説明

圧着装置、フラットパネルディスプレイの製造装置およびフラットパネルディスプレイ

【課題】異方性導電膜を介してパネル基板に電子回路部品を実装するときに、両者の間の電気的な接続状態を良好に維持しつつ熱圧着を行うことを目的とする。
【解決手段】パネル基板1上にACF5を介して搭載されたTAB2を圧着するために、パネル基板1を下方から支承する基板支持台24と、基板支持台24に搭載されたパネル基板1上のTAB2を圧着する圧着ヘッド16とを備えており、圧着ヘッド16および基板支持台24は磁性材料から形成されており、圧着ヘッド16は加圧ブロック15に揺動可能に連結されており、基板支持台24に電磁石コイル23を設けており、電磁石コイル23を通電して磁力を発生させることにより、圧着ヘッド16を基板支持台24に倣わせるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板と電子回路部品とを圧着する圧着装置、この圧着装置を適用したフラットパネルディスプレイの製造装置およびこのフラットパネルディスプレイの製造装置により製造されたフラットパネルディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイの1つに液晶ディスプレイがある。液晶ディスプレイは、2枚の透明基板の間に液晶を封入して構成されるパネル基板の1辺乃至4辺に駆動ICである電子回路部品を搭載して構成される。電子回路部品をパネル基板に実装する方式としては、TAB(Tape Automated Bonded)、COG(Chip On Glass)、COF(Chip On Film)等があるが、何れの方式であっても、基板上の電極と電子回路部品との接続は異方性導電膜を介して行われる。異方性導電膜(ACF)は、導電粒子を混在させた接着性の樹脂フィルムであり、この異方性導電膜を加熱および加圧して電子回路部品と基板とを熱圧着して実装が行なわれる。熱圧着を行うときには、基板を下方から支承する基板支持台に、基板の電子回路部品が搭載された部位を載置する。そして、上方から加熱された加圧ヘッドを電子回路部品に押し当てて加圧を行うことにより、加熱および加圧の処理が行われる。
【0003】
熱圧着による実装方式では、電子回路部品とパネル基板との間を厳格に平行となるような状態で圧着しなければならない。このための加圧機構として、特許文献1のような技術が開示されている。特許文献1では、基板に対して圧着ヘッドを押圧させるときに、押圧時の上方向の反力を上部に設けた上部フレームによって受けるようになし、上部フレームと下受け部を支承する基部とを高剛性の側フレームによって固定的に連結している。上部フレームに作用する押圧反力は、連結されている基部に伝達され、ここで電子回路部品に対する押圧力と釣り合うようにしている。
【特許文献1】特開2004−221184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のフラットパネルディスプレイはファインピッチ化の傾向にあり、パネル基板および電子回路部品に形成されている電極のサイズ、また隣接する電極間の間隔は極めて微小になってきている。従って、パネル基板と電子回路部品との電気的な接続状態を良好にするために、パネル基板と電子回路部品との間の相対位置関係を極めて厳格に維持しながら圧着処理を行うことが要求される。一方で、電子回路部品とパネル基板との間には可撓性の樹脂フィルムである異方性導電膜が介在しており、圧着時には異方性導電膜が圧縮される。異方性導電膜は可撓性の樹脂フィルムであり流動性のある部材である。従って、電子回路部品とパネル基板とが圧着され、異方性導電膜が圧縮されるときには、圧縮力が作用する方向を垂直方向に完全に直進させなければならず、水平方向に僅かな力が作用すると、流動性のある部材であるため、滑りを生じてしまう。滑りを生じると、電子回路部品はパネル基板に対して水平方向に位置ずれを起こし、パネル基板と電子回路部品との間の接続状態が不良になる。
【0005】
特許文献1の技術では、パネル基板と電子回路部品との圧着には機械的な力により行っている。つまり、シリンダによりロッドを駆動させて、ロッドの上端部を上部フレームに機械的に押し付けて、加圧力を作用させている。このため、圧着機構の機械的精度や強度が完全に確保されていればともかく、そうでない場合には圧着時に生じる滑りにより位置ずれを起こすようになる。パネル基板と電子回路部品との圧着処理は繰り返し行われることから、当初はシリンダのロッドを垂直方向に直進性を持たせていたとしても、繰り返し圧着処理を行うことにより、徐々にロッドの直進性が失われていくようになる。また、ロッドの上端部の面を上部フレームに繰り返し押し当てていることから、ロッド上端部の面が次第に傾斜していき、上部フレームとロッド上端部の面との平行度を確保することができなくなる。このように、繰り返しの圧着処理により機械的精度が低下し、異方性導電膜を圧縮するときに生じる滑りにより位置ずれを起こし、接続不良を起こすようになる。
【0006】
そこで、本発明は、異方性導電膜を介してパネル基板に電子回路部品を実装するときに、両者の間の電気的な接続状態を良好に維持しつつ熱圧着を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の圧着装置は、基板上に異方性導電膜を介して搭載された電子回路部品を圧着するために、前記基板を下方から支承する基板支持台と、この基板支持台に搭載された前記基板上の前記電子回路部品を圧着する圧着ヘッドと、前記圧着ヘッドを昇降動作させる昇降駆動機構と、を備える圧着装置であって、前記圧着ヘッドおよび前記基板支持台は磁性材料から形成されており、また前記圧着ヘッドは前記昇降駆動機構に揺動可能に連結されており、前記圧着ヘッドと前記基板支持台とのうち少なくとも一方にコイルを設け、このコイルを通電して磁力を発生させることにより、前記圧着ヘッドを前記基板支持台に倣わせるようにしたこと、を特徴とする。
【0008】
この圧着装置によれば、圧着ヘッドと基板支持台との間に生じる磁力の作用により、圧着ヘッドの面と基板支持台の面とが倣うように吸着する。これにより、基板と電子回路部品との相対位置関係が厳格に維持されながら圧着されるため、基板と電子回路部品との間の位置ずれが起こらなくなる。従って、基板と電子回路部品との間の接続状態を良好にすることができるようになる。
【0009】
本発明の請求項2の圧着装置は、請求項1記載の圧着装置において、前記圧着ヘッドと前記基板支持台との間に作用する磁力により、前記電子回路部品を前記基板に加圧すること、を特徴とする。
【0010】
この圧着装置によれば、圧着ヘッドの面と基板支持台の面とが倣った状態から強力な磁力を作用させることにより、電子回路部品を基板に加圧することができるようになる。磁力は一様に作用するため、圧着時に滑りを生じることなく、確実に且つ良好に電子回路部品が基板に圧着される。磁力により圧着を行っているため、別途の加圧機構を要することがなくなり、機構の簡略化を図ることができる。
【0011】
本発明の請求項3の圧着装置は、請求項1記載の圧着装置において、前記昇降駆動機構の先端部を球面形状に構成し、また前記昇降駆動機構は下方に向けて加圧力を作用させる構成となし、前記基板支持台に倣った前記圧着ヘッドに対して、前記昇降駆動機構の先端部から加圧力を作用させるようにしたこと、を特徴とする。
【0012】
この圧着装置によれば、圧着ヘッドを基板支持台に倣わせた状態で球面形状の先端部から加圧力を作用させていることから、磁力と加圧力との組合せにより所望の加圧力を得ることができるようになる。
【0013】
本発明の請求項4の圧着装置は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の圧着装置において、前記基板の1辺に対して複数の前記電子回路部品が搭載されており、前記圧着ヘッドは、1個分の前記電子回路部品を圧着させる面積を有していること、を特徴とする。
【0014】
この圧着装置によれば、基板に複数搭載されている電子回路部品のうち1個分の電子回路部品を加圧するだけの面積を当接ヘッドに持たせているため、この当接ヘッドの面積を狭小にすることができ、電子回路部品に対してより均一に加圧することができるようになる。
【0015】
本発明の請求項5のフラットパネルディスプレイの製造装置は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の圧着装置を備えたこと、を特徴とする。また、本発明の請求項6のフラットパネルディスプレイは、請求項5記載のフラットパネルディスプレイの製造装置により製造されたものである。
【0016】
請求項1乃至4の何れか1項に記載した圧着装置は、フラットパネルディスプレイの製造装置に適用することができる。フラットパネルディスプレイの製造工程の中でも、電子回路部品と基板とを本圧着する工程に主に適用することができる。フラットパネルディスプレイとしては、主に液晶ディスプレイがあるが、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置に対して適用するものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、圧着ヘッドを揺動可能に構成し、圧着ヘッドと基板支持台との間に磁力を作用させることにより、圧着ヘッドが基板支持台に倣うようにして吸着されるようになる。このため、基板に対して電子回路部品が位置ずれを起こすことなく吸着されるため、圧着時に滑りを生じることなく、基板と電子回路部品との間の相対位置関係を厳格にすることができ、接続状態を良好に維持しながら基板に電子回路部品を実装できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、液晶ディスプレイを構成するパネル基板1を示している。以下、液晶ディスプレイを例示して説明するが、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ等の任意のフラットパネルディスプレイに対して、本発明の圧着装置を適用することができる。パネル基板1は、TFT回路が形成されたTFT基板1aとカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板1bとを貼り合わせた基板であり、TFT基板1aとカラーフィルタ基板1bとの中間層に液晶を封入したものとして構成している。図1にも示しているように、TFT基板1aはカラーフィルタ基板1bよりも寸法が大きいものを使用しており、このためパネル基板1の周辺部において、それぞれ所定幅の領域が露出している。この領域(TAB搭載領域1cとする)にTAB2を搭載していく。図1では、TAB2はパネル基板1の長辺および短辺の2辺に対して搭載していくものを例示しているが、1辺、3辺、4辺に対して搭載するものであってもよい。
【0019】
本発明では、電子回路部品としてTAB2を適用している。電子回路部品を実装する方式としてTAB方式を例示しているが、ドライバICを直接パネル基板1に搭載するCOG方式やフレキシブルなプリント基板上にドライバICを搭載するCOF方式等の任意の方式を用いるものであってよい。そして、パネル基板1の周囲には印刷回路基板としてのPCB3を配置しており、PCB3とTAB2とが電気的に接続される。PCB3は、パネル基板1の各画素を駆動するためのコントローラであり、PCB3からの信号がTAB2に出力され、TAB2からパネル基板1の各画素の駆動が行われる。
【0020】
図2は、TAB2の接続部分を示している。パネル基板1に形成されているTAB搭載領域1cには、複数の電極が群をなして所定ピッチ毎に電極群4を形成している。一方、TAB2はIC回路素子2aとフィルム基板2bとを有しており、フィルム基板2bには多数の電極を形成している。パネル基板1の電極群4の各電極とTAB2に形成されている各電極とが電気的に接続されて、パネル基板1の各画素の駆動が行われる。
【0021】
パネル基板1にTAB2を実装するプロセスとしては、ACF貼り付け工程と仮圧着工程と本圧着工程との3つが主にある。ACF5は導電粒子を混在させた熱硬化性の接着フィルムであり、ACF貼り付け工程においてパネル基板1の電極群4に正確にアライメントされた後にACF5が貼り付けられる。仮圧着工程は、このACF5に対して僅かな温度および加圧力で熱圧着を行い、パネル基板1とTAB2との間に粘着力を作用させて仮圧着状態にする。本圧着工程は、仮圧着状態のパネル基板1とTAB2との間に高温および高圧で熱圧着を行い、確実にパネル基板1にTAB2を搭載する工程である。
【0022】
図3(a)には、TAB2がパネル基板1に仮圧着状態となっている状態を示している。本圧着工程では、ACF5が高温で加熱されるため、ACF5のフィルム5aが熱溶融する。そして、TAB2には上方から加圧力が作用するため、TAB2はパネル基板1に対して押し当てられ、図3(b)のようにACF5は圧縮される。従って、TAB2とパネル基板1との間隔も圧縮されて、パネル基板1とTAB2とが密着するようになる。このとき、パネル基板1に形成されている電極群4の電極4dとTAB2に形成されている電極2dとの間で、導電粒子5bが挟持されて、その間が電気的に接続された状態になる。そして、ACF5のフィルム5aを熱硬化させることにより、TAB2がパネル基板1に熱圧着される。この本圧着処理を経ることにより、パネル基板1に確実にTAB2が実装された状態になる。なお、ACF5には熱可塑性の接着フィルムを用いてもよい。
【0023】
本圧着工程では、パネル基板1を下方から支持部材により支持した状態で、上方から圧着部材をTAB2に押し当てて、加圧力を作用させて圧着させる。このとき、圧着部材が厳格に垂直方向に直進するものであればよいが、機械的精度の低下により僅かに角度をもって押し当てるような場合には、ACF5は可撓性の接着フィルムであり、流動性を持つ部材であることから、圧着時に電極2dと電極4dとの間にずれを生じる水平方向に大きな力が作用する。その結果、TAB2が水平方向に滑りを起こし、TAB2とパネル基板1との間の相対位置関係がずれるようになる。特に、パネル基板1に形成されている電極4dおよびTAB2に形成されている電極2dは、配線数の増加に伴いファインピッチ化の傾向にあり、電極自体のサイズも非常に微小なものになる。このため、僅かな水平方向の力が作用して、TAB2に滑りが生じると、電極2dと電極4dとの接続状態が不良になり、TAB2をパネル基板1に正確に実装できなくなる。
【0024】
そこで、本発明では、磁力によりTAB2をパネル基板1に倣わせるようにして圧着処理を行うようにしている。図4および図5に本発明の圧着装置10を示す。この圧着装置10は、パネル基板1を挟んで上部側に設けられる圧着機構11と下部側に設けられる支持機構12とを有している。圧着機構11は、上部側シリンダ13と上部側スライダ14と加圧ブロック15と圧着ヘッド16と連結軸17とを備えて概略構成している。上部側シリンダ13と上部側スライダ14とは連結されており、上部側シリンダ13の昇降動作に伴って上部側スライダ14が昇降動作を行う。上部側スライダ14はガイドレール18に沿って昇降動作を行うようになっている。上部側スライダ14の下部には加圧ブロック15が接続されており、上部側スライダ14と一体となって昇降動作を行う。
【0025】
圧着ヘッド16は、嵌合部16Cを有する概略凹形状の部材であり、嵌合部16Cにおいて加圧ブロック15と連結軸17により連結されている。連結軸17は嵌合部16Cの側面に設けた連結孔16Hに回転自在に挿通されており、圧着ヘッド16は加圧ブロック15に対して自由に揺動することが可能なようになっている。図5に示すように、連結孔16Hの孔径は連結軸17の径より大きく形成しており、また上下に比較的大きな幅を持たせている。そして、図4および図5に示すように、加圧ブロック15の先端部分を球面形状にしている。
【0026】
次に、支持機構12について説明する。支持機構12は、下部側シリンダ21と下部側スライダ22と電磁石コイル23と基板支持台24とヒータ25とを備えて概略構成している。下部側シリンダ21は下部側スライダ22と連結されており、この下部側スライダ22はガイドレール18に沿って昇降動作させることが可能なようになっている。下部側スライダ22の上部には電磁石コイル23が巻回されており、その上部には基板支持台24が連結されている。基板支持台24にはヒータ25を設けており、ヒータ25の加熱作用により基板支持台24を加熱することができるようになっている。以上の圧着ヘッド16、下部側スライダ22および基板支持台24には、例えば、鉄等の磁性材料からなる素材を用いている。
【0027】
以上の構成を用いた場合の本圧着処理について説明する。仮圧着処理においてTAB2が仮圧着されたパネル基板1が本圧着処理を行うステージに搬送され、圧着装置10に圧着部位がセットされる。この時点では、圧着機構11および支持機構12は、パネル基板1およびTAB2に接触しておらず、それぞれ離間した上下位置で待機している。パネル基板1が正確にアライメントされた後に、まず下部側シリンダ21を駆動して下部側スライダ22を上昇させる。これにより、支持機構12が上昇して、基板支持台24がパネル基板1の下部に当接し、下方からパネル基板1が支承される。なお、パネル基板1のアライメントを圧着装置10の圧着部位で行わず、この部位から離れた位置で行うことで下部側スライダ22は下部側シリンダ21を備えない固定式とすることもできる。
【0028】
次に、上方から圧着機構11が圧着を行う。まず、上部側シリンダ13を駆動することにより、上部側スライダ14が下降し、圧着機構11全体が下降する。そして、圧着ヘッド16とTAB2とが接触する位置にまで下降させて、その位置で停止するようにする。このときには、TAB2に対して加圧力は作用されておらず、TAB2が動かないように圧着ヘッド16の自重のみで単に接触している状態になる。この状態で、電磁石コイル23を通電する。電磁石コイル23を通電すると、下部側スライダ22および基板支持台24は磁性材料を用いているため、各部に磁力が発生する。そして、圧着ヘッド16も磁性材料を用いているため、圧着ヘッド16と基板支持台24との間には磁力が作用して、吸着し合うようになる。このとき、圧着ヘッド16と基板支持台24との間には一様な磁界が発生しているため、圧着ヘッド16の下面が基板支持台24の上面に倣うようにして吸着される。このため、圧着ヘッド16と基板支持台24との間に挟まれている状態になっているパネル基板1とTAB2とは位置ずれを起こすことなく密着状態になる。
【0029】
また、ヒータ25を稼動して基板支持台24全体の加熱も行っている。基板支持台24が加熱されることにより、当接しているパネル基板1も加熱される。基板支持台24はパネル基板1上のTAB2の搭載部位を下方から支承しているため、加熱により、パネル基板1とTAB2との間に介在しているACF5が高温状態になり、熱溶解して接着力を発揮するようになる。そして、上部側シリンダ13を駆動して、さらに加圧ブロック15を下降させる。圧着ヘッド16の連結孔16Hは上下方向にある程度の幅を持たせており、圧着ヘッド16は下降しないが、加圧ブロック15はさらに下降することが可能である。加圧ブロック15をさらに下降させて、圧着ヘッド16の嵌合部16Cの面を加圧する。
【0030】
加圧ブロック15の先端部を球面形状にしているため、この先端部と嵌合部16Cの面とは点接触することになる。このとき、磁力の作用により、圧着ヘッド16は基板支持台24に倣うようにして吸着されており、厳格な平行度が維持されている。従って、この状態で、球面形状の加圧ブロック15先端部により圧着ヘッド16を加圧すると、圧着ヘッド16の下面全体に均等な加圧力を作用させることができるようになる。このため、水平方向にTAB2が滑ることはなく、電極2dと電極4dとの間を確実に接続した状態にすることができるようになる。以上の熱圧着を行うことにより、電気的に接続された状態を維持しつつ、TAB2をパネル基板1に実装することができる。この本圧着処理を終了した後には、電磁石コイル23の通電を停止して、磁力を解除し、上部側シリンダ13および下部側シリンダ21を駆動して、圧着機構11と支持機構12とを離間させるようにする。
【0031】
従って、基板支持台24に磁力を発生させて、圧着ヘッド16を倣わせるようにして吸着していることから、パネル基板1とTAB2との間の位置ずれを起こすことなく圧着処理を行うことができるようになる。以上の例では、圧着ヘッド16を倣わせた状態で加圧ブロック15により加圧力を作用させているが、加圧力を与える手段としては任意の手段を適用することができる。例えば、電磁石コイル23に通電させるときの電流を増大させれば、強力な磁力を生じさせることができ、圧着ヘッド16が基板支持台24に倣うようにして強く吸着されるようになる。このため、圧着処理に必要な加圧力を磁力により与えることができるため、加圧ブロック15から加圧力を作用させる必要がなくなる。この場合には、単に圧着ヘッド16を昇降させる機構だけで足り、機構の簡略化を図ることができるようになる。
【0032】
また、圧着ヘッド16および基板支持台24はTAB2の1個分を熱圧着するための面積を有しているものを適用している。パネル基板1には複数のTAB2が実装されるため、TAB2の個数分の圧着装置10を用意するか、或いは圧着装置10を水平方向に移動可能に構成して、順次TAB2を圧着装置10により実装を行うようにする。TAB2の1個分の面積を圧着ヘッド16および基板支持台24を持たせているため、当該面積は狭小な面積となる。従って、加圧力をより均一に作用させることができるようになるという効果を奏する。ただし、パネル基板1の1辺に実装する全てのTAB2をカバーするように、圧着ヘッド16および基板支持台24を細長にしてもよい。この場合でも、磁力の作用により圧着ヘッド16は基板支持台24に倣うようにして吸着するため、平行度を確保することはできる。また、圧着ヘッド16はTAB2の1個分だけの面積を持たせ、基板支持台24を全てのTAB2をカバーできるように細長にするものであってもよい。また、ヒータ25は基板支持台24に設けるのではなく圧着ヘッド16に設けてもよく、基板支持台24と圧着ヘッド16とに設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】パネル基板の平面図である。
【図2】パネル基板とTABとの接続前の状態を示す外観図である。
【図3】パネル基板とTABとがACFにより接続される状態を示す説明図である。
【図4】圧着装置の正面図である。
【図5】圧着装置の側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 パネル基板 10 圧着装置
11 圧着機構 12 支持機構
15 加圧ブロック 16 圧着ヘッド
23 電磁石コイル 24 基板支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に異方性導電膜を介して搭載された電子回路部品を圧着するために、前記基板を下方から支承する基板支持台と、この基板支持台に搭載された前記基板上の前記電子回路部品を圧着する圧着ヘッドと、前記圧着ヘッドを昇降動作させる昇降駆動機構と、を備える圧着装置であって、
前記圧着ヘッドおよび前記基板支持台は磁性材料から形成されており、また前記圧着ヘッドは前記昇降駆動機構に揺動可能に連結されており、
前記圧着ヘッドと前記基板支持台とのうち少なくとも一方にコイルを設け、このコイルを通電して磁力を発生させることにより、前記圧着ヘッドを前記基板支持台に倣わせるようにしたこと、を特徴とする圧着装置。
【請求項2】
前記圧着ヘッドと前記基板支持台との間に作用する磁力により、前記電子回路部品を前記基板に加圧すること、を特徴とする請求項1記載の圧着装置。
【請求項3】
前記昇降駆動機構の先端部を球面形状に構成し、また前記昇降駆動機構は下方に向けて加圧力を作用させる構成となし、
前記基板支持台に倣った前記圧着ヘッドに対して、前記昇降駆動機構の先端部から加圧力を作用させるようにしたこと、を特徴とする請求項1記載の圧着装置。
【請求項4】
前記基板の1辺に対して複数の前記電子回路部品が搭載されており、
前記圧着ヘッドは、1個分の前記電子回路部品を圧着させる面積を有していること、を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の圧着装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の圧着装置を備えたこと、を特徴とするフラットパネルディスプレイの製造装置。
【請求項6】
請求項5記載のフラットパネルディスプレイの製造装置により製造されたフラットパネルディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−34105(P2010−34105A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191675(P2008−191675)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】