説明

圧縮機

【課題】 従来に比べてオイル分離性能が向上した遠心分離方式のオイルセパレータを備える従来の圧縮機を提供する。
【解決手段】 圧縮機構と、圧縮機構を収容するハウジングと、ハウジング内に形成された吐出通路と、吐出通路の途上に配設された遠心分離方式のオイルセパレータとを備え、オイルセパレータの中心軸線を基準にして点対称に一対のオイルセパレータへの吐出ガス導入口が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮機構と、圧縮機構を収容するハウジングと、ハウジング内に形成され圧縮機構から吐出したガスをハウジング外へ吐出させる吐出通路と、吐出通路の途上に配設された遠心分離方式のオイルセパレータとを備える圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧縮機構と、圧縮機構を収容するハウジングと、ハウジング内に形成され圧縮機構から吐出したガスをハウジング外へ吐出させる吐出通路と、吐出通路の途上に配設された遠心分離方式のオイルセパレータとを備える圧縮機が特許文献1等に開示されている。
【特許文献1】特開2001−295767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
遠心分離方式のオイルセパレータを備える従来の圧縮機においては、オイルセパレータへの吐出ガス導入口の配設数は一般に1であった。このため、強力な吐出ガス旋回流を形成できず、充分なオイル分離性能を得られなかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、従来に比べてオイル分離性能が向上した遠心分離方式のオイルセパレータを備える圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、圧縮機構と、圧縮機構を収容するハウジングと、ハウジング内に形成された吐出通路と、吐出通路の途上に配設された遠心分離方式のオイルセパレータとを備え、オイルセパレータの中心軸線を基準にして点対称に一対のオイルセパレータへの吐出ガス導入口が配設されていることを特徴とする圧縮機を提供する。
本発明においては、オイルセパレータの中心軸線を基準にして点対称に一対のオイルセパレータへの吐出ガス導入口が配設されているので、強力な吐出ガス旋回流が得られる。この結果、オイル分離性能が従来に比べて向上する。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、オイルセパレータの中心軸線を基準にして点対称に二対以上のオイルセパレータへの吐出ガス導入口が配設されている。
ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
オイルセパレータの中心軸線を基準にして点対称に複数対のオイルセパレータへの吐出ガス導入口を配設することにより、更に強力な吐出ガス旋回流が得られる。この結果、オイル分離性能が更に向上する。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、オイルセパレータの中心軸線を基準にして点対称に一対のオイルセパレータへの吐出ガス導入口が配設されているので、強力な吐出ガス旋回流が得られる。この結果、オイル分離性能が従来に比べて向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施例に係る圧縮機を説明する。
図1に示すように、スクロール型圧縮機Aは、端板1aと渦巻体1bとを有する固定スクロール1と、端板2aと渦巻体2bとを有する可動スクロール2とを備えている。渦巻体1b、2bは互いに噛み合い、複数対の作動空間3を形成している。
スクロール型圧縮機は、ケーシング4aとフロントハウジング4bとを備えている。ケーシング4aとフロントハウジング4bとは一体に接合され、固定スクロール1と可動スクロール2とを収容するハウジング4を形成している。
固定スクロールの端板1aはケーシング4aに嵌合固定されている。嵌合固定部をシールするOリングが配設されている。端板1aを境にして、ハウジング4内に吸入室5と吐出室6とが形成されている。
固定スクロールの端板1aの中心に吐出孔1cが形成されている。吐出孔1cは端板1aに取り付けられた吐出弁を介して吐出室6に連通している。
フロントハウジング4bに形成された図示しない吸入ポートが吸入室5に連通している。吸入ポートは空調装置の低圧側回路に接続している。
ケーシング4aに形成された図示しない吐出ポートが吐出室6に連通している。吐出ポートは空調装置の高圧側回路に接続している。
【0008】
吸入室5内に主軸7が配設されている。主軸7はラジアルベアリング8、9を介してフロントハウジング4bに回転可能に支持されている。主軸7の一端はフロントハウジング4bの外部へ突出している。
電磁クラッチ10が、ラジアルベアリング11を介してフロントハウジング4bに回転可能に支持されている。
主軸7の他端に偏心ピン12が固定されている。ブッシュ13が偏心ピン12に摺動可能に外嵌合している。ブッシュ13はラジアルベアリング14を介して可動スクロール2の端板2aの背面に形成されたボス2c内に収容されている。
可動スクロール2とフロントハウジング4bとの間にボールカップリング15が配設されている。
主軸7、偏心ピン12、ブッシュ13、可動スクロール2、固定スクロール1によって圧縮機構が形成されている。圧縮機構はハウジング4内に収容されている。
【0009】
ケーシング4a内に、吐出室6に隣接し且つ吐出室6と吐出ポートとに連通する円柱状のオイル分離室16が形成されている。吐出室6とオイル分離室16とは圧縮機構から吐出したガスをハウジング4外へ吐出させる吐出通路を形成している。オイル分離室16内に、且つオイル分離室16と同軸に、且つオイル分離室16の周側壁から環状隙間16aを隔ててセパレータパイプ17が配設されている。セパレータパイプ17の一端はオイル分離室16内に在り、他端はオイル分離室16の入口に圧入固定されており、前述の図示しない吐出ポートに連通している。オイル分離室16と環状隙間16aとセパレータパイプ17とにより、遠心分離方式のオイルセパレータ18が形成されている。
図2に示すように、オイル分離室16の入口近傍の周側壁に、オイルセパレータ18の中心軸線(オイル分離室16の中心軸線)Xを基準にして点対称に、一対のオイルセパレータ18への吐出ガス導入口19、20が配設されている。吐出ガス導入口19、20は、吐出ガス通路19a、20aを介して吐出室6に連通している。
【0010】
本実施例に係るスクロール型圧縮機においては、図示しない駆動源の動力が電磁クラッチ10を介して主軸7の一端に伝達され、主軸7が回転駆動される。主軸7の回転が偏心ピン12とブッシュ13とにより旋回運動に変換されて可動スクロール2に伝達され、可動スクロール2が旋回運動する。空調装置の低圧側回路から吸入ポートを通って吸入室5へ吸引された冷媒ガスが、渦巻体1b、2bによって形成される外周側の一対の作動空間3内に取り込まれる。ボールカップリング15により可動スクロール2の自転が阻止される。
一対の作動空間3が体積を減少させつつ固定スクロール1の中心へ向けて移動し、作動空間3内の冷媒ガスが圧縮される。高圧の冷媒ガスが、固定スクロール1の端板1aに形成された吐出孔1cと吐出弁とを介して吐出室6へ吐出する。高圧の冷媒ガスは、吐出室6から吐出ガス通路19a、20aを通って、図2に白抜矢印で示すように、オイル分離室16の環状隙間16aに接線方向に流入し、環状隙間16a内を旋回しつつセパレータパイプ17の前記一端へ向けて流れ、セパレータパイプ17へ流入し、セパレータパイプ17の他端から吐出ポートを経て空調装置の高圧側回路へ流出する。
【0011】
高圧の冷媒ガスが環状隙間16a内を旋回しつつセパレータパイプ17の前記一端へ向けて流れる際に、遠心力により冷媒ガス中に分散浮遊したオイルミストが冷媒ガスから分離されてオイル分離室16の周側壁に付着する。オイル分離室16の周側壁に付着したオイルミストは液滴を形成しつつオイル分離室16の底部へ向けて流れ、オイル分離室16の底部に蓄積される。オイル分離室16の底部に蓄積されたオイルは、図示しないオイル通路を介して吸入室5へ戻され、圧縮機構の各種摺動部を潤滑する。
【0012】
本実施例に係るスクロール型圧縮機Aにおいては、オイルセパレータ18の中心軸線Xを基準にして点対称に一対のオイルセパレータ18への吐出ガス導入口19、20が配設されているので、強力な吐出ガス旋回流が得られる。この結果、オイル分離性能が従来に比べて向上する。
【0013】
オイルセパレータ18の中心軸線Xを基準にして点対称に二対以上のオイルセパレータ18への吐出ガス導入口を配設しても良い。
オイルセパレータ18の中心軸線Xを基準にして点対称に複数対のオイルセパレータ18への吐出ガス導入口を配設することにより、更に強力な吐出ガス旋回流が得られる。この結果、オイル分離性能が更に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、スクロール型圧縮機のみならず、遠心分離方式のオイルセパレータを備える各種圧縮機に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係る圧縮機の断面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【符号の説明】
【0016】
1 固定スクロール
1a 端板
1b 渦巻体
1c 吐出孔
2 可動スクロール
2a 端板
2b 渦巻体
4 ハウジング
5 吸入室
6 吐出室
16 オイル分離室
16a 環状隙間
17 セパレータパイプ
19、20 吐出ガス導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構と、圧縮機構を収容するハウジングと、ハウジング内に形成され圧縮機構から吐出したガスをハウジング外へ吐出させる吐出通路と、吐出通路の途上に配設された遠心分離方式のオイルセパレータとを備え、オイルセパレータの中心軸線を基準にして点対称に一対のオイルセパレータへの吐出ガス導入口が配設されていることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
オイルセパレータの中心軸線を基準にして点対称に二対以上のオイルセパレータへの吐出ガス導入口が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−192047(P2007−192047A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8731(P2006−8731)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】