における容量の変化情報に基づいて、複数の前記パッチ電極から出力される信号が合算されて出力信号として出力されると共に、複数の前記パッチ電極から出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された前記パッチ電極の位置情報が、前記第1可動電極における圧力が印加された位置情報として出力されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項5】
前記パッチ電極の1つと、該パッチ電極に隣接する前記パッチ電極からそれぞれ信号が出力される場合は、2つの前記パッチ電極から出力される2つの信号のレベルに応じた2つの前記パッチ電極間の境界における位置情報が算出され、算出された境界における位置情報が前記第1可動電極に圧力を印加した位置情報として出力されることを特徴とする請求項4記載の圧力センサ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか記載の圧力センサを操作することにより、操作情報を入力するようにしたことを特徴とするデータ入力装置。
【請求項1】
面状の可動電極と、
該可動電極と所定の間隔を隔てて対向するよう配設され、複数の分割電極を有している面状の固定電極とを備え、
前記可動電極と前記固定電極とにより容量手段が構成され、前記可動電極に圧力が印加されて変位した際の前記容量手段における容量の変化情報に基づいて、複数の前記分割電極から出力される信号が合算されて出力信号として出力されると共に、複数の前記分割電極から出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された前記分割電極の位置情報が、前記可動電極における圧力が印加された位置情報として出力されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記分割電極の1つと、該分割電極に隣接する前記分割電極からそれぞれ信号が出力される場合は、2つの前記分割電極から出力される2つの信号のレベルに応じた2つの前記分割電極間の境界における位置情報が算出され、算出された境界における位置情報が前記可動電極に圧力を印加した位置情報として出力されることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記出力信号および前記位置情報に応じた楽音が音源手段において生成される場合に、複数の前記分割電極の位置情報に対応してそれぞれ異なる楽器の楽音が前記音源手段において生成されるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の圧力センサ。
【請求項4】
面状の第1可動電極と、
該第1可動電極と可撓性の第1スペーサを隔てて一面が対向するよう配設され、複数のパッチ電極からなる面状の第2可動電極と、
該第2可動電極の他面と可撓性の第2スペーサを隔てて対向するよう配設され、前記第1可動電極と接続されている導体とを備え、
前記第1可動電極と前記第1スペーサと前記第2可動電極とにより第1容量手段が構成されると共に、前記第2可動電極と前記第2スペーサと前記導体とにより第2容量手段が構成され、前記第1可動電極に印加された圧力に応じて前記第1容量手段のみが変位、あるいは、前記第1容量手段および前記第2容量手段が変位し、前記第1容量手段における容量の変化情報、および、前記第2容量手段における容量の変化情報に基づいて、複数の前記パッチ電極から出力される信号が合算されて出力信号として出力されると共に、複数の前記パッチ電極から出力される信号の内の最大レベルの信号が出力された前記パッチ電極の位置情報が、前記第1可動電極における圧力が印加された位置情報として出力されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項5】
前記パッチ電極の1つと、該パッチ電極に隣接する前記パッチ電極からそれぞれ信号が出力される場合は、2つの前記パッチ電極から出力される2つの信号のレベルに応じた2つの前記パッチ電極間の境界における位置情報が算出され、算出された境界における位置情報が前記第1可動電極に圧力を印加した位置情報として出力されることを特徴とする請求項4記載の圧力センサ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか記載の圧力センサを操作することにより、操作情報を入力するようにしたことを特徴とするデータ入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2009−145555(P2009−145555A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321953(P2007−321953)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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