説明

圧縮ガスを収容したインフレータの性能の調整

【課題】各成分の相対的な量を変えることによって含まれている混合ガスのモル重量が調整されるインフレータ装置が提供される。
【解決手段】混合ガスのモル重量をこのように調整し、精密に制御することによって、関連のエアバッグクッションの展開速度を望ましい形で制御し或いは管理し、展開速度が速すぎることによる関連のエアバッグクッションのダメージを最小限に抑え或いは減少させ、様々な近接型のエアバッグクッションまたは膨張式拘束装置の適切な或いは所望の動作にとって要求される比較的重荷となる膨張要求を満足するようにインフレータの性能が適切に調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、膨張式の拘束システムで使用される膨張式の乗物乗員拘束エアバッグクッションの膨張に関する。特に、本発明は、膨張式の乗物乗員拘束エアバッグクッション、特に、近接型の膨張式エアバッグクッションの膨張に使用される装置、システム、および、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
展開していない状態から展開した状態へとオペレータが介在する必要なく自動的に作動する安全拘束システム、すなわち、「受動型拘束システム」によって乗物の乗員を保護することが知られている。こうしたシステムは、一般的に、例えば、「エアバッグクッション」とも呼ばれるクッションやバッグの形をした膨張式の乗物乗員拘束装置または乗物乗員拘束要素を収容し或いは有する。そして、こうしたシステムでは、必要空間を最小にするために、エアバッグクッションは、通常、膨張していない折り畳まれた状態で収容されている。システムが作動すると、数ミリ秒以内に、「インフレータ」と呼ばれる装置によってガスが供給され或いは生成されて、エアバッグクッションが膨張し始める。
【0003】
実際には、乗員と乗物内部の部材、例えば、ドア、ハンドル、インストルメントパネル等との間へと乗物内の1つ以上の場所へエアバッグクッションが展開して、こうした乗物内部の部材に乗員が打ち付けられることを防止し或いは避けることが好ましい。そこで、乗物内の乗員の配置や位置、そして、乗物の衝突の方向や種類といったものに基づいて、乗物の乗員を望ましい形で保護することができるように、様々なタイプや形式の受動型拘束組立体が開発され考案されてきた。例えば、真っ正面から衝突したときに運転手や前部座席に居る乗員を保護するには、運転手・乗員用の膨張式の拘束設備を広く利用できることが分かっている。
【0004】
また、真っ正面から衝突した場合に運転手と前部座席に居る乗員とを保護するためには、従来からの一般的な形式またはタイプの運転手・乗員用膨張式の拘束設備が有用であって、概して効果があるが、乗員の保護をさらに改善し或いは向上したさらなる膨張式拘束装置の開発が追求されている。例えば、真っ正面以外の方向から受ける乗物の衝突や衝撃、すなわち、「側面衝突」が起こったときに向上せしめられた乗物乗員の保護を提供するために、乗物の乗員に近接して配置し膨張させるような様々な形式またはタイプの膨張式エアバッグクッションが設計され或いは提案されている。また、乗員の特定の箇所や領域の保護を改善し或いは向上するために、特定の形式またはタイプの近接型エアバッグクッションが開発され或いは提案されている。例えば、乗物の乗員の頭部または胸部またはこれら両方に対して向上され或いは改善された保護を提供するために、胸部側面衝突用エアバッグクッション、または、頭部・胸部側面衝突用エアバッグクッションを提供し或いは含ませることができる。
【0005】
具体的に有効な1つの形式の側面衝突用の膨張式拘束装置が、1998年8月4日にHAlandらに付与された米国特許第5788270号の主題となっており、この米国特許明細書の内容全体は本明細書にも含まれるものであり、本明細書の一部を構成するものである。HAlandらに付与された米国特許第5788270号明細書に開示されているような膨張可能な要素は、望ましくは、2つの層のファブリックからなる膨張可能な部分を有し、正面のファブリック層と背面のファブリック層とが所定の箇所にて編み込まれている。具体的な実施形態では、こうした所定の箇所は鉛直方向に延びる柱状のものとなるように配設され、膨張可能な部分を鉛直方向に互いに平行に延びる複数のチャンバへと分割している。また、所定箇所間の空間は、膨張可能な要素の隣接するチャンバ間で内部流通可能なようになっている。また、広い領域に亘る保護を提供する応用場面に利用され、略平坦な形状を有する特定の膨張式の装置または要素は、多くは、「膨張式のカーテン」と呼ばれている。
【0006】
一体型の編込み構造は、こうした膨張式の要素のエアバッグクッションを形成する特に有効な方法であることが分かっている。特に、一体型の編込み構造は、望ましいスタンドアップ時間を提供する適切なエアバッグクッションを構成する方法としては比較的コストが安いことが分かっている。また、当該技術分野では公知のように、膨張式の要素のエアバッグクッションは様々な材料から製造可能であるが、上述したような一体型の編込み構造を備えた膨張式のカーテン要素を作製し或いは製造するのに用いられる材料としては、ナイロン6,6が特に有効であり有益である。
【0007】
乗物の膨張式の拘束システムに用いられる特定の形式の近接型の膨張式エアバッグクッションには、カーテン型のエアバッグクッションやその他の側面衝突(頭部、胸部、または、これらの組合せ等)用のエアバッグクッション、膝用のエアバッグクッションバッグ、乗物の乗員に近いところで展開するその他の比較的薄いエアバッグクッションが含まれる。
【0008】
展開時、エアバッグクッションが加圧された状態にある時間は、一般的に、「スタンドアップ時間」と呼ばれている。実際には、運転手側エアバッグクッションおよび乗員側エアバッグクッションは、それに対面して座っている乗物の乗員に望ましくない形で硬く或いは曲がらない面を提供してしまうことを避けるために、典型的には、展開するとほとんど直ぐに収縮し始める。しかしながら、適切で望ましいレベルの乗員の保護を提供するためには、事故や衝突が起こったときのスタンドアップ時間が実質的に長いエアバッグクッションが要求され或いは望まれる。
【0009】
例えば、厄介な側面衝突の1つの具体的な形態は、一般的に、「横転」と呼ばれる。横転事故が起こると、乗物は部分的に横転したり完全に横転したり何度も横転したりする。横転事故は特に膨張式の拘束システムに対する要求が厳しいことは、当業者には明らかであろう。特に、通常の或いは典型的な運転手側エアバッグクッション設備や乗員側エアバッグクッション設備に比べて、長い時間に亘って加圧された状態に維持されるように、乗物の横転事故が起こったときに乗員の保護を提供するように設計されたエアバッグクッションが要求され或いは望まれている。例えば、横転保護用の側面衝突エアバッグクッションは、望ましくは、クッションの内部圧力が25kPaよりも高いか否かに基づいて算出される約5秒またはそれ以上ものスタンドアップ時間、加圧されたままであり或いは該スタンドアップ時間を提供する。
【0010】
さらに、近接型のエアバッグクッションが乗物の乗員の近くで展開するように設計され或いは配置されると、こうしたエアバッグクッションは、概して、非常に素早く、例えば、20ミリ秒より短い時間で、乗物内部の適切な場所へと展開する必要がある。また、一般的に、エアバッグクッションを適切に或いは望ましい形で膨張されるためには、展開開始後、30ミリ秒のうちに約80kPaを超えるクッション圧が必要とされる。
【0011】
また、さらなるシステム性能基準には、位置に関する要求や完全性に関する要求が含まれると共に、クッションへ流入する膨張媒体のモル流量を少なくしたりその温度を低くしたりすることによってクッションへのダメージを低減し或いは最小限に抑え或いは避けるという必要や要求も含まれる。
【0012】
さらに、こうした性能基準を低いコストで且つシステムの包装や重量を最小限に抑えつつ達成することは、設計上および技術上の継続的な目的である。なお、こうした膨張システムのコストに相当に寄与するものには、典型的には、クッションのコーティング、インフレータのサイズ、火薬に関する要求、ガスの案内に関する要求、その他の追加の設計上の特徴といったものが含まれる。例えば、展開や膨張に関連してクッションにかかるストレスやダメージを避け或いは最小限に抑えるためには、クッションコーティングが要求され或いは望まれる。インフレータのサイズを小さくすること、例えば、必要な金属の量を最小限に抑え、収容する火薬の量や要求を最小限に抑えることによって、システムのコストが低減される。
【0013】
このように、こうしたエアバッグクッションを膨張させる改良型の装置または機械、これに関連する改良型の膨張式の拘束システム、そして、近接型の膨張式エアバッグクッションを膨張させる方法に対する必要や要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の全体的な目的は、膨張式の装置を膨張させる装置または機械、改良型の膨張式の拘束システム、そして、近接型の膨張式エアバッグクッションを膨張させるための改良型の方法の1つ又は1つ以上を提供することにある。
また、本発明のより具体的な目的は、上述した問題点の1つ又は1つ以上を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の全体的な目的は、膨張式の装置を膨張させるための装置を通じて、少なくとも部分的に達成される。本発明の1つの好適な実施形態では、上記装置は、平均モル重量が少なくとも10であって15よりも大きくない混合ガスを高い圧力で収容するチャンバを有する。混合ガスは、膨張式の装置を膨張させるためのガス状の膨張媒体を提供することができる。また、上記装置は、チャンバを開けるために作動するチャンバオープナーを有する。また、上記装置は、当該装置から膨張式の装置へガス状の膨張媒体を導くための少なくとも1つの出口ポートを備えたディフューザ組立体を有する。
【0016】
従来の技術は、概して、システムの包装や重量を最小限に抑えると共に概して望ましい程度にコストを下げ或いは最小限に抑えるように初期クッション膨張やスタンドアップに関連する種々の性能基準を満足するインフレータ装置や膨張式の拘束システムや近接型の膨張式エアバッグクッションを膨張させるための方法を提供するものではない。
【0017】
また、本発明は、少なくとも1つの近接型の膨張式拘束装置と、作動したときにガス状の膨張媒体を該少なくとも1つの近接型の膨張式拘束装置に提供することができるインフレータとを有する膨張式の拘束システムを含んでいる。インフレータは、平均モル重量が少なくとも10であって15よりも大きくない混合ガスを高い圧力で含む。本発明の1つの好適な実施形態では、混合ガスは本質的にヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、亜酸化窒素、窒素、および、酸素からなるグループの中の少なくとも2つからなる。
【0018】
また、本発明は、近接型の膨張式エアバッグクッションを膨張させるための方法を含んでいる。本発明の1つの好適な実施形態では、当該方法は、平均モル重量が少なくとも10であって15よりも大きくなく、本質的にヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、亜酸化窒素、窒素、および、酸素からなるグループの中の少なくとも2つからなり、上記近接型の膨張式エアバッグクッションを膨張させるためにガス状の膨張媒体を提供するのに有効な混合ガスを高い圧力で収容するチャンバを有するインフレータ装置を作動させる工程を具備する。
【0019】
なお、本明細書では、「近接型のエアバッグクッション」は、カーテンやその他の側面衝突(頭部、胸部、これらの組合せ等)用のエアバッグクッション、膝用のエアバッグクッション、或いは、乗物の乗員に近いところで展開するように設計され配置されたその他の比較的薄型のエアバッグクッションといったエアバッグクッションを指す。
【0020】
さらに、「側面衝突」用の膨張式の拘束システムやその組立体などは、概して、例えば、(膨張式のカーテン型の膨張装置を介した)横転に対する保護、(頭部・胸部側面衝突用の膨張装置を介した)頭部と胸部との保護、そして、(胸部側面衝突用の膨張装置を介した)胸部の保護の1つ又は1つ以上を提供することによって、側面衝突が起こったときに乗物の乗員を保護するシステムやその組立体を包含している。
【0021】
また、本明細書では、「分解」や「分解反応」などは、1つの分子腫が2つ又は2つ以上の単位へ分離し、分裂し、分解し、バラバラとなることを指している。
また、「熱分解」は、主に温度の支配を受ける分解のことである。なお、例えば、恐らくは、分解反応が始まるのに必要な温度を変えることによって圧力が複雑な形で熱分解に影響を与え、或いは、作動圧が高いときには、分解反応を完了させるのに必要なエネルギを圧力が変えることになるが、こうした分解反応は、主に温度の支配を受けるものである。
また、「発熱分解」は、熱を放出する熱分解である。
【0022】
特に明言はしないが、モル重量とは、グラム/モルを単位とするものである。
本発明のその他の目的や利点は、添付の特許請求の範囲および図面を参考にして、後述の説明を読めば、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の1つの実施形態のエアバッグインフレータの略部分断面図である。
【図2】本発明の1つの実施形態の膨張式の拘束システムを搭載した自動車内部の側面図である。
【図3】実施例1〜5から得られる時間に対するタンク圧を示すグラフである。
【図4】実施例6〜12から得られる時間に対するタンク圧を示すグラフである。
【図5】実施例13〜15から得られる時間に対するタンク圧を示すグラフである。
【図6】実施例16〜21から得られる時間に対するタンク圧を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、概して、インフレータ装置またはインフレータ機械を提供するものであり、ここでのインフレータ装置またはインフレータ機械は、そこに含まれている混合ガス中の各成分の相対的な量を変えることによって混合ガスの分子量が調節されるものである。後述するように、このように混合ガスの分子量を調節し、そして、精密に制御することによって、インフレータ性能を適切に調整し、これにより、関連のエアバッグクッションの展開速度を所望通りに制御し或いは管理し、展開速度が速すぎることにより引き起こされる関連のエアバッグクッションのダメージを最小限に抑え或いは低減し、そして、様々な近接型のエアバッグクッションや膨張式拘束装置を適切に或いは望ましく作動させるために要求される比較的煩わしい膨張に関する要求に応えることができる。
【0025】
本発明は、様々な構造にて実施可能である。その代表として、図1は、本発明の1つの実施形態である装置10として具体化された本発明を示している。このようなガス供給装置またはガス生成装置は、膨張式の装置、特に、カーテン型のエアバッグクッションやその他の側面衝突(例えば、頭部、胸部、これらの組合せ等)用のエアバッグクッション、或いは、膝用のエアバッグクッション、或いは、例えば、乗物の乗員に近いところから展開するその他の比較的薄型のエアバッグクッションといった近接型の膨張式エアバッグクッションを膨張するのに使用されると有利である。
【0026】
以下では、特に、バンやピックアップトラックや特定の自動車といった様々な自動車両に関連して使用可能な近接型の膨張式拘束装置の形態をした膨張式の装置の膨張に関連して本発明を説明するが、例えば、航空機のようなその他のタイプや種類の乗物だけでなく、当業者にとって明らかなその他のタイプや形態の膨張式の装置の膨張にも本発明を適用可能である。
【0027】
図1を参照するに、以下ではインフレータとも呼ぶことがある膨張装置10は、拡張可能な流体14で満たされ且つ加圧されている第1室または貯蔵室12を有する。詳細は後述するが、拡張可能な流体は、概して、それに関連する膨張式の装置を膨張するのに使用されるガス状の膨張媒体を提供することができるものである。特に、こうした拡張可能な流体は、典型的には、1種類または2種類以上の圧縮ガスの性質を有するものである。なお、こうした圧縮ガスは、気体の状態で貯蔵されていても、液体の状態で貯蔵されていても、複数の状態(すなわち、一部が気体で一部が液体となっている混合体の状態)で貯蔵されていてもよいことは明らかであろう。こうした観点から、本明細書では、第1室12を気体・液体貯蔵室と称したり、単に、貯蔵室と称したりもする。
【0028】
本発明の好適な実施形態では、拡張可能な流体14は、平均分子量が10よりも大きく15よりも小さい混合ガスである。また、好適な1つの実施形態では、混合ガスは、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、亜酸化窒素、窒素、および、酸素からなるグループの中から選択された少なくとも2つからなる。概して、本発明を実施するに当たり使用されるものとしては、ヘリウムが特に有用で、好ましい混合ガスの成分である。例えば、ヘリウムは、概して、バッグが展開するときのバッグのダメージを望ましい形で抑制することができる比較的小さな質量流量を提供するものである。また、ヘリウムは、概して、比較的大きなモル流量を提供するものでもある。本発明の実施に当たり使用される特に望ましい混合ガスは、少なくとも約70モルパーセントであって、約85モルパーセント以下のヘリウムを含んだものであり、特に好ましい混合ガスは、約80モルパーセントのヘリウムを含んだものである。本発明の実施に当たり使用される具体的な混合ガスの1つは、亜酸化窒素と二酸化炭素のいずれか一方または両方と、ヘリウムとからなる混合ガスである。また、本発明において有用な混合ガスの具体的な例は、本質的に、二酸化炭素と亜酸化窒素とからなるグループの中から選ばれた少なくとも1つとヘリウムとからなる混合ガスである。
【0029】
本発明の混合ガスに亜酸化窒素を含ませ使用することには、特に魅力があることが判明した。特に、下の化学反応式(1)に従って、亜酸化窒素は分解してモル量が増大したガス状の生成物を生成し、ここでは、亜酸化窒素の分解によって生成され形成された分解生成物は理想的に窒素と酸素である。
2N2O=2N2+O2 (1)
【0030】
このように、この反応は、概して、毒性がなく非腐食性の生成物を形成するだけでなく、酸素分子をも生成し或いは形成する。この酸素は、始動装置によって提供され或いは利用される燃料と反応するのに利用される酸化剤として、その後の反応に利用可能であり、ここで、上述した燃料は、膨張ガスの生成や形成をさらに高めるものである。また、亜酸化窒素は、空気や窒素やアルゴンのような気体に比べて、大気温でも比較的液化しやすい。また、亜酸化窒素は、約200℃以上の温度までは比較的不活性である。このため、亜酸化窒素は、比較的扱いやすく、温度的に安定しており、貯蔵しやすく、そして、製造上考慮すべき事項を軽減することができるので望ましい。
【0031】
こうしたことから、亜酸化窒素は、ヘリウムとの混合気中にあるときには、ヘリウムとその他の特定のガス、例えば、アルゴンとの混合気よりも、より多くのガスを分解によって生成する。動作理論によって制約を加える意図はないが、理論上、ヘリウムは、その他の適切な混合ガスの成分に比べて、熱伝導率が高いことから、亜酸化窒素間で熱を効率的に伝達させ、分解を促進し高めることができる。
【0032】
貯蔵室12は、望ましくは、端部が開口している継ぎ目のないチューブのような細長くて略円筒形のスリーブ16によって画成されている。スリーブ16は、当該技術分野では公知の充填ポート18を有し、この充填ポート18を介して貯蔵室12内へ材料が通される。貯蔵室12が充填された後、充填ポート18は、ピンやボール18aといったもので公知のように適切な形で閉鎖され或いは栓をされる。なお、充填ポートをインフレータ装置に組み込む場合、当業者の望みや理解に従って、充填ポートを位置決めし配置すればよい。したがって、広く言えば、本発明の実施は、充填ポートを備えているか否かや、その位置や配置に必ずしも制限されるものではない。
【0033】
ところで、スリーブ16は、互いに反対側にある第1開口端20と第2開口端22とを有する。スリーブの第1開口端20には、本明細書でディフューザ組立体と称す組立体24が形成され、または、適切な形で連結され或いは取り付けられている。そして、第1室12は、ディフューザ組立体24の一部または別体の要素である破裂ディスク26によって、スリーブの第1開口端20のところで封鎖されている。また、例えば、図1に示されているように、スリーブの第1開口端20をスウェージ加工し、イナーシャ溶接30によって、ディフューザ組立体24をスリーブの第1開口端20に接続することができる。
【0034】
また、ディフューザ組立体24はボス32を有し、このボス32には、ディフューザ要素34が連結され或いは接続される。ディフューザ要素34は複数の出口ポート36を有し、この出口ポート36を介してインフレータ10からの膨張ガス、特に、ディフューザ組立体24からの膨張ガスが、関連のエアバッグクッション(図示せず)へと適切な形で供給される。このように、ディフューザ組立体24は、インフレータ10から関連の膨張式エアバッグクッションへの膨張ガスの方向やバリスティックに関する制御性を高めるものである。なお、出口ポートの数や配置は、具体的なインフレータの搭載形式に必要な或いは望まれる具体的な膨張性能の特性が提供されるように選択されることは、当業者には明らかであろう。
【0035】
また、所望により、ディフューザ要素24内には、金属メッシュから構成されて関連のエアバッグクッションへ膨張媒体が流入する前に該膨張媒体を処理するのに望ましいフィルタの形態のような適切な膨張媒体処理要素40が配置される。
【0036】
一方、スリーブの第2開口端22には、始動装置組立体42が形成され、または、適切な形で連結され或いは取り付けられている。例えば、図示されているように、スリーブの第1開口端20の場合と同様に、スリーブの第2開口端22もスウェージ加工され、イナーシャ溶接44によって、始動装置組立体24を該第2開口端22に連結することができる。ここで、始動装置組立体42は、望ましくは、例えば、シールワッシャ54とOリング56と破裂ディスク60といった適切なシール要素または取付要素と共に、始動装置46と、ベース要素50と、始動装置アダプタ52とを有する。
【0037】
衝突が感知されたときのような作動時は、電気信号が始動装置46に送信される。始動装置46は、スクイブで始動せしめられる反応物質の反応を開始させ、破裂ディスク60を破裂させ或いは開け、その後、破裂ディスク36を破裂させ或いは開ける。破裂ディスク36が開くことによって、貯蔵室12内の内容物が該貯蔵室内での束縛から解放される。こうして解放された物質は、次いで、ボス30を通り、処理要素40を通り、そして、出口ポート36を通って膨張装置10から流出する。
【0038】
なお、拡張可能な流体14、例えば、混合ガスを貯蔵室12内での束縛から解放することによって、該混合ガスの拡張が生じる。さらに、混合ガスが成分の1つとして亜酸化窒素を含んでいる場合、亜酸化窒素の少なくとも一部が、上述したように、適切な形で分解し、膨張式の拘束の具体的な適用場面において望ましいように、分子数の多いガスを生成し或いはガス中の分子数を増大せしめる。
【0039】
また、図2には、膨張式の拘束システム70を自動車内部に搭載した例が示されている。拘束システム70は、膨張装置10と、上述したタイプの膨張式のカーテンの形態をした近接型の膨張式拘束装置72とを有しており、この膨張式のカーテンは、上述したHAlandらの米国特許第5788270号明細書に開示されている。
【0040】
膨張式の拘束システム70と、その安全装置72とは、乗物のシート76に座っている人74を保護するためのものである。乗物が減速するようなアクシデントに見舞われたときは、人はハンドル78に向かって前方へ移動するが、人は従来のシートベルトやエアバッグによって拘束される。ところが、側面衝突や横転の場合、人74の頭部が、その人の傍のドアにある窓ガラス80や乗物のBピラー82の一方、或いは、両方に打ち付けられる危険性がある。また、特に、側面衝突による横転の場合、頻繁に起こることではあるが、窓ガラス80が割れてしまった場合に、人74の頭部が窓から投げ出される危険性もある。
【0041】
図2では作動状態で示されているが、安全装置72は、始め、乗物のドアの上方にあるドアフレーム84に設けられている凹部内に収容されている。そして、この凹部は、単に、ドアフレームの直線部分を越えて延在し、上記凹部の2つの端部が該凹部のメイン部分に整列していないような形になっている。
【0042】
膨張装置10は、上述したように、ガス状の膨張媒体をカーテン型の膨張式安全装置72に提供し、該安全装置を望ましい形で膨張させられるようになっている。
【0043】
また、膨張装置10は、適切なタイミングで膨張装置10を始動するために側面衝突や横転といった状況を感知するセンサ(図示せず)に接続されている。また、膨張装置10は、ホース86によってダクト88に接続されている。ダクト88は、カーテン型の膨張式安全装置72の一部を形成している。カーテン型の膨張式安全装置72は、互いに平行に略鉛直方向の延びる複数の略円筒形のセル90を有する。
【0044】
また、ホース86近くの膨張式の要素72の端部からドアフレーム84上の固定点94まで、ウェブ状のストラップ92が延びている。また、Bピラー82の頂部近傍の点96と、ダッシュボード102の領域にある乗物のAピラー100の下方部分のところの点98と間のところで、ドアフレーム84にダクト88の縁部がしっかりと固定されている。
【0045】
側面衝突またはそのような形態の衝突のようなアクシデントが起こったとき、膨張装置10はガス状の膨張媒体を生成し或いは形成し或いは供給し、この膨張媒体がホース86を介してダクト88へと流れ、そして、セル90へと流れる。これにより、カーテン型の膨張式安全要素72が、ドアフレーム84に設けられた凹部内に保管されている初期保管位置から図2に示されている作動位置へと移動する。こうして、膨張式の要素72が、ドアフレーム84の頂部から下方へと延在し、人74の頭部とそれに隣接する窓ガラス80との間に概して平坦な構造を形成する。そして、円筒形のセル90が膨張すると、膨張式の要素72の下縁部104の長さが短くなり、したがって、この下縁部とウェブ状のストラップ92とが点94と点98との間で概ねぴんと張った形で延在することになる。
【0046】
なお、膨張せしめられた要素の部分が点96を越えて後方へと延び、人74の頭部とBピラー82の頂部との間に位置することとなる。したがって、人の頭部がBピラーに衝突する危険性が最小限に抑制される。また、膨張式の要素の上縁部がドアの上方部分に該上方部分の略全長に亘って取り付けられていることから、乗員の頭部が膨張式の要素の上縁部とドアフレームの上方部分との間を通ってしまう危険性は事実上なく、乗物の乗員の頭部が乗物のボディシェルから思わず飛び出してしまう危険も事実上なくなる。
【0047】
なお、上述したような膨張式カーテン型の膨張式の要素は、内部容積が比較的小さい膨張式の要素を用いて広い面積または領域を適切な形でカバーすることになる。さらに、こうした膨張式カーテン型の膨張式の要素は、横転の形態をとる側面衝突が起こったときに乗員を効果的に保護するのに望ましいように、長いスタンドアップ時間を提供し或いはもたらす。
【0048】
なお、以上、膨張式カーテンの形をした近接型の膨張式拘束装置を有し或いは搭載した膨張式拘束システムを具体的な例に挙げて本発明を説明したが、当業者には、その他の側面衝突(頭部、胸部、これらの組合せ等)用のエアバッグクッションや膝用のエアバッグクッションバッグだけでなく、乗物の乗員に近いところで展開するような比較的薄型のその他のエアバッグクッションを有するその他の形態またはタイプの近接型の膨張式拘束装置を採用するような応用にも本発明を利用し実施可能であることは明らかであろう。
【0049】
以下、本発明の実施に含まれる様々な例を示し或いはシミュレーションした例を基に本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明の考え方の範囲内で可能な全ての変更が保護されるのが望ましく、本発明はこれら例によって限定される構成に限定されない。
【0050】

以下の例は、試験用のインフレータを以下の膨張特性基準と比較したものである。
1.初期の膨張に関して、
a.20ミリ秒より短い時間で所定位置のクッション
b.30ミリ秒で80kPaよりも大きなクッション圧
2.スタンドアップに関して、5秒で25kPaよりも大きなクッション圧
【0051】
例1〜例5
各例では、図1に示されている膨張装置10と同様な構造を有する試験用のインフレータを使用した。また、各例では、下の表1に示されている混合ガスを使用し、各々の場合において、混合ガスのロードは21℃で2.5モルであった。
【表1】

各々の場合において、試験用のインフレータは、点火装置としてブースターではなく、スクイブを有し、各試験用のインフレータを点火して2.8×10-23(=1ft3)の試験用タンクへと放出させるようにした。図3は、例1〜例5の試験用インフレータ各々における時間の関数のタンク圧を示すグラフである。
【0052】
結果の考察
図3に示されているように、混合ガスのモル重量が大きいほど、膨張特性がゆっくりとなった。また、混合ガスのモル重量が約15g/モルよりも大きい場合には、インフレータはクッション膨張要求を満たせなかった。また、混合ガスのモル重量が約10g/モルよりも小さい場合には、インフレータはスタンドアップ要求を満たせなかった。
【0053】
例6〜例12
各例では、図1に示されている膨張装置10とその構造が同様な試験用のインフレータを使用した。また、各例では、21℃で2.5モルであり、下の表2で示されているような組成をより細かくしたガスを使用した。
【表2】

【0054】
各々の場合において、試験用のインフレータは、点火装置としてブースターではなく、スクイブを有し、各試験用のインフレータを点火して、2.8×10-23(=1ft3)の試験用タンクへと放出させ、試験用タンク内の圧力を時間の関数として計測した。図4は、例6〜例12の試験用インフレータ各々における時間の関数のタンク圧を示すグラフである。
【0055】
結果の考察
図4に示されているように、HeとN2Oを80対20の割合で含む混合ガスを使用したインフレータ装置では、ヘリウムのみからなる貯蔵ガスを使用したインフレータ装置における圧力−時間曲線に比べて傾斜の緩い圧力−時間曲線で示されているように、上昇率は緩やかであった。当業者には明らかであろうが、このように上昇率が緩やかなインフレータ装置を含み使用することは、膨張時のクッションへのダメージを小さくし或いは最小限に抑え、クッション膨張スタンドアップ時間を長くし或いは向上させるので望ましい。また、HeとN2Oを80対20の割合で含む混合ガスを使用したインフレータ装置では、アルゴンのみからなる貯蔵ガスを使用したインフレータ装置に比べて、上昇率が高く、こうした混合ガスを収容したインフレータ装置は、クッション展開時の定位置要求を満たすものである。このように、こうした例は、貯蔵ガスのモル重量を調整することによってインフレータの上昇率を調節することができることを示している。
【0056】
例13〜例15
各々の場合において、試験用のインフレータは、図1に示されている膨張装置10と同様な構造を有する試験用のインフレータを使用した。また、各例では、21℃で2.5モルであり、下の表3に示されているように組成をより細かくしたガスを使用した。
【表3】

【0057】
各々の場合において、試験用のインフレータは、点火装置としてブースターではなく、スクイブを有し、各試験用インフレータを点火して、2.8×10-23(=1ft3)の試験用タンクへと放出させ、試験用タンク内の圧力を時間の関数として計測した。図5は、例13〜例15の試験用インフレータ各々における時間の関数のタンク圧を示すグラフである。
【0058】
結果の考察
図5に示されているように、例13のインフレータ装置は、例14および例15のインフレータ装置に比べて高いタンク圧特性を示し、クッション特性要求を満足するものであった。
【0059】
例16〜例21
各例では、図1に示されている膨張装置10とその構造が同様な試験用インフレータを使用した。また、例16〜例18では、ArとN2OとHeを70対20対10の割合で含む2.25モルの混合ガスを使用し、それぞれ、80℃、21℃、−40℃の温度で点火するように調節されたスクイブ始動装置に関連した1.5グラムのブースター形式の点火材を使用した。一方、例19〜21の試験用インフレータでは、点火装置としてブースターの代わりにスクイブを使用した。
図6は、例16〜例21の試験用インフレータにおける時間を関数としたタンク圧を示すグラフである。
【0060】
結果の考察
図6に示されているように、例16〜例18の始動装置装置に比べて、例19〜例21では、略同等なクッション膨張特性が認められたが、ガス放出温度は僅かばかり高いものとかなり低いものとがあった。さらに、これら2つのグループのインフレータは、所定位置展開要求を満足するものであったと共に、30ミリ秒での80kPaの要求を満足するものであったが、例19〜例21は、主に、例16〜例18において生成される比較的高いピーク圧によるクッションダメージに対してクッションダメージが小さくなることから、望ましいスタンドアップ基準を満たした。
【0061】
以上、チャンバオープナー形式の始動装置を有する実施形態と、スクイブ形式の始動装置を採用した例を具体的な例として用いて本発明を説明したが、広くは、本発明はこれらに限定されるものではなく、所望により、本発明を実施するに当たり、当業者にとって明らかなその他の形式またはタイプのチャンバオープナーを使用してもよい。
【0062】
したがって、本発明は、収容されている混合ガスのモル重量が各成分の相対的な量を変えることによって調整されるようなインフレータ装置またはインフレータ機械を提供するものである。上述したように、混合ガスのモル重量をこのように調節して精密に制御することによって、インフレータの性能を適切な形で調整し、関連のエアバッグクッションの展開速度を望ましい形で制御し或いは管理し、そして、展開速度が速すぎることから生じる関連のエアバッグクッションへのダメージを最小限に抑え或いは低減すると共に、種々の近接型のエアバッグクッションや膨張式拘束装置を適切に或いは望ましい形で動作させるのに必要な比較的煩わしい膨張要求を満たすことができる。
【0063】
また、本明細書にて開示した発明は、ここでは特に明記していないが、幾つかの要素や部品や工程や構成要素や成分がなくても実施可能である。
【0064】
また、上述した説明では、或る好適な実施形態を参照して本発明を説明し、例示の目的で多くの詳細な事項を開示しているが、本発明を別の実施形態に適用可能であり、また、本発明の基本的な考え方の範囲を逸脱しない範囲で、上述した詳細な事項の幾つかを大幅に変更することも可能であることは、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0065】
10 装置
12 貯蔵室
14 流体
18 充填ポート
24 ディフューザ−組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張式の装置を膨張させるための装置であって、平均モル重量が少なくとも10であって15よりも大きくなく且つ膨張式の装置を膨張させるためにガス状の膨張媒体を提供することができる混合ガスを高い圧力で収容するチャンバと、該チャンバを開くために作動可能なチャンバオープナーと、当該装置から膨張式の装置にガス状の膨張媒体を導くための少なくとも1つの出口ポートを備えたディフューザ組立体とを具備する装置。
【請求項2】
上記混合ガスがヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、亜酸化窒素、窒素、および、酸素からなるグループの中の少なくとも2つを含んでいる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記混合ガスがヘリウムを含んでいる請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記混合ガスが二酸化炭素をさらに含んでいる請求項3に記載の装置。
【請求項5】
上記混合ガスが亜酸化窒素をさらに含んでいる請求項3に記載の装置。
【請求項6】
上記混合ガスの亜酸化窒素の少なくとも一部が分解して上記膨張式の装置へ導かれるガス状の膨張媒体中において窒素と酸素とになる請求項5に記載の装置。
【請求項7】
上記混合ガスが少なくとも約70モルパーセントであって約85モルパーセントよりも多くないヘリウムを含んでいる請求項3に記載の装置。
【請求項8】
上記混合ガスが約80モルパーセントのヘリウムを含んでいる請求項7に記載の装置。
【請求項9】
上記混合ガスが本質的に二酸化炭素と亜酸化窒素とからなるグループから選択される少なくとも1つと、ヘリウムとからなる請求項1に記載の装置。
【請求項10】
上記混合ガスが本質的にヘリウムと亜酸化窒素とからなる請求項1に記載の装置。
【請求項11】
上記混合ガスがヘリウムを約80モルパーセント含んでいる請求項10に記載の装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置と、該装置が作動したときに膨張媒体が移送される形で該装置につながっている少なくとも1つの近接型の膨張式抑制装置とを具備する膨張式の拘束システム。
【請求項13】
少なくとも1つの近接型の膨張式拘束装置を膨張させる方法であって、請求項1に記載の装置を作動させて該装置から上記少なくとも1つの近接型の膨張式拘束装置へ膨張させる量のガス状の膨張媒体を導く工程を具備する方法。
【請求項14】
少なくとも1つの近接型の膨張式拘束装置と、作動したときに該少なくとも1つの近接型の膨張式拘束装置にガス状の膨張媒体を提供するインフレータとを具備し、該インフレータが平均モル重量が少なくとも10であって15よりも大きくなく且つ本質的にヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、亜酸化窒素、窒素、および、酸素からなるグループの中の少なくとも2つからなる混合ガスを高い圧力で収容している膨張式の拘束システム。
【請求項15】
上記混合ガスがヘリウムを含んでいる請求項14に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項16】
上記混合ガスが二酸化炭素をさらに含んでいる請求項15に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項17】
上記混合ガスが亜酸化窒素をさらに含んでいる請求項15に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項18】
上記混合ガスの亜酸化窒素の少なくとも一部が上記膨張式の装置へ導かれるガス状の膨張媒体中の窒素と酸素とに分解する請求項17に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項19】
上記混合ガスが少なくとも約70モルパーセントであって約85モルパーセントよりも多くないヘリウムを含んでいる請求項15に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項20】
上記混合ガスがヘリウムを約80モルパーセント含んでいる請求項19に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項21】
上記混合ガスが本質的に二酸化炭素と亜酸化窒素とからなるグループの中から選択された少なくとも1つとヘリウムとからなる請求項14に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項22】
上記混合ガスが本質的にヘリウムと亜酸化窒素とからなる請求項14に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項23】
上記混合ガスがヘリウムを約80モルパーセント含んでいる請求項22に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項24】
上記少なくとも1つの近接型の膨張式拘束装置が側面衝突用のエアバッグクッションである請求項14に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項25】
上記少なくとも1つの近接型の膨張式拘束装置がカーテン型のエアバッグクッションである請求項14に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項26】
上記少なくとも1つの近接型の膨張式拘束装置が膝用のエアバッグクッションである請求項14に記載の膨張式の拘束システム。
【請求項27】
近接型の膨張式エアバッグクッションを膨張させるための方法であって、平均モル重量が少なくとも10であって15よりも大きくなく、本質的にヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、亜酸化窒素、窒素、および、酸素からなるグループの中の少なくとも2つからなり、近接型の膨張式エアバッグクッションを膨張させるためのガス状の膨張媒体を適用するのに有効な混合ガスを高い圧力で収容するチャンバを備えたインフレータ装置を作動させる工程を具備する。
【請求項28】
上記混合ガスがヘリウムを含んでいる請求項27に記載の方法。
【請求項29】
上記混合ガスが二酸化炭素をさらに含んでいる請求項28に記載の方法。
【請求項30】
上記混合ガスが亜酸化窒素をさらに含んでいる請求項28に記載の方法。
【請求項31】
上記混合ガスの亜酸化窒素の少なくとも一部が上記膨張式の装置へ導かれるガス状の膨張媒体中で窒素と酸素とに分解する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
上記混合ガスが少なくとも約70モルパーセントであって約85モルパーセントよりも大きくないヘリウムを含んでいる請求項28に記載の方法。
【請求項33】
上記混合ガスがヘリウムを約80モルパーセント含んでいる請求項32に記載の方法。
【請求項34】
上記混合ガスが本質的に二酸化炭素と亜酸化窒素からなるグループの中から選択された少なくとも1つとヘリウムとからなる請求項27に記載の方法。
【請求項35】
上記混合ガスが本質的にヘリウムと亜酸化窒素とからなる請求項27に記載の方法。
【請求項36】
上記混合ガスがヘリウムを約80モルパーセント含んでいる請求項35に記載の方法。
【請求項37】
上記近接型の膨張式拘束装置が膨張されたときに側面衝突用のエアバッグクッションとなる請求項27に記載の方法。
【請求項38】
上記近接型の膨張式拘束装置が膨張されたときにカーテン型のエアバッグクッションとなる請求項27に記載の方法。
【請求項39】
上記近接型の膨張式拘束装置が膨張されたときに膝用のエアバッグクッションとなる請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−234576(P2009−234576A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165901(P2009−165901)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【分割の表示】特願2004−509107(P2004−509107)の分割
【原出願日】平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願人】(597065363)オートリブ エーエスピー,インコーポレイティド (87)
【Fターム(参考)】